(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676610
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ソーラーパネル用のプラスチック取付け支持体
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20200330BHJP
H02S 20/24 20140101ALI20200330BHJP
【FI】
E04D13/18ETD
H02S20/24
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-500059(P2017-500059)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公表番号】特表2017-520697(P2017-520697A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】US2015038302
(87)【国際公開番号】WO2016003895
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】62/020,647
(32)【優先日】2014年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マシュー パーキンソン
(72)【発明者】
【氏名】アニル クマール
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
独国実用新案第202011100399(DE,U1)
【文献】
独国特許出願公開第102011120362(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0036799(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00−3/40
E04D 13/00−15/07
H02S 20/00−20/32
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネル(12)用のプラスチック取付け支持体(10)であって、
支持面に係合し、バラストブロック(26)を支持するように適合されたプラスチックベース(16)と、
前記ソーラーパネル(12)に接続するためのプラスチック部材(24)であって、該プラスチック部材は前記ベース(16)と協働して、前記プラスチック部材と前記ベースとの間に前記バラストブロック(26)を保持し、これにより前記バラストブロック(26)は前記プラスチック取付け支持体(10)と協働して、前記ソーラーパネル(12)に加えられる下向き荷重の一部を支持し、かつ、前記ソーラーパネル(12)に加えられる上向き風力荷重に抵抗するようになっている、プラスチック部材(24)と、
を有しており、
前記部材(24)は、長手方向で間隔を置いて位置していて、かつ前記部材を貫通して横方向に延在する一対の開口(30)を含み、前記各開口(30)は、前記バラストブロック(26)を収容するように適合されており、前記ベース(16)は、前記各開口(30)に隣接する対向するストッパ(20)を有していて、前記開口(30)は、該開口(30)内に前記バラストブロック(26)を保持するように適合されていて、一方の前記開口(30)は、他方の前記開口(30)の高さよりも高い高さを有している、プラスチック取付け支持体(10)。
【請求項2】
前記ベース(16)から上方向に延在する第1の突出部(40)を有していて、該第1の突出部は、該第1の突出部を貫通して延在する開口(42)を有している、請求項1記載のプラスチック取付け支持体(10)。
【請求項3】
前記ベース(16)から上方向に延在する第2の突出部(40)を有していて、該第2の突出部は、該第2の突出部を貫通して延在する開口(42)を有しており、前記第2の突出部(40)は前記第1の突出部(40)よりも高い高さを有している、請求項2記載のプラスチック取付け支持体(10)。
【請求項4】
ソーラーパネル(12)用のプラスチック取付け支持体(110)であって、
支持面に係合し、バラストブロック(26)を支持するように適合されたプラスチックベース(116)と、
前記ソーラーパネル(12)に接続するためのプラスチック部材(124)であって、該プラスチック部材は前記ベース(116)と協働して、前記プラスチック部材と前記ベースとの間に前記バラストブロック(26)を保持し、これにより前記バラストブロック(26)は前記プラスチック取付け支持体(110)と協働して、前記ソーラーパネル(12)に加えられる下向き荷重の一部を支持し、かつ、前記ソーラーパネル(12)に加えられる上向き風力荷重に抵抗するようになっている、プラスチック部材(124)と、
を有しており、
前記部材(124)から上方向に延在する突出部(140)を有していて、該突出部は、該突出部を貫通して延在する開口(142)を有している、プラスチック取付け支持体(110)。
【請求項5】
前記部材(124)は、前記ベース(116)から延在し、前記ベース(116)と接触する側とは反対側で前記バラストブロック(26)の側面上に延在する一対の側方部材(144)と、該側方部材(144)の間で長手方向に延在する上方部材(146)と、該上方部材から上方向に延在する少なくとも1つの突出部であって、前記ソーラーパネル(12)への取付のために、前記突出部を貫通して延在する開口を有している突出部と、前記ベース(116)に対してほぼ垂直に延在する端壁(148)と、を含む、請求項4記載のプラスチック取付け支持体(110)。
【請求項6】
前記ベース(16,116)と前記部材(24,124)とは一体で、単一で、ワンピースである、請求項1から5までのいずれか1項記載のプラスチック取付け支持体(10,110)。
【請求項7】
ソーラーパネル(12)用のプラスチック取付け支持体(210)であって、
支持面に係合し、バラストブロック(26)を支持するように適合されたプラスチックベース(216)と、
前記ソーラーパネル(12)に接続するためのプラスチック部材(224)であって、該プラスチック部材は前記ベース(216)と協働して、前記プラスチック部材と前記ベースとの間に前記バラストブロック(26)を保持し、これにより前記バラストブロック(26)は前記プラスチック取付け支持体(210)と協働して、前記ソーラーパネル(12)に加えられる下向き荷重の一部を支持し、かつ、前記ソーラーパネル(12)に加えられる上向き風力荷重に抵抗するようになっている、プラスチック部材(224)と、
を有しており、
前記ベース(216)は対向する側壁(252)を有しており、前記側壁(252)のそれぞれは、該側壁を貫通して延在する開口(254)を有している、プラスチック取付け支持体(210)。
【請求項8】
前記ベース(216)とは反対側で前記バラストブロック(26)上に配置されるように適合されているプラスチックキャップ(262)を含み、該キャップ(262)は対向する側壁(266)を有しており、前記側壁(266)のそれぞれは、該側壁を貫通して延在する開口(268)を有していて、前記キャップ(262)は、外側に延在する突出部(240)を有していて、該突出部は、前記ソーラーパネル(12)への取付のために、前記突出部を貫通して延在する開口(242)を有している、請求項7記載のプラスチック取付け支持体(210)。
【請求項9】
前記部材(224)は一対のストラップ(258)を有していて、該ストラップ(258)のうちの1つは、前記ベース(216)の前記開口(254)の1つと、前記キャップ(262)の前記側壁(266)の前記開口(268)のうちの1つとの間で延在している、請求項8記載のプラスチック取付け支持体(210)。
【請求項10】
前記プラスチック取付け支持体(10,110,210)は、射出成形プロセスにより形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のプラスチック取付け支持体(10,110,210)。
【請求項11】
前記ベース(16,116,216)と前記部材(24,124,224)とは、熱可塑性材料又は熱硬化性材料であるポリマ材料から成っている、請求項1から9までのいずれか1項記載のプラスチック取付け支持体(10,110,210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、2014年7月3日に出願された米国特許仮出願第62/020647(U.S. Provisional Patent Application No. 62/020,647)号明細書の全利益に対する優先権を請求し、この出願は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は概して、ソーラーパネル用の取付け支持体に関し、特に、平らな又は緩傾斜の屋根設備上のソーラーパネル用のプラスチック取付け支持体に関する。
【0003】
2.従来技術の説明
ソーラーパネル用の取付け支持体又は台座を設けることが公知である。少なくとも1つの形態では、台座は、平らな面上に配置するための底面と、該底面から上に向かって延在する複数の壁とを有していて、これにより砂利や敷石のようなバラストを収容するための箱形のチャンバを形成している。バラストは、風による持ち上がり等に抗して台座を定置に保持する「重り」として用いられる。台座はさらに、ソーラーパネル上に置く支持面と、この支持面上にソーラーパネルを固定する固定機構とを提供するために、壁から外側に向かって延在するフランジを有している。この台座は、射出成形プロセス又は低圧プロセスにより熱硬化性又は熱可塑性材料から形成される。近年、ソーラー業界は、他の形態のエネルギと競合するために全体的なソーラー設備のコストを削減するために、取付け支持体に関して積極的なコスト目標を設定している。パフォーマンス目標を達成しながら低コスト目標に見合ったソーラーパネル用の支持体又は台座を設計することは、この業界にとって大きな課題である。
【0004】
従って、費用対効果の高い解決手段を提供するソーラーパネル用のプラスチック取付け支持体を提供することが所望されている。さらに、一次構造体として、セメントや砂、砂利のような材料から成るバラスト用の既存のブロックを使用するソーラーパネル用のプラスチック取付け支持体を提供するのが望ましい。さらに、構造全体にかかる荷重の一部を支持するバラストブロックと協働するプラスチック取付け支持体を提供するのが望まれる。さらに、ソーラーパネルを取り付けるためのあらゆる場所及び構造で使用することができるプラスチック取付け支持体を提供することが所望されている。
【0005】
発明の概要
従って本発明は、ソーラーパネル用のプラスチック取付け支持体である。このプラスチック取付け支持体は、支持面に係合し、バラストブロックを支持するように適合されたプラスチックベースと、前記ソーラーパネルに接続するためのプラスチック部材であって、該プラスチック部材は前記ベースと協働して、前記プラスチック部材と前記ベースとの間に前記バラストブロックを保持し、これにより前記バラストブロックは前記プラスチック取付け支持体と協働して、前記ソーラーパネルに加えられる下向き荷重の一部を支持し、かつ、前記ソーラーパネルに加えられる上向き風力荷重に抵抗するようになっている、プラスチック部材と、を有している。
【0006】
本発明の1つの利点は、プラスチック取付け支持体が、該支持体上にソーラーパネルを取り付けるために提供されることにある。本発明の別の利点は、プラスチック取付け支持体が、該支持体上に取り付けられるソーラーパネルの荷重要件及び構造要件に合致していることにある。本発明のさらに別の利点は、プラスチック取付け支持体が、一次構造用のバラストとしての既存の1つ以上のセメントブロックを組み込んでいて、支持体用のプラスチック材料量を減じていることにある。本発明のさらに別の利点は、何らかの理由で、プラスチック材料が荷重に関して設計されたよりも大きな荷重を受ける場合、又はプラスチック材料がクリープやあらゆる形式の機械的過負荷を受ける場合に、プラスチック取付け支持体が、安全率のある構造支持体としてセメントブロックを使用していることにある。本発明のさらなる利点は、プラスチック取付け支持体が、ソーラーパネルに加えられる比較的大きな荷重に耐えられることにある。本発明のさらなる利点は、プラスチック取付け支持体を、ソーラーパネルを取り付けるためのあらゆる場所及び構造で使用することができることにある。本発明のさらなる利点は、プラスチック取付け支持体が、プラスチックから形成されていて、バラストとして既存のセメントブロックを使用することにより、費用対効果の高い解決手段を提供することにある。本発明の別の利点は、プラスチック取付け支持体の重量が、従来のプラスチック材料から成るソーラー取付け台と比較して減じられていることにある。
【0007】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の図面に関連してなされる以下の説明を読んだ後に、より理解されることにより、容易に認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明によるプラスチック取付け支持体の一態様と、該支持体上に所定の傾斜角度で取り付けられたソーラーパネルとを示す斜視図である。
【
図1A】プラスチック取付け支持体によるソーラーパネルの角度の調節を示す
図1と同様の図である。
【
図2】
図1及び
図1Aのプラスチック取付け支持体を、2つのバラストブロックと共に示す斜視図である。
【
図3】バラストブロックなしでプラスチック取付け支持体を示す
図2と類似の図である。
【
図4】
図3のプラスチック取付け支持体を示す別の斜視図である。
【
図5】
図1のプラスチック取付け支持体の、本発明による別の態様と、該支持体上に第1の傾斜角度で取り付けられたソーラーパネルとを示す立面図である。
【
図6】
図5のプラスチック取付け支持体とソーラーパネルとを示す背面図である。
【
図7】
図5のプラスチック取付け支持体を、該支持体上に第2の傾斜角度で取り付けられたソーラーパネルと共に示す立面図である。
【
図8】
図5のプラスチック取付け支持体とソーラーパネルとを示す背面図である。
【
図9】
図1のプラスチック取付け支持体の、本発明によるさらに別の態様を、該支持体内に配置されたバラストブロックと共に示す部分図である。
【
図10】
図9のプラスチック取付け支持体を示す分解斜視図である。
【
図11】
図3のプラスチック取付け支持体の、本発明によるさらに別の態様を、該支持体内にバラストブロックを配置せずに示す斜視図である。
【
図12】
図3のプラスチック取付け支持体の、本発明によるさらなる態様を、該支持体内にバラストブロックを配置せずに示す斜視図である。
【0009】
好適な実施の形態の詳細な説明
同一の符号が複数の図面を通じて同じ部材を示している複数の図面を参照すると、本発明によるプラスチック取付け支持体の1つの態様が概略的に符号10で示されている。プラスチック取付け支持体10は、この支持体10上に取り付けられる概略的に符号12で示したソーラーパネルを有するように構成されている。
図1に示したように、ソーラーパネル12はほぼ長方形の形状であり、各角隅近くにそれぞれ1つのプラスチック取付け支持体10を有しており、全部で4つ有している。ソーラーパネル12は、締結手段(図示せず)のような適切な機構によりプラスチック取付け支持体10に固定されている。
図1に示したソーラーパネル12は、この技術分野では公知であり市販されていることが理解されるだろう。勿論、
図1に示したソーラーパネル12は、本発明の範囲を制限しようとするものではない。さらに、プラスチック取付け支持体10は、本発明の範囲を逸脱することなく、ここに特別に図示していない様々な別のタイプのソーラーパネルと共に使用することができることが理解されるだろう。
【0010】
図1〜
図4に示したように、プラスチック取付け支持体10は、建物の平らな屋根のような支持面に係合するためのプラスチックベース16を含んでいる。ベース16は、ほぼ長方形の形状であるが、任意の適切な形状であってよい。1つの態様では、ベース16は、ほぼ逆「U」字形の平らな部材を形成するようにこのベース16に軸方向で形成されたスロット18を有している。ベース16は、ベース16から上方向に延在し、長手方向で互いに間隔を置いて位置する1つ以上のストッパ20を含んでいてよい。ストッパ20はベース16から上方向に突出していて、支持面にベース16を保持するための後述されるバラストブロック26に係合する比較的平坦な1つの側面を有している。ベース16はさらに、ベース16の閉鎖端部から長手方向に延在する取付けフランジ22を有していてよい。取付けフランジ22は、ベース16の幅よりも小さい幅を有している。ベース16はプラスチック材料から成っている。ベース16は、一体で、単一の、ワンピースのものである。
【0011】
プラスチック取付け支持体10はさらに、ソーラーパネル12に接続するための1つ以上のバラストブロック26上に延在するように適合されたプラスチック部材24を含んでいて、このプラスチック部材24は、ベース16と協働して、バラストブロック26をこのプラスチック部材24内に保持する。
図1〜
図4に示した態様では、2つのバラストブロック26が1つのプラスチック取付け支持体10と共に使用されている。バラストブロック26はほぼ長方形の形状である。1つの態様では、バラストブロック26はセメントから成っている。バラストブロック26は典型的には4インチ×8インチ×16インチのサイズを有する。勿論、別の適切なサイズのバラストブロック26が使用されてよい。さらに勿論、バラストブロック26は、砂や砂利等のような別の適切な材料から形成されていてよい。
【0012】
図1〜
図4に示したように、部材24は、長手方向に、かつベース16の対向する長手方向側から上方に向かって延在する一対の側壁28を含む。1つの態様では、側壁28は所定の角度付けをされて上方に向かって延在している。各側壁28は、該側壁を貫通して横方向に延在する1つ以上の開口30を含み、この開口30により、側壁28を通ってバラストブロック26が延在することができるようになっている。開口30は、ほぼ長方形の形状であるが、バラストブロック26に対して補完的な任意の適切な形状であってよい。1つの態様では、一方の開口30は他方の開口30の高さよりも高い高さを有していて、一方の開口30は、他方の開口30の幅よりも広い幅を有している。開口30は、バラストブロック26の高さ及び幅よりも大きく、これによりバラストブロック26はベース16上にストッパ20の間で位置し、部材24には接触しない。バラストブロック26と部材24との間にスペース又はギャップが存在することが理解されるだろう。勿論、側壁28は、重量と材料を減じるために別の開口を有していてよい。
【0013】
部材24はさらに、側壁28の間に横方向に延在し、ベース16の対向する横方向端部から上方向に延在する一対の端壁32を含む。1つの態様では、端壁32は所定の角度付けをされて上方に向かって延在している。各端壁32は、重量及び材料を減じるために、この端壁32を貫通して延在する1つ以上の開口34を含んでいてよい。開口34は、ほぼ長方形の形状であるが、任意の適切な形状であってよい。1つの態様では、一方の端壁32は他方の端壁32の高さよりも高い高さを有している。
【0014】
部材24はさらに、端壁32の間に長手方向に延在し、かつ側壁28の間に横方向に延在する上壁36を含む。上壁36は、ほぼ長方形の形状であるが、任意の適切な形状であってよい。図示した態様では、上壁36は、第1の上壁36aと、第2の上壁36bと、第3の上壁36cとから成る階段構造を有している。第3の上壁36cの高さは、第1の上壁36aよりも高い。上壁36は、重量及び材料を減じるために、この上壁36を貫通して延在する1つ以上の開口38を含んでいてよい。勿論、上壁36はあらゆる適切な構成を有していてよい。
【0015】
プラスチック取付け支持体10は、ソーラーパネル12に取り付けるための1つ以上の突出部40を有している。図示した態様では、部材24は、上壁36から外側かつ上方に延在する1つの突出部40を有している。突出部40は、ソーラーパネル12への接続用の締結手段又はロッド(図示せず)のような固定機構を収容するための、この突出部40を貫通して延在する開口42を有している。突出部40は、単一の部材又は、互いに横方向に間隔を置いて位置する一対の部材であってよく、各部材は各部材を貫通して延在する開口42を有している。図示した態様では、ベース16は、取付けフランジ壁22から上方に延在する脚部41から外側かつ上方に延在する1つの突出部40を有している。突出部40は、ソーラーパネル12への接続用の締結手段又はロッド(図示せず)のような固定機構を収容するための、この突出部40を貫通して延在する開口42を有している。突出部40は、単一の部材又は、互いに横方向に間隔を置いて位置する一対の部材であってよく、各部材は各部材を貫通して延在する開口42を有している。ベース16は、突出部40と端壁32との間に長手方向で延在する1つ以上のリブ44を有していてよい。複数のリブ44は横方向に間隔を置いて位置していてよい。プラスチック取付け支持体10はモジュール式の部品であって、搬送するために複数の取付け支持体10をまとめて重ねることができることが理解されるだろう。
【0016】
プラスチック取付け支持体10はポリマ材料から成っている。ポリマ材料は熱可塑性又は熱硬化性あってよい。1つの態様では、ベース16と部材24とは、ポリマ材料の総体積に基づく重量パーセントの繊維で強化されたポリマ材料から成っている。1つの態様では、繊維のパーセンテージ範囲はゼロパーセント(0%)〜約65パーセント(65%)である。繊維は、ガラス、炭素、鉱物、及び/又は金属材料のうちの少なくとも1つである。1つの態様では、繊維は通常、長繊維のガラス又は炭素繊維、短繊維のガラス又は炭素繊維、又は長繊維及び短繊維のガラス及び/又は炭素繊維の組み合わせである。勿論、繊維はサイズ(例えば長さ、直径等)が異なっていてよく、被覆されていてよい、又は被覆されていなくてよい。例えば、1つの態様では、繊維は13ミクロン未満の平均直径を有していてよい。別の態様では、繊維は10ミクロンの、又はそれ以下の平均直径を有していてよい。ポリマ材料又は繊維自体は、ポリマ材料自体と繊維との間の結合を促進する別の成分を含んでいてよい。本発明に好適な繊維の一例は、PPGインダストリーズ社(One PPG Place, Pittsburgh, PA 15272在)から市販されているChopVantage(R)HP3660を含む。
【0017】
ポリマ材料は、以下の種類の熱可塑性又は熱硬化性ポリマのうちの1つであるような任意のポリマであってよい:ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、環状オレフィンコポリマ、フルオロポリマ、ポリオキシメチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド-イミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフタルアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、及びスチレン-アクリロニトリル、及びそれらの組み合わせのグループのうちの任意のものである。
【0018】
1つの態様では、ポリマ材料はポリアミドである。必須ではないが、ポリアミドは通常、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド46、ポリアミド6,10、ポリアミド6I,6T、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,12及びこれらの任意の組み合わせのグループから選択される。しかしながらプラスチック取付け支持体10を製造するためにポリアミド以外のポリマ材料が使用されてもよいことが理解されよう。本発明に好適なポリアミドの一例は、BASF社(100 Campus Drive, Florham Park, NJ在)から市販されているUltramid(R)8233G HSを含む。好適なプラスチック材料の別の例は、BASF社(100 Campus Drive, Florham Park, NJ在)から市販されているUltramid(R)B3WG10である。
【0019】
1つの態様では、ポリマ材料は、ポリマ材料に耐衝撃性を付与する耐衝撃性改良剤を含んでいてよい。耐衝撃性改良剤を使用する場合、耐衝撃性改良剤は通常、ポリマ材料の総重量に基づく約1〜約20の重量部の量で存在する。耐衝撃性改良剤は、任意の耐衝撃性改良剤であってよいが、エラストマ、エチレンコポリマ、エチレンプロピレンコポリマ、エチレンプロピレンジエンターポリマ、エチレンアクリレートコポリマ、スチレンブタジエンコポリマ、スチレンエチレン/ブチレンスチレンターポリマ、ポリウレタン、及びこれらの任意の組み合わせのグループから選択されてよい。本発明に好適な耐衝撃性改良剤の一例は、デュポン社(Lancaster Pike & Route 141, Wilmington, DE 19805在)から市販されているFUSABOND(R) grade N493Dである。
【0020】
別の態様では、ポリマ材料は、紫外線(UV)安定剤、例えばベンゾトリアゾール型の紫外線吸収剤を含んでいてよい。
【0021】
さらに別の態様では、ポリマ材料はプレ着色顔料又は染料を含んでいてよい。必須ではないが、ポリマ材料は、ポリマ材料の顔料又は染料を改良する着色剤成分を有していてよい。着色剤成分を使用する場合、着色剤成分は通常、ポリマ材料の総重量に基づき例えば0.01〜約10の重量部の量で存在する。本発明に好適な着色剤成分の一例は、オリエントコーポレーションオブアメリカ(Orient Corporation of America)社(1700 Galloping Hill Road, Kenilworth, NJ 07033在)から市販されているOrient Nigrosine Base SAPLである。勿論、この業界で公知の、その他の適切な耐衝撃性改良剤、UV安定剤、プレ着色顔料を使用してもよい。
【0022】
さらに別の態様では、ポリマ材料は、ポリマ材料の耐燃性を改善するための、リン化合物のような添加剤を含んでいてよい。
【0023】
本発明はさらに、プラスチック取付け支持体10を形成する方法を提供する。1つの態様では、プラスチック取付け支持体10は射出成形プロセスにより形成される。1つの態様では、プラスチック取付け支持体10はガスアシストされた射出成形プロセスにより形成される。
【0024】
この方法は一般に、プラスチック取付け支持体10のキャビティ及びコアを画定する型(図示せず)を設けるステップを含む。1つの態様では、この方法は、ソーラーパネル12を所定の角度で取り付けるために規定された高さでプラスチック取付け支持体10を形成するために、型のキャビティ及びコア内にポリマ材料を射出するステップを含む。別の態様では、ソーラーパネル12の角度をそれぞれ増減するために支持体10のソーラーパネル取付け高さを高くする又は低くすることができるように、脚部41及びプラスチック取付け支持体10を形成するために、ポリマ材料射出ステップの前に型内にキャビティ及びコアインサート(図示せず)が挿入される。プラスチック取付け支持体10が成形されたら、この方法はさらに、型を開いて、型からプラスチック取付け支持体10を取り出すステップを含む。射出成形されたプラスチック取付け支持体10はワンピースであることが理解されるだろう。勿論、プラスチック取付け支持体10は、本明細書に特別に説明されていない様々な他の方法で形成することができる。
【0025】
使用時は、1つのプラスチック取付け支持体10は、
図1に示したように、ソーラーパネル12の1つのコーナの近くに配置されている。1つのバラストブロック26は、ベース16上に配置され、部材24の側壁28に設けられた1つの開口30を通って延在する。ソーラーパネル12は突出部40に固定される。プラスチック取付け支持体10は、ゼロ(0)°〜約30°のような所定の傾斜角度でソーラーパネル12を取り付ける又は調節するために互いに向かって相対的に近付く又は離れることができ、これにより、ソーラーパネル12に対して良好な太陽放射照射が可能になり、
図1Aに示したような最大のエネルギ発生効率が得られる。バラストブロック26は、ソーラーパネル12に風が吹き付けた際に、プラスチック取付け支持体10を支持面に固定して保持し、動かないようにするための重りとして機能することが理解されるだろう。バラストブロック26は、ソーラーパネル12が、雪による下方向きの荷重及び/又は風による明らかに上向きの荷重又は浮揚力にさらされる場合があるので、取付け支持体10の故障を阻止するための二次的な支持を提供していることも理解されるだろう。さらに、プラスチック取付け支持体10が、長年の使用期間にわたって負荷されて、機械的なクリープが生じる恐れがある場合、バラストブロック26は二次的な支持を提供することも理解されるだろう。さらに、プラスチック取付け支持体10は、太陽の角度に対してソーラーパネル12の角度を自動的に調節するためのスライドトラック(図示せず)及び/又はパワードライブ(図示せず)を含んでいてよいことも理解されるだろう。
【0026】
図5〜
図8には、プラスチック取付け支持体10の、本発明による別の態様が示されている。プラスチック取付け支持体10の同様の部品は、同じ参照符号に100を加えて示す。この態様では、プラスチック取付け支持体110は、ベース116と、このベース116から延在する部材124とを有している。ベース116はほぼ平らで、長方形の形状である。部材124は、ベース116から上方に向かって延在し、ベース116と接触する側とは反対側でバラストブロック26の側面上に延在する1つ以上の側方部材144を含む。部材124はさらに、側方部材144の間で長手方向に延在する上方部材146を含む。部材124は、上方部材146から上方に向かって延在する少なくとも1つの突出部140を含み、該突出部140は、ソーラーパネル12に取り付けるために、この突出部140を貫通して延在する開口142を有している。プラスチック取付け支持体110は、ベース116に対してほぼ垂直に延在する端壁148を含んでいてよい。プラスチック取付け支持体110は、プラスチック材料から成っていて、一体、単一、ワンピースであることが理解されるだろう。さらに、同じ取付け支持体110は、あらゆる場所と構造体のために使用されることが理解されるだろう。
【0027】
図9及び
図10には、プラスチック取付け支持体10の、本発明によるさらに別の態様が示されている。プラスチック取付け支持体10の同様の部品は、同じ参照符号に200を加えて示す。この態様では、プラスチック取付け支持体210は、ベース216と、このベース216から延在する部材224とを有している。ベース216は、底壁250と、該底壁250から上方向に延在する対向する側壁252とを有している。各側壁252は、この側壁252を貫通して延在する1つの開口254を有している。ベース216はさらに、側壁252の間に、かつ底壁250から上方向に向かって延在する端壁256を有している。
【0028】
部材214は一対の対向するストラップ258を含む。ストラップ258はほぼ長方形の形状である。ストラップ258は、側壁252の1つに設けられた開口254の1つと協働するために外側に向かって延在する上方及び下方の突出部260を有していてよい。勿論、ストラップ258の幅は変更されてよい。
【0029】
部材214は、ベース216の反対側でバラストブロック26上に配置されるキャップ262を有している。キャップ262は、上壁264と、該上壁264から下方向に延在する対向する側壁266とを有している。各側壁266は、この側壁266を貫通して延在する1つの開口268を有している。キャップ262はさらに、側壁266の間に、かつ上壁264から下方向に向かって延在する端壁270を有している。部材224は、キャップ262の上壁264から上方に向かって延在する少なくとも1つの突出部240を含み、該突出部240は、ソーラーパネル12に取り付けるために、この突出部240を貫通して延在する開口242を有している。ストラップ258上の上方の突出部260は、側壁266の1つに設けられた開口268の1つに収容されることが理解されるだろう。さらに、プラスチック取付け支持体210は、プラスチック材料から成っていて、各ピース又は部材は、一体、単一、ワンピースであることが理解されるだろう。さらに、同じ取付け支持体210が、あらゆる場所と構造体のために使用されることが理解される。
【0030】
図11には、プラスチック取付け支持体10の、本発明によるさらに別の態様が示されている。プラスチック取付け支持体10の同様の部品には同じ参照符号が付与される。この態様では、プラスチック取付け支持体10はベース16を含み、このベース16は、取付けフランジ壁22から上方に延在する第2の脚部41から外側かつ上方に延在する第2の突出部40を有している。第2の脚部41は、第1の脚部41よりも高い高さを有しているので、第2の突出部40は第1の突出部40よりも高い高さを有している。第2の突出部40は、ソーラーパネル12への接続用の締結手段又はロッド(図示せず)のような固定機構を収容するための、この突出部40を貫通して延在する開口42を有している。第2の突出部40は、単一の部材又は、互いに横方向に間隔を置いて位置する一対の部材であってよく、各部材は各部材を貫通して延在する開口42を有している。プラスチック取付け支持体は、
図1〜
図4に示したものと類似であることが理解されるだろう。
【0031】
図12には、プラスチック取付け支持体10の、本発明によるさらなる態様が示されている。プラスチック取付け支持体10の同様の部品には同じ参照符号が付与される。図示した態様では、プラスチック取付け支持体10はベース16を含み、このベース16は、第1の突出部40を有しておらず、取付けフランジ壁22から上方に延在する第2の脚部41から外側かつ上方に延在する第2の突出部40を有している。第2の脚部41は、第2の脚部41の前方部分を貫通して延在する開口41aを有している。第2の突出部40は、ソーラーパネル12への接続用の締結手段又はロッド(図示せず)のような固定機構を収容するための、この突出部40を貫通して延在する開口42を有している。第2の突出部40は、単一の部材又は、互いに横方向に間隔を置いて位置する一対の部材であってよく、各部材は各部材を貫通して延在する開口42を有している。プラスチック取付け支持体10は、
図1〜
図4に示したものと類似であることが理解されるだろう。プラスチック取付け支持体10の第1の脚部41又は第2の脚部41は、所望の高さに、
図1〜
図4の第1の脚部41だけが形成されるように、又は
図12の第2の脚部41だけが形成されるように、局所的な領域にインサートツールを有した1つの型を使用して成形することができることが理解されるだろう。さらに、インサートツールは使用されなくてもよく、これにより
図11の第1の脚部41及び第2の脚部41の両方が、両所望の高さに成形されることが理解されるだろう。
【0032】
従って、プラスチック取付け支持体10,110,210は、プラスチック構造体を1つ以上のバラストブロック26に組み合わせて、これにより、バラストブロック26は、支持体10,110,210への荷重の一部を支持する、又はクリープ等による何らかの変形をプラスチック構造体が受けた場合の荷重を支持することができる。プラスチック取付け支持体10,110,210は、上方に向かう風に基づきソーラーパネル12に対してかけられる上向き荷重に抵抗する支持体として1つ以上のバラストブロック26を使用し、雪や地震活動、又はその他のあらゆるタイプの荷重に基づきソーラーパネル12に対してかけられる下向き荷重を支持する。1つ以上のバラストブロック26と組み合わされたプラスチック取付け支持体10,110,210は、支持体のために使用されるプラスチック材料の量を減じ、結果として著しくコストが削減される。プラスチック取付け支持体10,110,210はさらに、材料の厚さを減じることにより、かつ/又はバラストブロック26とプラスチック取付け支持体10,110,210との間にシム(図示せず)を使用することにより使用されるプラスチック材料の量を減じることができることも理解されるだろう。さらに、バラストブロック26は、荷重支持部材であってよい、又は荷重支持部材でなくてよいことが理解される。
【0033】
本発明は、例示的な形式で説明されている。使用されている用語は限定の性質ではなく説明の文言の性質であることが意図されていると理解される。
【0034】
上記説明に照らして本発明の多くの修正及び変更が可能である。従って、本発明は、添付の請求の範囲内で、特に説明されている以外で実施されてもよい。