(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676094
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】プラズマ処理システムにおける不活性物優勢パルス化
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20200330BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
H01L21/302 100
H05H1/46 L
H05H1/46 C
【請求項の数】31
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-76476(P2018-76476)
(22)【出願日】2018年4月12日
(62)【分割の表示】特願2014-540631(P2014-540631)の分割
【原出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2018-142711(P2018-142711A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2018年5月10日
(31)【優先権主張番号】61/560,005
(32)【優先日】2011年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/550,547
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス カナリク・ケレン
【審査官】
佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−275392(JP,A)
【文献】
特開2000−299461(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0027999(US,A1)
【文献】
特開2009−158740(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0139748(US,A1)
【文献】
特開平04−137532(JP,A)
【文献】
特開平06−021008(JP,A)
【文献】
特表2012−529777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムのプラズマ処理チャンバ内で原子層エッチングを用いてエッチングするための方法であって、前記プラズマ処理チャンバは、少なくとも1つのプラズマ発生源と、前記プラズマ処理チャンバの内部領域にプロセスガスを供給するための少なくとも1つのガス源とを有し、前記方法は、複数のサイクルを提供することを備え、各サイクルは、
反応ガスおよび不活性ガスを含む第1のガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流し、
前記第1のガスから第1のプラズマを形成するために第1のRF信号を提供し、
前記プラズマ処理チャンバ内への前記第1のガスの前記流れを停止し、
基本的に前記不活性ガスからなる第2のガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流し、
前記第2のガスから第2のプラズマを形成するために前記第1のRF信号と異なる第2のRF信号を提供し、
前記プラズマ処理チャンバ内への前記第2のガスの前記流れを停止すること、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、前記第1のガスから形成された前記第1のプラズマを安定化することを備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、各サイクルは、さらに、第3のガスを前記プラズマ処理チャンバに流し、前記プラズマ処理チャンバ内への前記第3のガスの前記流れを停止すること、を備える、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記第3のガスは、前記第1のガスおよび前記第2のガスに対する反応ガス対不活性ガスの比と異なる反応ガス対不活性ガス比を有する、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記第2のガスを流すことは、前記第1のガスの前記流れを停止することの後に提供される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記第2のRF信号は、前記第1のRF信号と異なる周波数のRF信号を有し、前記第1のRF信号の周波数および前記第2のRF信号の前記周波数は、予め定められている、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、前記第1のガスは、前記第2のガスと異なる圧力を有する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記第1のガスの前記流れを停止して前記第2のガスを流すことは、前記不活性ガスの前記流れを維持しつつ前記反応ガスの前記流れを停止することを備える、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、各サイクルは、さらに、第3のガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流し、前記プラズマ処理チャンバへの前記第3のガスの前記流れを停止すること、を備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記第3のガスは、前記第1のガスおよび前記第2のガスに対する反応ガス対不活性ガスの比と異なる反応ガス対不活性ガスの比を有する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記第2のガスを流すことは、前記第1のガスの前記流れを停止させることの後に提供される、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記第2のRF信号は、前記第1のRF信号と異なる周波数のRF信号を有し、前記第1のRF信号の前記周波数および前記第2のRF信号の前記周波数は、予め定められている、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のガスは、前記第2のガスと異なる圧力を有する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のガスの前記流れを停止して前記第2のガスを流すことは、前記不活性ガスの前記流れを維持しつつ前記反応ガスの前記流れを停止することを備える、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のガスは、前記反応ガスの流れを前記不活性ガスの流れと混合することによって形成される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記反応ガスの前記流れおよび前記不活性ガスの前記流れは、生じた混合物が前記プラズマ処理チャンバ内に流されるように、前記プラズマ処理チャンバ内に流れる前に混合される、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記第2のガスは、前記不活性ガスの前記流れを停止することなく前記反応ガスの前記流れを停止することによって形成される、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、前記反応ガスの前記流れを停止することによって引き起こされる圧力停止を少なくとも部分的に補うように、前記不活性ガスの前記流れを増やすことを備える、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のガス中の不活性ガス対反応ガス量の比は、少なくとも1:9である、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のガス中の不活性ガス対反応ガス量の比は、少なくとも3:7である、方法。
【請求項21】
プラズマ処理システムのプラズマ処理チャンバ内で原子層エッチングを用いてエッチングするための方法であって、前記プラズマ処理チャンバは、少なくとも1つのプラズマ発生源と、前記プラズマ処理チャンバの内部領域にプロセスガスを供給するための少なくとも1つのガス源とを有し、前記方法は、複数のサイクルを提供することを備え、各サイクルは、
基本的に反応ガスからなる第1のガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流し、
前記第1のガスから第1のプラズマを形成するために第1のRF信号を提供し、
前記プラズマ処理チャンバへの前記第1のガスの前記流れを停止し、
前記第1のガスの前記流れを停止した後に第2のガスを前記プラズマ処理チャンバに流し、前記プラズマ処理チャンバ内の前記第2のガスは、前記第1のガスより多くなるように増加され、前記第2のガスは、基本的に不活性ガスからなり、前記不活性ガスは、前記プラズマ処理チャンバの圧力を実質的に一定に維持するために、前記第2のガスの前記流れの間に前記第1のガスの少なくとも一部を置き換えるように構成され、
前記第2のガスから第2のプラズマを形成するために前記第1のRF信号と異なる第2のRF信号を提供し、
前記プラズマ処理チャンバへの前記第2のガスの前記流れを停止し、
前記複数のサイクルのために、前記第1のガスの前記流れを繰り返し、前記第1のRF信号を提供し、前記第1のガスの前記流れを停止し、前記第2のガスを流し、前記第2のRF信号を提供し、前記第2のガスの前記流れを停止すること、
を備え、
前記第1のRF信号は、前記第2のRF信号と異なる電力を有する、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、さらに、前記第1のガスから形成された前記第1のプラズマを安定化させることを備える、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、各サイクルは、さらに、第3のガスを前記プラズマ処理チャンバに流し、前記プラズマ処理チャンバへの前記第3のガスの前記流れを停止すること、を備える、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記第3のガスは、前記第1のガスに対する反応ガス対不活性ガスの比および第2のガスに対する反応ガス対不活性ガスの比と異なる反応ガス対不活性ガスの比を有する、方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法であって、前記第2のRF信号は、前記第1のRF信号と異なる周波数のRF信号を有し、前記第1のRF信号の前記周波数および前記第2のRF信号の前記周波数は、予め定められている、方法。
【請求項26】
請求項21に記載の方法であって、前記第1のガスおよび前記第2のガスは、前記プラズマ処理チャンバ内で混合する、方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法であって、各サイクルは、さらに、第3のガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流し、前記プラズマ処理チャンバへの前記第3のガスの前記流れを停止すること、を備える、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記第3のガスは、前記第1のガスおよび前記第2のガスに対する反応ガス対不活性ガスの比と異なる反応ガス対不活性ガスの比を有する、方法。
【請求項29】
請求項21に記載の方法であって、前記第2のRF信号は、前記第1のRF信号と異なる周波数のRF信号を有し、前記第1のRF信号の前記周波数および前記第2のRF信号の前記周波数は、予め定められている、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記第1のガスおよび前記第2のガスは、前記プラズマ処理チャンバ内で混合する、方法。
【請求項31】
請求項21に記載の方法であって、さらに、パルス化されたバイアスを提供することを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
優先権の主張
本願は、米国特許法第119条(e)の下、Keren Jacobs Kanarikによって2011年11月15日に出願された、本願の権利者が所有する発明の名称を「INTER−DOMINANT PULSING IN PLASMA PROCESSING SYSTEMS(プラズマ処理システムにおける不活性物優勢パルス化)」とする米国仮特許出願第61/560,005号に基づく優先権を主張し、この仮出願は参照によって全てが本明細書に組み込まれる。
【0002】
基板(例えば、ウエハまたは平面パネルまたはLCDパネル)を処理して集積回路またはその他の電子製品を形成するために、プラズマ処理システムが長い間用いられてきた。一般的なプラズマ処理システムは、特に、容量結合プラズマ処理システム(CCP)または誘電結合プラズマ処理システム(ICP)を備えうる。
【0003】
一般に、プラズマ基板処理には、イオンおよびラジカル(中性種ともいう)のバランスが関係する。例えば、イオンよりも多くのラジカルを有するプラズマを用いると、エッチングは、より化学的および等方性になる傾向がある。ラジカルよりも多くのイオンを有するプラズマを用いると、エッチングは、より物理的になる傾向があり、選択比が悪化する傾向がある。従来のプラズマチャンバでは、イオンおよびラジカルが、密に結合する傾向にある。したがって、(処理パラメータに関する)プロセスウィンドウは、イオンが優勢のプラズマまたはラジカルが優勢のプラズマを独立的に達成するための制御ノブ(control knobs)が限られているという事実により、かなり狭くなる傾向がある。
【0004】
電子デバイスが、より小さくおよび/または複雑になるにつれて、選択比、均一性、高アスペクト比、アスペクト依存エッチングなど、エッチング要件が増えている。圧力、RFバイアス、電力などの特定のパラメータを変更することにより、現行世代の製品に対してエッチングを実行することが可能になったが、より小型および/または精密な次世代の製品には、異なるエッチング能力が必要になる。イオンおよびラジカルをより効果的に分離して独立的に制御できないことが、一部のプラズマ処理システムで上述のようなより小型および/または精密な電子デバイスを製造するためにいくつかのエッチング処理を実行する制限となり、一部の例では、その実行を困難にしていた。
【0005】
従来技術では、エッチング中の異なる時にイオン対ラジカル比を調節するためのプラズマ条件を得る試みがなされてきた。従来のスキームでは、パルスサイクルの或る位相(例えば、パルスオン位相)中に通常のイオン対中性子の流束比を有するプラズマと、パルスサイクルの別の位相(例えば、パルスオフ位相)中により低いイオン対中性子の流束比を有するプラズマとを得るために、ソースRF信号がパルス化されうる(例えば、オンおよびオフ)。ソースRF信号は、バイアスRF信号と同期してパルス化されうることが周知である。
【0006】
しかしながら、従来技術のパルス化は、或る程度まで、異なる時点に通常のイオン対中性子の流束比のプラズマの交互の位相をもたらし、いくつかの処理のための動作ウィンドウ(operating windows)を開いたが、より大きい動作ウィンドウが望まれていることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面では、限定ではなく例示を目的として本発明を図示する。なお、これらの添付図面においては、同様の構成要素には同様の符号が付されている。
【0008】
【
図1】本発明の1または複数の実施形態に従って、入力ガス(反応ガスおよび/または不活性ガスなど)およびソースRF信号が共にパルス化されるが、異なるパルス周波数でパルス化される複合型パルス化スキームの一例を示す図。
【0009】
【
図2】本発明の1または複数の実施形態に従って、複合型パルス化スキームの別の例を示す図。
【0010】
【
図3】本発明の1または複数の実施形態に従って、複合型パルス化スキームのさらに別の例を示す図。
【0011】
【
図4】本発明の1または複数の実施形態に従って、複合型パルス化スキームの他の可能な組み合わせを示す図。
【0012】
【
図5】本発明の1または複数の実施形態に従って、複合型パルス化を実行するための工程を示す図。
【0013】
【
図6】本発明の1または複数の実施形態に従って、ガスのパルス化を実行するための工程を示す図。
【0014】
【
図7A】本発明の実施形態に従って、
図6に関連して説明したガスパルス化スキームの別の例を示す図。
【
図7B】本発明の実施形態に従って、
図6に関連して説明したガスパルス化スキームの別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付図面に例示されているいくつかの実施形態を参照しつつ、本発明の詳細な説明を行う。以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。また、本発明が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造については、詳細な説明を省略した。
【0016】
以下では、方法および技術を含め、様々な実施形態について説明する。本発明は、本発明の技術の実施形態を実行するためのコンピュータ読み取り可能な命令を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を含む製品も含みうることに留意されたい。コンピュータ読み取り可能な媒体としては、例えば、コンピュータ読み取り可能な暗号を格納するための半導体、磁気、光磁気、光学、または、その他の形態のコンピュータ読み取り可能な媒体が挙げられる。さらに、本発明は、本発明の実施形態を実施するための装置も含んでよい。かかる装置は、本発明の実施形態に関するタスクを実行するために、専用および/またはプログラム可能な回路を備えてよい。かかる装置の例は、汎用コンピュータおよび/または適切にプログラムされた専用コンピュータデバイスを含み、本発明の実施形態に関する様々なタスクに適合したコンピュータ/コンピュータデバイスおよび専用/プログラム可能回路を組み合わせたものを含んでもよい。
【0017】
本発明の実施形態は、第1のパルス周波数で入力ガス(例えば、反応ガスおよび/または不活性ガス)をパルス化し、異なった第2のパルス周波数でソースRF信号をパルス化する複合型パルス化スキームに関する。本明細書の例においては、説明のために誘導結合プラズマ処理システムおよび誘導RF電源を用いているが、本発明の実施形態は、容量結合プラズマ処理システムおよび容量RF電源にも同様に適用されることを理解されたい。
【0018】
1または複数の実施形態において、入力ガスは、より遅いパルス周波数でパルス化され、誘導ソースRF信号は、誘導結合プラズマ処理システム内で、異なったより速いパルス周波数でパルス化される。例えば、誘導ソースRF信号が13.56MHzである場合、例えば、100Hzでパルス化されてよく、ガスは、異なるパルスレート(1Hzなど)でパルス化される。
【0019】
したがって、この例においては、ガスの全パルスサイクルは1秒である。ガスパルス化のデューティサイクルが70%である場合、ガスは、1秒間のガスパルス周期の70%でオンであり、1秒間のガスパルス周期の30%でオフでありうる。ソースRF信号のパルスレートが100Hzであるので、RF信号の全パルス周期は10msである。RFパルス化のデューティサイクルが40%である場合、RFオン位相(13.56MHz信号がオンである時)は、10msのRFパルス周期の40%であり、RFオフ位相(13.56MHz信号がオフである時)は、10msのRFパルス周期の60%である。
【0020】
1または複数の実施形態において、誘導ソースRF信号は、2つの異なる周波数でパルス化されてもよく、一方、ガスは、独自のガスパルス周波数でパルス化される。例えば、上述の13.56MHzのRF信号は、100Hzの周波数f1でパルス化されるだけでなく、周波数f1のオン位相中に、異なったより高い周波数でパルス化されてもよい。例えば、RFパルスのデューティサイクルがf1パルスの40%である場合、f1のオン位相は、10msの40%すなわち4msである。しかしながら、f1の4msのオン位相中に、RF信号は、さらに、異なったより高い周波数f2(400Hzなど)でパルス化されてよい。
【0021】
本発明の実施形態は、ガスパルスおよびRFパルスが同期(すなわち、パルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジが一致する)または非同期であってよいことを想定する。デューティサイクルは、一定であってもよいし、他のパルス周波数から独立してまたは他のパルス周波数に依存して変化してもよい。
【0022】
1または複数の実施形態において、周波数チャーピングが用いられてもよい。例えば、RF信号は、パルス周期のいずれか(例えば、RF信号またはガスのパルス周期の内のいずれか)の位相または位相の一部の間に、異なる周波数(例えば、13.56MHzに対して60MHz)を利用できるように、周期的または非周期的に基本周波数を変更してもよい。同様に、ガスパルス周波数が、必要に応じて、周期的または非周期的に時間と共に変更されてもよい。
【0023】
1または複数の実施形態において、上述のガスおよびソースRFのパルス化は、別のパラメータの1または複数のパルス化または変動と組み合わせてもよい(バイアスRF信号のパルス化、電極へのDCバイアスのパルス化、異なるパルス周波数の複数のRF周波数のパルス化、パラメータの内のいずれかの位相の変更など)。
【0024】
本発明の実施形態の特長および利点は、図面と以下の説明を参照すれば、よりよく理解できる。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に従って、入力(導入)ガス(反応ガスおよび/または不活性ガスなど)およびソースRF信号が共にパルス化されるが、異なるパルス周波数でパルス化される複合型パルス化スキームの一例を示す。
図1の例において、入力ガス102は、約2秒/パルスまたは2MHzのガスパルスレート(1/T
gpと定義され、T
gpはガスパルスの周期)でパルス化される。
【0026】
13.56MHzのTCPソースRF信号104は、RFパルスレート(1/T
rfpと定義され、T
rfpはRFパルスの周期)でパルス化される。本明細書でのRFパルス化の概念を明確にすると、RF信号は、期間120中にオン(13.56MHzRF信号など)であり、期間122中にオフである。ガスパルスレートおよびRFパルスレートの各々は、独自のデューティサイクルを有してよい(パルスオンの時間を全パルス周期で割ったものとして定義される)。パルス信号のいずれに対してもデューティサイクルが50%でなければならないという要件はなく、デューティサイクルは、特定の処理のために必要に応じて変化してもよい。
【0027】
一実施形態において、ガスパルス化およびRF信号パルス化は、同じデューティサイクルで行われる。別の実施形態において、ガスパルス化およびRF信号パルス化は、最大限に詳細な制御を行うために、独立して制御可能な(そして、異なってもよい)デューティサイクルで行われる。1または複数の実施形態において、ガスパルス信号およびRFパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジは同期してよい。1または複数の実施形態において、ガスパルス信号およびRFパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジは非同期的であってよい。
【0028】
図2において、ガス入力202は、独自のガスパルス周波数でパルス化される。ただし、ソースRF信号204は、2つの異なる周波数でパルス化されうるが、ガスは、独自のガスパルス周波数(1/T
gpと定義され、T
gpはガスパルスの周期である)でパルス化される。例えば、RF信号は、周波数f1(図から1/T
f1と定義される)でパルス化されるだけでなく、f1パルス化のオン位相中に、異なったより高い周波数でさらにパルス化されうる。例えば、f1パルス化のこのオン位相中に、RF信号は、異なるパルス周波数f2(図から1/T
f2と定義される)でパルス化されてよい。
【0029】
図3において、ガス入力302は、独自のガスパルス周波数でパルス化される。ただし、ソースRF信号304は、3つの異なる周波数でパルス化されうるが、ガスは、独自のガスパルス周波数でパルス化される。例えば、RF信号は、周波数f1(図から1/T
f1と定義される)でパルス化されるだけでなく、f1パルス化のオン位相中に、異なったより高い周波数でさらにパルス化されうる。このように、f1パルス化のこのオン位相中に、RF信号は、異なるパルス周波数f2(図から1/T
f2と定義される)でパルス化されてよい。f1パルス化のオフ位相中に、RF信号は、異なるパルス周波数f3(図から1/T
f3と定義される)でパルス化されてよい。
【0030】
追加的または代替的に、デューティサイクルは、
図1〜
図3の例では一定として図示されているが、デューティサイクルは、周期的または非周期的に、および、パルス信号(ガスパルス信号、RFパルス信号、または、その他の信号)の内の1信号の位相に独立してまたは依存して変化してもよい。さらに、デューティサイクルの変化は、パルス信号(ガスパルス信号、RFパルス信号、または、その他の信号)の内の任意の1信号の位相に関して同期または非同期的であってよい。
【0031】
一実施形態において、RFパルスのデューティサイクルは、ガスパルスのオン位相(例えば、
図1の154)中に或る値に設定され、ガスパルスのオフ位相(例えば、
図1の156)中には別の異なる値に設定されることが有利である。好ましい実施形態において、RFパルスのデューティサイクルは、ガスパルスのオン位相(例えば、
図1の154)中に或る値に設定され、ガスパルスのオフ位相(例えば、
図1の156)中にはより低い値に設定されることが有利である。デューティサイクルがガスパルスのオン位相中に高く、ガスパルスのオフ位相中に低いこのRFパルスデューティサイクルの実施形態は、一部のエッチングに対して有利であると考えられる。デューティサイクルがガスパルスのオン位相中に低く、ガスパルスのオフ位相中に高いこのRFパルスデューティサイクルの変動は、一部のエッチングに対して有利であると考えられる。本明細書で用いられるように、信号がパルス化された場合、デューティサイクルは、信号がパルス化された期間中には100%以外である(すなわち、パルス化および「常にオン」は、2つの異なる概念である)。
【0032】
追加的または代替的に、パルス信号(ガスパルス信号、RFパルス信号、または、その他の信号)のいずれかに、周波数チャーピングが用いられてもよい。以下では、周波数チャーピングについて、
図4のRFパルス信号と関連して詳述する。
【0033】
1または複数の実施形態において、ガスは、ガスパルスのオン位相中に、反応ガスおよび不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、キセノン、クリプトン、ネオンなど)がレシピによって指定された通りになるようにパルス化される。ガスパルスのオフ位相中、反応ガスおよび不活性ガスの両方の少なくとも一部が除去されてよい。他の実施形態では、ガスパルスのオフ位相中に、反応ガスの少なくとも一部が除去され、不活性ガスに置き換えられる。有利
な実施例において、チャンバ圧を実質的に同じに保つために、ガスパルスのオフ位相中に、反応ガスの少なくとも一部が除去され、不活性ガスに置き換えられる。
【0034】
1または複数の実施形態において、ガスパルスのオフ位相中、チャンバ内に流される全ガス中の不活性ガスの割合は、約X%から約100%まで変化してよく、ここで、Xは、ガスパルスのオン位相中に用いられる全ガス流中の不活性ガスの割合である。より好ましい実施形態において、チャンバ内に流される全ガス中の不活性ガスの割合は、約1.1X%から約100%まで変化してよく、ここで、Xは、ガスパルスのオン位相中に用いられる全ガス流中の不活性ガスの割合である。好ましい実施形態において、チャンバ内に流される全ガス中の不活性ガスの割合は、約1.5X%から約100%まで様々であってよく、ここで、Xは、ガスパルスのオン位相中に用いられる全ガス流中の不活性ガスの割合である。
【0035】
ガスパルスレートは、チャンバ内のガスの滞留時間によって上限(周波数上限)に制限される。この滞留時間の概念は、当業者に周知であり、チャンバ設計によって様々である。例えば、滞留時間は、通例、容量結合チャンバでは数十ミリ秒の範囲にある。別の例において、滞留時間は、通例、誘導結合チャンバでは数十ミリ秒から数百ミリ秒の範囲にある。
【0036】
1または複数の実施形態において、ガスのパルス周期は、10ミリ秒から50秒の範囲、より好ましくは50ミリ秒から約10秒の範囲、好ましくは約500ミリ秒から約5秒の範囲であってよい。
【0037】
ソースRFのパルス周期は、本発明の実施形態によると、ガスのパルス周期よりも短い。RFのパルス周波数は、RF信号の周波数によって上限に制限される(例えば、RF周波数が13.56MHzである場合、13.56MHzが、RFパルス周波数に上限を課す)。
【0038】
図4は、本発明の1または複数の実施形態に従って、他の可能な組み合わせを示す。
図4において、別の信号406(バイアスRFまたは任意の他の周期的なパラメータなど)が、ガスパルス信号402およびソースRFパルス信号404(430および432で示すようにパルス化されている)と共にパルス化されてよい。信号406のパルス化は、システムにおける任意の他の信号と同期または非同期にされてよい。
【0039】
代替的または追加的に、別の信号408(DCバイアスまたは温度または圧力または任意の他の非周期的なパラメータなど)が、ガスパルス信号402およびソースRFパルス信号404と共にパルス化されてもよい。信号408のパルス化は、システムにおける任意の他の信号と同期または非同期にされてよい。
【0040】
代替的または追加的に、別の信号410(RFソースまたはRFバイアスまたは任意の他の非周期的なパラメータなど)が、ガスパルス信号402と共にチャーピングおよびパルス化されてもよい。例えば、信号410がパルスしている時に、信号410の周波数は、信号410または別の信号(ガスパルス信号など)の位相に応じて、または、ツール制御コンピュータからの制御信号に応答して、変化してよい。図
4の例において、符号422は、符号420と関連した周波数よりも高い周波数の領域を指している。低い方の周波数422の一例は、27MHzであってよく、高い方の周波数420は、60MHzであってよい。信号410のパルス化および/またはチャーピングは、システムにおける任意の他の信号と同期または非同期にされてよい。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に従って、複合型パルス化を実行するための工程を示す。
図5の工程は、例えば、1または複数のコンピュータの制御下でソフトウェアによって実行されうる。ソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な媒体(1または複数の実施形態では非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体など)に格納されてよい。
【0042】
工程502で、基板が、プラズマ処理チャンバ内に準備される。工程504で、基板は、RFソースおよび入力ガスの両方をパルス化した状態で処理される。1または複数の他の信号(RFバイアスまたは別の信号など)の任意選択的なパルス化が工程506に示されている。工程508で、RFソースおよび入力ガスをパルス化する際に、周波数、デューティサイクル、ガスの割合などが、任意選択的に変更されてもよい。
【0043】
1または複数の実施形態において、ガスは、サイクル当たり少なくとも2つの位相が存在し、サイクルが周期的に繰り返すようにパルス化される。RFソース信号を含むその他のパラメータは、パルス化されないままであってよい。第1の位相中、反応ガス(複数の異なるエッチングおよび/またはポリマ形成ガスを含みうる)対不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、キセノン、クリプトン、ネオンなどの内の1または複数のガスなど)の比は、第1の比である。第2の位相中、反応ガス対不活性ガスの比は、第1の比とは異なる第2の比である。第2の位相中に、チャンバへの総ガス流量に対する反応ガス流量の比が減少された場合(すなわち、チャンバへの総ガス流量に対する不活性ガスの比が増大された場合)、チャンバは、第2の位相中には第1の位相よりも高い割合の不活性ガスを含む。この場合、イオン優勢プラズマが生じ、エッチングを実行するために、主に不活性ガスによってプラズマイオン束が形成される。
【0044】
これは、ガスをパルス化するために反応ガスを追加する従来技術の状況とは異なる。チャンバへの反応ガスの流量を増やすことなしにチャンバ内の不活性ガスの割合を高くすることにより、本発明の実施形態は、エッチングの不均一性、方向性、および/または、選択比を向上させるために、イオンリッチなプラズマを実現する。
【0045】
一実施形態において、比は、任意の反応ガス(エッチャントまたはポリマ形成ガスなど)をチャンバに追加するのではなく、反応ガスに対する不活性ガスの流量の割合が増大するように、反応ガスの流量を減少させることによって、変更される。この実施形態において、チャンバ圧は、第2の位相中に本質的に減少する。
【0046】
代替的または追加的に、反応ガス対不活性ガスの比は、(チャンバへの反応ガスの流量を増やすのではなく)、チャンバへの反応ガスの流量を一定に保つかまたは反応ガスの流量を減らしつつ、チャンバへの不活性ガスの流量を増やすことによって、変更されてもよい。一実施形態において、不活性ガスの流量は、反応ガスの流量の減少を補うように増やされる。この実施形態において、チャンバ圧は、第1および第2の位相中、実質的に同じままである。別の実施形態において、不活性ガスの流量は増やされるが、反応ガスの流量の減少を完全に補うには不十分である。この実施形態において、チャンバ圧は、第2の位相中に減少する。別の実施形態において、不活性ガスの流量は、反応ガスの流量の減少を十分に補うよりも多く増やされる。この実施形態において、チャンバ圧は、第2の位相中に増加する。
【0047】
上述のように、1または複数の実施形態において、ガスパルスの第2の位相中、チャンバ内に流される全ガス中の不活性ガスの割合は、約X%から約100%まで様々であってよく、ここで、Xは、プラズマチャンバが処理に向けて安定化された時に存在する全ガス流量に対する不活性ガスの割合、または、第1の位相中に存在する全ガス流量に対する不活性ガスの割合である。より好ましい実施形態において、チャンバに流される全ガスに対する不活性ガスの割合は、約1.1Xから約100%まで様々であってよい。好ましい実施形態において、チャンバに流される全ガスに対する不活性ガスの割合は、第2の位相中、約1.5Xから約100%まで様々であってよい。
【0048】
ガスパルスレートは、チャンバ内のガスの滞留時間によって上限(周波数上限)に制限される。上述のように、例えば、滞留時間は、通例、容量結合チャンバでは数十ミリ秒の範囲にある。別の例において、滞留時間は、通例、誘導結合チャンバでは数十ミリ秒から数百ミリ秒の範囲にある。また、上述のように、1または複数の実施形態において、ガスのパルス周期は、10ミリ秒から50秒の範囲、より好ましくは50ミリ秒から約10秒の範囲、好ましくは約500ミリ秒から約5秒の範囲であってよい。
【0049】
1または複数の実施形態において、周期的パルスの第2の位相中に追加される不活性ガスは、同じ不活性ガスであってもよいし、異なる化学組成および/または異なる構成ガスを有する別の不活性ガスであってもよい。代替的または追加的に、ガスパルスレートのデューティサイクルは、1%から99%まで様々であってよい。代替的または追加的に、ガスパルスレートはチャーピングされてよく、すなわち、処理中に変化してよい。例えば、ガスのパルス化が、40%のデューティサイクルを有する5秒のガスパルス周期で行われた後に、同じ40%のデューティサイクルまたは異なるデューティサイクルのいずれかを有する9秒のガスパルス周期に切り替えられてよい。チャーピングは、チャーピング周波数(ガスパルス周波数が20秒ごとに変更されうる20秒のチャーピング周波数など)に従って周期的になされてよい。
【0050】
図6は、本発明の1または複数の実施形態に従って、ガスのパルス化を実行するための工程を示す。
図6の工程は、例えば、1または複数のコンピュータの制御下でソフトウェアによって実行されうる。ソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な媒体(1または複数の実施形態では非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体など)に格納されてよい。
【0051】
工程602で、基板が、プラズマ処理チャンバ内に準備される。工程604で、プラズマが、チャンバ内で生成され、反応ガス流量に対する不活性ガス流量のベースライン比で安定化される。工程606で、不活性ガス流量対反応ガス流量の比は、チャンバへの反応ガス流量を増やすことなしにガスパルスの1位相中に増大される。工程608で、不活性ガス流量対反応ガス流量の比は、チャンバへの反応ガス流量を増やすことなしに、ガスパルスの別の位相中に、工程606の不活性ガス流量対反応ガス流量の比に比べて減少される。様々な実施形態において、工程608における不活性ガス流量対反応ガス流量の比は、工程604(プラズマ安定化工程)の不活性ガス流量対反応ガス流量の比と実質的に同じであってもよいし、安定化工程604の不活性ガス流量対反応ガス流の比よりも高いかまたは低くてもよい。工程610で、基板は、上述の不活性物対反応物の流量比を工程606および608の比と共に周期的に変動させることによってガスがパルス化されている間に処理される。
【0052】
図7Aおよび
図7Bは、本発明の実施形態に従って、
図6に関連して説明したガスパルス化スキーム別の例を示す。
図7Aの例において、ケースA、
B、C、および、
Dは、不活性ガスの反応ガスに対する様々な比を表している。ケースAでは、不活性ガス(I)対反応ガス(R)の比は、例えば3:7である。ケースBでは、不活性ガス対反応ガスの比は、例えば8:1である。ケースCでは、不活性ガス対反応ガスの比は、例えば1:9である。ケースDでは、チャンバへのガス流は、基本的にすべて不活性ガスである。比の値の例が与えられているが、比の正確な値は例示にすぎない;これらのケースすべてが互いに異なる比を有することが重要な点で或る。
【0053】
図7Bにおいて、パルス化の例702は、好ましい実施形態においてADADであってよく、ガスパルスは、
図7AのケースAおよびケースDの間で周期的に変動して繰り返しうる。
【0054】
別のパルス化の例704は、ABABAB/ADAD/ABABAB/ADAD であってよく、ガスパルスは、
図7AのケースAおよびケースBの間、そして、
図7AのケースAおよびDの間で周期的に変動して、その後、
図7AのケースAおよびBに戻って繰り返しうる。
【0055】
別のパルス化の例706は、ABABAB/ACAC/ABABAB/ACACであってよく、ガスパルスは、
図7AのケースAおよびケースBの間、そして、
図7AのケースAおよび
Cの間で周期的に変動して、その後、
図7AのケースAおよびBに戻って繰り返しうる。
【0056】
別のパルス化の例708は、ABABAB/CDCD/ABABAB/CDCDであってよく、ガスパルスは、
図7AのケースAおよびケースBの間、そして、
図7AのケースCおよびDの間で周期的に変動して、その後、
図7AのケースAおよびBに戻って繰り返しうる。
【0057】
別のパルス化の例710は、ABABAB/CDCD/ADAD/ABABAB/CDCD/ADADであってよく、ガスパルスは、
図7AのケースAおよびケースBの間、その後、
図7AのケースCおよびDの間、その後、
図7AのケースAおよびDの間で周期的に変動して、その後、
図7AのケースAおよびBに戻って繰り返しうる。
【0058】
他の例は、ABAB/CDCD/ADAD/ACACのような4位相を含んで、繰り返してもよい。複合パルス化は、例えば、その場エッチング後洗浄(in−situ etch−then−clean)またはマルチステップエッチングなどを含む処理にとって非常に有利である。
【0059】
別の実施形態において、
図6、
図7A、および、
図7Bのガスパルス化は、電力供給された電極に供給されるRFバイアス信号の非同期的または同期的なパルス化と組み合わされてもよい。一例では、ガスがガスパルスサイクルの1位相中に高い不活性ガスの割合すなわち100%またはほぼ100%にパルスされた時に、RFバイアス信号は、ハイにパルスされる。ガスがガスパルスサイクルの別の位相中により低い不活性ガスの割合にパルスされた時に、RFバイアス信号は、ローすなわちゼロにパルスされる。様々な実施形態において、RFバイアス信号のパルス周波数は、ガスパルスのパルス周波数と比べて、同じであっても異なっていてもよい。様々な実施形態において、RFバイアス信号のデューティサイクルは、ガスパルスのデューティサイクルと比べて、同じであっても異なっていてもよい。必要に応じて、RFバイアス信号パルス化およびガスパルス化の一方または両方と共に、チャーピングが用いられてもよい。
【0060】
ガスパルス化の各例において、パルス周波数、パルス数、デューティサイクルなどは、必要に応じて、エッチングを通して変更されても一定に維持されてもよく、また、周期的または非周期的に変化してもよい。
【0061】
上記からわかるように、本発明の実施形態は、エッチング処理のためのプロセスウィンドウを広げることができる別の制御ノブを提供する。多くの現行のプラズマチャンバが、パルス化バルブまたはパルス化マスフローコントローラをすでに備えているので、
図6〜
図7A/7Bおよび本明細書の説明に従ったガスパルス化の実施は、高価なハードウェアの改造を必要とせずに達成されうる。さらに、RFパルス化がガスパルス化と同時に必要とされる場合、多くの現行のプラズマチャンバは、パルス可能なRF電源をすでに備えている。したがって、高価なハードウェアの改造を必要とすることなく、ガス/RF電力のパルス化によって、より広いプロセスウィンドウを達成できる。現行のツールの所有者は、既存のエッチング処理システムを利用することで、小さいソフトウェアアップグレードおよび/または小さいハードウェアの変更により、エッチングの向上を達成できる。さらに、イオン束対ラジカル束の比の向上した制御および/またはより細かい制御によって、選択比および均一性および逆RIEラグ効果が改善されうる。例えば、ラジカル束に比べてイオン束を増大させることにより、一部の例では、基板上の或る層の別の層に対する選択比が改善しうる。イオン対ラジカルのかかる向上された制御により、原子層エッチング(ALE)がより効率的に達成されうる。
【0062】
以上、いくつかの好ましい実施形態を参照しつつ本発明を説明したが、本発明の範囲内で、種々の代替物、置換物、および、等価物が可能である。例えば、図面に記載したパルス化技術は、特定の処理の要件を満たすために、任意の組み合わせで組み合わされてよい。例えば、デューティサイクルの変動は、図面の内の任意の1図面(または任意の1図面の一部または複数図面の組み合わせ)で説明された技術と共に実施されてよい。同様に、周波数チャーピングは、図面の内の任意の1図面(または任意の1図面の一部または複数図面の組み合わせ)で説明された技術および/またはデューティサイクルの変動と共に実施されてよい。同様に、不活性ガスの置換が、図面の内の任意の1図面(または任意の1図面の一部または複数図面の組み合わせ)で説明された技術および/またはデューティサイクルの変動および/または周波数チャーピングと共に実施されてよい。重要なのは、個々におよび/または具体的な図面と関連して技術を説明しているが、特定の処理を実行するために、任意の組み合わせで様々な技術を組み合わせることができる点である。
【0063】
本明細書では様々な例を提供したが、これらの例は、例示を目的としたものであり、本発明を限定するものではない。また、発明の名称および発明の概要は、便宜上、本明細書で提供されているものであり、特許請求の範囲を解釈するために用いられるべきものではない。「セット(組)」という用語が用いられている場合には、かかる用語は、一般的に理解される数学的な意味を持ち、0、1、または、2以上の要素を網羅するよう意図されている。また、本発明の方法および装置を実施する他の態様が数多く存在することにも注意されたい。
適用例1:プラズマ処理システムのプラズマ処理チャンバ内で基板を処理するための方法であって、前記プラズマ処理チャンバは、少なくとも1つのプラズマ発生源と、前記プラズマ処理チャンバの内部領域にプロセスガスを供給するための少なくとも1つのガス源とを有し、前記方法は、
RF周波数を有するRF信号で前記プラズマ発生源を励起し、
第1のプロセスガスが、第1のガスパルス周波数に関連するガスパルス周期の第1の部分の間に前記プラズマ処理チャンバ内に流入されると共に、第2のプロセスガスが、前記第1のガスパルス周波数に関連する前記ガスパルス周期の第2の部分の間に前記プラズマ処理チャンバ内に流入されるように、少なくとも前記第1のガスパルス周波数を用いて前記ガス源をパルス化すること、
を備え、
前記第2のプロセスガスは、前記第1のプロセスガスの反応ガス対不活性ガスの比よりも低い反応ガス対不活性ガスの比を有し、前記第2のプロセスガスは、前記第1のプロセスガスから反応ガスの流れの少なくとも一部を除去することによって形成される、方法。
適用例2:適用例1に記載の方法であって、前記プラズマ処理チャンバは、誘導結合プラズマ処理チャンバであり、前記少なくとも1つのプラズマ発生源は、少なくとも1つの誘導アンテナである、方法。
適用例3:適用例1に記載の方法であって、前記プラズマ処理チャンバは、容量結合プラズマ処理チャンバであり、前記少なくとも1つのプラズマ発生源は、電極である、方法。
適用例4:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、前記反応ガスの流れの前記少なくとも一部を除去することによって引き起こされる圧力低下を少なくとも部分的に補うように、前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間の不活性ガスの流量よりも高い流量の前記不活性ガスを前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間に流すことを備える、方法。
適用例5:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、前記反応ガスの流れの前記少なくとも一部を除去することによって引き起こされる圧力低下を完全に補うように、前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間の不活性ガスの流量よりも高い流量の前記不活性ガスを前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間に流すことを備える、方法。
適用例6:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、前記反応ガスの流れの前記少なくとも一部を除去することによって引き起こされる圧力低下を完全に補って余るように、前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間の不活性ガスの流量よりも高い流量の前記不活性ガスを前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間に流すことを備える、方法。
適用例7:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、前記ガスパルス周期に関連する前記ガスパルス周期の第3の部分の間に第3のプロセスガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流すことを備え、前記第3のプロセスガスは、前記第1のプロセスガスに関連する反応ガス対不活性ガスの比と異なる反応ガス対不活性ガスの比を有し、前記第2のプロセスガスに関連する反応ガス対不活性ガスの比とも異なる前記反応ガス対不活性ガスの比を有する、方法。
適用例8:適用例7に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、前記ガスパルス周期に関連する前記ガスパルス周期の第4の部分の間に第4のプロセスガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流すことを備え、前記第4のプロセスガスは、前記第1のプロセスガスに関連する前記反応ガス対不活性ガスの比と異なる反応ガス対不活性ガスの比を有し、前記第2のプロセスガスに関連する前記反応ガス対不活性ガスの比とも異なる前記反応ガス対不活性ガスの比を有し、前記第3のプロセスガスに関連する前記反応ガス対不活性ガスの比とも異なる前記反応ガス対不活性ガスの比を有する、方法。
適用例9:適用例7に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、第2のガスパルス周波数を用いて前記第2のガス源をパルス化することを備え、前記第2のガスパルス周波数に関連するパルス周期中のガスパルス化は、前記第1のガスパルス周波数に関連するガスパルス周期とは異なる、方法。
適用例10:適用例1に記載の方法であって、前記第1のガスパルス周波数に関連する前記ガスパルス周期は、約10ミリ秒から約50秒の間である、方法。
適用例11:適用例1に記載の方法であって、前記第1のガスパルス周波数に関連する前記ガスパルス周期は、約50ミリ秒から約10秒の間である、方法。
適用例12:適用例1に記載の方法であって、前記第1のガスパルス周波数に関連する前記ガスパルス周期は、約500ミリ秒から約5秒の間である、方法。
適用例13:適用例1に記載の方法であって、前記第1のプロセスガス中の不活性ガスの割合は、約1.1Xから約100%であり、Xは、前記第2のプロセスガス中の不活性ガスの割合を表す、方法。
適用例14:適用例1に記載の方法であって、前記第1のプロセスガス中の不活性ガスの割合は、約1.5Xから約100%であり、Xは、前記第2のプロセスガス中の不活性ガスの割合を表す、方法。
適用例15:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、さらに、前記ガスパルス周期の前記第2の部分の間に不活性ガスの流れを供給することを備え、前記不活性ガスは、前記第1のプロセスガス中に存在する不活性ガスとは異なる、方法。
適用例16:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、一定のデューティサイクルを用いる、方法。
適用例17:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、変化するデューティサイクルを用いる、方法。
適用例18:適用例1に記載の方法であって、前記ガス源のパルス化は、周波数チャーピングを用いる、方法。
適用例19:適用例1に記載の方法であって、さらに、前記プラズマ処理チャンバのRFソースに提供されるRF信号をパルス化することを備え、前記RF信号のパルス化は、前記ガス源をパルス化する間に実行され、前記RF信号のパルス化は、前記第1のガスパルス周波数とは異なるRF信号パルス周波数を用いる、方法。
適用例20:適用例19に記載の方法であって、さらに、前記RF信号をパルス化する間および前記ガス源をパルス化する間に、前記RF信号パルス周波数および前記第1のガスパルス周波数とは異なる別のパルス周波数を用いて、前記RF信号および前記ガス源以外の別のパラメータをパルス化することを備える、方法。
適用例21:プラズマ処理システムのプラズマ処理チャンバ内で基板を処理するための方法であって、前記プラズマ処理チャンバは、少なくとも1つのプラズマ発生源と、前記プラズマ処理チャンバの内部領域にプロセスガスを供給するための少なくとも1つのガス源とを有し、前記方法は、
a)RF周波数を有するRF信号で前記プラズマ発生源を励起し、
b)第1の反応ガス対不活性ガスの比を有する第1のプロセスガスで第1のプラズマを形成することによって前記基板を処理し、
c)第2の反応ガス対不活性ガスの比を有する第2のプロセスガスで第2のプラズマを形成することによって前記基板を処理すること、
を備え、
前記第2の反応ガス対不活性ガスの比は、前記第1のプロセスガスに反応ガスを追加することなしに実現され、前記第1の反応ガス対不活性ガスの比は、前記第2のプロセスガスに反応ガスを追加することなしに実現される、方法。
適用例22:適用例21に記載の方法であって、前記第2の反応ガス対不活性ガスの比は、前記第1のプロセスガスに不活性ガス流を追加することによって実現される、方法。