(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、吸水性樹脂粒子の液体漏れ性を評価する方法の一実施形態を示す模式図である。
図1に示す方法は、吸水性樹脂粒子からなる吸水層5を、水平面S
0に対して傾斜した傾斜面S
1に沿って配置することと、吸水層5に液滴状の試験液50を注入することと、吸水層5に注入された試験液51が傾斜面S
1に沿って所定の時間内に拡散した距離である拡散距離Dを測定することとをこの順に含む。水平面S
0と傾斜面S
1とがなす傾斜角θは40度以下である。本発明者らの知見によれば、この方法によって測定される拡散距離Dは、吸水性樹脂粒子を用いて製造される吸収性物品の液体漏れの発生の程度と良好な相関を示す。
【0011】
吸水層5は、粘着テープ3の粘着面に吸水性樹脂粒子を固定することにより形成される。吸水層5は、例えば、粘着テープ3の粘着面上に吸水性樹脂粒子を散布し、散布された吸水性樹脂粒子を粘着面に対してローラーで押し付ける方法により、形成することができる。より具体的な一例の場合、長さLが15cmで、幅が5cmの粘着面に、吸水性樹脂粒子を散布し、散布された吸水性樹脂粒子に載せられた質量4.0kgのステンレス製のローラー(径10.5cm、幅6.0cm)を移動させることにより、吸水性樹脂粒子が粘着面に対して押し付けられる。吸水層5の厚さは、1.0±0.2mmであってもよい。
【0012】
平坦な主面を有する支持板1が準備される。支持板1が、水平面S
0を有する台11上に、支持板1の主面が水平面S
0に対して傾斜した傾斜面S
1となる向きで固定される。支持板1は、クランプ等の通常の器具を用いて固定することができる。支持板1は、平滑であれば特に制限されないが、例えばアクリル樹脂板であってもよい。固定された支持板1の傾斜面S
1に対して、吸水層5が固定された粘着テープ3が貼り付けられる。
【0013】
図2は、
図1の支持板1及び吸水層5を、傾斜面S
1に対して垂直な方向から見た平面図である。吸水層5に注入された試験液51が、主に傾斜面S
1を下るように、傾斜面S
1に沿って拡散している。拡散距離Dは、液滴状の試験液50が注入された注入点52から、注入された試験液51が所定の時間内に拡散した距離である。拡散距離Dは、傾斜面S
1と水平面S
0との交線に対して垂直な方向における、注入点52からの試験液51の最大の移動距離として定義される。
図2の場合、通常、支持板1の主面(傾斜面S
1)の短辺1Aが、傾斜面S
1と水平面S
0との交線に相当する。
【0014】
拡散距離Dは、試験液50が吸水層5に注入された時点から所定の時間経過した時点で測定される。ここでの所定の時間は、拡散距離Dが適切に測定できる範囲で適宜調整することができる。具体的には、拡散距離Dを測定するための所定の時間は、例えば10秒以上、又は20秒以上であってもよく、120秒以下、又は60秒以下であってもよい。
【0015】
試験液50は水を含有する。試験液50の成分及び濃度は、吸水性樹脂粒子が用いられる吸収性物品の用途等を考慮して選択することができる。試験液50は、ナトリウムイオン等の金属イオンを含有する水溶液であってもよく、尿を疑似的に再現した人工尿であってもよい。試験液50の一例は、濃度0.780質量%の塩化ナトリウム、濃度0.022質量%の塩化カルシウム、濃度0.038質量%の硫酸マグネシウム、及び水を含有する水溶液(人工尿)である。ここでの各成分の濃度は、水溶液(人工尿)の質量を基準とする濃度である。試験液50は、拡散距離Dが容易に判別できるように、適切な着色剤の添加等により着色されていてもよい。
【0016】
吸水層5に注入される試験液50の温度は、20〜40℃、又は25℃であってもよい。通常、吸水層5も同様の温度の環境下に配置される。
【0017】
吸水層5の上方に配置されたピペット60から滴下された所定量の試験液50が、吸水層5に一度に注入される。ピペット60として、マイクロピペット等の滴下量を定量可能な手段を用いることができる。注入される試験液50の量は、拡散距離Dが適切に測定できる範囲で調整される。例えば、一度に注入される試験液50の量が、0.1〜1.0mL、0.2〜0.8mL、0.2〜0.5mL、又は0.25mLであってもよい。
【0018】
水平面S
0と傾斜面S
1とがなす傾斜角θは、0度を超えて40度以下である。傾斜角θが40度以下であると、拡散距離Dが吸水性樹脂粒子の特性を反映し易いため、吸水性樹脂粒子の液体漏れ性を正確且つ簡便に評価することができる。同様の観点から、傾斜角θは10度以上、20度以上、又は25度以上であってもよい。
【0019】
一実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、以上説明した方法によって評価されたときに、14cm未満の拡散距離Dを示す。ここでの拡散距離Dは、傾斜角θが30度で、試験液50が、濃度0.780質量%の塩化ナトリウム、濃度0.022質量%の塩化カルシウム、濃度0.038質量%の硫酸マグネシウム、及び水を含有する水溶液であり、0.25mLの量で25℃の液滴状の試験液50が吸水層5に注入され、拡散距離Dが測定される所定の時間が、試験液50が吸水層5に注入された時点から30秒であるという条件で測定される。
【0020】
上記条件の方法により測定される14cm未満の拡散距離Dを示す吸水性樹脂粒子を用いることにより、尿等の漏れの発生が十分に抑制された吸収性物品を容易に得ることができる。同様の観点から、吸水性樹脂粒子の拡散距離Dは、11cm以下、10cm以下又は8cm以下であってもよい。拡散距離Dは0cm以上、又は1cm以上であってもよい。
【0021】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の形状としては、球状、破砕状、顆粒状等が挙げられる。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、250〜850μm、300〜700μm、又は、300〜600μmであってよい。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、後述する製造方法により得られた時点で所望の粒度分布を有していてよいが、篩による分級を用いた粒度調整等の操作を行うことにより粒度分布を調整してもよい。前記中位粒子径は、WO2018/181548に記載された方法によって測定することができる。
【0022】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、例えば、エチレン性不飽和単量体を含む単量体の重合により形成された架橋重合体を含むことができる。架橋重合体は、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する。エチレン性不飽和単量体としては、水溶性エチレン性不飽和単量体を用いることができる。なお、本明細書において「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。
【0023】
吸水性樹脂粒子は、エチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合させる工程を含む方法により、製造することができる。重合方法としては、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、バルク重合法、沈殿重合法等が挙げられる。これらの中では、得られる吸水性樹脂粒子の良好な吸水特性の確保、及び、重合反応の制御が容易である観点から、逆相懸濁重合法又は水溶液重合法が好ましい。以下においては、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法として、逆相懸濁重合法を例にとって説明する。
【0024】
エチレン性不飽和単量体は水溶性であることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体がアミノ基を有する場合、当該アミノ基は4級化されていてもよい。エチレン性不飽和単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。上述の単量体のカルボキシル基、アミノ基等の官能基は、後述する表面架橋工程において架橋が可能な官能基として機能し得る。
【0025】
これらの中でも、工業的に入手が容易である観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N−ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに、アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。吸水特性を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが更に好ましい。
【0026】
吸水性樹脂粒子を得るための単量体としては、上述のエチレン性不飽和単量体以外の単量体が使用されてもよい。このような単量体は、例えば、上述のエチレン性不飽和単量体を含む水溶液に混合して用いることができる。エチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体全量に対して70〜100モル%であることが好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が単量体全量に対して70〜100モル%であることがより好ましい。
【0027】
エチレン性不飽和単量体は、通常、水溶液として用いることが好適である。エチレン性不飽和単量体を含む水溶液(以下、単に「単量体水溶液」という)におけるエチレン性不飽和単量体の濃度は、20質量%以上飽和濃度以下が好ましく、25〜70質量%がより好ましく、30〜55質量%が更に好ましい。水溶液において使用される水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
【0028】
単量体水溶液は、エチレン性不飽和単量体が酸基を有する場合、その酸基をアルカリ性中和剤によって中和して用いてもよい。エチレン性不飽和単量体における、アルカリ性中和剤による中和度は、得られる吸水性樹脂粒子の浸透圧を高くし、吸水特性(保水量等)を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体中の酸性基の10〜100モル%であることが好ましく、50〜90モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることが更に好ましい。アルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニアなどが挙げられる。アルカリ性中和剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。アルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態で用いられてもよい。エチレン性不飽和単量体の酸基の中和は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を上述の単量体水溶液に滴下して混合することにより行うことができる。
【0029】
逆相懸濁重合法においては、界面活性剤の存在下、炭化水素分散媒中で単量体水溶液を分散し、ラジカル重合開始剤等を用いてエチレン性不飽和単量体の重合を行うことができる。ラジカル重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。
【0030】
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(「(ポリ)」とは、「ポリ」の接頭語がある場合及びない場合の双方を意味するものとする。以下同じ。)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0031】
W/O型逆相懸濁の状態が良好であり、好適な粒子径を有する吸水性樹脂粒子が得られやすく、工業的に入手が容易である観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性が向上しやすい観点から、界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステルを含むことが好ましく、ショ糖ステアリン酸エステルがより好ましい。
【0032】
界面活性剤の使用量は、使用量に対する効果が充分に得られる観点、及び、経済的である観点から、単量体水溶液100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.08〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部が更に好ましい。
【0033】
逆相懸濁重合では、上述の界面活性剤と共に高分子系分散剤を併せて用いてもよい。高分子系分散剤としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。高分子系分散剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。高分子系分散剤としては、単量体の分散安定性に優れる観点から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、及び、酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0034】
高分子系分散剤の使用量は、使用量に対する効果が充分に得られる観点、及び、経済的である観点から、単量体水溶液100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.08〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部が更に好ましい。
【0035】
炭化水素分散媒は、炭素数6〜8の鎖状脂肪族炭化水素、及び、炭素数6〜8の脂環式炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。炭化水素分散媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。炭化水素分散媒は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0036】
工業的に入手が容易であり、かつ、品質が安定している観点から、炭化水素分散媒は、n−ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。また、同様の観点から、上述の炭化水素分散媒の混合物としては、例えば、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n−ヘプタン及び異性体の炭化水素75〜85%含有)を用いてもよい。
【0037】
炭化水素分散媒の使用量は、重合熱を適度に除去し、重合温度を制御しやすい観点から、単量体水溶液100質量部に対して、30〜1000質量部が好ましく、40〜500質量部がより好ましく、50〜300質量部が更に好ましい。炭化水素分散媒の使用量が30質量部以上であることにより、重合温度の制御が容易である傾向がある。炭化水素分散媒の使用量が1000質量部以下であることにより、重合の生産性が向上する傾向があり、経済的である。
【0038】
ラジカル重合開始剤は水溶性であることが好ましく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2塩酸塩、及び、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}2塩酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0039】
ラジカル重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.00005〜0.01モルであってよい。ラジカル重合開始剤の使用量が0.00005モル以上であると、重合反応に長時間を要さず、効率的である。ラジカル重合開始剤の使用量が0.01モル以下であると、急激な重合反応が起こることを抑制しやすい。
【0040】
上述のラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
【0041】
重合反応の際、重合に用いる単量体水溶液は、連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類等が挙げられる。
【0042】
吸水性樹脂粒子の粒子径を制御するために、重合に用いる単量体水溶液は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。なお、重合時の撹拌速度が同じであれば、単量体水溶液の粘度が高いほど、得られる粒子の中位粒子径は大きくなる傾向にある。
【0043】
重合の際に自己架橋による架橋が生じるが、更に内部架橋剤を用いることで架橋を施してもよい。内部架橋剤を用いると、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御しやすい。内部架橋剤は、通常、重合反応の際に反応液に添加される。内部架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;上述のポリオール類と不飽和酸(マレイン酸、フマール酸等)とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N”−トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の,重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;イソシアネート化合物(2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)などの、反応性官能基を2個以上有する化合物などが挙げられる。内部架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。内部架橋剤としては、ポリグリシジル化合物が好ましく、ジグリシジルエーテル化合物がより好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種が更に好ましい。
【0044】
内部架橋剤の使用量は、得られる重合体が適度に架橋されることにより水溶性の性質が抑制され、充分な吸水量が得られやすい観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0ミリモル以上、0.02ミリモル以上、0.03ミリモル以上、0.04ミリモル以上、又は0.05ミリモル以上であってもよく、0.1モル以下であってもよい。特に、多段の逆相懸濁重合の重合、1段目の重合において、内部架橋剤の量がエチレン性不飽和単量体1モル当たり0.03ミリモル以上であると、小さな拡散距離Dを示す吸水性樹脂粒子が得られ易い。
【0045】
エチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤、必要に応じて内部架橋剤等を含む水相と、炭化水素系分散剤、必要に応じて界面活性剤、高分子系分散剤等を含む油相を混合した状態において撹拌下で加熱し、油中水系において逆相懸濁重合を行うことができる。
【0046】
逆相懸濁重合を行う際には、界面活性剤(必要に応じて更に、高分子系分散剤)の存在下で、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、界面活性剤、高分子系分散剤等の添加時期は、単量体水溶液の添加の前後どちらであってもよい。
【0047】
その中でも、得られる吸水性樹脂に残存する炭化水素分散媒の量を低減しやすい観点から、高分子系分散剤を分散させた炭化水素分散媒に単量体水溶液を分散させた後に界面活性剤を更に分散させてから重合を行うことが好ましい。
【0048】
逆相懸濁重合は、1段、又は、2段以上の多段で行うことができる。逆相懸濁重合は、生産性を高める観点から、2〜3段で行うことが好ましい。
【0049】
2段以上の多段で逆相懸濁重合を行う場合には、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物にエチレン性不飽和単量体を添加して混合し、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、エチレン性不飽和単量体の他に、上述のラジカル重合開始剤及び/又は内部架橋剤を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。なお、2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、必要に応じて内部架橋剤を用いてもよい。内部架橋剤を用いる場合は、各段に供するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
【0050】
重合反応の温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより、経済性を高めると共に、容易に重合熱を除去して円滑に反応を行う観点から、20〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましい。反応時間は、通常、0.5〜4時間である。重合反応の終了は、例えば、反応系内の温度上昇の停止により確認することができる。これにより、エチレン性不飽和単量体の重合体は、通常、含水ゲル状重合体の状態で得られる。
【0051】
重合後、得られた含水ゲル状重合体に架橋剤を添加して加熱することで、重合後架橋を施してもよい。重合後架橋を行なうことで含水ゲル状重合体の架橋度を高め、それにより吸水性樹脂粒子の吸水特性を更に向上させることができる。
【0052】
重合後架橋を行うための架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等の2個以上のエポキシ基を有する化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、及びα−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等の2個以上のイソシアネート基を有する化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好ましい。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0053】
重合後架橋に用いられる架橋剤の量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることにより好適な吸水特性を示すようにする観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0〜0.03モルであることが好ましく、0〜0.01モルであることがより好ましく、0.00001〜0.005モルであることが更に好ましい。前記架橋剤の添加量が上述の範囲内であると、小さな拡散距離Dを示す吸水性樹脂粒子が得られ易い。
【0054】
重合後架橋の添加時期としては、重合に用いられるエチレン性不飽和単量体の重合後であればよく、多段重合の場合は、多段重合後に添加されることが好ましい。なお、重合時および重合後の発熱、工程遅延による滞留、架橋剤添加時の系の開放、及び架橋剤添加に伴う水の添加等による水分の変動を考慮して、重合後架橋の架橋剤は、含水率(後述)の観点から、[重合直後の含水率±3質量%]の領域で添加することが好ましい。
【0055】
引き続き、得られた含水ゲル状重合体から水分を除去するために乾燥を行う。乾燥により、エチレン性不飽和単量体の重合体を含む重合体粒子が得られる。乾燥方法としては、例えば、(a)含水ゲル状重合体が炭化水素分散媒に分散した状態で、外部から加熱することにより共沸蒸留を行い、炭化水素分散媒を還流させて水分を除去する方法、(b)デカンテーションにより含水ゲル状重合体を取り出し、減圧乾燥する方法、(c)フィルターにより含水ゲル状重合体をろ別し、減圧乾燥する方法等が挙げられる。中でも、製造工程における簡便さから、(a)の方法を用いることが好ましい。
【0056】
重合反応時の撹拌機の回転数を調整することによって、あるいは、重合反応後又は乾燥の初期において凝集剤を系内に添加することによって吸水性樹脂粒子の粒子径を調整することができる。凝集剤を添加することにより、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を大きくすることができる。凝集剤としては、無機凝集剤を用いることができる。無機凝集剤(例えば粉末状無機凝集剤)としては、シリカ、ゼオライト、ベントナイト、酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、カオリン、クレイ、ハイドロタルサイト等が挙げられる。凝集効果に優れる観点から、凝集剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、タルク及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0057】
逆相懸濁重合において、凝集剤を添加する方法としては、重合で用いられるものと同種の炭化水素分散媒又は水に凝集剤を予め分散させてから、撹拌下で、含水ゲル状重合体を含む炭化水素分散媒中に混合する方法が好ましい。
【0058】
凝集剤の添加量は、重合に使用するエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.5質量部であることがより好ましく、0.01〜0.2質量部であることが更に好ましい。凝集剤の添加量が上述の範囲内であることによって、目的とする粒度分布を有する吸水性樹脂粒子が得られやすい。
【0059】
吸水性樹脂粒子の製造においては、乾燥工程又はそれ以降のいずれかの工程において、架橋剤を用いて含水ゲル状重合体の表面部分の架橋(表面架橋)が行われることが好ましい。表面架橋を行うことで、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御しやすい。表面架橋は、含水ゲル状重合体が特定の含水率であるタイミングで行われることが好ましい。表面架橋の時期は、含水ゲル状重合体の含水率が5〜50質量%である時点が好ましく、10〜40質量%である時点がより好ましく、15〜35質量%である時点が更に好ましい。なお、含水ゲル状重合体の含水率(質量%)は、次の式で算出される。
含水率=[Ww/(Ww+Ws)]×100
Ww:全重合工程の重合前の単量体水溶液に含まれる水分量から、乾燥工程により系外部に排出された水分量を差し引いた量に、凝集剤、表面架橋剤等を混合する際に必要に応じて用いられる水分量を加えた含水ゲル状重合体の水分量。
Ws:含水ゲル状重合体を構成するエチレン性不飽和単量体、架橋剤、開始剤等の材料の仕込量から算出される固形分量。
【0060】
表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、例えば、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物などが挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。架橋剤としては、ポリグリシジル化合物が好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、及び、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
【0061】
表面架橋剤の使用量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることにより好適な吸水特性を示すようにする観点から、通常、重合に使用するエチレン性不飽和単量体1モルに対して、0.00001〜0.02モルが好ましく、0.00005〜0.01モルがより好ましく、0.0001〜0.005モルが更に好ましい。表面架橋剤の添加量が上述の範囲内であることによって、小さな拡散距離Dを示す吸水性樹脂粒子が得られ易い。
【0062】
表面架橋後において、公知の方法で水及び炭化水素分散媒を留去することにより、表面架橋された乾燥品である重合体粒子を得ることができる。
【0063】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、重合体粒子のみから構成されていてもよいが、例えば、ゲル安定剤、金属キレート剤(エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、例えばジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム等)、及び流動性向上剤(滑剤)等から選ばれる各種の追加の成分を更に含むことができる。追加の成分は、重合体粒子の内部、重合体粒子の表面上、又はそれらの両方に配置され得る。追加の成分としては、流動性向上剤(滑剤)が好ましく、そのなかでも無機粒子がより好ましい。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。
【0064】
吸水性樹脂粒子は、重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子を含んでいてもよい。例えば、重合体粒子と無機粒子とを混合することにより、重合体粒子の表面上に無機粒子を配置することができる。この無機粒子は、非晶質シリカ等のシリカ粒子であってもよい。吸水性樹脂粒子が重合体粒子の表面上に配置された無機粒子を含む場合、重合体粒子の質量に対する無機粒子の割合は、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上であってもよく、5.0質量%以下、又は3.5質量%以下であってもよい。ここでの無機粒子は、通常、重合体粒子の大きさと比較して微小な大きさを有する。例えば、無機粒子の平均粒子径が、0.1〜50μm、0.5〜30μm、又は1〜20μmであってもよい。ここでの平均粒子径は、動的光散乱法、又はレーザー回折・散乱法によって測定される値であることができる。無機粒子の添加量が上述の範囲内であることによって、吸水性樹脂粒子の吸水特性、なかでも小さな拡散距離Dを示す吸水性樹脂粒子が得られ易い。
【0065】
吸水性樹脂粒子を製造する方法の一実施形態は、得られた吸水性樹脂粒子の液体漏れ性を、上述の実施形態に係る方法により評価する工程を更に含んでもよい。例えば、拡散距離Dの測定値が、基準値(例えば14cm)よりも小さい吸水性樹脂粒子を選別してもよい。これにより、吸収性物品の液体漏れを抑制できる吸水性樹脂粒子をより安定して製造することができる。
【0066】
一実施形態に係る吸収体は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子を含有する。本実施形態に係る吸収体は、繊維状物を含有することが可能であり、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物を含む混合物である。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物が均一混合された構成であってよく、シート状又は層状に形成された繊維状物の間に吸水性樹脂粒子が挟まれた構成であってもよく、その他の構成であってもよい。
【0067】
繊維状物としては、微粉砕された木材パルプ;コットン;コットンリンター;レーヨン;セルロースアセテート等のセルロース系繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維;これらの繊維の混合物などが挙げられる。繊維状物は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。繊維状物としては、親水性繊維を用いることができる。
【0068】
吸収体における吸水性樹脂粒子の質量割合は、吸水性樹脂粒子及び繊維状物の合計に対して、2〜100質量%、10〜80質量%又は20〜60質量%であってよい。
【0069】
吸収体の使用前及び使用中における形態保持性を高めるために、繊維状物に接着性バインダーを添加することによって繊維同士を接着させてもよい。接着性バインダーとしては、熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等が挙げられる。接着性バインダーは、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0070】
熱融着性合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の全融型バインダー;ポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイドや芯鞘構造からなる非全融型バインダーなどが挙げられる。上述の非全融型バインダーにおいては、ポリエチレン部分のみ熱融着することができる。
【0071】
ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー、アモルファスポリプロピレン等のベースポリマーと、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤等との混合物が挙げられる。
【0072】
接着性エマルジョンとしては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、2ーエチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、エチレン、及び、酢酸ビニルからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体の重合物が挙げられる。
【0073】
本実施形態に係る吸収体は、無機粉末(例えば非晶質シリカ)、消臭剤、抗菌剤、香料等を含有してもよい。吸水性樹脂粒子が無機粒子を含む場合、吸収体は吸水性樹脂粒子中の無機粒子とは別に無機粉末を含んでいてもよい。
【0074】
本実施形態に係る吸収体の形状は、特に限定されず、例えばシート状であってよい。吸収体の厚さ(例えば、シート状の吸収体の厚さ)は、例えば0.1〜20mm、0.3〜15mmであってよい。
【0075】
本実施形態に係る吸収性物品は、本実施形態に係る吸収体を備える。本実施形態に係る吸収性物品は、吸収体を保形するコアラップ;吸液対象の液が浸入する側の最外部に配置される液体透過性シート;吸液対象の液が浸入する側とは反対側の最外部に配置される液体不透過性シート等が挙げられる。吸収性物品としては、おむつ(例えば紙おむつ)、トイレトレーニングパンツ、失禁パッド、衛生材料(生理用ナプキン、タンポン等)、汗取りパッド、ペットシート、簡易トイレ用部材、動物排泄物処理材などが挙げられる。
【0076】
図3は、吸収性物品の一例を示す断面図である。
図3に示す吸収性物品100は、吸収体10と、コアラップ20a,20bと、液体透過性シート30と、液体不透過性シート40と、を備える。吸収性物品100において、液体不透過性シート40、コアラップ20b、吸収体10、コアラップ20a、及び、液体透過性シート30がこの順に積層している。
図3において、部材間に間隙があるように図示されている部分があるが、当該間隙が存在することなく部材間が密着していてよい。
【0077】
吸収体10は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子10aと、繊維状物を含む繊維層10bと、を有する。吸水性樹脂粒子10aは、繊維層10b内に分散している。
【0078】
コアラップ20aは、吸収体10に接した状態で吸収体10の一方面側(
図3中、吸収体10の上側)に配置されている。コアラップ20bは、吸収体10に接した状態で吸収体10の他方面側(
図3中、吸収体10の下側)に配置されている。吸収体10は、コアラップ20aとコアラップ20bとの間に配置されている。コアラップ20a,20bとしては、ティッシュ、不織布等が挙げられる。コアラップ20a及びコアラップ20bは、例えば、吸収体10と同等の大きさの主面を有している。
【0079】
液体透過性シート30は、吸収対象の液が浸入する側の最外部に配置されている。液体透過性シート30は、コアラップ20aに接した状態でコアラップ20a上に配置されている。液体透過性シート30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる不織布、多孔質シートなどが挙げられる。液体不透過性シート40は、吸収性物品100において液体透過性シート30とは反対側の最外部に配置されている。液体不透過性シート40は、コアラップ20bに接した状態でコアラップ20bの下側に配置されている。液体不透過性シート40としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるシート、これらの合成樹脂と不織布との複合材料からなるシートなどが挙げられる。液体透過性シート30及び液体不透過性シート40は、例えば、吸収体10の主面よりも広い主面を有しており、液体透過性シート30及び液体不透過性シート40の外縁部は、吸収体10及びコアラップ20a,20bの周囲に延在している。
【0080】
吸収体10、コアラップ20a,20b、液体透過性シート30、及び、液体不透過性シート40の大小関係は、特に限定されず、吸収性物品の用途等に応じて適宜調整される。また、コアラップ20a,20bを用いて吸収体10を保形する方法は、特に限定されず、
図3に示すように複数のコアラップにより吸収体を包んでよく、1枚のコアラップにより吸収体を包んでもよい。
【0081】
本実施形態によれば、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子、吸収体又は吸収性物品を用いた吸液方法を提供することができる。本実施形態に係る吸液方法は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子、吸収体又は吸収性物品に吸液対象の液を接触させる工程を備える。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
<検討1>
1−1.吸水性樹脂粒子の作製
実施例1
第1段目の重合反応
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径11cm、内容積2Lの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、n−ヘプタン293g、及び、高分子系分散剤としての無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを入れた。フラスコ内の反応液を攪拌しつつ80℃まで昇温して、高分子系分散剤をn−ヘプタンに溶解させた。その後、反応液を50℃まで冷却した。
【0084】
内容積300mLのビーカーに、濃度80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)を入れた。ビーカーを外部から冷却しつつ、アクリル酸水溶液に対して濃度20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下し、それにより75モル%のアクリル酸を中和した。次いで、アクリル酸水溶液に、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HECAW−15F)、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)及び過硫酸カリウム0.018g(0.068ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を溶解させて、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0085】
第1段目の単量体水溶液を、セパラブルフラスコ内の上述の反応液に添加し、反応液を10分間攪拌した。次いで、n−ヘプタン6.62g及びショ糖ステアリン酸エステル(HLB:3、三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.736gを含む界面活性剤溶液を反応液に添加し、撹拌翼の回転数を550rpmとして反応液を攪拌しながら、系内を窒素で十分に置換した。その後、セパラブルフラスコを70℃の水浴中で加熱しながら、60分間かけて重合反応を進行させた。この重合反応により、含水ゲル状重合体を含む第1段目の重合スラリー液を得た。
【0086】
第2段目の重合反応
内容積500mLのビーカーに、濃度80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)を入れた。ビーカーを外部より冷却しつつ、アクリル酸水溶液に対して濃度27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下し、それにより75モル%のアクリル酸を中和した。次いで、アクリル酸水溶液に、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.129g(0.475ミリモル)、及び過硫酸カリウム0.026g(0.095ミリモル)を溶解させて、第2段目の単量体水溶液を調製した。
【0087】
セパラブルフラスコ内の第1段目の重合スラリー液を、撹拌翼の回転数を1000rpmとして撹拌しながら25℃に冷却した。そこに、第2段目の単量体水溶液の全量を添加し、続いて系内を窒素で30分間かけて置換した。その後、セパラブルフラスコを70℃の水浴中で加熱しながら、60分間かけて重合反応を進行させた。その後、重合後架橋のための架橋剤として濃度2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.580g(0.067ミリモル)を添加した。
【0088】
含水ゲル状重合体を含む反応液に、濃度45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを攪拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、238.5gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0089】
表面架橋反応後の反応液から、125℃での加熱によりn−ヘプタンを留去して、重合体粒子(乾燥品)を得た。得られた重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させた。その後、重合体粒子の質量に対して2.0質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を重合体粒子と混合し、非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子232.2gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は393μmであった。
【0090】
実施例2
第1段目の重合反応におけるラジカル重合開始剤を2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)に変更し、第2段目の重合反応におけるラジカル重合開始剤を2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で、重合体粒子(乾燥品)を得た。含水ゲル状重合体を含む反応液から抜き出した水の量は、247.9gであった。
得られた重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させた。その後、重合体粒子の質量に対して0.5質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を重合体粒子と混合し、吸水性樹脂粒子231.0gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は355μmであった。
【0091】
比較例1
和光純薬工業株式会社製のポリアクリル酸250,000(平均分子量:約250,000)を、比較例1の吸水性樹脂粒子として準備した。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は343μmであった。
【0092】
1−2.漏れ性評価試験
(1)人工尿の調製
塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び硫酸マグネシウムを下記の濃度でイオン交換水に溶解させた。得られた溶液に少量の青色1号加えて、青色に着色した人工尿を得た。得られた人工尿を、漏れ性評価のための試験液として用いた。下記の濃度は、人工尿の全質量を基準とする濃度である。
人工尿組成
NaCl:0.780質量%
CaCl
2:0.022質量%
MgSO
4:0.038質量%
青色一号:0.002質量%
【0093】
(2)試験法−1(吸水性樹脂粒子)
以下のi)、ii)、iii)、iv)及びv)の手順により、吸水性樹脂粒子の液体漏れ性を評価した。
i)長さ15cm、幅5cmの短冊状の粘着テープ(ダイヤテックス株式会社製、パイオランテープ)を粘着面が上になるよう実験台上に置き、その粘着面上に、吸水性樹脂粒子3.0gを均一に散布した。散布された吸水性樹脂粒子の上部に、ステンレス製ローラー(質量4.0kg、径10.5cm、幅6.0cm)を載せ、ローラーを、粘着テープの長手方向における両端の間で3回往復させた。これにより、吸水性樹脂粒子からなる吸水層を粘着テープの粘着面上に形成した。
ii)粘着テープを垂直に立てて、余剰の吸水性樹脂粒子を吸水層から除いた。再度、吸水層に前記ローラーを載せ、粘着テープの長手方向における両端の間で3回往復させた。
iii)温度25±2℃の室内において、長さ30cm、幅55cmの長方形の平坦な主面を有するアクリル樹脂板を、その幅方向が水平面に平行で、その主面と水平面とが10度、20度、30度又は40度をなすように固定した(以下、傾斜面ともいう)。固定されたアクリル板の傾斜面に、吸水層が形成された粘着テープを、吸水層が露出し、その長手方向がアクリル樹脂板の幅方向に対して垂直になる向きで貼り付けた。
iV)吸水層の上端から約1cmの位置で表面から約1cmの高さから、液温25℃の試験液0.25mLを、マイクロピペット(エムエス機器社製ピペットマン・ネオP1000N)を用いて、1秒以内に全て注入した。
v)試験液の注入開始から30秒後に、吸水層に注入された試験液の移動距離の最大値を読み取り、拡散距離Dとして記録した。拡散距離Dは、傾斜面上において、滴下点(注入点)と試験液の最長到達点とを、アクリル樹脂板の短辺に対して垂直方向の直線で結んだ距離である。
【0094】
(3)試験法−2(吸収性物品)
吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ9.5gを空気抄造によって均一混合することにより、12cm×32cmの大きさのシート状の吸収体を作製した。吸水体をコアラップ(ティッシュペーパー)に載せ、吸収体の上にコアラップ(ティッシュペーパー)及び液体透過性シートを載せた。コアラップ及び液体透過性シートによって挟まれた吸収体に対して、588kPaの荷重を30秒間加えた。更に、12cm×32cmの大きさのポリエチレン製液体不透過性シートを液体透過性シートとは反対側の面に貼り付けて、試験用の吸収性物品を得た。
【0095】
図4は、吸収性物品の漏れ性を評価する方法を示す模式図である。平坦な傾斜面S
1を有する長さ45cmの支持板1(ここではアクリル樹脂板)を、水平面S
0に対して45±2度に傾斜した状態で架台41によって固定した。温度25±2℃の室内において、固定された支持板1の傾斜面S
1上に、試験用の吸収性物品100を、その長手方向が支持板1の長手方向に沿う向きで貼り付けた。次いで、吸収性物品100中の吸収体の中央から8cm上方の位置に向けて、吸収性物品の鉛直上方に配置された滴下ロート42から、25±1℃に調整した試験液50(人工尿)を滴下した。1回あたり80mLの試験液を、8mL/秒の速度で滴下した。滴下ロート42の先端と吸収性物品との距離は10±1mmであった。1回目の試験液投入開始から10分間隔で、同様の条件で試験液を繰り返し投入し、試験液は合計で5回投入した。
【0096】
吸収性物品100に吸収されなかった試験液が支持板1の下部から漏れ出た場合、漏れ出た試験液を支持板1の下方に配置された金属製トレイ44内に回収した。回収された試験液の重量(g)を天秤43によって測定し、その値を漏れ量として記録した。比較例1の場合、多量の漏れが発生した2回目の投入の時点で試験を終了した。試験液の全投入量から漏れ量を差し引くことにより、漏れが発生するまでの吸収量を算出した。この数値が大きいほど、着用時における液体の漏れが発生し難いと判断される。
【0097】
(4)結果
評価結果を表1に示す。試験法−1における拡散距離Dの「14*」は、吸水層の下部からの試験液の漏れが発生したことを示す。試験法−2の結果から、実施例1及び実施例2の吸水性樹脂粒子は、比較例1の吸水性樹脂粒子と比較して、漏れの発生が抑制された吸収性物品を与えるといえる。試験法−1において傾斜角θが45度である場合、実施例2及び比較例1はともに14cmを超える拡散距離Dを示したために吸水層の下部からの試験液の漏れを生じており、この結果からは吸収性物品の漏れ性の差を予測することができない。一方、傾斜角θが40度以下であれば、拡散距離Dは吸収性物品の漏れ性と良好な相関を示していることが分かる。
【0098】
【表1】
【0099】
<検討2>
2−1.吸水性樹脂粒子の作製
実施例3
実施例2と同様の手順で、重合体粒子(乾燥品)の質量に対して0.5質量%の非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子229.2gを得た。ただし、共沸蒸留により含水ゲル状重合体を含む反応液から系外に抜き出した水の量は239.7gであった。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は377μmであった。
【0100】
実施例4
非晶質シリカの量を、重合体粒子(乾燥品)の質量に対して0.2質量%に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で、吸水性樹脂粒子232.1gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は396μmであった。
【0101】
比較例2
第1段目の重合反応におけるラジカル重合開始剤を2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)に変更し、第2段目の重合反応におけるラジカル重合開始剤を2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)に変更したこと、第2段目の重合反応における内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を用いたこと、重合後架橋のための架橋剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の手順で、重合体粒子(乾燥品)を得た。共沸蒸留により含水ゲル状重合体を含む反応液から抜き出した水の量は、256.1gであった。
得られた重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させた。その後、吸水性樹脂粒子の重合体粒子の質量に対して0.1質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を重合体粒子と混合し、吸水性樹脂粒子230.8gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は349μmであった。
【0102】
比較例3
第1段目の重合反応における内部架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルの量を0.0046g(0.026ミリモル)に変更し、第2段目の重合反応における内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を用いたこと、重合後架橋のための架橋剤を添加しなかったこと、表面架橋剤としての濃度2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液の量を6.62g(0.761ミリモル)に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で、重合体粒子(乾燥品)を得た。共沸蒸留により含水ゲル状重合体を含む反応液から抜き出した水の量は、219.2gであった。
得られた重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させた。その後、重合体粒子の質量に対して0.20質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を重合体粒子と混合し、吸水性樹脂粒子229.6gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は356μmであった。
【0103】
比較例4
第1段目の重合反応における内部架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルの量を0.0046g(0.026ミリモル)に変更したこと、第2段目の重合反応における内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を用いたこと、重合後架橋のための架橋剤を添加しなかったこと、以外は実施例1と同様の手順で、重合体粒子(乾燥品)を得た。共沸蒸留により含水ゲル状重合体を含む反応液から抜き出した水の量は、234.2gであった。
得られた重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させた。その後、重合体粒子の質量に対して0.20質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を重合体粒子と混合し、吸水性樹脂粒子229.6gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は355μmであった。
【0104】
2−2.液体漏れ性評価試験
試験法−1及び試験法−2によって、吸水性樹脂粒子及び吸収性物品の液体漏れ性を評価した。試験法−1における傾斜角θは30度に固定した。実施例1〜4、及び比較例2〜4の評価結果を表2にまとめて示す。試験法−1における拡散距離Dの「14*」は、吸水層の下部からの試験液の漏れが発生したことを示す。試験法−1によって得られる拡散距離は、吸収性物品の漏れ性と良好な相関を示した。加えて、拡散距離が14cm未満である実施例1〜4の吸水性樹脂粒子が、漏れの発生が十分に抑制された吸収性物品を与えることも確認された。
【0105】
【表2】
【課題】吸水性樹脂粒子が吸収性物品に用いられたときの吸収性物品からの液体漏れの発生の程度を、高い精度で評価する方法を提供すること、及び、吸収性物品からの液体漏れの発生を抑制することに効果的に寄与できる、吸水性樹脂粒子を提供すること。