(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によると、ガラス板は少なくとも1つのエッチング面を含む。「エッチング面」は、機械的または化学的な方法によって攻撃されており、ある量のガラス材料が除去されて、特定の表面テクスチャー/粗さが得られた表面を意味する。本発明者らは、化学反応/攻撃(すなわち酸エッチング)によって材料の除去が行われる場合の化学エッチングされたガラスについて議論する。本発明者らは、機械的反応/攻撃(すなわちサンドブラスト)によって除去が行われる場合の機械的エッチングされたガラスについて議論する。本発明によると、前記少なくとも1つのエッチング面は、有利には実質的にガラス表面全体にわたって、すなわちガラス表面の少なくとも90%にわたってエッチングされてよい。
【0017】
ガラス板のエッチング面は、通常はその表面テクスチャーまたは粗さによって、特に規格のISO4287−1997において定義されるRa、Rz、およびRsmの値(ミクロンで表される)によって特徴付けられる。テクスチャー/粗さは、表面の不規則性/パターンが存在することで得られる。これらの不規則性は、「山」と呼ばれる隆起部と、「谷」と呼ばれるくぼみとからなる。エッチング面に対して垂直なセクションで、山および谷は、「平均線」とも呼ばれる「中心線」(代数的平均)のいずれかの側に分布する。あるプロファイルにおいて、一定長さ(「評価長さ」と呼ばれる)に沿った測定の場合で、
Ra(振幅値)は、テクスチャーの平均の差に相当し、すなわち、山および谷の差の絶対値の算術平均を意味する。Raは、この平均と「線」との間の距離を測定しており、エッチング面上のパターンの高さの指標となる;
Rz(振幅値)は、「10点平均粗さ」に相当し、最も高い5つの山の間の平均の山と、最も低い5つの谷の間の平均の谷との合計である。
Rsm(間隔値、場合によりSmとも呼ばれる)は、「平均線」を通過する断面の2つの連続する推移(passage)の間の平均距離であり、これによって「山」の間の平均距離、したがってパターンの幅の平均値が得られる。
【0018】
本発明による粗さ値は、2Dプロファイル(ISO4287規格に準拠)を用いるプロフィルメーターで測定することができる。あるいは、3Dプロフィロメトリー(ISO 25178規格に準拠)の技術を使用することができるが、2Dプロファイルを分離し、次にこれよりISO4287規格で定義されるパラメータが求められる。
【0019】
本発明によると、粗さ値は、プロファイルフィルタλcとも呼ばれる長波長のフィルタであるガウシアンフィルタを用いて測定される。これは、プロファイルの起伏成分から粗さ/テクスチャー成分を分離するために使用される。
【0020】
本発明による評価長さLは、粗さの評価に使用されるプロファイルの長さである。基準長さlは、評価すべきプロファイルを特徴付ける不規則性を識別するために使用される評価長さの一部である。評価長さLは、プロファイルの不規則性に依存してn個の基準長さlに分割/切断される。基準長さlは、ガウシアンフィルタの「カットオフ」波長(または制限波長)に相当する(l=λc)。典型的には、評価長さは基準長さの少なくとも5倍である。
【0021】
粗さ測定では、短波長フィルタ(プロファイルフィルタλs)も、バックグラウンドノイズである非常に短波長の影響をなくすために一般に使用される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、本発明のエッチング面の表面粗さは、たとえば10≦RSm≦30ミクロンである。好ましくは、本発明のエッチング面の表面粗さはたとえば10≦RSm≦25ミクロンであり、より好ましくはたとえば10≦RSm≦20ミクロンである。このようなRSm粗さ値の限定された範囲によって、本発明のガラス板のスパークル防止効果が高くなる。
【0023】
本発明の別の有利な一実施形態によると、本発明のエッチング面の表面粗さは、たとえば0.02≦Ra≦0.2ミクロンである。好ましくは、本発明エッチング面の表面粗さは、たとえば0.02≦Ra≦0.15ミクロンである。このようなRa粗さ値の限定された範囲によって、本発明のガラス板のヘイズ値がより小さくなる。
【0024】
本発明の別の有利な一実施形態によると、本発明のエッチング面の表面粗さはたとえば0.1≦Rz≦2.0ミクロンである。
【0025】
本発明によるガラス板は、優れたスパークル防止性をアンチグレア効果とともに示す。
【0026】
「アンチグレア」特性は、太陽光または周囲照明条件などの外部光源の表面からの反射と、表面を通して読もうと試みる画像または情報の可読性に対するその影響とに関係する。これは、ガラス板などの物品の表面から反射される光が、正反射ではなく拡散反射に変化する性質を意味する。アンチグレア特性によって、表面から反射される光の全体的な量は減少せず、反射光の性質のみが変化する(アンチグレア効果が増加すると、反射光の拡散成分が増加する)。
【0027】
「スパークル」は、アンチグレアガラス表面を通して、ディスプレイ画面の画像の本発明のテクスチャー中に現れる小さな明るい箇所(ほぼピクセルレベルの大きさの規模)を意味し、これによって透過画像が粒子の粗い外観となる。したがって、「スパークル効果」は、2つの表面領域の間、すなわち規則的なディスプレイのピクセルマトリックス(光源)と規則性のより少ない微細構造を有するアンチグレアガラス表面との間の光学的相互作用である。これは、観察者の頭が左右に動くと、ディスプレイ上の強度の不規則なゆらぎとして現れる(屈折、回折、拡散の現象を含む)。
【0028】
本発明によるガラス板の光学的性質は、
全直接光透過率(または正光透過率)と、
(i)「ヘイズ」および(ii)「透明度」によって測定される拡散光透過率(「ヘイズ」は広角散乱における拡散透過率に対応し、一方、「透明度」は狭角散乱における拡散透過率に対応する)と、
たとえば、表面の明るさまたは光沢を特徴付け、特に、特定の角度におけるASTM規格D523準拠した基準(たとえば、認定された黒色ガラス基準など)に対する表面の正反射率に対応し、SGU(標準グロス単位)の単位で表されるグロスと、を特徴とする。
【0029】
光透過率の場合に使用される用語「拡散」は、光がガラスを通過するときに、2.5°を超える散乱によって入射ビームから偏向する光の比率である。光の反射の場合に使用される用語「拡散」は、ガラス/空気界面における反射によって、2.5°を超える散乱によって正反射ビームから偏向する光の比率である。
【0030】
ガラス板の光学的性質は、本発明ではエッチング面から測定される。
【0031】
本発明のガラス板は、前記エッチング面から測定した場合に、以下の光学的性質:
1〜30%のヘイズ値;
50〜100%の透明度値;
60°において30〜110SGUのグロス値
を有する。
【0032】
本発明の有利な一実施形態によると、ガラス板は1〜20%のヘイズを有する。より好ましくは、ガラス板は1〜15%のヘイズを有する。
【0033】
本発明の別の有利な一実施形態によると、ガラス板は85〜100%の透明度を有する。
【0034】
本発明の有利な一実施形態によると、ガラス板は60°において50〜110SGUのグロス値を有する。より好ましくは、ガラス板は60°において70〜100SGUのグロス値を有する。
【0035】
可視範囲におけるガラスの透過率を定量するために、本発明者らは、ISO9050規格に準拠して380〜780nmの間の波長で計算され、ISO/CIE 10527規格によって定義される測色標準観測者CIE 1931を考慮することによりISO/CIE 10526規格によって定義されるものなどのD65光源(TLD)を用いて測定される光透過率(TL)を規定する。本明細書において使用される場合、光透過率は、上記規格に準拠し、厚さ4mm(TLD4)の場合で立体視野角2°において測定される。本発明によるガラス板は好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の光透過率TLD4を有する。
【0036】
本発明によるガラス板は、マトリックス組成が特に限定されず、したがって異なる分類に属しうるガラスでできている。ガラスは、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸塩ガラスなどであってよい。好ましくは、本発明のガラス板はソーダ石灰ガラスまたはアルミノケイ酸塩ガラスでできている。
【0037】
本発明の一実施形態によると、ガラス板は、ガラスの全重量のパーセント値で表される含有量で、
SiO
2 55〜85%
Al
2O
3 0〜30%
B
2O
3 0〜20%
Na
2O 0〜25%
CaO 0〜20%
MgO 0〜15%
K
2O 0〜20%
BaO 0〜20%
を含む組成を有する。
【0038】
好ましい方法では、ガラス板は、ガラスの全重量のパーセント値で表される含有量で、
SiO
2 55〜78%
Al
2O
3 0〜18%
B
2O
3 0〜18%
Na
2O 5〜20%
CaO 0〜10%
MgO 0〜10%
K
2O 0〜10%
BaO 0〜5%
を含む組成を有する。
【0039】
より好ましい方法では、ガラス板は、ガラスの全重量のパーセント値で表される含有量で、
SiO
2 65〜78%
Al
2O
3 0〜6%
B
2O
3 0〜4%
CaO 0〜10%
MgO 0〜10%
Na
2O 5〜20%
K
2O 0〜10%
BaO 0〜5%
を含む組成を有する。
【0040】
このようなソーダ石灰型基本ガラス組成は、それ自体は機械的抵抗性がより低いが、安価であるという利点を有する。
【0041】
理想的には、この直前の実施形態によると、ガラス組成はB
2O
3を含まない(意図的には加えられないが、望ましくない不純物として非常に少量で存在しうることを意味する)。
【0042】
別のより好ましい方法では、ガラス板は、ガラスの全重量のパーセント値で表される含有量で、
SiO
2 55〜70%
Al
2O
3 6〜18%
B
2O
3 0〜4%
CaO 0〜10%
MgO 0〜10%
Na
2O 5〜20%
K
2O 0〜10%
BaO 0〜5%
を含む組成を有する。
【0043】
このようなアルミノケイ酸塩型基本ガラス組成は、機械的抵抗性がより高くなる利点を有するが、ソーダ石灰よりも高価である。
【0044】
理想的には、この直前の実施形態によると、ガラス組成は、B
2O
3を含まない(意図的には加えられないが、望ましくない不純物として非常に少量で存在しうることを意味する)。
【0045】
本発明の有利な一実施形態によると、基本ガラス組成に関する上記実施形態と組み合わせることができるが、ガラス板は0.002〜0.06重量%の範囲の全鉄(Fe
2O
3で表される)含有を含む量組成を有する。0.06重量%以下の全鉄(Fe
2O
3の形態で表される)含有量によって、色がほとんど見えないガラス板を得ることが可能となり、審美的設計における高い自由度が可能となる(たとえば、スマートフォンの一部のガラス部品の白色シルク印刷の場合にひずみが生じない)。このような低鉄値は、多くの場合高価で非常に純粋な出発物質を必要とし、それらの精製をも必要とするので、上記の最小値によって、ガラスのコストに過度に影響を与えないことが可能となる。好ましくは、組成は0.002〜0.04重量%の範囲の全鉄(Fe
2O
3の形態で表される)含有量を含む。より好ましくは、組成は0.002〜0.02重量%の範囲の全鉄(Fe
2O
3の形態で表される)含有量を含む。ほとんどの好ましい実施形態では、組成は0.002〜0.015重量%の範囲の全鉄(Fe
2O
3の形態で表される)含有量を含む。
【0046】
本発明の別の一実施形態によると、Fe
2O
3含有量に関する上記実施形態と組み合わせて、ガラスは、ガラスの全重量のパーセント値で表して0.0001%≦Cr
2O
3≦0.06%などの含有量でクロムを含む組成を有する。好ましくは、ガラスは、0.002%≦Cr
2O
3≦0.06%などの含有量でクロムを含む組成を有する。このクロム含有量によって、より高いIR透過率を有するガラスを得ることができ、したがって、ガラス板の表面上の1つ以上の物体(たとえば、指またはスタイラス)の位置を検出するための光学式IR接触技術、たとえば、平面散乱検出(Planar Scatter Detection)(PSD)または減衰全反射(Frustrated Total Internal Reflection)(FTIR)(またはIR放射線の高い透過率を必要とする任意の他の技術)を使用するタッチパネル中にガラス板を使用する場合に有利となる。
【0047】
好ましい一実施形態によると、本発明のガラス板はフロートガラス板である。用語「フロートガラス板」は、還元条件下で溶融ガラスを溶融スズ浴上に注ぐことにあるフロート法によって形成されるガラス板を意味するものと理解される。フロートガラス板は、周知の方法では、「スズ面」、すなわち板の表面に近いガラス本体中のスズに富む面を含む。用語「スズに富む」は、実質的にゼロである(スズを含まない)場合もゼロではない場合もある中心におけるガラスの組成に対するスズ濃度の増加を意味するものと理解される。したがって、フロートガラス板は、特に、たとえば約10ミクロンの深さまでの電子マイクロプローブによって測定可能な酸化スズ含有量によって、他のガラス製造方法によって得られた板と容易に区別することができる。
【0048】
本発明によるガラス板は0.1〜25mmの厚さを有することができる。有利には、ディスプレイ用途の場合、本発明によるガラス板は好ましくは0.1〜6mmの厚さを有する。より好ましくは、ディスプレイ用途の場合、重量の理由で、本発明によるガラス板の厚さは0.1〜2.2mmである。
【0049】
本発明によるガラス板は、有利には、化学強化、または熱強化を行うことができる。
【0050】
用途、意図する使用、および/または望ましい性質により、本発明によるエッチング面と同じ面上および/または反対側の面上の本発明のガラス板上に、種々の層/処理を堆積/実施することができる。
【0051】
本発明の一実施形態によると、ガラス板に少なくとも1つの透明導電性薄層がコーティングされる。本発明による透明導電性薄層は、たとえば、SnO
2:F、SnO
2:SbまたはITO(インジウムスズ酸化物)、ZnO:Al、またはさらにはZnO:Gaを主成分とする層であってよい。有利には、この実施形態によると、ガラス板は、エッチング面とは反対側のガラス面上に前記透明導電性薄層がコーティングされる。
【0052】
本発明の別の一実施形態によると、ガラス板に少なくとも1つの反射防止層がコーティングされる。有利には、この実施形態によると、ガラス板は、エッチング面と同じガラス面上に前記反射防止層がコーティングされる。この実施形態は、画面のフロントカバーとしての本発明のガラス板の場合に有利である。本発明による反射防止層は、たとえば、低屈折率を有する多孔質シリカを主成分とする層であってよいし、または数層(スタック)で構成されてよく、特に、低屈折率および高屈折率を有する層が交互に配置され、最後が低屈折率を有する層となる誘電体材料層のスタックで構成されてよい。
【0053】
さらに別の一実施形態によると、ガラス板は、指紋の付着を軽減または防止するための少なくとも1つの耐指紋層/処理を有する。有利には、この実施形態によると、ガラス板は、エッチング面と同じガラス面上に前記耐指紋層/処理を有する。この実施形態は、タッチスクリーンのフロントカバーとしての本発明のガラス板の使用の場合にも有利である。このような層/処理は、反対側の面上に堆積される透明導電性薄層と組み合わせることができる。このような層/処理は、同じ面上に堆積される反射防止層と組み合わせることができる。
【0054】
本発明のさらに別の一実施形態によると、ガラス板は抗菌層/処理を有する。有利には、この実施形態によると、ガラス板は、エッチング面と同じガラス面上に前記抗菌層/処理を有する。たとえば、このような抗菌処理は、外面に近いガラス板の大部分の中に銀イオンを拡散させることであってよい。
【0055】
本発明のさらに別の一実施形態によると、ガラス板は、本発明によるエッチング面と反対側の面上が、同じ方法または異なる方法でエッチングされる。
【0056】
さらに、本発明によるガラス板は優れた機械的性質を示す。特に、これは摩耗に対する優れた抵抗性を示す。
【0057】
本発明は、化学強化される本発明によるガラス板にも関する。上記実施形態のすべては、化学強化されるガラス板の本発明にも適用される。
【0058】
最後に、本発明は、本発明によるガラス板を含む表示装置にも関する。ガラス板の上記実施形態のすべては、表示装置の本発明にも適用される。
【0059】
これより、単なる例として、本発明の実施形態を、本発明によらない一部の比較例とともにさらに説明する。以下の例は、説明の目的で提供されるものであり、本発明の範囲の限定を意図したものではない。
【実施例】
【0060】
比較例1:主としてディスプレイ用途で販売され、種々のグロス値で入手可能なAGC Glass Europeのソーダ石灰(SL)のエッチングされた「LST」(または「LSTouch」または「低スパークルタッチ」(low sparkling touch))ガラス。
【0061】
比較例2〜5:主として絵画の額縁用途で販売されるAGC Glass Europeのソーダ石灰(SL)のエッチングされたMatobel(登録商標)ガラス。
【0062】
実施例6〜9(本発明による)−ソーダ石灰型組成(SL)に基づく
実施例6〜9のそれぞれの場合で、0.7mmの厚さエクストラクリア(extra−clear)ガラスの板(10cm×10cm)を水性洗浄剤で洗浄し、乾燥させた。エッチングプロセス中に保護するためにガラスの一方の側にテープを取り付けた。次に、ガラスを20〜25℃の200mLの酸エッチング溶液中に時間tの間浸漬した。最後に、ガラスを取り出し、直ちに水性洗浄剤で洗浄した。
【0063】
ガラスのソーダ石灰型(SL)組成は重量パーセント値で、
SiO
2 72.15%
Al
2O 1.35%
Na
2O 13.90%
CaO 7.90%
MgO 4.50%
K
2O 0.2%
であった。
【0064】
実施例6(SLに基づく):酸エッチング水溶液は、
KHF
2 1.5モル%
SnCl
2 0.25モル%
HF 2.0モル%
HNO
3 0.5モル%
で構成された。ガラス試料は85秒後に取り出した。
【0065】
実施例7(SLに基づく):酸エッチング水溶液は、
KHF
2 1.5モル%
SnCl
2 0.25モル%
HF 2.0モル%
HNO
3 0.5モル%
で構成された。ガラス試料は60秒後に取り出した。
【0066】
実施例8(SLに基づく):酸エッチング水溶液は、
KHF
2 2.5モル%
SnCl
2 0.25モル%
HF 2.5モル%
HNO
3 0.5モル%
で構成された。ガラス試料は95秒後に取り出した。
【0067】
実施例9(SLに基づく):酸エッチング水溶液は、
KHF
2 2.5モル%
SnCl
2 0.25モル%
HF 2.5モル%
HNO
3 0.5モル%
で構成された。ガラス試料は90秒後に取り出した。
【0068】
実施例10〜11(本発明による)−アルミナ−ケイ酸塩型組成(AS)に基づく
実施例10〜11のそれぞれの場合で、0.7mmの厚さエクストラクリアガラスの板(10cm×10cm)を水性洗浄剤で洗浄し、乾燥させた。エッチングプロセス中に保護するためにガラスの一方の側にテープを取り付けた。次に、ガラスを20〜25℃の200mLの酸エッチング溶液中に20秒の時間の間浸漬した。最後に、ガラスを取り出して、脱塩水で直ちに洗浄した。
【0069】
ガラスのアルミナ−ケイ酸塩型(AS)組成は重量パーセント値で、
SiO
2 60.9%
Al
2O
3 12.8%
Na
2O 12.2%
CaO 0.1%
MgO 6.7%
K
2O 5.9%
BaO 0.2%
SrO 0.2%
ZrO
2 1.0%
であった。
【0070】
実施例10(ASに基づく):酸エッチング水溶液は、
KHF
2 5モル%
H
2SO
4 cc 2.7モル%
ABF 5モル%
HF 2.80モル%
で構成された。
【0071】
実施例11(ASに基づく):酸エッチング水溶液は、
KHF
2 2.5モル%
メタクリル酸 0.25モル%
ABF 5モル%
HF 2.80モル%
で構成された。
【0072】
テクスチャーおよび光学的性質
実施例1〜11のそれぞれのガラス板のテクスチャー/表面粗さおよび光学的性質に関して分析した。
【0073】
12mmの評価長さに対して、カットオフ波長が0.8mmであるガウシアンフィルタを用いて、3D光学プロファイラーLeica Type DCM3Dを使用し、「Leica map」ソフトウェアを使用して、表面粗さ測定を行った。最初に試料を洗剤で洗浄し乾燥させる。次に顕微鏡下に置き、従来の設定の後、次にプロファイルの2D取得を開始する(ソフトウェアは2.5ミクロンの既定のカットオフ波長λを使用する)。
【0074】
いくつかの試料で光学顕微鏡写真の撮影も行った。
【0075】
ASTM規格D1003に準拠し光源A2を用いてヘイズおよび透明度の測定を行った。
【0076】
ASTM規格D523に準拠し60°の特定の角度でグロス測定を行った。
【0077】
すべての試料を比較する視覚的方法で試料のスパークル防止性の評価を行い、スパークル防止性のより小さい値(0、スパークル防止性と見なされる最良の試料)からより大きな値までの等級づけを行った。視覚的評価および試料間の比較の場合、緑色の背景を表示するApple iPad(登録商標)3 Retinaディスプレイ上に、各試料をエッチング面が観察者に向かうように配置した。評価中、試料/画面と観察者の眼との間の距離は約40cmであった。
【0078】
得られた粗さパラメータ、および実施例の光学的性質の結果を表に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
観察
図1および2にそれぞれ示される実施例6および実施例10の光学顕微鏡画像は、得ることができ、本発明による粗さパラメータおよび光学的性質に到達できる形態/幾何学的構造を示している。
【0081】
表中の結果から、本発明によるガラス板が、市販のガラス板と比較して優れたスパークル防止効果を示すことがよく分かる。
【0082】
最後に、本発明による各試料は、比較例のよりソフトなガラス板の手触りを示す。