(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の電源から出力される第1の電圧のレベルと、第2の電源から出力される第2の電圧のレベルとを比較して、比較結果を示す第1の信号を出力する第1の信号出力部と、
前記第2の電圧のレベルが閾値電圧のレベルよりも大きいか否かを判定して、判定結果を示す第2の信号を出力する第2の信号出力部と、
前記第2の電圧のレベルが前記閾値電圧のレベルよりも大きいことを前記第2の信号が示す場合には、前記第2の電圧を出力電圧として出力端子から出力し、前記第2の電圧のレベルが前記閾値電圧のレベルよりも小さいことを前記第2の信号が示す場合には、前記第1の信号に基づいて、前記第1の電圧および前記第2の電圧のうちレベルの大きい方を前記出力電圧として前記出力端子から出力する電圧出力部と、
を含み、
前記電圧出力部は、
前記第1の信号と前記第2の信号との論理演算を行って、論理演算結果を示す出力信号を出力する論理回路と、
前記出力端子と、前記第1の電圧が入力される第1の入力端子と、の間に設けられ、前記論理回路の出力信号に応じてオンオフする第1のスイッチと、
前記出力端子と、前記第2の電圧が入力される第2の入力端子と、の間に設けられ、前記論理回路の出力信号に応じてオンオフする第2のスイッチと、
を含む半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置10を含む、電源ユニット100の構成を示すブロック図である。電源ユニット100は、半導体装置10、バッテリー50および太陽電池60を含んで構成されている。
【0015】
バッテリー50は、例えば、乾電池等の一次電池またはリチウムイオン電池等の二次電池であり、正極と負極の間にバッテリー電圧VBを出力する。バッテリー電圧VBは、半導体装置10の入力端子17に入力される。
【0016】
太陽電池60は、光エネルギーを電力に変換して出力する電力機器であり、一例としてpn接合型のフォトダイオードを含んで構成されている。太陽電池60は、正極と負極の間にソーラ電圧VSを出力する。ソーラ電圧VSは、半導体装置10の入力端子18に入力される。
【0017】
半導体装置10は、入力端子17および18から入力されるバッテリー電圧VBおよびソーラ電圧VSのうちの一方を選択し、選択した電圧を出力電圧VDDとして出力端子19から出力する電源回路を構成する。半導体装置10は、コンパレータ(CMP1)11、ソーラ電圧検出回路(SLD)12、論理回路13、出力回路14およびキャパシタ16を含んで構成されている。
【0018】
コンパレータ11は、半導体装置10の入力端子17に接続された反転入力端子および半導体装置10の入力端子18に入力された非反転入力端子を有する。すなわち、コンパレータ11の反転入力端子には、バッテリー電圧VBが入力され、コンパレータ11の非反転入力端子には、ソーラ電圧VSが入力される。コンパレータ11は、バッテリー電圧VBのレベルと、ソーラ電圧VSのレベルとを比較し、比較結果を示す出力信号S1を出力する。本実施形態において、コンパレータ11は、ソーラ電圧VSのレベルが、バッテリー電圧VBのレベルよりも大きい場合(VS>VB)、論理値“1”(ハイレベル)の出力信号S1を出力し、ソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも小さい場合(VS<VB)、論理値“0”(ローレベル)の出力信号S1を出力する。コンパレータ11の出力信号S1は、論理回路13に供給される。
【0019】
ソーラ電圧検出回路12は、半導体装置10の入力端子18に接続された入力端子を有する。ソーラ電圧検出回路12は、ソーラ電圧VSのレベルが、予め定められた閾値電圧VSOHのレベルよりも大きいか否かを判定し、判定結果を示す出力信号S2を出力する。閾値電圧VSOHのレベルは、例えば、半導体装置10の出力電圧VDDを電源として動作する他のシステム(図示せず)を安定的に動作させることができる最小の大きさに設定される。本実施形態において、ソーラ電圧検出回路12は、ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合(VS>VSOH)、論理値“1”(ハイレベル)の出力信号S2を出力し、ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい場合(VS<VSOH)には、論理値“0”(ローレベル)の出力信号S2を出力する。ソーラ電圧検出回路12の出力信号S2は、論理回路13に供給される。
【0020】
図2は、ソーラ電圧検出回路12の詳細な構成の一例を示す図である。ソーラ電圧検出回路12は、調整信号出力回路120、N−MOSトランジスタ121、122、126〜128、P−MOSトランジスタ123〜125および抵抗回路140を含んで構成されている。
【0021】
抵抗回路140は、ソーラ電圧VSが入力される入力端子131とグランドラインとの間に直列接続された抵抗器141および可変抵抗器142を有する。抵抗回路140は、抵抗器141および可変抵抗器142の抵抗値によって定まる分圧比でソーラ電圧VSを分圧し、分圧した電圧を抵抗器141と可変抵抗器142との接続点n1から出力する。可変抵抗器142の抵抗値は、調整信号出力回路120から出力される調整信号Stによって変化するように構成されている。可変抵抗器142の抵抗値が変化することで、抵抗回路140における分圧比が変化する。
【0022】
N−MOSトランジスタ121は、ゲートが抵抗器141と可変抵抗器142の接続点n1に接続され、ドレインがP−MOSトランジスタ123のドレインに接続され、ソースがN−MOSトランジスタ127のドレインに接続されている。従って、N−MOSトランジスタ121のゲートには、ソーラ電圧VSを抵抗回路140によって分圧した電圧が供給される。N−MOSトランジスタ122は、ゲートがグランドラインに接続され、ドレインがP−MOSトランジスタ124のドレインに接続され、ソースがN−MOSトランジスタ127のドレインに接続されている。
【0023】
P−MOSトランジスタ123および124は、それぞれ、ソースが電源ラインL1に接続され、ゲートがP−MOSトランジスタ124のドレインに接続されている。P−MOSトランジスタ125は、ソースが電源ラインL1に接続され、ゲートがN−MOSトランジスタ121のドレインに接続され、ドレインが出力端子132に接続されている。なお、本実施形態において、電源ラインL1には、所定の内部電源が供給される。
【0024】
N−MOSトランジスタ126は、ドレインが出力端子132に接続され、ソースがグランドラインに接続されている。N−MOSトランジスタ127は、ドレインがN−MOSトランジスタ121および122のソースに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。N−MOSトランジスタ128は、ドレインおよびゲートが一定の電流が供給される電流供給ラインに接続されている。N−MOSトランジスタ126〜128のゲートは相互に接続されている。
【0025】
本実施形態において、N−MOSトランジスタ122は、デプレッション型の電界効果トランジスタであり、ゲート電圧が0Vでもオン状態となる。一方、N−MOSトランジスタ121は、エンハンスメント型の電界効果トランジスタであり、ゲート電圧が0Vでオフ状態となり、所定の閾値電圧よりも大きいゲート電圧を供給することでオン状態となる。
【0026】
ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい場合には、N−MOSトランジスタ121がオフ状態、N−MOSトランジスタ122がオン状態となる。これにより、P−MOSトランジスタ124に電流が流れ、P−MOSトランジスタ123がP−MOSトランジスタ125のゲート電圧を押し上げる。これにより、P−MOSトランジスタ125がオフ状態となり、出力端子132から出力される出力信号S2は、ローレベル、すなわち論理値“0”となる。
【0027】
ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合には、N−MOSトランジスタ122がオフ状態、N−MOSトランジスタ121がオン状態となる。これにより、N−MOSトランジスタ121がP−MOSトランジスタ125のゲート電圧を押し下げる。これにより、P−MOSトランジスタ125がオン状態となり、出力端子132から出力される出力信号S2は、ハイレベル、すなわち論理値“1”となる。
【0028】
なお、閾値電圧VSOHは、出力信号S2の論理値が切り替るソーラ電圧VSを意味し、回路内部に生じている電圧ではない。ソーラ電圧検出回路12において、可変抵抗器142の抵抗値を変化させ、抵抗回路140における分圧比を変化させることで、閾値電圧VSOHを変化させることができる。
【0029】
図3は、ヒステリシス特性を付加したソーラ電圧検出回路12Aの他の構成の一例を示す図である。ソーラ電圧検出回路12Aは、抵抗回路140内に設けられた抵抗器143と、出力信号S2の論理値が“1”である場合にオン状態となるトランジスタ133を更に含む。抵抗器143は、一端が入力端子131に接続されるとともにトランジスタ133のドレインに接続され、他端が抵抗器141の一端に接続されるとともにトランジスタ133のソースに接続される。ソーラ電圧検出回路12Aにおいて、出力信号S2の論理値が“0”から“1”に変化した場合、トランジスタ133がオフ状態からオン状態に切り替り、これによって接続点n1の電位は上昇する。これによりソーラ電圧検出回路12Aの出力信号S2は、論理値“1”を安定的に出力することができる。このように、ソーラ電圧検出回路12にヒステリシス特性を付加することで、出力信号S2におけるチャタリングを防止することができる。
【0030】
なお、
図2および
図3に示されたソーラ電圧検出回路12および12Aの構成は一例に過ぎず、かかる構成に限定されるものではない。例えば、ソーラ電圧検出回路は、回路内部で発生させた閾値電圧VSOHのレベルとソーラ電圧VSのレベルとを比較するコンパレータとして構成することも可能である。
【0031】
図1を参照し、論理回路13は、コンパレータ11の出力信号S1の論理値およびソーラ電圧検出回路12の出力信号S2の論理値について論理演算を行い、演算結果を示す出力信号Qを出力する。
【0032】
図4は、論理回路13の真理値表である。
図4に示すように、論理回路13は、コンパレータ11の出力信号S1の論理値が“0”であり、且つソーラ電圧検出回路12の出力信号S2の論理値が“0”である場合に、論理値“1”の出力信号Qを出力し、それ以外の場合には、論理値“0”の出力信号Qを出力する。
【0033】
すなわち、論理回路13は、ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合(出力信号S2の論理値が“1”)、ソーラ電圧VSとバッテリー電圧VBの電圧レベルの大小関係にかかわらず、論理値“0”の出力信号Qを出力する。
【0034】
一方、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも小さく(出力信号S2の論理値が“0”)、且つソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも大きい場合(出力信号S1の論理値が“1”)、論理回路13は、論理値“0”の出力信号Qを出力する。また、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも小さく(出力信号S2の論理値が“0”)、且つソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも小さい場合(出力信号S1の論理値が“0”)、論理回路13は、論理値“1”の出力信号Qを出力する。
【0035】
図1を参照し、出力回路14は、インバータ15、スイッチSW1およびSW2を含んで構成されている。スイッチSW1の一端は、半導体装置10の入力端子17に接続され、他端が半導体装置10の出力端子19に接続されている。スイッチSW2の一端は、半導体装置10の入力端子18に接続され、他端が半導体装置10の出力端子19に接続されている。スイッチSW1には、論理回路13の出力信号Qが、その論理値を維持したままオンオフ制御信号Scとして供給される。スイッチSW2には、論理回路13の出力信号Qの論理値をインバータ15によって反転させた信号がオンオフ制御信号Scとして供給される。すなわち、スイッチSW1およびSW2には互いに異なる論理値のオンオフ制御信号Scが供給される。本実施形態において、スイッチSW1およびSW2は、論理値“1”のオンオフ制御信号Scが供給された場合にオン状態となり、論理値“0”のオンオフ制御信号Scが供給された場合にオフ状態となる。従って、出力回路14において、スイッチSW1およびSW2は、相補的にオンオフする。
【0036】
スイッチSW1がオン状態、スイッチSW2がオフ状態となることで、バッテリー電圧VBが、出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。一方、スイッチSW2がオン状態、スイッチSW1がオフ状態となることで、ソーラ電圧VSが、出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0037】
キャパシタ16は、出力端子19とグランドラインとの間に設けられ、出力電圧VDDの急峻な変動を抑制するバイパスコンデンサとして機能する。なお、キャパシタ16は、半導体装置10の外部に設けられていてもよい。
【0038】
なお、バッテリー50は、本発明における第1の電源の一例であり、太陽電池60は、本発明における第2の電源の一例である。コンパレータ11は、本発明における第1の信号出力部の一例であり、ソーラ電圧検出回路は、本発明における第2の信号出力部の一例である。論理回路13および出力回路14は、本発明における電圧出力部の一例である。
【0039】
以下に、半導体装置10および電源ユニット100の動作について、
図5を参照しつつ説明する。
図5は、ソーラ電圧VSの時間推移の一例を示すグラフであり、横軸は時間であり、縦軸は電圧レベルである。
【0040】
ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい時刻0から時刻t1までの期間において、ソーラ電圧検出回路12は、論理値“0”の出力信号S2を出力する。出力信号S2の論理値が“0”である場合、論理回路13は、バッテリー電圧VBのレベルとソーラ電圧VSのレベルとの比較結果を示すコンパレータ11からの出力信号S1の論理値に基づいて、出力信号Qの論理値を定める。
【0041】
すなわち、論理回路13は、ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも小さく(出力信号S2の論理値が“0”)、且つソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも大きい場合(出力信号S1の論理値が“1”)、論理値“0”の出力信号Qを出力する。これにより、スイッチSW1がオフ状態、スイッチSW2がオン状態となり、ソーラ電圧VSが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。一方、論理回路13は、ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも小さく(出力信号S2の論理値が“0”)、且つソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも小さい場合(出力信号S1の論理値が“0”)、論理値“1”の出力信号Qを出力する。これにより、スイッチSW1がオン状態、スイッチSW2がオフ状態となり、バッテリー電圧VBが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0042】
ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい時刻t1から時刻t2までの期間において、ソーラ電圧検出回路12は、論理値“1”の出力信号S2を出力する。出力信号S2の論理値が“1”である場合、論理回路13は、コンパレータ11の出力信号S1の論理値にかかわらず、論理値“0”の出力信号Qを出力する。これにより、スイッチSW1がオフ状態、スイッチSW2がオン状態となり、ソーラ電圧VSが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0043】
ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい時刻t2から時刻t3までの期間における動作は、上記した時刻0から時刻t1までの期間における動作と同様である。
【0044】
以上のように、本発明の実施形態に係る半導体装置10および電源ユニット100によれば、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合には、ソーラ電圧VSとバッテリー電圧VBの大小関係にかかわらず、ソーラ電圧VSが出力電圧VDDとして出力される。すなわち、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合には、太陽電池60が優先的に使用され、太陽電池の使用率を高めることができる。これにより、バッテリー50の消耗を抑制することができ、電源ユニット100全体としての可用性(アベイラビリティ)を高めることができる。
【0045】
本実施形態に係る半導体装置10および電源ユニット100において、閾値電圧VSOHのレベルを、出力電圧VDDを駆動電源として動作する他のシステムを安定的に動作させることができる最小レベルに設定することで、太陽電池60の使用率を高めつつ、当該他のシステムを、太陽電池60の優先使用期間内において安定的に動作させることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る半導体装置10および電源ユニット100によれば、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい場合には、ソーラ電圧VSとバッテリー電圧VBのうち、電圧レベルの高い方が出力電圧VDDとして出力される。このように、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい場合に、太陽電池60の優先使用を解除して、バッテリー50と太陽電池60のうち、出力電圧のレベルが高い方を使用することで、出力電圧VDDを駆動電源として動作する他のシステムに対して、電源ユニット100が出力可能な最大の電圧を供給することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る電源ユニット100および半導体装置10によれば、可変抵抗器142の抵抗値を変化させることで、閾値電圧VSOHのレベルを調整することが可能である。これにより、太陽電池60を優先使用する電圧レベルの設定を、半導体装置毎に行うことができる。また、例えば、検査工程において、閾値電圧VSOHのレベルが所望の大きさとなるように、半導体装置毎に可変抵抗器142の抵抗値を調整することが可能となり、製造ばらつきに起因する閾値電圧VSOHの変動を抑制することができる。
【0048】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置10Aを含む、電源ユニット100Aの構成を示すブロック図である。
【0049】
半導体装置10Aは、コンパレータ(CMP2)20を更に含む点において、上記した第1の実施形態に係る半導体装置10と異なる。コンパレータ20の非反転入力端子は、半導体装置10の入力端子18に接続され、コンパレータ20の反転入力端子は、半導体装置10の出力端子19に接続されている。すなわち、コンパレータ20の非反転端子には、ソーラ電圧VSが入力され、コンパレータ20の反転入力端子には、出力電圧VDDが入力される。なお、
図6においては、図面の煩雑さを回避する観点から、コンパレータ20の反転入力端子と半導体装置10の出力端子19とを接続する配線の図示を省略している。コンパレータ20は、ソーラ電圧VSのレベルと、出力電圧VDDのレベルとを比較し、比較結果を示す出力信号S3を出力する。本実施形態において、コンパレータ20は、ソーラ電圧VSのレベルが、出力電圧VDDのレベルよりも大きい場合(VS>VDD)、論理値“1”(ハイレベル)の出力信号S3を出力し、ソーラ電圧VSのレベルが出力電圧VDDのレベルよりも小さい場合(VS<VDD)、論理値“0”(ローレベル)の出力信号S3を出力する。コンパレータ20の出力信号S3は、論理回路13に供給される。なお、コンパレータ20は、本発明における第3の信号出力部の一例である。
【0050】
論理回路13は、コンパレータ11の出力信号S1の論理値、ソーラ電圧検出回路12の出力信号S2の論理値およびコンパレータ20の出力信号S3の論理値について論理演算を行い、演算結果を示す出力信号Q1およびQ2を出力する。
【0051】
図7は、論理回路13の真理値表である。
図7に示すように、コンパレータ20の出力信号S3の論理値が“1”である場合には、出力信号S1およびS2に対する出力信号Q1の論理値は、上記した第1の実施形態に係る出力信号Qの論理値と同様となり、出力信号Q2の論理値は、出力信号Q1の反転論理となる。一方、コンパレータ20の出力信号S3の論理値が“0”である場合には、出力信号Q1およびQ2の論理値はともに“0”となる。ただし、出力信号S1およびS2の論理値がともに“0”である場合には、出力信号S3にかかわらず、出力信号Q1の論理値は“1”となり、出力信号Q2の論理値は“0”となる。
【0052】
図6を参照し、本実施形態において、出力回路14は、スイッチSW1およびSW2を含んで構成されている。スイッチSW1の一端は、半導体装置10の入力端子17に接続され、他端が半導体装置10の出力端子19に接続されている。スイッチSW2の一端は、半導体装置10の入力端子18に接続され、他端が半導体装置10の出力端子19に接続されている。スイッチSW1には、論理回路13の出力信号Q1が、その論理値を維持したままオンオフ制御信号Scとして供給される。スイッチSW2には、論理回路13の出力信号Q2が、その論理値を維持したままオンオフ制御信号Scとして供給される。本実施形態において、スイッチSW1およびSW2は、論理値“1”のオンオフ制御信号Scが供給された場合にオン状態となり、論理値“0”のオンオフ制御信号Scが供給された場合にオフ状態となる。
【0053】
スイッチSW1がオン状態、スイッチSW2がオフ状態となることで、バッテリー電圧VBが、出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。一方、スイッチSW2がオン状態、スイッチSW1がオフ状態となることで、ソーラ電圧VSが、出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0054】
以下に、第2の実施形態に係る半導体装置10Aおよび電源ユニット100Aの動作について、
図8を参照しつつ説明する。
図8は、ソーラ電圧VS、バッテリー電圧VBおよび出力電圧VDDの時間推移の一例を示すグラフであり、横軸は時間であり、縦軸は電圧レベルである。ここでは、
図8に示すように、全ての期間に亘り、ソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも小さいものとする。
【0055】
ソーラ電圧VSのレベルは、バッテリー電圧VBのレベルよりも小さいため、コンパレータ11は、論理値“0”の出力信号S1を出力する。また、時刻0から時刻t1までの期間、ソーラ電圧VSのレベルは、閾値電圧VSOHのレベルよりも小さい。従って、ソーラ電圧検出回路12は、論理値“0”の出力信号S2を出力する。出力信号S1およびS2の論理値がともに“0”である場合、論理回路13は、コンパレータ20の出力信号S3の論理値にかかわらず、論理値“1”の出力信号Q1を出力するとともに、論理値“0”の出力信号Q2を出力する。これにより、スイッチSW1がオン状態、スイッチSW2がオフ状態となり、バッテリー電圧VBが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0056】
ソーラ電圧VSのレベルが上昇し、時刻t1において閾値電圧VSOHのレベルを上回ると、ソーラ電圧検出回路12は、論理値“1”の出力信号S2を出力する。一方、時刻t1において、ソーラ電圧VSのレベルは、出力電圧VDDのレベルよりも小さい。従って、コンパレータ20は、論理値“0”の出力信号S3を出力する。また、コンパレータ11は、論理値“0”の出力信号S1の出力を維持する。これにより、論理回路13は、論理値“0”の出力信号Q1を出力するとともに、論理値“0”の出力信号Q2を出力する。これにより、スイッチSW1およびスイッチSW2がともにオフ状態となり、出力端子19は、ハイインピーダンス状態となる。
【0057】
仮に、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルを超えた直後にスイッチSW2をオン状態に切り替えた場合には、出力電圧VDDのレベルがソーラ電圧VSのレベルよりも高いので、キャパシタ16に蓄積された電荷が太陽電池60に流れ込むことになる。ここで、
図9は、太陽電池の等価回路図である。太陽電池60は、正極603と負極604との間に電流源602とPN接合型のフォトダイオード601とを並列接続させた構成を有する。キャパシタ16から太陽電池60に流れ込んだ電荷は、フォトダイオード601のPN接合を流れる。つまり、出力電圧VDDのレベルがソーラ電圧VSのレベルよりも高い状況において、スイッチSW2をオン状態に切り替えた場合には、太陽電池60のフォトダイオード601において電力を消費してしまうことになる。
【0058】
第2の実施形態に係る半導体装置10Aおよび電源ユニット100Aにおいては、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも大きく、太陽電池60を優先使用する場合において、出力電圧VDDのレベルがソーラ電圧VSのレベルよりも大きい場合には、スイッチSW1およびスイッチSW2の双方がオフ状態とされ、出力端子19がハイインピーダンス状態とされる。これにより、キャパシタ16から太陽電池60への電荷の流れ込みが防止され、太陽電池60での電力消費を防止することができる。
【0059】
図8を参照し、出力端子19がハイインピーダンス状態となることで、キャパシタ16に蓄積された電荷が放電されることにより、出力電圧VDDは徐々に低下する。時刻t2において、ソーラ電圧VSのレベルが、出力電圧VDDのレベルを上回ると、コンパレータ20の出力信号S3の論理値は“1”となる。また、コンパレータ11は、論理値“0”の出力信号S1の出力を維持し、ソーラ電圧検出回路12は、論理値“1”の出力信号S2の出力を維持する。これにより、論理回路13は、論理値“0”の出力信号Q1を出力するとともに、論理値“1”の出力信号Q2を出力する。これにより、スイッチSW1がオフ状態、スイッチSW2がオン状態となり、ソーラ電圧VSが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0060】
その後、ソーラ電圧VSのレベルが下降し、時刻t3において閾値電圧VSOHのレベルを下回ると、ソーラ電圧検出回路12は、論理値“0”の出力信号S2を出力する。また、コンパレータ11は、論理値“0”の出力信号S1の出力を維持する。従って、論理回路13は、コンパレータ20の出力信号S3の論理値にかかわらず、論理値“1”の出力信号Q1を出力するとともに、論理値“0”の出力信号Q2を出力する。これにより、スイッチSW1がオン状態、スイッチSW2がオフ状態となり、バッテリー電圧VBが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0061】
以上のように、第2の実施形態に係る半導体装置10Aおよび電源ユニット100Aによれば、太陽電池60を優先使用する場合において、出力電圧VDDのレベルがソーラ電圧VSのレベルよりも大きい場合には、スイッチSW1およびスイッチSW2の双方がオフ状態とされる。これにより、キャパシタ16から太陽電池60への電荷の流れ込みを防止することができ、太陽電池60での意図しない電力消費を防止することができる。
なお、ソーラ電圧検出回路12については、ソーラ電圧VSのレベルが閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合に一定期間ソーラ電圧VSを供給しないように構成されているが、コンパレータ11及びコンパレータ20についても一定の電圧を超えたとしても出力電圧としてソーラ電圧VSを供給しないように構成しても良い。この場合にはコンパレータ11及びコンパレータ20をそれぞれ既存のヒステリシスコンパレータに変更することによって構成される。かかる構成により、閾値電圧VSOH近傍での切り替えノイズを低減しチャタリングを防止することができる。また、コンパレータ20については出力電圧VDDと比較する構成となるため、コンパレータ20については出力電圧VDDの変動をリアルタイムでモニタする必要があることからコンパレータ11のみをヒステリシスコンパレータとする構成であっても良い。
【0062】
また、半導体装置10Aおよび電源ユニット100Aによれば、第1の実施形態に係る半導体装置10および電源ユニット100と同様、ソーラ電圧VSのレベルが、閾値電圧VSOHのレベルよりも大きい場合には、太陽電池60が優先的に使用されるので、太陽電池60の使用率を高め、バッテリー50の消耗を抑制することができ、電源ユニット100A全体としての可用性を高めることができる。
【0063】
[第3の実施形態]
図10は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置10Bを含む、電源ユニット100Bの構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る半導体装置10Bは、コンパレータ(CMP3)および出力回路14を含んで構成され、第1の実施形態に係るコンパレータ11、ソーラ電圧検出回路12および論理回路13を備えていない。
【0064】
コンパレータ30は、非反転入力端子31、反転入力端子32および出力端子33を有する。非反転入力端子31は、半導体装置10Bの入力端子17に接続され、非反転入力端子31には、バッテリー電圧VBが入力される。反転入力端子32は、半導体装置10Bの入力端子18に接続されおり、反転入力端子32には、ソーラ電圧VSが入力される。
【0065】
コンパレータ30は、入力オフセットを有した状態でバッテリー電圧VBのレベルとソーラ電圧VSのレベルとを比較して、比較結果を示す出力信号S4を出力する。入力オフセットは、バッテリー電圧VBのレベルとソーラ電圧VSのレベルとが等しい場合に、ソーラ電圧VSのレベルがバッテリー電圧VBのレベルよりも大きいことを示す(本実施形態では論理値“0”)出力信号S4が出力されるように与えられている。すなわち、コンパレータ30は、
図10に示すように、非反転入力端子31に入力されるバッテリー電圧VBのレベルと、反転入力端子32に入力されるソーラ電圧VSにオフセット電圧Vosを加えた電圧のレベルと、を比較する。
【0066】
図11は、コンパレータ30の動作の一例を示す図グラフであり、横軸は時間であり縦軸は電圧レベルである。コンパレータ30は、ソーラ電圧VSにオフセット電圧Vosを加えた電圧VS1のレベルが、バッテリー電圧VBのレベルよりも小さい場合には、ハイレベル、すなわち論理値“1”の出力信号S4を出力する。一方、コンパレータ30は、ソーラ電圧VSにオフセット電圧Vosを加えた電圧VS1のレベルが、バッテリー電圧VBのレベルよりも大きい場合には、ローレベル、すなわち論理値“0”の出力信号S4を出力する。
【0067】
コンパレータ30の出力信号S4の論理値が“1”である場合、スイッチSW1がオン状態、スイッチSW2がオフ状態となり、バッテリー電圧VBが、出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。一方、コンパレータ30の出力信号S4の論理値が“0”である場合、スイッチSW2がオン状態、スイッチSW1がオフ状態となり、ソーラ電圧VSが出力電圧VDDとして出力端子19から出力される。
【0068】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置10Bおよび100Bによれば、コンパレータ30が上記の入力オフセットを有しているので、ソーラ電圧VSがバッテリー電圧VBよりも低い場合でも、ソーラ電圧VSが出力電圧VDDとして出力される。従って、入力オフセットを有しないコンパレータを使用する場合と比較して、太陽電池60の使用率を高めることができ、バッテリー50の消耗を抑制することができる。これにより、電源ユニット100B全体としての可用性を高めることができる。
【0069】
なお、コンパレータ30において、オフセット電圧Vosを可変に構成して入力オフセットのレベルを調整可能としてもよい。これにより、製造ばらつきに起因する入力オフセットのレベル変動を抑制することが可能となる。また、コンパレータ30の内部にオフセットを持たせてもよい。この場合は既存のヒステリシスコンパレータに変更することによって構成される。
【0070】
[第4の実施形態]
図12は、上記した第1〜第3の実施形態に係る電源ユニット100、100Aまたは100Bを含んで構成される、本発明の第4の実施形態に係る電子装置200の構成の一例を示す図である。電子装置200は、例えば、マイクロコンピュータ201および表示装置202等の機能部を含んでいてもよく、更に他の機能部を備えていてもよい。電子装置200は、例えば、通信端末装置、卓上型計算機、メディアプレーヤまたはディジタル時計などであってもよい。マイクロコンピュータ201および表示装置202は、電源ユニット100、100Aまたは100Bの出力端子19から出力される出力電圧VDDを電源として動作する。
【0071】
本実施形態に係る電子装置200によれば、太陽電池60の使用率を高めることができ、バッテリー50の消耗を抑制することができるので、バッテリー50の交換サイクルまたは充電サイクルを長くすることができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0072】
なお、上記の各実施形態においては、電源として、バッテリー50および太陽電池60を使用する場合を例示したが、この態様に限定されるものではない。本発明に係る半導体装置および電源ユニットにおいては、あらゆる形態および種類の電源を使用することが可能である。例えば、優先使用する電源を、太陽電池60に代えて直流安定化電源としてもよい。
【0073】
また、出力信号S1〜S4、Q、Q1およびQ2における論理値“0”および“1”の割り当ては、適宜変更することが可能であり、これに応じて、論理回路13の演算処理や、スイッチSW1およびSW2の各論理値に対する動作などを適宜変更することが可能である。