(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分および前記(B)成分の質量比の和と、前記(C)成分の質量比が、[(A)+(B)]/(C)の値で3以上、7000以下である請求項1又は2のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物(以下、単に洗浄剤組成物と略する場合がある)は、(A)成分としてアルカリ剤6質量%以上、30質量%以下、(B)成分としてキレート剤10質量%以上、40質量%以下、(C)成分として金属腐食防止剤0.01質量%以上、4.8質量%以下、(D)成分として水、を含有する。本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)成分/(B)成分の値で0.15以上、1.50以下であり、かつ(A)成分と(C)成分の質量比が、(A)成分/(C)成分の値で2以上、3000以下である。
【0016】
かかる構成を備える本発明の洗浄剤組成物は、低濃度の使用においても、洗浄性、スケール防止性、茶渋洗浄性、バイオフィルム防止性に優れる上、アルカリの影響で腐食し易い金属(銅合金、アルミ等)に対して金属腐食防止性を発揮する。
【0017】
上記(A)成分としては、自動食器洗浄機用の洗浄剤の成分として使用可能なアルカリ剤から適宜選択して用いることができる。たとえば、(A)成分として、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムなどの炭酸塩、又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、若しくはトリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンより選ばれた少なくとも一種を含有することができる。ここでアルカノールアミンとは、アルカン骨格にアミノ基とヒドロキシ基とを備える化合物を指す。
洗浄性という観点からは、(A)成分として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウムより選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物は、珪酸塩を含むことを禁止するものではないが、珪酸塩の含有量がSiO
2換算で2質量%未満であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、実質的に珪酸塩を含まないことが特に好ましい。従来、金属腐食防止性の向上のために珪酸塩を多く含む洗浄剤組成物が知られているが、珪酸塩を含むことで、シリカスケールの発生が問題となる。これに対し、本発明の洗浄剤組成物は、珪酸塩の含有量をSiO
2換算で2質量%未満に抑え、シリカスケールの発生を防止しつつ、良好な金属腐食防止性及び高い洗浄性を示すことができる。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分としてアルカリ剤6質量%以上、30質量%以下を含み、アルカリ剤7質量%以上、25質量%以下であることが好ましく、アルカリ剤8質量%以上、23質量%以下であることがより好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分としてアルカリ剤が6質量%未満の場合には洗浄性が充分でない場合があり、当該アルカリ化剤が30質量%を超えた場合には金属腐食防止性、また貯蔵安定性が充分でない場合がある。
【0020】
上記(B)成分は、所謂キレート剤として、自動食器洗浄機用の洗浄剤に使用可能な化合物から適宜選択して用いることができる。たとえば、(B)成分として、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、イミノジコハク酸、ニトリロ三酢酸、トリポリリン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、若しくは酒石酸又はこれらの塩より選ばれた少なくとも一種を含有することができる。
スケール防止性という観点からは、(B)成分として、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、イミノジコハク酸、ニトリロ三酢酸、若しくはトリポリリン酸、又はこれらの塩より選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。
中でも、茶渋洗浄性、スケール防止性、バイオフィルム防止性という観点からは、(B)成分として、エチレンジアミン四酢酸若しくはその塩、メチルグリシン二酢酸若しくはその塩、グルタミン酸二酢酸若しくはその塩、又はニトリロ三酢酸若しくはその塩より選ばれた少なくとも一種を含有することがより好ましい。上記塩としては、特にナトリウム塩もしくはカリウム塩が好ましい。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物は、(B)成分としてキレート剤10質量%以上、40質量%以下を含み、キレート剤12質量%以上、35質量%以下であることが好ましく、キレート剤12質量%以上、30質量%以下であることがより好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、(B)成分としてキレート剤が10質量%未満の場合には茶渋洗浄性、バイオフィルム防止性、又はスケール防止性が充分でない場合があり、当該キレート剤が40質量%を超えた場合には、アルミの腐食防止性又は貯蔵安定性が充分でない場合がある。
【0022】
上記(C)成分は、所謂金属腐食防止剤として、自動食器洗浄機用の洗浄剤に使用可能な化合物から適宜選択して用いることができる。たとえば、(C)成分として、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、若しくは5−ニトロ−ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物;ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、チアゾリルベンゾイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物;ベンゾチアゾール、若しくは2−メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール系化合物;ジメルカプトチアジアゾール等のチアジアゾール系化合物、又はこれらの誘導体より選ばれた少なくとも一種を含有することができる。
金属腐食防止性という観点からは、(C)成分として、トリルトリアゾール、イミダゾール系化合物、若しくはチアゾール系化合物、又はこれらの誘導体より選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。
尚、トリアゾール系化合物の中でもベンゾトリアゾール若しくはその誘導体、又はチアジアゾール系化合物若しくはその誘導体は、銅合金に対する腐食防止性が充分でない場合があるので、これらを(C)成分として使用する場合には留意することが望ましい。
【0023】
上述にて例示する(C)成分の中でも、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される金属腐食防止剤はより好ましい例として挙げられる。(C)成分として、これらの化合物を少なくとも一種を含有する本発明の洗浄剤組成物は、特に銅合金に対する腐食防止性の点で好ましい。より具体的には、(C)成分として、下記一般式(1)で表される化合物を1種以上、又は下記一般式(2)で表される化合物を1種以上、又は下記一般式(1)で表される化合物1種以上及び下記一般式(2)で表される化合物を1種以上含むことが好ましい。
【0024】
【化3】
(式中、Xは水素、アルカリ金属、アルカノールアミン、−CH
2COOM、又は−CH
2CH
2COOM、−OCH
3のいずれかであり、Yは水素、アルカリ金属、ハロゲン、−CH
3、−COOM、−CH
2COOM、−CH
2CH
2COOM、−OCH
3、−NH
2、−NO
2、又は−SO
3Mのいずれかであり、上記Mは水素、又はアルカリ金属のいずれかである。)
【0025】
【化4】
(式中、Xは水素、アルカリ金属、アルカノールアミン、−CH
2COOM、−CH
2CH
2COOM、又は−OCH
3のいずれかであり、Yは水素、アルカリ金属、ハロゲン、−CH
3、−COOM、−CH
2COOM、−CH
2CH
2COOM、−OCH
3、−NH
2、−NO
2、又は−SO
3Mのいずれかであり、上記Mは水素、又はアルカリ金属のいずれかである。)
【0026】
上記一般式(1)は、チアゾール系化合物に含まれる化合物であって、2−メルカプトベンゾチアゾール骨格を有する化合物の一般式である。例えば、上記一般式(1)で表される化合物であって、特に好ましい化合物の例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸などが挙げられる。
また上記一般式(2)は、イミダゾール系化合物に含まれる化合物であって、2−メルカプトベンゾイミダゾール骨格を有する化合物の一般式である。例えば、上記一般式(2)で表される化合物であって、特に好ましい化合物の例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトアミノベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物は、(C)成分として金属腐食防止剤0.01質量%以上、4.80質量%以下を含み、金属腐食防止剤0.05質量%以上、4.50質量%以下であることが好ましく、金属腐食防止剤0.10質量%以上、4.00質量%以下であることがより好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、(C)成分として金属腐食防止剤が0.01質量%未満の場合には銅合金に対する腐食防止性が充分でない場合があり、当該金属腐食防止剤が4.80質量%を超えた場合には、貯蔵安定性が充分でない場合があるとともに過剰に入れることによるさらなる効果が望めない。
【0028】
(D)成分の水としては、特に限定はなく、イオン交換水、軟水、純水、水道水などが挙げられ、洗浄剤組成物の安定性の観点から、イオン交換水又は純水が好ましい。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。水は、洗浄剤組成物全体が100質量%となるように配合(必要に応じて後述する(E)成分またはその他の任意成分を配合する場合、これらを含めて全体が100質量%となるように配合)されるものである。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに(E)成分として、ポリカルボン酸型ポリマーを0.01質量%以上、8.00質量%以下含有することが好ましい。
より具体的には、たとえば、(E)成分として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−スルホン酸共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、若しくは無水マレイン酸−アクリル酸エステル共重合体等、又はこれらの塩より選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。上記塩としてはたとえばナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。
中でも、スケール防止性という観点からは、(E)成分として、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体、若しくはアクリル酸−スルホン酸共重合体などのアクリル酸系ポリマー;ポリマレイン酸、若しくはオレフィン−マレイン酸共重合体などのマレイン酸型ポリマー、又はこれらの塩より選ばれた少なくとも一種を含有することがより好ましく、ポリアクリル酸若しくはその塩、又はポリマレイン酸若しくはその塩のいずれか又は組合せがさらに好ましい。
上述するポリカルボン酸型ポリマー又はその塩は、単独で用いてもよいし、2種以上の組合せで用いてもよい。
【0030】
上記ポリカルボン酸型ポリマーの重量平均分子量は、200以上20000以下であることが好ましく、500以上15000以下であることがより好ましく、500以上8000以下であることがさらに好ましい。上記重量平均分子量が200未満であると、スケール防止性の点で好ましくなく、20000を超えると貯蔵安定性の点で好ましくない。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物において、上記(E)成分を含有させる場合には、上記(E)成分は、0.01質量%以上、8.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上、6.00質量%以下であることがより好ましく、0.20質量%以上、5.00質量%以下であることがさらに好ましい。本発明の洗浄剤組成物における(E)成分が0.01質量%以上の場合には、より優れたスケール防止性又は金属腐食防止性を示すことが可能であり、また(E)成分を8.00質量%以下に調製することによって、良好な貯蔵安定性を維持することができる。
【0032】
次に本発明の洗浄剤組成物に含まれる成分の配合比率に関し、説明する。
本発明の洗浄剤組成物における(A)成分と(B)成分の質量比は、(A)/(B)の値で0.15以上、1.50以下である。
アルミの腐食防止性の観点からは、上記(A)/(B)の値は0.18以上、1.15以下であることが好ましく、0.20以上、0.90以下であることがより好ましく、0.40以上、0.90以下であることが特に好ましい。
上記(A)/(B)の値が0.15未満の場合には洗浄性、アルミの腐食防止性、貯蔵安定性が充分でない場合があり、上記(A)/(B)の値が1.50を超えた場合には、スケール防止性、貯蔵安定性又はアルミの腐食防止性が充分でない場合がある。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物における(A)成分と(C)成分の質量比は、(A)/(C)の値で2以上、3000以下であり、3以上、1500以下であることが好ましく、6以上、200以下であることがより好ましい。
上記(A)/(C)の値が2未満の場合には洗浄性又は貯蔵安定性が充分でない場合があり、上記(A)/(C)の値が3000を超えた場合には、金属腐食防止性又は貯蔵安定性が充分でない場合がある。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物における(A)成分および(B)成分の質量比の和と、(C)成分との質量比は、[(A)+(B)]/(C)の値で3以上、7000以下であることが好ましく、5以上、4000以下であることがより好ましく、5以上、2000以下であることがさらに好ましく、30以上、500以下であることが特に好ましく、中でも30以上、300以下であることが好ましい。[(A)+(B)]/(C)の値が3未満の場合には、洗浄性又は貯蔵安定性が充分でない場合があり、[(A)+(B)]/(C)の値が7000を超える場合には、金属腐食防止性又は貯蔵安定性が充分でない場合がある。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物における(C)成分と(E)成分の質量比は、(C)/(E)の値で0.005以上、48.0以下であることが好ましく、0.1以上、20.0以下であることがより好ましく、0.25以上、5.0以下であることがさらに好ましい。(C)/(E)の値が0.005未満である場合には、金属腐食防止性又は貯蔵安定性が充分でない場合があり、(C)/(E)の値が48.0を超える場合には、貯蔵安定性が充分でない場合がある。
【0036】
本発明の液体アルカリ性洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ当該技術分野で通常使用される他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、非イオン界面活性剤、除菌剤、酸化剤、消泡剤、pH調整剤、酵素、色素、香料等が挙げられる。
【0037】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム、ブロックの何れでもよい)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル(エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム、ブロックの何れでもよい)等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリエチレングリコールプロピレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキシド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0038】
除菌剤としては、例えば、チアゾリン類、ヒダントイン類や、ヨード−2−プロピニルブチルカーバメイト、イソプロピルメチルフェノール、ヘキサクロロフェン、イルガサン、トリクロサン等が挙げられる。チアゾリン類としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。ヒダントイン類としては、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、1又は3−モノメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、ジメチルヒダントイン、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジクロロエチルメチルヒダントイン等が挙げられる。
【0039】
酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸塩、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム等の塩素化イソシアヌル酸塩、二酸化塩素、過酸化水素等が挙げられる。酸化剤は単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、経済性の点から次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
【0040】
消泡剤としてはシリコーンオイル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。増粘剤としては、平均分子量200〜6,000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の多価アルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル酸系ポリマー等が挙げられる。ハイドロトロープ剤としては、2−エチルヘキサン酸及び/又はその塩、カプリル酸及び/又はその塩、アルケニルスルホコハク酸及び/又はその塩、メタキシレンスルホン酸及び/又はその塩、アルキル(C6〜10)グルコシド、オクチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0041】
pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。pH調整剤は、単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
酵素としては、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ等が挙げられる。
【0043】
色素としては、例えば、天然色素、合成色素、これらの混合物が挙げられる。また、香料としては、例えば、天然香料、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。
【0044】
次に本発明の自動食器洗浄機による食器類の洗浄方法(以下、単に本発明の洗浄方法ともいう)について説明する。
本発明の洗浄方法は、上述する本発明の洗浄剤組成物を用いて自動食器洗浄機により食器を洗浄する方法である。本発明の洗浄方法は、洗浄液希釈工程、洗浄工程、及びすすぎ工程を備える。
【0045】
本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を使用するため、被洗浄物である食器に対し、優れた洗浄性が示されるとともに、茶渋なども良好に洗浄することができる。また、本発明の洗浄方法によれば、自動食器洗浄機に対し、優れたスケール防止性及びバイオフィルム防止性が示される。また、本発明の洗浄方法は、銅合金やアルミ等の金属に対する腐食防止性に優れるため、金属で構成される食器や自動食器洗浄機の金属部位などが腐食し難い。しかも、本発明の洗浄方法によれば、洗浄剤組成物を0.01質量%以上0.15質量%以下という非常に低い濃度に希釈しても、上述の優れた効果が発揮される。かかる効果が発揮される本発明の洗浄方法は、特に業務用の自動食器洗浄機による食器類の洗浄方法に適している。
以下に本発明の洗浄方法の各工程について説明する。
【0046】
上記洗浄液供給工程は、本発明の洗浄剤組成物を自動食器洗浄機の洗浄液タンクに供給する工程である。洗浄剤組成物の供給方法は、自動でも手動でも構わない。
【0047】
上記洗浄液希釈工程は、本発明の洗浄剤組成物を自動食器洗浄機の洗浄液タンクに自動又は手動にて供給し、洗浄液タンクに収容された本発明の洗浄剤組成物を含む洗浄液を、本発明の洗浄剤組成物の組成を基準として0.01質量%以上0.15質量%以下に希釈して希釈洗浄液を調製する工程である。上記希釈洗浄液の希釈濃度は、0.02質量%以上、0.10質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上、0.08質量%以下であることがより好ましい。上記洗浄液は、洗浄タンクに供給された本発明の洗浄剤組成物のみからなる液であってもよいし、節水等の観点から、後述する使用済み洗浄液と使用済みすすぎ水とを含む混合液と本発明の洗浄剤組成物とを含む液であってもよい。
【0048】
上記洗浄液希釈工程は、本発明の洗浄剤組成物の濃度を指標に上記洗浄液を希釈し、洗浄工程に適した濃度である希釈洗浄液を調製する工程である。希釈の具体的な方法は特に限定されない。
たとえば、洗浄液が実質的に本発明の洗浄剤組成物のみからなる場合には、予め各組成の濃度が把握できるので、0.01質量%以上0.15質量%以下の範囲で適宜に希釈すればよい。
【0049】
一方、洗浄液が、本発明の洗浄剤組成物と、使用済みの洗浄液及び使用済みすすぎ水とからなる混合液とを含む場合には、洗浄液希釈工程において当該洗浄液に含まれる(A)成分から(C)成分までの少なくとも1種以上の濃度を実測し、所定の濃度となるよう希釈する方法、又は、蠕動式液移送ポンプであるペリスタルティックポンプ等の液移送ポンプを用いて所定の濃度となるように定量供給する方法が挙げられる。本発明の洗浄剤組成物は高濃度に濃縮されており、洗浄液タンクへの1回の供給量は少量であるため、供給量の僅かな誤差によって洗浄液濃度のバラツキが大きくなる虞があるが、ペリスタルティックポンプ等の液移送ポンプは少量の洗浄剤組成物を正確に供給することができる。ペリスタティックポンプ等の液移送ポンプから洗浄剤組成物を供給する際のチューブ径は1.0〜5.0mm(内径)が標準的であるが、好ましくは1.5〜4.5mm(内径)であり、より好ましくは2.0〜4.0mm(内径)とすると少量の洗浄剤組成物を安定的に供給でき、洗浄液濃度の調製がより容易となる。従来の濃縮液体洗浄剤組成物は、低温環境下で濃縮液体洗浄剤組成物を保管する容器内や供給ポンプ内等で析出物が生じ易く、ペリスタルティックポンプ等で供給した場合、その析出物が供給チューブ内等で目詰まりを起こし易いが、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物保管容器内やチューブ内で析出が生じ、あるいは目詰りを生じる虞がない。
【0050】
また別の方法としては、電気伝導度を指標に洗浄液希釈工程を実施する方法などが挙げられる。電気伝導度を指標にする方法とは、具体的には、本発明の洗浄剤組成物を0.01質量%以上0.15質量%以下に希釈したときの電気伝導度を予め測定して基準電気伝導度を把握しておく。そして洗浄液希釈工程において実測された洗浄剤の電気伝導度が、上記基準電気伝導度になるよう希釈すればよい。
【0051】
上記洗浄工程は、上記希釈洗浄液を自動食器洗浄機に設けられた洗浄機庫内に配置された食器類に対し噴射して食器類を洗浄する工程である。
【0052】
上記すすぎ工程は、洗浄工程において洗浄された食器類に対しすすぎ水を噴射して食器類をすすぐ工程である。
上記すすぎ工程は、すすぎ水が洗浄機庫において平面積2500cm
2当たり、1L〜3L噴射して食器類をすすぐことが好ましい。本発明の洗浄剤組成物である洗浄液、または本発明の洗浄剤組成物、使用済み洗浄液及び使用済みすすぎ水を含む洗浄液を、0.01質量%以上0.15質量%以下の範囲で希釈した希釈洗浄液を用いる本発明の洗浄方法は、上述する範囲のすすぎ水で充分に洗浄工程後の食器類をすすぐことができる。即ち、本発明の洗浄方法は、上記面積当たりのすすぎ水を1L以上噴射することで、食器類を充分にすすぐことが可能であり、また上記面積当たりのすすぎ水を3L以下とすることで、すすぎ工程において使用する水の量を少量に抑え節水の要請に応えることができるため好ましい。
【0053】
上述する本発明の洗浄方法は、すすぎ水の少ない節水型の自動食器洗浄機においても好適に使用できる。
即ち、本発明の洗浄方法は、すすぎ水が1〜3Lのような少ないすすぎ水量であるすすぎ工程において食器類に対し噴射された使用済み洗浄液と、使用済みすすぎ水(使用済み液)とを含む混合液のオーバーフローなどによる排水量が少ない自動食器洗浄機に適用した場合においても高い洗浄力や金属腐食防止性を発揮する。
【0054】
本発明の洗浄方法は、洗浄液希釈工程、洗浄工程、及びすすぎ工程を含み、工程順に限定はないものの、一般的には、上述する記載順に各工程を実施するとよい。各工程と工程との間には任意の他の工程が実施されてもよい。
たとえば、洗浄液希釈工程と洗浄工程との間には、適宜、上記洗浄液希釈工程にて希釈された希釈洗浄液を洗浄液タンクなどの所定のスペースにて内で加熱保持する加熱保持工程を設けることが好ましい。洗浄工程前に、洗浄工程で使用する希釈洗浄液を適温に加熱しておくことで、効率よく高い洗浄性で食器類を洗浄することが可能である。
ただし、希釈洗浄液を加熱する方法は、上記加熱保持工程に限定されず、たとえば、希釈洗浄液を噴射するノズルを予め高温に加熱しておき、希釈洗浄液が当該ノズルを通過する際にノズルの熱で希釈洗浄液を加熱してもよい。また、自動食器洗浄機の洗浄機庫内の室温を高温に維持し、当該洗浄機庫内に噴射されたミスト状の希釈洗浄液を洗浄機庫内の室温で加熱してもよい。
【0055】
本発明の洗浄剤組成物は、油脂、蛋白質、でんぷん等、あらゆる汚れに対して優れた洗浄性能を示し得る。また、アルミ製、銅製、ステンレス製、銀製等の金属製、メラミン製、プラスチック製、ガラス製、磁器、漆器、陶磁器などあらゆる素材の食器、調理器具等、又は自動食器洗浄機中において食器・調理器具を立て掛けるクレートの洗浄用途に用いることができ、家庭用自動食器洗浄機、業務用自動食器洗浄機の洗浄剤として用いることができるが、中でもホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等において使用される業務用の自動食器洗浄機に好適に用いることができる。特に、すすぎ水の使用量の少ない節水型の業務用自動食器洗浄機用として好適である。ここで、クレートとは、JIS Z1655:プラスチック製通い容器のことをいう。クレート等を利用している主な業界としては、洋日配食製造業(牛乳・乳製品、ケーキ、パン等)、和日配食製造業(豆腐、納豆、漬物類)、酒類・飲料(清酒、ビール等)、農業・農協(青果物等)が挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例の洗浄剤組成物において配合に用いた各成分を下記表1〜8に示す。尚、下記表1〜8に示す配合量に関する数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。また、自動食器洗浄機はホシザキ株式会社製自動食器洗浄機:JWE−680AJを使用して以下の試験を行った。
【0057】
(A)成分
A−1:水酸化ナトリウム
A−2:水酸化カリウム
A−3:炭酸ナトリウム
A−4:モノエタノールアミン
A−5:モノイソプロパノールアミン
【0058】
(B)成分
B−1:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
B−2:メチルグリシン二酢酸ナトリウム
B−3:グルタミン酸二酢酸ナトリウム
B−4:ニトリロ三酢酸ナトリウム
B−5:トリポリリン酸ナトリウム
【0059】
(C)成分
C−1:2−メルカプトベンゾチアゾール
C−2:2−メルカプトベンゾイミダゾール
C−3:ベンゾトリアゾール
C−4:トリルトリアゾール
C−5:3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸
C−6:(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸
【0060】
(D)成分
D−1:イオン交換水
【0061】
(E)成分
E−1:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量が5,000)
E−2:ポリマレイン酸ナトリウム(重量平均分子量が500)
E−3:アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム1(重量平均分子量が1,900)
E−4:アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム2(重量平均分子量が70,000)
E−5:アクリル酸−スルホン酸共重合体ナトリウム(重量平均分子量が5,000)
【0062】
(F)その他の成分
F−1:オルソ珪酸ナトリウム(広栄化学工業社製 ネオ―オルソ80粒、SiO
2として28%)
【0063】
※1:洗浄性試験
<被洗浄物>
直径20cmのガラス皿にマヨネーズ(キューピー株式会社製)2gを均一に塗布し、室温で乾燥させた汚染皿を被洗浄物とした。
<試験方法>
洗浄剤組成物の濃度を0.03質量%、0.07質量%に希釈した希釈洗浄液を自動食器洗浄機の洗浄液タンクに貯留して66℃で保持し、洗浄ラックに汚染皿5枚を設置し、以下の条件で洗浄、すすぎを行った。洗浄剤組成物の希釈水、すすぎ水は塩化カルシウムを用いて硬度3°DHに調製した人工硬水を用いた。
<洗浄条件>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ水量:2L
<洗浄性評価>
洗浄、すすぎ後の皿を室温で乾燥後、暗室において蛍光灯光を照射、反射させて汚れの残存状況を目視判定により以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:清浄な皿と比較して差がない。
○:うすい曇りのみが認められる。
△:スポットのみが認められる。
×:曇りとスポットが認められる。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0064】
※2:すすぎ性試験
濃度が高い洗浄液を用いた場合のすすぎ性を試験した。
<被洗浄物>
清浄な茶碗を被洗浄物とした。
<試験方法>
洗浄剤組成物の濃度を0.15質量%に希釈した洗浄液を洗浄機の洗浄タンクに貯留して66℃で保持し、洗浄ラックに茶碗を糸尻が上になるように5個設置し、以下の条件で洗浄、すすぎを行った。洗浄剤組成物の希釈水、すすぎ水は塩化カルシウムを用いて硬度3°DHに調製した人工硬水用いた。
<洗浄条件>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ水量:2L
<すすぎ性評価>
洗浄、すすぎ後の茶碗の糸尻に残留している水にフェノールフタレイン液を滴下しアルカリ剤の残留による変色反応を目視判定し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:全く変色反応が認められない。
○:ほとんど変色反応が認められない。
△:僅かな変色反応が認められる。
×:顕著な変色反応が認められる。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0065】
※3:スケール防止性試験1
自動食器洗浄機の洗浄液タンク内の電熱線(ヒーター部分)及び壁面へのスケール防止性を、以下の通り擬似的条件下で試験した。
<試験方法>
塩化カルシウムで硬度6°DHに調製した人工硬水より洗浄剤組成物の濃度を0.03質量%、0.07質量%に希釈した希釈洗浄液を作成し、この希釈洗浄液100mLを120mL容量の蓋付ガラス瓶にSUS304製のテスト板(縦75mm×横25mm×厚さ1mm)を浸漬させ、80℃で24時間保持した。その後テスト板を取り出してイオン交換水ですすぎ、乾燥後、テスト板のスケール付着量を目視判定し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:スケールの付着が全く認められなかった。
○:スケールの付着がほとんど認められなかった。
△:スケールの付着が認められた。
×:著しいスケールの付着が認められた。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0066】
※4:スケール防止性試験2
自動食器洗浄機庫内の壁面(洗浄液タンク内は除く)の洗浄液がすすぎ水で薄まった条件でのスケール防止性を、以下の方法で試験した。
<試験方法>
洗浄ラックに250mlのグラス36個を設置し、希釈洗浄液により下記条件で洗浄/すすぎ/インターバルを200サイクル繰り返した後、自動食器洗浄機庫内のスケール付着量を目視判定し、以下の基準で評価した。尚、上記希釈洗浄液は、塩化カルシウムで硬度10°DHに調製した人工硬水にて調製を行い、すすぎ水により薄まった分だけ洗浄剤組成物を供給して洗浄剤組成物の濃度を0.03質量%、0.07質量%に保つようにした。
<洗浄条件>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ水量:2L
インターバル:5秒
<評価基準>
◎:スケールの付着が全く認められなかった。
○:スケールの付着がほとんど認められなかった。
△:スケールの付着が認められた。
×:著しいスケールの付着が認められた。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0067】
※5:茶渋洗浄性試験
<被洗浄物>
清浄なプラスチックカップを被洗浄物とした。
<試験方法>
洗浄剤組成物の濃度を0.03質量%、0.07質量%に希釈した洗浄液を洗浄機の洗浄液タンクに貯留して66℃で保持し、食器洗浄機の洗浄ラックにプラスチックカップ5個を設置し、以下の条件で、茶渋汚れ付着/インターバル/洗浄/すすぎ/インターバルの工程を100サイクル繰り返し行った。尚、上記希釈洗浄液は、塩化カルシウムで硬度10°DHに調製した人工硬水にて調製を行い、すすぎ水により薄まった分だけ洗浄剤組成物を供給して洗浄剤組成物の濃度を0.03質量%、0.07質量%に保つようにした。尚、上記プラスチックカップは、下記<茶渋汚れ付着>により毎回茶渋を付着させたものを用いた。
<洗浄条件>
茶渋汚れ付着:5秒
インターバル:30秒
洗浄温度:66℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ水量:2L
インターバル:5秒
<茶渋汚れ付着>
煮出した紅茶(三井農林株式会社製紅茶葉2.5g、水100ml)をプラスチックカップに180ml注ぎ、直ちに廃棄して、所定位置に設置した。煮出した紅茶の水は、塩化カルシウムを用いて硬度10°DHに調製した人工硬水用いた。
<茶渋洗浄性評価>
洗浄工程100サイクル後の、プラスチックカップへの茶渋付着状態を目視判定し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:茶渋の付着が認められない。
○:茶渋の付着がほとんど認められない。
△:茶渋の付着が認められる。
×:茶渋の付着が著しい。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0068】
※6:バイオフィルム防止性試験
<試験方法>
各洗浄剤組成物5gを滅菌済みのミューラーヒントン培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕に添加して全量を100gにして、各洗浄剤組成物の5質量%コンク溶液を調製した。本コンク溶液を更に滅菌済みミューラーヒントン培地を用いて洗浄剤組成物の濃度を基準として0.1質量%となるように希釈調製して希釈洗浄液を得た。上記希釈洗浄液を、24穴マイクロプレート〔AGCテクノグラス株式会社製〕の各ウェルに2mL量りとった。その後、汚れ成分として、3質量%ウシアルブミンを用いて調製された汚れ成分溶液を、各ウェルに収容された上記希釈洗浄液及び汚れ成分溶液の全量に対し0.3質量%となるよう各ウェルに添加した。次いで、上記24穴マイクロプレートに、汚染菌の菌液を、ピペットマンを用いて10μl接種した。上記汚染菌の菌液は、以下のとおり2種類準備し、それぞれの汚染菌毎に試験した。具体的には緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、及びクレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)を、それぞれLB培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕を用いて、37℃で18時間前培養して増殖させ、菌毎に汚染菌の菌液(培養液)を得た。
上述のとおり汚染菌が接種された24穴マイクロプレートを用い、接種された汚染菌を37℃で48時間培養し、その後に培養液を廃棄し、滅菌精製水2mLで各ウェル内を5回洗浄した。24穴マイクロプレートの各ウェルの壁に付着したバイオフィルムを0.1質量%クリスタルバイオレット液で染色し、滅菌水ですすいだ後、バイオフィルムの形成状態を目視判断し、バイオフィルム抑制性を以下の基準で評価した。
<評価基準>
1点:バイオフィルムがプレート壁面の0%又は0%を超えて20%未満を覆う状態。
2点:バイオフィルムがプレート壁面の20%以上40%未満を覆う状態。
3点:バイオフィルムがプレート壁面の40%以上60%未満を覆う状態。
4点:バイオフィルムがプレート壁面の60%以上を覆う状態。
として上記各菌種についてプレート壁面の状態を点数で評価し、2菌種のプレート壁面の状態を点数の平均値を求め、以下の基準でバイオフィルム防止性を評価し、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
◎:平均値が1点以上1.5点未満
○:平均値が1.5点以上2.5点未満
△:平均値が2.5点以上3.5点未満
×:平均値が3.5点以上
【0069】
※7:金属腐食防止性試験(アルミ)
テストピース[アルミニウム(A1100P)、縦75mm×横25mm×厚さ1mm]は、予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたもの使用する。炭酸カルシウム換算で、ドイツ硬度3°DHに調製した人工硬水で洗浄剤組成物を0.1質量%に希釈し、100mLを120mL容量の蓋付透明ポリプロピレン製容器に入れ、その中にテストピースを浸漬させ、60℃の恒温器内で24時間保存した。保存後のテストピースを取り出し、イオン交換水にてすすぎを行い乾燥させて、テストピース表面の状態を目視により外観観察し、以下の基準で腐食性を判定した。
<評価基準>
◎:腐食がない。
○:ほとんど腐食がない。
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル。
×:ひどく腐食した。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0070】
※8:金属腐食防止性試験(銅合金)
砲金テストピース[砲金(BC−6)、縦75mm×横25mm×厚さ3mm]、純銅テストピース[純銅(C1100P)、縦75mm×横25mm×厚さ1mm]、真鍮テストピース[真鍮(C2801P)、縦75mm×横25mm×厚さ1mm]は、それぞれ予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたもの使用する。炭酸カルシウム換算で、ドイツ硬度3°DHに調製した人工硬水で洗浄剤組成物を0.1質量%に希釈し、100mLを120mL容量の蓋付透明ポリプロピレン製容器に入れ、その中に各テストピースを浸漬させ、60℃の恒温器内で24時間保存した。保存後の各テストピースを取り出し、イオン交換水にてすすぎを行い乾燥させて、テストピース表面の状態を目視により外観観察し、以下の基準で腐食性を判定した。
<評価基準>
4点:腐食がない。
3点:ほとんど腐食がない。
2点:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル。
1点:ひどく腐食した。
として各テストピースに対する腐食度合を点数で評価して平均値を算出し、下記基準で腐食性を評価した。
◎:平均値が3.5以上
○:平均値が2.5以上、3.5未満
△:平均値が1.5以上、2.5未満
×:平均値が1.5未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0071】
※9:低温貯蔵安定性試験
<試験方法>
250ml透明ポリプロピレン製容器に洗浄剤組成物を250mlとり、蓋をして−5℃恒温槽に保管した。1週間に1回揺り動かすことを繰り返し、これを1ヶ月間行い、洗浄剤組成物の状態を以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:析出物や凍結が見られず安定である。
△:析出物が若干見られる。
×:析出物又は凍結が見られる。
とし、○を実用性のあるものとして判定した。
【0072】
※10:高温貯蔵安定性試験
<試験方法>
250ml透明ポリプロピレン製容器に洗浄剤組成物を250mlとり、蓋をして40℃恒温槽に保管し静置した。6ヶ月後、洗浄剤組成物の状態を以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:析出物や濁りが見られず安定である。
△:析出物や濁りが、若干見られる。
×:析出物又は濁りが見られる。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
上述する本発明の実施態様は以下の技術思想を包含する。
(1)(A)成分としてアルカリ剤6質量%以上、30質量%以下、
(B)成分としてキレート剤10質量%以上、40質量%以下、
(C)成分として金属腐食防止剤0.01質量%以上、4.8質量%以下、
(D)成分として水、
を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で0.15以上、1.50以下であり、
前記(A)成分と前記(C)成分の質量比が、(A)/(C)の値で2以上、3000以下であることを特徴とする自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物。
(2)珪酸塩の含有量がSiO
2換算で2質量%未満である上記(1)に記載の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物。
(3)前記(B)成分として、エチレンジアミン四酢酸若しくはその塩、メチルグリシン二酢酸若しくはその塩、グルタミン酸二酢酸若しくはその塩、又はニトリロ三酢酸若しくはその塩より選ばれた少なくとも一種を含有する上記(1)又は(2)のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物。
(4)前記(C)成分として、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される金属腐食防止剤を少なくとも一種を含有する上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物。
【化5】
(式中、Xは水素、アルカリ金属、アルカノールアミン、−CH
2COOM、又は−CH
2CH
2COOM、−OCH
3のいずれかであり、Yは水素、アルカリ金属、ハロゲン、−CH
3、−COOM、−CH
2COOM、−CH
2CH
2COOM、−OCH
3、−NH
2、−NO
2、又は−SO
3Mのいずれかであり、前記Mは水素、又はアルカリ金属のいずれかである。)
【化6】
(式中、Xは水素、アルカリ金属、アルカノールアミン、−CH
2COOM、−CH
2CH
2COOM、又は−OCH
3のいずれかであり、Yは水素、アルカリ金属、ハロゲン、−CH
3、−COOM、−CH
2COOM、−CH
2CH
2COOM、−OCH
3、−NH
2、−NO
2、又は−SO
3Mのいずれかであり、前記Mは水素、又はアルカリ金属のいずれかである。)
(5)さらに(E)成分としてポリカルボン酸型ポリマーを0.01質量%以上、8.00質量%以下含有する上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物を自動食器洗浄機の洗浄液タンクに供給し、
前記洗浄液タンクに収容された前記自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物を含む洗浄液を、前記自動食器洗浄機用濃縮液体洗浄剤組成物の組成を基準として0.01質量%以上0.15質量%以下に希釈して希釈洗浄液を調製する洗浄液希釈工程、
前記希釈洗浄液を前記自動食器洗浄機に設けられた洗浄機庫内に配置された食器類に対し噴射して前記食器類を洗浄する洗浄液洗浄工程、
前記洗浄工程において洗浄された前記食器類に対しすすぎ水を噴射して前記食器類をすすぐすすぎ工程、
を含むことを特徴とする自動食器洗浄機による食器類の洗浄方法。
(7)前記すすぎ工程は、前記すすぎ水が前記洗浄機庫において平面積2500cm
2当たり、1L〜3L噴射して食器類をすすぐ上記(6)に記載の自動食器洗浄機による食器類の洗浄方法。