(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プレート部からの距離が前記第1距離となるように前記操作・表示ボードを支持する第1支持面と、前記プレート部からの距離が前記第2距離となるように前記無線通信ボードを支持する第2支持面と、を有する支持体を更に備える、
請求項1に記載のポンプ制御ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャビネットのカバーを着脱することなく外部装置を用いてポンプ装置の一部の操作および情報の表示が可能なように、キャビネット型のポンプ装置に無線通信機能を備えることが考えられる。しかし、キャビネット内に無線通信機能のための電子回路を設ける場合には、金属製のキャビネットによって無線通信機能が阻害されないように電子回路を配置する必要がある。また、特に、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術を用いた無線通信では、外部装置と無線通信用の電子回路との距離が大きいとデータ通信が確保できない。一方で、キャビネットの外部に無線通信用の電子回路を設けると、電子回路および配線の防水対策を講じる必要が生じる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、防水性、耐久性、および、堅牢性を確保できると共に無線通信が可能なポンプ制御ユニットおよびポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(手段1)
本発明のポンプ制御ユニットは、操作・表示ボードと、無線通信ボードと、キャビネットと、を備える。操作・表示ボードは、ポンプ操作用の指令信号を入力できると共にポンプの運転状態を表示する。無線通信ボードは、外部装置と無線通信が可能である。キャビネットは、操作・表示ボードおよび無線通信ボードを収容するベース体と、ベース体に着脱自在に取り付けられるカバーと、を有する。カバーは、キャビネット内の操作・表示ボードおよび無線通信ボードに対応する位置に開口を有するカバー本体と、少なくとも操作・表示ボードの一部が外部から視認できるように開口を覆うプレート部と、を有する。そして、操作・表示ボードは、プレート部からの距離が第1距離であり、無線通信ボードは、プレート部からの距離が第1距離より小さい第2距離である。
かかるポンプ制御ユニットによれば、無線通信ボードがキャビネット内に収容されているので、ポンプ制御ユニットの防水性、耐久性、および、堅牢性を確保できる。また、キャビネットのカバーは、少なくとも操作・表示ボードの一部が外部から視認できるように開口を覆うプレート部を有するので、カバーが取り付けられた状態で操作・表示ボードを外部から視認することができる。さらに、操作・表示ボードとカバーのプレート部との距離は、比較的大きい第1距離であるため、カバーの開閉に伴う誤操作等を防止できる。そして、無線通信ボードとカバーのプレート部との距離は、比較的小さい第2距離であるため、カバーが取り付けられた状態において無線通信ボードによる通信機能を良好にすることができる。
【0009】
(手段2)
手段1に記載のポンプ制御ユニットであって、プレート部からの距離が第1距離となるように操作・表示ボードを支持する第1支持面と、プレート部からの距離が第2距離となるように無線通信ボードを支持する第2支持面と、を有する支持体を更に備えてもよい。
こうすれば、支持体によって、操作・表示ボードおよび無線通信ボードを支持することができる。
【0010】
(手段3)
手段1または2に記載のポンプ制御ユニットであって、無線通信ボードは、外部装置から電波を受信して該電波を電力に変換するアンテナ部を有してもよい。
【0011】
(手段4)
手段1から3の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、無線通信ボードは、ポンプに関する情報を近距離無線通信(NFC)によって外部装置に送信してもよい。
【0012】
(手段5)
手段1から4の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、無線通信ボードは、ボード面がプレート部に対して平行であってもよい。
こうすれば、カバーが取り付けられた状態において無線通信ボードによる通信機能を更に良好にすることができる。
【0013】
(手段6)
手段1から5の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、プレート部は、カバー本体の開口を覆うようにキャビネットの内側からカバー本体に取り付けられてもよい。
【0014】
(手段7)
手段1から6の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、プレート部は、キャビネットの内側に凹んで形成されていてもよいし、キャビネットと同一面にて形成されていてもよい。
【0015】
(手段8)
手段1から7の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、カバー本体は、金属製であり、プレート部は、樹脂製であってもよい。
【0016】
(手段9)
手段1から8の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、操作・表示ボードおよび無線通信ボードは、キャビネット内の給水管および吐出管の接続口より鉛直上方に配置されてもよい。
こうすれば、給水装置の設置時などに操作・表示ボードおよび無線通信ボードが被水するのを防止できる。
【0017】
(手段10)
手段1から9の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、ベース体に収容され、ポンプを運転制御するメインボードを更に備えてもよい。そして、無線通信ボードは、操作・表示ボードとメインボードとの少なくとも一方と電気的に接続されてもよい。
【0018】
(手段11)
手段1から10の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、操作・表示ボードには、トグルスイッチまたはレバースイッチが設けられていてもよい。
かかるポンプ制御ユニットによれば、操作・表示ボードとカバーのプレート部との距離は、比較的大きい第1距離であるため、カバーの開閉に伴うトグルスイッチまたはレバースイッチの誤操作等を防止できる。
【0019】
(手段12)
手段1から11の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットであって、プレート部は、鉛直方向に対して傾斜して形成されていてもよい。
【0020】
(手段13)
本発明のポンプ装置は、手段1から12の何れか1つに記載のポンプ制御ユニットと、ベース体に収容されるポンプと、を備える。
かかるポンプ装置は、上記のポンプ制御ユニットを備えるので、本発明のポンプ制御ユニットと同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、各実施形態を構成する構成要素は任意に組み合わせることが可能であり、以下に説明する組み合わせに限定されるものではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0023】
図1及び
図2は本発明の実施形態に係るポンプ装置の一例である給水装置を前方から示す図である。また、
図3は、本実施形態の給水装置内部を左側方から示す図である。ここで、
図1は、給水装置1の各機器がキャビネット10のカバー102に覆われた状態を示しており、
図2は、カバー102を取り除いた状態で給水装置1の各機器を示している。
【0024】
給水装置1は、以下で説明する各機器を一体に収納する矩形ボックス状のキャビネット10を有する。キャビネット10は、キャビネット本体(ベース体)100と、ベース体100に対して取り付けられたカバー102と、を有する。ベース体100およびカバー102(カバー本体103)は、給水装置1の剛性が確保されるように、例えば鉄、鋼、ステンレスなどの金属で構成されている。
【0025】
図1に示すように、カバー102は、ベース体100の前面に取り付けられ、ベース体100と共に給水装置1の各機器を収納する。カバー102は、ベース体100に対してビスなどの固定具により着脱可能に取り付けられてもよいし、ベース体100に対してヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられてもよい。本実施形態では、キャビネット10は、ベース体100とカバー102にて施錠されておりメンテナンス作業員などの鍵を保有した技師によってカバー102の開閉がなされ、鍵を保有していない人によってはカバー102が開閉されないように構成されている。これにより、ユーザーによる誤操作などによって給水装置1が意図せずに停止し断水するなどの不具合を抑制できる。
【0026】
また、キャビネット10のカバー102は、後述する制御ユニット70の運転パネル76が外部から視認できるように、カバー本体103に開口105が形成されてプレート部104が設けられている。プレート部104は、運転パネル76に対応した位置に設けられている。
【0027】
図4は、本実施形態のカバーを背面から示す分解斜視図であり、
図5は、本実施形態のカバーのプレート部周辺を
図1中AA矢印方向から示す図である。なお、
図5では、後述する制御ユニット70についても合わせて示している。
図4および
図5に示すように、本実施形態では、プレート部104は、カバー本体103における運転パネル76(操作・表示ボード78および無線通信ボード79)に対応する位置に開口105が形成され、この開口105に透明または半透明の例えば樹脂製の窓板108が取り付けられて構成されている。具体的には、カバー本体103の背面には、雌ネジが形成されたボス106が開口105の周辺に設けられており、窓板108には、ボス106を挿通させる孔108aが設けられている。そして、ボス106と窓板108の孔108aとが位置合わせされた状態で、窓板108の孔108aよりも頭部が大きい固定具107がボス106と締結されることにより、窓板108がカバー本体103に固定されてプレート部104が形成されている。また、本実施形態では、固定具107およびボス106は、互いに締結された状態でシリコンなどの封止部109によって更に封止されている(
図5参照)。このため、本実施形態のプレート部104は、キャビネット10の内部に向けて若干突出した部分を有する。ただし、カバー102のプレート部104は、このようにカバー本体103の背面に窓板108が取り付けられてキャビネット10の内部に突出した部分を有するものに限定されず、例えば、カバー本体103の前面から窓板108が取り付けられるなど、
任意の方法で形成されればよい。また、
図5に示す例では、プレート部104は、カバー本体103の前面に対して若干の段差を有しているが、カバー本体103と前面が面一となるように形成されてもよい。
【0028】
説明を
図2,3に戻す。図示すように、キャビネット10の内部には、2台の縦型ポンプ12a,12bが鉛直方向に沿って並行に配置されている。縦型ポンプ12a,12bは、それぞれポンプ部14とモータ部16とを有する、例えばブースタポンプである。各縦型ポンプ12a,12bでは、モータ部16からの動力により、ポンプ部14が駆動される。
【0029】
縦型ポンプ12a,12bの吸込側には、水平方向に延びる吸込ヘッダ18が連結されている。吸込ヘッダ18には、減圧式逆流防止器24を介して、ストレーナ付きボール弁20を備えた吸込管22に接続されている。吸込管22には、吸込側の圧力を検出する圧力センサ26が取付けられている。これにより、ストレーナ付きボール弁20のストレーナ部に水道本管を接続し、ボール弁20を開いた状態で各縦型ポンプ12a,12bを運転することで、水道水が吸込管22、減圧式逆流防止器24、及び、吸込ヘッダ18を経由して、各縦型ポンプ12a,12bに吸い込まれる。
【0030】
一方、縦型ポンプ12a,12bの吐出側には、吐出エルボ管28が連結されている。吐出エルボ管28には、吐出された水の逆流を防止する吐出側逆止弁30を介して、縦型ポンプ12a,12bから吐出された水を集合(合流)させる吐出集合管34が連結されている。吐出集合管34は、小水量を検出して信号を送るフロースイッチ32を有する(
図3参照)。吐出集合管34は、吐出側の圧力を検出する圧力センサ36を有するバイパスヘッダ38の上端に接続されている。バイパスヘッダ38は、所定の位置で圧力タンク配管42を介して圧力タンク40が接続されており、下端でボール弁44を有する吐出管46に連結されている。
【0031】
これにより、縦型ポンプ12a,12bの運転に伴って縦型ポンプ12a,12bから吐出された水は、吐出エルボ管28、吐出側逆止弁30、吐出集合管34及びバイパスヘッダ38を経由して、吐出管46から外部に吐出される。また、吸込ヘッダ18内の水の圧力が充分に高い場合には、吸込ヘッダ18内の水が内蔵された逆止弁(図示せず)を経由して直接吐出管46に導かれて外部に吐出される。圧力タンク40は、縦型ポンプ12a,12bから吐出された加圧水を蓄圧することで縦型ポンプ12a,12bの頻繁な起動停止を防止し、且つ給水水圧を円滑に一定に保つ作用をする。
【0032】
縦型ポンプ12a,12bの上方位置には、インバータ装置54が設けられている。インバータ装置54は、縦型ポンプ12a,12bの各モータ部16に交流電力を周波数及び電圧を変えて供給することで各モータ部16を可変速駆動するためのものである。インバータ装置54は、キャビネット10に支持されたインバータケース56に収納されている。インバータケース56は、例えばアルミ製で放熱フィン50を有するヒートシンク52を有し、このヒートシンク52の上面にインバータ装置54を載置させて収納する。
【0033】
キャビネット10の上部には、圧力センサ26,36等の信号を受けて、末端の需要者における給水水圧が所定の圧力となるように縦型ポンプ12a,12bを可変速運転する制御ユニット(ポンプ制御ユニット)70が備えられている。制御ユニット70は、吸込管22の接続口および吐出管46の接続口よりも鉛直上方に配置されている。また、縦型ポンプ12a,12bの液体流路のうち最も鉛直上方の部位よりも鉛直上方に配置されていてもよい。これにより、給水装置1の設置時(水道本管と吸込管22の接続時、および、建物などの給水対象への給水管と吐出管46との接続時)などに制御ユニット70が被水することを抑制できる。また、本実施形態では、制御ユニット70は、インバータ装置
54を収納するインバータケース56とは別に、キャビネット10内に収納されている。これにより、インバータ装置54および制御ユニット70のそれぞれのメンテナンスおよび交換等を容易に行うことができる。
【0034】
図6は、本実施形態の制御ユニットを示す図である。制御ユニット70は、キャビネット10に支持され、制御ユニット70の各種構成を収納するユニットケース72を有する。ユニットケース72は、例えば、縦型ポンプ12a,12bを運転制御するためのメインボード73を収容してメインボード73の被水を防止する。ユニットケース72の前面には、運転パネル76が設けられている。運転パネル76は、ユニットケース72に対してビス止めなどで固定されている。
【0035】
図7は、本実施形態の運転パネルを前方から示す斜視図であり、
図8は、本実施形態の運転パネルを後方から示す斜視図である。図示するように、運転パネル76は、給水装置1の運転状態(例えば、給水装置10の吐出圧力、流入圧力、縦型ポンプ12a,12bの周波数(回転数)、モータ部16に作用する電流)を表示する表示部761、縦型ポンプ12a,12bの各運転・故障ランプ762、省エネモードの表示ランプ763、縦型ポンプ12a,12bの運転状態の表示ランプ764、異常表示ランプ765、及び、電源表示ランプ766などを有し、給水装置1に関する情報を表示する。また、運転パネル76は、省エネモードを選択するためのEボタン767、縦型ポンプ12a,12bの運転状態を選択するための選択ボタン768、表示部761の表示を切り替えるための切替ボタン769、給水装置1の各種情報を設定するための設定ボタン770、及び、自動運転/停止または手動運転/停止を選択する運転/停止スイッチ771を有し、給水装置1の各種操作を可能とする。なお、上記したように、運転パネル76を含む制御ユニット70はキャビネット10内部に収容されている。そして、カバー102が閉じられた状態では、ユーザーは、カバー102のプレート部104を介して運転パネル76を視認できるが、運転パネル76の操作はできない。
【0036】
また、運転パネル76には、無線通信のための通信部790が設けられている。こうした通信部790によって、ユーザーは、給水装置1から外部装置に情報を受信したり、外部装置から給水装置1に指令を送信したりすることができる。通信部790は、例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって外部装置(外部表示器)と通信する。そして、通信部790は、キャビネット10のカバー102が閉じられた状態においても、外部装置と通信可能に構成されている。ただし、通信部790は、NFCの他に、Bluetooth(登録商標)およびWi−Fiなど、任意の方式の無線通信を利用可能である。ただし、NFCは、通信部790と外部装置とを近づけるだけで通信を完了させることができる点で有利である。また、通信部790は、無線通信に加えて、例えばUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、キャビネット10のカバー102が開けられたときに有線通信できるように構成されてもよい。
【0037】
図5、
図7および
図8に示すように、運転パネル76は、樹脂などで形成されたパネル板77と、操作・表示ボード78と、無線通信ボード79とを有する。パネル板77は、操作・表示ボード78を支持する第1支持面77aと、無線通信ボード79を支持する第2支持面77bとを有し、運転パネル76のパネル面として機能する。操作・表示ボード78は、運転パネル76の操作・表示のための回路基板であり、パネル板77の第1支持面77aの背面に取り付けられて支持される。また、無線通信ボード79は、通信部790のための回路基板であり、パネル板77の第2支持面77bの背面に取り付けられて支持される。本実施形態では、パネル板77は、操作・表示ボード78を支持する第1支持面77aが鉛直上方に、無線通信ボード79を支持する第2支持面77bが鉛直下方に形成されている。ただし、第1支持面77aが鉛直下方で第2支持面77bが鉛直上方に形
成されてもよいし、水平方向に並んで形成されてもよい。本実施形態では、操作・表示ボード78と無線通信ボード79とは別々の回路基板であり、それぞれにパネル板77に支持される。また、操作・表示ボード78と無線通信ボード79とは、それぞれに縦型ポンプ12a,12bを運転制御するためのメインボード73に配線を介して電気的に接続される。ただし、こうした例に限定されず、操作・表示ボード78と無線通信ボード79とは、互いに配線を介して電気的に接続され、操作・表示ボード78と無線通信ボード79との一方を介してメインボード73に電気的に接続されてもよい。また、制御ユニット70は、メインボード73、操作・表示ボード78、及び無線通信ボード79のそれぞれを有するものに限定されず、操作・表示ボード78または無線通信ボード79がメインボード73と一体であってもよい。
【0038】
図8に示すように、操作・表示ボード78は、第1支持面77aの背面に図示しない金属製のビスを用いて固定されるように構成されている。一方、無線通信ボード79は、第2支持面77bの背面に設けられた爪部77cによって、第2支持面77bの背面に固定されるように構成されている。この爪部77cは、樹脂の射出成形によって第1支持面77aおよび第2次紙面77bと一体に形成されている。このように、無線通信ボード79は、金属製のビスなどで固定される代わりに樹脂で形成された爪部77cによってパネル板77に固定されているので、無線通信ボード79の傍に金属が配置されることによって無線通信機能が阻害されてしまうことを回避できる。なお、無線通信ボード79のパネル板77への固定は、
図8に示す例に限定されないが、金属製の固定具を用いることなく樹脂により着脱可能に固定されることが好ましい。たとえば、無線通信ボード79は、樹脂製のビスによってパネル板77に固定されることが好ましい。また、操作・表示ボード78についても、金属製のビスを用いて固定されるものに限定されず、樹脂により着脱可能に固定されてもよい。
【0039】
ここで、上記したように、本実施形態の運転パネル76には、各種操作のための各種ボタンおよび運転/停止スイッチ771等が設けられている。これらのボタンおよび運転/停止スイッチ771は、キャビネット10のカバー102の開け閉め、または、キャビネット10への外部からの衝撃などによって意図しない操作がなされないように、キャビネット10からある程度距離をあけて配置されることが好ましい。特に、運転パネル76のトグルスイッチまたはレバースイッチが含まれる場合には、プッシュスイッチのようにプログラムなどのソフトによって誤操作の無効を判断し、スイッチの状態を強制的に変更することは困難である。このため、本実施形態では、カバー102が閉じられたときに、運転パネル76の操作・表示ボード78と、カバー102のプレート部104と、の距離L1が比較的余裕をもって設けられている(例えば数cm(センチメートル)など)。また、これにより、プレート部104の突出部(封止部109など)が制御ユニット70(運転パネル76)と物理的に干渉することも防止できる。
【0040】
また、制御ユニット70内にはポンプ毎のブレーカ(不図示)が収容されており、且つ運転パネル76と同一操作面にてブレーカの操作が可能なように、ブレーカのスイッチが配置されている場合がある。ブレーカのスイッチを誤って落としてしまうと、ポンプの駆動源であるインバータの電源が落ち、そのポンプは給水できなくなる。カバー102の開閉時にブレーカを誤操作しない為にもカバー102とプレート部104との距離L1が比較的余裕をもって設けられている必要がある。
【0041】
一方、
図5に示すように、無線通信ボード79は、操作・表示ボード78に比べて装置の前方に位置するように配置されている。つまり、無線通信ボード79は、キャビネット10のプレート部104との距離L2が、操作・表示ボード78とプレート部104との距離L1よりも小さくなるように配置されている(L2<L1)。一例として、本実施形態では、無線通信ボード79とプレート部104との距離L2は数mm(ミリメートル)
である。本実施形態では、表示部761等よりも通信部790の方がキャビネット10のプレート部104に近くなるように、運転パネル76のパネル板77が形成されている。つまり、パネル板77は、操作・表示ボード78を支持する第1支持面77aと、無線通信ボード79を支持する第2支持面77bとに、段差77cを有している。また、運転パネル76の通信部790(パネル板77及び無線通信ボード79)は、カバー102が閉じられているときにプレート部104に対して平行となるように設けられている。一般に、通信部790がNFCの技術を用いている場合には、通信部790での無線通信を確保するために、無線通信ボード79に10cm(センチメートル)以下に近づけて外部装置をかざすことが好ましい。そして、本実施形態では、無線通信ボード79がキャビネット10のプレート部104の近くに配置されるので、ユーザーがプレート部104を介して通信部790に外部装置をかざした場合に、通信部790による外部装置との無線通信をより良好に行うことができる。
【0042】
図9は、制御ユニットと外部装置の一例を示す図である。
図9では、制御ユニット70を機能ブロック図で示している。図示するように、制御ユニット70は、データを記憶する記憶部701と、データを演算する演算部702と、圧力センサ26,36及びインバータ装置54などとデータのやりとりをするI/O部703としての機能を有する。また、データ設定のための設定部704と、データ表示のための表示部705と、外部との無線通信のための通信部790としての機能を有する。設定部704、表示部705、及び通信部790は、上記した運転パネル76に含まれる。なお、
図9に示す設定部704では、
図7などと異なり、リセットボタン780、および、クリアボタン781が備えられている。クリアボタン781の押下により、制御ユニット70は、運転パネル76での表示をクリアする。また、リセットボタン780の押下により、制御ユニット70は、異常情報(例えば、縦型ポンプ12a,12bの異常情報)、メンテナンス情報(例えば運転時間、始動回数、消耗部品の使用期間、故障履歴)などのデータをリセットする。
【0043】
外部装置170として、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器、または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。表示部705として、7セグメントLED及び表示灯などの簡易な表示器を採用することができる。また、外部装置170として、タッチ入力方式または押圧ボタン方式用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、表示部705には簡易な情報を表示でき、外部装置170には大きな情報量の情報を表示できる。こうした構成により、外部装置170に、制御ユニット70による縦型ポンプ12a,12bの制御に関した情報(例えば、目標圧、現在圧など)を表示することによって、給水装置に不慣れなユーザーも誤解することなく、給水装置1の状態を認識することができる。
【0044】
例えば、従来の給水装置1では、運転パネル76の表示部705には、通常運転時には縦型ポンプ12a,12bによる吐出圧が表示され、運転パネル76の操作に応じて、ポンプ毎の回転数、電流、電力等が表示されるように構成されていた。これらのポンプ毎の回転数などは、メンテナンス員が定期点検時または故障発生時に確認するのみだったが、本実施形態の給水装置1では、外部装置170を用いて例えば給水装置1の消費電力などの情報を日常的(例えば、1日に数回、1週間に数回、数時間ごと等)にトレンドグラフ化等して確認することができる。このため、カバー102を開けなくても外部装置170を用いて給水装置1を管理することができ、カバー102の開閉、及び、運転パネル76の機械的操作を減らしてこれらの損傷または劣化などを抑制できる。
【0045】
また、給水装置1の運転パネル76では、複数の故障が同時に発生した場合には、それぞれの故障情報を一定時間ごとに切り替えて表示を行い、ユーザーがすべての故障を把握することが困難な場合があった。これに対して、本実施形態の給水装置1では、外部装置170に大きな情報量の情報を表示することもできるので、ユーザーに故障情報を正確に
知らせることができる。
【0046】
また、給水装置1は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。こうした場合に備えて、表示部705として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、外部環境から発生される電気的なノイズによって外部装置170の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示部705により給水装置1の運転に必要な最低限度の表示および操作を行うことができる。したがって、給水装置1を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。
【0047】
さらに、外部装置170として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、又は、タブレットなどの汎用端末機器を採用した場合には、これらの機器に、外部装置170として作用するための専用のアプリケーションソフトウエアをインストールさせてもよい。この場合には、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意して使い分けることにより、ユーザーのレベル又は目的に沿った表示操作を提供することが可能である。
【0048】
以上説明した本実施形態の給水装置1では、キャビネット10のカバー102のプレート部104と無線通信ボード79との距離L2が、プレート部104と操作・表示ボード78との距離L1より小さい。このため、カバー102の開閉またはキャビネット10への衝撃などによって運転パネル76が誤操作されるのを防止できると共に、カバー102を閉じた状態で、通信部790によって外部装置との無線通信を良好に行うことができる。また、無線通信ボード79を含む制御ユニット70がキャビネット10に収容されているので、給水装置1の防水性、耐久性、及び堅牢性を確保できる。
【0049】
(第1変形例)
図10は、第1変形例の制御ユニットおよび外部装置を示す図である。第1変形例の制御ユニット70Aは、通信部790に代えて制御部側アンテナ部791が設けられている点、および制御部側アンテナ部791に接続された集積回路782を備えている点で、実施形態の制御ユニット70と異なっている。集積回路782は、不揮発性値記憶領域、および、揮発性記憶領域を有する記憶部701に電気的に接続されている。
【0050】
第1変形例の外部装置170は、電波を送受信する表示器側アンテナ部171と、表示部172と、バッテリー173と、データリーダー174と、を備えている。この外部装置170では、表示器側アンテナ部171で受信したデータがデータリーダー174で読み取られる。そして、データリーダー174で読み取られたデータ(例えば、目標圧、現在圧など)が表示部172で表示される。バッテリー173は、表示器側アンテナ部171、データリーダー174、および表示部172に電力を供給する。
【0051】
外部装置170として、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器を用いてもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器を用いてもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器に給水装置1の状態を表示させることができるので、ユーザーのレベル又は目的に沿った表示操作を提供することが可能である。たとえば、マンションまたはビルの管理人のような給水装置に関する専門知識のないユーザーに対して、ポンプ12a,12bの制御に関する情報などを分かり易く知らせることができる給水装置を安価に提供することができる。
【0052】
外部装置170を制御ユニット70A(通信部790)に近づけた状態で、表示器側アンテナ部171が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部791が受け取り、
制御部側アンテナ部791は電波を電力に変換する。この電力は集積回路782および記憶部701に供給されてこれら集積回路782および記憶部701を駆動する。集積回路782は、記憶部701に記憶されている上記データを読み取り、制御部側アンテナ部791にデータを送る。制御部側アンテナ部791は、データとともに電波を表示器側アンテナ部171に送信する。データリーダー174は、表示器側アンテナ部171が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部172に表示させる。
【0053】
外部装置170は、表示を消去するためのクリアボタン176と、データをリセットするためのリセットボタン(不図示)を備えていてもよい。ユーザーがクリアボタン176を押すと、表示部172に表示されているポンプ12a,12bの制御に関した情報表示(例えば、目標圧、現在圧など)が消去される。また、リセットボタンを押すと、リセット信号が制御ユニット70Aに送信され、リセット信号を受信した制御ユニット70Aは、ポンプ12a,12bの異常判定、及び、他のメンテナンス情報などのデータをリセットする。これにより、軽度の異常によって給水装置1が停止した場合に、キャビネット10のカバー102を開けることなく、外部装置170を用いて給水装置1を復帰させることもできる。リセットボタンは、例えば、給水装置1に故障が生じた場合に鳴るブザーを止めるために用いられてもよい。こうすれば、ユーザーは、キャビネット10のカバー102を開けることなく、外部装置170を用いてブザーを止めることができる。本実施形態のクリアボタン176は、表示部172の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン176は表示部172の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。第1変形例の制御ユニット70Aは、クリアボタンを備えていないが、制御ユニット70Aにクリアボタン、リセットボタンを設けてもよい。
【0054】
なお、表示のクリアおよびデータのリセットの操作は、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部装置170にクリアボタン176を設け、メンテナンス員が主に使用する制御ユニット70Aにリセットボタンを設ける。このように制御ユニット70Aにのみリセットボタンを設けることで、外部装置170を操作するユーザーによるリセットボタンの誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部装置170を設けることで、ユーザーの誤操作によるリセットを防止することができる。
【0055】
さらに、外部装置170には、省エネのためのEボタン(不図示)が設けられてもよい。外部装置170のEボタンを押すと、給水装置1は、省エネモードで運転される。また、省エネモードで運転されているときに、外部装置170のEボタンを押すことで、省エネモードでの運転が解除されてもよい。こうすれば、キャビネット10のカバー102を開けることなく、給水装置1を省エネモードとして省エネを図ることができるとともに、省エネモードによってユーザーが圧力不足を感じた場合には省エネモードを解除できる。
【0056】
(第2変形例)
図11は、第2変形例の給水装置を模式的に示す図である。実施形態の給水装置1では運転パネル76及びキャビネット10のプレート部104が水平方向に面していたのに対して、第2変形例の給水装置1Aでは、運転パネル76及びプレート部104がやや上方を向くように鉛直方向に対して傾斜して設けられている。第2変形例の給水装置1Aは、給水装置1Aの前面に向かうユーザーにとって運転パネル76の位置が低い(例えば、数十cm、120cm程度に位置するなど)場合などに有効である。このように、運転パネル76が傾けて配置される場合には、キャビネット10のプレート部104も運転パネル76の通信部790と平行になるように設けられることが好ましい。こうすれば、実施形態の給水装置1と同様に通信部790による外部装置との通信を良好にできる。なお、運転パネル76及びプレート部104がやや上方を向くように傾斜して設けられるものに限らず、給水装置の前面に向かうユーザーにとって運転パネル76の位置が高い(例えば、
2m程度に位置するなど)の場合には、運転パネル76及びプレート部104がやや下方を向くように傾斜して設けられてもよい。
【0057】
(第3変形例)
図12は、第3変形例の給水装置を模式的に示す図である。第3変形例の給水装置1Bでは、運転パネル76及びプレート部104がキャビネット10の前面に対して凹んだ位置に設けられている。こうすれば、キャビネット10によって運転パネル76を覆うことができ、外部からの光によって運転パネル76が視認しづらくなることを抑制できる。この場合においても、運転パネル76およびプレート部104は、平行に設けられることが好ましい。また、こうした例に限定されず、運転パネル76及びプレート部104がキャビネット10の前面に対して突出して設けられてもよい。
【0058】
(第4変形例)
図13は、第4変形例の給水装置を模式的に示す図であり、
図14は、第4変形例のカバーのプレート部周辺を
図13中AA矢印方向から示す図である。上記した実施形態では、プレート部104を通じて運転パネル76のすべてが外部から視認できるものとした(
図1参照)。しかし、プレート部104は、運転パネル76のうち操作・表示ボード78に対応する部分の少なくとも一部が外部から視認できればよく、例えば
図13及び
図14に示すように、プレート部204の一部が透明または半透明の部材204bで形成され、その他の部分が不透明の部材204aで形成されてもよい。
図13及び
図14に示す例では、プレート部204は、運転パネル76のうち給水装置1の情報を表示する部分(例えば、表示部761、運転・故障ランプ762、表示ランプ763、764、異常表示ランプ765、及び、電源表示ランプ766)は外部から視認できるように透明または半透明の部材204bで構成されている。一方、プレート部204は、通信部790は外部から視認できないように不透明の部材204aで構成されている。
図13及び
図14に示す例では、カバー本体103の開口105に不透明の部材204aが取り付けられ、部材204aの開口105aに透明または半透明の部材204bが取り付けられている。なお、カバー本体103及び部材204a,204bの固定は任意の方法でなされればよい。また、通信部790の前方に位置する不透明の部材204aは、通信部790による無線通信を妨げないように例えば樹脂などの材料で形成されればよい。さらに、透明または半透明の204bは、運転パネル76の一部が外部から視認できるように樹脂などの材料で形成されればよい。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。