(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675771
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】有機金属複合体用多方向性リガンド
(51)【国際特許分類】
C07C 251/24 20060101AFI20200323BHJP
C07C 251/48 20060101ALI20200323BHJP
C07C 251/86 20060101ALI20200323BHJP
C07C 249/02 20060101ALI20200323BHJP
C07C 249/08 20060101ALI20200323BHJP
C07C 249/16 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
C07C251/24CSP
C07C251/48
C07C251/86
C07C249/02
C07C249/08
C07C249/16
【請求項の数】4
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-545604(P2018-545604)
(86)(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公表番号】特表2019-507161(P2019-507161A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】KR2017008184
(87)【国際公開番号】WO2018021884
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0096904
(32)【優先日】2016年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】513246872
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ドンファン・イ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・チョン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・チン・ペ
【審査官】
安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102503966(CN,A)
【文献】
特開平05−125032(JP,A)
【文献】
特開2007−063470(JP,A)
【文献】
特表2019−508500(JP,A)
【文献】
Asato, Eiji; Chinen, Mitsuyoshi; Yoshino, Atsushi; Sakata, Yoshiteru; Sugiura, Ken-Ichi,First "back-to-back" shaped compartmental ligand; structural characterization of a tetranuclear zinc(II) complex in a highly flattened form,Chemistry Letters ,2000年,(6),678-679
【文献】
Roy, Somnath; Butcher, Ray J.; El Fallah, Mohamed Salah; Tercero, Javier; Pessoa, Joao Costa,An unusual half-open cubane-like tetranuclear copper(II) complex supported by both μ-alkoxo and μ3-hydroxo bridges: Structure, magnetic properties, EPR and DFT studies,Polyhedron,2013年,53,269-277
【文献】
Marmier, Mathieu; Wise, Matthew D.; Holstein, Julian J.; Pattison, Philip; Schenk, Kurt; Solari, Euro; Scopelliti, Rosario; Severin, Kay,Carboxylic Acid Functionalized Clathrochelate Complexes: Large, Robust, and Easy-to-Access Metalloligands,Inorganic Chemistry,2016年,55(8),4006-4015
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、またはその塩:
【化1】
前記化学式1において、
Rは、それぞれ独立して−R
1、−NH−CO−R
2、または−NH−R
2であり、
R
1は、それぞれ独立して−O
Hまたはアミノ酸残基であり、
R
2は、C
1−10アルキル、C
6−60アリール、またはN、O及びSのうちいずれか一つを含むC
4−60ヘテロアリールであ
り、
前記アミノ酸残基が、それぞれ独立して、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、ピロリシン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、チロシンからなる群より選ばれるいずれか一つのアミノ酸の残基である。
【請求項2】
R2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、オクチル、フェニル、ナフチル、またはピリジニルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1−1〜1−5で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項4】
1)下記化学式1’で表される化合物、下記化学式2’で表される化合物及びトリフルオロ酢酸を反応させて、下記化学式3’で表される化合物を製造する段階と、
2)下記化学式3’で表される化合物を下記化学式4’で表される化合物と反応させる段階とを含む、下記化学式1で表される化合物の製造方法:
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
前記化学式1及び4’において、
Rの定義は請求項
1〜3のうちいずれか一項に定義されたとおりである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2016年7月29日付韓国特許出願第10−2016−0096904号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、有機金属複合体の製造のための多方向性リガンド及びこれを含む有機金属複合体に関する。
【背景技術】
【0003】
シッフ塩基(Schiff base)は、アミンとアルデヒドの縮合により形成される。シッフ塩基は、生体システムにおいて多く発見されるが、酵素中間体のリシン残基のアミン官能基は補助因子または基質と可逆的に反応する。例えば、酵素補助因子であるPLPは、リシン残基とシッフ塩基を形成して基質のトランスアルジミン化反応に参加する。これと類似のメカニズムにより、補助因子レチナールはロドプシンのリシン残基とシッフ塩基を形成する。
【0004】
また、シッフ塩基は配位化学における代表的なリガンドのうち一つである。イミン官能基の窒素中心は親核性/ルイス塩基性を有すると同時に、π−アクセプタ性質も示す。シッフ塩基に基づく代表的な多座配位子(Multidentate ligand)としてサレンは(salen)類型のリガンドがあり、特にキラル性シッフ塩基は非対称合成触媒のリガンドとして多く用いられてきた。シッフ塩基を用いて多数の窒素供与体原子を有する平面構造の多座配位子骨格を構築する場合、平面配位構造の下方と上方に空の空間を確保することができ、これによって金属中心に対する基質の接近性を向上させることができる。
【0005】
π−コンジュゲイションに参加するシッフ塩基は多様な光電子的性質も示す。これに基づいて、シッフ塩基官能基を有する多数の複合素材が有機太陽電池あるいはペロブスカイト太陽電池の電子素子として用いられている。また、アミン−アルデヒド縮合反応の可逆性を用いて共有有機構造体(covalent organic framework;COF)の形成にもシッフ塩基構造のモチーフを用いる研究が最近脚光を浴びている。
【0006】
前記のように、シッフ塩基が有する固有の構造的特性、反応性、光電子的特性を用いるために、2次元または3次元のネットワーク構造で連結された新たな構造体を作る研究が活発に進められている。例えば、最近報告された文献(R. Banerjee et al. J.Am.Chem.Soc.2016,138,2823−2828)によれば、D
3h対称性を有する分子である1,3,5−トリホルミルフロログルシノールのアルデヒドを三方向のアミンを有するグアニジニウムと縮合させ、シッフ塩基を含むイオン性共有結合有機ナノ平面構造体を作った研究がある。他の文献(P.Sun et al.Cryst.Growth.Des.2015,15,5360−5367)ではシッフ塩基の縮合反応を用いて作ったリガンドを金と反応させてメタロゲルを作った。
【0007】
本発明者らは、金属−有機リガンドの間の可逆的相互結合を極大化するために、シッフ塩基に基づく多方向性リガンドを設計し、2次元両方向に成長する平面単位構造体の間の超分子相互作用によりネットワーク構造を有する有機金属複合体が形成されることを確認して本発明を完成した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】R. Banerjee et al. J.Am.Chem.Soc.2016,138,2823−2828
【非特許文献2】P.Sun et al.Cryst.Growth.Des.2015,15,5360−5367
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、有機金属複合体の製造のために、構造及び機能面において幅広い拡張性を有する多方向性リガンド化合物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記多方向性リガンド化合物に基づく有機金属複合体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、下記化学式1で表される化合物、またはその塩を提供する:
【化1】
前記化学式1において、
Rは、それぞれ独立して−R
1、−NH−CO−R
2、または−NH−R
2であり、
R
1は、それぞれ独立して−OH、C
6−60アリール、C
1−10アルキル、またはアミノ酸残基であり、
R
2は、C
1−10アルキル、C
6−60アリール、またはN、O及びSのうちいずれか一つを含むC
4−60ヘテロアリールである。
【0012】
前記化学式1で表される化合物は、多孔性、電気伝導性、エレクトロクロミズムを示す有機金属複合体を製造するための化合物である。
【0013】
好ましくは、R
1はそれぞれ独立して−OH、フェニル、ナフチル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル、またはアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、ピロリシン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、チロシンで構成される群より選ばれるいずれか一つのアミノ酸の残基である。
【0014】
前記においてアミノ酸残基とは、アミノ酸の構造からアミン基を除いた構造を意味する。アミン基はアルデヒドと縮合してイミンを形成する。例えば、アラニン(alanine)の場合、アラニンの構造からアミン基を除いたプロピオン酸(propionic acid)がアミノ酸残基となる。
【0015】
また好ましくは、R
2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、オクチル、フェニル、ナフチル、またはピリジニルである。
【0016】
また、前記化学式1で表される化合物がカルボキシ基を含む場合には塩の形態で存在し得、この時、対イオン(counter ion)は、Na
+、K
+などであり得る。
【0017】
前記化学式1で表される化合物の代表的な例は、下記化学式1−1〜1−5で表される化合物のうちいずれか一つである:
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
前記化学式1で表される化合物は、ビフェニル(biphenyl)の母核構造を有しており、π−コンジュゲイション(π−conjugation)により電荷移動(charge transfer)が可能である。また、前記化学式1で表される化合物は、各ベンゼン環にヒドロキシ基を有しており、ヒドロキシ基のオルト(ortho)位置に2個のイミン基を有しており、このようなヒドロキシ基とイミン基により金属との配位結合が可能である。
【0024】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物と金属イオンの配位結合で形成された有機金属複合体を提供する。
【0025】
特に、前記化学式1で表される化合物は、ヒドロキシ基及びイミン基の他に、イミン基に置換されている置換基Rが金属イオンと追加的な配位結合が可能なR
1置換基、アミド結合(−NH−CO−R
2)、またはアミン基(−NH−R
2)を有し得るという特徴がある。そのため、前記ヒドロキシ基及びイミン基による金属イオンとの配位結合の他にも、追加的に金属イオンと配位結合が可能であり、前記化学式1で表される化合物と金属イオンは、2次元または3次元のネットワーク構造が形成される。前記のような有機金属複合体のネットワーク構造の代表的な例を
図1に示した。
【0026】
本発明のような有機金属複合体は、有機リガンドである前記化学式1で表される化合物と金属イオンが結合してネットワーク構造を形成するものであり、結晶性を有する物質をMOFs(metal−organic frameworks)といい、結晶性を有さず、溶媒を含む物質をゲル(gel)という。このようなネットワーク構造において前記化学式1で表される化合物のビフェニル(biphenyl)のπ−コンジュゲイション(π−conjugation)及び配位された金属イオンにより電荷移動が可能であると予測できる。
【0027】
また、前述したとおり、前記ネットワーク内における電荷移動は、一方向でなく両方向、または多方向に可能である。したがって、π−コンジュゲイション(π−conjugation)だけで電荷移動が可能な高分子、または一方向に電荷移動が可能な高分子に比べて、本発明による有機金属複合体は、電荷移動がより容易となり、電気伝導度も画期的に向上させることができ、かつ遠距離電荷移動も期待することができる。また、酸化−還元の電気的特性を有すれば、多重電子(multi−electron)の伝達も可能な遷移金属中心とリガンドπ−コンジュゲイション(π−conjugation)との間の相互作用により有機物基盤の伝導性高分子としては実現が難しい新たな電気的特性もまた期待することができる。
【0028】
前記金属イオンの金属は、特に制限されず、一例としてTi、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znを含む1周期遷移金属、Zr、Mo、Ru、Rh、Pd、Agなど2周期遷移金属、Ir、Pt、Auなどの3周期遷移金属だけでなく、Tb、Eu、Ybなどランタニド系金属も含む。
【0029】
また、前記有機金属複合体は、上述した化学式1で表される化合物及び前記金属の前駆体を混合して製造し得る。この時、前記化学式1で表される化合物がイオン化するように、塩基性物質を用いることが好ましく、例えばアミン(トリエチルアミンなど)を用いることができる。
【0030】
本発明による有機金属複合体は、前述したような前記ネットワーク内における電荷移動の特徴の他にも、可視光領域で強い吸収を示す光学的特性を有し、またゲル形態を帯びている特徴がある。特に、高温(約140℃)でもゲル形態を維持し得、これは、上述した化学式1で表される化合物及び金属イオンが配位結合により2次元または3次元のネットワーク構造を有することによって機械的特性が向上することに起因する。
【0031】
また、金属イオンを含むことによって、このような金属イオンが用いられる触媒として用いることができる。特に、金属イオンが有機金属複合体の内部に一定の間隔で配列されているため、触媒活性をより向上させることができる。また、金属イオンの状態に応じて光学特性が変化する特性があり、これを利用した各種センサーに応用することができる。さらに、本発明による有機金属複合体は、多孔性であるため、ガス分離、またはガス吸着にも応用することができる。
【0032】
また、本発明は、上述した化学式1で表される化合物の製造方法として、下記反応式1のような製造方法を提供する:
【化7】
【0033】
具体的に、前記製造方法は、前記化学式1’で表される化合物、前記化学式2’で表される化合物及びトリフルオロ酢酸を反応させて、前記化学式3’で表される化合物を製造する段階(段階1);及び前記化学式3’で表される化合物を前記化学式4’で表される化合物と反応させる段階を含む。
【0034】
前記段階1は、ダフ反応(Duff reaction)であって、前記化学式1’で表される化合物のヒドロキシ基のオルト(ortho)位置にアルデヒド基を置換させる反応である。
【0035】
好ましくは、前記化学式1で表される化合物と前記化学式2で表される化合物とのモル比は1:20である。また、前記トリフルオロ酢酸は、溶媒の役割も同時に果たすものであって、前記化学式1で表される化合物と前記化学式2で表される化合物とを全て溶解できるほど用いることが好ましい。
【0036】
好ましくは、前記段階1の反応温度は、100℃〜150℃である。また好ましくは、前記段階1の反応時間は、1日〜10日である。
【0037】
前記段階1の反応後、生成物を収得する段階をさらに含み得る。一例として、1モル〜5モルの過量の塩酸に反応混合物を添加し、1日〜3日間攪拌して沈殿物を得ることができる。これの精製のために、沈殿物をジメチルスルホキシドで再結晶して化学式3’で表される化合物を得ることができる。
【0038】
前記段階2は、アルデヒドとヒドロキシアミンが反応してアルドキシムを形成する反応であって、前記化学式3’で表される化合物のアルデヒドにアルドキシムを形成させる反応である。前記化学式4’で表される化合物において、Rの定義は前述した化学式1で定義したとおりである。
【0039】
前記段階2の反応の溶媒としては、水、C
1−4アルコール、またはこれらの混合溶媒が好ましく、水/エタノール混合溶媒、または水/メタノール混合溶媒がより好ましい。
【0040】
前記段階2の反応後、生成物を収得する段階をさらに含み得る。一例として、前記段階2の反応後、過量の水を添加して生成される沈殿物をろ過して、水とアセトンで順に洗浄して化学式1で表される化合物を得ることができる。
【0041】
また、前記得られた化学式1で表される化合物がゲル状態で得られる場合、必要に応じて超臨界二酸化炭素で処理して溶媒を除去する段階をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0042】
前述したとおり、本発明による化学式1で表される化合物は、金属イオンと配位結合して両方向または多方向の有機金属複合体を形成できるという特徴がある。したがって、本発明は、アミン−アルデヒド縮合を用いて多様なリガンドを合成できる前駆体とその前駆体を用いて有機金属材料の合成に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施例による化合物が金属イオンと配位結合で形成されるネットワーク構造を示すものである。
【
図2】本発明の有機金属複合体がゲル形態に製造されることを示すものである。
【
図3】本発明の有機金属複合体(terbium(III) metallogel)の蛍光性を測定した結果を示すものである(固体蛍光、吸収波長=450nm、最大放出波長=629nm、基準線は補正された)。
【
図4】本発明の有機金属複合体(cobalt(II) metallogel)の表面をSEMで観察した結果を示すものである。
【
図5】本発明の有機金属複合体(nickel(II) metallogel)の表面をSEMで観察した結果を示すものである。
【
図6】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造した結果を示すものである。
【
図7】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図8】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図9】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図10】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図11】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図12】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図13】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図14】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、SEMで表面を観察した結果を示すものである。
【
図15】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図16a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図16b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図17a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図17b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図18a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図18b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図19a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図19b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図20a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図20b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図21a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図21b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図22a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図22b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図23a】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【
図23b】本発明の有機金属複合体をキセロゲル(xerogel)に製造して、エネルギー分散X線分光分析(EDS)で試料内の各元素の含有量とその分布を観察した結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の理解を深めるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、本発明をより理解しやすくするために提供するものであり、これによって本発明の内容は限定されない。
【実施例】
【0045】
実施例1
【化8】
【0046】
(段階1)
乾燥された丸底フラスコにHMTA(hexamethylenetetramine、7.530g、53.70mmol)を入れた。前記フラスコをアルゴンでパージングし、TFA(trifluoroacetic acid、50mL)を入れた。HMTAを完全に溶解した後、ビフェニル−4,4’−ジオール(1.000g、5.370mmol)を急速に入れた。前記混合物がオレンジ色になったことを確認した後、120℃で7日間加熱した。生成物は赤黒い色であり、これを4N HCl(100mL)に注ぎ、黄色沈殿物をろ過した。沈殿物を熱いDMSOで再結晶して黄色の微細結晶2.460g(収率:65.1%)を得た。
【0047】
(段階2)
反応器に前記段階1で製造した化合物(0.296g、1.000mmol)及びNH
2OH−HCl(0.420g、6.0mmol)を入れた。水(7mL)を添加した後、80℃で加熱した。前記混合物が透明になる時までメタノールを滴加した。反応器を固く密封した後100℃で1時間加熱した。常温に冷却した後に水を添加して沈殿物を誘導し、これをろ過及び水で洗浄して明るい黄色の生成物(powder、0.360g)を得た。
1H NMR (300 MHz,DMSO−d)δ11.60(s,4H),10.88(s,2H),8.45(s,4H),7.83(s,4H)
【0048】
実施例2
【化9】
【0049】
反応容器に水酸化カリウム(6.80mmol、0.38g)と10mLのエタノールを入れて攪拌した。攪拌中の混合物にグリシン(glycine)(6.80mmol、0.510g)を入れた後、固体試料が全て溶ける時まで攪拌した。前記実施例1の段階1で製造したテトラホルミルビフェノール(tetraformylbiphenol、1.70mmol、0.500g)を10mLのエタノールに分散させた混合物を別途に準備した後、攪拌中の反応容器に低速で添加した。添加過程の間に混合物は赤い色に変わった。添加過程が終わった混合物をさらに8時間攪拌した。反応が終わった混合物を20mLの水に注いだ後、溶けていない固体物質はろ過して除去した。低い圧力で水を除去した後に残った物質をジメチルホルムアミド(dimethylformamide)溶媒に分散させて漉して橙色粉形態の結果物を得た(0.4654g、74.6%)。
1H NMR(300 MHz,D
2O)δ3.31(s,8H),7.91(s,4H)
【0050】
実施例3
【化10】
【0051】
前記実施例1の段階1で製造したテトラホルミルビフェノール(tetraformylbiphenol、0.500g、1.678mmol)を入れた反応容器にエタノール13mLを追加した。混合物を攪拌しながらフェニルヒドラジン(phenylhydrazine、0.726g、6.710mmol)を注射器で添加した。反応容器を密閉して100℃で8時間加熱した。反応混合物を常温に冷ました後、100mLの水に注いだ。沈殿物を漉してアセトンで洗浄して黄色粉形態の結果物を得た(0.7797g、70.6%)。
LC−MS:calculated for C
40H
34N
8O
2[M]
+658.28,found 659.4
【0052】
実施例4
【化11】
【0053】
反応容器に前記実施例1の段階1で製造したテトラホルミルビフェノール(tetraformylbiphenol、0.500g、1.678mmol)とニコチニックヒドラジド(nicotinic hydrazide、0.920g、6.710mmol)を入れた後、エタノール13mLを添加した。反応容器を密閉して100℃で8時間加熱した。反応混合物を常温に冷ました後、100mLの水を注いだ。沈殿物を漉してアセトンで洗浄して黄色粉形態の結果物を得た(0.8971g、69.1%)。
MALDI−TOF:calculated for C
40H
30N
12O
6[M]
+ 774.24、found 775.5
【0054】
実施例5
【化12】
【0055】
反応容器に前記実施例1の段階1で製造したテトラホルミルビフェノール(tetraformylbiphenol、0.500g、1.678mmol)とn−オクタノヒドラジド(n−octanohydrazide、1.062g、6.710mmol)を入れた後、エタノール13mLを添加した。反応容器を密閉して100℃で8時間加熱した。反応混合物を常温に冷ました後、100mLの水に注いだ。沈殿物を漉してアセトンで洗浄して黄色粉形態の結果物を得た(0.8072g、56.0%)。
LC−MS:calculated for C
48H
74N
8O
6[M]
+858.57、found 859.7
【0056】
実験例1:ゲル(gel)の製造
1)実験例1−1
ガラス瓶に前記実施例1で製造した化合物(50.0mg、0.140mmol)を入れ、DMF(1.0mL)を入れてこれを溶解した。トリエチルアミン(0.12mL、0.840mmol)を滴加して溶液がオレンジ色になったことを確認した後、下記表1の物質を急速に添加した。5秒間前記混合物を攪拌した後、ゲルを形成するために100℃で加熱し、この過程で漸進的にゲルが形成された。
【0057】
【表1】
【0058】
2)実験例1−2
ガラス瓶に前記実施例1で製造した化合物(50.0mg、0.140mmol)を入れ、DMF(1.0mL)を入れてこれを溶解した。完全に溶解した後、下記表2の物質を添加した。その後、急速にトリエチルアミン(0.12mL、0.840mmol)を滴加し、滴加直後に黒いゲルが形成された。5秒間前記混合物を攪拌した後、ゲルの均質化及び強度増加のために100℃で加熱した。約1時間後にゲルが完成した。
【0059】
【表2】
【0060】
3)実験例1−3〜1−6
ガラス瓶に前記実施例1で製造した化合物(50.0mg、0.140mmol)を入れ、DMF(1.0mL)を入れてこれを溶解した。トリエチルアミン(0.12mL、0.840mmol)を滴加して溶液がオレンジ色になったことを確認した後、下記表3の物質を急速に添加した。添加直後にゲルの形成が始まった。5秒間前記混合物を攪拌した後、ゲルの均質化及び強度増加のために100℃で加熱し、約1時間後にゲルが完成した。
【0061】
【表3】
【0062】
一方、前記実験例1−1、1−3、1−4、及び1−6でそれぞれ製造されたゲルを
図2に示した。
図2に示すように、各製造された有機金属複合体はゲル(gel)形態に製造された。
【0063】
4)実験例1−7〜1−10
ガラス瓶に前記実施例1で製造した化合物(50.0mg、0.140mmol)を入れ、DMF(1.0mL)を入れてこれを溶解した。ナトリウムメトキシド(22.5mg、0.420mmol)を1.0mLのエタノールに溶かした溶液を滴加して溶液がオレンジ色になったことを確認した後、下記表4の物質を急速に添加した。添加直後にゲルの形成が始まった。5秒間前記混合物を攪拌した後、ゲルの均質化及び強度増加のために100℃で加熱した。約1時間後にゲルが完成した。
【0064】
【表4】
【0065】
実験例2:ゲルの蛍光性測定
前記実験例1−9で製造したゲルをスライドグラスに塗った後、80℃の真空オーブンで2時間乾燥した。このように乾燥したゲルの蛍光性を測定し、吸収波長は450nmであり、
図3に示すように最大放出波長は629nmであった。
【0066】
実験例3:ゲルのSEMイメージ観察
1)実験例3−1
前記実験例1−3で製造したコバルトゲルを真空で12時間乾燥した結果物を用いて、SEMイメージを得た。具体的には、乾燥したゲルをカーボン両面テープを貼ったスタブ(stub)に分散させて白金コーティングをし、15kV電圧条件で観察した。その結果を
図4に示した。
【0067】
2)実験例3−2
前記実験例1−4で製造したニッケルゲルを真空で12時間乾燥した結果物を用いて、SEMイメージを得た。具体的には、乾燥したゲルをカーボン両面テープを貼ったスタブ(stub)に分散させて白金コーティングをし、5−15kV電圧条件で観察した。その結果を
図5に示した。
【0068】
実験例4:キセロゲル(xerogel)の製造
前記実験例1−2〜1−10で製造したゲルを超臨界二酸化炭素で処理して溶媒を乾燥させる過程によりキセロゲル(xerogel)を作った。具体的には、ステンレス鋼で作ったシリンダーに前記で製造したゲルを入れた後、超臨界二酸化炭素機器に設置した。40℃温度で200気圧の超臨界二酸化炭素を0.1mL/分速度で流れるようにして溶媒を除去して粉形態の結果物を得た。そのうち一部を肉眼で観察した結果を
図6に示した。
【0069】
実験例5:キセロゲルの分析
前記実験例4で製造されたキセロゲルを用いて、SEMイメージを得た。具体的には、キセロゲルをカーボン両面テープを貼ったスタブ(Stub)に分散させて白金コーティングをし、5−15kV電圧条件で観察してその結果を
図7〜15に示した。同時に、キセロゲル表面の元素分布を確認するためにEDS(energydispersive X−ray spectroscopy;エネルギー分散X線分光分析)を測定し、その結果を
図16〜
図23に示した。各図面の内容は、下記表5のとおりである。
【0070】
【表5】