特許第6676550号(P6676550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676550
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】アルカリ性亜鉛メッキ用添加剤
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/22 20060101AFI20200330BHJP
   C25D 3/56 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   C25D3/22
   C25D3/56 Z
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-575860(P2016-575860)
(86)(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公表番号】特表2017-523308(P2017-523308A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015065014
(87)【国際公開番号】WO2016001317
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】14175798.9
(32)【優先日】2014年7月4日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク バウアー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ウアバン
(72)【発明者】
【氏名】ライナー エスクーヘン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス マクシム
(72)【発明者】
【氏名】イヴォンヌ シュリーファース
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−002274(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0107230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する方法であって、該方法は、少なくとも以下の工程:
a)以下のi)〜iii)を含有する水性のアルカリ性メッキ浴を用意する工程:
i)亜鉛イオンの供給源、
ii)水酸化物イオンの供給源、及び
iii)少なくとも1種の一般式(I)の化合物である、亜鉛メッキ浴添加剤
【化1】
前記式中、Rは、非置換のC4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表し、及び
b)金属基材を水性のアルカリ性メッキ浴に移し、これによって亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、金属基材上に形成される工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記亜鉛イオンの供給源が、酸化亜鉛であり、かつ/又は前記亜鉛イオンが、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり2.0〜30.0gの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水酸化物イオンの供給源が、水酸化ナトリウムであり、かつ/又は前記水酸化物イオンが、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり50.0〜250.0gの量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一般式(I)において、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
一般式(I)においてRが、C4アルキルであり、G1はグルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースであり、xは1〜1.8の範囲にある、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記亜鉛メッキ浴添加剤が、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり0.1〜10.0gの量で存在する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性のアルカリ性メッキ浴が、12.0〜14.0のpHを示す、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水性のアルカリ性メッキ浴がさらに、光沢剤、水溶性ポリマー、均展剤、硬水軟化剤、錯化剤、シアン化物イオン供給源、及びこれらの混合物を含む群から選択される添加剤を少なくとも1種含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記工程b)を10〜40℃の温度で行う、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程b)を0.05〜15.0A/dm2の電流密度で行う、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
金属基材上に形成された亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、2.0〜30.0μmという厚さを有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出するための水性のアルカリ性メッキ浴であって、該メッキ浴が、
a)請求項1又は2のいずれかで規定した亜鉛イオンの供給源、
b)請求項1又は3のいずれかで規定した水酸化物イオンの供給源、
c)少なくとも1種の一般式(I)の化合物:
【化2】
[前記式中、Rは、非置換のC4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す]
である亜鉛メッキ浴添加剤、
を含有する、前記メッキ浴。
【請求項13】
亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する方法における、亜鉛メッキ浴添加剤の使用であって、前記亜鉛メッキ浴添加剤が、少なくとも1種の一般式(I)の化合物:
【化3】
[前記式中、Rは、非置換のC4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す]
である、前記使用。
【請求項14】
金属基材上の亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的及び/又は機械的な表面特性を改善するための、亜鉛メッキ浴添加剤の使用であって、前記亜鉛メッキ浴添加剤が、少なくとも1種の一般式(I)の化合物:
【化4】
[前記式中、Rは、非置換のC4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す]
である、前記使用。
【請求項15】
鋳鉄基材上の亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的及び/又は機械的な表面特性を改善するための、亜鉛メッキ浴添加剤の使用であって、前記亜鉛メッキ浴添加剤が、少なくとも1種の一般式(I)の化合物:
【化5】
[前記式中、Rは、非置換のC4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す]
である、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛若しくは亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する方法、特定の光沢を有する、亜鉛若しくは亜鉛合金で被覆された金属基材、また亜鉛若しくは亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出するための、水性のアルカリ性メッキ浴、及び亜鉛若しくは亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する方法における、亜鉛メッキ浴添加剤の使用、並びに亜鉛若しくは亜鉛合金の被覆の光学的外観及び/又は金属基材への接着性を改善するための、亜鉛メッキ浴添加剤の使用に関する。
【0002】
背景技術
亜鉛で被覆された基材を製造するため、アルカリ性溶液から、亜鉛を金属基材に電解析出することは、このような金属基材を腐食から防止するため、また生成する最終製品について特定の光学的特性、及び機械的特性を付与するために広く用いられている。このような電解析出法は通常、亜鉛で被覆したい金属基材を亜鉛メッキ浴内に移し、この基材に電流密度を印加する工程を含む。印加した電流によって、亜鉛メッキ浴内に溶解した亜鉛イオンが、金属基材表面に析出し、こうして亜鉛被覆が、基材上に形成される。
【0003】
従来技術では、アルカリ性溶液中における金属基材への亜鉛の電解析出を改善するための幾つかの試みが提案されている。例えば、米国特許出願公開第2012/0138473号明細書(US 2012/0138473 A1)は、メッキを施したい物体の表面における位置に応じた厚さばらつきが小さい亜鉛被覆を迅速に形成可能な、亜鉛メッキ浴添加剤について言及している。この亜鉛メッキ浴添加剤は、構造単位として2種のアミン化合物を有する、水溶性コポリマーを含有する。国際公開第03/006360号(WO 03/006360 A2)は、アルカリ性の亜鉛・ニッケル電解析出浴について言及しており、この浴は、亜鉛イオン、ニッケルイオン、第一光沢剤(ピリジン環の3位で、カルボキシレート基若しくはカルボキシレート基に対して加水分解性の基により置換されたN−メチルピリジニウム化合物)、及び第二光沢剤(脂肪族アミン)を含有するものである。米国特許出願公開第3886054号明細書(US 3,886,054 A)は、光沢のある亜鉛メッキのための、非シアン化物系アルカリ性電解析出浴について言及しており、この浴は、アルキレンポリアミンと、結晶微細化剤としての1,3−ジハロ−2−プロパノールとの四級化されたポリマー縮合物(好ましくはアルデヒド系の光沢剤と混合物で)、及び光沢のある微細化された堆積物を幅広い電流密度範囲にわたって生成可能な、メルカプト置換された複素環式化合物を含有するものである。米国特許出願公開第2005/133376号明細書(US 2005/133376 A1)は、水性の亜鉛・ニッケル電解析出浴について言及しており、この浴は、水、ニッケルイオン、亜鉛イオン、少なくとも1種の錯化剤、及び少なくとも1種の非イオノゲン性の表面活性ポリオキシアルキレン化合物を含有するものであり、ここでこの浴は、アルカリ性のpHを示す。
【0004】
しかしながら、亜鉛又は亜鉛合金を基材上に電解析出することにより、亜鉛で被覆された金属基材を製造することは、困難である。例えば、亜鉛又は亜鉛合金を金属基材上に電解析出させる間に水素が発生し、この水素は、被覆表面に小さな気泡として付着する傾向があり、これによって、光学的な外見が悪化した亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、金属基材上に形成される。このような悪化した光学的外見は通常、縞模様の形で表面に視認できる。それに加えて、このような泡の形成はまた、金属基材上への亜鉛被覆の接着性を減少させ、このことは表面における小さなブリスタ−として検知でき、このため機械的特性も低下する。よって、メッキ浴への界面活性剤の添加が、金属基材上での均一な被覆形成を補助するため、ひいては亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材表面の光学的外観を改善するためには、望ましいだろう。これに関連して、亜鉛メッキ法において適切とされる界面活性剤は、メッキ浴に可溶性であるべきことに留意すべきである。しかしながら、このような水溶性界面活性剤はまた、堆積法の間に生じる泡を安定化させる傾向があり、その場合にこのことは、金属基材上への亜鉛又は亜鉛合金の堆積に干渉し、これによって基材上に不均一な被覆が形成され、ここでもまた、光学的に劣った外見が生じる。これとは対照的に、泡の非安定化について充分だと知られている界面活性剤は通常、水性亜鉛メッキ浴に不溶性であり、このためこのような浴には適していないと考えられている。
【0005】
よって従来技術では、上述の欠点を回避する、特に亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材(生成する最終製品に非常に良好な光学的特性を付与し、その一方で機械的特性が高いレベルに保たれているか、さらには改善しているもの)を製造するための方法を提供する必要がある。特に、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する方法であって、メッキ浴内に泡及び気泡が形成されないために得られる光学的な外観と、金属基材への亜鉛又は亜鉛合金の被覆の接着性に関して良好なバランスが保たれる方法を提供することが望ましい。
【0006】
従って本発明の課題は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を、金属基材上に電解析出する方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、均一な厚さを有する亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、金属基材上に形成される方法を提供することである。さらに、本発明のさらなる課題は、金属基材上に形成される亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的外観が改善される方法を提供することである。本発明の別の課題は、金属基材上に形成される亜鉛又は亜鉛合金の被覆の機械的特性が高いレベルで保たれているか、又はさらに改善される方法を提供することである。本発明のさらに別の課題は、金属基材表面の良好な濡れ性が得られ、これにより気泡の離脱性が改善され、生成する亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材の光学的外観が改善される方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、得られた亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材が、濡れ性と、金属基材上における亜鉛又は亜鉛合金被覆の接着性という特性に関して良好にバランスが取れた結果物である方法を提供することである。さらなる課題は、本発明の以下の説明から読み取ることができる。
【0007】
発明の概要
前述の、またその他の課題は、本発明の主題によって解決される。本発明の第一の態様によれば、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を、金属基材上に電解析出する方法が提供される。この方法は少なくとも、以下の工程a)及びb)を含むものである:
a)以下のi)〜iii)を含有する水性のアルカリ性メッキ浴を用意する工程:
i)亜鉛イオンの供給源、
ii)水酸化物イオンの供給源、及び
iii)下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である、亜鉛メッキ浴添加剤、
【化1】
前記式中、Rは、C4〜C10アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表し、及び
b)金属基材を水性のアルカリ性メッキ浴に移し、これによって亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、金属基材上に形成される工程。
【0008】
本発明の別の態様によると、下記不等式(I)により規定される光沢を有する、亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材が、提供される:
(GUwith)/(GUwithout)≧1.05 (I)
ここで、
(GUwithout)は、本願で規定する少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いずに被覆された金属基材上で測定した光沢単位(Gloss Unit)であり、光沢計により85°の測定角で測定され、
(GUwith)は、本願で規定する少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いて被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定される。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出するための、水性のアルカリ性メッキ浴が提供され、ここでこの浴は、以下のa)〜c)を含有する:
a)本願で規定した亜鉛イオンの供給源、
b)本願で規定した水酸化物イオンの供給源、及び
c)本願で規定した亜鉛メッキ浴添加剤。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を、金属基材上に電解析出する方法における、本願で規定する亜鉛メッキ浴添加剤の使用が提供される。本発明のなお別の態様によれば、亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的外観、及び/又は金属基材への接着性を改善するための、本願で規定する亜鉛メッキ浴添加剤の使用が提供される。本発明のもう1つの態様によれば、鋳鉄基材上での亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的、及び/又は機械的表面特性を改善するための、亜鉛メッキ浴添加剤の使用が提供される。
【0011】
亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する本発明による方法の有利な態様は、相応する従属請求項で規定される。
【0012】
1つの態様によれば、亜鉛イオンの供給源は酸化亜鉛であり、かつ/又は亜鉛イオンは、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり2.0〜30.0gの量で存在している。
【0013】
別の態様によれば、水酸化物イオンの供給源は水酸化ナトリウムであり、かつ/又は水酸化物イオンは、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり50.0〜250.0gの量で存在している。
【0014】
さらに別の態様によれば、一般式(I)においてRは、C4〜C8アルキルであり、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にある。
【0015】
1つの態様によれば、一般式(I)においてRは、C4アルキルであり、G1はグルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースであり、xは1〜1.8の範囲にある。
【0016】
別の態様によれば、亜鉛メッキ浴添加剤は、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり0.1〜10.0gの量で存在している。
【0017】
さらに別の態様によれば、水性のアルカリ性メッキ浴は、12.0〜14.0のpHを示す。
【0018】
1つの態様によれば、水性のアルカリ性メッキ浴はさらに、光沢剤(例えば高光沢用光沢剤、標準的な光沢剤、及びこれらの混合物)、水溶性ポリマー、均展剤、硬水軟化剤、錯化剤、シアン化物イオンの供給源、及びこれらの混合物を含む群から選択される慣用の添加剤を少なくとも1種、含有する。
【0019】
別の態様によれば工程b)は、10〜40℃の温度で実施する。
【0020】
さらに別の態様によれば、工程b)は、0.05〜15.0/dm2の電流密度で行う。
【0021】
1つの態様によれば、金属基材に形成された亜鉛又は亜鉛合金の被覆は、2.0〜30.0μmの厚さを有する。
【0022】
以下、本発明による方法の詳細と好ましい態様について、より詳しく説明する。これらの技術的な詳細及び態様はまた、本方法によって得られる、本発明による亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出するための、本発明による水性のアルカリ性メッキ浴、及びその使用にも当てはまる。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明による方法の工程a)によれば、水性のアルカリ性メッキ浴が提供される。
【0024】
「水性の」アルカリ性メッキ浴という用語は、溶媒が水を含有する、好ましくは水から成る系を言う。しかしながらこの用語は、溶媒が、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合物を含む群から選択される微量の水混和性有機溶媒を含有することを排除しないことに留意すべきである。溶媒が水混和性有機溶媒を含有する場合、水混和性有機溶媒は、溶媒の全質量に対して0.01〜10.0質量%、好ましくは0.01〜7.5質量%、より好ましくは0.01〜5.0質量%、最も好ましくは0.01〜2.5質量%の量で存在する。例えば、水性のアルカリ性メッキ浴の溶媒は、水から成る。水性のアルカリ性メッキ浴の溶媒が水から成る場合、使用すべき水は、利用可能なあらゆる水、例えば水道水、及び/又は脱イオン水であってよく、脱イオン水が好ましい。
【0025】
水性の「アルカリ性」メッキ浴という用語は、7超のpHを示す系を言う。例えば、水性のアルカリ性メッキ浴は、12.0〜14.0のpH、より好ましくは13.0〜14.0のpHを示す。
【0026】
水性のアルカリ性メッキ浴が、亜鉛イオンの供給源を含有することは、本方法の1つの要件である。
【0027】
水性のアルカリ性メッキ浴が、水性のアルカリ性メッキ浴中の亜鉛イオン源として適切であると当業者に公知の亜鉛イオン供給源を含有できることが、肯定的に評価される。
【0028】
例えば、亜鉛イオンの供給源は、亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、スルファミン酸亜鉛、酢酸亜鉛、及びこれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、亜鉛イオンの供給源は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、水性のアルカリ性メッキ浴中で、亜鉛イオンとして存在する。
【0029】
水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、浴中の亜鉛イオンの量が、このような浴について通常の範囲にあるように、亜鉛イオンの供給源を含有する。よって亜鉛イオンは好ましくは、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり2.0〜30.0g、好ましくは5.0〜25.0g、最も好ましくは5.0〜20.0gの量で存在する。
【0030】
所定の亜鉛イオン量に達するために本発明の方法において使用すべき亜鉛イオン供給源の相応する量は、適切な計算によって特定される。
【0031】
1つの態様において、水性のアルカリ性メッキ浴は、亜鉛イオンの供給源に加えて、亜鉛合金の被覆が、本発明による方法によって金属基材上に形成されるように、さらなる金属イオンの供給源を含有する。
【0032】
金属イオンのさらなる供給源は、亜鉛イオン供給源との組み合わせで水性のアルカリ性メッキ浴中の金属イオン源として適切であると当業者に公知のあらゆる金属イオン供給源であり得ることが、肯定的に評価される。しかしながら、金属イオンのさらなる供給源は好ましくは、ニッケル、マンガン、コバルト、及び鉄のイオン、並びにこれらの混合物を含有する。
【0033】
金属イオンのさらなる供給源は好ましくは、水性のアルカリ性メッキ浴中で可溶性のあらゆる金属イオン供給源であり得る。金属イオンの供給源は例えば、硫酸ニッケル、塩化マンガン、硫酸コバルト、硫酸鉄、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0034】
水性のアルカリ性メッキ浴がさらなる金属イオン供給源を含有する場合、この浴はさらなる金属イオン供給源を幅広い範囲で含有することができる。例えば、さらなる金属イオン供給源から得られる金属イオンは、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり0.1〜100.0g、好ましくは0.2〜75.0g、最も好ましくは0.5〜50.0gの量で存在する。
【0035】
従って、水性のアルカリ性メッキ浴が、さらなる金属イオン供給源を含有する場合、この浴は好ましくは、亜鉛イオンを浴1L当たり2.0〜30.0gの量で、好ましくは浴1L当たり5.0〜25.0gの量で、最も好ましくは浴1L当たり5.0〜20.0gの量で、またさらなる金属イオン供給源から得られる金属イオンを浴1L当たり0.1〜100.0gの量で、好ましくは浴1L当たり0.2〜75.0gの量で、最も好ましくは浴1L当たり0.5〜50.0gの量で、含有する。
【0036】
所定の金属イオン量に達するために本発明の方法で使用すべきさらなる金属イオン供給源の相応する量は、適切な計算によって特定される。
【0037】
水性のアルカリ性メッキ浴がカソード液として働くことが、肯定的に評価される。アノードは、亜鉛又は亜鉛の被覆を金属基材上に電解析出するための方法であって、亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、水性のアルカリ性メッキ浴中で形成される方法において適切であると当業者に公知のあらゆるアノード(例えばステンレス鋼、又は白金で被覆されたチタンアノード、又は可溶性亜鉛アノード)であり得る。
【0038】
前述のように、メッキ浴はアルカリ性のpHを示す。よって、水性のアルカリ性メッキ浴が、水酸化物イオンの供給源を含有することは、本方法のさらなる要件である。
【0039】
水性のアルカリ性メッキ浴が、水性のアルカリ性メッキ浴のpHを、所望のアルカリ性pHに調整するために適切であると当業者に公知の水酸化物イオン供給源を含有することが、肯定的に評価される。
【0040】
例えば、水酸化物イオンの供給源は、水酸化ナトリウム、及び/又は水酸化カリウムから選択され、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0041】
水性のアルカリ性メッキ浴は、水性のアルカリ性メッキ浴に所望のアルカリ性pHをもたらすために充分な量で、水酸化物イオンの供給源を含有する。
【0042】
好ましくは、水性のアルカリ性メッキ浴は、水酸化物イオンの供給源を、水性のアルカリ性メッキ浴が、7超のpH、好ましくは12.0〜14.0、最も好ましくは13.0〜14.0のpHを示す量で含有する。例えば、水酸化物イオンは好ましくは、水性のアルカリ性メッキ浴中に、浴1L当たり50.0〜250.0g、好ましくは50.0〜200.0g、最も好ましくは50.0〜150.0gの量で存在する。
【0043】
規定の水酸化物イオン量に達するために本発明の方法で使用すべき水酸化物イオン供給源の相応する量は、適切な計算によって特定される。
【0044】
水性のアルカリ性メッキ浴はさらに、亜鉛メッキ浴添加剤を含有する。この亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化2】
前記式中、Rは、C4〜C10アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す。
【0045】
この亜鉛メッキ浴添加剤は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出するための方法を、少量の泡しか形成されない、又は泡が全く形成されないという点で改善し、泡が形成される場合には、この泡は金属基材から容易にすすぎ流すことができる。これはまた、金属基材を水性のアルカリ性メッキ浴から取り出した時に、金属基材上で亜鉛又は亜鉛合金の被覆に付着する泡の量を著しく減少させ、被覆された基材表面における泡の跡の形成が、本発明による方法では明らかに低減する。よって意外なことに、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出する方法で添加することにより、光学的な外観が改善した亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材が得られることが判明した。さらに、この亜鉛メッキ浴添加剤には、良好な濡れ特性を示すというという利点があり、これによって金属基材からの気泡の離脱性が改善し、被覆された基材表面は、このような気泡から生じる縞模様が少なくなるか、又は縞模様を示さない。また、金属基材への亜鉛又は亜鉛合金の被覆の接着性は、この亜鉛メッキ浴添加剤を用いることにより秀逸である。従って、光学特性が改善する、つまり、泡の跡及び縞模様が少なくなるか、又は無くなり、金属基材上に形成される亜鉛又は亜鉛合金被覆の機械的特性は、この亜鉛メッキ浴添加剤を用いることにより、高いレベルに保たれるか、又はさらには改善する。
【0046】
「少なくとも1種」の亜鉛メッキ浴添加剤という用語は、亜鉛メッキ浴添加剤が、1種以上の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは1種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から成ることを意味する。
【0047】
1つの実施態様において、少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、1種の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは1種の亜鉛メッキ浴添加剤から成る。或いは、少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から成る。例えば、少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、2種又は3種の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種又は3種の亜鉛メッキ浴添加剤から成る。言い換えると、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から成る場合、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物を含有し、好ましくは異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物から成る。
【0048】
一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物である場合、この混合物は、一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤を3〜20種含有し、好ましくは一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤3〜20種から成る。例えば、一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤を5〜15種含有し、好ましくは一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤5〜15種から成るか、又は一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤を5〜10種含有し、好ましくは一般式(I)の亜鉛メッキ浴添加剤5〜10種から成る。
【0049】
少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は好ましくは、1種の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、より好ましくは1種の亜鉛メッキ浴添加剤から成る。
【0050】
一般式(I)において、RはC4〜C10アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C10アルキルであり、好ましくはRはC4〜C9アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C9アルキルであり、より好ましくはRは、C4〜C8アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C8アルキルであり、さらにより好ましくはRは、C4〜C7アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C7アルキルであり、なおより好ましくはRは、C4〜C6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C6アルキルである。Rは例えば、C4アルキル、例えば直鎖状若しくは分枝鎖状のC4アルキルであるか、又はRは、C5アルキル、例えば直鎖状若しくは分枝鎖状のC5アルキルであるか、又はRは、C6アルキル、例えば直鎖状若しくは分枝鎖状のC6アルキルである。最も好ましくは、RはC4アルキル、例えば直鎖状若しくは分枝鎖状のC4アルキル、例えば置換若しくは非置換の直鎖状C4アルキルである。
【0051】
ここで使用するように、「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基のラジカルであり、これには、直鎖状アルキル基、及び分枝鎖状アルキル基が含まれ、ここでこのような直鎖状及び分枝鎖状アルキル基は、それぞれ任意で、ヒドロキシ基によって置換されていてよい。
【0052】
1つの態様において、Rは非置換の直鎖状C4〜C10アルキル、より好ましくはRは、非置換の直鎖状C4〜C9アルキル、さらにより好ましくはRは、非置換の直鎖状C4〜C8アルキル、なおより好ましくはRは、非置換の直鎖状C4〜C7アルキル、最も好ましくはRは、非置換の直鎖状C4〜C6アルキルである。Rは例えば、非置換の直鎖状C4アルキル、又は非置換の直鎖状C5アルキル、又は非置換の直鎖状C6アルキルである。最も好ましくはRは、非置換の直鎖状C4アルキルである。
【0053】
或いは、Rは非置換の分枝鎖状C4〜C10アルキル、より好ましくはRは、非置換の分枝鎖状C4〜C9アルキル、さらにより好ましくはRは、非置換の分枝鎖状C4〜C8アルキルである。Rは例えば、非置換の分枝鎖状C5アルキル、例えばイソアミルであり、Rは非置換の分枝鎖状C8アルキル、例えば2−エチルヘキシルであり、又は非置換の分枝鎖状C10アルキル、例えば2−プロピルヘプチルである。
【0054】
一般式(I)において、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択される。G1は例えば、テトロース、ペントース、及びヘキソースから選択される。テトロースの例は、エリトロース、トレオース、及びエリトルロースである。ペントースの例は、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、及びリキソースである。ヘキソースの例は、ガラクトース、マンノース、及びグルコースである。単糖類は、合成由来であるか、又は天然物から誘導若しくは単離したもの(以下では単純に天然糖類、又は天然多糖類という)であってよく、天然糖類、及び天然多糖類が好ましい。以下の天然単糖類が、より好ましい:ガラクトース、グルコース、アラビノース、キシロース、及びこれらの混合物。さらにより好ましいのは、グルコース、アラビノース、及びキシロースであり、特にグルコースである。単糖類は、単糖類のあらゆるエナンチオマーから選択することができ、天然に産生するエナンチオマー、及び天然に産生するエネンチオマーの混合物が好ましい。もちろん、ある特定の分子には、G1の完全な基が1つだけ、存在し得る。
【0055】
よって、一般式(I)においてG1がテトロースの場合、このテトロースは、エリトロース(例えばD−エリトロース、L−エリトロース、及びこれらの混合物、好ましくはD−エリトロース)、トレオース(例えばD−トレオース、L−トレオース、及びこれらの混合物、好ましくはD−トレオース)、及びエリトルロース(例えばD−エリトルロース、L−エリトルロース、及びこれらの混合物、好ましくはD−エリトルロース)から選択することができる。一般式(I)におけるG1が、ペントースである場合、このペントースは、リブロース(例えばD−リブロース、L−リブロース、及びこれらの混合物)、好ましくはD−リブロース、キシルロース(例えばD−キシルロース、L−キシルロース、及びこれらの混合物、好ましくはD−キシルロース)、リボース(例えばD−リボース、L−リボース、及びこれらの混合物、好ましくはD−リブロース)、アラビノース(例えばD−アラビノース、L−アラビノース、及びこれらの混合物、好ましくはL−アラビノース)、キシロース(例えばD−キシロース、L−キシロース、及びこれらの混合物、好ましくはD−キシロース)、及びリキソース(例えばD−リキソース、L−リキソース、及びこれらの混合物、好ましくはD−リキソース)から選択することができる。一般式(I)においてG1がヘキソースの場合、このヘキソースは、ガラクトース(例えばD−ガラクトース、L−ガラクトース、及びこれらの混合物、好ましくはD−ガラクトース)、マンノース(例えばD−マンノース、L−マンノース、及びこれらの混合物、好ましくはD−マンノース)、及びグルコース(例えばD−グルコース、L−グルコース、及びこれらの混合物、好ましくはD−グルコース)から選択することができる。より好ましくは、一般式(I)においてG1は、グルコース(好ましくはD−グルコース)、ガラクトース(好ましくはD−ガラクトース)、アラビノース(好ましくはD−アラビノース)、キシロース(好ましくはD−キシロース)、及びこれらの混合物であり、さらにより好ましくは一般式(I)においてG1は、グルコース(好ましくはD−グルコース)、アラビノース(好ましくはL−アラビノース)、及びキシロース(好ましくはD−キシロース)、及び特にグルコース(好ましくはD−グルコース)である。
【0056】
本発明の1つの態様においてG1は、炭素原子を6個有する単糖類から、好ましくはグルコースから、最も好ましくはD−グルコースから選択される。
【0057】
一般式(I)において、xは1〜4の範囲にあり、好ましくはxは1〜2の範囲にあり、最も好ましくはxは、1〜1.8の範囲にある。1つの態様においてxは、1である。本発明の文脈において、xは平均値を表し、xは必ずしも整数である必要はない。ある特定の分子には、G1の完全な基が1つだけ、存在し得る。高温ガスクロマトグラフィー(HTGC、例えば400℃)によってxを特定することが好ましく、これについてはK. Hillら著、「Alkyl Polyglycosids」、VCH Weinheim, New York, Basel, Cambrigde, Tokyo、1997年の、特に28頁以降を参照されたい。
【0058】
1つの態様において、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化3】
前記式中、Rは、C4〜C8アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す。
【0059】
別の態様において、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化4】
前記式中、Rは、C4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す。
【0060】
亜鉛メッキ浴添加剤は例えば、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化5】
前記式中、Rは、C6アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す。
【0061】
或いは、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化6】
前記式中、Rは、C5アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す。
【0062】
或いは、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化7】
前記式中、Rは、C4アルキルであり、G1は、炭素原子を4〜6個有する単糖類から選択され、xは、1〜4の範囲にあり、平均値を表す。
【0063】
よって亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物であることが好ましい:
【化8】
前記式中、Rは、C4〜C8アルキルであり、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にあり、平均値を表す。
【0064】
亜鉛メッキ浴添加剤は好ましくは、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化9】
前記式中、Rは、C4〜C6アルキルであり、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にあり、平均値を表す。
【0065】
亜鉛メッキ浴添加剤は例えば、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化10】
前記式中、Rは、C6アルキルであり、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にあり、平均値を表す。
【0066】
或いは、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化11】
前記式中、Rは、C5アルキルであり、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にあり、平均値を表す。
【0067】
或いは、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化12】
前記式中、Rは、C4アルキルであり、G1は、炭素原子を5個又は6個有する単糖類から選択され、xは、1〜2の範囲にあり、平均値を表す。
【0068】
1つの態様において、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化13】
前記式中、Rは、C4〜C6アルキルであり、G1は、グルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0069】
亜鉛メッキ浴添加剤は例えば、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化14】
前記式中、Rは、C6アルキルであり、G1は、グルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0070】
或いは、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化15】
前記式中、Rは、C5アルキルであり、G1は、グルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0071】
亜鉛メッキ浴添加剤はより好ましくは、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化16】
前記式中、Rは、C4アルキルであり、G1は、グルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0072】
代替的な態様において、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化17】
前記式中、Rは、C4〜C6アルキルであり、G1は、グルコースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0073】
亜鉛メッキ浴添加剤は例えば、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化18】
前記式中、Rは、C6アルキルであり、G1は、グルコースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0074】
或いは、亜鉛メッキ浴添加剤は、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化19】
前記式中、Rは、C5アルキルであり、G1は、グルコースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0075】
亜鉛メッキ浴添加剤は最も好ましくは、下記少なくとも1種の一般式(I)の化合物である:
【化20】
前記式中、Rは、C4アルキルであり、G1は、グルコースであり、xは、1〜1.8の範囲にあり、平均値を表す。
【0076】
一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から成る場合、水性のアルカリ性メッキ浴中に存在する2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤は、一般式(I)中で基R、G1、及びxのうち少なくとも1つにおいて、異なる。これはつまり、基R、G1、及び/又はxは、相互に独立して選択できるということである。
【0077】
例えば、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から成る場合、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について、Rは独立して、C4〜C10アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C10アルキルから、好ましくはC4〜C9アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C9アルキルから、より好ましくはC4〜C8アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C8アルキルから、さらにより好ましくはC4〜C7アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C7アルキルから、なおより好ましくはC4〜C6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C6アルキルから、最も好ましくはC4アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4アルキル、又はC5アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC5アルキル、又はC6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC6アルキルから選択することができ、一方で一般式(I)におけるG1、及びxは、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について同じである。或いは、xは独立して、1〜4の範囲、好ましくは1〜2の範囲、最も好ましくは1〜1.8の範囲から選択することができ、一方で一般式(I)におけるR及びG1は、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について同じである。或いは、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1は独立して、4個〜6個の炭素原子を有する単糖類から、好ましくは5個又は6個の炭素原子を有する単糖類から、より好ましくはグルコース、及び/又はキシロース、及び/又はアラビノースから選択することができ、一方で一般式(I)におけるR及びxは、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について同じである。例えば、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤、好ましくは2種の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から、好ましくは2種の亜鉛メッキ浴添加剤から成る場合、1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はグルコースであり、もう1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はキシロースであり、一方で一般式(I)におけるR及びxは、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について同じである。或いは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤、好ましくは2種の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から、好ましくは2種の亜鉛メッキ浴添加剤から成る場合、1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はアラビノースであり、もう1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はキシロースであり、一方で一般式(I)におけるR及びxは、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について同じである。或いは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤、好ましくは3種の亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくは2種以上の亜鉛メッキ浴添加剤から、好ましくは3種の亜鉛メッキ浴添加剤から成る場合、1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はグルコースであり、もう1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はキシロースであり、もう1つの亜鉛メッキ浴添加剤についてG1はアラビノースであり、一方で一般式(I)におけるR及びxは、それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について同じである。単糖類G1の有利な混合物のさらなる例は、例えば欧州特許公報の翻訳文69504158号(DE 695 04 158 T2)、及び欧州特許公報の翻訳文69712602号(DE 697 12 602 T2)の実施例の部に記載されており、これらの開示はここで、参照を以て本願に組み込まれるものとする。単糖類G1と、人工的に製造された単糖類との有利な混合物の例も、例えば欧州特許公報の翻訳文69504158号(DE 695 04 158 T2)、及び欧州特許公報の翻訳文69712602号(DE 697 12 602 T2)に記載されており、これらの開示はここで、参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0078】
1つの実施態様において、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、アルキルグリコシドである。
【0079】
「グリコシド」という用語は、先に規定したように一般式(I)における(G1xを表すことが、肯定的に評価される。「グリコシド」という用語は好ましくは、xが1超である一般式(I)中の(G1xを表す。よって、「グリコシド」という用語は好ましくは、オリゴ糖、より好ましくは二糖類である(G1xを表し、ここで少なくとも2種の単糖類G1は、キシロース、グルコース、ガラクトース、及びアラビノースから選択される。「グリコシド」という用語は例えば、キシロースとグルコースから、又はキシロースとガラクトースから、又はキシロースとアラビノースから、又はグルコースとガラクトースから、又はグルコースとアラビノースから、又はガラクトースとアラビノースから構成される、より好ましくはキシロースとグルコースから構成される二糖類である(G1xを表す。
【0080】
例えば、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、アルキルグリコシドであり、ここでこのアルキル基は、C4〜C10アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C10アルキル、好ましくはC4〜C9アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C9アルキル、より好ましくはC4〜C8アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C8アルキル、さらにより好ましくはC4〜C7アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C7アルキル、なおより好ましくはC4〜C6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C6アルキル、最も好ましくC4アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4アルキル、又はC5アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC5アルキル、又はC6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC6アルキルである。
【0081】
好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ヘキシルグリコシド、イソアミルグリコシド、ブチルグリコシド、2−エチルへキシルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるアルキルグリコシドである。より好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、イソアミルグリコシド、ブチルグリコシド、及びこれらの混合物から選択されるアルキルグリコシドである。
【0082】
1つの態様において、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物であり、ここでこの混合物は好ましくは、ブチルグルコシド、並びにイソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、より好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ブチルグルコシド、及びイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ブチルキシロシド、並びにイソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ブチルキシロシド、及びイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ブチルグリコシド、並びにブチルキシロシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ブチルグリコシド、及びイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ヘキシルグリコシド、並びにブチルグルコシド、ブチルキシロシド、ブチルグリコシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ヘキシルグルコシド、及びブチルグルコシド、若しくはブチルキシロシド、若しくはブチルグリコシド、若しくはイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ヘキシルキシロシド、並びにブチルグルコシド、ブチルキシロシド、ブチルグリコシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ヘキシルキシロシド、及びブチルグルコシド、若しくはブチルキシロシド、若しくはブチルグリコシド、若しくはイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ヘキシルグリコシド、並びにブチルグルコシド、ブチルキシロシド、ブチルグリコシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、ヘキシルグリコシド、及びブチルグルコシド、若しくはブチルキシロシド、若しくはブチルグリコシド、若しくはイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、2−エチルヘキシルグルコシド、並びにブチルグルコシド、ブチルキシロシド、ブチルグリコシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、2−エチルヘキシルグルコシド、及びブチルグルコシド、若しくはブチルキシロシド、若しくはブチルグリコシド、若しくはイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、2−エチルヘキシルキシロシド、並びにブチルグルコシド、ブチルキシロシド、ブチルグリコシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、2−エチルヘキシルキシロシド、及びブチルグルコシド、若しくはブチルキシロシド、若しくはブチルグリコシド、若しくはイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。或いは、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、2−エチルヘキシルグリコシド、並びにブチルグルコシド、ブチルキシロシド、ブチルグリコシド、イソアミルグルコシド、イソアミルキシロシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されるさらなる亜鉛メッキ浴添加剤を含有し、好ましくはこれらから成る。例えば、異なる亜鉛メッキ浴添加剤の混合物は、2−エチルヘキシルグリコシド、及びブチルグルコシド、若しくはブチルキシロシド、若しくはブチルグリコシド、若しくはイソアミルグルコシド、若しくはイソアミルキシロシド、若しくはイソアミルグリコシドを含有し、好ましくはこれらから成る。
【0083】
1つの態様において、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、アルキルグルコシド、アルキルキシロシド、及びこれらの混合物から選択される。例えば、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、アルキルグルコシド、及び/又はアルキルキシロシドであり、ここでこのアルキル基は、C4〜C10アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C10アルキル、好ましくはC4〜C9アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C9アルキル、より好ましくはC4〜C8アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C8アルキル、さらにより好ましくはC4〜C7アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C7アルキル、なおより好ましくはC4〜C6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4〜C6アルキル、最も好ましくC4アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC4アルキル、又はC5アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC5アルキル、又はC6アルキル、例えば置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分枝鎖状のC6アルキルである。
【0084】
一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は好ましくは、ブチルグリコシド、イソアミルグリコシド、2−エチルへキシルグリコシド、2−プロピルヘキシルグリコシド、イソアミルキシロシド、ヘキシルグリコシド、2−イソプロピル−5−メチルヘキサノールグリコシド、2−イソプロピル−5−メチルヘキサノールキシロシド、C8〜C10グリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。より好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ブチルグリコシド、イソアミルグリコシド、2−エチルへキシルグリコシド、2−プロピルへキシルグリコシド、ヘキシルグリコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。さらにより好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ブチルグリコシド、イソアミルグリコシド、及びこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ブチルグリコシドである。
【0085】
1つの態様において、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は好ましくは、ブチルグルコシド、イソアミルグルコシド、2−エチルへキシルグルコシド、2−プロピルヘキシルグルコシド、イソアミルキシロシド、ヘキシルグルコシド、2−イソプロピル−5−メチルヘキサノールグルコシド、2−イソプロピル−5−メチルヘキサノールキシロシド、C8〜C10グルコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。より好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ブチルグルコシド、イソアミルグルコシド、2−エチルへキシルグルコシド、2−プロピルへキシルグルコシド、ヘキシルグルコシド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。さらにより好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ブチルグルコシド、ヘキシルグルコシド、及びこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、ブチルグルコシドである。
【0086】
一般式(I)の化合物が、α及び/又はβ配座で存在し得ることは、肯定的に評価される。例えば、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、α配座、又はβ配座であり、好ましくはβ配座である。或いは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、α配座及びβ配座である。
【0087】
一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤が、α配座及びβ配座である場合、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤は、α配座及びβ配座を、好ましくは10:1から1:10、より好ましくは5:1から1:10、さらにより好ましくは4:1から1:10、最も好ましくは3:1から1:10の比(α/β)で含有する。
【0088】
一般式(I)の化合物が、当業者によく知られた化合物であり、当業者によく知られた方法により製造可能なことが、肯定的に評価される。
【0089】
本発明の1つの態様において、一般式(I)の化合物は、精製した(bleached)形で、又は未精製の形で存在し、精製した形が好ましい。
【0090】
水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤を、浴1L当たり0.1〜10.0g、好ましくは浴1L当たり0.1〜7.5g、最も好ましくは浴1L当たり0.1〜5.0gという量で含有する。
【0091】
本発明による方法で使用すべき一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤の相応する量は、一般式(I)の少なくとも1種の亜鉛メッキ浴添加剤の活性量を基準とする。
【0092】
水性のアルカリ性メッキ浴はさらに、光沢剤、水溶性ポリマー、均展剤、硬水軟化剤、錯化剤、シアン化物イオンの供給源、及びこれらの混合物を含む群から選択される慣用の添加剤を少なくとも1種、含有する。
【0093】
水性のアルカリ性メッキ浴は例えば、標準的な光沢剤、及び高光沢用光沢剤として分類できる公知の光沢剤を含有することができる。有利な標準的な光沢剤の例は、ポリエチレンイミン、又はその誘導体、及び/又はエピクロロヒドリンと、複素環式窒素化合物との反応生成物、例えばイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、又はその誘導体であり、これらは例えば、米国特許第4166778号明細書(US patent number 4,166,778)に記載されている。標準的な光沢剤は好ましくは、エピクロロヒドリンと複素環式窒素化合物との反応生成物、例えばイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、又はその誘導体であり(例えば米国特許第4166778号明細書(US patent number 4,166,778)に記載)、その開示はここで参照を以て、本願に組み込まれるものとする。
【0094】
水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、標準的な光沢剤を、浴1L当たり0.1〜15.0g、好ましくは浴1L当たり.0〜10.0gという合計量で含有する。
【0095】
一般的に、高光沢用光沢剤には、非常に多くの分類からの物質が含まれ、それは例えば、アルデヒド、ケトン、アミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、硫黄化合物、ポリアミン、又は複素環式窒素化合物、及びこれらの混合物を含む群から選択される光沢剤であり、これらは例えば、米国特許第6652728号明細書(US patent number 6,652,728 B1)、及び米国特許第4496439号明細書(US patent number 4,496,439)、及び国際公開第2007/147603号(WO 2007/147603 A2)に記載されており、これらの開示は、ここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0096】
高光沢用光沢剤は好ましくは、n−ベンジルニコチネートである。
【0097】
水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、高光沢用光沢剤を、浴1L当たり0.01〜2.0g、好ましくは浴1L当たり0.01〜0.5gという合計量で含有する。
【0098】
さらに、又は代替的に、水性のアルカリ性メッキ浴は、公知の水溶性ポリマーを極性付与剤として含有し、それは例えばカチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物であり、カチオン性ポリマーが好ましい。有利な極性付与剤の例は、N,N’−ビス[3−(ジアルキルアミノ)アルキル]尿素と、1,ω−ジハロゲンアルカンとの反応生成物であり、これは例えば米国特許第6652728号明細書US patent number 6,652,728 B1)に記載されており、その開示は、ここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0099】
本発明による水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、水溶性ポリマーを、浴1L当たり0.1〜15.0g、好ましくは浴1L当たり1.0〜10.0gという合計量で含有する。
【0100】
さらに、又は代替的に、水性のアルカリ性メッキ浴は、公知の均展剤(例えば3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、及び/又はチオ尿素、好ましくはチオ尿素)を含有する。本発明による水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、均展剤を、浴1L当たり0.1〜2.0g、好ましくは浴1L当たり0.1〜1.0gという合計量で含有する。
【0101】
さらに、又は代替的に、水性のアルカリ性メッキ浴は、公知の硬水軟化剤、例えばEDTA、ケイ酸ナトリウム、酒石酸、及びこれらの混合物を含有する。本発明による水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、硬水軟化剤を、浴1L当たり0.1〜2.0g、好ましくは浴1L当たり0.1〜1.0gという合計量で含有する。
【0102】
さらに、又は代替的に、水性のアルカリ性メッキ浴は、公知の錯化剤、例えばグルコン酸ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリエチレンジアミン、EDTA、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、ソルビトール、スクロース、及びこれらの混合物を含有する。本発明による水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、錯化剤を、浴1L当たり0.1〜100.0g、好ましくは浴1L当たり0.1〜50.0gという合計量で含有する。
【0103】
さらに、又は代替的に、水性のアルカリ性メッキ浴は、公知のシアン化物イオン供給源、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、及びこれらの混合物を含有する。本発明による水性のアルカリ性メッキ浴は好ましくは、シアン化物イオン供給源を、浴1L当たり25.0〜150.0g、好ましくは浴1L当たり50.0〜100.0g、最も好ましくは浴1L当たり約75gという合計量で含有する。
【0104】
本発明による方法の工程b)によれば、金属基材を水性のアルカリ性メッキ浴に移し、これによって亜鉛又は亜鉛合金の被覆が、金属基材上に形成される。
【0105】
本発明による水性のアルカリ性メッキ浴が、あらゆる種類の金属基材のために使用可能であることが、肯定的に評価される。有用な金属基材の例には、鋼、ステンレス鋼、クロム・モリブデン鋼、銅、銅・亜鉛合金、鋳鉄などが含まれる。
【0106】
1つの態様において、金属基材は、鋼、ステンレス鋼、クロム・モリブデン鋼、銅、銅・亜鉛合金などから選択される。代替的な態様において、金属基材は、鋳鉄である。
【0107】
好ましくは、工程b)において金属基材上に亜鉛又は亜鉛合金の被覆が形成されるように、金属基材上に亜鉛又は亜鉛合金の被覆を電解析出する工程は、10〜40℃、好ましくは15〜35℃、最も好ましくは15〜30℃の温度、例えばほぼ室温で行う。
【0108】
さらに、又は代替的に、工程b)において金属基材上に亜鉛又は亜鉛合金の被覆が形成されるように、金属基材上に亜鉛又は亜鉛合金の被覆を電解析出する工程は、0.05〜15.0A/dm2、好ましくは0.1〜7.0A/dm2、最も好ましくは0.1〜5.0A/dm2の電流密度で行う。
【0109】
1つの態様において方法工程b)は、10〜40℃、好ましくは15〜35℃、最も好ましくは15〜30℃の温度、例えばほぼ室温で、0.05〜15.0A/dm2、好ましくは0.1〜7.0A/dm2、最も好ましくは0.1〜5.0A/dm2の電流密度で行う。
【0110】
本発明による方法により金属基材上に形成される亜鉛又は亜鉛合金の被覆は好ましくは、2.0〜30.0μm、より好ましくは2.0〜25.0μm、最も好ましくは5.0〜25.0μmという厚さを有する。
【0111】
本発明による方法によって得られる亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材が、非常に良好な光学的、及び機械的特性を示すことは、肯定的に評価される。例えば、亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材表面は高い光沢を示し、本発明による方法の間に亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材上に生じる縞模様及び/又は泡の跡のような光学的欠陥の量が少ない。1つの態様では、本発明による方法により得られる亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材は高い光沢を示し、亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材上に生じる縞模様及び/又は泡の跡のような光学的欠陥が無い。
【0112】
さらに、亜鉛又は亜鉛で被覆された金属基材は、金属基材への、亜鉛又は亜鉛合金被覆の優れた接着性をもたらす。従って、本発明による方法で得られる亜鉛又は亜鉛で被覆された金属基材は、光学的外観、及び/又は金属基材への、亜鉛又は亜鉛合金被覆の優れた接着性が改善されている。
【0113】
得られる利点という観点で、本発明はさらに、不等式(I)により規定される光沢を示す亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材を目指している:
(GUwith)/(GUwithout)≧1.05 (I)
ここで、
(GUwithout)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いずに被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定され、
(GUwith)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いて被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定される。
【0114】
亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材は好ましくは、不等式(Ia)により規定される光沢を示す:
(GUwith)/(GUwithout)≧1.1 (Ia)
ここで、
(GUwithout)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いずに被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定され、
(GUwith)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いて被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定される。
【0115】
亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材はより好ましくは、不等式(Ib)により規定される光沢を示す:
(GUwith)/(GUwithout)≧1.3 (Ib)
ここで、
(GUwithout)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いずに被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定され、
(GUwith)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いて被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定される。
【0116】
亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材は好ましくは、不等式(Ic)により規定される光沢を示す:
(GUwith)/(GUwithout)≧1.5 (Ic)
ここで、
(GUwithout)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いずに被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定され、
(GUwith)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いて被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定される。
【0117】
亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材は例えば、不等式(Id)により規定される光沢を示す:
2.0≦(GUwith)/(GUwithout)≧1.5 (Id)
ここで、
(GUwithout)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いずに被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定され、
(GUwith)は、先に規定した少なくとも1種の一般式(I)の化合物を用いて被覆された金属基材上で測定した光沢単位であり、光沢計により85°の測定角で測定される。
【0118】
光沢単位は、ドイツ国のBYK Gardner社製の光沢計Micro-Tri-Glossにより測定し、10回の測定の平均値であることが肯定的に評価される。
【0119】
1つの態様において、亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を、本願で規定するように金属基材上に電解析出する方法によって得られる。
【0120】
本発明による方法はさらに、本発明による方法によって得られる、亜鉛又は亜鉛合金で被覆された金属基材を目指している。
【0121】
本発明はさらに、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を金属基材上に電解析出するための、本願で規定する水性のアルカリ性メッキ浴を目指している。これらに加えて本発明は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を、金属基材上に電解析出する方法における、本願で規定する亜鉛メッキ浴添加剤の使用を目指している。さらに本発明は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的外観、及び/又は金属基材への接着性を改善するための、本願で規定する亜鉛メッキ浴添加剤の使用を目指している。金属基材は好ましくは、鋼、ステンレス鋼、クロム・モリブデン鋼、銅、銅・亜鉛合金などから選択される。
【0122】
本発明はまた、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を鋳鉄基材上に電解析出するための、本願で規定する水性のアルカリ性メッキ浴を目指している。これらに加えて本発明は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆を、鋳鉄基材上に電解析出する方法における、本願で規定する亜鉛メッキ浴添加剤の使用を目指している。さらに本発明は、亜鉛又は亜鉛合金の被覆の光学的外観、及び/又は鋳鉄基材への接着性を改善するための、本願で規定する亜鉛メッキ浴添加剤の使用を目指している。
【0123】
本発明の範囲と関心対象は、以下の実施例に基づき、より良好に理解されるであろうが、これらの実施例は、本発明の特定の態様を説明することを意図したものであり、本発明がこれらに制限されることは無い。
【0124】
実施例
実施例1
水性のアルカリ性メッキ浴中での泡の形成に関して、本発明の亜鉛メッキ浴添加剤の特性が示されており、このメッキ浴のためには、以下の表1に記載した電解質組成物を製造した。
【0125】
表1:水性のアルカリ性メッキ浴の電解質組成
【表1】
【0126】
表1の電解質組成物に、以下の表2に示すさらなる添加剤を加えた。
【0127】
表2:水性のアルカリ性メッキ浴のさらなる添加剤
【表2】
#:極性付与剤は、N,N’−ビス[3−(ジアルキルアミノ)アルキル]尿素と、活性成分を約62質量%含有する1,ω−ジハロゲンアルカンとのカチオン性反応生成物(市販で入手可)であり、標準的な光沢剤は、イミダゾールと、活性成分を約45質量%含有するエピクロロヒドリンとのコポリマー(市販で入手可)であり、高光沢用光沢剤は、市販で手に入る、活性成分を約48質量%含有するn−ベンジルニコチネートである。
*:成分の量は、活性材料の量を基準とする。
【0128】
表1及び2に記載の上記成分とさらなる添加剤から得られる水性のアルカリ性メッキ浴に、下記表3に記載する亜鉛メッキ浴添加剤を、活性材料を基準として、浴1Lあたり1.0gの量で添加した。(+)で印を付けた例は、比較用である。
【0129】
基材上への亜鉛被覆の電解析出は、DIN 50 957に従ってハルセルで行った。それぞれの浴を、250mLのハルセルに添加し、その中で鋼板を1Aで30分間、メッキした。この鋼板(EN 10027-2による鋼番号1.0330)の寸法は、70×100×0.3mmだった。鋼板をハルセルに移す前に、この鋼板を塩酸(15%)で酸洗いし、電解脱脂に掛け、水ですすいだ。ステンレス鋼アノードを、アノードとして用いた。この浴は、室温で稼働させた(約20℃±1℃)。
【0130】
得られた亜鉛で被覆された金属基材の光学的外観、及び方法の間の泡の発達は、以下の表3に要約してある。
【0131】
表3:亜鉛メッキ浴添加剤、得られた亜鉛で被覆された基材の光学的外観、及び泡の発達
【表3】
【0132】
表3からは、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を用いて亜鉛で被覆された金属基材は、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を使用せずに製造した、亜鉛で被覆された金属基材と比較して、光学特性が改善されていることが分かる。
【0133】
実施例2
水性のアルカリ性メッキ浴中で被覆された基材の光沢に関して、本発明の亜鉛メッキ浴添加剤の特性を測定し、このメッキ浴のためには、下記表4に記載された電解質/添加剤組成物を製造した。
【0134】
表4:水性のアルカリ性メッキ浴の電解質組成
【表4】
#1:極性付与剤は、N,N’−ビス[3−(ジアルキルアミノ)アルキル]尿素と、活性成分を約62質量%含有する1,ω−ジハロゲンアルカンとのカチオン性反応生成物(市販で入手可)である。#2標準的な光沢剤は、イミダゾールと活性成分を約45質量%含有するエピクロロヒドリンとのコポリマー(市販で入手可)である。#3高光沢用光沢剤は、市販で手に入る、活性成分を約48質量%含有するn−ベンジルニコチネートである。
【0135】
基材上への亜鉛被覆の電解析出は、DIN 50 957に従ってハルセルで行った。浴を250mLのハルセルに添加し、その中で鋼板を1Aで40分間、メッキした。この鋼板(EN 10027-2による鋼番号1.0330)の寸法は、70×100×0.3mmだった。鋼板をハルセルに移す前に、この鋼板を塩酸(15%)で酸洗いし、電解脱脂に掛け、水ですすいだ。ステンレス鋼アノードを、アノードとして用いた。この浴は、室温で稼働させた(約20℃±1℃)。
【0136】
得られた亜鉛で被覆された金属基材の光学的外観、及びブチルグルコシドの不在下で被覆した参照用試料の光学的外観が、以下の表5にまとめてある。さらに、ドイツ国のBYK Gardner社製の光沢計Micro-Tri-Gloss(シリアルナンバー9 014 327)により測定角85°で測定した、本発明に従って亜鉛メッキ浴添加剤により被覆された金属基材についての光沢単位、並びに参照用試料(すなわち金属基材を、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤の不在下で被覆したもの)についての光沢単位も、下記表5に記載されている。セットアップは、光沢計Micro-Tri-Glossの使用マニュアルに従って行う。光沢単位の値は、10回の測定の平均値である。光沢単位の標準偏差は、±2GU(GU=光沢単位)である。
【0137】
表5:光学的外観
【表5】
【0138】
表5からは、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を用いて製造され、亜鉛で被覆された金属基材は、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を使用せずに製造した、亜鉛で被覆された金属基材と比較して、光沢が改善されていることが分かる。
【0139】
実施例3
水性のアルカリ性メッキ浴中でブリスタ−形成により特定された被覆の接着性に関して、本発明の亜鉛メッキ浴添加剤の特性が示されており、このメッキ浴のためには、下記表6に記載した電解質組成物を製造した。
【0140】
表6:水性のアルカリ性メッキ浴の電解質組成
【表6】
【0141】
表6の電解質組成物に、下記表7に示す更なる添加剤を加えた。
【0142】
表7:水性のアルカリ性メッキ浴のさらなる添加剤
【表7】
#:極性付与剤は、N,N’−ビス[3−(ジアルキルアミノ)アルキル]尿素と、活性成分を約62質量%含有する1,ω−ジハロゲンアルカンとのカチオン性反応生成物(市販で入手可)であり、標準的な光沢剤は、イミダゾールと、活性成分を約45質量%含有するエピクロロヒドリンとのコポリマー(市販で入手可)であり、高光沢用光沢剤は、市販で手に入る、活性成分を約48質量%含有するn−ベンジルニコチネートである。
*:成分の量は、活性材料の量を基準とする。
【0143】
表6及び7に記載の上記成分とさらなる添加剤から得られる水性のアルカリ性メッキ浴に、下記表8に記載する亜鉛メッキ浴添加剤を、活性材料を基準として、浴1Lあたり1.0gの量で添加した。(+)で印を付けた例は、比較用である。
【0144】
それぞれの浴を平行セルに添加し、その中で有孔鋼板を、1A/dm2の電流で50分、0.5A/dm2の電流で75分、又は3A/dm2の電流で25分、両面でメッキした。可溶性亜鉛アノードを、アノードとして用いた。この浴は、室温で稼働させた(約20℃±1℃)。この鋼板(EN 10027-2による鋼番号1.0330)の寸法は、70×100×0.3mmだった。それぞれの亜鉛メッキ浴添加剤について、同じ条件で試験を3回行った。鋼板を平行セルに移す前に、各鋼板を塩酸(15%)で酸洗いし、水ですすいだ。それから各鋼板を、表8に記載する水性脱脂溶液を用いてアルカリ脱脂に掛けた。アルカリ性脱脂の後、各鋼板を水ですすぎ、水分がもはや見えなくなり、秤量されなくなるまで乾燥した。
【0145】
表8:水性脱脂溶液の組成
【表8】
#1は、キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸の四ナトリウム塩であり、これはドイツ国のBASF社から、市販で手に入る。
#2は、非イオン性界面活性剤であり、これはドイツ国のBASF社から、市販で手に入る。
【0146】
水性の脱脂溶液は、個別の成分を蒸留水に溶解させ、透明な溶液が得られるまで混合することにより製造した。
【0147】
被覆の後、鋼板を水ですすぎ、水分がもはや見えなくなり、秤量されなくなるまで乾燥した。それから、鋼板をシートの中に包み、3ヶ月間、室温(約20℃±1℃)で貯蔵した。続いて、ピット及びブリスタ−の形成について、鋼板表面を評価した。このために、感圧性接着剤のテープ(幅が少なくとも50mmであり、接着強度が、幅25mm当たり6〜10Nのもの)を、被覆された各鋼板の表面に付着させた。接着テープは、鋼板表面に手で均一に押しつけ(均一な接着は、テープを通した鋼板表面の色によって制御可能)、そして表面から迅速に除去した。テープの除去は、約60°の角度で0.5〜1秒以内に鋼板表面からテープを除去することによって行った。テープの除去は、鋼板表面にテープを適用してから5分以内に行った。これらの試験は、約23℃±2℃の温度、湿度約50%±5%で行った。鋼板表面の評価は、良好な照明のもとで、全ての側面から裸眼により行った。
【0148】
亜鉛で被覆された基材上で観察されたピット及びブリスタ−の形成により特定された被覆の接着性は、以下の表9にまとめてある。
【0149】
表9:亜鉛メッキ浴添加剤、及び得られた亜鉛で被覆された基材の被覆接着性
【表9】
【0150】
表9からは、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を用いて亜鉛で被覆された金属基材は、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を使用せずに製造した、亜鉛で被覆された金属基材と比較して、ピット及びブリスタ−の形成に関する性質が改善されていることが分かる。よって、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を用いて亜鉛で被覆された金属基材は、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を使用せずに製造した、亜鉛で被覆された金属基材と比較して、被覆の接着性が改善されていると結論付けることができる。
【0151】
実施例4
水性のアルカリ性メッキ浴中で被覆された鋳鉄の光沢に関して、本発明の亜鉛メッキ浴添加剤の特性を測定し、このメッキ浴のためには、下記表10に記載された電解質/添加剤組成物を製造した。
【0152】
表10:水性のアルカリ性メッキ浴の電解質組成
【表10】
#1:高光沢用光沢剤は、市販で手に入る、約48質量%の活性成分を有するn−ベンジルニコチネートである。
【0153】
鋳鉄上への亜鉛被覆の電解析出は、DIN 50 957に従ってハルセルで行った。浴を250mLのハルセルに添加し、その中で鋳鉄板を3Aで60分間、メッキした。鋳鉄板は、ASTM A536に従った鋳鉄グレードから得たものであり、その寸法は、48×102×4.5mmであった。鋳鉄板をハルセルに移す前に、この鋳鉄板を塩酸(15%)で酸洗いし、電解脱脂に掛け、水ですすいだ。ステンレス鋼アノードを、アノードとして用いた。この浴は、室温で稼働させた(約20℃±1℃)。
【0154】
ドイツ国のBYK Gardner社製の光沢計Micro-Tri-Gloss(シリアルナンバー9 014 327)により測定角60°及び85°で測定した、本発明に従って亜鉛メッキ浴添加剤により被覆された鋳鉄基材についての光沢単位、並びに参照用試料(すなわち鋳鉄基材を、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤の不在下で被覆したもの)についての光沢単位も、下記表11にまとめてある。セットアップは、光沢計Micro-Tri-Glossの使用マニュアルに従って行う。光沢単位の値は、10回の測定の平均値である。光沢単位の標準偏差は、±2GU(GU=光沢単位)である。
【0155】
表11:光学的外観
【表11】
【0156】
表11からは、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を用いて製造され、亜鉛で被覆された鋳鉄基材は、本発明による亜鉛メッキ浴添加剤を使用せずに製造した、亜鉛で被覆された鋳鉄基材と比較して、光沢が改善されていることが分かる。