(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の自動分析装置の実施形態を、
図1乃至
図14を用いて説明する。
【0016】
図1は本実施形態の自動分析装置の斜視図である。
【0017】
図1において、自動分析装置は、複数の反応容器2に試料と試薬とを各々分注して反応させ、この反応させた液体を測定する装置であって、反応ディスク1、試薬ディスク9、試料搬送機構17、試薬分注機構7,8、試薬用シリンジ18、サンプル分注機構11、試料用シリンジ19、洗浄機構3、光源4a、分光光度計4、撹拌機構5,6、洗浄用ポンプ20、洗浄槽13,30,31,32,33、コントローラ21、オートローダー機構100(
図2参照)を備えている。
【0018】
反応ディスク1には反応容器2が円周上に並んでいる。反応ディスク1の近くには試料容器15を載せたラック16を移動する試料搬送機構17が設置されている。
【0019】
反応ディスク1と試料搬送機構17の間には、回転および上下動可能なサンプル分注機構11が設置されており、サンプルプローブ11aを備えている。サンプルプローブ11aには試料用シリンジ19が接続されている。サンプルプローブ11aは回転軸を中心に円弧を描きながら移動して試料容器15から反応容器2への試料の分注を行う。
【0020】
試薬ディスク9は、その中に試薬を収容した試薬ボトル10を複数個円周上に載置可能となっている保管庫である。試薬ディスク9は保冷されており、反応容器2に試薬を分注する際に試薬分注機構7,8の試薬プローブ7a,8aがアクセスするための試薬プローブ吸引口111(
図2参照)および試薬ボトル10を試薬ディスク9内に搬入するための開閉カバー113(
図2参照)を有するカバーによって覆われている。
【0021】
開閉カバー113は、保冷された試薬ディスク9内部の冷気を逃がさないようにするためのカバーであり、通常は閉じた状態である。後述する試薬搬送機構101が試薬ディスク9にアクセスする際には開閉カバー113が開き、試薬ディスク9内への試薬ボトル10の搬入・搬出ができるように動作する。
【0022】
反応ディスク1と試薬ディスク9の間には回転および上下動可能な試薬分注機構7,8が設置されており、それぞれ試薬プローブ7a,8aを備えている。試薬プローブ7a,8aには試薬用シリンジ18が接続されている。試薬プローブ7a,8aは回転軸を中心に円弧を描きながら移動して、試薬プローブ吸引口111から試薬ディスク9内にアクセスし、試薬ボトル10から反応容器2への試薬の分注を行う。
【0023】
反応ディスク1の周囲には、更に、洗浄機構3、光源4a、分光光度計4、撹拌機構5,6が配置されている。洗浄機構3には洗浄用ポンプ20が接続されている。試薬分注機構7,8、サンプル分注機構11、撹拌機構5,6の動作範囲上に洗浄槽13,30,31,32,33がそれぞれ設置されている。試料容器15には血液等の検査試料(検体)が含まれ、ラック16に載せられて試料搬送機構17によって運ばれる。また、各機構はコントローラ21に接続されている。
【0024】
コントローラ21は、コンピュータ等から構成され、自動分析装置内の各機構の動作を制御するとともに、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度を求める演算処理を行う。
【0025】
以上が自動分析装置の一般的な構成である。
【0026】
上述のような自動分析装置による検査試料の分析処理は、一般的に以下の順に従い実行される。
【0027】
まず、試料搬送機構17によって反応ディスク1近くに搬送されたラック16の上に載置された試料容器15内の試料を、サンプル分注機構11のサンプルプローブ11aにより反応ディスク1上の反応容器2へと分注する。次に、分析に使用する試薬を、試薬ディスク9上の試薬ボトル10から試薬分注機構7,8により先に試料を分注した反応容器2に対して分注する。続いて、撹拌機構5で反応容器2内の試料と試薬との混合液の撹拌を行う。
【0028】
その後、光源4aから発生させた光を混合液の入った反応容器2を透過させ、透過光の光度を分光光度計4により測定する。分光光度計4により測定された光度を、A/Dコンバータおよびインターフェイスを介してコントローラ21に送信する。そしてコントローラ21によって演算を行い、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度を求め、結果を表示部(不図示)等にて表示させる。
【0029】
次にオートローダー機構100の構成について
図2以降を参照して説明する。
図2はオートローダー機構100の概要を示す図である。
【0030】
試薬ボトル10の試薬プローブ吸引口位置には内部を密閉するために蓋112が取りつけられており、自動分析装置内にセットする時に蓋112を取り外して装置内に設置することが一般的である。しかし、近年、蓋112に切り込み上の穴を開けて、試薬プローブ7a,8aを切り込み部に挿入して試薬ボトル10内の試薬を吸引する方法がある。試薬は蓋112の開口部が僅かな切り込みとなるため、試薬は外気との接触が最小となり、試薬の劣化は従来と比較して改善される。このような場合に、オペレーターは未開封の新品の試薬ボトル10を自動分析装置内に設置すれば、試薬ボトル10の蓋112に穴を開けて自動で試薬ディスク9に設置まで行われる。蓋112の取り外しや蓋112への切り込みの実施の有無に限らず試薬ボトル10を試薬ディスク9まで自動で搬入搬出する機構がオートローダー機構100である。
【0031】
オートローダー機構100は、試薬ディスク9の上部に配置され、
図2等に示すような構成となっている。
図2において、オートローダー機構100は、試薬搭載部103、試薬搭載機構102、試薬搬送機構(試薬搬送部)101、第2保冷庫(試薬保冷庫)110、ニードル洗浄槽108、ニードル乾燥口109、ボトル向き検出センサ114、RFIDセンサ115を備えている。
【0032】
試薬搭載部103は、自動分析装置内に試薬ボトル10を搬入する際にオペレーターが試薬ボトル10を設置するための部分であり、試薬搭載機構102によって試薬搭載部103は
図2,3上で上下方向に動作する。試薬搭載部103は、複数の試薬ボトル10を直線上に複数本設置可能な構造となっている。この試薬搭載部103は第2保冷庫110の内部の空間で設置された複数の試薬ボトル10を保冷することが可能な構成となっている。例えば、試薬搭載部103は試薬ボトル10を複数個搭載することが可能なトレーである。試薬搭載部103や試薬搭載機構102の詳細については後述する。
【0033】
第2保冷庫110は、試薬ディスク9に搬入する前に、試薬搭載部103に設置した試薬ボトル10を一時的に試薬搭載部103ごと保冷するための保冷庫である。第2保冷庫110の構造の詳細は後述する。
【0034】
試薬搬送機構101は、試薬搭載部103に設置された試薬ボトル10を試薬ディスク9内に搬送するための機構であり、試薬ボトル10を把持するグリッパー機構(グリッパー部)106、試薬ボトル10の蓋112に穴を開ける試薬ボトル蓋開栓機構104、グリッパー機構106や試薬ボトル蓋開栓機構104を上下動させる上下駆動モータ(不図示)、グリッパー機構106や試薬ボトル蓋開栓機構104を
図2上で左右方向に駆動させる水平駆動モータ131を構成部品としている。
【0035】
試薬搬送機構101は、
図2における試薬搭載部103の位置から開閉カバー113の位置の間を
図2上で左右方向に動作する。すなわち、試薬搭載部103は
図2上で上下方向に移動し、試薬搬送機構101は
図2上で水平方向に動作するため、動作方向が直交するように構成されている。また、試薬搬送機構101は、グリッパー機構106によって試薬ボトル10を把持する位置と、試薬ボトル10を試薬ディスク9に搬入、搬出する位置とが直線状に配置されている。
【0036】
試薬ボトル蓋開栓機構104は、試薬ボトル10の蓋112に切り込みを入れるためのニードル105が取り付けられている。試薬ボトル蓋開栓機構104では、蓋112に切り込みを入れた後のニードル105の洗浄を試薬搬送機構101の動作方向に対して平行に配置されたニードル洗浄槽108で行い、次の工程で、試薬搬送機構101の動作方向に対して平行に配置されたニードル乾燥口109によって洗浄水の除去を行い、試薬ボトルの蓋112の切り込みを入れるときに、洗浄水で試薬を薄めないように構成されている。
【0037】
グリッパー機構106は、試薬ボトル10を把持するための引っかけ爪を有しており、この引っかけ爪を試薬ボトル10の切欠き部に引っかけることで試薬ボトル10を把持する。
【0038】
図2に戻り、ボトル向き検出センサ114とRFIDセンサ115は、試薬搭載部103の動作上に配置されている。ボトル向き検出センサ114は、試薬ボトル10の設置有無および設置方向を測定する。RFIDセンサ115は、試薬ボトル10に設けられたRFIDタグ10aに記録された試薬ボトル10内の試薬の情報を入手する。
【0039】
次に、試薬搭載部103を含めた試薬搭載機構102、第2保冷庫110の構成及び動作の詳細な説明を行う。まず、
図3を用いて第2保冷庫110の構造の詳細を説明する。
図3はオートローダー機構の概略図である。
【0040】
図3のように、第2保冷庫110内には、試薬搭載部103に設置した複数個の試薬ボトル10が保冷されている。第2保冷庫110は、観音開きする第2扉201と第1扉202とが開閉することで試薬搭載部103の搬入・搬出を行うとともに、閉じた際に第2保冷庫110内を密閉する構造となっている。また、第2扉201と第1扉202とでは扉の長さが異なっている。また、第1扉202の第2保冷庫110内側には、フックローラ205が設けられている。
【0041】
リンク208は、その一端が第2扉201に取り付けられ、もう一端が第1扉202に取り付けられている。リンク208によって連結されているため、第2扉201と第1扉202とは連動して一体化した動作で開閉動作が行われる。
【0042】
また、リンク208と第2保冷庫110の固定部110Aとの間には、リンク208を常に
図3中上側へ引っ張るように設定された扉バネ207が取り付けられている。すなわち、第2扉201,第1扉202はリンク208を介して常に第2保冷庫110側へ引っ張られている状態となっている。扉バネ207は、第2扉201,第1扉202が開くに従い伸びて、第2扉201,第1扉202が閉まるに従い縮むように作用する。なお、この扉バネ207は、リンク208を介さずに第2扉201や第1扉202に直接取り付けられていてもよい。
【0043】
なお、
図4の様に、第2扉201に、第2扉201および第1扉202が閉じた際に第1扉202に被せかかる第3扉209を設けることができる。このような第3扉を設けることによって更なる第2保冷庫110内の密閉度は向上できる。これは、
図4の例では、扉バネ207とリンク208との連結箇所は、第1扉202とリンク208との連結箇所より第2扉201とリンク208との連結箇所の近くに配置されている。このため、扉バネ207の張力は第1扉202より扉の長い第2扉201側に大きくかかる。従って、扉バネ207は第2扉201を第1扉202に密着させるように動作する。なお、
図4はオートローダー機構100の開閉扉の他の一例の概略図である。
図4では、リンク208は図示の都合上点線で示している。
【0044】
第2保冷庫110では、第2扉201と第1扉202が閉まっている時は、第2保冷庫110内部の試薬ボトル10を安定して保冷することが望まれるため、内部を完全に密閉することが望まれる。完全な密閉状態を維持出来ることで、外気との温度差により結露水が発生することや、第2保冷庫内部を規定温度まで下げるまでに時間を要することを抑制することができるためである。そこで、扉バネ207によって第2扉201および第1扉202が開かないようにリンク208を引っ張っていることにより、装置電源がOFFになったとしても第2保冷庫110内部の密閉状態を維持可能となり、より安定した試薬ボトル10の保冷が可能となる。
【0045】
また、
図4の扉の配置では第2扉201の回転半径が大きくなるため、第1扉202と同時に両扉を開けても第3扉209は干渉なく動作出来るが、左右の扉の大きさが同じである場合や第1扉202に第3扉209を設けたい場合は、リンク208の配置を考慮すればよい。
【0046】
次に、
図5を用いて試薬搭載部103の詳細を説明する。
図5は試薬搭載部103の上面図である。
【0047】
図5において、試薬搭載部103は、試薬ボトル10を設置するためのスペースを有する本体103Aと、第1ローラ300と、第2前方ローラ301Aと、第2後方ローラ301Bと、第3ローラ302とを有する。本体103Aの底面側には扉フック溝303が設けられており、この扉フック溝303にフックローラ205が入り込む構造となっている。
【0048】
第1ローラ300は、試薬搭載機構搬送面182や搬送面182Aの上面に回転しながら接触するローラであり、本体103Aの右側に2個、左側に2個、計4個配置されている。この第1ローラ300によって、試薬搭載部103はスムーズに移動可能となっている。
【0049】
第2前方ローラ301Aおよび第2後方ローラ301Bは、試薬搭載部103の移動方向の片側、
図5では接触する対象となる、長さの長い第2扉201側にのみ複数配置されており、本体103Aから
図5中右側方向に一部が突出した突出部103Bに配置されている。
【0050】
第3ローラ302は、試薬搭載部103の進行方向前面側に計2個配置されている。
【0051】
図3に戻り、試薬搭載機構102は、試薬搭載部103を駆動する試薬搭載機構モータ180、試薬搭載機構モータ180に連結された試薬搭載機構ベルト181、プーリ181A,181B、試薬搭載機構搬送面182、リニアガイド183、および試薬搭載機構ベルト181と試薬搭載部103とを連結する保持部184を有する。
【0052】
試薬搭載部103はリニアガイド183に取り付けられている。リニアガイド183の両側には、試薬搭載機構搬送面182がリニアガイド183に対して平行に配置されている。これらリニアガイド183および試薬搭載機構搬送面182は、試薬搭載部103に試薬ボトル10を設置する設置位置と第2保冷庫110との間を試薬搭載部103が移動するための搬送ラインとして機能する。
【0053】
試薬搭載機構ベルト181はリニアガイド183等と並列に配置されており、保持部184を介して試薬搭載機構ベルト181と試薬搭載部103とが連結されている。この保持部184は、第2保冷庫110内が低温に保たれるように、第2保冷庫110の扉に接触する部分が第2保冷庫110の扉に設けられたパッキンに対して十分に薄い構造(一枚の金属板等)となっている。この保持部184の第2保冷庫110の蓋に接触する部分は、扉と第2保冷庫110の本体とで挟まれる構造となるため、この部分を十分に薄い構造とすることで気密性が確保できるためである。試薬搭載機構ベルト181の両端にはプーリ181A,181B、試薬搭載機構モータ180が取り付けられており、試薬搭載機構モータ180が回転することでプーリ181Aを介して試薬搭載機構ベルト181が連動して回転し、この試薬搭載機構ベルト181の回転運動に伴って保持部184を介して試薬搭載機構ベルト181と連結された試薬搭載部103が
図3中の上下方向に動作する構成となっている。
【0054】
また、試薬搭載部103と試薬搭載機構ベルト181を接続する保持部184には、扉ロックローラ206が取り付いている。この扉ロックローラ206については後述する。
【0055】
また、試薬搭載機構搬送面182と第2保冷庫110の搬送面182Aとの間には左右に隙間200A,200Bが設けられている。第2扉201に近い側の隙間200Aは第2扉201の開閉軌道を確保するために設けられており、第1扉202に近い側の隙間200Bは第1扉202の開閉軌道を確保するために設けられている。
【0056】
なお、試薬搭載機構搬送面182を第2保冷庫110の中まで伸ばして試薬搭載部103を第2保冷庫110に格納する構造を採用することも可能である。しかし、第2扉201や第1扉202が閉じた時に第2保冷庫110内の密閉を保つために、第2扉201や第1扉202が試薬搭載機構搬送面182と干渉する部分の密閉を保つための新たな構造が必要となる。この場合、構造が更に複雑になり、部品点数も更に多くなってしまう。しかし、試薬搭載機構搬送面182と第2保冷庫110の間に隙間200A,200Bを設けることで、保持部184のみの密閉度を保つような構成にするのみで良くなるので、更なる部品点数の削減や、保冷能力に関する更なる信頼性向上が図れる。
【0057】
また、第2扉201の第2保冷庫110外側には扉ロック穴203が設けられている。
【0058】
更に、第2扉201の第2保冷庫110内側には、試薬搭載機構搬送面182と搬送面182Aとの間の隙間200Aを埋めるための補助搬送面185が設けられている。この補助搬送面185は第2扉201が開いた時に第2扉201の内側に付いたままともに開き、第2扉201が開いた時に試薬搭載機構搬送面182と搬送面182Aとの間の隙間200Aの多くを埋める。これにより、
図3中右側の試薬搭載機構搬送面182側のレールが完成する。隙間200Bは間隔が広くなっているが、試薬搭載部103が第2保冷庫110から出る際に開く第2扉201の補助搬送面185に第1ローラ300が乗ること、および第1ローラ300が複数設けられていることによって、試薬搭載部103の前後動作は問題なく搬送可能となっている。
【0059】
ここで、試薬搭載部103の第1ローラ300は、隙間200A,200Bを超えて移動することから、
図3中右側の試薬搭載機構搬送面182側の隙間より大きいことが望ましい。
【0060】
また、試薬搭載機構搬送面182と補助搬送面185と搬送面182Aの上面側の高さを揃えることで、隙間200A,200Bがあっても試薬搭載部103はスムーズに動作可能となる。
【0061】
更に、第2扉201には、扉ロック穴203が取り付けられている。またこの扉ロック穴203とは独立して扉ロック機構204が配置されている。扉ロック機構204は第2保冷庫110に対して固定されており、第2扉201が完全に開いた時に扉ロック機構204の挿入棒204A(
図6参照)が第2扉201の外側に設けられた扉ロック穴203に挿入され、第2扉201が扉バネ207の張力によって閉まることを阻止するようになっている。扉ロック穴203と扉ロック機構204、扉ロックローラ206とで、試薬搭載部103が第2保冷庫110の外側に出ている時に、第2扉201,第1扉202が閉まらないように第2扉201,第1扉202をロックするロック機構が構成される。
【0062】
図6に示すように、扉ロック機構204の内部にはバネ204Bが組み込まれており、挿入棒204Aが上下方向に移動可能な構造となっている。扉ロック機構204の下部位には、扉ロックローラ206を受けるようなスロープ204Cおよび平坦部204Dが設けられている。
【0063】
なお、ロック機構は扉ロック穴203,扉ロック機構204,扉ロックローラ206の組み合わせに限られず、例えば磁石によって最大に開いた扉を支える構造や、試薬搭載部103に設けた蛇腹等で扉が閉まらないようにロックする構造などが挙げられる。試薬搭載部103と第2保冷庫110内部とを蛇腹等で繋げることで伸びた蛇腹等が扉が閉まるのをロックして防ぐことができる。
【0064】
以上が第2保冷庫110及び試薬搭載機構102の構成である。
【0065】
次に、第2保冷庫110から試薬搭載部103が第2扉201及び第1扉202を開けて搬出される際の動作について説明する。ここでは、
図2中下向きの移動を搬出方向と、上向きの移動を搬入方向とする。
【0066】
まず、第2保冷庫110内に試薬搭載部103が入っている状態から搬出する場合、試薬搭載機構モータ180が回転し、共に試薬搭載機構ベルト181が回転することで試薬搭載部103は搬出方向に移動を開始する。
【0067】
試薬搭載部103が更に移動すると、
図7に示すように、試薬搭載部103に取り付いている左右の第3ローラ302が第2扉201、第1扉202の内側に接触するとともに、進行方向前方側の第2前方ローラ301Aが第1扉202に接触する。
【0068】
接触した状態からさらに第2扉201および第1扉202を広げるように試薬搭載部103を前面に移動させると、
図8のように、第2扉201が進行方向後方側の第2後方ローラ301Bに接触することで直角に開閉する。第1扉202はローラの接触はないが、リンク208により第2扉201と同期した扉の開閉動作となるため、第1扉202は直角に開く。
【0069】
図9のように、第2扉201および第1扉202が直角に開閉すると、扉ロック機構204の挿入棒204Aが扉ロック穴203に挿入されて第2扉201がロックされる。このため、扉バネ207で引っ張られても第2扉201および第1扉202が閉まることはない。
【0070】
次に試薬搭載部103が第2保冷庫110内に収納する時の動作を説明する。
【0071】
まず、試薬搭載機構モータ180が先ほどとは逆方向に回転し、共に試薬搭載機構ベルト181が逆方向に回転することで試薬搭載部103は搬入方向に移動を開始する。
【0072】
試薬搭載部103が更に移動すると、扉ロック機構204の挿入棒204Aが扉ロック穴203から取り出され、ロック機構によるロック状態は解除され、扉バネ207の動作により第2扉201および第1扉202は閉まる方法に動作する。
【0073】
また、
図10のような状態となった時に、フックローラ205が試薬搭載部103の扉フック溝303に入り込む。そしてフックローラ205が扉フック溝303に入り込んだ状態で試薬搭載部103が第2保冷庫110内を搬入方向に更に移動すると、
図11の状態のように、第1扉202は扉フック溝303に入り込んだフックローラ205に引っ張られるとともに第3ローラ302に接触した状態を維持しながら、閉じ方向に移動する。またリンク208を介して第1扉202に引っ張られることで第2扉201も同様に第3ローラ302に接触した状態を維持しながら閉じ方向に移動する。その後、試薬搭載部103が第2保冷庫110内に完全に搬入されることで、
図12の様に密閉状態となる。このような扉フック溝303とフックローラ205を用いることで、第2扉201および第1扉202の閉じ方向動作をサポートすることができ、より安定した扉の閉じ方向動作が可能となる。
【0074】
次いで、
図6や
図13、
図14を用いてロック機構の動作の詳細について説明する。
【0075】
まず、試薬搭載部103が搬出方向に移動する場合を説明する。保持部184に取り付いている扉ロックローラ206が試薬搭載部103の移動と共に移動するため、扉ロックローラ206とスロープ204Cとが接近した状態となる。このまま移動が続くと、スロープ204Cと接触しながら扉ロックローラ206が進むため、バネ204Bが縮みはじめ、挿入棒204Aが上方側に持ちあがる。更に移動が進むと、扉ロックローラ206は平坦部204Dに接触し、挿入棒204Aが上方側に完全に持ちあがる。この状態の時に、
図8に示すような第2扉201が垂直に開くように、各構成部品が配置されているため、挿入棒204Aの直下に扉ロック穴203が配置される。
【0076】
更に試薬搭載部103の移動が続くと、扉ロックローラ206とスロープ204Cとが接触し、挿入棒204Aはバネ204Bの作用により下方向に移動しはじめる。その後、扉ロックローラ206とスロープ204Cが離れると、
図14の様に、第2扉201に取り付いている扉ロック穴203に挿入棒204Aが挿入される。このため、第2扉201と第1扉202は扉バネ207による圧縮の力、すなわち閉じ方向の力が働いても、第2扉201と第1扉202とは開いた状態が維持され、
図9のように第2扉201と第1扉202とが開いた状態で試薬搭載部103は更なる搬出方向への移動が可能となる。
【0077】
試薬搭載部103が搬入方向に移動する場合は、先程とは逆の動作となり、まず扉ロックローラ206とスロープ204Cとが接触し、バネ204Bが縮んで挿入棒204Aが上方側に持ちあがる。更に進むと扉ロックローラ206は平坦部204Dに接触して、挿入棒204Aが上方側に持ちあがり、
図13に示すように挿入状態が解除される。
【0078】
その後、扉ロックローラ206とスロープ204Cとが接触し、挿入棒204Aはバネ204Bの作用により下方向に移動しはじめ、扉ロックローラ206とスロープ204Cが離れると、
図6の様な状態となり、ロック機構によるロック状態が完全に解除され、第2扉201および第1扉202を閉じることができる。
【0079】
以上がオートローダー機構100の構成及びその動作である。
【0080】
なお、ロック機構に磁石を用いて最大に開いた扉を支える構造とした場合には、試薬搭載部103が第2保冷庫110内に収納する時、扉と扉が磁力で密着する箇所の間に物理的に部材を割り込ませるようにすることで、磁力で引き付け合う力をバネの引っ張り張力以下に弱めロックを解除することができる。また、ロック機構に蛇腹等を用いて最大に開いた扉を支える構造とした場合には、試薬搭載部103が第2保冷庫110内に収納する時、蛇腹等が収納に伴う移動により縮むため、扉を支えることができなくなりロックを解除することができる。
【0081】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0082】
上述した本実施形態では、オートローダー機構100として、自動分析装置内に試薬ボトル10を搬入する際に複数の試薬ボトル10を設置するための試薬搭載部103と、試薬搭載部103に設置された試薬ボトル10を試薬搭載部103ごと保冷する第2保冷庫110とを備え、第2保冷庫110は、試薬搭載部103の出入り動作に伴って開閉する、試薬搭載部103が出入りするための開閉扉(第2扉201および第1扉202)を有している。
【0083】
試薬ボトル10を試薬搭載部103ごと保冷するためには、第2保冷庫110に扉を設け、必要に応じて扉の開閉を行うことが必要不可欠である。この扉の開閉動作を、アクチュエータを用いずに試薬搭載部103の出入り動作に合わせ行うことで、必要以上にアクチュエータを搭載する必要がなくなり、装置サイズを大きくすることなく構成部品の低減を図ることが可能となる。更には調整やメンテナンス性の向上、装置設置スペースの小スペース化を図ることが可能となる。
【0084】
また、試薬搭載部103に設けられた第2前方ローラ301Aや第2後方ローラ301Bおよび第3ローラ302が接触することで試薬搭載部103の出入り動作に伴って第2扉201,第1扉202は開閉されるようになっているため、開閉動作の際に各ローラと扉とが接触する。そのため、開閉動作に伴う構成部品の損耗を抑制して、長期間にわたって安定した開閉動作が可能となる。
【0085】
更に、試薬搭載部103が第2保冷庫110の外側に出ている時に、第2扉201,第1扉202が閉まらないように第2扉201,第1扉202をロックするロック機構を更に備えた。特に、ロック機構として、第2扉201,第1扉202の外側に設けられた扉ロック穴203と、第2保冷庫110に対して固定された扉ロック機構204と、試薬搭載部103とともに前後移動する扉ロックローラ206とを有し、第2扉201が開いた際に、扉ロックローラ206によって扉ロック機構204の挿入棒204Aが扉ロック穴203に挿入されることで第2扉201,第1扉202が閉まることが防止されることで、試薬搭載部103が第2保冷庫110内に戻るまで第2扉201,第1扉202が開いた状態を保つことができる。そのため、試薬搭載部103が第2保冷庫110内に戻るときに第2扉201,第1扉202を改めて開くための構造が不要となり、構成部品の更なる低減を図るとともに、調整やメンテナンス性の更なる向上、装置設置スペースの更なる小スペース化を図ることが可能となる。
【0086】
また、第2保冷庫110は、第2扉201,第1扉202を固定部110A側へ常時引っ張る扉バネ207を有することにより、装置電源がOFFになったとしても第2保冷庫110内部の密閉状態を維持可能となり、より安定した試薬ボトル10の保冷が可能となる。
【0087】
更に、試薬搭載機構搬送面182と第2保冷庫110内の搬送面182Aとの間には隙間200Aが存在することにより、第2保冷庫110の扉の開閉の構成が非常に容易となり、複雑な構造とすることなく第2保冷庫110内を安定して保冷することが出来るようになる。
【0088】
また、第2扉201,第1扉202の内側には、隙間200Aを埋めるための補助搬送面185が設けられていることで、隙間200Aが存在していても試薬搭載部103の動作がスムーズになり、より安定した動作が可能となる。
【0089】
更に、第2扉201,第1扉202は観音開きする2枚の扉で構成されたことにより、第2保冷庫110の密閉性を向上させることができ、第2保冷庫110における試薬ボトル10の保管状態の更なる向上を図ることができる。
【0090】
また、第2扉201,第1扉202は、2枚の扉を連結するリンク208を有することで、第2扉201および第1扉202の開閉動作が独立した動作とならずに済み、より簡易な構成での開閉動作が可能となる。
【0091】
更に、第2扉201には、閉じた際に第1扉202に被る第3扉209を有することにより、更なる第2保冷庫110内の密閉度の向上を図ることができる。
【0092】
また、試薬搭載部103には、前側に複数の第3ローラ302、右側に複数のローラ(第2前方ローラ301Aや第2後方ローラ301B)が取り付けられたことで、より安定した第2保冷庫110の開閉扉の開閉動作が可能となる。
【0093】
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0094】
例えば、本実施形態においてグリッパー機構106と試薬ディスク9の開閉カバー113、および試薬プローブ吸引口111は直線上に配置してあるが、試薬プローブ吸引口111は試薬プローブ7a,8aが動作可能な範囲であれば配置は直線状の形態にとらわれない。
【0095】
また、本実施形態においてニードル105は1本として説明しているが、試薬ボトル10のように蓋112が2箇所有る場合は、ニードル105を試薬ボトル10の蓋112の穴の間隔で2本取り付け、最初の動作で試薬ボトル蓋開栓機構104の下降動作で2箇所の蓋112に同時に穴を開ける構成とする。また、ニードル洗浄槽108、ニードル乾燥口109をニードル105の間隔で2個設置する。これにより、各々一度の上下動作で洗浄から乾燥まで可能となるので、搬入時間の短縮を図ることも可能である。
【0096】
また、本実施形態においてグリッパー機構106や試薬ボトル蓋開栓機構104の動作は上下駆動モータによる上下方向、水平駆動モータ131による左右方向の動作と説明したが、前後方向のモータを追加して3方向の動作を可能とすれば、試薬搭載部103に設置できる試薬ボトル10の設置可能数量も増やすことが可能となる。
【0097】
なお、第2扉201と第1扉202の長さは第2扉201の方が長い形状としてあるが、扉の長さは、扉の回転動作によって生じる範囲に部品が配置してあるなどの状況に応じて最適な長さ、割合とすればよい。更に、扉を2分割で説明したが、1枚の扉でも同様の性能は満たすことが可能で、その場合はリンク208の部品は不要となる。
【0098】
また、本説明において試薬搭載部103の第1ローラ300を4個使用した例で説明したが、第1ローラ300の使用数は試薬搭載部103の全長さや幅、第2保冷庫110と試薬搭載機構搬送面182の隙間200A,200Bによって最適な条件となるような構成とすべきであり、特に限定されるものではない。
【0099】
なお、本実施形態において第2保冷庫110を試薬ディスク9の上方に設ける例を示したが、第2保冷庫110の位置は上方に限定されるものではない。例えば、試薬ディスクの横側に設けてもよい。但し、上方に設けることで装置の更なる小スペース化が実現できる。