特許第6682525号(P6682525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682525ポリオレフィンフィルム用ホットメルト接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682525
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ポリオレフィンフィルム用ホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/00 20060101AFI20200406BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20200406BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200406BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20200406BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20200406BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20200406BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   C09J123/00
   C09J11/08
   C09J11/06
   B32B27/32 Z
   B32B27/00 D
   B65D30/02
   B65D65/40 D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-522112(P2017-522112)
(86)(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公表番号】特表2017-538803(P2017-538803A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2015074452
(87)【国際公開番号】WO2016062797
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】102014221553.6
(32)【優先日】2014年10月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ハールフターカンプ
(72)【発明者】
【氏名】エックハルト・ピュルクナー
(72)【発明者】
【氏名】アンディ・スウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・クリングベルク
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・ヒューベンタール
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・エッカース
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シュトレンガー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・クレーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ミルズ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・カスパース
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュレットレ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・イーズダウン
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−057397(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0132886(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/070091(WO,A1)
【文献】 特表2008−545811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 27/00,27/32
B65D 30/02,65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)25〜95重量%の少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマー;
b)1〜10重量%の少なくとも1つの粘着付与性樹脂;
c)0〜15重量%の少なくとも1つの可塑剤;ならびに
d)安定剤、接着促進剤、充填剤もしくは顔料、ワックスおよび/または他のポリマー、またはその組合せから選択される0〜30重量%の少なくとも1つの添加剤および/または助剤
を含有するホットメルト接着剤であって、
該少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーは:
a1)該ポリオレフィン系ポリマーの総量に対して50〜80重量%の量の<10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第1ポリオレフィン系ポリマーと、
a2)該ポリオレフィン系ポリマーの総量に対して20〜50重量%の量の>10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第2ポリオレフィン系ポリマーと
の混合物であり、
該少なくとも1つの粘着付与性樹脂は、少なくとも1つのコロホニー系の天然樹脂またはトール油樹脂またはそのメチル、ペンタエリスリトールもしくはグリセリンエステルを含む樹脂または樹脂混合物である
ことを特徴とする、ホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーは、ポリオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
可塑剤は、ポリ(イソ)ブチレンおよび液状またはペースト状の水添型炭化水素から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記少なくとも1つの添加剤および/または助剤は、ホットメルト接着剤に対して、0.1〜3重量%の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
ホットメルト接着剤は、160℃で500〜100,000mPas(ブルックフィールド CAP,スピンドル8)の範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
フィルム状基材、織布または不織布を接着するための請求項1〜のいずれかに記載のホットメルト接着剤の使用。
【請求項7】
少なくとも2つのポリオレフィンフィルムを長手方向および/または底部の接着の形態で部分的表面接着することを含む、ポリオレフィンフィルムからなる包材、ポリオレフィンからなるフィルムを含む包装袋またはパウチの製造方法であって、請求項1〜のいずれかに記載のホットメルト接着剤を該接着に使用することを特徴とする、方法。
【請求項8】
ポリオレフィンフィルムは、該ポリオレフィンフィルムの総重量に対して少なくとも80重量%の、任意に表面処理または表面コートされたポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)からなるフィルムであることを特徴とする、請求項に記載の使用または請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法により得ることができる、ポリオレフィンフィルムからなる包材。
【請求項10】
少なくとも2つの基材を部分的表面接着または全面接着することを含む、接着された織布または不織布の製造方法であって、少なくとも1つの基材が織布または不織布であること、および請求項1〜のいずれかに記載のホットメルト接着剤を該接着に使用することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の添加剤と一緒になって改善された移行特性を有するホットメルト接着剤をもたらすポリオレフィン系ポリマーをベースにして製造される、フィルム状基材、織布または不織布、特に、ポリオレフィンフィルムを接着するためのホットメルト接着剤に関する。さらに、かかるホットメルト接着剤の好適な使用ならびにこのような接着剤を含有している、および/または該接着剤を用いて製造され得る製品を記載する。本発明はさらに、本発明の具体的なホットメルト接着剤を使用するポリオレフィンフィルムからなる包材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン製の市販のバッグおよびパウチは、典型的には、互いに重ね合わせた2つのプラスチックウェブの熱溶着、または互いに重ね合わせた2つのプラスチックウェブを側面(サイドシーム)ならびに底部(ボトムカバーシート)で接着することのいずれかによって製造される。
【0003】
長年、スチレン−イソプレン−スチレンゴムおよびスチレン−ブタジエン−スチレンゴム系の感圧接着剤が、バッグおよびパウチの製造の際に、このようなポリオレフィン系材料を接着するために使用されている。
【0004】
ポリオレフィン系材料は接着させ難いこと、ならびに−20〜80℃の広い温度範囲における接着性および粘着凝集性に関する厳しい要件のため、このようなゴムには、接着性を改善するために大量の助剤を添加しなければならいが、これは、かかる助剤なしでは接着性の質が不充分なためである。とりわけ、接着性の樹脂および油類がこの場合、助剤として使用される。
【0005】
接着性の樹脂は、化学的に非常に多様な物質であり得るが、通常、アビエチン酸(コロホニー)のエステルまたはテルペンフェノール系樹脂である。鉱油(一方においてパラフィン系油および他方においていわゆるナフテン系油)は、このようなゴム系接着剤の充分に軟性で表面粘着性の膜を得るために特に適していることが示されている。
【0006】
しかしながら、これまで使用されているゴム系接着剤は、多くの点で不都合である。1つには、入手可能性が多くの場合限定的な石油系原料をベースにした特別な樹脂が大量に必要とされる。さらに、このような樹脂の合成は高価である。このような事実に鑑みると、このような樹脂はコストの点で不都合である。さらに、このような樹脂はバッグ/パウチの内容物に移る場合があり得る特徴的な固有の臭気を有しており、これは、特に食品業界には歓迎されない。
【0007】
その上、使用される油類もまた、深刻な欠点を有する。樹脂と同様、原油ベースであり、したがって、コストおよび資源の先細りの観点で既に不都合である。さらに、上記油類は、充填品に移り、したがって、特に食品や医薬品の部門では消費者に高い有害性の可能性をもたらす、特に多環式芳香族画分などを含む多数の化合物を含有している。これに関連して、上記油類は、低い分子量および室温であっても低い極性のため、非常に低粘度の液状物であり、したがって、樹脂およびポリマーと混合した場合であっても高い移行能を保持していることは特に不都合である。この移行能は、被着材の浸透と充填品中への浸透の両方をいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、消費者に対するより大きな製品安全性を確保するために、かかる助剤の使用が低減され得るか、またはさらには完全に回避され得るさらなる接着剤の必要性が存在している。しかしながら、同時に、使用される接着剤は、既知の接着剤のものと同等の接着効果(接着性/粘着凝集性)および柔軟性を有しているのがよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、ポリオレフィン系ポリマーをベースにした新規な接着剤、特に、ホットメルト接着剤を提供することによってこの問題が解決される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、第1の態様において、本発明は、
a)25〜95重量%、好ましくは50〜85重量%の少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマー;
b)1〜75重量%、好ましくは1〜40重量%の少なくとも1つの粘着付与性樹脂;
c)0〜15重量%の少なくとも1つの可塑剤;ならびに
d)安定剤、接着促進剤、充填剤もしくは顔料、ワックスおよび/または他のポリマーまたはその組合せから選択される0〜30重量%の少なくとも1つの添加剤および/または助剤を含有するホットメルト接着剤であって、該少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーは、
a1)該ポリオレフィン系ポリマーの総量に対して20〜80重量%の量の<10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第1ポリオレフィン系ポリマーと、
a2)該ポリオレフィン系ポリマーの総量に対して20〜80重量%の量の>10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第2ポリオレフィン系ポリマーとの混合物であることを特徴とする、ホットメルト接着剤に関する。
【0011】
また、別の態様では、本発明は、フィルム状基材、特に、ポリオレフィンフィルム、織布または不織布を接着するための本発明によるホットメルト接着剤の使用に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、少なくとも2つのポリオレフィンフィルムを長手方向(longitudinal)および/または底部(bottom)の接着の形態で部分的表面接着することを含む、ポリオレフィンフィルムで作製された包材、特に、ポリオレフィンで作製されたパウチの製造方法であって、接着に本発明によるホットメルト接着剤を使用する方法に関する。また、本発明は、少なくとも2つの基材を部分的表面接着または全面接着することを含む、接着された織布または不織布の製造方法であって、少なくとも1つの基材が織布または不織布であること、および本発明によるホットメルト接着剤を該接着に使用することを特徴とする方法に関する。
【0013】
最後に、また別の態様では、本発明はまた、本発明による方法により得られ得るポリオレフィンフィルムで作製された包材、特に、ポリオレフィンで作製された1つ以上のフィルムを備えたパウチまたはバッグに関する。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様、特色および利点は、以下の詳細説明を検討することによって当業者に明らかとなろう。本発明の一態様による任意の特色が本発明の任意の他の態様において使用され得る。さらに、本明細書に含めた実施例は、本発明の説明と例示を意図したものであって限定を意図したものではないこと、および特に、本発明はこのような実施例に限定されないことは容易に理解されよう。特に記載のない限り、表示したパーセンテージはすべて重量基準である。また、“xからyまで(x〜y)”の形式で示した数値範囲は、記載の値を含む。いくつかの好ましい数値範囲がこの形式で示されている場合、種々の両端の組合せにより得られるすべての範囲もまた包含されていることは自明である。
【0015】
特に記載のない限り、本文中に示す分子量は分子量の数平均(M)をいう。分子量Mは、末端基に基づいた分析(DIN 53240−1:2013−06によるヒドロキシ価)、またはDIN 55672−1:2007−08によりTHFを溶離剤としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。そうでないことを記載している場合を除き、記載の分子量はGPCによって求めたものである。また、分子量の重量平均MもGPCによって求めることができる(既報のとおり)。
【0016】
本明細書で用いる場合、「少なくとも1」は、1またはそれ以上、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上をいう。成分に関して、この表現は成分の種類を示し、分子の絶対数を示すものではない。したがって、「少なくとも1つの樹脂」は、少なくとも1つの型の樹脂、例えば、すなわち、1つの型の樹脂またはいくつかの異なる樹脂の混合物が使用され得ることを意味する。重量データとともに、この表現は、組成物/混合物に含まれている記載の型のすべての化合物を示す、すなわち組成物は、記載の量の対応する化合物以外のこの型の他の化合物はいずれも含有していないことを示す。
【0017】
本発明のホットメルト接着剤は少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーを含有しており、該ポリマーは、その総重量に対して20〜80重量%の<10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第1ポリオレフィン系ポリマーと、20〜80重量%の>10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第2ポリオレフィン系ポリマーとを合計が100%となるように含有している。より好ましい一実施形態では、本発明のホットメルト接着剤は少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーを含有しており、該ポリマーは、その総重量に対して50〜80重量%の<10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第1ポリオレフィン系ポリマーと、20〜50重量%の>10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第2ポリオレフィン系ポリマーとを合計が100%となるように含有している。
【0018】
好ましい実施形態では、本発明によるホットメルト接着剤において、a1)のMが<10,000g/molであり、a2)のMが>25,000g/molであり;より好ましくは、a1)のMが<9,000g/molであり、a2)のMが>50,000g/molであり、最も好ましくは、a1)のMが<8,000g/molであり、a2)のMが>100,000g/molである。他の好ましい実施形態では、上記の範囲に加えて、a1)の下限が1,000g/molであり、a2)の上限が500,000g/molである。
【0019】
ポリオレフィン系ポリマーとして、ポリオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーは、特に好ましくは、エチレン、プロペンおよび/またはブテンに基づくポリ−α−オレフィン、好ましくはアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)、ならびにエチレン/α−オレフィンおよびプロピレン/α−オレフィンコポリマー、好ましくはエチレンとプロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンとのコポリマー、またはその組合せからなる群より選択される。
【0020】
本発明による好適なコポリマーはブロックコポリマーであり得、そのブロックは任意に異なるモノマー組成を有するものであり得る。
【0021】
好ましい実施形態では、ポリオレフィン系ポリマーは、狭い分子量分布を有することを特徴とするものである。M/Mで表示される分子量分布は、好ましくは2.5、より好ましくは2.3未満であるのがよい。かかるポリマーは文献において知られており、種々の製造業者から市販品として入手可能である。
【0022】
エチレン/プロピレンと少なくとも1つの(C〜C20)−α−オレフィンモノマーとの好適なコポリマー、特に、メタロセン触媒型ポリマーは、例えば、特許出願EP0912646A1、WO00/00565A1、WO2001/46277A2、WO2006/102150A2、WO2005/090426A1、WO2010/026172A1およびWO2010/070046A1、ならびにUS6586543B1に記載されている。かかるコポリマーは市販の、例えば、商標名Infuse(商標)(Dow Chemical Corporation)、特に、Infuse(商標)9807もしくは9808またはQueo(商標)(Borealis)、特に、Queo(商標)8230のオレフィンブロックコポリマーである。また、他の好適なオレフィンプラストマーが、商標名Vistamaxx(商標)(Exxon)およびAffinity(商標)(Dow Chemical Company)で入手可能である。また、Evonikから商標名Vestoplast(登録商標)で入手可能なポリ−α−オレフィンも本発明によれば好適である。
【0023】
本発明によるホットメルト接着剤はまた、少なくとも1つの樹脂も含有している。該樹脂は、ベースポリマーに粘着付与することが意図されたものである。これは一般的に、ホットメルト接着剤の総重量に対して1〜75重量%、特に1〜40重量%の量で使用される。使用される樹脂の量はできるだけ少なくなるように、例えば、ホットメルト接着剤の総重量に対して1〜10重量%の範囲となるように選択されることが本発明によれば好ましい。
【0024】
原則的に、既知の樹脂、例えば、芳香族、脂肪族または脂環式の炭化水素樹脂などが使用され得る、また、これらは各々、完全または部分水添型の(hydrated)形態ならびに変性または水添された天然樹脂である。本発明との関連において使用され得る好適な樹脂としては、脂環式の炭化水素樹脂、テルペン樹脂、例えば、テルペンのターポリマーまたはコポリマー、コロホニー系の天然樹脂またはトール油樹脂、例えば、その誘導体、例えば、そのメチル、ペンタエリスリトールまたはグリセリンエステルなど、他の変性天然樹脂、例えば、バルサム樹脂、トール油樹脂またはルート(root)樹脂由来の樹脂酸、また、任意にそのヒドロアビエチルアルコールおよびエステル、アクリル酸コポリマー、例えば、スチレン−アクリル酸コポリマーまたはエチレン、アクリル酸エステルおよび無水マレイン酸のコポリマー、あるいは官能性炭化水素樹脂系の樹脂が挙げられる。
【0025】
コロホニー系の天然樹脂またはトール油樹脂は、特に、製紙の副産物としてのコニファー(conifer)から得られる。コロホニー樹脂は典型的には、8種類の樹脂酸、すなわち、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸、ピマル酸、イソピマル酸およびサンダラコピマル(sandaracopimaric)酸の混合物である。この樹脂を、水素化、エステル化(好ましくはアルコール、例えば、メタノール、トリエチレングリコール、グリセリンおよびペンタエリスリトールで)、二量体化ならびに官能基化によって変性させてもよい。官能基化は好ましくは、ポリオールエステル(例えば、上記のもの)の二酸(例えば、マレイン酸またはフマル酸)でのさらなるエステル化をいう。好適な樹脂は、例えば、商標名Sylvatac(登録商標)(Arizona Chemical)、特に、Sylvatac(登録商標)RE85、Staybelite(商標)Aロジン酸(Pinova Inc.)Staybelite(商標)Eロジンエステル(Eastman)およびPEXALYN(登録商標)T100(Pinova Inc)で入手可能である。
【0026】
該少なくとも1つの粘着付与性樹脂は1種類の樹脂または好ましくは上記の樹脂の混合物であり得る。
【0027】
種々の実施形態において、該樹脂は、完全または部分水添型の炭化水素樹脂および/または少なくとも1つのコロホニー系の天然樹脂もしくはトール油樹脂またはメチル、ペンタエリスリトールもしくはグリセリンエステル、またはその組合せを含む。特に、該少なくとも1つの完全または部分水添型の炭化水素樹脂は脂環式の樹脂、芳香族変性樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール系樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、2−メチル−2−ブテンコポリマー、または前述のものの誘導体もしくは組合せであり得る。
【0028】
例示的な混合物の一例は、95〜105℃の軟化点を有する芳香族変性されたC炭化水素樹脂、例えば、商標名Wingtack(商標)Extra Flakes(Cray Valley,USA)で市販されているものなど、および室温で液状である芳香族変性された水添型のC炭化水素樹脂、例えば、商標名Regalite(商標)R(Eastman,USA)で市販されているものなどからなるものである。
【0029】
一般に、80〜130℃の軟化点を有する樹脂または樹脂混合物が好ましく使用される。別の特別な実施形態では50℃より下の軟化点を有する樹脂が使用され;特に、このようなものもまた液状物であり得る。
【0030】
軟化点はRing & Ball法(ASTM法E28;ISO 4625)を用いて測定される。
【0031】
ホットメルト接着剤に含有され得る別の成分は可塑剤である。これは、一般的には、鉱油、ポリ(イソ)ブチレンおよび液状またはペースト状の水添型の炭化水素から選択され得る。これは好ましくは、DIN 51818による稠度番号000、00、0、1、2、3、4または5を有する水添型の炭化水素である。
【0032】
好適な可塑剤としては、限定されないが、医療用ホワイトオイル、ナフテン系鉱油、ポリプロピレン、ポリイソブチレンおよびポリイソプレンオリゴマー、水添型のポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、フタレート、アジペート、植物油または動物油、ならびにその誘導体が挙げられる。水添型の可塑剤は、例えば、パラフィン系炭化水素油の群から選択される。また、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールならびにポリメチレングリコールも好適である。また、例えば、液状のポリエステルおよびグリセリンエステルなどのエステルを可塑剤として使用することもできる。ポリブチレンオリゴマーの分子量Mは好ましくは200〜6,000g/molの範囲であるのがよく、ポリオレフィンは約2,000g/molまで、特に1,000g/molまでの分子量Mを有するものであるのがよい。特に、ポリ(イソ)ブチレンおよび液状またはペースト状の水添型の炭化水素が好適である。5000未満の分子量Mを有するポリイソブチレンは特に非常に好ましい。種々の好ましい実施形態において、本発明による接着剤は可塑剤を含んでいないものである、および/または可塑剤成分は、鉱油、特に、パラフィン系および/またはナフテン系油ならびに芳香族炭化水素を含んでいないものである。
【0033】
本発明において、「〜を含んでいない」とは、対応する成分の濃度が組成物の総重量に対して<0.1重量%、好ましくは<0.01重量%であることを意味する。
【0034】
可塑剤の量は0〜最大15重量%であるのがよい。過剰な可塑剤分率では接着剤の粘着凝集特性の低下がもたらされる場合があり得る。
【0035】
任意に、ワックスがホットメルト接着剤に0.5〜5重量%の量で添加され得る。この量は、粘度が所望の範囲まで低下するが接着性にマイナスの影響を及ぼさないように計量する。ワックスは天然起源のものであってもよく、また、化学変性された形態または合成起源のものであってもよい。植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックスまたは石油化学系ワックスが天然ワックスとして使用され得る。例えば、モンタンエステルワックス、サゾールワックスなどの硬性ワックスが化学変性ワックスとして使用され得る。ポリアルキレンワックスならびにポリエチレングリコールワックスが合成ワックスとして使用される。好ましくは、石油化学系ワックス、例えばワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよび合成ワックスが使用される。パラフィン系および/またはマイクロクリスタリンワックスおよび/またはその水添型の変形型が特に好ましく、特に、ASTM D−3954による測定時の滴点が50℃〜170℃であるポリプロピレンまたはポリエチレンワックスが特に好ましい。
【0036】
上記の成分の他に、本発明によるホットメルト接着剤に、ホットメルト接着剤に添加剤として通常使用される他の成分を含有させてもよい。このようなものとしては、例えば、安定剤、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤および/または顔料が挙げられる。このようにして、接着剤の特定の特性、例えば粘着凝集性、安定性、接着性または強度などに影響を及ぼすことができる。添加剤および助剤の量は好ましくは0〜3重量%であり得る。特に好ましい添加剤としては、熱分解および酸化的分解ならびにUV照射に起因する分解に対する安定剤が挙げられる。
【0037】
安定剤または接着促進剤などの添加剤は当業者に知られている。このようなものは市販品であり、当業者が所望の特性に応じて選択することができる。ポリマーブレンドと適合性であることが確実でなければならない。例えば、商標名Irganox(登録商標)(BASF SE)で入手可能な酸化防止剤が安定剤として、好ましくは組成物に対して0.5〜1重量%の量で使用され得る。
【0038】
任意の成分として、本発明によるホットメルト接着剤に、本発明によるコポリマーとは異なるさらなるポリマーを0〜8重量%、特に2〜5重量%で含有させてもよい。特に、このようなポリマーの量は、本発明による要件のオレフィン系ポリマーの量より少ないのがよい。このようなポリマーは、ホットメルト接着剤の種々の塗布関連の特性、例えば、塗布された接着剤の負荷下での熱安定性、低温柔軟性、粘着凝集性および接着性を改善し得るものである。このようなさらなるポリマーは好ましくは、製造条件下および保存条件下で架橋する基を有していないものである。
【0039】
したがって、他の実施形態では、ホットメルト接着剤はさらに、カルボキシル基および/または無水物基を有するオレフィンおよび(メタ)アクリル酸エステル系の少なくとも1つの弾性ポリマーを含有するものであり得る。オレフィンモノマーは、既知のC〜Cオレフィン、特に、エチレンまたはプロピレンから選択され得る。(メタ)アクリル酸エステルは、低分子量C〜Cアルカノールとの(メタ)アクリル系エステルから選択され;特に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが単独または混合物で好適である。また、コポリマーもカルボキシル基および/または無水物基を有するものでなければならない。これは、対応する官能性モノマーとの重合によって、またはポリオレフィンコポリマーの後修飾によって存在させ得る。例えば、酸化によってCOOH基を導入することが可能である。さらに、COOHまたは無水物基をポリマー内に、例えば、無水マレイン酸、COOHまたは無水物基とのラジカルグラフト反応によって導入することが可能である。190℃で2.6kgの試験荷重(ISO 1133による)において100〜300/10分のメルトフローインデックスを有するエチレン、アクリル酸エステルおよび無水マレイン酸のターポリマーが特に好ましい。
【0040】
かかるポリマーは通常、3,000〜50,000g/mol、特に8,000〜25,000g/molの分子量(M)を有するものである。COOH/無水物基の量は、特に1〜100mg KOH/g、特に好ましくは5〜50mg KOH/gである。カルボキシル基数が多いと、ホットメルト接着剤の成分の適合性に問題となる。軟化点は50℃〜150℃、特に90〜110℃の範囲であるのがよい。COOH基担持ポリマーの量は0〜15重量%、特に0.5〜10重量%であるのがよい。カルボキシル基を有する好適なポリマーは市販されており、当業者に知られている。
【0041】
弾性ポリマーはホットメルト接着剤の柔軟性に影響を及ぼすものであるが、粘着凝集性は、非柔軟性の熱可塑性のさらなるポリマーの画分によって改善され得る。特に、既知の熱可塑性ポリマー(EVAなど)および高分子量ポリオレフィン(ポリ−1−ブテンなど)が好適である。
【0042】
好ましい実施形態では、ホットメルト接着剤は多環式芳香族炭化水素を含んでいないものである。
【0043】
本発明によるホットメルト接着剤は既知の方法により、溶融物の状態で混合することによって製造される。すべての成分が同時に投入され、加熱され、次いで均質化され得るか、またはより容易に溶融する成分が最初に投入されて混合された後、硬性樹脂成分が投入されて混合される。また、ホットメルト接着剤を押出機内で連続的に製造することも可能であり、好ましい。好適なホットメルト接着剤は固形であり、不純物が除かれ溶剤を含んでいない。
【0044】
本発明による好適なホットメルト接着剤は好ましくは、160℃(ブルックフィールド RVT,スピンドル27)での測定時、約500mPas〜100.000mPas、特に好ましくは5,000〜20,000の粘度を有するものである。また、70℃より高い、特に80℃より高い軟化点(Ring & Ball,ASTM E 28)を有するものであることが好ましい。
【0045】
本明細書に記載のホットメルト接着剤は、フィルム状基材を接着するのに、好ましくは少なくとも2つのフィルムウェブを、より好ましくはサイドシームまたはボトムシームの形態で接着するためのホットメルト接着剤として特に適している。フィルム容器を製造するための別の好ましい可能性は、1枚のフィルムシートまたは1枚のフィルムウェブを、例えばマンドレルによって折り畳み、少なくとも何回かに分けて(in portions)折り畳むことによって得られたフィルム部分同士を、好ましくは少なくとも1つの縁部領域で一体に接着することからなるものである。例えば、フィルムウェブを折り畳み、このようにして得られたフィルム部分同士をフィルムウェブの全長に沿って一体に接着する場合、フィルムチューブが作製され、次いで、これは、例えばフィルムウェブの長軸に対して直角に切断され、別の縁部領域で任意に接着され得る。
【0046】
多種多様なフィルム包材、例えば、バッグまたはパウチなどがこのようにして作製され得る。また、本発明のホットメルト接着剤は、織布または不織布を接着するためにも適している。
【0047】
とりわけバッグおよびパウチに使用されるこのようなフィルム状基材のための材料として、ポリオレフィン、特に、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)が好ましく使用され、これを、ウェブ材として、または表面処理もしくはコーティングありもしくはなしの別の形態の包材に使用することが可能である。表面前処理材としては、例えばPEおよびPPが挙げられ、前処理は、コロナ処理または表面張力を高めるための関連手法またはアクリレートでのポリオレフィンのプレコートを伴うものであり得る。あるいはまた、他の前処理、例えば、ガスフレームまたはエチレン酢酸ビニル(EVA)コーティングを伴うものなども想定され得る。
【0048】
ポリオレフィンフィルム材料には通常の助剤が混合され得る。このような助剤は、より良好な印刷適性をもたらすため、静電気防止効果をもたらすため、ロール材として展開性(unrollability)を確保するためなどに使用される。しかしながら、このような材料はすべて、主成分として、すなわち、該ポリオレフィンフィルム材の総重量に対して少なくとも80重量%の対応するポリオレフィンを有する。
【0049】
種々の手法および方法が、かかるフィルムのバッグおよびパウチの作製を可能にするために使用され得る。例えば、加圧コーティング、共押出しコーティング、フラットフィルム共押出しおよびブローンフィルム共押出しが好適である(Plastics Extrusion Technology,Friedhelm Hensen(編),Carl Hanser Verlag Munich,1988参照)。
【0050】
長手方向および底部の接着には、この目的のための当業者に知られた技術、例えば、ノズル、ホイールまたはプリンティングブロック(printing block)を用いた塗布が使用され得る。
【0051】
接着剤関連の目的のための使用を可能にするため、本発明の接着剤は好ましくは、パッドまたは粒状物(これ自体は、高温での押出し、続いて切断、特に、ストランドカット(例えば、冷水によって冷却後)によって作製された)の形態で存在させる。
【0052】
特に粘着性の製品の場合、接着剤をシリコーンペーパーまたは適切なプラスチックフィルム内にパックすることが好都合であり得る。包材の製造時、本発明のホットメルト接着剤は少なくとも2つの素材間に塗布され得る。
【0053】
本発明の一態様は、特に、記載の接着フィルムに含有される食品用の上記包材を対象としている。
【0054】
上記において何回か既に記載のように、包材はバッグまたはパウチの形態であり得る。このようにして製造される包材は、数多くの用途:例えば、食品包材として、特に、パン、焼いた食品、菓子類、香辛料、お茶、コーヒー、チーズ、ソーセージ、および消費する前にオーブンまたは電子レンジで加熱されるような食品用に使用され得る。また、かかる包材は、医薬、ウェットティッシュ、クリーニングクロスなどにも適しており、洗浄乳剤または美容的に活性な物質をクロスに添加することが可能である。
【0055】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図したものであるが、本発明は本実施例により限定されない。
【実施例】
【0056】
実施例1:接着剤配合物
以下において、用語「炭化水素樹脂」は「HC樹脂」とも称する。
ガラス転移温度TはDIN EN 1427に従って測定した。
融解粘度はDIN 53019に従って測定した。
分子量Mは、上記のように、DIN 55672に従って測定した。
組成に関して以下の成分を含有する接着剤組成物を調製した:
【0057】
配合物1:
ポリ−α−オレフィン(M 5,000g/mol;T 96℃;融解粘度2,500mPas) 70.0重量%
ポリ−α−オレフィン(M 18,100g/mol;T 107℃;融解粘度50,000mPas) 15.0重量%
Escorez 5400(ExxonMobil Chemical)、脂環式HC樹脂 5.0重量%
Polybut 10(Productos Uhpon)、ポリイソブチレン 9.5重量%
Irganox 1010(BASF SE)、酸化防止剤 0.5重量%
【0058】
このようにして得られた生成物は、ポリオレフィン系バッグ材上において、非常に高レベルの粘着凝集性とともに非常に良好な接着性を示した。
【0059】
配合物2:
ポリ−α−オレフィン(M 5,000g/mol;T 96℃;融解粘度2,500mPas) 70.0重量%
ポリ−α−オレフィン(M 18,100g/mol;T 107℃;融解粘度50,000mPas) 15.0重量%
Sylvatac RE 85(Arizona Chemical),コロホニーグリセロールエステル 5.0重量%
Polybut 10(Productos Uhpon)ポリイソブチレン 9.5重量%
Irganox 1010(BASF SE)、酸化防止剤 0.5重量%
【0060】
このようにして得られた生成物は、配合物1よりもいっそう大きな接着性を有していた。
【0061】
配合物3:
ポリ−α−オレフィン(M 5,000g/mol;T 96℃;融解粘度2,500mPas) 15.0重量%
ポリ−α−オレフィン(M 18,100g/mol;T 107℃;融解粘度50,000mPas) 40.0重量%
Regalite S1100(Eastman Chemical Company)、脂環式HC樹脂 29.5重量%
Polybut 10(Productos Uhpon)、ポリイソブチレン 12.0重量%
Polybut 30(Productos Uhpon)、ポリイソブチレン 3.0重量%
Irganox 1010(BASF SE)、酸化防止剤 0.35重量%
Irganox PS 802 FL(BASF SE)、酸化防止剤 0.15重量%
【0062】
この接着剤は、160℃で約11,300mPasの粘度(ブルックフィールド RVT スピンドル21)および87.8/87.9℃の軟化点(ASTM E 28)を有していた。150℃の接着温度で加熱テーブル/加熱ブレードによる40g/mの量の50μmのPETコーティングで、この接着剤は、スチールおよびPE上において20分後、それぞれ31および15N/25mmならびにスチールおよびガラス上において24時間後、それぞれ33および32N/25mmの接着結合を示した。再接着(130℃、30秒間、5kg/100cm)後、スチールおよびPEおよびガラス上において、それぞれ35(70%の接着破壊)および17および24N/25mmの接着結合が24時間後に得られた。
【0063】
配合物4:
ポリ−α−オレフィン(M 5,000g/mol;T 96℃;融解粘度2,500mPas) 15.0重量%
ポリ−α−オレフィン(M 18,100g/mol;T 107℃;融解粘度50,000mPas) 35.0重量%
Regalite R1010(Eastman Chemical Company)、脂環式HC樹脂 5.0重量%
Regalite S1100(Eastman Chemical Company)、脂環式HC樹脂 29.5重量%
Polybut 10(Productos Uhpon)、ポリイソブチレン 12.0重量%
Polybut 30(Productos Uhpon)、ポリイソブチレン 3.0重量%
Irganox 1010(BASF SE)、酸化防止剤 0.35重量%
Irganox PS 802 FL(BASF SE)、酸化防止剤 0.15重量%
【0064】
この接着剤は、160℃で約7500mPasの粘度(ブルックフィールド RVT、スピンドル21)および85.2/85.4℃の軟化点(ASTM E 28)を有していた。150℃の接着温度で加熱テーブル/加熱ブレードによる40g/mの量の50μmのPETコーティングで、この接着剤は、スチールおよびPEおよびガラス上において20分後、それぞれ23および17および26N/25mmならびにスチールおよびPEおよびガラス上において24時間後、それぞれ37および8および41N/25mm(50%の接着破壊)の接着結合を示した。再接着(130℃、30秒間、5kg/100cm)後、スチールおよびPEおよびガラス上において、それぞれ35(80%の接着破壊)および23および37N/25mm(80%の凝集破壊)の接着結合が24時間後に得られた。
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕a)25〜95重量%、好ましくは50〜85重量%の少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマー;
b)1〜75重量%、好ましくは1〜40重量%の少なくとも1つの粘着付与性樹脂;
c)0〜15重量%の少なくとも1つの可塑剤;ならびに
d)安定剤、接着促進剤、充填剤もしくは顔料、ワックスおよび/または好ましくは(メタ)アクリル酸エステルである他のポリマー、またはその組合せから選択される0〜30重量%の少なくとも1つの添加剤および/または助剤
を含有する、好ましくはこれらからなるホットメルト接着剤であって、
該少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーは:
a1)該ポリオレフィン系ポリマーの総量に対して20〜80重量%の量の<10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第1ポリオレフィン系ポリマーと、
a2)該ポリオレフィン系ポリマーの総量に対して20〜80重量%の量の>10,000g/molの分子量Mを有する少なくとも1つの第2ポリオレフィン系ポリマーとの混合物であることを特徴とする、ホットメルト接着剤。
〔2〕少なくとも1つのポリオレフィン系ポリマーは、ポリオレフィンのホモポリマーおよびコポリマー、特に、エチレン、プロペンおよび/またはブテンに基づくポリ−α−オレフィン、好ましくはアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)、ならびにエチレン/α−オレフィンおよびプロピレン/α−オレフィンコポリマー、好ましくはエチレンとプロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンとのコポリマーまたはその組合せからなる群より選択されることを特徴とする、〔1〕に記載のホットメルト接着剤。
〔3〕少なくとも1つの粘着付与性樹脂は、少なくとも1つの完全または部分水添型の炭化水素樹脂および/または少なくとも1つのコロホニー系の天然樹脂またはトール油樹脂またはそのメチル、ペンタエリスリトールもしくはグリセリンエステルを含む樹脂または樹脂混合物であり、該少なくとも1つの完全または部分水添型の炭化水素樹脂は任意に、脂環式の樹脂、芳香族変性樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール系樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、2−メチル−2−ブテンコポリマー、または前述のものの誘導体を含有することを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のホットメルト接着剤。
〔4〕可塑剤は、ポリ(イソ)ブチレンおよび液状またはペースト状の水添型炭化水素、特に、5,000g/mol未満の分子量Mを有するポリイソブチレンから選択されることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
〔5〕少なくとも1つの添加剤および/または助剤は、ホットメルト接着剤に対して、0.1〜3重量%の添加剤、特に、熱分解、酸化的分解およびUV誘導性分解に対する安定剤を含むことを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
〔6〕ホットメルト接着剤は、160℃で500〜100,000mPas(ブルックフィールド CAP,スピンドル8)の範囲の粘度を有することを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
〔7〕フィルム状基材、特に、ポリオレフィンフィルム、織布または不織布を接着するための〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のホットメルト接着剤の使用。
〔8〕少なくとも2つのポリオレフィンフィルムを長手方向および/または底部の接着の形態で部分的表面接着することを含む、ポリオレフィンフィルムからなる包材、ポリオレフィンからなるフィルムを含む包装袋またはパウチの製造方法であって、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のホットメルト接着剤を該接着に使用することを特徴とする、方法。
〔9〕ポリオレフィンフィルムは、該ポリオレフィンフィルムの総重量に対して少なくとも80重量%の、任意に表面処理または表面コートされたポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)からなるフィルムであることを特徴とする、〔7〕に記載の使用または〔8〕に記載の方法。
〔10〕〔8〕に記載の方法により得ることができる、ポリオレフィンフィルムからなる包材、特にポリオレフィンからなるフィルムを含む、バッグまたはパウチ。
〔11〕少なくとも2つの基材を部分的表面接着または全面接着することを含む、接着された織布または不織布の製造方法であって、少なくとも1つの基材が織布または不織布であること、および〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のホットメルト接着剤を該接着に使用することを特徴とする、方法。