特許第6675304号(P6675304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675304
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20200323BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200323BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20200323BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   H05B33/12 C
   H05B33/14 B
   C09K11/06 680
   C09K11/06 660
   C09K11/06 690
   C08G61/12
【請求項の数】11
【全頁数】99
(21)【出願番号】特願2016-514866(P2016-514866)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】JP2015061318
(87)【国際公開番号】WO2015163174
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2018年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-91611(P2014-91611)
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597063048
【氏名又は名称】ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 龍二
(72)【発明者】
【氏名】スチューデル,レジン,アネッタ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン リチャード
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/021180(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/108037(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/005031(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/164647(WO,A2)
【文献】 特表2012−502485(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/078387(WO,A1)
【文献】 特開2008−106241(JP,A)
【文献】 特開2013−256655(JP,A)
【文献】 特開2014−148663(JP,A)
【文献】 特開2014−239219(JP,A)
【文献】 特表2014−528972(JP,A)
【文献】 特表2014−503673(JP,A)
【文献】 特表2015−523675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/12
C08G 61/12
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
陰極と、
陽極及び陰極の間に設けられた第1の発光層と、
陽極及び陰極の間に設けられた第2の発光層とを有し、
第1の発光層が、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含み、発光ピーク波長が570nm以上700nm以下である高分子化合物を用いて得られる層であり、
第2の発光層が、複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物と、少なくとも2種の燐光発光性化合物とを含有する組成物を用いて得られる層であり、
前記少なくとも2種の燐光発光性化合物が、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である少なくとも1種の燐光発光性化合物(B)及び発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である少なくとも1種の燐光発光性化合物(G)を含む、発光素子。
【請求項2】
前記第1の発光層が、前記陽極と前記第2の発光層との間に設けられている、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物が、式(H−1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の発光素子。
【化1】
[式中、
ArH1及びArH2は、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1及びnH2は、それぞれ独立に、0又は1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するnH2は、同一でも異なっていてもよい。
H3は、1以上の整数を表す。
H1は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H2は、−N(−LH3−RHA)−で表される基又は−[C(RHB]nH4−で表される基を表す。RHAは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH3は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RHBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRHBは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。nH4は1以上10以下の整数を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
但し、ArH1、ArH2、LH1及びLH2の少なくとも一つは、1価若しくは2価の複素環基であるか、又は1価若しくは2価の複素環基を含む基である。]
【請求項4】
前記燐光発光性化合物(B)が、式(1)で表される燐光発光性化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子。
【化2】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、n+nは2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E及びEの少なくとも一方は炭素原子である。
環Rは、5員環又は6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環Rは、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、環Rは電子求引基を有する。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAと共に2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項5】
前記式(1)で表される燐光発光性化合物が、式(1−A)で表される燐光発光性化合物である、請求項4に記載の発光素子。
【化3】
[式中、
、n及びA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
は、イリジウム原子又は白金原子を表す。
1A、E2A、E3A、E4A、E2B、E3B、E4B及びE5Bは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E1A、E2A、E3A、E4A、E2B、E3B、E4B及びE5Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E2A、E3A及びE4Aが窒素原子の場合、R2A、R3A及びR4Aは、存在しても存在しなくてもよい。E2B、E3B、E4B及びE5Bが窒素原子の場合、R2B、R3B、R4B及びR5Bは、存在しない。
2A、R3A、R4A、R2B、R3B、R4B及びR5Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R2A、R3A、R4A、R2B、R3B、R4B及びR5Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R2AとR3A、R3AとR4A、R2AとR2B、R2BとR3B、R3BとR4B、及び、RとR5Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
環R1Aは、窒素原子、E1A、E2A、E3A及びE4Aにより構成されるトリアゾール環又はイミダゾール環を表す。
環R1Bは、2つの炭素原子、E2B、E3B、E4B及びE5Bにより構成されるベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環を表す。]
【請求項6】
燐光発光性化合物(G)が、式(2)で表される燐光発光性化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光素子。
【化4】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、n+nは2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
は、炭素原子又は窒素原子を表す。
環Rは、6員環の芳香族複素環を表し、この環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Rは、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAと共に2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項7】
前記架橋基を有する構成単位が、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する構成単位である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光素子。
(架橋基A群)
【化5】
[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0〜5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよい。]
【請求項8】
前記架橋基を有する構成単位が、式(11)で表される構成単位及び式(12)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である、請求項7に記載の発光素子。
【化6】
[式中、
nAは0〜5の整数を表し、nは1又は2を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、(n+2)価の芳香族炭化水素基又は(n+2)価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xは、架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化7】
[式中、
mAは0〜5の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、cは0又は1の整数を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、(m+2)価の芳香族炭化水素基、(m+2)価の複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した(m+2)価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、前記と同じ意味を表す。Kが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’は、架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、架橋基A群から選ばれる架橋基である。]
【請求項9】
前記燐光発光性構成単位が、式(1G)、式(2G)、式(3G)及び式(4G)で表される構成単位群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光素子。
【化8】
[式中、
1Gは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す。
は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−で表される基、−C(R−で表される基、−C(R)=C(R)−で表される基、−C≡C−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
a1は0以上の整数を表す。]
【化9】
[式中、
1Gは前記と同じ意味を表す。
及びLは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−で表される基、−C(R−で表される基、−C(R)=C(R)−で表される基、−C≡C−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R及びRは、前記と同じ意味を表す。L及びLが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
b1及びnc1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するnb1は、同一でも異なっていてもよい。
Ar1Mは、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【化10】
[式中、
及びnb1は、前記と同じ意味を表す。
2Gは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【化11】
[式中、
及びnb1は、前記と同じ意味を表す。
3Gは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【請求項10】
前記架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物が、更に、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光素子。
【化12】
[式中、
及びaは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化13】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項11】
前記第2の発光層と前記陰極との間に、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも1層を更に有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び該発光素子に用いる高分子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、ディスプレイや照明への応用が期待されている。照明用途に関しては、青色発光を示す材料と、緑色発光を示す材料と、赤色発光を示す材料とを所定の比率で用いることで、白色発光を示す発光素子が得られることが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
大面積のディスプレイや照明を低コストで作製するためには、発光素子に必要な機能層を、ウェットプロセスで成膜する技術が求められている。例えば、特許文献2には、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の全てを塗布法で作製した、全燐光型の白色発光素子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−185357号公報
【特許文献2】国際公開第2007/114244号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の発光素子に関しては、その外部量子効率は必ずしも十分ではなかった。そこで、本発明の課題は、外部量子効率に優れる発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一に、
陽極と、
陰極と、
陽極及び陰極の間に設けられた第1の発光層と、
陽極及び陰極の間に設けられた第2の発光層とを有し、
第1の発光層が、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物を用いて得られる層であり、
第2の発光層が、複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物と、少なくとも2種の燐光発光性化合物とを含有する組成物を用いて得られる層である、発光素子を提供する。
【0007】
本発明は、第二に、
式(13)で表される基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物を提供する。
【化1】
[式中、
nBは1〜5の整数を表す。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。]
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部量子効率に優れる発光素子を提供することができる。また、本発明の好ましい実施形態によれば、発光効率に優れる発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0011】
或る層と、該層を形成するための材料との関係についていう「用いて得られる」とは、該材料を用いて該層が形成されていることを意味し、該材料がそのまま該層に含まれていることは要しない。例えば、本発明の発光素子において、第1の発光層は、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物を用いて形成されるが、該高分子化合物をそのままの状態で含む必要はない。該高分子化合物は、層形成の際に架橋し、架橋体となるためである。
【0012】
基、環又は化合物についていう「置換基を有していてもよい」とは、該基、該環又は該化合物の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該基、該環又は該化合物の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
【0013】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
【0014】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0015】
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0016】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10〜1×10である重合体を意味する。
【0017】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0018】
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性または輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0019】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10以下の化合物を意味する。
【0020】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0021】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0022】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50、好ましくは3〜30、より好ましくは4〜20又は4〜10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50、好ましくは3〜30、より好ましくは4〜20又は4〜10である。アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシル−デシル基、ドデシル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、アルキル基が有していてもよい好適な置換基としては、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基、6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
【0023】
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50、好ましくは3〜30、より好ましくは4〜20又は4〜10である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、シクロアルキル基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0024】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜18、6〜14、又は6〜10である。アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、アリール基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。置換基を有するアリール基としては、例えば、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基が挙げられる。
【0025】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜10である。アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。置換基については後述するが、アルコキシ基が有していてもよい好適な置換基としては、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等が挙げられる。
【0026】
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、シクロアルコキシ基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、フッ素原子等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0027】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60、好ましくは6〜48、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜18、6〜14、又は6〜10である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、アリールオキシ基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0028】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。「複素環式化合物」は、オキシラン、アジリジン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、ピペリジン等の非芳香族複素環式化合物、及び、後述する芳香族複素環式化合物を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。「芳香族複素環式化合物」は、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン(ピリダジン、ピリミジン、ピラジン)、トリアジン、アザナフタレン(キノリン、イソキノリン)、ジアザナフタレン(キノキサリン、キナゾリン等)、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、アクリジン等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。p価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60、好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜15である。
【0029】
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、1価の複素環基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0030】
「置換アミノ基」は、その水素原子の1個又は2個が置換基で置換されているアミノ基を意味する。置換基については後述するが、アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられ、具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0031】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは3〜20又は3〜10である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜20又は4〜10である。アルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、アルケニル基が有していてもよい好適な置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0032】
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜20又は4〜10である。シクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、シクロアルケニル基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0033】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜20、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常4〜30、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。アルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、アルキニル基が有していてもよい好適な置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0034】
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常3〜30、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。シクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロプロピニル基、シクロブチニル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、シクロアルキニル基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0035】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜18、6〜14、又は6〜10である。アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、アリーレン基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。アリーレン基の好適な例としては、式(A−1)〜式(A−20)で表される基が挙げられる。これらの基の少なくとも2つが直接結合した基もまた、アリーレン基として好適である。
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。複数存在するR及びRは、各々、同一でも異なっていてもよく、R同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0040】
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジンジイル基、ジアザベンゼンジイル基(ピリダジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピラジンジイル基)、トリアジンジイル基、アザナフタレンジイル基(キノリンジイル基、イソキノリンジイル基)、ジアザナフタレンジイル基(キノキサリンジイル基、キナゾリンジイル基等)、カルバゾールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基、ジベンゾシロールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アクリジンジイル基、ジヒドロアクリジンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、アゾールジイル基、ジアゾールジイル基、トリアゾールジイル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については後述するが、2価の複素環基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。2価の複素環基の好適な例としては、式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基が挙げられる。これらの基の少なくとも2つが直接結合した基もまた、2価の複素環基として好適である。
【0041】
【化6】
【0042】
【化7】
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
[式中、R及びRは、前記と同じ意味を表す。]
【0048】
「q価の芳香族炭化水素基」(qは、1以上の整数を表す。)とは、芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。1価の芳香族炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基は、それぞれアリール基及びアリーレン基ともいい、詳細は先述のとおりである。q価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜18、6〜14、又は6〜10である。
【0049】
「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、架橋基A群における式(XL−1)〜式(XL−17)で表される架橋基である。
【0050】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表す。置換基はまた、架橋基であってもよい。これらの置換基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0051】
「デンドロン」とは、原子又は環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造(即ち、デンドリマー構造)を有する基を意味する。デンドロンを有する化合物(以下、「デンドリマー」という。)としては、例えば、国際公開第02/067343号、特開2003−231692号公報、国際公開第2003/079736号、国際公開第2006/097717号等の文献に記載の構造が挙げられる。
【0052】
デンドロンは、好ましくは、式(D−A)又は式(D−B)で表される基である。
【0053】
【化13】
[式中、
DA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0054】
【化14】
[式中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0055】
式(D−A)及び式(D−B)において、複数あるTDAの少なくとも1つは、炭素原子数4以上のアルキル基若しくは炭素原子数4以上のシクロアルキル基を置換基として有するアリール基、又は、炭素原子数4以上のアルキル基若しくは炭素原子数4以上のシクロアルキル基を置換基として有する1価の複素環基であることが好ましく、複数あるTDAの全てが、炭素原子数4以上のアルキル基若しくは炭素原子数4以上のシクロアルキル基を置換基として有するアリール基、又は、炭素原子数4以上のアルキル基若しくは炭素原子数4以上のシクロアルキル基を置換基として有する1価の複素環基であることがより好ましい。
【0056】
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、通常10以下の整数、好ましくは5以下の整数、より好ましくは0又は1である。mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、同一の整数であることが好ましい。
【0057】
DAで表される3価の芳香族炭化水素基及び3価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換基については先述のとおりであるが、GDAで表される3価の芳香族炭化水素基及び3価の複素環基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0058】
DAは、好ましくは3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。GDAは、より好ましくは式(GDA−11)〜式(GDA−15)で表される基である。
【0059】
【化15】
[式中、
*は、式(D−A)におけるArDA1、式(D−B)におけるArDA1、式(D−B)におけるArDA2、又は、式(D−B)におけるArDA3との結合を表す。
**は、式(D−A)におけるArDA2、式(D−B)におけるArDA2、式(D−B)におけるArDA4、又は、式(D−B)におけるArDA6との結合を表す。
***は、式(D−A)におけるArDA3、式(D−B)におけるArDA3、式(D−B)におけるArDA5、又は、式(D−B)におけるArDA7との結合を表す。
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。RDAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0060】
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0061】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、好ましくは式(ArDA−1)〜式(ArDA−3)で表される基である。
【0062】
【化16】
[式中、
DAは前記と同じ意味を表す。
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0063】
DBは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0064】
DAは、好ましくは式(TDA−1)〜式(TDA−3)で表される基である。
【0065】
【化17】
[式中、RDA及びRDBは前記と同じ意味を表す。]
【0066】
式(D−A)で表される基は、好ましくは式(D−A1)〜式(D−A3)で表される基である。
【0067】
【化18】
[式中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0又は1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0068】
式(D−B)で表される基は、好ましくは式(D−B1)〜式(D−B3)で表される基である。
【0069】
【化19】
[式中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0又は1を表す。np1及びnp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0070】
np1は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
【0071】
p1、Rp2及びRp3は、好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0072】
式(D−A1)〜式(D−A3)および式(D−B1)〜式(D−B3)中、複数あるRp1の少なくとも1つは、炭素原子数4以上のアルキル基または炭素原子数4以上のシクロアルキル基であることが好ましく、複数あるRp1の全てが、炭素原子数4以上のアルキル基または炭素原子数4以上のシクロアルキル基であることが好ましい。
【0073】
「r員環の芳香族炭素環」(rは、5又は6である。)とは、その構造中にr員環を含む芳香族炭素環を意味する。例えば、6員環の芳香族炭素環とは、6員環を含む限り、単環式の芳香族炭素環(ベンゼン環)であっても、多環式の芳香族炭素環(ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等)であってもよい。「r員環の芳香族複素環」についても同様である。
【0074】
[発光素子]
本発明の発光素子は、
陽極と、
陰極と、
陽極及び陰極の間に設けられた第1の発光層と、
陽極及び陰極の間に設けられた第2の発光層とを有し、
第1の発光層が、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物を用いて得られる層であり、
第2の発光層が、複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物と、少なくとも2種の燐光発光性化合物とを含有する組成物を用いて得られる層であることを特徴とする。
【0075】
<第1の発光層>
第1の発光層は、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物を用いて得られる層である。
【0076】
架橋基を有する構成単位は、好ましくは、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する構成単位である。
(架橋基A群)
【化20】
[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0〜5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよい。]
【0077】
架橋基としては、架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−5)、式(XL−7)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基が好ましく、式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基がより好ましい。架橋基を有する構成単位は、後述する式(11)で表される構成単位及び式(12)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位であることが好ましいが、下記式で表される構成単位であってもよい。下記式で表される構成単位は置換基を有していてもよい。
【0078】
【化21】
【0079】
架橋基を有する構成単位は、式(11)で表される構成単位及び式(12)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位であることが好ましい。中でも、架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、架橋基を有する構成単位は、式(11)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位であることが好ましい。
【0080】
−式(11)で表される構成単位−
【化22】
[式中、
nAは0〜5の整数を表し、nは1又は2を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、(n+2)価の芳香族炭化水素基又は(n+2)価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xは、架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0081】
nAは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1又は2である。
【0082】
nは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは2である。
【0083】
Arは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは置換基を有していてもよい(n+2)価の芳香族炭化水素基である。
【0084】
Arで表される(n+2)価の芳香族炭化水素基及び(n+2)価の複素環基は置換基を有していてもよく、好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0085】
Arで表される(n+2)価の芳香族炭化水素基は、好ましくは式(A−1)〜式(A−20)で表される基(但し、R及びRのうちn個は結合手である。)であり、より好ましくは式(A−1)、式(A−2)、式(A−6)〜式(A−10)、式(A−19)又は式(A−20)で表される基(但し、R及びRのうちn個は結合手である。)であり、さらに好ましくは式(A−1)、式(A−2)、式(A−7)、式(A−9)又は式(A−19)で表される基(但し、R及びRのうちn個は結合手である。)である。
【0086】
Arで表される(n+2)価の複素環基は、好ましくは式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基(但し、R及びRのうちn個は結合手である。)である。
【0087】
で表されるアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。Lで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜10である。アルキレン基及びシクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、オクチレン基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については先述のとおりであるが、Lで表されるアルキレン基及びシクロアルキレン基が有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0088】
で表されるアリーレン基の好適な例としては、o−フェニレン、m−フェニレン、p−フェニレン、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。置換基については先述のとおりであるが、Lで表されるアリーレン基が有してもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基及び架橋基A群から選ばれる架橋基が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0089】
は、高分子化合物の製造が容易になるので、好ましくはアルキレン基又はアリーレン基であり、より好ましくはアルキレン基又はフェニレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0090】
Xで表される架橋基は、架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、好ましくは式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−5)、式(XL−7)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、より好ましくは式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基である。
【0091】
式(11)で表される構成単位としては、例えば、式(11−1)〜式(11−30)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、好ましくは式(11−1)〜式(11−15)、式(11−19)、式(11−20)、式(11−23)、式(11−25)又は式(11−30)で表される構成単位であり、より好ましくは式(11−1)〜式(11−9)又は式(11−30)で表される構成単位である。
【0092】
【化23】
【0093】
【化24】
【0094】
高分子化合物中の式(11)で表される構成単位の含量は、安定性及び架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量を100モル%としたとき、好ましくは0.5〜40モル%、より好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは10〜40モル%である。
【0095】
式(11)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0096】
−式(12)で表される構成単位−
【化25】
[式中、
mAは0〜5の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、cは0又は1の整数を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、(m+2)価の芳香族炭化水素基、(m+2)価の複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した(m+2)価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、前記と同じ意味を表す。Kが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’は、架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、架橋基A群から選ばれる架橋基である。]
【0097】
mAは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0098】
mは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは2である。
【0099】
cは、高分子化合物の製造が容易になり、かつ、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは0である。
【0100】
Arは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは置換基を有していてもよい(m+2)価の芳香族炭化水素基である。
【0101】
Arで表される基は置換基を有していてもよく、好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0102】
Arで表される(m+2)価の芳香族炭化水素基は、好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)若しくは式(A−19)で表される基(但し、R及びRのうちm個は結合手である。)である。
【0103】
Arで表される(m+2)価の複素環基は、好ましくは式(AA−1)、式(AA−2)、式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基(但し、R及びRのうちm個は結合手である。)である。
【0104】
Arで表される少なくとも1種の芳香族炭素環と少なくとも1種の複素環が直接結合した(m+2)価の基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常10〜80、好ましくは10〜60、より好ましくは12〜28である。斯かる(m+2)価の基は、好ましくは、式(A−1)又は式(A−9)で表される基の少なくとも1つと式(AA−1)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基の少なくとも1つとが直接結合した基(但し、形成される基において、R及びRのうちm個は結合手である。)である。
【0105】
Ar及びArは、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0106】
Ar及びArで表される基は置換基を有していてもよく、好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0107】
Ar及びArで表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)又は式(A−9)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)で表される基である。
【0108】
Ar及びArで表される2価の複素環基は、好ましくは式(AA−1)、式(AA−2)、式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基である。
【0109】
で表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基は、Lについて説明したとおりである。
【0110】
は、高分子化合物の製造が容易になるので、アルキレン基又はアリーレン基であることが好ましく、メチレン基又はフェニレン基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0111】
X’で表される架橋基は、架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、好ましくは式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−5)、式(XL−7)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、より好ましくは式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基である。
【0112】
式(12)で表される構成単位としては、例えば、式(12−1)〜式(12−13)で表される構成単位が挙げられる。
【0113】
【化26】
【0114】
式(12)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0115】
第1の発光層に用いられる高分子化合物は、上記の架橋基を有する構成単位と共に燐光発光性構成単位を含む。燐光発光性構成単位とは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子を取り除いてなる基を含む構成単位をいう。
【0116】
燐光発光性構成単位は、式(1G)、式(2G)、式(3G)及び式(4G)で表される構成単位群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0117】
【化27】
[式中、
1Gは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す。
は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−で表される基、−C(R−で表される基、−C(R)=C(R)−で表される基、−C≡C−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
a1は0以上の整数を表す。]
【0118】
は、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0119】
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基がさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0120】
は、−C(R−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、−C(R−で表される基又はアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることがさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。中でも、式(A−1)又は式(A−2)で表される基が好ましい。
【0121】
、R及びLが有していてもよい好適な置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0122】
a1は、通常0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
【0123】
高分子化合物が式(1G)で表される構成単位を含む場合、式(1G)で表される構成単位は末端の構成単位である。
【0124】
「末端の構成単位」とは、高分子化合物の末端の構成単位を意味し、該末端の構成単位は、高分子化合物の製造において、末端封止剤から誘導される構成単位であることが好ましい。
【0125】
1Gは、式(GM−1)で表される基であることが好ましい。
【0126】
【化28】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。但し、n+nは1又は2である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは2であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは1である。
は、炭素原子又は窒素原子を表す。複数存在するEは同一でも異なっていてもよい。
環R1G及び環R1G1は、6員環の芳香族複素環を表し、該環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環R1Gが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環R2G及び環R2G1は、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環R2Gが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R2Gが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環R1G1及び環R2G1の一方は、1つの結合手を有する。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAと共に2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0127】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは0又は1であり、0であることがより好ましい。
【0128】
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合の場合、nは0である。
【0129】
環R1Gは、1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員環の芳香族複素環であることが好ましく、1つ以上2つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員環の芳香族複素環であることがより好ましく、ピリジン環、ジアザベンゼン環、キノリン環又はイソキノリン環であることがさらに好ましく、ピリジン環、キノリン環又はイソキノリン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0130】
環R2Gは、6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、ピロール環、フラン環又はチオフェン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環又はフルオレン環であることがさらに好ましく、ベンゼン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0131】
環R1G及び環R2Gが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、又はデンドロンが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はデンドロンがさらに好ましく、アルキル基、アリール基又はデンドロンが特に好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。環R1G及び環R2Gにおいて置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合してそれぞれが結合する原子と共に環を形成してもよい。
【0132】
環R1G及び環R2Gからなる群から選ばれる少なくとも1つの環がデンドロンを有する燐光発光性化合物であることがより好ましい。
【0133】
環R1G及び環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンの個数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
【0134】
環R1G及び環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンが、式(D−A)又は式(D−B)で表される基であり、且つ、mDA1が1以上の整数である場合、環R1G及び/又は環R2Gに結合するArDA1は、式(ArDA−1)で表される基であることが好ましい。
【0135】
環R1G及び環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンが、式(D−A)又は式(D−B)で表される基であり、且つ、mDA1が0である場合、環R1G及び/又は環R2Gに結合するGDAは、式(GDA−11)、式(GDA−12)、式(GDA−14)又は式(GDA−15)で表される基であることが好ましく、式(GDA−11)又は式(GDA−15)で表される基であることがより好ましい。
【0136】
環R1G及び環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンとしては、式(D−A1)、式(D−A3)、式(D−B1)又は式(D−B3)で表される基であることが好ましく、式(D−A1)又は式(D−A3)で表される基であることがより好ましい。
【0137】
式(GM−1)において、添え字nでその数を定義されている配位子(環R1G−環R2Gで表される配位子)の少なくとも1つは、式(GM−L1)〜式(GM−L4)で表される配位子であることが好ましく、式(GM−L1)又は式(GM−L2)で表される配位子であることがより好ましい。
【0138】
【化29】
[式中、
G1〜RG8は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RG1とRG2、RG2とRG3、RG3とRG4、RG4とRG5、RG5とRG6、RG6とRG7、及び、RG7とRG8は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0139】
G1、RG4、RG5及びRG8は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0140】
G2、RG3、RG6及びRG7は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがさらに好ましく、水素原子又はデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0141】
G1〜RG8の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることが好ましく、RG2、RG3、RG6及びRG7の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0142】
式(GM−L1)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG2、RG3、RG6及びRG7の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG2及びRG6の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましい。
【0143】
式(GM−L1)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を有する場合、RG2、RG3、RG6及びRG7の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることが好ましく、RG2及びRG6の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0144】
式(GM−1)において、式(GM−L1)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG1〜RG8は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0145】
【化30】
[式中、
G9〜RG18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RG9とRG10、RG10とRG11、RG11とRG12、RG12とRG13、RG13とRG14、RG14とRG15、RG15とRG16、RG16とRG17、及び、RG17とRG18は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0146】
G9、RG11〜RG15及びRG18は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0147】
G10、RG16及びRG17は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがさらに好ましく、水素原子又はデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0148】
G9〜RG18の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることが好ましく、RG10、RG16及びRG17の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0149】
式(GM−L2)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG10、RG16及びRG17の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG16及びRG17の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましく、RG16がデンドロンであることがさらに好ましい。
【0150】
式(GM−L2)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を有する場合、RG10、RG16及びRG17の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることが好ましく、RG16及びRG17の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることがより好ましい。
【0151】
式(GM−1)において、式(GM−L2)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG9〜RG18は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0152】
【化31】
[式中、
G19〜RG28は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RG19とRG20、RG20とRG21、RG21とRG22、RG22とRG23、RG23とRG24、RG24とRG25、RG25とRG26、RG26とRG27、及び、RG27とRG28は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0153】
G19〜RG25及びRG28は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0154】
G26及びRG27は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがさらに好ましく、水素原子又はデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0155】
G19〜RG28の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることが好ましく、RG26及びRG27の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0156】
式(GM−L3)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG26及びRG27の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG26がデンドロンであることがより好ましい。
【0157】
式(GM−L3)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を有する場合、RG26及びRG27の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0158】
式(GM−1)において、式(GM−L3)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG19〜RG28は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0159】
【化32】
[式中、
G29〜RG38は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RG29とRG30、RG30とRG31、RG31とRG32、RG32とRG33、RG33とRG34、RG34とRG35、RG35とRG36、RG36とRG37、及び、RG37とRG38は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0160】
G29〜RG32、RG34、RG35及びRG38は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0161】
G33、RG36及びRG37は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はデンドロンであることがさらに好ましく、水素原子又はデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0162】
G29〜RG38の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることが好ましく、RG33、RG36及びRG37の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0163】
式(GM−L4)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG36及びRG37の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG36がデンドロンであることが更に好ましい。
【0164】
式(GM−L4)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を有する場合、RG33、RG36及びRG37の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることが好ましく、RG36及びRG37の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることがより好ましく、RG36がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基であることがさらに好ましい。
【0165】
式(GM−1)において、式(GM−L4)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG29〜RG38は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0166】
環R1G1が結合手を有さない場合、環R1G1の定義は、前述の環R1Gの定義と同様である。
【0167】
環R1G1が結合手を有する場合、環R1G1の結合手を除いた環部分の定義は、前述の環R1Gの定義と同様である。
【0168】
環R2G1が結合手を有さない場合、環R2G1の定義は、前述の環R2Gの定義と同様である。
【0169】
環R2G1が結合手を有する場合、環R2G1の結合手を除いた環部分の定義は、前述の環R2Gの定義と同様である。
【0170】
式(GM−1)において、環R1G1−環R2G1で表される配位子は、式(GM−L1)〜式(GM−L4)で表される配位子であることが好ましく、式(GM−L1)又は式(GM−L2)で表される配位子であることがより好ましい。
【0171】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L1)である場合、RG1〜RG8のうち、1つが結合手を表し、RG2、RG3、RG6又はRG7が結合手であることが好ましく、RG2、RG6又はRG7が結合手であることがより好ましく、RG2又はRG6が結合手であることがさらに好ましく、RG6が結合手であることが特に好ましい。
【0172】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L2)である場合、RG9〜RG18のうち、1つが結合手を表し、RG10、RG16又はRG17が結合手であることが好ましく、RG16が結合手であることがより好ましい。
【0173】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L3)である場合、RG19〜RG28のうち、1つが結合手を表し、RG26又はRG27が結合手であることが好ましく、RG26が結合手であることがより好ましい。
【0174】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L4)である場合、RG29〜RG38のうち、1つが結合手を表し、RG36又はRG37が結合手であることが好ましく、RG36が結合手であることがより好ましい。
【0175】
−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。
【0176】
【化33】
[式中、*は、Mと結合する部位を表す。これらの2座配位子は置換基を有していてもよい。]
【0177】
【化34】
[式中、
1Gは前記と同じ意味を表す。
及びLは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−で表される基、−C(R−で表される基、−C(R)=C(R)−で表される基、−C≡C−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R及びRは、前記と同じ意味を表す。L及びLが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
b1及びnc1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するnb1は、同一でも異なっていてもよい。
Ar1Mは、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0178】
は、−C(R−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、アリーレン基又は2価の複素環基であることがより好ましく、アリーレン基であることがさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。中でも、式(A−1)又は式(A−2)で表される基が好ましい。
【0179】
は、−C(R−で表される基、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、−C(R−で表される基又はアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることがさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。中でも、式(A−1)又は式(A−2)で表される基が好ましい。
【0180】
b1及びnc1は、通常0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
【0181】
Ar1Mは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、フェノキサジン環又はフェノチアジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環又はジヒドロフェナントレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることがより好ましく、ベンゼン環又はフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることがさらに好ましく、ベンゼン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0182】
、L及びAr1Mが有していてもよい置換基は、前述の環R1G及び環R2Gが有していてもよい置換基と同様である。
【0183】
【化35】
[式中、
及びnb1は、前記と同じ意味を表す。
2Gは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0184】
2Gは、式(GM−2)又は式(GM−3)で表される基であることが好ましく、式(GM−2)で表される基であることがより好ましい。
【0185】
【化36】
[式中、
M、E、環R1G、環R2G、A−G−A、環R1G1、環R2G1、n、及びnは前記と同じ意味を表す。
及びnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。但し、n+nは0又は1である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは1であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは0である。
環R1G2は、6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
環R2G2は、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
但し、環R1G2及び環R2G2の一方は2つの結合手を有するか、又は、環R1G2及び環R2G2は、それぞれ、結合手を1つずつ有する。]
【0186】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは0であることが好ましい。
【0187】
環R1G2が結合手を有さない場合、環R1G2の定義は、前述の環R1Gの定義と同様である。
【0188】
環R1G2が結合手を有する場合、環R1G2の結合手を除いた環部分の定義は、前述の環R1Gの定義と同様である。
【0189】
環R2G2が結合手を有さない場合、環R2G2の定義は、前述の環R2Gの定義と同様である。
【0190】
環R2G2が結合手を有する場合、環R2G2の結合手を除いた環部分の定義は、前述の環R2Gの定義と同様である。
【0191】
環R1G2及び環R2G2が有していてもよい置換基は、前述の環R1G及び環R2Gが有していてもよい置換基と同様である。
【0192】
環R1G2及び環R2G2は、それぞれ、結合手を1つずつ有することが好ましい。
【0193】
環R1G2−環R2G2で表される配位子は、式(GM−L1)〜式(GM−L4)で表される配位子であることが好ましく、式(GM−L1)又は式(GM−L2)で表される配位子であることがより好ましい。
【0194】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L1)である場合、RG1〜RG8のうち、2つが結合手を表し、RG2、RG3、RG6及びRG7のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG2及びRG6、RG2及びRG7、RG3及びRG6、又は、RG3及びRG7が結合手であることがより好ましい。
【0195】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L2)である場合、RG9〜RG18のうち、2つが結合手を表し、RG10、RG16及びRG17のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG10及びRG16、又は、RG10及びRG17が結合手であることがより好ましい。
【0196】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L3)である場合、RG19〜RG28のうち、2つが結合手を表し、RG20〜RG23、RG26及びRG27のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG26、並びに、RG20、RG21、RG22及びRG23からなる群から選ばれる1つが結合手であること、又は、RG27、並びに、RG20、RG21、RG22及びRG23からなる群から選ばれる1つが結合手であることがより好ましい。
【0197】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L4)である場合、RG29〜RG38のうち、2つが結合手を表し、RG36、RG37及びRG33のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG36及びRG33、又は、RG37及びRG33が結合手であることがより好ましい。
【0198】
前記式(3G)において、L、及びnb1の好ましい範囲については、式(2G)におけるL、及びnb1と同じである。
【0199】
【化37】
[式中、
及びnb1は、前記と同じ意味を表す。
3Gは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0200】
3Gは、式(GM−4)で表される基であることが好ましい。
【0201】
【化38】
[式中、
M、E、環R1G1、環R2G1、環R1G2、及び環R2G2は前記と同じ意味を表す。
は0又は1を表す。nは1又は3を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは0であり、且つ、nは3である。Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、nは1であり、且つ、nは1である。]
【0202】
前記式(4G)において、L、及びnb1の好ましい範囲については、式(2G)におけるL、及びnb1と同じである。
【0203】
前記式(1G)で表される構成単位としては、式(1G−1)〜式(1G−12)で表される構成単位が挙げられる。
【0204】
【化39】
【0205】
【化40】
【0206】
【化41】
[式中、Deは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、式(D−A)で表される基、又は式(D−B)で表される基を表す。]
【0207】
前記式(2G)で表される構成単位としては、式(2G−1)〜式(2G−12)で表される構成単位が挙げられる。
【0208】
【化42】
【0209】
【化43】
【0210】
【化44】
[式中、Deは、前記と同じ意味を表す。]
【0211】
前記式(3G)で表される構成単位としては、式(3G―1)〜式(3G−20)で表される構成単位が挙げられる。
【0212】
【化45】
【0213】
【化46】
【0214】
【化47】
【0215】
【化48】
【0216】
【化49】
[式中、Deは、前記と同じ意味を表す。]
【0217】
前記式(4G)で表される構成単位としては、式(4G−1)〜式(4G−7)で表される構成単位が挙げられる。
【0218】
【化50】
【0219】
【化51】
[式中、Deは、前記と同じ意味を表す。]
【0220】
高分子化合物中の燐光発光性構成単位の含量は、外部量子効率に優れる発光素子が得られるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量を100モル%としたとき、好ましくは0.01〜30モル%であり、より好ましくは0.05〜20モル%であり、さらに好ましくは0.1〜10モル%である。
【0221】
燐光発光性構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0222】
架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物は、更に、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含んでいることが好ましい。
【0223】
【化52】
[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0224】
X1は、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。
【0225】
X2は、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは0である。
【0226】
X1、RX2及びRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0227】
ArX1及びArX3で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)又は式(A−9)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)で表される基である。
【0228】
ArX1及びArX3で表される2価の複素環基は、好ましくは式(AA−1)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基である。
【0229】
ArX1及びArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0230】
ArX2及びArX4で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)又は式(A−19)で表される基である。
【0231】
ArX2及びArX4で表される2価の複素環基の好適な例は、好ましくは式(AA−1)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基である。
【0232】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常10〜80、好ましくは10〜60、より好ましくは、12〜28である。斯かる2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好適な例は、それぞれ、ArX1及びArX3で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好適な例と同じである。
【0233】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0234】
【化53】
[式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0235】
XXは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0236】
ArX2及びArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0237】
ArX1〜ArX4及びRX1〜RX3で表される基が有してもよい好適な置換基は、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0238】
式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X−1)〜式(X−7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X−3)〜式(X−7)で表される構成単位であり、さらに好ましくは式(X−3)〜式(X−6)で表される構成単位である。
【0239】
【化54】
【0240】
【化55】
【0241】
【化56】
【0242】
【化57】
[式中、RX4及びRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0243】
高分子化合物中の式(X)で表される構成単位の含量は、正孔輸送性が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量を100モル%としたとき、好ましくは0.1〜65モル%であり、より好ましくは1〜50モル%であり、さらに好ましくは5〜50モル%である。
【0244】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1−1)〜式(X1−19)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1−6)〜式(X1−14)で表される構成単位である。
【0245】
【化58】
【0246】
【化59】
【0247】
【化60】
【0248】
【化61】
【0249】
【化62】
【0250】
【化63】
【0251】
【化64】
【0252】
【化65】
【0253】
本発明の高分子化合物において、式(X)で表される構成単位は、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0254】
【化66】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0255】
ArY1で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)、式(A−13)又は式(A−19)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)、式(A−7)、式(A−9)又は式(A−19)で表される基である。
【0256】
ArY1で表される2価の複素環基は、好ましくは式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−13)、式(AA−15)、式(AA−18)又は式(AA−20)で表される基であり、より好ましくは式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−18)又は式(AA−20)で表される基である。
【0257】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好適な例は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好適な例と同様である。
【0258】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の炭素原子数及び好適な例は、それぞれ、式(X)のArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様である。
【0259】
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0260】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y−1)〜式(Y−7)で表される構成単位が挙げられ、高分子化合物を用いた発光素子の輝度寿命の観点からは、好ましくは式(Y−1)又は式(Y−2)で表される構成単位であり、電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y−3)又は式(Y−4)で表される構成単位であり、正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y−5)〜式(Y−7)で表される構成単位である。
【0261】
【化67】
[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0262】
Y1は、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0263】
式(Y−1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y−1’)で表される構成単位である。
【0264】
【化68】
[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
【0265】
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0266】
【化69】
[式中、RY1は前記と同じ意味を表す。XY1は、−C(RY2−で表される基、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基又は−C(RY2−C(RY2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0267】
Y2は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0268】
Y1において、−C(RY2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、双方がアリール基、双方が1価の複素環基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2−で表される基は、好ましくは式(Y−A1)〜式(Y−A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y−A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0269】
【化70】
【0270】
Y1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0271】
Y1において、−C(RY2−C(RY2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2−C(RY2−で表される基は、好ましくは式(Y−B1)〜式(Y−B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y−B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0272】
【化71】
[式中、RY2は前記と同じ意味を表す。]
【0273】
式(Y−2)で表される構成単位は、式(Y−2’)で表される構成単位であることが好ましい。
【0274】
【化72】
[式中、RY11及びXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0275】
【化73】
[式中、RY1は前記と同じ意味を表す。RY3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0276】
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0277】
【化74】
[式中、RY1は前記を同じ意味を表す。RY4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0278】
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0279】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y−11)〜(Y−55)で表される構成単位が挙げられる。
【0280】
【化75】
【0281】
【化76】
【0282】
【化77】
【0283】
【化78】
【0284】
【化79】
【0285】
【化80】
【0286】
【化81】
【0287】
【化82】
【0288】
【化83】
【0289】
【化84】
【0290】
【化85】
【0291】
【化86】
【0292】
【化87】
【0293】
高分子化合物中の式(Y)で表される構成単位(式中、ArY1がアリーレン基である。)の含量は、輝度寿命により優れる発光素子が得られるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量を100モル%としたとき、好ましくは0.5〜70モル%であり、より好ましくは5〜60モル%である。
【0294】
高分子化合物中の式(Y)で表される構成単位(式中、ArY1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である。)の含量は、電荷輸送性に優れる発光素子が得られるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量を100モル%としたとき、好ましくは0.5〜30モル%であり、より好ましくは3〜40モル%である。
【0295】
式(Y)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0296】
本発明における架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物としては、発光効率の優れた発光素子が作成できるので、式(13)で表される基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物が好ましい。
【0297】
【化88】
[式中、
nBは1〜5の整数を表す。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。]
【0298】
は、好ましくはアルキレン基又はアリーレン基である。
【0299】
前記式(13)で表される基を有する構成単位としては、例えば、式(11−2)、式(11−5)、式(11−6)、式(11−9)、式(11−11)、式(11−12)、式(11−23)、式(11−30)、及び式(12−2)が挙げられる。
【0300】
前記燐光発光性構成単位については先述のとおりである。
【0301】
前記式(13)で表される基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物は、更に、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含んでいてもよい。これら式(X)及び式(Y)で表される構成単位については先述のとおりである。
【0302】
前記式(13)で表される基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物中の、式(13)で表される基を有する構成単位の含量は、架橋性に優れる高分子化合物が得られるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量を100モル%としたとき、好ましくは0.5〜40モル%であり、より好ましくは5〜40モル%であり、更に好ましくは10〜40モル%である。
【0303】
架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物としては、発光素子の輝度効率が優れるので、可視域(400nmから700nm)で燐光発光する高分子化合物であれば良いが、その発光ピーク波長が、好ましくは490nm以上から700nm以下、より好ましくは550nm以上から700nm以下、さらに好ましくは570nm以上から700nm以下である高分子化合物である。
【0304】
架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物は、燐光発光性構成単位を1種単独で含んでいても、2種以上含んでいてもよいが、発光素子の輝度効率が優れるので、1種単独で含んでいることが好ましい。すなわち、式(13)で表される基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物は、燐光発光性構成単位を1種単独で含んでいることが好ましい。
【0305】
架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物としては、例えば、表1の高分子化合物P−1〜P−8が挙げられる。
【0306】
【表1】
【0307】
架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物は、発光素子中で、所望の発光色を呈することが好ましい。架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物の発光ピーク波長は、例えば、陰極と陽極との間に該高分子化合物を成膜した評価用発光素子について、電圧印加時の発光ピーク波長を測定することにより確認することができる。評価用素子に使用する陰極及び陽極の材料、該高分子化合物の膜厚、印加する電圧に関しては、製品として意図する発光素子に応じて適宜決定すればよい。なお、評価用素子において、該高分子化合物は、架橋されていても架橋されていなくてもよいが、製品として意図する発光素子を製造するに際し適用される架橋反応条件にて架橋されていることが好ましい。
【0308】
次に、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物の製造方法について説明する。
【0309】
例えば、式(M−1)及び式(M−2)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、式(M−3)〜式(M−6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、必要に応じて式(M−7)及び式(M−8)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を縮合重合させることにより製造することができる。本明細書において、高分子化合物の製造に使用される化合物を総称して、「原料モノマー」ということがある。なお、式(M−1)及び式(M−2)で表される化合物は、架橋基を有する構成単位、より詳細には、それぞれ式(11)及び式(12)で表される構成単位をもたらす原料モノマーである。式(M−3)〜式(M−6)で表される化合物は、燐光発光性構成単位、より詳細には、それぞれ式(1G)〜式(4G)で表される燐光発光性構成単位をもたらす原料モノマーである。式(M−7)及び式(M−8)で表される化合物は、それぞれ式(X)及び式(Y)で表される構成単位をもたらす原料モノマーである。式(M−3)で表される化合物に関しては、式(1G)で表される構成単位について説明したとおり、末端封止剤として使用することが好ましい。
【0310】
【化89】
【0311】
【化90】
【0312】
【化91】
【0313】
【化92】
[式中、
nA、n、Ar、L、X、mA、m、c、Ar〜Ar、K、X’、L、L、L、na1、nb1、nc1、M1G、M2G、M3G、ArY1、a、a、ArX1〜ArX4、RX1〜RX3は、前記と同じ意味を表す。
C1〜ZC16は、それぞれ独立に、置換基A群及び置換基B群からなる群から選ばれる基を表す。]
【0314】
例えば、ZC1、ZC2、ZC3及びZC4が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC5、ZC6、ZC7、ZC8、ZC9、ZC10、ZC11、ZC12、ZC13、ZC14、ZC15及びZC16は、置換基B群から選ばれる基を選択する。
【0315】
例えば、ZC1、ZC2、ZC3及びZC4が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC5、ZC6、ZC7、ZC8、ZC9、ZC10、ZC11、ZC12、ZC13、ZC14、ZC15及びZC16は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0316】
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)C1(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
【0317】
<置換基B群>
−B(ORC2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する酸素原子と共に環構造を形成していてもよい。)で表される基;
−BFQ’(式中、Q’は、Li、Na、K、Rb又はCsを表す。)で表される基;
−MgY’(式中、Y’は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;
−ZnY’’(式中、Y’’は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;及び、
−Sn(RC3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合するスズ原子と共に環構造を形成していてもよい。)で表される基。
【0318】
−B(ORC2で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0319】
【化93】
【0320】
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により縮合重合して、置換基A群から選ばれる基及び置換基B群から選ばれる基と結合する炭素原子同士が結合する。そのため、置換基A群から選ばれる基を2個有する化合物と、置換基B群から選ばれる基を2個有する化合物を公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合により、これらの化合物の縮合重合体を得ることができる。
【0321】
縮合重合は、通常、触媒、塩基及び溶媒の存在下で行なわれるが、必要に応じて、相間移動触媒を共存させて行ってもよい。
【0322】
触媒としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体;これらの遷移金属錯体が、更にトリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子を有する錯体が挙げられる。触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0323】
触媒の使用量は、原料モノマーのモル数の合計に対する遷移金属の量として、通常、0.00001〜3モル当量である。
【0324】
塩基及び相間移動触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基;塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の相間移動触媒が挙げられる。塩基及び相間移動触媒は、それぞれ、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0325】
塩基及び相間移動触媒の使用量は、それぞれ、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001〜100モル当量である。
【0326】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0327】
溶媒の使用量は、通常、原料モノマーの合計100重量部に対して、10〜100000重量部である。
【0328】
縮合重合の反応温度は、通常−100〜200℃である。縮合重合の反応時間は、通常1時間以上である。
【0329】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独、又は組み合わせて行う。高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0330】
<第2の発光層>
第2の発光層は、複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物と、少なくとも2種の燐光発光性化合物とを含有する組成物を用いて得られる層である。
【0331】
複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有する。該低分子化合物は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
【0332】
第2の発光層中の少なくとも2種の燐光発光性化合物の含有量は、第2の発光層に含まれる材料の合計を100重量部としたとき、通常0.05〜80重量部であり、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.5〜40重量部である。
【0333】
複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物の有する最低励起三重項状態(T)は、外部量子効率に優れる発光素子が得られるので、少なくとも2種の燐光発光性化合物のうち、最も高いTエネルギーを持つ燐光発光性化合物と同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0334】
複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物は、本発明の発光素子を溶液塗布プロセスで作製できるので、前記少なくとも2種の燐光発光性化合物を溶解することが可能な溶媒に対して溶解することが好ましい。
【0335】
前記複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物としては、カルバゾール環、フェナントロリン環、トリアジン環、アゾール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環及びジアザベンゼン環からなる群から選ばれる少なくとも1種の複素環構造を有する化合物が好ましい。
【0336】
複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物は、好ましくは式(H−1)で表される化合物である。
【0337】
【化94】
[式中、
ArH1及びArH2は、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1及びnH2は、それぞれ独立に、0又は1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するnH2は、同一でも異なっていてもよい。
H3は1以上の整数を表す。
H1は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H2は、−N(−LH3−RHA)−で表される基又は−[C(RHB]nH4−で表される基を表す。RHAは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH3は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RHBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRHBは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。nH4は1以上10以下の整数を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
但し、ArH1、ArH2、LH1、LH2の少なくとも一つは1価若しくは2価の複素環基であるか、又は1価若しくは2価の複素環基を含む基である。]
【0338】
ArH1及びArH2は、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、アザインドリル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基又はフェノチアジニル基が好ましく、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基がより好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基がさらに好ましく、式(TDA−1)で表される基又は式(TDA−3)で表される基が特に好ましく、式(TDA−3)で表される基がとりわけ好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0339】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、シクロアルコキシ基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基がより好ましく、アルキル基又はシクロアルコキシ基がさらに好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0340】
H1は、式(A−1)〜式(A−3)、式(A−8)〜式(A−10)、式(AA−1)〜式(AA−6)、式(AA−10)〜式(AA−21)、式(AA−24)〜式(AA−34)で表される基が好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−1)〜式(AA−4)、式(AA−10)〜式(AA−15)、式(AA−29)〜式(AA−34)で表される基がより好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)〜式(AA−15)で表される基がさらに好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−12)又は式(AA−14)で表される基が特に好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(AA−2)、式(AA−4)又は式(AA−14)で表される基がとりわけ好ましい。
【0341】
H1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基がより好ましく、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基がさらに好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0342】
H1が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例は、ArH1及びArH2で表されるアリール基及び1価の複素環基の例と同様である。
【0343】
HAは、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0344】
HAで表されるアリール基及び1価の複素環基の例は、ArH1及びArH2で表されるアリール基及び1価の複素環基の例と同様である。
【0345】
HAが有していてもよい置換基の定義及び例は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の定義及び例と同様である。
【0346】
H3で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の例は、LH1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の例と同様である。
【0347】
H3が有していてもよい置換基の例は、LH1が有していてもよい置換基の例と同様である。
【0348】
HBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基がより好ましく、水素原子又はアルキル基がさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0349】
H4は、好ましくは1以上5以下であり、より好ましく1以上3以下であり、さらに好ましく1である。
【0350】
H1は、好ましくは1である。
【0351】
H2は、好ましくは0である。
【0352】
H3は、通常1以上10以下、好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3以下、特に好ましくは1である。
【0353】
式(H−1)において、ArH1、ArH2、LH1およびLH2の少なくとも一つは、1価若しくは2価の複素環基であるか、又は1価若しくは2価の複素環基を含む基である。詳細には、ArH1、ArH2、LH1(複数存在する場合は少なくとも1つのLH1)およびLH2(複数存在する場合は少なくとも1つのLH2)について、下記i)乃至v)の少なくとも1つが満たされる:i)ArH1が1価の複素環基である;ii)ArH2が1価の複素環基である;iii)LH1が2価の複素環基である;iv)LH2が−N(−LH3−RHA)−で表される基であり、LH3が2価の複素環基であるか又はRHAが1価の複素環基である;v)LH2が−[C(RHB]nH4−で表される基であり、RHBが1価の複素環基である。
【0354】
式(H−1)で表される化合物は、式(H−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0355】
【化95】
[式中、LH1、nH3、ArH1及びArH2は、前記と同じ意味を表す。但し、ArH1、ArH2、LH1の少なくとも一つは1価の複素環基又は2価の複素環基である。]
【0356】
式(H−1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0357】
【化96】
【0358】
【化97】
【0359】
【化98】
【0360】
【化99】
【0361】
【化100】
【0362】
【化101】
【0363】
前記少なくとも2種の燐光発光性化合物としては、室温で高い発光量子収率を有するものであれば、好適に使用できる。
【0364】
前記少なくとも2種の燐光発光性化合物は、効率の観点から、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である少なくとも1種の燐光発光性化合物(B)と、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である少なくとも1種の燐光発光性化合物(G)とを含むことが好ましい。
【0365】
燐光発光性化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、燐光発光性化合物を、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10−6〜1×10−3wt%程度)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。燐光発光性化合物を溶解させる有機溶媒としては、キシレンが好ましい。
【0366】
第2の発光層が、複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物と、燐光発光性化合物(B)と、燐光発光性化合物(G)とを含有する組成物を用いて得られる層である場合、第2の発光層中の燐光発光性化合物(B)の含有量は、燐光発光性化合物(B)及び燐光発光性化合物(G)の合計を100重量部としたとき、通常75.0〜99.9重量部であり、好ましくは90.0〜99.9重量部であり、より好ましくは98〜99.5重量部である。
【0367】
本発明の第2の発光層は、3種以上の燐光発光性化合物を含んでいてもよい。
【0368】
前記燐光発光性化合物(B)としては、例えば、式(1)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0369】
【化102】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、n+nは2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E及びEの少なくとも一方は炭素原子である。
環Rは、5員環又は6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環Rは、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、環Rは電子求引基を有する。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAと共に2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0370】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0371】
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、nは1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0372】
環Rは、1つ以上3つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員環の芳香族複素環又は1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員環の芳香族複素環であることが好ましく、1つ以上3つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員環の芳香族複素環であることがより好ましく、イミダゾール環又はトリアゾール環であることがさらに好ましい。
【0373】
環Rは、6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、ピロール環、フラン環又はチオフェン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であることがさらに好ましく、ベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0374】
環R及び環Rが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はデンドロンがさらに好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。環Rが6員環の芳香族複素環である場合に環Rが有する電子求引基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、ハロゲン原子を置換基として有するアリールが好ましく、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、フッ素原子を置換基として有するアリール基がより好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはペンタフルオロフェニル基が更に好ましい。
【0375】
−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子については先述のとおりである。
【0376】
前記式(1)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、式(1−A)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0377】
【化103】
[式中、
、n及びA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
は、イリジウム原子又は白金原子を表す。
1A、E2A、E3A、E4A、E2B、E3B、E4B及びE5Bは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E1A、E2A、E3A、E4A、E2B、E3B、E4B及びE5Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E2A、E3A及びE4Aが窒素原子の場合、R2A、R3A及びR4Aは、存在しても存在しなくてもよい。E2B、E3B、E4B及びE5Bが窒素原子の場合、R2B、R3B、R4B及びR5Bは、存在しない。
2A、R3A、R4A、R2B、R3B、R4B及びR5Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R2A、R3A、R4A、R2B、R3B、R4B及びR5Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R2AとR3A、R3AとR4A、R2AとR2B、R2BとR3B、R3BとR4B、及び、R4BとR5Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
環R1Aは、窒素原子、E1A、E2A、E3A及びE4Aにより構成されるトリアゾール環又はイミゾール環を表す。
環R1Bは、2つの炭素原子、E2B、E3B、E4B及びE5Bにより構成されるベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環を表す。]
【0378】
環R1Aを構成する各原子間の結合は、単結合である必要はなく、二重結合であってもよい。また、環R1Bを構成する各原子間の結合は、単結合である必要はなく、二重結合であってもよい。「E2A、E3A及びE4Aが窒素原子の場合、R2A、R3A及びR4Aは、存在しても存在しなくてもよい。」とは、「E2Aが窒素原子の場合、R2Aは存在しても存在しなくてもよく、E3Aが窒素原子の場合、R3Aは存在しても存在しなくてもよく、E4Aが窒素原子の場合、R4Aは存在しても存在しなくてもよい。」と同義である。
【0379】
2A、R3A、R4A、R2B、R3B、R4B及びR5Bは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0380】
式(1−A)で表される燐光発光性化合物としては、式(1−A1)、式(1−A2)、式(1−A3)及び式(1−A4)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0381】
【化104】
[式中、
、R2A、R3A、R4A、R2B、R3B、R4B及びR5Bは、前記と同じ意味を表す。
1Aは2又は3の整数を表し、Mがイリジウムの場合、n1Aは3であり、Mが白金の場合、n1Aは2である。]
【0382】
前記式(1−A1)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、式(1−A1−1)〜式(1−A1−11)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0383】
【化105】
【0384】
【化106】
【0385】
【化107】
[式中、Deは、前記と同じ意味を表す。]
【0386】
前記式(1−A1−11)において、Deが式(D−A)又は式(D−B)で表される基である場合の例としては、下記式(1−A1−12)が挙げられる。
【0387】
【化108】
【0388】
前記式(1−A2)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、式(1−A2−1)〜式(1−A2−11)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0389】
【化109】
【0390】
【化110】
【0391】
【化111】
【0392】
前記式(1−A3)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、式(1−A3−1)〜式(1−A3−11)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0393】
【化112】
【0394】
【化113】
【0395】
【化114】
【0396】
前記式(1−A4)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、式(1−A4−1)〜式(1−A4−11)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0397】
【化115】
【0398】
【化116】
【0399】
【化117】
【0400】
前記燐光発光性化合物(G)としては、例えば、式(2)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0401】
【化118】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、n+nは2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
は、炭素原子又は窒素原子を表す。
環Rは、6員環の芳香族複素環を表し、この環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Rは、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAと共に2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0402】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0403】
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、nは1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0404】
環R及び環Rの例は、それぞれ環R1G及び環R2Gの例と同様である。また、環R及び環Rが有していてもよい置換基の例は、環R1G及び環R2Gが有していてもよい置換基の例と同様である。
【0405】
−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子については先述のとおりである。
【0406】
前記燐光発光性化合物(G)としては、式Ir−1〜式Ir−3で表される金属錯体等のイリジウム錯体が好ましい。
【0407】
【化119】
【0408】
【化120】
[式中、
D1〜RD8及びRD11〜RD20は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RD1〜RD8及びRD11〜RD20が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
D1は、1、2又は3を表し、nD2は、1又は2を表す。]
【0409】
式Ir−1〜式Ir−3で表される構造において、置換基の少なくとも一つは、デンドロンであることが好ましく、式(D−A)又は式(D−B)で表される基であることがより好ましく、式(D−A)で表される基であることがさらに好ましい。
【0410】
式Ir−1で表される金属錯体は、好ましくは式Ir−11〜式Ir−13で表される金属錯体である。式Ir−2で表される金属錯体は、好ましくは式Ir−21で表される金属錯体である。式Ir−3で表される金属錯体は、好ましくは式Ir−31〜式Ir−33で表される金属錯体である。
【0411】
【化121】
【0412】
【化122】
【0413】
【化123】
[式中、Dは、式(D−A)で表される基を表す。nD2は、前記と同じ意味を表す。]
【0414】
前記燐光発光性化合物(G)としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0415】
【化124】
【0416】
【化125】
【0417】
【化126】
【0418】
【化127】
【0419】
〔発光素子の層構成〕
本発明の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1及び第2の発光層とを有する。本発明の発光素子は、更に、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、及び電子注入層から選ばれる1種以上の層を有することが好ましい。
【0420】
発光素子は、例えば、下記の層構成を有していてよい。なお、下記の層構成において、記号「/」は、該記号を挟んで記載される各層が隣接して積層されていることを表す。
(D1)陽極/第1の発光層/第2の発光層/陰極
(D2)陽極/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
(D3)陽極/第1の発光層/第2の発光層/電子注入層/陰極
(D4)陽極/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/第1の発光層/第2の発光層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/第1の発光層/第2の発光層/電子注入層/陰極
(D8)陽極/正孔注入層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D9)陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/陰極
(D10)陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
(D11)陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/陰極
(D14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
(D15)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子注入層/陰極
(D16)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D17)陽極/第2の発光層/第1の発光層/陰極
(D18)陽極/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/陰極
(D19)陽極/第2の発光層/第1の発光層/電子注入層/陰極
(D20)陽極/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D21)陽極/正孔注入層/第2の発光層/第1の発光層/陰極
(D22)陽極/正孔注入層/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/陰極
(D23)陽極/正孔注入層/第2の発光層/第1の発光層/電子注入層/陰極
(D24)陽極/正孔注入層/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D25)陽極/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/陰極
(D26)陽極/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/陰極
(D27)陽極/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/電子注入層/陰極
(D28)陽極/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D29)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/陰極
(D30)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/陰極
(D31)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/電子注入層/陰極
(D32)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層/第1の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0421】
外部量子効率の観点から、第1の発光層は、陽極と第2の発光層との間に設けられていることが好ましい。本発明の発光素子は、第1の発光層と第2の発光層との間に、発光する機能、キャリア移動を抑制する機能、又は励起子の拡散を抑制する機能を有する機能層をさらに有していてもよいが、第1の発光層と第2の発光層は隣接していることが好ましい。
【0422】
本発明の発光素子は、第1の発光層と陽極との間に、正孔輸送層及び正孔注入層からなる群から選ばれる少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。本発明の発光素子は、第2の発光層と陰極との間に、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。これらの層の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0423】
本発明の発光素子において、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層の各々は、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。
【0424】
<電子輸送層>
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、例えば、式(ET−1)又は式(ET−2)で表される構造単位を含む化合物が挙げられる。電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0425】
【化128】
[式中、
nE1は、1以上の整数を表す。
ArE1は、(nE1+2)価の芳香族炭化水素基又は(nE1+2)価の複素環基を表し、これらの基はRE1以外の置換基を有していてもよい。
E1は、下記式(ES−1)で表される基を表す。RE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0426】
−(RE3cE1−(QE1nE4−YE1(ME2aE1(ZE1bE1 (ES−1)
[式中、
cE1は0又は1を表し、nE4は0以上の整数を表し、aE1は1以上の整数を表し、bE1は0以上の整数を表す。
E3は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
E1は、アルキレン基、アリーレン基、酸素原子、又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。QE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E1は、−CO、−SO、−SO又はPO2−を表す。
E2は、金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表し、このアンモニウムカチオンは置換基を有していてもよい。ME2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E1は、F、Cl、Br、I、OH、RE4SO、RE4COO、ClO、ClO、ClO、ClO、SCN、CN、NO、SO2−、HSO、PO3−、HPO2−、HPO、BF又はPFを表す。RE4は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ZE1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
aE1及びbE1は、式(ES−1)で表される基の電荷が0となるように選択される。]
【0427】
ArE1で表される(nE1+2)価の基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、2、7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、及び2,7−カルバゾールジイル基からなる群から選ばれる2価の芳香族炭化水素基又は複素環基から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nE1個を除いた残りの原子団が好ましく、RE1以外の置換基を有していてもよい。
【0428】
ArE1が有していてもよいRE1以外の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、カルボキシ基、アシル基及び式(ES−3)で表される基が挙げられる。
【0429】
−O(Cn’2n’O)nxm’2m’+1 (ES−3)
[式中、
n’及びm’は、1以上の整数であり、
nxは、アルキレンオキシド部の繰り返し数を表す1以上の整数である。]
【0430】
nE1は、好ましくは、1〜4の整数であり、より好ましくは1又は2である。QE1としては、アルキレン基、アリーレン基、又は酸素原子が好ましい。YE1としては、−CO、又は−SOが好ましい。ME2としては、Li、Na、K、Cs、N(CH、NH(CH、NH(CH、又はN(Cが好ましい。ZE1としては、F、Cl、Br、I、OH、RE4SO、又はRE4COOが好ましい。
【0431】
E3が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基および式(ES−3)で表される基が挙げられる。RE3は、本発明の発光素子の外部量子効率が優れるので、式(ES−3)で表される基を置換基として有していることが好ましい。
【0432】
前記式(ES−1)で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0433】
【化129】
[式中、Mは、Li、Na、K、Cs、N(CH、NH(CH、NH(CH、及びN(Cを表す。]
【0434】
【化130】
[式中、
nE2は1以上の整数を表す。
ArE2は、(nE2+2)価の芳香族炭化水素基又は(nE2+2)価の複素環基を表し、これらの基はRE2以外の置換基を有していてもよい。
E2は、下記式(ES−2)で表される基を表す。RE2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0435】
−(RE6cE2−(QE2nE6−YE2(ME3bE2(ZE2aE2 (ES−2)
[式中、
cE2は0又は1を表し、nE6は0以上の整数を表し、bE2は1以上の整数を表し、aE2は0以上の整数を表す。
E6は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
E2は、アルキレン基、アリーレン基、酸素原子、又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。QE2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E2は、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン又はスルホニルカチオンを表す。
E3は、F、Cl、Br、I、OH、RE7SO、RE7COO、ClO、ClO、ClO、ClO、SCN、CN、NO、SO2−、HSO、PO3−、HPO2−、HPO、テトラフェニルボレート、BF又はPFを表す。RE7は、アルキル基、パーフルオロアルキル基、又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ME3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
E2は、金属イオン又はアンモニウムイオンを表し、このアンモニウムイオンは置換基を有していてもよい。ZE2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
aE2及びbE2は、式(ES−2)で表される基の電荷が0となるように選択される。]
【0436】
ArE2で表される(nE2+2)価の基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、2、7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、及び2,7−カルバゾールジイル基からなる群から選ばれる2価の芳香族炭化水素基又は複素環基から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nE2個を除いた残りの原子団が好ましく、RE2以外の置換基を有していてもよい。
【0437】
ArE2が有していてもよいRE2以外の置換基としては、ArE1が有していてもよいRE1以外の置換基と同様である。
【0438】
nE2は、好ましくは、1〜4の整数であり、より好ましくは1又は2である。QE2としては、アルキレン基、アリーレン基、又は酸素原子が好ましい。YE2としては、カルボカチオン、又はアンモニウムカチオンが好ましい。ME3としては、F、Cl、Br、I、テトラフェニルボレート、CFSO、又はCHCOOが好ましい。
【0439】
E6が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基および式(ES−3)で表される基が挙げられる。RE6は、本発明の発光素子の外部量子効率が優れるので、式(ES−3)で表される基を置換基として有していることが好ましい。
【0440】
前記式(ES−2)で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0441】
【化131】
[式中、Xは、F、Cl、Br、I、テトラフェニルボレート、CFSO、又はCHCOOを表す。]
【0442】
前記式(ET−1)及び式(ET−2)で表される構造単位としては、例えば、下記式(ET−31)〜式(ET−34)で表される構造単位が挙げられる。
【0443】
【化132】
【0444】
【化133】
【0445】
前記式(ET−1)又は式(ET−2)で表される構造単位を有する化合物は、高分子化合物であってもよく、式(ET−1)又は式(ET−2)の構造単位を1個含む低分子化合物であってもよく、2〜5個程度含むオリゴマーであってもよい。
【0446】
<正孔輸送層>
正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、高分子化合物が好ましい。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0447】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0448】
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0449】
<電子注入層及び正孔注入層>
電子注入層及び正孔注入層に用いられる電子注入材料及び正孔注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子注入材料及び正孔注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0450】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0451】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリンおよびポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0452】
電子注入材料および正孔注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0453】
〔発光素子の製造方法〕
本発明の発光素子を製造するにあたって、第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法は、使用する材料に応じて適宜決定してよい。低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0454】
積層する層の順番、数、及び厚さは、外部量子効率及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0455】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料、第1の発光層に用いられる材料、及び第2の発光層に用いられる材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層、第1の発光層、及び第2の発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することが回避されることが好ましい。材料の溶解を回避する方法としては、i)架橋基を有する材料を用いる方法、あるいは、ii)隣接する層の溶解性に差を設ける方法が好ましい。上記i)の方法では、架橋基を有する材料を用いて層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。上記ii)の方法では、隣接する層の間で、極性が異なることが好ましい。
【0456】
該溶液に用いる溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0457】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、機能層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0458】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0459】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0460】
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0461】
第1の発光層に用いられる架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物は、架橋基を有しているので、加熱、光照射等の外部刺激により架橋して該第1の発光層を得ることができる。架橋された第1の発光層は、溶媒に実質的に不溶であるので、溶液からの成膜による方法(「溶液塗布法」ともいう。)による発光素子の製造に好適である。
【0462】
第1の発光層を架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、外部量子効率が良好になるので、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃である。
【0463】
第1の発光層を架橋させるための光照射に用いられる光は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0464】
第1の発光層は、架橋基を有する構成単位と燐光発光性構成単位とを含む高分子化合物を含む溶液(「インク」ともいう。)を用いて、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法により作製することができる。
【0465】
第1の発光層の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0466】
第2の発光層は、複素環構造を有する非燐光発光性の低分子化合物と、少なくとも2種の燐光発光性化合物とを含有する組成物を用いて得られる。溶液又は溶融状態から形成する際は、第1の発光層と同様の手法を用いて成膜することができる。
【0467】
第2の発光層の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0468】
第2の発光層の上に、さらに電子輸送層又は電子注入層を、溶解性の差を利用して積層する場合、第2の発光層に対して溶解性の低い溶液を用いることで該電子輸送層又は電子注入層を積層することができる。
【0469】
斯かる溶液に用いる溶媒としては、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、ニトリル化合物類、ニトロ化合物類、フッ素化アルコール、チオール類、スルフィド類、スルホキシド類、チオケトン類、アミド類、カルボン酸類等が好ましい。該溶媒の例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、アセトニトリル、1,2−エタンジオール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ニトロメタン、炭酸プロピレン、ピリジン、二硫化炭素、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を用いる場合、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、ニトリル化合物類、ニトロ化合物類、フッ素化アルコール、チオール類、スルフィド類、スルホキシド類、チオケトン類、アミド類、カルボン酸類等から選ばれる1種類以上の溶媒、と塩素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系およびケトン系から選ばれる1種類以上の溶媒との混合溶媒であってもよい。
【0470】
〔発光素子の用途〕
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0471】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0472】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである。
【0473】
[測定条件]
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でTHFに溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてTHFを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0474】
液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)は、下記の方法で行った。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はTHFに溶解させ、LC−MS(アジレントテクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、アセトニトリル及びTHFの比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
【0475】
NMRの測定は、下記の方法で行った。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl)、重テトラヒドロフラン(THF−d)又は重塩化メチレン(CDCl)に溶解させ、NMR装置(バリアン(Varian, Inc.)製、商品名:MERCURY 300)を用いて測定した。
【0476】
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC−20A)での254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにTHF又はクロロホルムに溶解させ、HPLCに、濃度に応じて1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル及びTHFを用い、1mL/分の流速で、アセトニトリル/THF=100/0〜0/100(容積比)のグラジエント分析で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)又は同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
【0477】
<原料>
化合物1は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物2、3及び4は、国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物5は、特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物6は、国際公開第2009/157424号に記載の方法に従って合成した。
化合物7は、特開2011−174062号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物8は、国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物9は、市販の化合物を用いた。
化合物10は、特開2011−105701号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物11a及び11bは、特開2012−33845号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物12は、国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した。
化合物13は、特開2010−215886号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物14は、国際公開第2013/021180号に記載の方法に従って合成した。
化合物(H−21)は、Luminescence Technology Corp.社から購入したものを用いた。
化合物(1−A3−6)は、国際公開第2008/090795号に記載の方法に準じて合成した。
化合物(1−A1−12)は、特開2013−147551号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物COM−1は、特開2013−237789号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物COM−2は、国際公開第2002/44189号に記載の方法に準じて合成した。
化合物COM−4は、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
化合物COM−8は、特開2011−105701号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物COM−9は、下記調製例1に従って調製した。
【0478】
【化134】
【0479】
【化135】
【0480】
【化136】
【0481】
【化137】
【0482】
<調製例1> 化合物COM−9の調製
[化合物S1]
【0483】
【化138】
【0484】
<stage1>
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、4−tert−オクチルフェノール(250.00g、1.21mol、Aldrich製品)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(177.64g、1.45mol)およびジクロロメタン(3100mL)を加え、これを5℃に氷冷した。その後、これに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(376.06g、1.33mol)を45分かけて滴下した。滴下終了後、氷冷下で30分間攪拌し、次いで、室温に戻して更に1.5時間攪拌した。得られた反応混合物にヘキサン(3100mL)を加え、この反応混合物を、410gのシリカゲルを用いてろ過し、更に、ヘキサン/ジクロロメタン(1/1(体積基準))の混合溶媒(2.5L)でシリカゲルを洗浄した。得られたろ液と洗浄液を濃縮し、無色オイルの化合物S1−a(410.94g、1.21mol、LC純度99.7%)を得た。
【0485】
<stage2>
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、化合物S1−a(410.94g、1.21mol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(338.47g、1.33mol)、酢酸カリウム(237.83g、2.42mol)、1,4−ジオキサン(2600mL)、酢酸パラジウム(4.08g、0.018mol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(10.19g、0.036mol)を加え、2時間還流した。室温に冷却後、得られた反応混合物をろ過してろ液を集め、さらにろ過物を1,4−ジオキサン(2.5L)で洗浄し、得られたろ液と洗浄液を濃縮した。得られた残渣を、ヘキサン/ジクロロメタン(1/1(体積基準))の混合溶媒に溶解させ、770gのシリカゲルを用いてろ過し、更に、ヘキサン/ジクロロメタン(1/1(体積基準))の混合溶媒(2.5L)でシリカゲルを洗浄した。得られたろ液と洗浄液を濃縮し、得られた残渣にメタノール(1500mL)を加えて30分間超音波洗浄を行った。その後、これをろ過することにより、化合物S1−b(274.27g)を得た。ろ液と洗浄液を濃縮し、メタノールを加え、超音波洗浄を行い、ろ過するという操作を繰り返すことにより、化合物S1−b(14.29g)を得た。得られた化合物S1−bの合計の収量は288.56gであった。
【0486】
<stage3>
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、1,3−ジブロモベンゼン(102.48g、0.434mol)、化合物S1−b(288.56g、0.912mol)、トルエン(2100mL)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(962.38g、1.31mol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.04g、0.004mol)を加え、7時間還流した。室温に冷却後、水層と有機層を分離し、有機層を集めた。この水層にトルエン(1L)を加えて、有機層をさらに抽出した。得られた有機層を合わせて、これを蒸留水/飽和食塩水(1.5L/1.5L)の混合水溶液で洗浄した。得られた有機層を400gのシリカゲルでろ過し、更にトルエン(2L)でシリカゲルを洗浄した。得られた溶液を濃縮し、得られた残渣をヘキサンに溶解させた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。展開溶媒であるヘキサンで不純物を溶出させた後に、ヘキサン/ジクロロメタン(10/1(体積基準))の混合溶媒で展開した。得られた各フラクションを減圧濃縮により溶媒を除去し、無色結晶の化合物S1−c(154.08g、LC純度99.1%)、および、粗製の化合物S1−c(38.64g、LC純度83%)を得た。この粗製の化合物S1−cを再び同様の展開条件にてカラム精製し、溶媒を減圧留去し、化合物S1−c(28.4g、LC純度99.6%)を得た。得られた化合物S1−cの合計の収量は182.48g(0.40mol)であった。
【0487】
<stage4>
反応容器内を窒素ガス気流下とした後、化合物S1−c(182.48g、0.401mol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(112.09g、0.441mol)、4,4’−ジ-tert−ブチル−2,2’−ジピリジル(3.23g、0.012mol)、シクロヘキサン(2000mL)およびビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム(I)(3.99g、0.006mol)を加え、2時間還流した。室温に空冷後、得られた反応混合物を攪拌しながらシリカゲル(220g)を20分かけて加えた。得られた懸濁液を440gのシリカゲルでろ過し、さらにジクロロメタン(2L)でシリカゲルを洗浄し、溶液を濃縮した。得られた残渣に、メタノール(1100mL)およびジクロロメタン(110mL)を加え、1時間還流した。室温に冷却後、これをろ過した。得られたろ過物をメタノール(500mL)で洗浄し、得られた固体を乾燥させて、化合物S1(220.85g、0.380mol)を得た。
【0488】
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.00(d,J=1.8Hz,2H),7.92(t,J=1.9Hz,1H),7.60(d,J=8.5Hz,4H),7.44(t,J=8.5Hz,4H),1.78(s,4H),1.41(s,12H),1.37(s,12H),0.75(s,18H).
【0489】
[化合物COM−9]
【0490】
【化139】
【0491】
<stage1>
5−ブロモ−2−フェニルピリジンは、特開2008−179617号公報に記載の方法に従って合成した。
反応容器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、5−ブロモ−2−フェニルピリジン(36.17g、155mmol)、化合物S1(94.20g、162mmol)、トルエン(1545mL)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(341.28g、463.5mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(8.927g、7.725mmol)を加え、80℃で4時間攪拌した。室温に冷却後、得られた反応溶液に水(1545mL)を加え、有機層を抽出した。得られた有機層を、水(1545mL)で2回、食塩水(1545mL)で1回洗浄した。得られた有機層を、188gのシリカゲルを用いてろ過し、得られたろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に、トルエン(235g)およびメタノール(1174g)を加え、60℃で30分間加熱した。その後、これを氷浴で5℃に冷却し、固体を析出させた。得られた固体をろ過し、冷メタノールで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、上記式で表される化合物L4(82.0g、135mmol)を得た。
【0492】
<stage2>
反応容器内を窒素ガス雰囲気下とした後、塩化イリジウム三水和物(11.51g、32.3mmol)およびイオン交換水(114mL)を加え、50℃に加温して溶解させた。別の窒素ガス雰囲気下とした反応容器に、化合物L4(43.80g、72.1mmol)、2−エトキシエタノール(792mL)およびイオン交換水(57mL)を加え、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、この溶液に、先に準備した塩化イリジウム水溶液(全量)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、120℃で15時間攪拌した。室温に冷却後、得られた反応混合物にメタノール(207g)を加え、ろ過した。得られた固体を、メタノール(207g)で4回、ヘキサン(115g)で1回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、金属錯体M4−a(42.88g)を得た。
【0493】
<stage3>
反応容器内を窒素ガス雰囲気下とした後、金属錯体M4−a(7.61g、2.64mmol)、化合物L4(16.05g、26.40mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(1.63g、6.34mmol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(79mL)を加え、160℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、得られた反応混合物にメタノール(304mL)を加え、生じた沈澱をろ過した。得られた沈澱を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=4/6.5(体積基準)の混合溶媒)で精製し、減圧下で溶媒を除去した。得られた残渣(8.05g)をジクロロメタン(80mL)に溶解させ、この溶液にメタノール(80mL)を加えた。生じた沈澱をろ別して集め、これを減圧乾燥させることにより、金属錯体である化合物COM−9(6.25g、3.1mmol)を得た。
【0494】
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.09(t,J=1.4Hz,3H),8.01(d,J=1.2Hz,6H),7.84(t,J=1.4Hz,6H),7.72(dd,J=7.4Hz and 1.4Hz,3H),7.57(t,J=1.4Hz,3H),7.42(d,J=8.5Hz,12H),7.19(d,J=8.5Hz,12H),7.03(dd,J=7.2Hz and 1.5Hz,3H),6.96−6.86(mult,6H),1.65(s,12H),1.24(s,36H),0.63(s,54H).
【0495】
<実施例1> 高分子化合物1の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物1(0.673g)、化合物2(0.304g)、化合物3(0.222g)、化合物4(1.95g)、化合物5(0.238g)、化合物6(0.0953g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.0mg)、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7.5mL)およびトルエン(50mL)を加え、還流下で4時間撹拌した。
(工程2)反応後、そこに、フェニルボロン酸(27mg)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.0mg)および20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7.5mL)を加え、更に、還流下で17時間撹拌した。
(工程3)その後、そこに、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム(1.25g)をイオン交換水(25ml)に溶解させた水溶液を加え、85℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、得られた有機層をイオン交換水で洗浄した、得られた有機層をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、セライトカラムに通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物1(2.3g)を得た。高分子化合物1のMnは4.0×10であり、Mwは2.0×10であった。
【0496】
高分子化合物1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物1から誘導される構成単位と、化合物2から誘導される構成単位と、化合物3から誘導される構成単位と、化合物4から誘導される構成単位と、化合物5から誘導される構成単位と、化合物6から誘導される構成単位から誘導される構成単位とを、30:10:10:39.4:10:1.2のモル比で含む共重合体である。
【0497】
<合成例1> 高分子化合物2の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物7(2.5625mmol)、化合物8(1.5000mmol)、化合物9(0.4750mmol)、化合物5(0.3750mmol)、化合物10(0.1500mmol)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(4.5mg)及びトルエン(83mL)を加え、100℃に加熱した。
(工程2)反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.5mL)を滴下し、9.5時間還流させた。
(工程3)反応後、そこに、フェニルボロン酸(61mg)及びジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)を加え、19時間還流させた。
(工程4)その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、85℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液を、3.6重量%塩酸、2.5重量%アンモニア水、水で洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムに順に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物2を3.152g得た。高分子化合物2のMnは4.4×10であり、Mwは1.5×10であった。
【0498】
高分子化合物2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物7から誘導される構成単位と、化合物8から誘導される構成単位と、化合物9から誘導される構成単位と、化合物5から誘導される構成単位と、化合物10から誘導される構成単位とを、50:30:9.5:7.5:3のモル比で含む共重合体である。
【0499】
<合成例2> 高分子化合物3の合成
高分子化合物3は、化合物7、化合物8、化合物9及び化合物5を用いて、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した。
【0500】
高分子化合物3のMnは8.0×10であり、Mwは2.6×10であった。
【0501】
高分子化合物3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物7から誘導される構成単位と、化合物8から誘導される構成単位と、化合物9から誘導される構成単位と、化合物5から誘導される構成単位とを、50:30:12.5:7.5のモル比で含む共重合体である。
【0502】
<合成例3> 高分子化合物4の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物11a(0.55g)、化合物11b(0.61g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。
(工程2)反応液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。
(工程3)反応液に、4−tert−ブチルフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。
(工程4)次いで、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。
(工程5)こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムに順に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物4を520mg得た。高分子化合物4のMnは5.2×10であった。
【0503】
<合成例4> 高分子化合物5の合成
高分子化合物4(200mg)を100mLフラスコに入れ、該フラスコの雰囲気を窒素ガスで置換した。該フラスコに、テトラヒドロフラン(20mL)、及びエタノール(20mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体として高分子化合物5(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、高分子化合物4内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。
【0504】
高分子化合物5の構造を下記式に示す。式中、np5は重合度を示す。
【0505】
【化140】
【0506】
<合成例5> 高分子化合物6の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物1(0.85675g)、化合物12(0.86638g)、化合物5(0.09367g)、化合物13(0.08090g)、化合物14(0.56072g)、ジクロロビス(トリス−o‐メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.54mg)およびトルエン(36mL)を加え、105℃に加熱した。
(工程2)反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(5.9mL)を滴下し、6時間還流させた。
(工程3)反応後、そこに、フェニルボロン酸(85.4mg)およびジクロロビス(トリス−o‐メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.54mg)を加え、14.5間還流させた。
(工程4)その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムに順に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物6を1.33g得た。高分子化合物6のポリスチレン換算の数平均分子量は7.0×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.8×105であった。
【0507】
高分子化合物6は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物1から誘導される構成単位と、化合物12から誘導される構成単位と、化合物5から誘導される構成単位と、化合物13から誘導される構成単位と、化合物14から誘導される構成単位とを、50:30:5:5:10のモル比で含む共重合体である。
【0508】
<高分子化合物1、2及び6の燐光発光スペクトルの評価>
<評価例E1> 発光素子E1の作製と評価
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plectronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0509】
キシレンに、高分子化合物1を1.2重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により70nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより発光層を形成した。
【0510】
発光層の上に、陰極としてフッ化ナトリウムを約7nm、次いでアルミニウムを約120nm蒸着して、発光素子E1を作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0511】
発光素子E1に15Vの電圧を印加したところ、化合物6から得られる構成単位に由来するEL発光(発光ピーク波長600nm)が得られた。
【0512】
<評価例E2> 発光素子E2の作製と評価
高分子化合物1に代えて高分子化合物2を用いた以外は評価例E1と同様にして、発光素子E2を作製した。
【0513】
発光素子E2に15Vの電圧を印加したところ、化合物10から得られる構成単位に由来するEL発光(発光ピーク波長615nm)が得られた。
【0514】
<評価例E3> 発光素子E3の作製と評価
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plectronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0515】
キシレンに、高分子化合物6を1.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により65nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより発光層を形成した。
【0516】
発光層の上に、陰極としてフッ化ナトリウムを約7nm、次いでアルミニウムを約120nm蒸着して、発光素子E3を作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0517】
発光素子E3に15Vの電圧を印加したところ、化合物14から得られる構成単位に由来するEL発光(発光ピーク波長515nm)が得られた。
【0518】
<燐光発光性化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長の評価>
燐光発光性化合物である化合物(1−A3−6)、化合物(1−A1−12)、化合物COM−1、化合物COM−4、化合物COM−9、化合物COM−2及び化合物COM−8の発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、FP6500)により室温にて測定した。燐光発光性化合物をキシレンに、約0.8×10−4重量%の濃度で溶解させたキシレン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmのUV光を用いた。評価結果を表2に示す。
【0519】
【表2】
【0520】
<実施例2> 発光素子D1の作製と評価
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plectronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0521】
キシレンに、高分子化合物1を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより第1の発光層を形成した。
【0522】
トルエンに、化合物(H−21)、化合物(1−A3−6)、化合物COM−1(化合物(H−21)/化合物(1−A3−6)/化合物COM−1(重量比率)=69.77/30/0.23)を2.0重量%の濃度で溶解させることによりインクD1を調製した。インクD1を、第1の発光層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で130℃、10分加熱することにより第2の発光層を形成した。
【0523】
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールに、高分子化合物5を0.25重量%の濃度で溶解させることによりインクP1を調製した。インクP1を、第2の発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で130℃、10分加熱することにより電子輸送層を形成した。該電子輸送層の上に、陰極としてフッ化ナトリウムを約7nm、次いでアルミニウムを約120nm蒸着して、発光素子D1を作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0524】
発光素子D1に電圧を印加するとEL発光が観測された。発光輝度1000cd/mにおける評価結果を表3に示す。
【0525】
<実施例3および比較例1> 発光素子D2および発光素子CD1の作製と評価
1)高分子化合物1に代えて、表3に示す高分子化合物を用いて第1の発光層(比較例1では正孔輸送層)を形成した点、2)インクD1に代えて、表3に示す構成材料と構成比率に変更したインクを使用して第2の発光層(比較例1では発光層)を形成した点以外は実施例2と同様にして、発光素子D2および発光素子CD1を作製した。発光素子D2および発光素子CD1の発光輝度1000cd/mにおける評価結果についても表3に示す。
【0526】
【表3】
【0527】
<実施例4および5、並びに、比較例2> 発光素子D3およびD4、並びに、発光素子CD2の作製と評価
1)表4に示す高分子化合物を用いて第1の発光層(比較例2では正孔輸送層)を形成した点、2)インクD1に代えて、表4に示す構成材料と構成比率に変更したインクを使用して第2の発光層(比較例2では発光層)を形成した点以外は実施例2と同様にして、発光素子D3およびD4、並びに、発光素子CD2を作製した。発光素子D3およびD4、並びに、発光素子CD2の発光輝度1000cd/mにおける評価結果についても表4に示す。
【0528】
【表4】
【0529】
<実施例6> 発光素子D5の作製と評価
インクD1に代えて、表5に示す構成材料と構成比率に変更したインクを使用して第2の発光層を形成した以外は実施例2と同様にして、発光素子D5を作製した。発光素子D5の発光輝度1000cd/mにおける評価結果についても表5に示す。
【0530】
【表5】
【0531】
<実施例7および8、並びに、比較例3> 発光素子D6およびD7、並びに、発光素子CD3の作製と評価
1)表6に示す高分子化合物を用いて第1の発光層(比較例3では正孔輸送層)を形成した点、2)インクD1に代えて、表6に示す構成材料と構成比率に変更したインクを使用して第2の発光層(比較例3では発光層)を形成した点以外は実施例2と同様にして、発光素子D6およびD7、並びに、発光素子CD3を作製した。発光素子D6およびD7、並びに、発光素子CD3の発光輝度1000cd/mにおける評価結果についても表6に示す。
【0532】
【表6】
【0533】
<実施例9および10、並びに、比較例4> 発光素子D8およびD9、並びに、発光素子CD4の作製と評価
1)表7に示す高分子化合物を用いて第1の発光層(比較例4では正孔輸送層)を形成した点、2)インクD1に代えて、表7に示す構成材料と構成比率に変更したインクを使用して第2の発光層(比較例4では発光層)を形成した点以外は実施例2と同様にして、発光素子D8およびD9、並びに、発光素子CD4を作製した。発光素子D8およびD9、並びに、発光素子CD4の発光輝度1000cd/mにおける評価結果についても表7に示す。
【0534】
【表7】
【0535】
<実施例11> 発光素子D10の作製と評価
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plectronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0536】
キシレンに、高分子化合物3を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0537】
キシレンに、高分子化合物6を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより第1の発光層を形成した。
【0538】
トルエンに、化合物(H−21)、化合物(1−A1−12)、化合物COM−8(化合物(H−21)/化合物(1−A1−12)/化合物COM−8(重量比率)=69.9/30/0.1)を2.0重量%の濃度で溶解させることによりインクD10を調製した。インクD10を、第1の発光層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で130℃、10分加熱することにより第2の発光層を形成した。
【0539】
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールに、高分子化合物5を0.25重量%の濃度で溶解させることによりインクP1を調製した。インクP1を、第2の発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で130℃、10分加熱することにより電子輸送層を形成した。該電子輸送層の上に、陰極としてフッ化ナトリウムを約7nm、次いでアルミニウムを約120nm蒸着して、発光素子D10を作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0540】
発光素子D10に電圧を印加するとEL発光が観測された。発光輝度1000cd/mにおける評価結果を表8に示す。
【0541】
【表8】
【0542】
発光素子D10の外部量子効率は、発光素子CD4の外部量子効率よりも優れている。