【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は、下記例に制限されるものではない。
【0047】
<実施例1:乳化剤のHLBの変化に伴う、チーズソースの乳化安定性への影響>
(チーズソース1〜9の作製)
ストロングチェダー(フォンテラ社製)を223g、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を66g、パルメザン(フォンテラ社製)を33gで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、原料チーズをケトル型の卓上釜に移し、モノリン酸一ナトリウムを9.4g、表1に示す各種の乳化剤のいずれかを1.7g添加し、さらに、実際に製造されるチーズソースの水分含有量が47質量%となるように、水を加え、乳酸を用いて、溶融後のpHが約5.5となるように調整して、各種の混合物を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
続いて、上記で得られた各種の混合物を100rpm、1分間の条件で撹拌した後に、200rpm、89℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させた。次に、乳化機(プライミクス株式会社製「TKホモミキサー」)を用いて、10000rpm、90秒間の条件で均質化してからチーズソース1〜9を得た。
【0050】
(チーズソース10、11の作製)
上記チーズソース2において、溶融塩としてのモノリン酸一ナトリウムの配合量が、チーズソースの全体の重量に対して1.5%、1.0%となるようにした以外は同様にして、チーズソース10、11を得た。
【0051】
得られたチーズソース1〜11をそれぞれ密封容器に充填し、80℃の熱水中に40分間の条件で浸漬・保持した。
【0052】
熱水保持後の状態を観察した。また、溶融直後(80℃)の粘度、10℃冷却時の粘度および10℃冷却時の硬度を測定し、表2に示した。
なお、粘度は、粘度計(リオン株式会社製「ビスコテスター VT−04F」)により測定した。89℃に達温したチーズ乳化物をステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計でそれぞれ測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
硬度は、株式会社不動工業製「レオメーター」(プランジャー:φ10mm球、貫入速度:5cm/分、貫入距離:5mm)により測定した。
【0053】
また、乳化安定性(熱水保持後の状態)と風味を下記基準により評価し、同じく表2に示した。更に、溶融直後の各チーズソースの密封容器内の状態を
図1および
図2に示した。
〔熱水保持後の状態評価〕
専門パネルの5名により、目視にて密封容器内のチーズソースの外観を確認し、下記の基準にて総合的に判断した。5名の評価点の平均点で評価した。
5:脂肪の分離が認められない状態
4:所々に脂肪の斑点が視認できる状態
3:明確に脂肪が分離し、局所的に滲みや黄変が生じている状態
2:激しく脂肪が分離し、組織全体が黄変した状態
1:チーズ組織と脂肪が完全に分離した状態
〔風味評価〕
専門パネルの5名により、チーズソースを試食し、下記基準にて総合的に判断した。5名の評価点の平均点で評価した。
5:チーズ由来の脂肪分解臭が鼻に抜けるように強く生じ、後味に旨味、コク味や甘味が強く感じられる
4:チーズ由来の脂肪分解臭が弱く感じられるが、後味にはっきりと旨味、コク味や甘味が残る
3:チーズ由来の脂肪分解臭、後味の旨味、コク味や甘味が弱い
2:全体として、塩味が際立ち、香り、旨味、コク味や甘味が弱く、スッキリしている
1:チーズの風味が弱く、塩味や加熱臭が強く感じられる
【0054】
【表2】
【0055】
図1(a)および
図1(b)並びに
図2(a)および
図2(b)から分かるように、チーズソース1〜3、7〜10では、熱水保持後に、外観が変化しなかったのに対し、チーズソース4〜6では、熱水保持時に、脂肪が溶けだし、外観がクリーム色から淡黄色へと変化した。なお、チーズソース11は若干の脂肪の分離が見られたが、総合評価として製品上問題になるレベルではない。
また、表2、
図1(a)、
図1(b)および
図2(a)、
図2(b)の結果から明らかなように、チーズソース1〜3、7〜10では、熱水保持後に、脂肪の分離は認められず、チーズソース4〜6に比べて、乳化安定性が優れていた。つまり、HLBが0〜2の親油性乳化剤またはHLBが15〜20の親水性乳化剤を用いることで、脂肪の分離(オイルオフ)を抑制して、乳化安定性に優れたチーズソースを製造できることが分かった。
なお、チーズソース1〜3および7〜11では、チーズ本来の風味および食感が十分に生かされた良好なものが得られた。
【0056】
<実施例2:乳化剤の配合量の変化に伴う、チーズの流動性(硬度)への影響>
チェダー(株式会社明治製)を5.2kg、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、再製チーズ(原料チーズ中の5質量%となる量)および親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を表3に示す量(チーズソースの全体に対する質量%)で、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加え、乳酸を用いて、溶融後のpHが約5.5となるように調整して、各種の混合物を得た。
続いて、上記で得られた各種の混合物を、乳化釜(ステファン社製「ステファンクッカー」)を用いて、750rpm、1分間の条件で撹拌した後に、1500rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させてチーズソース12、13を得た。
【0057】
得られたチーズソース12、13をそれぞれ密封容器に充填し、80℃の熱水中に40分間の条件で浸漬・保持した。
実施例1と同様にして、この溶融直後(80℃)の粘度、10℃冷却時の粘度および10℃冷却時の硬度を測定し、表3に示した。
また、実施例1と同様に、乳化安定性(熱水保持後の状態)と風味を評価し、同じく表3に示した。
【0058】
【表3】
【0059】
表3の結果から明らかなように、チーズソース12、13では、いずれも乳化安定性に優れ、硬度の上昇を抑制して、流動性に優れた、風味および食感の良好なチーズソースを製造できることが分かった。
【0060】
<実施例3:溶融塩の種類の変更に伴う、チーズソースの流動性への影響>
ストロングチェダー(フォンテラ社製)を246g、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を70g、パルメザン(フォンテラ社製)を35gで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、原料チーズをケトル型の卓上釜に移し、表4に示す各種の溶融塩を9.6gで添加し、さらに、実際に製造されるチーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加え、乳酸を用いて、溶融後のpHが約5.5となるように調整して、各種の混合物を得た。
【0061】
【表4】
【0062】
続いて、上記で得られた各種の混合物を100rpm、1分間の条件で撹拌した後に、200rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させた。次に、乳化機(プライミクス株式会社製「TKホモミキサー」)を用いて、10000rpm、90秒間の条件で均質化を行って各種チーズソースを得た。
【0063】
この溶融直後のチーズソース14〜17の粘度を測定し、
図3に示した。粘度は、粘度計(リオン株式会社製「ビスコテスター VT−04F」)により測定した。85℃に達温したチーズソースをステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計で測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
【0064】
図3の結果から明らかなように、チーズソース14では、チーズソース15〜17に比べて著しく粘度が低下した。よって、モノリン酸二ナトリウムが粘度の上昇を効果的に抑制できることがわかった。
【0065】
<実施例4:pHの変化に伴う、チーズソースの流動性への影響>
チェダー(株式会社 明治製)を5.2kg、グラニュラーK(フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが表5となる様に調整して、各種の混合物を得た。
【0066】
続いて、上記で得られた各種の混合物を100rpm、1分間の条件で撹拌した後に、200rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させてチーズソース18〜20を得た。この溶融直後のチーズソース18〜20の粘度を測定し、表5および
図4に示した。89℃に達温したチーズソースをステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計で測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
【0067】
【表5】
【0068】
表5および
図4の結果から明らかなように、pHの低下に伴いチーズソースの粘度が低下することがわかった。pHが5.78(チーズソース18)では、粘度が上昇し流動性が低下する傾向が認められた。
なお、pHが5.3の場合(チーズソース20)は、低pHによる酸味がわずかに感じられたが問題のない風味であった。以上のことから、pHが5.3〜5.8の範囲であれば、流動性を確保するとともに、風味、物性ともに良好なチーズソースを製造できることがわかった。
【0069】
<実施例5:共焦点レーザー顕微鏡による組織構造の比較>
上記実施例4で調製したチーズソース19を密閉容器に充填し、冷蔵庫で1晩静置した。その後、水分活性測定用プラスチックシャーレの8分目までサンプリングした。
比較として、プロセスチーズ(株式会社明治製「明治北海道十勝スマートチーズうまみ濃厚チェダーブレンド」)を用い、縦5mm×横5mm×厚み2mm程度に切り出して、水分活性測定用プラスチックシャーレに載せた。
【0070】
サンプリングしたチーズソース19および比較プロセスチーズに対し、それぞれ蛍光染色液を50〜100μl滴下し、冷蔵庫内で30分間静置した。静置後、比較プロセスチーズにおいては余分な染色液を蒸留水でリンスした。各試料(チーズソース)の表面にカバーガラスを乗せ、軽く押し当てて表面を平らにした。なお、蛍光染色液はNile Red(脂肪染色;励起波長488nm)の0.02g、およびNile Blue(タンパク質染色;励起波長633nm)の0.01gを取り、1,2−propanediolで1Lにメスアップしたものを用いた。
【0071】
染色した試料に対し、共焦点レーザー顕微鏡(株式会社オリンパス製「FV1000」)を用いて、タンパク質と脂肪の分布を観察した。なお、観察時の測定色素は、Nile Redは「FITC」、Nile Blueは「Alexa Fluor633」を選択した。結果を
図5に示す。
【0072】
図5の結果より、比較プロセスチーズの組織は、タンパク質のネットワークの中に脂肪が点在していた。一方、チーズソース19の組織は比較プロセスチーズと大きく異なり、脂肪がネットワークの主体として分布し、タンパク質の周囲が脂肪で覆われているような構造であった。そのため、タンパク質同士の重合が阻害され、製造時に粘度が増加しないものと考えられる。また同様の理由により、タンパク質がゲルを生成できず、冷蔵下でも流動性が向上したものと推察される。なお、チーズソース19はW/O型に類似した分布を示しているが、電気を流すと通電し、かつ油脂に溶解しないため、通常のプロセスチーズと同様のO/W型であることがわかった。
【0073】
<実施例6:チーズソースの粘度と硬度の相関関係>
チェダー(株式会社 明治製)を5.2kg、グラニュラーK(フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが5.5となる様に調整して、各種の混合物を得た。
【0074】
上記で得られた混合物を、乳化釜(ステファン社製「ステファンクッカー」)を用いて、750rpm、1分間の条件で撹拌した後に、1500rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させて各種チーズソースを得た。次に、4Lのステンレス製バットに移し、80℃の恒温槽において20rpmの回転速度で撹拌保持を行い、適宜粘度を測定した。粘度は、粘度計(リオン株式会社製「ビスコテスター VT−04F」)により測定した。チーズソースをステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計で測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
【0075】
粘度測定を行ったチーズソースは密閉容器の充填し、4℃の冷蔵庫内で冷却した。ガラスビーカー(50mL容)に、一晩静置したチーズソースを50gで採取し、乾燥しないように密封し、10℃、4時間以上の条件で静置してから冷却した。以下の装置を用いて、この得られた冷却後のチーズソースの流動性(硬度)を測定し、結果を
図6に示した。
〔流動性(硬度)測定装置〕
・株式会社不動工業製「レオメーター」
・プランジャー:φ10mm球、貫入速度:5cm/分、貫入距離:5mm
粘度と硬度の測定結果を
図6に示した。
【0076】
図6より、高温時の粘度と冷却後のチーズソースの硬度には高い相関が認められた。本検討商品の流動性や絞り出し易さの評価基準は硬度を指標としているが、
図6の結果より、粘度の測定結果から冷蔵後の流動性の推測が可能と考えられる。
【0077】
<実施例7:均質化圧力の変更に伴う、チーズソースの流動性への影響>
チェダー(株式会社 明治製)を5.2kg、グラニュラーK(フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが5.5となる様に調整して、混合物を得た。
【0078】
続いて、上記で得られた混合物を750rpm、1分間の条件で撹拌した後に、1500rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させた。
得られた乳化物に対し、乳化機(三和エンジニアリング株式会社製「ホモゲナイザー HA4733」)を用いて、0MPa、2MPaおよび5MPaの3水準で、均質化を行って各種チーズソースを得た。均質化を行ったチーズソースを4Lのステンレス製バットに2kgほどサンプリングし、80℃恒温槽で保温しながら20rpmの速度で撹拌保持を行った。1時間おきに粘度を測定し、結果を
図7に示した。粘度は、粘度計(リオン株式会社製「ビスコテスター VT−04F」)により測定した。チーズソースをステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計で測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
【0079】
図7より、粘度の上昇速度は均質化圧に依存する傾向が認められた。また、均質化圧を低減しても脂肪分離などは発生せず、乳化は良好であった。従来、均質化圧を10MPa程度とすることで良好な組織を得ることが知られているが、本発明では均質化圧を低減することでより低粘度で良好な組織が得られることがわかった。
【0080】
<実施例8:旨味指標の測定>
チェダー(株式会社明治製)を5.2kg、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが5.5となる様に調整して混合物を得た。得られた混合物を、乳化釜(ステファン社製「ステファンクッカー」)を用いて、750rpm、1分間の条件で撹拌した後に、1500rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させてチーズソース21を得た。
【0081】
比較チーズソース1として、ニュージーランド産チェダーチーズ(10ヶ月熟成)を用い、比較チーズソース2として、オーストラリア産チェダーチーズ(5.5ヶ月熟成)を用いた。
【0082】
各チーズソースに対し、旨味の指標としてPTA可溶性窒素画分の測定を行った。チーズの風味の生成と関係の深い小ペプチドやアミノ酸はリンタングステン酸(PTA)可溶性画分として確認することができる。PTA可溶性窒素は、ナチュラルチーズの熟成中にタンパク質が酵素によって分解されて生成するため、旨味などのチーズ風味に関してはチーズ中のPTA可溶性窒素が指標として適している。
測定方法は以下の通りである。
測定方法
[PTA可溶性窒素含有量]
(1) 試料(チーズ)の5gに、約50℃に加温した0.05Mのクエン酸ナトリウム・二水和物溶液を60mlで加え、回転式ホモゲナイザーを用いて8000rpm、約3分間で、ホモジナイズする。
(2) ホモゲナイザーを蒸留水で洗いこみながら100gとする。
(3) スターラーで攪拌しながら、6規定の塩酸溶液でpHを4.40±0.05に調整する。
(4) 東洋ろ紙No.5Aで、ろ過し、共栓付試験管にろ液の10mlを取り、25%硫酸の6ml、25%PTAの4mlを添加し、室温で一晩静置する。
(5) 東洋ろ紙No.5Aで、ろ過し、ろ液の4mlを取り、ケルダール法により窒素を定量する。この得られた値がチーズの1gあたりのPTA可溶性窒素画分である。
【0083】
PTA可溶性窒素(PTA)と全窒素(全N)の質量比(PTA/全N(%))を旨味指標として、各チーズソースで比較した。なお、原料チーズの全量中における、PTA可溶性窒素(PTA)と全窒素(全N)の質量比は、以下の計算方法で算出できる。
PTA/全N(%)=PTA可溶性窒素含有量/全窒素含有量×100
PTA可溶性窒素(PTA)と全窒素(全N)の質量比を
図8に示す。
【0084】
図8より、チーズソース21のPTA/全Nは一般的なナチュラルチーズ(比較チーズソース1、2)に比べて高い値を示すことがわかった。そのため、本発明のチーズソースはチーズ由来の旨味が強く、少量添加で良好な風味を付与できることが推察された。
【0085】
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2014年8月29日出願の日本特許出願(特願2014−176643)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。