(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681134
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】タッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータ、その制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/048 20130101AFI20200406BHJP
【FI】
G06F3/048
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-250618(P2013-250618)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-108902(P2015-108902A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年11月10日
【審判番号】不服2018-14265(P2018-14265/J1)
【審判請求日】2018年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信策
【合議体】
【審判長】
▲吉▼田 耕一
【審判官】
稲葉 和生
【審判官】
野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−171589(JP,A)
【文献】
特開2009−163278(JP,A)
【文献】
特表2008−532185(JP,A)
【文献】
特開2004−355106(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/155045(WO,A1)
【文献】
特開2012−234331(JP,A)
【文献】
基本操作,ARROWS Tab FJT21取扱説明書,日本,KDDI(株),インターネット<URL:http://media.kddi.com/app/publish/torisetsu/pdf/fjt21_torisetsu_shousai.pdf>,2013年11月30日,p.31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/048-3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを用いて表示及び入力操作を行うようにされたタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータにおいて、
該タブレット型パーソナルコンピュータが両方の手で持たれたことを検出する接触センサーと、
該接触センサーにより検出されるタブレット型パーソナルコンピュータを両手で保持した状態で、操作者の親指をタッチパネルに押し付けたまま、タッチパネルの画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検出するドラッグ操作検知部と、
前記親指ドラッグ操作が行われた親指周辺の画面端に、選択肢が表示された選択肢表示部を表示するための表示制御部と、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、前記選択肢の一つがタップ操作されたことを検出するタップ操作検知部と、
前記タップ操作で選択された選択肢に従って動作を制御する動作制御部とを備え、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部が、左右の親指に対して異なる機能の選択肢を表示するようにされ、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部の表面を画面の上下方向になぞる親指スクロール操作により、表示されていない選択肢を表示するようにされ、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部以外の場所を親指でタップ操作することにより、又は一定時間以上操作しないことにより、前記選択肢表示部が表示されない元の表示状態に戻るようにされ、
前記選択肢表示部に表示される選択肢の情報が、アプリケーションごとに関連付けを変更可能とされ、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で操作者の選択が必要になった場合は、自動的に画面端に前記選択肢表示部を表示するか、前記親指ドラッグ操作を促すマークを親指周辺に表示するようにされていることを特徴とするタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータ。
【請求項2】
前記選択肢表示部の幅と高さが、親指の届く範囲に合わせて変更可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータ。
【請求項3】
測定装置と通信自在に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータ。
【請求項4】
タッチパネルを用いて表示及び入力操作を行うようにされたタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータの制御方法において、
該タブレット型パーソナルコンピュータが両方の手で持たれたことを接触センサーにより検出し、
該接触センサーにより検出されるタブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、操作者の親指をタッチパネルに押し付けたまま、タッチパネルの画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検出した時は、該親指ドラッグ操作が行われた親指周辺の画面端に、選択肢が表示された選択肢表示部を表示し、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、該表示された選択肢の一つがタップ操作された時は、該タップ操作で選択された選択肢に従って動作を制御し、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部が、左右の親指に対して異なる機能の選択肢を表示し、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部の表面を画面の上下方向になぞる親指スクロール操作が検出された時は、表示されていない選択肢を表示し、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部以外の場所が親指でタップ操作された時、又は一定時間以上操作されないことを検出した時は、前記選択肢表示部を隠し、
前記選択肢表示部に表示される選択肢の情報を、アプリケーションごとに関連付けを変更可能とし、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で操作者の選択が必要になった場合は、自動的に画面端に前記選択肢表示部を表示するか、前記親指ドラッグ操作を促すマークを親指周辺に表示することを特徴とするタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータの制御方法。
【請求項5】
タッチパネルを用いて表示及び入力操作を行うようにされたタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、
該タブレット型パーソナルコンピュータが両方の手で持たれたことを接触センサーにより検出する処理と、
該接触センサーにより検出されるタブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、操作者の親指をタッチパネルに押し付けたまま、タッチパネルの画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検出した時は、該親指ドラッグ操作が行われた親指周辺の画面端に、選択肢が表示された選択肢表示部を表示する処理と、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、該表示された選択肢の一つがタップ操作された時は、該タップ操作で選択された選択肢に従って動作を制御する処理と、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部が、左右の親指に対して異なる機能の選択肢を表示する処理と、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部の表面を画面の上下方向になぞる親指スクロール操作が検出された時は、表示されていない選択肢を表示する処理と、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部以外の場所が親指でタップ操作された時、又は一定時間以上操作されないことを検出した時は、前記選択肢表示部を隠す処理と、
前記選択肢表示部に表示される選択肢の情報を、アプリケーションごとに関連付けを変更可能とする処理と、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で操作者の選択が必要になった場合は、自動的に画面端に前記選択肢表示部を表示するか、前記親指ドラッグ操作を促すマークを親指周辺に表示する処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータ、その制御方法及びコンピュータプログラムに係り、特に、スマートフォンより大画面のタブレット型パーソナルコンピュータ(以下、タブレットPCと
も称する)で片手を離す操作の必要性を減らして、両手で持ったまま安定した状態で安全に操作することが可能な、タッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータ、その制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンより大画面のタブレットPCを測定機の制御用コンピュータとして利用する上で、操作ミスや落下の危険性を高める「片手で保持しながらの操作」が障壁となっている。タブレットPCの代表的な操作に、マウスのクリック操作に相当するタップというタッチパネル操作がある。
【0003】
図1のように大型ディスプレイ(図ではタッチパネル10)のタブレットPC1の場合、両手2、6で保持するのが最も安定した持ち方であるが、画面中に表示されている選択肢を選択する場合は、
図2のように選択肢16のいずれか一つを、例えば右手2の人差指3でタップしなければならず、タブレットPC1から片方の手(
図2の例では右手2)を離さなければ操作が難しい。
【0004】
大型ディスプレイ(タッチパネル)のタブレットPCでは、片手で長時間保持するのは難しく、タップ操作をする場合もタッチパネルの固定が不安定なので操作ミスを起こしやすい。また片手で保持している状態では、常にタブレットPCを落とす危険性も高くなってしまう。
【0005】
タブレットPCは両手で保持する状態が最も安定するため、これらの操作をタブレットPCから可能な限り片手を離さずにできるようにすれば、安定性が増すだけでなく、タブレットPCを落とすなどの事故も少なくすることができる。
【0006】
なお、本発明のように両手で持ったままの操作を可能とするものではないが、画面サイズの小さい携帯端末を片方の手で持ちながら、もう片方の手でタッチ入力する際の操作性を高める技術として、特許文献1には、携帯端末を片手で保持した時の(親)指がタッチパネルに接触している位置を検出し、その接触位置に近い位置にユーザーインターフェースの位置を変更して表示することが記載されている。
【0007】
又、特許文献1と同様に、片方の手で持ちながら行う操作をしやすくするための技術が特許文献2、3にも記載されている。
【0008】
一方、特許文献4には、両手で持った状態での入力操作を容易化するため、左右の撮像素子から得られる画像の視差によるずれから3次元位置を出力する3次元距離センサーを携帯端末に搭載し、該3次元距離センサーから得られた顔や手の3次元位置情報を利用して携帯端末上の操作しやすい位置に操作対象を移動して表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−125471号公報
【特許文献2】特開2002−73249号公報
【特許文献3】特開2010−79442号公報
【特許文献4】特開2012−155480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術でユーザーインターフェースが親指の近くに表示された時に操作しやすくなるのは、他の4本の指で携帯端末の背面を支え、親指を自由に動かせるような場合であり、画面サイズの小さい携帯端末を想定している。特許文献2、3も同様に、本発明のように両手で持ったままの操作を可能とするものではない。又、特許文献4は、3次元距離センサーを設ける必要があり、構成が複雑でコストも高くなるという問題点を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の問題を解消するべくなされたもので、構成を複雑化することなく、片手を離す操作の必要性を減らして、タッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータを両手で持ったまま安定した状態で安全に操作可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、タッチパネルを用いて表示及び入力操作を行うようにされたタッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータにおいて、該
タブレット型パーソナルコンピュータが両方の手で持たれたことを検出する接触センサーと、
該接触センサーにより検出されるタブレット型パーソナルコンピュータを両手で保持した状態で、操作者の親指をタッチパネルに押し付けたまま、タッチパネルの画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検出するドラッグ操作検知部と、前記親指ドラッグ操作が行われた親指周辺の画面端に、選択肢が表示された選択肢表示部を表示するための表示制御部と、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、前記選択肢の一つがタップ操作されたことを検出するタップ操作検知部と、前記タップ操作で選択された選択肢に従って動作を制御する動作制御部
とを備え
、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部が、左右の親指に対して異なる機能の選択肢を表示するようにされ、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部の表面を画面の上下方向になぞる親指スクロール操作により、表示されていない選択肢を表示するようにされ、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部以外の場所を親指でタップ操作することにより、又は一定時間以上操作しないことにより、前記選択肢表示部が表示されない元の表示状態に戻るようにされ、前記選択肢表示部に表示される選択肢の情報が、アプリケーションごとに関連付けを変更可能とされ、前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で操作者の選択が必要になった場合は、自動的に画面端に前記選択肢表示部を表示するか、前記親指ドラッグ操作を促すマークを親指周辺に表示するようにして、前記課題を解決したものである。
【0018】
ここで、前記選択肢表示部の幅と高さを、親指の届く範囲に合わせて変更可能とすることができる。
【0019】
又、前記タッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータは、測定装置と通信自在に接続することができる。
【0020】
本発明は、又、タッチパネルを用いて表示及び入力操作を行うようにされたタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータの制御方法において、該タブレット型パーソナルコンピュータが両方の手で持たれたことを
接触センサーにより検出し、
該接触センサーにより検出されるタブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、操作者の親指をタッチパネルに押し付けたまま、タッチパネルの画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検出した時は、該親指ドラッグ操作が行われた親指周辺の画面端に、選択肢が表示された選択肢表示部を表示し、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、該表示された選択肢の一つがタップ操作された時は、該タップ操作で選択された選択肢に従って動作を制御し、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部が、左右の親指に対して異なる機能の選択肢を表示し、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部の表面を画面の上下方向になぞる親指スクロール操作が検出された時は、表示されていない選択肢を表示し、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部以外の場所が親指でタップ操作された時、又は一定時間以上操作されないことを検出した時は、前記選択肢表示部を隠
し、前記選択肢表示部に表示される選択肢の情報を、アプリケーションごとに関連付けを変更可能とし、前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で操作者の選択が必要になった場合は、自動的に画面端に前記選択肢表示部を表示するか、前記親指ドラッグ操作を促すマークを親指周辺に表示することにより、同様に課題を解決したものである。
【0021】
本発明は、又、タッチパネルを用いて表示及び入力操作を行うようにされたタッチパネル式タブレット型パーソナルコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、該タブレット型パーソナルコンピュータが両方の手で持たれたことを
接触センサーにより検出する処理と、
該接触センサーにより検出されるタブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、操作者の親指をタッチパネルに押し付けたまま、タッチパネルの画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検出した時は、該親指ドラッグ操作が行われた親指周辺の画面端に、選択肢が表示された選択肢表示部を表示する処理と、
前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で、該表示された選択肢の一つがタップ操作された時は、該タップ操作で選択された選択肢に従って動作を制御する処理と、
前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部が、左右の親指に対して異なる機能の選択肢を表示する処理と、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部の表面を画面の上下方向になぞる親指スクロール操作が検出された時は、表示されていない選択肢を表示する処理と、前記親指ドラッグ操作により表示された選択肢表示部以外の場所が親指でタップ操作された時、又は一定時間以上操作されないことを検出した時は、前記選択肢表示部を隠
す処理と、前記選択肢表示部に表示される選択肢の情報を、アプリケーションごとに関連付けを変更可能とする処理と、前記タブレット型パーソナルコンピュータが両手で保持された状態で操作者の選択が必要になった場合は、自動的に画面端に前記選択肢表示部を表示するか、前記親指ドラッグ操作を促すマークを親指周辺に表示する処理を実行させることにより、同様に課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、片手を離す操作の必要性を減らして、選択肢の選択などの操作を、タッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータを両手で持ったまま安定した状態で安全に行うことができるようになり、以下のような効果を期待できる。
【0023】
(1)安定性の向上
タブレットPC等を両手で保持したままで操作が可能なユーザーインターフェースなので、安定性が高く落下の危険性も少なくなって安全性が向上する。
【0024】
(2)操作ミスの低減
タブレットPC等を片手で保持した不安定な状態で行うタップ操作と比較して、操作ミスの低減が期待でき、ユーザーも安心して操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来の問題点を説明するための、タブレットPCを両手で持った状態を示す正面図
【
図2】同じく選択肢を人差指のタップ操作で選択している状態を示す正面図
【
図6】同じく右手親指のドラッグ操作により右側の選択肢表示部を表示した状態を示す正面図
【
図7】同じく
図6に続く左手親指のドラッグ操作により左側の選択肢表示部も表示した状態を示す正面図
【
図8】同じく右側の選択肢表示部を親指で上下方向にスクロールしている状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0027】
本発明の実施形態は、本発明を
図3に例示される、外形が略長方形のタブレットPC1に適用したものである。
図3のように、タッチパネル10を囲むいわゆる額縁部分は狭く、前面の大半がタッチパネル10で占められている。
【0028】
前記タブレットPC1には、その周辺部分への物体の接触を検出する接触センサー20(
図3は図示省略。
図4、
図5参照)が配置されている。該接触センサー20は、両方の手で持たれたか片方の手で持たれたかの判別が可能な程度の分解能で接触位置およびその数を検出することができる。
【0029】
なお、図示は省略されているが、タブレットPC1の外面には、電源スイッチ、ボリュウム操作部、カメラのレンズ窓、スピーカーによる音声出力のための通気部、コネクタ、ジャックなど、各種のインタフェースや機構要素が配置されている。
【0030】
前記タブレットPC1は、画像測定機等の測定装置100に無線又は有線で接続され、測定に関する指示を入力したり、測定結果を表示する等に使用される。
【0031】
図4のように、タブレットPC1は、上述のタッチパネル10および接触センサー20に加えて、通信回路22、ストレージ24、制御回路30、および図示しないその他の構成要素を有する。通信回路22は、タブレットPC1と外部装置との無線通信および有線通信に用いられる。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)であり、各種データの保存および一時記憶に用いられる。制御回路30は、制御プログラムや各種アプリケーションを実行するコンピュータとしてのCPU(Central Processing Unit)32、プログラム実行のワークエリアとされるRAM(Random Access Memory)34、および制御の設定値を記憶する不揮発性メモリ36を有する。
【0032】
このようなタブレットPC1における表示及び選択動作制御に関わる機能構成を
図5に示す。
図5のように、タブレットPC1はドラッグ操作検知部40と表示制御部42とタップ操作検知部44と動作制御部46とを有している。これらの構成要素は、制御回路30のCPU32が制御プログラムを実行することによって実現される。
【0033】
前記ドラッグ操作検知部40は、操作者の親指をタッチパネル10に押し付けたまま、タッチパネル10の画面端から中央に向けてなぞる親指ドラッグ操作を検知する。
【0034】
前記表示制御部42は、前記ドラッグ操作検知部40によって検知されたドラッグ操作に応じて表示を制御する。
【0035】
前記タップ操作検知部44は、前記選択肢の一つがタップ操作されたことを検知する。
【0036】
前記動作制御部46は、前記タップ操作で選択された選択肢に従ってタブレットPC1の動作を制御する。
【0037】
以下、表示及び選択動作の具体例を挙げてタブレットPC1における表示及び制御を説明する。
【0038】
本発明の実施形態は、
図6に例示する如く、タブレットPC1を両手2、6で保持した状態で、右手2(又は左手6)の親指4(又は7)を画面端から中央に向けてなぞる(親指ドラッグと称する)ことにより、右(又は左)の画面端の親指周辺に選択肢表示部50(又は52(
図7参照))が表示され、その中にテキストやアイコン等で選択肢54が表示されるようにし、そのうちの一つを右手2(又は左手6)の親指4(又は7)でタップすることにより、選択肢54の項目を選択できるようにしている。
【0039】
ここで、
図7に示す如く、左右の親指ドラッグで表示される左右の選択肢表示部50、52を、フォルダーの選択とファイルの選択などのように別々の用途で使用可能とすることができる。
【0040】
又、選択肢表示部50(又は52)が表示されている状態で、
図8に示す如く、更に右手2(又は左手6)の親指4(又は7)で選択肢表示部50(又は52)上を上下方向になぞる(親指スクロールと称する)ことによって、表示されていない選択肢を表示することができる。
【0041】
又、選択肢表示部50及び/又は52が表示されている状態で、選択肢表示部50、52以外の場所を親指4又は7でタップすることにより、又は、一定時間以上操作しないことにより、選択肢表示部50、52が表示されない元の表示状態に戻ることができる。
【0042】
又、選択肢表示部50、52に表示される選択肢54の情報は、例えばWebページのハイパーリンクやアプリケーションのメニューのようにアプリケーションごとに関連付けを変更可能とすることができる。
【0043】
又、アプリケーションでユーザーの選択が必要になった場合は、自動的に右(又は左)の画面端に選択肢表示部50(又は52)を表示するか、親指ドラッグを促すマークを親指周辺に表示して親指ドラッグを行わせたりすることもできる。
【0044】
又、前記選択肢表示部50、52の幅と高さを親指4、7の届く範囲に合わせて変更可能とすることができる。
【0045】
以下、
図9を参照して実施形態の具体的な処理手順の例を説明する。
【0046】
まず、ステップ100で、親指ドラッグ操作が行われたか否かを判定する。判定結果が正である場合には、ステップ110に進み、
図6に例示したように選択肢表示部50を表示する。
図6は右手2の親指4のドラッグが行われた場合であるが、続けて左手6の親指7のドラッグが行われた場合には、
図7に例示したように、左手6の親指7用の選択肢表示部52も表示する。右手と左手の操作順は逆でもよく、左手6の親指7のみの操作で選択肢表示部52のみを表示しても良い。
【0047】
次いで、ステップ120に進み、選択肢表示部50及び/又は52に表示された選択肢54の一つがタップ操作されたか否かを判定する。判定結果が正である場合には、ステップ130に進み、タップされた選択肢54に従ってタブレットPC1を制御する。
【0048】
一方、ステップ120の判定結果が否である場合には、ステップ150に進み、
図8に示したような親指スクロール操作が行われた否かを判定する。判定結果が正である場合には、ステップ160に進み、選択肢表示部50又は52内の表示を上下方向にスクロールして、表示されていない選択肢を表示可能とする。
【0049】
一方、ステップ150の判定結果が否である場合には、ステップ170に進み、所定時間以上無操作状態が続いているか、又は、選択肢表示部50又は52以外の場所がタップされたか否かを判定する。判定結果が正である場合には、ステップ180に進み、選択肢表示部50及び52を隠して処理を終了する。
【0050】
ステップ170の判定結果が否である場合、又は、ステップ160終了後、ステップ120に戻る。
【0051】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0052】
(i)インターネットブラウザ
インターネットブラウザのブックマークや履歴だけでなく、Webページ内のハイパーリンクは、現状どうしても片手を離してタップする必要がある。親指ドラッグで表示された左右の選択肢表示部50、52にブックマークや履歴リストを表示すれば、操作者のブラウジングを楽にすることが可能となる。更に、親指ドラッグで選択肢表示部50、52が表示されると同時にWebページ内のハイパーリンクに丸数字1、丸数字2等の番号を表示し、選択肢表示部50、52に各番号が表示されたアイコンを表示して選択できるようにすると、ハイパーリンクのタップも親指で選択することが可能となる。親指スクロールで表示されていないアイコンを表示すると同時にWebページを自動スクロールして該当番号のハイパーリンクを表示することも可能である。
【0053】
(ii)ドキュメントの閲覧
ドキュメントを入力する際は、ソフトウェアキーボードなどにより両手を離さずに入力できるような工夫がされている場合がある。しかし、複数のドキュメントを閲覧する際、別のファイルを選択するためにフォルダー操作をしたりファイル操作などをしたりするタップ操作が必要となってしまう。
例えば、親指ドラッグで表示される右の選択肢表示部50にカレントフォルダーにあるファイルの一覧を表示して選択できるようにし、左の選択肢表示部52にカレントフォルダーを変更できるようなフォルダーアイコンを表示すれば、両手を離さずにドキュメントを切り替えて閲覧ができるようになる。
【0054】
(iii)デスクトップ操作
デスクトップはOS毎に異なる表示状態となるが、どのOSのデスクトップでも指でスクロールしてタップする必要がある。
親指ドラッグで表示される選択肢表示部50、52にデスクトップ上のアイコンを表示するようにすれば、手を離さずに目的のアプリケーションを起動することができるようになる。
また、メール受信通知やアプリケーションからのメッセージ表示などは、通常、画面中央に表示されるが、OSまたはアプリケーションが自動的に選択肢表示部50、52を表示して、これらの情報を表示することによって、手を離さずにそのまま対応が可能となる。
【0055】
(iv)その他のアプリケーション
アプリケーションのメニューを選択肢表示部50、52に表示することにより、手を離さずに行える操作が格段に増える。更に、アプリケーションが選択肢表示部50、52に独自の選択肢を表示することで、すべての操作が手を離さずに行えるようになる可能性がある。このようなアプリケーションが増えればタブレットPCの普及に大いに貢献することになる。
【0056】
なお、前記実施形態においては、本発明が測定装置に接続された場合を例示したが、本発明に係るタッチパネル式
タブレット型パーソナルコンピュータは、このような例示に限定され
ない。
【0058】
(I)利用者の拡大
握力の小さい子どもや老人に敬遠されがちだったタブレットPC等を幅広い層のユーザーに使用可能な端末として提供することが可能となる。
【0059】
(II)タブレットPC等の利用シーンの拡大
片手保持の困難さから大画面の利点を活かせなかった次のような利用シーンにおいて、幅広い年齢層での利用拡大が期待できる。
・小学校等において児童がタブレットPC等を手に持って発表
・老人会等において野山の散策時にタブレットPC等でオリエンテーション
・スポーツ等においてタブレットPC等で撮影した動画像でコーチング
・水族館や動物園等においてタブレットPC等による事典参照や観察記録
・美術館等においてタブレットPC等による展示物の作者や作品の調査
・タブレットPC等で(GPS等を活用した)地図情報と観光スポットの確認
等
【符号の説明】
【0060】
1…タブレットPC
2、6…手
4、7…親指
10…タッチパネル
20…接触センサー
22…通信回路
24…ストレージ
30…制御回路
32…CPU
34…RAM
36…不揮発性メモリ
40…ドラッグ操作検知部
42…表示制御部
44…タップ操作検知部
46…動作制御部
50、52…選択肢表示部
54…選択肢
100…測定装置