(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の画像取得方法およびイオンビーム装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のイオンビーム装置の構成の一例を示す模式的なシステム構成図である。
【0019】
図1に示す本実施形態のイオンビーム装置10は、ガラス板などの絶縁材料からなる基板上に金属パターンを有する試料に、イオンビームを照射して、金属パターンの加工を行なう。イオンビーム装置10が行なう加工の例としては、例えば、半導体素子などを製造する際に用いられるフォトマスクの修正が挙げられる。イオンビーム装置10は、マスクの欠陥を、例えば、スパッタエッチング、ガスアシストエッチングまたはガスアシストデポジションによって修正する。このような修正を行なうために、イオンビーム装置10は、本実施形態の画像取得方法に基づいて、試料の表面の画像を取得することができる。
イオンビーム装置10は、取得した画像から、金属パターンの欠陥を検出し、欠陥に対して修正を施すことができる。
【0020】
イオンビーム装置10は、試料室13、試料ステージ15(移動ステージ)、イオンビーム鏡筒11、検出器18、エッチングガス供給部16、デポジションガス供給部17、モニタ19(表示部)、および制御部20を備える。
【0021】
試料室13は、イオンビーム装置10によって修正が行なわれるマスク14(試料)を内部に収容する。試料室13には、図示略の真空排気装置が接続されており、内部の真空度を変えることができる。
試料室13の内部には、マスク14を移動可能に保持する試料ステージ15が配置される。試料室13において、試料ステージ15と対向する位置には、試料ステージ15に向かってイオンビームを照射するイオンビーム鏡筒11が配置される。本実施形態では、イオンビーム鏡筒11は、イオンビーム光学系の光学軸12が鉛直軸に平行になるように配置される。
【0022】
試料ステージ15は、イオンビーム鏡筒11からのイオンビームの照射方向に交差する平面内に載置面を有する。試料ステージ15の載置面にはマスク14が載置される。試料ステージ15は、載置されたマスク14を、少なくともイオンビームの照射方向に交差する平面内に移動可能に支持する。
図1に示すイオンビーム装置10では、一例として、試料ステージ15は、水平面内の互いに直交する2軸(以下、X軸、Y軸とする)に沿って独立に移動できる。
X軸およびY軸に直交する方向はZ軸と言う。試料ステージ15のZ軸は、本実施形態では、イオンビーム光学系の光学軸と同軸である。ただし、
図1のZ軸は見易さのため、光学軸からずれた位置に表示している。
【0023】
試料ステージ15は、X軸、Y軸に沿う並進運動以外の移動自由度を有してもよい。
本実施形態における試料ステージ15は、図示略のXYZ軸ステージ、ティルトステージ、および回転ステージの組み合わせで構成される5軸移動機構からなる。XYZ軸ステージは、上述のX軸、Y軸、Z軸の各軸方向に並進移動する。ティルトステージは、上述のX軸またはY軸回りに傾動する。回転ステージは、上述のZ軸回りに回転する。
本実施形態における試料ステージ15は、後述する制御部20と通信可能に接続される。試料ステージ15は、図示略の入力部またはモニタ19を介して入力される操作者からの動作指令によって動作する。さらに、試料ステージ15は、後述する制御部20が必要に応じて生成する動作指令に応じて動作してもよい。
【0024】
イオンビーム鏡筒11は、イオンビームを発生し、イオンビームを試料ステージ15上のマスク14に向けて照射する。
本実施形態におけるイオンビーム装置10は、マスクの修正も行なう。
イオンビーム鏡筒11は、イオンを発生するイオン源、イオン源で発生したイオンを集束するレンズ、イオンビームを試料面上で走査掃引する偏向器、イオンビームの一部を通過させる絞りなどを備えている。しかし、
図1では、これらの周知の内部構造の図示は省略されている。
イオン源の種類は、イオンを微細な直径に集束してイオンビームに形成できるイオン源であれば限定されない。イオンビームの集束性が良いほど像分解能の優れた画像を得るために好適である。
イオンビーム鏡筒11に好適に用いることができるイオン源の例としては、例えば、ガス電界電離イオン源、液体金属イオン源、プラズマイオン源などが挙げられる。
偏向器は、イオンを集束するイオンビーム光学系の光学軸に直交する面内において、イオンビームを偏向する。このため、走査平面(レンズの光軸と交差する平面)内における任意方向に、イオンビームを走査し、かつ掃引することができる。
【0025】
イオンビーム鏡筒11は、後述する制御部20と通信可能に接続される。イオンビーム鏡筒11には、制御部20からの制御信号に基づいて、イオンビーム電流値、イオンビームの走査方向や速度、および掃引方向や速度が設定される。イオンビーム鏡筒11は、これらの設定値にしたがってイオンビームの走査掃引動作を行なう。
【0026】
検出器18は、イオンビーム鏡筒11からのイオンビームが試料に照射されることによって発生する二次荷電粒子を検出する。本実施形態では、検出器18が検出する二次荷電粒子は、二次イオンおよび二次電子の少なくとも一方である。
検出器18は、試料室13内において試料ステージ15の斜め上方に配置される。
検出器18は、後述する制御部20と通信可能に接続される。検出器18は、検出出力を制御部20に送出する。
【0027】
エッチングガス供給部16は、マスク14上の金属パターン等の導電部の選択的な除去修正を行なう場合に、イオンビーム照射によるエッチングを促進し、試料上の特定箇所を選択的に除去するガス(エッチングガス)を供給する。
エッチングガスの例としては、例えば、ヨウ素などのハロゲン系のガスが挙げられる。
エッチングガス供給部16は、後述する制御部20と通信可能に接続される。エッチングガス供給部16は、制御部20からの制御信号に基づいてエッチングガスを供給する。
【0028】
デポジションガス供給部17は、マスク14上の金属パターンの形成あるいは欠損を修復する修正を行なう場合に、イオンビーム照射により試料上の特定位置に堆積膜を形成するガス(デポジションガス)を供給する。デポジションガスの例としては、例えば、炭素系ガス、シラン系ガス、タングステンなどの金属を含有した炭素系化合物ガスなどが挙げられる。
デポジションガス供給部17からマスク14上の修正箇所に、デポジションガスを吹きつけながら、窒素などのイオンビームを照射することで、例えば、炭素、酸化シリコン、白金、またはタングステンなどの膜をマスク14上に形成可能である。これにより欠陥が修正されたマスクは、露光されても欠陥を転写することなく、正常にパターンを転写することができる。
【0029】
モニタ19は、後述する制御部20と通信可能に接続される。モニタ19は、制御部20から送出される画像情報に基づく画像を表示する。
後述する制御部20から送出される画像情報には、後述する本実施形態の画像取得方法によって検出器18の検出出力から得られたマスク14の画像取得領域の画像データに基づく画像が含まれる。
モニタ19が表示する他の画像の例としては、イオンビーム鏡筒11、試料ステージ15などのイオンビーム装置10の装置部分を動作させる操作条件を入力する画面(操作入力画面)と、イオンビーム装置10の動作状態を示す画面とが挙げられる。
【0030】
制御部20は、イオンビーム装置10の各装置部分の動作を制御する。
制御部20は、少なくとも、マスク14の修正動作(以下、単に修正動作と言う)に関する制御と、イオンビームによるマスク14の画像取得動作(以下、単に画像取得動作と言う)に関する制御とを行なう。
例えば、制御部20は、イオンビーム鏡筒11およびエッチングガス供給部16の動作を制御することによって、イオンビームによる除去修正を行なう。これによりエッチングガスを導入しない場合に比べて、マスクパターンの高速加工または所望の材料のみを選択的に除去可能である。
例えば、制御部20は、イオンビーム鏡筒11およびデポジションガス供給部17の動作を制御して、イオンビームによるデポジション修正を行なう。
マスク14に対してデポジションガス供給部17から白金、タングステンなどの有機金属ガスなどを吹きつけながら、イオンビームを照射することで、ガス成分の元素を堆積させることができる。例えば、金属パターンの欠け部に対しては、デポジションガス供給部17からピレン、ナフタレン、フェナントレンなどのカーボンガス、またはテトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)などのシラン系ガスを吹きつけながら、イオンビームを照射し、欠け部をカーボン膜やシリコン酸化膜で埋めることができる。
【0031】
修正動作および画像取得動作のいずれの場合にも、制御部20はモニタ19の表示制御を行なう。制御部20は、モニタ19に操作入力画面を表示し、操作入力画面を介してイオンビーム装置10に対する操作者の操作入力を受け付ける。
【0032】
制御部20は、イオンビーム鏡筒11、検出器18、およびモニタ19の動作を制御することによって、画像取得動作を行なう。画像取得動作は、後述する本実施形態の画像取得方法に基づく。
以下では、画像取得動作に関係する制御部20の主要な機能構成について、
図2を参照して簡単に説明する。
各機能構成の動作に関わる詳細については、後述するイオンビーム装置10の全体動作の中で説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態のイオンビーム装置の制御部の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、制御部20は、イオンビーム照射制御部21、画像データ生成部23、記憶部24、演算処理部25、および表示制御部26を備える。
【0034】
イオンビーム照射制御部21は、イオンビーム鏡筒11によるイオンビーム照射動作を制御するとともに、イオンビームの照射動作に同期して、イオンビーム装置10内の各装置部分の動作を制御する。
このため、イオンビーム照射制御部21は、イオンビーム鏡筒11、画像データ生成部23、および演算処理部25と通信可能に接続される。
【0035】
画像取得動作において、イオンビーム照射制御部21は、イオンビームの走査領域を設定する。
図3は、本発明の第1の実施形態のイオンビーム装置による画像取得領域と走査領域の一例を示す模式図である。
図3に示すように、画像取得領域Pはマスク14においてモニタ19に表示する矩形状の領域である。画像取得領域Pは、点Pa、Pb、Pc、Pdを頂点とする矩形である。点Pa、Pb、Pc、Pdは、図示時計回りにこの順に配置されている。以下、点Paと点Pbとの間の辺(あるいは点Pdと点Pcとの間の辺)に平行な軸線をx軸、点Pdと点Paとの間の辺(あるいは点Pcと点Pbとの間の辺)に平行な軸線をy軸と言う。
x軸、y軸は、イオンビーム鏡筒11の2軸の偏向方向に対応する。
イオンビームの走査領域SA1は、点Sa1、点Pb、点Sc1、点Pdを頂点とする平行四辺形である。点Sa1は、点Pd、点Paを通る直線の延長線上において、点Paに隣り合う点である。点Sc1は、点Pb、点Pcを通る直線の延長線上において、点Pcに隣り合う点である。
点Pdと点Sc1との間の辺(あるいは点Sa1と点Pbとの間の辺)がy軸となす交差角はy軸から測って+θ(ただし、0°<θ<90°)である。ここで、交差角の符号は、図示反時計回りが正、図示時計回りが負である。
画像取得領域Pは、正方形でも長方形でもよい。画像取得領域Pが、正方形の場合には、交差角θは例えば45°とする。
画像取得領域Pが長方形の場合、走査領域SA1の外形は、平行四辺形の一種である菱形でもよい。
【0036】
走査領域SA1におけるイオンビームの走査方向は、図示矢印で示すように、点Sa1から点Pbに向かう方向である。このため、イオンビームの各走査線は、x軸およびy軸に対して斜めに交差する。
各走査線が点Sa1と点Pbとの間の辺に平行であるため、各走査線の長さ(走査幅)は互いに等しい。
走査領域SA1におけるイオンビームの掃引方向は、y軸に沿う方向である。例えば、点Sa1から点Pdに向かう方向でもよいし、その反対方向でもよい。
上述した走査領域SA1内を、点Sa1から点Pbに向かう方向に走査する走査パターンを走査パターンSp1と言う。
【0037】
後述するように、本実施形態では、イオンビーム照射制御部21は、走査領域SA1以外に、さらに3つの走査領域を設定する。各走査領域において、イオンビームの走査方向を反転することにより、走査パターンSp1の他に、後述する7種類の走査パターンが得られる。
イオンビーム照射制御部21は、8種類の走査パターンによってイオンビームの走査掃引動作を制御する。
【0038】
イオンビーム照射制御部21は、各走査パターンにおけるイオンビームの出力を決めるイオンビーム電流値を制御する。本実施形態では、イオンビーム電流値は、イオンビーム装置10の操作画面を介して、マスク14の種類などに応じて操作者が適正なイオン照射量(ドーズ量)に基づいて適宜値に設定することができる。イオンビーム電流値は、走査パターンの種類あるいは数に応じて適宜設定できる。
各走査パターンに対するイオンビーム電流は、次のように設定する。もともと帯電の影響を受けない領域で、良好な画像を得るためのイオンビーム照射量D(ドーズ量。単位面積当たりのイオン数)は、操作者が経験的に把握している。複数の各走査パターンの各々に対して同じDと設定すると、走査掃引領域へのイオンビーム照射量は過剰となる。このため、各走査パターンに対するイオンビーム照射量dは、上記Dを走査パターンの数N(本実施形態ではN=8)で除した値となるようにイオンビーム電流量、掃引回数を設定する。
本実施形態では、イオンビーム照射制御部21には、設定可能な走査パターンと、マスク14の種類に応じた電流値Iとが予め記憶されている。
本実施形態では、デフォルトで使用される走査パターンの個数Nは8である。
【0039】
イオンビーム照射制御部21は、各走査パターンにおいて、始点から終点に向けてイオンビームが走査するように偏向器を制御し、1つの走査が終点に達すると、イオンビーム走査をブランキングする。ブランキングとは、1つの走査線の走査終了から次の走査線の走査開始までの間、イオンビームが試料に到達しないように偏向制御することをいう。
ブランキング後、イオンビーム照射制御部21は、最初の始点位置からわずかに掃引方向に移動した新たな始点から最初の走査線と平行かつ同じ走査幅でイオンビームの走査を行なう。イオンビーム照射制御部21は、このような制御を繰り返すことで、1つの領域全域に対してイオンビームの走査掃引動作を行なわせる。
【0040】
イオンビーム照射制御部21は、各走査パターンにおける、最初の走査線の走査開始と、最後の走査線の走査終了のタイミングを後述する画像データ生成部23に通知する。
イオンビーム照射制御部21は、画像取得領域Pの画像取得するためのすべての走査パターンにおける走査掃引が終了すると、すべての走査掃引が終了したことを後述する演算処理部25に通知する。
【0041】
画像データ生成部23は、検出器18、後述するイオンビーム照射制御部21、および記憶部24と通信可能に接続される。
画像データ生成部23は、検出器18から検出出力を受信する。画像データ生成部23には、イオンビーム照射制御部21から1つの走査パターンの走査開始および走査終了のタイミングが通知される。画像データ生成部23は、1つの走査パターンの走査開始から走査終了までの検出出力に基づいて画像データを生成する。このため、画像データ生成部23は、複数の走査パターンごとの各走査領域における画像データ(以下、走査領域画像データと言う)を生成する。
画像データ生成部23は、生成した各走査領域画像データを記憶部24に保存する。
【0042】
演算処理部25は、イオンビーム照射制御部21、記憶部24、および表示制御部26と通信可能に接続される。
演算処理部25は、イオンビーム照射制御部21から、すべての走査掃引が終了したことが通知されると、画像取得領域Pの画像データの生成を開始する。
演算処理部25は、記憶部24に保存された1つの画像取得領域Pに関する一連の走査領域画像データを解析して、走査領域画像データ間の位置ズレ量を検出する。演算処理部25は、必要に応じて走査領域画像データにおける位置ズレ量を補正する。
演算処理部25は、必要に応じて位置ズレ量を補正した後の各走査領域画像データを合成し、合成された走査領域画像データから、画像取得領域Pにおける画像データ(以下、画像取得領域画像データと言う)を抽出する。
演算処理部25は、抽出された画像取得領域画像データを表示制御部26に送出する。
【0043】
表示制御部26は、画像取得動作において、演算処理部25から送出される画像取得領域画像データをモニタ19に表示する。
【0044】
制御部20の装置構成は、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などからなるコンピュータからなり、これにより上記のような制御信号を生成する適宜の制御プログラムが実行されるようになっている。
【0045】
次に、イオンビーム装置10の動作について、本実施形態の画像取得方法に関する動作を中心として説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態の画像取得方法のフローを示すフローチャートである。
【0046】
イオンビーム装置10によって、マスク14の画像を取得するには、
図4に示すステップS1〜S4を実行する。
ステップS1は、試料であるマスク14を観察位置に配置する動作を含むステップである。
操作者は試料ステージ15上にマスク14を配置する。操作者は、モニタ19から操作入力を行なって、マスク14をイオンビーム鏡筒11に対して位置合わせする。
ここで、マスク14の配置例について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態のイオンビーム装置によって画像取得する基板の例を示す模式的な平面図である。ただし、
図5は、マスク14の表面のうち、画像取得領域P内の表面の様子を示す。
【0047】
図5に示すように、マスク14の表面には、マスク14の用途に応じて種々のマスクパターンが形成されている。
図5に示すように、マスク14の一部には、ガラス板31(絶縁部、絶縁性基板)上に、互いに平行な複数の金属ラインパターン30(導電パターン、導電部)によってライン・アンド・スペースのパターンが形成される。金属ラインパターン30は導電部であり、金属ラインパターン30に挟まれる領域はガラス板31が露出した絶縁部(スペース)である。
各金属ラインパターン30の線幅方向の両端部には、絶縁部との境界部に直線状に延びるエッジ部30aが形成される。
絶縁部上には、各金属ラインパターン30から離間した孤立パターン32(導電パターン、導電部)が形成されている。孤立パターン32は、正常なパターンまたは意図せず形成された欠陥である。
【0048】
図5に示すような金属ラインパターン30を含む画像を取得する場合、エッジ部30aが画像取得領域Pのx軸またはy軸に平行になるように、マスク14を配置する。
図5(a)では、一例として、エッジ部30aがy軸に平行に配置されている。
金属ラインパターン30は、パターン設計上、他の部位で90°または45°に屈曲する場合があるが、この場合、屈曲する部位および屈曲する方向は予め知られている。金属ラインパターン30の延在方向は、マスク14の外形あるいはマスク14内に形成されたアライメントマークなどに対して予め知られた位置関係を有する。
まず、操作者は、試料ステージ15のXY平面上の配置基準に対してマスク14の外形あるいはアライメントマークを適宜方向に合わせて、マスク14を試料ステージ15に載置する。この後、操作者は、予め知られたイオンビーム偏向方向のx軸またはy軸の方向に一致するよう、試料ステージ15をZ軸回りに回転調整する。
この後、操作者は、試料ステージ15を駆動して、マスク14の表面が予め知られたイオンビーム鏡筒11の焦点面に位置するように、Z軸方向の位置調整を行なう。もしくは、イオンビームの焦点をマスク面に合わせる。
この後、操作者は、試料ステージ15をXY平面内で移動して、マスク14を観察すべき部位をイオンビームの観察位置の直下に移動する。
このようにして、
図5(a)示すように、マスク14が観察位置に配置される。
【0049】
半導体製造に用いるマスクでは、直角部を有する矩形から成る金属ラインパターン30が大半であるので、一部の金属ラインパターン30をy軸に平行に位置合わせすれば、これと直交する方向に延びる他の金属ラインパターンは、x軸に平行に位置合わせされる。
【0050】
以下の動作説明では、特に断らない限り、
図5(a)に示す画像取得領域P内の画像取得を行なう例で説明する。
【0051】
ステップS1が終了したら、
図4に示すように、ステップS2を行なう。
本ステップは、走査パターンを変えて走査領域ごとの画像データを複数取得する動作を含むステップである。
本ステップの具体的な動作を説明する前に、本実施形態で使用される走査パターンについて説明する。
図6(a)、(b)、(c)、
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第1の実施形態の画像取得方法における走査パターンの例を示す模式図である。
【0052】
図6(a)に示す走査パターンSp2は、上述した走査パターンSp1(
図3参照)において、イオンビームの走査方向が反転された点のみが異なる。走査パターンSp2における走査方向は、点Pbから点Sa1に向かう方向である。
【0053】
図6(b)に示す走査パターンSp3は、走査パターンSp1を図示左右(x軸方向)に反転したことに相当する走査パターンである。
走査パターンSp3の走査領域SA2は、点Pa、点Sb2、点Pc、点Sd2を頂点とする平行四辺形である。点Sb2は、点Pc、点Pbを通る直線の延長線上において、点Pbに隣り合う点である。点Sd2は、点Pa、点Pdを通る直線の延長線上において、点Pdに隣り合う点である。
点Paと点Sb2との間の辺(あるいは点Sd2と点Pcとの間の辺)がy軸となす交差角はy軸から測って−θである。
イオンビームの走査方向は、図示矢印で示すように、点Sb2から点Pdに向かう方向である。
【0054】
図6(c)に示す走査パターンSp4は、走査パターンSp3において、イオンビームの走査方向が反転された点のみが異なる。
走査パターンSp4は、走査パターンSp2を図示左右(x軸方向)に反転したことに相当する走査パターンである。
【0055】
図7(a)に示す走査パターンSp5は、走査パターンSp4が図示反時計回りに90°回転されたことに相当する走査パターンである。
走査パターンSp5の走査領域SA3は、点Sa3、点Pb、点Sc3、点Pdを頂点とする平行四辺形である。点Sa3は、点Pa、点Pbを通る直線の延長線上において、点Paに隣り合う点である。点Sc3は、点Pd、点Pcを通る直線の延長線上において、点Pcに隣り合う点である。
点Sa3と点Pdとの間の辺(あるいは点Pbと点Sc3との間の辺)がy軸となす交差角はy軸から測って+θである。
イオンビームの走査方向は、図示矢印で示すように、点Pdから点Sa3に向かう方向である。
【0056】
図7(b)に示す走査パターンSp6は、走査パターンSp5において、イオンビームの走査方向が反転された点のみが異なる。
【0057】
図7(c)に示す走査パターンSp7は、走査パターンSp6が図示上下(y軸方向)に反転されたことに相当する走査パターンである。
走査パターンSp7の走査領域SA4は、点Pa、点Sb4、点Pc、点Sd4平行四辺形である。点Sd4は、点Pc、点Pdを通る直線の延長線上において、点Pdに隣り合う点である。点Sb4は、点Pa、点Pbを通る直線の延長線上において、点Pbに隣り合う点である。
点Sa3と点Pdとの間の辺(あるいは点Pbと点Sc3との間の辺)がy軸となす交差角はy軸から測って−θである。
イオンビームの走査方向は、図示矢印で示すように、点Sd4から点Paに向かう方向である。
【0058】
図7(d)に示す走査パターンSp8は、走査パターンSp7において、イオンビームの走査方向が反転された点のみが異なる。
【0059】
ここで、各走査パターンの重なり方について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態の画像取得方法の製造方法における走査パターンの重なり方を示す模式図である。
【0060】
図8に示すように、走査パターンSp1、…、Sp8は、すべて画像取得領域Pを覆うため、画像取得領域Pは、合計8種の走査パターンが重なる。図中の枠内に記載の各数字は走査パターンの重なり数を示す。画像取得領域Pの外側では、4種が重なる三角形状の領域(例えば、点Pa、点Pb、点m1を頂点とする三角形等)が4箇所に、2種が重なる三角形状の領域(例えば、点Sa1、点Pa、点m1を頂点とする三角形等)が8箇所に形成される。
このように、本実施形態では、画像取得領域Pがイオンビームによって多方向に最大8種の走査パターンについて多重に走査掃引される。しかし、画像取得領域P外は、イオンビームの走査掃引の重なりが少ないため、イオンビーム照射による試料面の損傷は少ない。
【0061】
ステップS2において、走査パターンSp1、…、Sp8の走査掃引の実行順序は特に限定されない。以下では、一例として、走査パターンSp1、…、Sp8の順に走査掃引が実行される。
本ステップは、モニタ19を介して操作者が画像取得領域を指定して、画像取得を開始する操作入力を行ない、制御部20がこの操作入力を受け付けることによって開始される。
この操作入力において、操作者は、パターンとイオンビーム走査の交差角、走査パターンの種類、個数、イオンビーム電流値を指定してもよい。
操作者の指定がなければ、制御部20のイオンビーム照射制御部21は、デフォルトで走査パターンSp1、…、Sp8を用いる設定を行なう。また、イオンビーム照射制御部21は、各走査掃引におけるイオンビーム電流値を自動設定する。
【0062】
まず、イオンビーム照射制御部21は、イオンビーム鏡筒11に走査パターンSp1に基づく動作指令を送出する。同時に、イオンビーム照射制御部21は、画像データ生成部23に走査掃引の開始を通知する。
【0063】
イオンビーム鏡筒11は、走査パターンSp1に基づいて、マスク14上にイオンビームを走査掃引する。
ここで、イオンビームの走査方向である第1の方向は、走査領域SA1において点Sa1から点Pbに向かう方向である。イオンビームの掃引方向である第2の方向はy軸方向である。第2の方向は第1の方向と斜めに交差する。
【0064】
イオンビームがマスク14に照射されると、照射部から二次荷電粒子、例えば二次電子が放射される。
検出器18は、二次荷電粒子を検出すると、検出出力を画像データ生成部23に逐次送出する。
走査掃引の開始を通知された画像データ生成部23は、検出器18から送出される検出出力に基づいて画像データの生成を開始する。
【0065】
イオンビームは、対象とする領域に走査掃引される。
照射領域に絶縁部があると、絶縁部は帯電する。しかし、帯電した電荷の一部は、ブランキング中に隣接する導電部を通じて拡散などして減少する。ブランキング時間が長いと帯電量は少なくなるが、無意味に長いと所望の領域の観察や加工時間が長くなり好ましくない。逆に、ブランキング時間が短いと、直前の帯電が減少しないうちに次のイオンビーム走査によって帯電が重畳され、帯電量が増える。また、イオンビーム走査ごとにブランキング時間が不均一な場合や、イオンビーム走査時間が各走査線ごとに異なる場合には、画像形成領域全体で帯電が不均一となり、取得した画像に斑が生じる。このため、所定の領域に対して適正な一定の走査時間と適正な一定のブランキング期間とを設定して等幅走査となるようにイオンビーム制御することが重要である。
従って、画像取得領域が矩形(正方形または長方形)の場合、矩形の1辺に対して傾斜する斜辺と、上記1辺に隣接する2辺を有する平行四辺形が最適形状となる。
【0066】
イオンビーム照射制御部21は、走査パターンSp1に基づく走査掃引が終了すると、画像データ生成部23に走査掃引の終了を通知する。
走査掃引の終了を通知された画像データ生成部23は、画像データの生成を終了する。生成された画像データは走査パターンSp1による走査領域SA1の範囲の画像データである。以下、この画像データを走査領域画像データGs1と言う。画像データ生成部23は、走査領域画像データGs1を記憶部24に保存する。
このようにして、1回目の走査掃引による走査領域画像データGs1の取得が終了する。
【0067】
走査領域画像データGs1が保存された後、イオンビーム照射制御部21は、走査パターンSp1を走査パターンSp2に代える点を除いて、上記と同様の制御を行なう。
本実施形態では、イオンビーム照射制御部21は、1つの走査パターンに基づく走査掃引が終了し、画像データ生成部23による走査領域画像データの保存が終了すると直ちに次の走査掃引のための制御を行なう。
このような動作を繰り返すことによって、走査パターンSp8に基づく走査掃引が終了すると、記憶部24に、走査領域画像データGs1、…、Gs8が保存されている。
イオンビーム照射制御部21は、走査パターンSp8の走査掃引が終了すると、すべての走査掃引が終了したことを演算処理部25に通知する。
以上で、ステップS2が終了する。
【0068】
ステップS1の実行後、金属ラインパターン30のエッジ部30aは、y軸に平行に位置合わせされている。
このため、ステップS2における各走査パターンに基づく各走査掃引動作は、イオンビームを用いて、エッジ部30aに斜めに交差する第1の方向における等幅走査と、第1の方向と交差する第2の方向への掃引とを行なって、画像取得領域Pよりも広い平行四辺形状の走査領域にイオンビームを照射する第1の動作を含む。
なお、1つの走査パターンに対する掃引は1回でも複数回でもよい。
さらに、これらの第1の動作は、等幅走査の走査方向および掃引の掃引方向の少なくとも一方を変えるともに、画像取得領域Pにおけるイオンビームの照射量の総量がほぼ同面積の領域に対する適正な画像を得るための、操作者または制御部が予め知っている照射量になるように前記イオンビームの電流、掃引回数が設定して行なわれる。
第2の動作は、複数回行なわれる第1の動作の後にその都度行なわれる。
また、ステップS2には、イオンビームを照射することによって発生する二次荷電粒子を検出することによって走査領域画像データGs1を生成する第2の動作が含まれる。
【0069】
ここで、ステップS3について説明する前に、ステップS2における走査掃引の作用について説明する。
図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の画像取得方法における走査掃引の作用を説明する模式図である。
【0070】
ステップS2における各走査掃引は、走査パターンSp1、…、Sp8に基づいて行なわれる。
図9(a)に実線の矢印で走査方向を示すように、画像取得領域Pにおいて、いずれの場合の走査方向もy軸に対して交差角±θで斜めに交差する。このため、第1の方向であるy軸方向に延びるエッジ部30aとも、交差角±θで斜めに交差する。
孤立パターン32を走査するイオンビームは、隣り合う一方の金属ラインパターン30のエッジ部30aを横断してから、絶縁部であるガラス板31の表面を通過して、孤立パターン32に到る。孤立パターン32を通過するイオンビームは、孤立パターン32を出てガラス板31の表面を通過し、隣り合う他方の金属ラインパターン30のエッジ部30aを横断して金属ラインパターン30に到る。
【0071】
マスク14の絶縁部は、イオンビームの走査を受けると帯電する。ブランキング時間に応じて帯電電荷は減少するが、ある程度の電荷は残る。
イオンビームが残留する帯電電荷の影響を受けにくくするには、イオンビームが導電部を通過する前後で絶縁部を通る距離をなるべく短くする必要がある。
図9(a)の場合、孤立パターン32を通過する走査線における絶縁部の通過長さを最小にできるのは、x軸に沿う走査方向(図示の破線の矢印参照)である。
これに対して、図示の二点鎖線の矢印で示すように、y軸に沿う走査方向では、孤立パターン32を通過する走査線は、導電部としての孤立パターン32を通過する以外は、絶縁部上を走査する。孤立パターン32が微小パターンの場合、絶縁部の通過長さは、画像取得領域Pのy軸方向の幅と略同じになる。
このため、絶縁部の帯電電荷の影響が大きくなり、孤立パターン32の画像が変形したり、確認できなかったりする。
【0072】
本実施形態では、エッジ部30aと走査線との交差角が±45°であるため、絶縁部の通過長さは、走査方向がx軸方向の場合の1.4倍程度である。
例えば、金属ラインパターン30のライン間隔をw、画像取得領域Pの各辺の長さをW(ただし、W>w)、孤立パターン32の各辺の大きさをΔ(ただし、Δ<w)とする。図示破線の走査方向では、絶縁部を通過する距離がw−Δであるため、本実施形態の各走査方向では、絶縁部を通過する距離は1.4×(w−Δ)になる。これに対して、図示二点鎖線の走査方向では、絶縁部を通過する距離がW−Δとなる。このため、1.4×w<Wであれば、本実施形態の走査の方が、絶縁部を通過する距離が大幅に小さくなる。この条件は、金属ラインパターン30に対する画像取得領域Pの大きさを適宜設定することによって満足することができる。
このように、本実施形態のように、イオンビームをy軸に対して斜め方向に走査することによって、走査方向がy軸方向である場合に比べて、帯電電荷の影響を低減できる。
【0073】
本実施形態の走査パターンは、y軸方向に延びる導電部とx軸方向に延びる導電部とが、1つのマスク14に混在する場合に特に好ましい。
図9(b)は、画像取得領域Pとして、x軸方向に延びる金属ラインパターン34(導電パターン、導電部)が存在する場合の例を示す。
この場合、上記と同様の理由で、走査方向がx軸方向のとき(図示破線矢印参照)帯電電荷の影響が最大になる。例えば、
図9(a)における金属ラインパターン30に対して走査方向を最適化して走査方向をx軸方向に選ぶと、
図9(b)のような画像取得領域Pでは良好な画像を取得できなくなる。このため、画像取得領域Pごとに、導電部のパターンの向きを調べて、それに応じて、走査方向を変更する必要が生じる。
ところが、本実施形態によれば、
図9(a)、(b)いずれの場合でも、帯電電荷の影響は少なく、かつ同程度に収まる。このため、導電部のパターンの向きを詳しく調べて走査方向を設定するステップを省いて、良好な画像を容易に取得できる。この結果、画像観察に要する作業時間を短縮することができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、1つの走査パターンにおけるイオンビーム照射量は、本来1回の走査掃引で画像を取得する際に必要なイオンビーム照射量Dの1/Nとする。
このように照射するイオンビーム電流値(又はドーズ量)が少なくなると、二次荷電粒子の検出量が低下するため、画像のコントラストはある程度低下する。
しかし、1つの走査パターンに基づく走査掃引における帯電量も低下するため、絶縁部における帯電電荷によるイオンビームへの影響も低下する。
つまり、各走査領域画像データは、低コントラストであっても、導電部の配置をより忠実に再現する画像データになる。
【0075】
ステップS2の後、ステップS3を行なう。本ステップは、走査領域画像データGs1、…、Gs8に基づく画像データを合成する動作を含むステップである。
本ステップは、イオンビーム照射制御部21からすべての走査掃引が終了したことが通知されると、演算処理部25によって開始される。
演算処理部25は、本ステップにおいて、位置ズレ量検出動作(第5の動作)、位置ズレ量補正動作(第6の動作)、および画像合成動作(第3の動作)を、この順に行なってもよい。
【0076】
位置ズレ量検出動作では、演算処理部25は、少なくとも、ステップS2で行なわれた最初の走査掃引で生成された走査領域画像データGs1に対する最後の走査掃引で生成された走査領域画像データGs8の位置ズレ量を検出する。
【0077】
上述したように、本実施形態では、1回の走査掃引当たりの帯電電荷は低い。しかし、走査掃引を繰り返すため、マスク14の表面には次第に帯電電荷が蓄積する。このため、帯電電荷の蓄積量によっては、画像取得領域Pを走査掃引するイオンビームが全体として帯電電荷の影響を受けて曲げられるおそれがある。この結果、生成された走査領域画像データの位置が、xy平面内でドリフト(位置ズレ)する場合がある。また、試料ステージのドリフトなど機械的な微動で取得画像がズレる場合がある。
図10は、位置ズレした画像の一例を示す模式図である。
【0078】
例えば、
図10に示す画像例では、二点鎖線で示す走査領域画像データGs1に対して走査領域画像データGs8が、全体としてx軸の正方向(図示右側)に、距離dだけ平行移動している。
このような画像の位置ズレは一例であり、位置ズレ量(大きさと方向)は、マスク14の帯電量、マスク14のマスクパターン、イオンビームの照射量などによっても異なる。
【0079】
演算処理部25は、各走査領域画像データの比較によって、相対的な位置ズレ量を検出する。
具体的には、本実施形態では、走査領域画像データ同士の同一部位を表す特徴部分の位置を特定し、xy平面における画像の位置ズレ量を検出する。
位置ズレ量の検出に用いる走査領域画像データの特徴部分としては、欠陥を有しないと見なしうるエッジ部、角部などが挙げられる。本実施形態の走査領域画像データは、帯電電荷の影響が少ないため形状再現性が高い。ただし、欠陥部分の形状を特徴抽出することによって、位置ズレ量を検出してもよい。
さらに、走査領域画像データの一部の特徴部分のみではなく、画像取得領域P内の画像全体の画像マッチングによって画像の位置ズレ量を検出してもよい。
【0080】
最後の走査掃引による走査領域画像データGs8と走査領域画像データGs1との画像比較によって検出される位置ズレ量は、位置ズレ量の大きさが最大となる可能性が高い。以下では、この位置ズレ量を全体の位置ズレ量と言う。
演算処理部25が検出する位置ズレ量は、全体の位置ズレ量には限定されない。
例えば、走査領域画像データGs8と、走査領域画像データGs2、…、Gs7のうち1以上の走査領域画像データと、走査領域画像データGs1との画像比較によって、複数の位置ズレ量を検出してもよい。
以下、走査領域画像データGs2、…、Gs7のうち1以上の走査領域画像データと、走査領域画像データGs1との画像比較による位置ズレ量は、部分位置ズレ量と言う。
【0081】
本実施形態では、演算処理部25は、一例として、全体の位置ズレ量のみを検出する。画像データの特報部分としては、正常と見なしうるエッジ部の位置ズレから位置ズレ量を求める。例えば、
図10の場合、走査領域画像データGs1、Gs8におけるエッジ部30aのx軸正方向における移動量dを全体の位置ズレ量として検出する。
【0082】
位置ズレ量補正動作では、演算処理部25は、位置ズレ量検出動作で検出された位置ズレ量に基づいて、走査領域画像データGs1、…、Gs8の位置ズレ量を必要に応じて補正する。本実施形態では、位置ズレ量の基準となる走査領域画像データGs1の位置ズレ量は0と見なすため、補正は行なわれない。
【0083】
位置ズレ量検出動作において、全体の位置ズレ量のみを検出する場合、演算処理部25は、走査領域画像データごとの位置ズレ量の補正は、全体の検出量を各走査領域画像データの位置ズレ量として配分する。配分の仕方は、比例配分でもよいし、位置ズレの変化特性が知られている場合には、位置ズレの変化特性に応じて非線形に配分してもよい。
位置ズレ量検出動作において、1以上の部分位置ズレ量を検出する場合、演算処理部25は、全体の位置ズレ量と、部分位置ズレ量とを用いた補間演算によって、各走査領域画像データの位置ズレ量を算出する。
【0084】
本実施形態では、全体の位置ズレ量dを等分して、走査領域画像データGs2、…、Gs7の位置ズレ量を補正する。具体的には、演算処理部25は、走査領域画像データGsi(i=1、…、8)を、(i−1)d/7だけ、x軸負方向に移動する。移動後の各画像データは、走査領域画像データgs1、…、gs8で表す。
演算処理部25は、走査領域画像データgs1、…、gs8を記憶部24に保存する。
なお、上述の説明では、走査画像領域(画像取得領域P)のズレ量に注目していたが、これに限定されることはなく、予め画像取得領域P近傍の特徴的な形状(参照パターン)を決めておき、各走査パターンの走査掃引のたびに、参照パターンの画像も取得し、この参照パターンのズレ量から画像取得領域のズレ量を把握してもよい。
以上で、位置ズレ量検出動作および位置ズレ量補正動作が終了する。
【0085】
この後、演算処理部25は、画像合成(画像の重ね合わせ。積算)動作を行なう。
画像合成動作では、演算処理部25は、走査領域画像データGs1,…、Gs8が補正された走査領域画像データgs1、…、gs8を合成する。走査領域画像データgs1、…、gs8は、それぞれ走査領域画像データGs1,…、Gs8に基づく画像データである。
演算処理部25は、記憶部24に記憶された走査領域画像データgs1、…、gs8から、それぞれ画像取得領域Pの範囲の画像データを読み出して、加え合わせる演算処理を行なう。これにより、演算処理部25は、画像取得領域Pのサイズの画像取得領域画像データGPを生成する。
演算処理部25は、生成した画像取得領域画像データGPを記憶部24に保存する。
以上で、画像合成動作が終了し、ステップS3が終了する。
【0086】
走査領域画像データgs1、…、gs8は、イオンビーム照射量D/8によるイオンビームの照射で取得されるため、それぞれの信号強度も約1/8になり、それぞれのSN比は低い。
しかし、本実施形態では、上述したように、マスク14の帯電の影響による形状の変形等が低減される。このため、走査領域画像データgs1、…、gs8は、位置情報に関しては高強度で1回の走査掃引を行なって得られる画像よりも正確な画像データである。
さらに、本実施形態では、走査領域画像データgs1、…、gs8において位置ズレ量が補正されている点でも、位置情報に関してより正確な画像データが加算される。
これらの走査領域画像データが加算されることによって、画像取得領域画像データGPは、高強度で1回の走査掃引を行なって得られる画像と同様の信号強度が得られ、鮮明な画像になる。
合成される走査領域画像データgs1、…、gs8は、複数の走査方向で取得されるため、帯電電荷によるノイズが現れる場合に、現れ方が走査方向によって異なる。この結果、正しい画像データのように加算されることがないため、画像取得領域画像データGPの中で低強度の画像データになる。このため、画像取得領域画像データGPのSN比は、個々の走査領域画像データに比べて大きくなる。
【0087】
以上、演算処理部25が走査領域画像データに施す演算処理として、走査領域画像データ間の加算による合成演算の例で説明した。演算処理部25は、走査領域画像データを合成する前に、走査領域画像データに対する他の演算処理を行なってもよい。例えば、演算処理部25は、画像強調処理、平均化処理、ノイズ除去処理などの演算処理を行なってもよい。
【0088】
ステップS3の後、ステップS4を行なう。本ステップは、画像取得領域画像データGPを表示する動作(第4の動作)を含むステップである。
演算処理部25は、記憶部24に保存した画像取得領域画像データGPを、表示制御部26に送出する。表示制御部26は、画像取得領域画像データGPに基づく画像をモニタ19に表示する。
以上で、ステップS4が終了する。
操作者は、モニタ19に表示された画像によって、画像取得領域P内の欠陥の有無を判断し、必要に応じて、修正動作を開始することができる。
【0089】
ステップS4の終了後、操作者は、試料ステージ15を用いて、マスク14をXY平面内で移動することによって、マスク14の他の部位における画像を上記と同様にして、取得することができる。
ただし、マスク14の画像取得領域Pの大きさ範囲において、導電部のエッジ部が走査方向に揃っている部位がないことが分かっている場合がある。この場合には、操作者は、上記ステップS1を省略し、ステップS2から開始することができる。
例えば、半導体製造に用いるマスクのマスクパターンのエッジ部は、互いに直交する方向に延びている場合がほとんどである。このため、例えば、ステップS1において、エッジ部の方向をy軸合わせれば、これと直交する他のマスクパターンの部位では、エッジ部の方向がx軸方向に合っているため、再度のZ軸周りの回転による位置調整は不要である。
このため、ステップS1を繰り返さなくてもよいため、迅速な画像取得を行なうことができる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態では、マスク14における直線状のエッジ部に斜めに交差する方向に走査し、また、走査方向を違えて複数回掃引して、各々の走査パターンで得た画像データを積算するため、孤立パターン32を通過する際に、長い絶縁部をイオンビーム走査することが低減できるため、帯電の影響を低減でき、結果的に良好な画像が得られる。
つまり、直線状のエッジ部に斜めに交差する方向に走査することで、ある走査パターンでは絶縁部の走査長さが若干長くなる場合があっても、異なる走査パターンでは絶縁部の走査長さが圧倒的に短くなる場合があるため、これら複数の走査パターンで得た画像を積算する(重ね合わせる)ことで、帯電の影響を大きく低減した画像を得ることができる。
また、各走査パターンに対するイオンビーム照射量が少ないため、1つの走査パターンについての画像は帯電の影響が少ない、斑が少ない画像となり、これらの画像を複数積算することで、画像取得領域の良質な画像が取得できる。
イオンビーム装置10およびこれを用いた本実施形態の画像取得方法によれば、直線状のエッジ部を持つ導電部が形成された絶縁性基板の画像を、イオンビームを用いて取得する場合に、絶縁性基板の帯電の影響を低減した画像を容易に取得できる。
【0091】
さらに、本実施形態では、各走査パターンにおけるイオンビームの走査幅(走査時間)が走査パターン内で互いに等しいため、走査線ごとのイオンビームの照射量が一定になる。走査線当たりの帯電量が一定になることによってマスク14の帯電斑の影響を抑制できる。
この点について、
図11を参照して説明する。
図11は、比較例の走査パターンの一例を示す模式図である。
【0092】
図11に示す比較例の走査パターンSprは、走査パターンSp1と同様の走査方向、掃引方向であって、画像取得領域Pの内部のみを走査する走査パターンである。
この走査掃引方法では、イオンビームの走査幅(走査時間)が場所によって異なる。具体的には、点Pb、Pdを通る走査線の走査幅が最長であり、より点Pa、Pcに近い部位を通過する走査線ほど走査幅が短くなる。
このような走査パターンSprに基づいて走査掃引を行なわれると、走査線ごとにブランキング時間が異なり、帯電量が場所によって異なる。このため、画像取得領域の点Pa、点Pc付近と点Pb、点Pd付近では画像の明度の差(斑)が生じる。帯電量の分布によっては画像が歪むことにもなる。
これに対して、本実施形態の走査パターンでは、等幅走査が行なわれるため、ブランキング時間が一定で、掃引場所による画像明度の均一な画像が得られる。
【0093】
[第1変形例]
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)の画像取得方法およびイオンビーム装置について説明する。
本変形例は、上記第1の実施形態において、走査パターンを変更した例であり、イオンビーム照射制御部21に記憶される走査パターンのみが異なる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)画像取得方法における走査パターンの例を示す模式図である。
【0094】
図12に示すように、本変形例の走査パターンSp11は、画像取得領域Pに外接する矩形状の走査領域SB1にて走査掃引が行なわれる。
走査領域SB1は、点Sm1、点Sm2、点Sm3、点Sm4を頂点とする長方形である。点Sm4と点Sm1との間の辺は、点Paを通り、y軸から−θ傾斜した線分である。点Sm1と点Sm2との間の辺は、点Sm4と点Sa1との間の辺に直交し、点Pbを通る線分である。点Sm2と点Sm3との間の辺は、点Sm4と点Sm1との間の辺に平行で、点Pcを通る線分である。点Sm3と点Sm4との間の辺は、点Sm1と点Sm2との間の辺に平行で点Pdを通る線分である。
走査パターンSp11におけるイオンビームの走査方向(実線矢印参照)は、点Sm4から点Sm1に向かう方向である。
走査パターンSp11におけるイオンビームの掃引方向は、走査方向に直交する方向である。点Sm1から点Sm2に向かう方向、またはその反対方向である。
走査パターンSp11における各走査線の幅は、点Sm4と点Sm1との間の辺の長さに等しい。
【0095】
本変形例における他の走査パターンSp12、Sp13、Sp14の図示は省略するが、走査方向の反転と、y軸に関する対称移動とによって得られる。
例えば、走査パターンSp12は、走査領域SB1において、走査方向が反転される。
例えば、走査パターンSp13は、走査パターンSp11を図示左右(x軸方向)に反転したことに相当する走査パターンである。走査パターンSp13はy軸に関する対称移動によって得られる。
例えば、走査パターンSp14は、走査パターンSp13の走査方向が反転される。
【0096】
画像取得領域Pが正方形で、θ=45°の場合には、走査領域SB1は、長方形の一種である正方形である。走査領域SB2は、走査領域SB1に一致する。このとき、走査パターンSp11、Sp13の走査方向は点Sm4から点Sm1に向かう方向、走査パターンSp12、Sp14の走査方向は点Sm2から点Sm1に向かう方向である。
【0097】
本変形例によれば、上記走査パターンSp1、…、Sp8に代えて、走査パターンSp11、…、Sp14を用いて走査掃引を行なう以外は、上記第1の実施形態と同様にして、画像取得領域Pの画像を取得することができる。
以下、本変形例の画像取得方法について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0098】
本変形例のステップS1は、上記第1の実施形態のステップS1と同様のステップである。
【0099】
本変形例のステップS2では、イオンビーム照射制御部21が、走査パターンSp11、…、Sp14を用いて4種の走査掃引を行なう制御を行なう。このとき、イオンビーム照射量は、D/4に設定する。
ここでDは、走査領域SB1の範囲を1回の走査掃引で良好な画像が取得できるイオン照射量である。
【0100】
本変形例では、イオンビームの走査方向と掃引方向とが互いに直交する。このため、各走査パターンにおける走査掃引の制御は、イオンビーム装置において周知にラスターローテーションを行なう場合の走査掃引動作と略同様である。
【0101】
本変形例のステップS2では、4種の走査パターンでの走査掃引の結果、走査パターンSp11、…、Sp14に対応する走査領域画像データGs11、…、Gs14が、記憶部24に保存される。
【0102】
本変形例のステップS3では、走査領域画像データGs11、…、Gs14を用いて、上記位置ズレ量検出動作、位置ズレ量補正動作、および画像合成動作を行なう点のみが、上記第1の実施形態と異なる。
すなわち、走査領域画像データGs11、…、Gs14の位置ズレ量に基づいて補正された走査領域画像データgs11、…、gs14が生成される。演算処理部25は、走査領域画像データgs11、…、gs14を合成して、画像取得領域Pの画像取得領域画像データGPを生成する。
本変形例のステップS4は、上記第1の実施形態のステップS4と同様のステップである。
【0103】
本変形例は、走査領域の外形が、平行四辺形のうち正方形または長方形からなる例になっている。
画像取得領域Pの内部に関しては、走査パターンが4種になっているのみで、金属ラインパターン30のエッジ部30aに対する走査方向は同じ斜め4方向である。
このため、上記第1の実施形態とまったく同様にして、孤立パターン32を通過する際に、イオンビームが絶縁部を通過する距離を低減できる。
この結果、直線状のエッジ部を持つ導電部が形成された絶縁性基板の画像を、イオンビームを用いて取得する場合に、絶縁性基板の帯電の影響を低減した画像を容易に取得できる。
【0104】
上記第1の実施形態における走査パターンでは、画像取得領域Pの外側の走査領域が画像取得領域Pの2辺の外側のみに形成される。
これに対して、本変形例では、走査方向と掃引方向とが直交するため、画像取得領域Pの外側の走査領域が画像取得領域Pの各辺の外側にそれぞれ形成される。画像取得領域Pの各辺には、画像取得領域Pの内部と同じ掃引回数のイオンビームの走査掃引を受ける領域が発生する。
例えば、
図12に示すように、画像取得領域Pが正方形で、θ=45°の場合、本変形例では、画像取得領域Pの外側の点Sm1、点Pa、点Pbを頂点とする三角形、点Sm2、点Pb、点Pcを頂点とする三角形、点Sm3、点Pc、点Pdを頂点とする三角形、点Sm4、点Pd、点Paを頂点とする三角形は、互いに合同な二等辺三角形である。
このため、これらの三角形領域は、画像取得領域Pの内部と同様に4回のイオンビームの走査掃引を受ける。
このため、画像取得領域Pの外側は、画像取得領域Pの内部と同じ照射損傷を受けることになる。
画像取得領域P外の照射損傷が大きいと判断される場合には、上記第1の実施形態のように、走査方向と掃引方向とを斜交させるとともに、掃引方向が画像取得領域Pの一辺に沿う平行四辺形状の走査パターンを用いることがより好ましい。
【0105】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態のイオンビーム装置について説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態のイオンビーム装置の構成の一例を示す模式的なシステム構成図である。
【0106】
図13に示す本実施形態のイオンビーム装置40は、イオンビームによって試料44の観察とイオンビーム照射によるスパッタリング加工のみを行なう装置である。試料44は上記第1の実施形態におけるマスクに限定されないが、絶縁部と導電部が混在する試料が好適であり、イオンビーム照射によるスパッタリング加工は、この試料44の断面を形成する加工などを指す。
イオンビーム装置40は、上記第1の実施形態のイオンビーム装置10のエッチングガス供給部16、およびデポジションガス供給部17を削除し、イオンビーム鏡筒11、検出器18、制御部20に代えて、イオンビーム鏡筒41、検出器48、制御部50を備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0107】
イオンビーム鏡筒41は修正動作を行なわない。
検出器48は、イオンビーム鏡筒41から試料44に照射されるイオンビームに起因する二次荷電粒子を検出する。
検出器48は、二次荷電粒子として、例えば、試料44から発生する二次イオン、二次電子などを検出する。
【0108】
制御部50は、エッチングガス供給部16、およびデポジションガス供給部17の削除に伴って、これらを制御する機能構成を、上記第1の実施形態の制御部20から削除して構成される。
このため、詳細の図示は省略するが、制御部50は、上記第1の実施形態と同様なイオンビーム照射制御部21、画像データ生成部23、記憶部24、演算処理部25、および表示制御部26を備える。
【0109】
本実施形態の制御部50は、修正動作を行なわない点以外は、上記第1の実施形態の制御部20と同様の制御を行なう。
【0110】
本実施形態のイオンビーム装置40によれば、上記第1の実施形態と同様にして、試料44における画像取得領域Pの画像を取得できる。
本実施形態のイオンビーム装置40によれば、上記第1の実施形態と同様にして、ステップS1〜S4を実行することができる。
このため、イオンビーム装置40は、上記第1の実施形態と同様にして、直線状のエッジ部を持つ導電部が形成された絶縁性基板の画像を、イオンビームを用いて取得する場合に、絶縁性基板の帯電の影響を低減した画像を容易に取得できる。
【0111】
なお、上記各実施形態および第1変形例の説明では、複数の走査パターンによって、走査領域内で走査方向または掃引方向が異なる複数のイオンビームの照射を行なうことによって、画像取得領域の画像を取得する場合の例で説明した。走査パターンの数としては、4種または8種が例示されているが、走査パターンの数はこれらには限定されない。
走査パターンの数は1種でもよい。例えば、マスク14のマスクパターンの種類によっては、イオンビームの走査方向あるいは走査領域を変えた複数の走査領域画像データを取得しなくても、帯電電荷の影響を受けない画像が取得される場合がある。この場合には、複数の走査領域画像データを取得することは必須ではない。
この場合、第3の動作では、1つの走査領域画像データから画像取得領域内の画像データを抽出する演算処理のみによって画像取得領域の画像データが生成されてもよい。
【0112】
上記第1変形例の説明では、走査パターンSp11、…、Sp14によって1回ずつ合計4回の走査掃引を行なう場合の例で説明した。しかし、同じ走査パターンによって複数回の走査掃引を行なって走査領域画像データを生成してもよい。この場合、各走査パターンについて、同じ走査掃引回数とすることが良好な画像を得るうえで好ましい。
例えば、上記第1変形例において、走査パターンSp11、…、Sp14について2回ずつの走査掃引を行ない、合計8つの走査領域画像データに基づいて画像処理を行なって、画像取得領域画像データを生成してもよい。ただし、この場合、1回の走査掃引におけるイオンビーム照射量はD/8となるように設定する。
【0113】
上記各実施形態および第1変形例の説明では、走査パターンの走査領域の外形が、画像取得領域の辺や頂点が接する場合の例で説明した。しかし、走査領域の外形は、画像取得領域と接することなく画像取得領域を内側に含む形状であってもよい。
【0114】
上記各実施形態および第1変形例の説明では、画像合成動作(第3の動作)が行なわれる前に、位置ズレ量検出動作(第5の動作)および位置ズレ量補正動作(第6の動作)が行なわれる場合の例で説明した。しかし、マスク14が帯電しにくい場合など、画像データの全体の位置ズレ量が少ないことが分かっている場合などには、第5の動作および第6の動作は省略してもよい。
この場合、第3の動作で合成される走査領域画像データは、第2の動作で生成した走査領域画像データ自体に基づく。
【0115】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態及びその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。