【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板上の被処理領域(半導体材料)を処理するための基板処理装置が提供される。この基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板上の被処理領域と触媒とが接触した状態で、基板保持部と触媒保持部とを相対的に移動させるように構成された駆動部とを備え、触媒保持部は、触媒を保持するための弾性部材を備える。かかる形態によれば、基板上の被処理領域と触媒とを接触させる際に、弾性部材が変形するので、触媒が基板の形状(基板のそりなど)に追従することで、均一な接触が可能となり、よって、接触部におけるエッチング速度の面内分布の均一化が可能となる。
【0008】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、弾性部材は、弾性膜によって形成される圧力室を有する構造を備えている。弾性膜の外表面には、触媒の層が形成されている。圧力室は、圧力室に供給される流体の圧力が制御されることによって、基板の被処理領域と触媒との接触圧力を制御するように構成される。かかる形態により、均一な接触が可能となり、よって、接触部におけるエッチング速度の面内分布の均一化が可能となる。
【0009】
本発明の第3の形態によれば、第1の形態において、弾性部材は、基板保持部と触媒保持部とが相対的に移動する際に、相対的な移動に伴って回転可能に保持される球状体を備えている。球状体の外表面には、触媒の層が形成されている。かかる形態によれば、基板上の被処理領域と触媒とを接触させる際に、弾性部材の変形によって、触媒が基板の形状(基板のそりなど)に追従して均一な接触が可能となり、よって、接触部におけるエッチング速度の面内分布の均一化が可能となる。
【0010】
本発明の第4の形態によれば、第3の形態において、基板処理装置は、球状体を基板側に押圧する力を調節することによって、基板上の被処理領域と触媒との接触圧力を調節するように構成された圧力調節部を備える。かかる形態によれば、基板上の被処理領域と触媒との接触圧力を調節することで、触媒が基板の形状(基板のそりなど)に追従して均一な接触が可能となり、よって、接触部におけるエッチング速度の面内分布の均一化が可能となる。
【0011】
本発明の第5の形態によれば、第1の形態において、弾性部材は、気孔を有するスポンジを備える。かかる形態によれば、弾性部材が変形するので、触媒が基板の形状(基板のそりなど)に追従して均一な接触が可能となり、よって、接触部におけるエッチング速度の面内分布の均一化が可能となる。更に、スポンジは柔軟であるので、被処理面である半導体材料の摩擦によるダメージを抑制できる。
【0012】
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、基板処理装置は、スポンジの内部に処理液を供給するように構成された処理液供給部を備える。スポンジの外表面には、触媒の層であって孔部を有する層が形成されている。かかる形態によれば、処理液が流通しやすいスポンジ内から基板の被研磨面と触媒との接触部分に処理液を供給できる。つまり、接触部分に直接的に必要な分だけ処理液を供給できるので、処理液の使用量を削減することができる。
【0013】
本発明の第7の形態によれば、第1ないし第6のいずれかの形態において、弾性部材には、複数の溝が形成されている。複数の溝内には、それぞれ触媒が埋め込まれている。かかる形態によれば、弾性部材と基板上の被処理領域との接触面において、触媒の配置に特定の分布を持たせることが可能となり、よって触媒の接触部におけるエッチング量の面内分布の調整が可能となる。
【0014】
本発明の第8の形態によれば、第1ないし第7のいずれかの形態において、弾性部材に
処理液が通る複数の溝が形成されている。かかる形態によれば、触媒と基板上の被処理領域との接触部への処理液の回り込み及び置換が促進されることで、エッチング速度の増加及び安定性の向上が可能となる。
【0015】
本発明の第9の形態によれば、第1ないし第8のいずれかの形態において、弾性部材は、複数であり、かつ個々に触媒を保持する。かかる形態によれば、触媒が基板の形状にいっそう追従しやすくなる。また、第2の形態と組み合わされる場合には、領域ごとにエッチング状態を制御できることから、触媒の接触部におけるエッチング速度の面内分布の更なる均一化が可能となる。
【0016】
本発明の第10の形態によれば、第1ないし第9のいずれかの形態において、触媒は、2種類以上の個々の触媒を備えるか、2種類以上の触媒が含まれる混合物もしくは化合物である。かかる形態によれば、複数の材料で構成される被処理面に対しても、それぞれに対して最適な触媒を個々または混合物もしくは化合物の形態で配置することで、個々の触媒の効果により同時にエッチングを行うことが可能となる。
【0017】
本発明の第11の形態によれば、第1ないし第10のいずれかの形態において、触媒保持部は複数であり、かつ各触媒保持部は、個々に触媒を保持する。かかる形態によれば、複数の触媒保持部を同時に使用することによって、単位時間あたりの処理能力を向上できる。
【0018】
本発明の第12の形態によれば、第11の形態において、複数の触媒保持部のうちの少なくとも2つの触媒保持部は、相互に異なる種類の触媒を保持する。かかる形態によれば、複数の材料で構成される被処理面に対しても、同時にエッチングを行うことが可能であり、かつ複数の触媒保持部を同時に使用することによって、単位時間あたりの処理能力を向上できる。
【0019】
本発明の第13の形態によれば、第1ないし第12のいずれかの形態において、基板処理装置は、基板の温度を制御するように構成された基板温度制御部を備える。かかる形態によれば、温度に応じてエッチング速度を変化させることが可能であり、よってエッチング速度の調整が可能となる。
【0020】
本発明の第14の形態によれば、第1ないし第13のいずれかの形態において、基板保持部は、基板のノッチ、オリエンタルフラットまたはレーザマーカーが所定位置に位置するように基板を任意の所定角度だけ回転させるように構成された基板位置調整部を備える。かかる形態によれば、基板の所望の部位に触媒を接触させることが可能となる。
【0021】
本発明の第15の形態によれば、第1ないし第14のいずれかの形態において、基板処理装置は、処理液の温度を10度以上かつ60度以下の範囲内で所定温度に調整する処理液温度調整部を備える。かかる形態によれば、処理液温度に応じてエッチング速度を変化させることが可能であり、よってエッチング速度の調整が可能となる。
【0022】
本発明の第16の形態によれば、第1ないし第15のいずれかの形態において、基板処理装置は、処理液を基板上の被処理領域上に供給するための供給口を有する処理液供給部を備える。処理液供給部は、供給口が触媒保持部とともに移動するように構成される。かかる形態によれば、常に新鮮な処理液を触媒の周辺に供給することが可能であり。その結果、処理液濃度の変化によるエッチング速度のバラつきの低減が可能となる。また、基板上の被処理領域上に効率的に処理液を供給することが可能となり、その結果処理液の使用量の削減が可能となる。
【0023】
本発明の第17の形態によれば、第1ないし第16のいずれかの形態において、触媒保持部は、基板保持部よりも上方に配置される。基板保持部は、基板を保持するための領域よりも外側において、周方向の全体にわたって、鉛直方向上方に向けて延在する壁部を備える。かかる形態によれば、壁部の内側に処理液を保持することができるので、処理液の外部への流出を抑制できる。その結果、処理液の使用量の削減が可能となる。
【0024】
本発明の第18の形態によれば、第1ないし第17のいずれかの形態において、基板処理装置は、触媒保持部の周囲において触媒保持部を取り囲み、基板側が開口した処理液保持部であって、処理液保持部の内部に処理液を保持するように構成された処理液保持部を備える。処理液は、処理液保持部の内部に供給される。かかる形態によれば、供給される処理液の大半は、処理液保持部の内部に保持されるので、処理液の使用量の削減が可能となる。
【0025】
本発明の第19の形態によれば、第18の形態において、基板処理装置は、処理液保持部の内部に連通し、内部に保持された処理液を吸引するように構成された処理液吸引部を備える。かかる形態によれば、処理液を循環させて、常に新鮮な処理液を供給することが可能となり、その結果、処理液濃度の変化によるエッチング速度のバラつきが低減する。
【0026】
本発明の第20の形態によれば、第1ないし第19のいずれかの形態において、基板処理装置は、触媒の表面をコンディショニングするように構成されたコンディショニング部を備える。かかる形態によれば、エッチング処理において、触媒表面に付着したエッチング生成物の除去が可能となり、その結果、触媒表面の活性状態を回復することで、複数枚の基板の処理を安定して行うことが可能となる。
【0027】
本発明の第21の形態によれば、第20の形態において、コンディショニング部は、触媒表面をスクラブ洗浄するように構成されたスクラブ洗浄部を備える。かかる形態によれば、触媒に付着したエッチング生成物の除去が可能となり、その結果、触媒表面の活性状態を回復することで、複数枚の基板の処理を安定して行うことが可能となる。
【0028】
本発明の第22の形態によれば、第20または第21の形態において、コンディショニング部は、触媒表面に付着したエッチング生成物を除去するための薬液を供給するように構成された薬液供給部を備える。かかる形態によれば、触媒に付着したエッチング生成物の除去が可能となり、その結果、触媒表面の活性状態を回復することで、複数枚の基板の処理を安定して行うことが可能となる。
【0029】
本発明の第23の形態によれば、第20ないし第22のいずれかの形態において、コンディショニング部は、電解作用を利用して触媒表面のエッチング生成物を除去するよう構成された電解再生部を備える。電解再生部は、触媒と電気的に接続可能に構成された電極を有しており、触媒と電極との間に電圧を印加することによって、触媒の表面に付着したエッチング生成物を電解作用により除去するように構成される。かかる形態によれば、触媒に付着したエッチング生成物の除去が可能となり、その結果、触媒表面の活性状態を回復することで、複数枚の基板の処理を安定して行うことが可能となる。
【0030】
本発明の第24の形態によれば、第20ないし第23のいずれかの形態において、コンディショニング部は、触媒を、触媒と同一種類の再生用触媒によってめっきすることによって触媒を再生するように構成されためっき再生部を備える。めっき再生部は、触媒と電気的に接続可能に構成された電極を有しており、再生用触媒を含む液中に触媒を浸漬した状態で、触媒と電極との間に電圧を印加することによって、触媒の表面をめっき再生するように構成される。かかる形態によれば、触媒の上に新たな触媒層を形成することが可能となり、その結果、触媒表面の活性状態を回復することで、複数枚の基板の処理を安定し
て行うことが可能となる。
【0031】
本発明の第25の形態によれば、第1ないし第24のいずれかの形態において、基板処理装置は、基板の被処理領域のエッチング処理状態をモニタリングするモニタリング部を備える。かかる形態によれば、基板上の被処理領域の処理状態について、リアルタイムの監視が可能となる。
【0032】
本発明の第26の形態によれば、第25の形態において、基板処理装置は、基板処理装置の動作の制御を行うように構成された制御部を備える。制御部は、モニタリング部により得られるエッチング処理状態に基づいて、処理中の基板の処理条件における少なくとも1つのパラメータを制御するように構成される。かかる形態によれば、基板上の被処理領域を所定の目標値に近づけるよう処理することが可能となる。
【0033】
本発明の第27の形態によれば、第25の形態において、制御部はモニタリング部で得られるエッチング処理状態に基づいて、処理の終点を決定するように構成される。かかる形態によれば、基板上の被処理領域を所定の目標値にて処理を終了することが可能となる。
【0034】
本発明の第28の形態によれば、第25または第27の形態において、モニタリング部は、触媒保持部と基板保持部とが相対的に移動する際の駆動部のトルク電流に基づいてエッチング処理状態をモニタリングするトルク電流モニタリング部を備える。かかる形態によれば、基板の被処理領域と触媒との接触により発生する摩擦状態を、トルク電流を介してモニタリングすることが可能であり、例えば被処理面の被処理領域の凹凸状態の変化や他材料の露出に伴うトルク電流の変化をモニタリングすることにより、処理終点の決定や処理条件へのフィードバックが可能となる。
【0035】
本発明の第29の形態によれば、第25ないし第27のいずれかの形態において、モニタリング部は、基板の被処理領域に向けて光を照射し、基板の被処理領域の表面もしくは、基板を透過した後に反射する反射光を受光し、受光した光に基づいてエッチング処理状態をモニタリングする光学式モニタリング部を備える。かかる形態によれば、被処理領域の被処理領域が光透過性のある材料である場合に、膜厚の変化に伴う反射光強度の変化をモニタリングすることにより、処理終点の決定や処理条件へのフィードバックが可能となる。
【0036】
本発明の第30の形態によれば、第25ないし第27のいずれかの形態において、モニタリング部は、基板上の被処理領域表面に近接して配置されたセンサコイルに高周波電流を流して基板上の被処理領域に渦電流を発生させ、基板の被処理領域の厚みに応じた渦電流または合成インピーダンスの変化に基づいてエッチング処理状態をモニタリングする渦電流モニタリング部を備える。かかる形態によれば、被処理領域の半導体材料が導電性を有する材料である場合に、膜厚の変化に伴う渦電流値もしくは合成インピーダンスの変化をモニタリングすることにより、処理終点の決定や処理条件へのフィードバックが可能となる。
【0037】
本発明の第31の形態によれば、第1ないし第30のいずれかの形態において、基板処理装置は、参照電極を有する電位調整部であって、触媒と参照電極とを処理液を介して電気化学的に接続して、触媒の表面の電位を制御するように構成された電位調整部を備える。かかる形態によれば、エッチング処理において、触媒表面の活性状態を阻害する因子の付着を防止することが可能であり、その結果、触媒表面の活性状態の維持が可能となる。
【0038】
本発明の第32の形態によれば、第1ないし第31のいずれかの形態において、触媒保
持部は、球状体または円柱体であって、球状体の球面または円柱体の周面に触媒の層が形成された球状体または円柱体を備える。球状体または円柱体は、基板保持部と触媒保持部とが相対的に移動する際に、相対的な移動に伴って回転可能に保持されるように構成される。かかる形態によれば、基板保持部と触媒保持部とが相対的に移動する際における基板上の被処理領域表面と触媒との摩擦の低減が可能であり、その結果、摩擦による被処理領域表面ダメージおよび触媒の摩耗の抑制が可能となる。
【0039】
本発明の第33の形態によれば、第32の形態において、球状体または円柱体は、その内部に弾性体を備える。かかる形態によれば、弾性体の変形によって、触媒が基板の形状(基板のそりなど)に追従して均一な接触が可能となり、その結果触媒の接触部におけるエッチング速度の均一化が可能となる。
【0040】
本発明の第34の形態によれば、基板処理システムが提供される。この基板処理システムは、第1ないし第33のいずれかに記載の基板処理部と、基板を洗浄するように構成された基板洗浄部と、基板を搬送する基板搬送部とを備える。かかる基板処理システムによれば、基板処理後の基板表面のエッチング生成物の除去が可能となり、その結果基板表面の清浄化が可能となる。
【0041】
本発明の第35の形態によれば、第14の形態を含む第34の形態において、基板処理システムは、基板のノッチ、オリエンタルフラットおよびレーザマーカーのうちの少なくとも1つを検出するように構成された検出部を備える。かかる形態によれば、第14の形態の効果を好適に奏する。
【0042】
本発明の第36の形態によれば、第34または第35の形態において、基板処理システムは、基板処理装置によって処理された後の基板の被処理領域の厚みを測定するように構成された厚み測定部を備える。かかる形態によれば、処理後の基板の被処理領域の厚み分布を把握できるので、本測定結果を元に、基板を再処理することや、次の基板の処理において、厚み測定部の測定結果を元に処理条件のパラメータを変更することにより、基板の処理品質を改善することが可能となる。
【0043】
本発明の第37の形態によれば、第36の形態において、基板処理システムは、厚み測定部の測定結果に基づいて、基板処理装置において次の基板の処理で使用される制御パラメータを設定するように構成された第1のパラメータ設定部を備える。かかる形態によれば、次の基板の処理において、厚み測定部の測定結果を元に処理条件を修正して処理することが可能となり、基板の処理品質の改善を行うことが可能となる。
【0044】
本発明の第38の形態によれば、第37の形態において、第1のパラメータ設定部は、厚み測定部の測定結果に基づいて得られる被処理領域の厚み分布と、予め定められた目標厚み分布との差分に基づいて、制御パラメータを修正する。かかる形態によれば、次の基板の処理において被処理領域の厚み分布を目標値に近づけることが可能となり、基板の処理品質の改善を行うことが可能となる。
【0045】
本発明の第39の形態によれば、第36ないし第38のいずれかの形態において、基板処理システムは、厚み測定部の測定結果が所定の基準を満たさない場合に、基板処理装置によって処理された後の基板を再処理するように構成された再処理制御部を備える。かかる形態によれば、被処理領域の厚み分布を再処理により目標値に近づけることが可能となり、基板の処理品質の改善を行うことが可能となる。
【0046】
本発明の第40の形態によれば、第25ないし第30のいずれかの形態を含む第34ないし第39のいずれかの形態において、基板処理システムは、モニタリング部によってモ
ニタリングされたエッチング処理状態に基づいて、基板処理装置において次の基板の処理で使用される制御パラメータを変更するように構成された第2のパラメータ変更部を備える。かかる形態によれば、第36の形態と同様の効果を奏する。
【0047】
本発明の第41の形態によれば、第40の形態において、第2のパラメータ変更部は、モニタリング部のモニタリング結果に基づいて、制御パラメータを変更する。かかる形態によれば、第38の形態と同様の効果を奏する。
【0048】
本発明の第42の形態によれば、第34ないし第41のいずれかの形態において、基板処理システムは、基板処理装置による処理前または処理後の基板を研磨する化学機械研磨装置を備える。かかる形態によれば、化学機械研磨装置での研磨の前処理または後処理として基板処理システムを使用することによって、より柔軟な研磨処理を行うことができる。
【0049】
本発明の第43の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる形態の基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、触媒の表面をコンディショニングするように構成されたコンディショニング部と、を備える。かかる形態の基板処理装置においては、たとえば触媒の交換時や処理する基板を交換している最中に、触媒の表面をコンディショニングすることができる。
【0050】
本発明の第44の形態によれば、第43の形態において、コンディショニング部は、触媒の表面をスクラブ洗浄するように構成されたスクラブ洗浄部を備える。かかる形態においては、触媒の表面に物理的な力を与えて触媒の表面を洗浄およびコンディショニングすることができ、触媒の成膜時や基板処理において、触媒の表面に付着した残渣などを効果的に除去することができる。
【0051】
本発明の第45の形態によれば、第43または第44の形態において、コンディショニング部は、触媒の表面に付着したエッチング生成物を除去するための薬液を供給するように構成された薬液供給部を備える。かかる形態においては、触媒に表面に付着したエッチング生成物や触媒表面の変質層を化学的な作用で除去することができる。
【0052】
本発明の第46の形態によれば、第43ないし第45のいずれか1つの形態において、コンディショニング部は、電解作用を利用して触媒表面のエッチング生成物を除去するように構成された電解再生部を備える。電解再生部は、触媒と電気的に接続可能に構成された再生用電極を有しており、触媒と再生用電極との間に電圧を印加することによって、触媒の表面に付着したエッチング生成物や触媒表面の変質層を電解作用により除去するように構成される。かかる形態においては、触媒に表面に付着したエッチング生成物や触媒表面の変質層を電解作用で除去することができる。
【0053】
本発明の第47の形態によれば、第43ないし第46のいずれか1つの形態において、コンディショニング部は、触媒を、該触媒と同一種類の再生用触媒によってめっきすることによって該触媒を再生するように構成されためっき再生部を備える。めっき再生部は、触媒と電気的に接続可能に構成された電極を有しており、再生用触媒を含む液中に触媒を浸漬した状態で、触媒と電極との間に電圧を印加することによって、触媒の表面に再生用触媒をめっきすることで触媒を再生するように構成される。かかる形態によれば、新たな触媒の表面を生成することができる。
【0054】
本発明の第48の形態によれば、第43の形態において、コンディショニング部は、触媒の表面に向かい合うように配置される、コンディショニングステージを有する。
【0055】
本発明の第49の形態によれば、第48の形態において、触媒の表面に、記触媒の表面を洗浄するための水および/または薬液を供給するように構成された触媒洗浄ノズルを有する。かかる形態によれば、触媒の表面に付着したエッチング生成物などを簡易に除去することができる。
【0056】
本発明の第50の形態によれば、第49の形態において、触媒洗浄ノズルは、コンディショニングステージの外側に配置される。かかる形態によれば、触媒洗浄ノズルを他の構成と別体にでき、メンテナンス性が向上する。
【0057】
本発明の第51の形態によれば、第49の形態において、触媒洗浄ノズルは、コンディショニングステージの内側に配置される。コンディショニングステージは、コンディショニングステージの内部に水および/または薬液が通るための通路を有し、通路は、触媒洗浄ノズルに流体連通する。かかる形態によれば、水および/または薬液を触媒の下から均一に噴きつけることができる。また、外部ノズルを配置するスペースを削減することができる。
【0058】
本発明の第52の形態によれば、第48ないし第51のいずれか1つの形態において、コンディショニング部は、触媒の表面を洗浄するための、コンディショニングステージに配置されるスクラブ部材を有する。
【0059】
本発明の第53の形態によれば、第48ないし第52のいずれか1つの形態において、触媒と電気的に接続可能に構成された電極と、コンディショニングステージに配置された再生用電極と、電極および再生用電極との間に電圧を印加するように構成される電源と、を有する。かかる形態によれば、触媒のコンディショニングに電解作用を利用することができる。
【0060】
本発明の第54の形態によれば、第53の形態において、触媒側の電極をプラスとし、再生用電極をマイナスとなるように電圧を印加して、触媒の表面を電解エッチングするように構成される。かかる形態によれば、電解エッチングにより触媒の表面をコンディショニングすることができ、他の作用では除去できない異物等を取り除くことができる。
【0061】
本発明の第55の形態によれば、第54の形態において、触媒側の電極をマイナスとし、再生用電極をプラスとなるように電圧を印加して、触媒の表面の酸化物を還元するように構成される。かかる形態によれば、還元作用により酸化した触媒の表面の活性状態を回復させることができる。
【0062】
本発明の第56の形態によれば、第53の形態において、再生用電極上に配置されたイオン交換体を有し、触媒とイオン交換体とが近接または接触した状態で電圧を印加するように構成される。イオン交換体は電界下で水の電離を促進させる触媒作用を有しており、これにより生成されたH
+イオンやOH
−イオンを触媒表面に作用させることにより、第54の形態または第55の形態と同様の作用が可能である。さらにこの際の液体としては水または希薄な薬液を使用しても良いため、使用する薬液の削減が可能である。
【0063】
本発明の第57の形態によれば、第48ないし第56のいずれか1つの形態において、コンディショニングステージは、コンディショニングステージ上に液体を保持可能に構成される液溜め部を有する。かかる形態によれば、コンディショニング中に液体を触媒の表面に保持できるので、効果的にコンディショニングができる。また液体の使用量を削減することもできる。
【0064】
本発明の第58の形態によれば、第57の形態において、液溜め部に保持される液体に超音波を照射するように構成される超音波発生装置を有する。かかる形態によれば、超音波を利用することで、触媒に付着した異物を効果的に除去することができる。
【0065】
本発明の第59の形態によれば、第48ないし第58のいずれか1つの形態において、コンディショニングステージは回転可能に構成される。
【0066】
本発明の第60の形態によれば、第48ないし第59のいずれか1つの形態において、触媒の表面の状態を測定するための触媒測定センサを有する。該触媒センサによりコンディショニング状態をモニタリングすることで、触媒のコンディショニングの過不足を抑制することができる。
【0067】
本発明の第61の形態によれば、第60の形態において、触媒測定センサは、(i)触媒の電気抵抗を測定する抵抗センサ、(ii)触媒の厚さを測定する厚さセンサ、および(iii)光学式センサ、の少なくとも1つを含む。
【0068】
本発明の第62の形態によれば、第43ないし第61のいずれか1つの形態において、触媒は金属を有し、基板処理装置は、触媒の金属に電気的に接続可能な電極を有し、電極は、触媒の金属よりもイオン化傾向が大きい金属を有する。かかる形態によれば、電池反応を利用して触媒表面に還元作用を発生させることが可能になる。これにより、触媒表面の酸化・水酸化を抑制することが可能となり、触媒表面の活性状態の維持ができる。
【0069】
本発明の第63の形態によれば、第43ないし第61のいずれか1つの形態において、触媒の表面にガスを供給するための、ガス供給ノズルを有する。かかる形態によれば、触媒の表面を乾燥させることで、触媒と水分との反応による触媒表面の酸化・水酸化を抑制することができることから、たとえば基板のロット処理のインターバル時間のような、基板のエッチング処理を長時間行わない状態において、触媒表面の活性状態を維持することが可能となる。
【0070】
本発明の第64の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板処理装置の動作の制御を行うように構成された制御部と、を備える。制御部は、基板の被処理領域と触媒とが接触した状態において、基板の被処理領域の面内方向に触媒保持部を移動させるように制御し、且つ、基板の被処理領域における触媒保持部の位置に応じて、触媒保持部の移動する速度を変更するように制御する。かかる形態によれば、基板の位置に応じて異なる速度で触媒保持部を移動させることが可能であり、触媒と基板との接触時間、すなわち基板面内でのエッチング時間を制御することができるので、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させるように制御することができる。
【0071】
本発明の第65の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するための基板保持面を備える基板保持ステージと、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有する。基板保持ステージの基板保持面は、触媒保持部の触媒の表面よりも面積が大きい。基板保持ステージは、処理される基板が配置されたときに、基板の外周よりも外側に位置する、延長部を有する。かかる形態によれば、触媒保持部が基板の外側にオーバーハングさせても、触媒保持部が傾くことを防止することが可能であり、触媒と基板との接触状態(たとえば接触圧力分布)を一定に維持することが可能となる。よって、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させることが可能である。
【0072】
本発明の第66の形態によれば、第65の形態において、基板保持ステージの延長部に、触媒の表面をコンディショニングするように構成されたコンディショニング部を有する。本構成により、基板処理のインターバル時間のみでなく、基板の処理中においても触媒のコンディショニングが同時に可能となり、処理中における触媒表面の活性状態の維持が可能となる。
【0073】
本発明の第67の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するための基板保持面を備える基板保持ステージと、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有する。基板保持ステージの基板保持面は、触媒保持部の触媒の表面よりも面積が大きい。触媒保持部はさらに、触媒の表面の、基板保持ステージの基板保持面に対する傾きを検出するための傾きセンサと、触媒の表面の触媒の表面の、基板保持ステージの基板保持面に対する傾きを補正するための傾き補正機構と、を有する。かかる形態によれば、触媒保持面の傾きを検出し、検出結果に応じて傾きを補正することで、触媒保持面の傾きによる荷重集中を抑制することが可能であり、触媒と基板との接触状態(たとえば接触圧力分布)を一定に維持することが可能となる。よって、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させることが可能である。
【0074】
本発明の第68の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、触媒保持部内を通って処理液を基板の被処理領域上に供給するための供給口を有する処理液供給部と、備える。かかる形態によれば、触媒と基板との接触面に処理液を供給でき、触媒と基板との接触面に効果的に処理液を供給することが可能であり、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させることが可能である。
【0075】
本発明の第69の形態によれば、第68の形態において、触媒保持部は、触媒保持部内に処理液を一時的に保持するバッファ部と、触媒保持部内を通って処理液を基板の被処理領域上に供給するための複数の供給口を有する処理液供給部と、を有し、複数の供給口は、バッファ部に流体連通する。かかる形態によれば、触媒と基板との間に均一に処理液を供給することが可能であり、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させることが可能である。
【0076】
本発明の第70の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を備える。触媒保持部は、触媒保持部と基板とが接触した状態において、触媒保持部と基板との間において、処理液が移動できるように構成される複数の溝を有する。かかる形態によれば、触媒と基板との間に効果的に処理液を供給することが可能となり、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させることが可能である。
【0077】
本発明の第71の形態によれば、第70の形態において、複数の溝は、断面形状が、溝の開口部の幅が溝の底部の幅より大きい台形形状である。かかる形態によれば、触媒と基板との接触時において、溝がつぶれることなく維持することが可能となり、処理液の触媒と基板との間への供給が維持されることで、基板のエッチング速度の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0078】
本発明の第72の形態によれば、第71の形態において、複数の溝は、(i)複数の同心円のパターン、(ii)複数の放射状のパターン、(iii)交差する異なる方向に延びる複数の平行線のパターン、および(iv)らせん状のパターン、のうちの少なくとも
1つを有する。
【0079】
本発明の第73の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有する。触媒保持部は、処理液を介して触媒と電気的に接続可能に構成されるカウンター電極を有する。かかる形態によれば、基板処理に最適な電圧を触媒に与えることで触媒表面の活性状態を変化させることで、基板のエッチング速度を向上させることができる。
【0080】
本発明の第74の形態によれば、第73の形態において、触媒保持部は、触媒を保持するための触媒保持部材を有し、カウンター電極は触媒保持部材の外側に配置される。
【0081】
本発明の第75の形態によれば、第73の形態において、カウンター電極は、触媒保持部材内に複数のカウンター電極が露出するように配置される。かかる形態により、触媒面内に均一な電位を与えることが可能となり、その結果、触媒表面の活性状態の分布の均一化が可能となることで、触媒と基板との接触面におけるエッチング速度の面内均一性が向上する。
【0082】
本発明の第76の形態によれば、第73ないし第75のいずれか1つの形態において、触媒保持部は、触媒を取り囲み、基板保持部側が開口する処理液保持部を有し、触媒が基板に接触した状態において、処理液が処理液保持部に保持されるように構成される。
【0083】
本発明の第77の形態によれば、第76の形態において、触媒保持部内を通って処理液を基板の被処理領域上に供給するための供給口を有する処理液供給部を有する。
【0084】
本発明の第78の形態によれば、第73ないし第77のいずれか1つの形態において、基板処理装置は、触媒とカウンター電極との間に電圧を印加するように構成される電圧制御装置を有する。電圧制御装置は、基板を処理中に、断続的に触媒側の電位が還元側となるように、カウンター電極の電位よりも低くなるように制御する。かかる形態によれば、基板の処理中に触媒に還元作用を発生させ、触媒の酸化・水酸化を抑制することが可能となり、触媒表面の活性状態を維持することが可能となる。
【0085】
本発明の第79の形態によれば、第73ないし第78のいずれか1つの形態において、触媒は、電気的に複数の領域に分割されており、複数の領域ごとに異なる電圧を印加することができるように構成される。かかる形態によれば、触媒の領域ごとに異なる電圧を印加することで、触媒表面の活性状態を変化させることが可能となり、領域ごとに基板のエッチング速度を変更できるので、基板のエッチングのコントロール性が向上する。
【0086】
本発明の第80の形態によれば、第79の形態において、基板処理装置は、触媒保持部は回転可能に構成される。基板処理装置は、触媒保持部の回転位置を検出する回転位置センサと、触媒保持部の基板保持部に対する位置を検出する位置センサと、を有する。
【0087】
本発明の第81の形態によれば、第80の形態において、基板処理装置は、触媒のそれぞれの領域とカウンター電極との間に電圧を印加するように構成される電圧制御装置を有する。電圧制御装置は、回転位置センサにより検出された触媒保持部の回転位置、および位置センサにより検出された触媒保持部の基板保持部に対する位置、を受け取り、触媒保持部の回転位置および触媒保持部の基板保持部に対する位置に応じて、触媒のそれぞれの領域に独立して電圧を印加するように制御する。
【0088】
本発明の第82の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有する。触媒保持部は、触媒を保持するための複数の触媒保持部材を有する。基板処理装置は、基板と触媒とが接触するときに、複数の触媒保持部材をそれぞれ独立して制御して、基板と触媒との接触圧力を複数の触媒保持部材ごとに独立して制御する、圧力制御機構を有する。
【0089】
本発明の第83の形態によれば、第82の形態において、圧力制御機構は、複数の触媒保持部材の内部に供給する流体の圧力または流量を制御することで、基板と触媒との接触圧力を制御する。
【0090】
本発明の第84の形態によれば、第82の形態において、圧力制御機構は、複数の触媒保持部材に取り付けられるピエゾ素子を備え、各ピエゾ素子を独立に制御することで触媒と基板との接触圧力を制御する。
【0091】
本発明の第85の形態によれば、第82ないし第84の形態いずれか1つの形態において、触媒保持部は回転可能に構成される。基板処理装置は、触媒保持部の回転位置を検出する回転位置センサと、触媒保持部の基板保持部に対する位置を検出する位置センサと、を有する。
【0092】
本発明の第86の形態によれば、第85の形態において、圧力制御機構は、回転位置センサにより検出された触媒保持部の回転位置信号、および位置センサにより検出された触媒保持部の基板保持部に対する位置信号、を受け取り、触媒保持部の回転位置および触媒保持部の基板保持部に対する位置に応じて、複数の触媒保持部材における基板と触媒との接触圧力をそれぞれ独立して制御する。
【0093】
本発明の第87の形態によれば、第82ないし第86の形態いずれか1つの形態において、複数の触媒保持部材の各々は、基板と触媒との接触圧力を検知するように構成される圧力センサを有する。
【0094】
本発明の第88の形態によれば、第87の形態において、圧力制御機構は、圧力センサの各々により検知される圧力信号を受け取り、基板と触媒との接触圧力が所定の圧力分布になるように、複数の触媒保持部材における基板と触媒との接触圧力をそれぞれ独立して制御する。
【0095】
本発明の第89の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部を有する。触媒保持部は、触媒を保持するための複数の触媒保持部材と、触媒保持部内を通って処理液を基板の被処理領域上に供給するための、複数の処理液供給通路および処理液供給口を有する処理液供給部と、有する。複数の処理液供給通路の各々は、処理液の流量を独立に調整可能に構成される。
【0096】
本発明の第90の形態によれば、第89の形態において、複数の処理液供給通路の各々には、処理液の流量を測定するための流量計、および、処理液の流量を調整するためのバルブが設けられる。
【0097】
本発明の第91の形態によれば、第89または第90の形態において、基板処理装置は、基板と触媒とが接触するときに、複数の触媒保持部材をそれぞれ独立して制御して、基板と触媒との接触圧力を複数の触媒保持部材ごとに独立して制御する、圧力制御機構を有
する。
【0098】
本発明の第92の形態によれば、第91の形態において、圧力制御機構は、複数の触媒保持部材にそれぞれ流体を供給することで、基板と触媒との接触圧力を制御する。
【0099】
本発明の第93の形態によれば、第91の形態において、圧力制御機構は、複数の触媒保持部材に取り付けられるピエゾ素子を備え、各ピエゾ素子を独立に制御することにより、触媒と基板との接触圧力分布を制御する。
【0100】
本発明の第94の形態によれば、処理液の存在下で円板形状の基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板の被処理領域と触媒とが接触した状態で、基板保持部と触媒保持部とを相対的に移動させるように構成された駆動部と、を備える。基板保持部は、基板を保持するための円形の領域を有する。触媒保持部は、触媒を保持するための触媒保持部材を備える。触媒保持部材は、円板形状の基板と触媒とが接触した状態において、基板の中心部分から外縁の一部に重なる略扇形状または三角形状である。
【0101】
本発明の第95の形態によれば、第94の形態において、駆動部は、基板を保持するための円形の領域の半径方向に、触媒保持部を移動可能に構成される。
【0102】
本発明の第96の形態によれば、第94ないし第95のいずれか1つの形態において、触媒保持部材は、触媒保持部材と基板とが接触した状態において、触媒保持部材と基板との間において、処理液が通るように構成される溝を有する。
【0103】
本発明の第97の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板の被処理領域と触媒とが接触した状態で、基板保持部と触媒保持部とを相対的に移動させるように構成された駆動部と、を備える。触媒保持部は、触媒を保持するための触媒保持部材を備える。触媒保持部材は、複数の球状体または複数の円柱体であって、該球状体の球面または該円柱体の周面に触媒の層が形成された複数の球状体または複数の円柱体を備える。複数の球状体または複数の円柱体は、基板保持部と触媒保持部とが相対的に移動する際に、該相対的な移動に伴って回転可能に保持されるように構成される。
【0104】
本発明の第98の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有する。触媒保持部は、基板の面に対して垂直な方向に振動可能に構成される。
【0105】
本発明の第99の形態によれば、第98の形態において、触媒保持部はピエゾ素子を有し、基板処理装置は、ピエゾ素子に交流電圧を印加する電源を有する。
【0106】
本発明の第100の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部を有する。基板保持部は、それぞれ1つの基板を保持するように構成される複数の基板保持ステージを有する。基板処理装置は、複数の基板保持ステージの各々に関連付けられる、触媒を保持するように構成された複数の触媒保持部を有する。
【0107】
本発明の第101の形態によれば、第100の形態において、複数の触媒保持部の少なくともいくつかは異なる種類の触媒を保持する。
【0108】
本発明の第102の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された複数の触媒保持部と、を有する。
【0109】
本発明の第103の形態によれば、第102の形態において、基板処理装置は、触媒の表面をコンディショニングするように構成されたコンディショニング部を備える。
【0110】
本発明の第104の形態によれば、第102または第103の形態において、複数の触媒保持部の少なくともいくつかは、異なる処理条件で動作可能である。
【0111】
本発明の第105の形態によれば、第102ないし第104のいずれか1つの形態において、複数の触媒保持部の少なくともいくつかは、触媒を保持するための領域の面積が異なる。
【0112】
本発明の第106の形態によれば、第102ないし第105のいずれか1つの形態において、複数の触媒保持部の少なくともいくつかは、異なる種類の触媒を保持する。
【0113】
本発明の第107の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、基板保持部に保持される基板を処理するための、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板保持部に保持される基板を洗浄するように構成された基板洗浄部と、を有する。
【0114】
本発明の第108の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、処理液を基板の被処理領域上に供給するための供給口を有する処理液供給部と、を有する。基板保持部の基板を保持するための領域は、水平面から所定の角度で傾いている。処理液供給部の供給口は、基板と触媒とが接触した状態において、触媒保持部よりも重力に関して上方に配置される。
【0115】
本発明の第109の形態によれば、第108の形態において、処理液供給部は、供給口が触媒保持部とともに移動するように構成される。
【0116】
本発明の第110の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。触媒を保持するように構成された触媒保持部を有する。触媒保持部は、触媒の温度を制御するための触媒温度制御機構を有する。
【0117】
本発明の第111の形態によれば、第110の形態において、触媒温度制御機構はペルチェ素子を有する。
【0118】
本発明の第112の形態によれば、基板処理システムが提供される。かかる基板処理システムは、第1ないし第32の形態および第43ないし第111の形態のいずれか1つの形態による基板処理装置と、基板を洗浄するように構成された基板洗浄部と、洗浄した基板を乾燥させるための基板乾燥部と、基板を搬送する基板搬送部と、を有する。
【0119】
本発明の第113の形態によれば、第112の形態において、基板搬送部は、ウェット状態の基板とドライ状態の基板を別々に搬送できるように構成される。
【0120】
本発明の第114の形態によれば、基板処理システムが提供される。かかる基板処理システムは、第1ないし第32の形態および第43ないし第111の形態のいずれか1つの形態による基板処理装置と、基板に成膜処理を行うように構成される成膜装置と、を有する。
【0121】
本発明の第115の形態によれば、第114の形態において、成膜装置は、化学気相成長(CVD)装置、スパッタ装置、メッキ装置、およびコーター装置の少なくとも1つを有する。
【0122】
本発明の第116の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部を有し、触媒保持部は、弾性部材と、弾性部材に貼り付けられる、触媒を保持するフィルムと、を有する。
【0123】
本発明の第117の形態によれば、第116の形態において、フィルムは樹脂から形成される。
【0124】
本発明の第118の形態によれば、第116の形態または第117の形態において、フィルムは、触媒と基板とが接触した状態において、触媒と基板との間において処理液が基板の面内で移動可能となるように構成される溝を有する。
【0125】
本発明の第119の形態によれば、第118の形態において、溝は、断面形状が、溝の開口部の幅が前記溝の底部の幅より大きい台形形状である。
【0126】
本発明の第120の形態によれば、第116の形態ないし第119の形態のいずれか1つの形態において、触媒保持部は、触媒保持部内を通って処理液を基板の被処理領域上に供給するための、複数の処理液供給通路および処理液供給口を有する処理液供給部を有する。
【0127】
本発明の第121の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部を有し、触媒保持部は、弾性部材と、弾性部材と触媒との間に配置される、弾性部材よりも硬質な材料の層と、を有する。
【0128】
本発明の第122の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部を有し、触媒保持部は、処理液を触媒の表面に供給するための入口通路と、処理液を触媒の表面から回収するための出口通路と、を有する。
【0129】
本発明の第123の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板の被処理領域のエッチング処理状態をモニタリングするモニタリング部を備える。
【0130】
本発明の第124の形態によれば、第123の形態において、基板処理装置の動作の制御を行うように構成された制御部を備え、制御部は、モニタリング部によって得られるエ
ッチング処理状態に基づいて処理中の基板の処理条件における少なくとも1つのパラメータを制御するように構成される。
【0131】
本発明の第125の形態によれば、第123の形態において、制御部はモニタリング部で得られるエッチング処理状態に基づいて、処理の終点を決定するよう構成される。
【0132】
本発明の第126の形態において、第123の形態または第125の形態において、基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部を有し、モニタリング部は、触媒保持部と基板保持部とが相対的に移動する際の駆動部のトルク電流に基づいてエッチング処理状態をモニタリングするトルク電流モニタリング部を備える。
【0133】
本発明の第127の形態によれば、第123の形態において、基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有し、モニタリング部は、触媒保持部を回転駆動させる際のトルク電流、または、基板保持部を回転駆動させる際のトルク電流、の少なくとも一方のトルク電流に基づいてエッチング処理状態をモニタリングするトルク電流モニタリング部を備える。
【0134】
本発明の第128の形態によれば、第123の形態において、基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、を有し、モニタリング部は、触媒保持部に備えられる振動センサを有し、振動センサは、基板保持部と触媒保持部とが相対的に移動する際の振動を検出するように構成され、モニタリング部は、振動センサによる振動の変化を検出することでエッチング処理状態をモニタリングするように構成される。
【0135】
本発明の第129の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部を有し、触媒保持部は、ディスクホルダ部と、ディスクホルダ部に取り外し可能に連結されるキャタライザディスク部と、を有し、キャタライザディスク部は、表面に触媒が保持される触媒保持部材と、触媒に電気的に接続される触媒電極と、カウンター電極と、を有し、ディスクホルダ部は、触媒電極に電気的に接続される触媒電極用の配線と、カウンター電極に電気的に接続されるカウンター電極用の配線と、を有し、さらに、ディスクホルダとキャタライザディスクとが連結されたときに、触媒電極を触媒電極用の配線に電気的に接続するためのコンタクトプローブ、および、カウンター電極をカウンター電極用の配線に電気的に接続するためのコンタクトプローブ、を有し、基板処理装置は、触媒電極とカウンター電極との間に電圧を印加するための電源を有する。
【0136】
本発明の第130の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、触媒保持部を基板の面に垂直な方向に移動可能な、触媒保持部に取り付けられる搖動アームと、を有し、搖動アームは、触媒保持部の触媒を基板に接触させているときの接触圧力を測定するように構成されるロードセルを有する。
【0137】
本発明の第131の形態によれば、第130の形態において、基板処理装置は、ロードセルにより測定した接触圧力に基づいて触媒と基板との接触圧力を制御するように構成されるPIDコントローラを有する。
【0138】
本発明の第132の形態によれば、第130の形態において、搖動アームは、搖動アームの全体を囲うカバーを有し、搖動アームは、カバー内に空気および/または窒素を供給
可能に構成される。
【0139】
本発明の第133の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための基板処理装置が提供される。かかる基板処理装置は、基板を保持するように構成された基板保持部を有し、基板保持部は、基板保持ステージと、基板を真空吸着により基板保持ステージに保持するための真空吸着プレートと、を有し、真空吸着プレートは、吸着孔を有し、基板保持部は、真空吸着プレートの吸着孔に流体連通する真空ラインを有し、真空ラインは、真空引きにより基板を前記真空吸着プレートに真空吸着でき、且つ、真空ラインに水および/または空気ないし窒素を供給することで真空吸着を解除することができるように構成される。
【0140】
本発明の第134の形態によれば、処理液の存在下で基板と触媒とを接触させて、基板の被処理領域を処理するための方法が提供される。かかる方法は、基板の被処理領域に処理液を供給するステップと、基板の被処理領域に触媒を接触させるステップと、基板と触媒とが接触した状態で、基板と触媒とを相対的に移動させるステップと、基板を薬液で洗浄するステップと、基板を水で洗浄するステップと、基板を薬液または水で洗浄している間に、触媒の表面をコンディショニングするステップと、を有する。
【0141】
本発明は、上述した各形態のほか、上述した各形態の構成要素または後述する実施例の構成要素の少なくとも一部のみを自由に組み合わせて、または、省略して、実現することが可能である。これに関して、いくつか具体例を挙げると、例えば、本発明の一形態は、基板を保持するように構成された基板保持部、触媒を保持するように構成された触媒保持部、および、基板の被処理領域と触媒とが接触した状態で、基板保持部と触媒保持部とを相対的に移動させるように構成された駆動部のうちの少なくとも1つを備え、本明細書に記載された特徴の一部分を有する任意の基板処理装置であってもよい。あるいは、本発明の他の一形態は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板の被処理領域と触媒とが接触した状態で、基板保持部と触媒保持部とを相対的に移動させるように構成された駆動部と、を備え、触媒が、2種類以上の個々の触媒から構成されるか、あるいは、2種類の触媒が含まれる混合物もしくは化合物である基板処理装置であってもよい。あるいは、本発明の他の一形態は、基板を保持するように構成された基板保持部と、触媒を保持するように構成された触媒保持部と、基板の被処理領域と触媒とが接触した状態で、基板保持部と触媒保持部とを相対的に移動させるように構成された駆動部と、を備え、触媒保持部が、球状体または円柱体であって、球状体の球面または円柱体の周面に触媒の層が形成された球状体または円柱体を備え、球状体または円柱体が、基板保持部と触媒保持部とが相対的に移動する際に、相対的な移動に伴って回転可能に保持されるように構成される基板処理装置であってもよい。これらの形態において、第1の形態の特徴の1つである、触媒が基板よりも小さい点は、必ずしも必要とされない点に留意されたい。
【0142】
さらに、上述した各形態の構成要素または後述する実施例の各構成要素の具体的な特徴は、具体的な特徴の各々をそれぞれ切り離して、適宜、省略可能である。例えば、第15の形態における処理液温度調整部は、10度以上かつ60度以下の範囲以外の範囲内で、処理液の温度を所定温度に調整する構成要素に変形することが可能である。第1ないし第42の形態以外のいくつかの変形形態を説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決できる限り、あるいは、上述した効果の少なくとも一部を奏する限り、本明細書に記載される構成要素、および、その具体的特徴の各々の少なくとも一部分を適宜、組み合わせるか、省略することによっても実現可能である。