【文献】
ADDENDUM to the OPINION SCCS/1489/12 on Zinc oxide (nano form),Scientific Committee on Consumer Safety,2013年 7月23日,[online], [検索日 2017.03.22],p.1-13,SCCS/1518/13, revision of 22 April 2014, インターネット:<URL: http://ec.europa.eu/health/scientific_,URL,http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_137.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シランカップリング剤が、アルキルアルコキシシラン、アリルアルコキシシランおよびアルキル基またはアリル基を側鎖に有するポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の表面処理酸化亜鉛粒子。
前記シランカップリング剤が、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン−トリエトキシカプリリルシランクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の表面処理酸化亜鉛粒子。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の表面処理酸化亜鉛粒子、分散液、化粧料および酸化亜鉛粒子の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0021】
以下の説明においては、表面処理酸化亜鉛粒子を「表面処理粒子」と略称することがある。
【0022】
[酸化亜鉛粒子]
本実施形態の酸化亜鉛粒子は、本願発明の表面処理粒子の製造に好適に用いることができる。本実施形態の酸化亜鉛粒子は、下記式(1)を満たす。
S・M/σ
2≧0.05 …(1)
(Sは酸化亜鉛粒子の比表面積(単位:m
2/g)、Mは酸化亜鉛粒子のNa含有量(単位:mg/kg)、σは酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合したスラリーの導電率(単位:μS/cm)である。)
【0023】
一般に、酸化亜鉛粒子に対し、アルコキシ基を有するシランカップリング剤(以下、シランカップリング剤)で表面処理した表面処理粒子を、化粧料に配合して用いることがある。しかし、従来の酸化亜鉛粒子を用いた表面処理粒子は、化粧料に配合したときの紫外線遮蔽性が悪い場合があり、品質が安定しにくいという課題があった。
【0024】
上記課題について、発明者が鋭意検討したところ、酸化亜鉛粒子に含まれる不純物が多い場合、得られる表面処理粒子を用いた化粧料について紫外線遮蔽性が低いことが分かり、本願発明を完成させた。
【0025】
すなわち、上記式(1)を満たす酸化亜鉛粒子を用いると、得られる表面処理粒子が安定的に高い紫外線遮蔽性を示す。そのため、本実施形態の酸化亜鉛粒子は、種々の用途に用いることが可能であるが、特に化粧品の原料として有用である。なお、本実施形態において、紫外線遮蔽性は、SPF(Sun Protection Factor)値を用いて評価するものとする。
【0026】
本実施形態の酸化亜鉛粒子の比表面積とは、全自動比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM Model−1201、マウンテック社製)を用い、BET法により測定された値を意味する。
【0027】
本実施形態の酸化亜鉛粒子のNa含有量は、偏光ゼーマン原子吸光高度計(型番:Z−2000、日立ハイテク社製)にて測定された値を意味する。測定は、テフロン(登録商標)製のビーカーに酸化亜鉛粒子を入れ、適量の水と硝酸5mlを添加して加熱し、溶解した溶液を用いて行う。
【0028】
本実施形態の酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部を1時間混合したスラリーの導電率(以下、スラリー導電率)とは、次の方法により測定された値を意味する。測定は、酸化亜鉛粒子10質量部と、純水90質量部とを1時間混合し、得られたスラリーについて導電率計(商品名:ES−12、堀場製作所社製)を用いて行う。
【0029】
本実施形態の酸化亜鉛粒子の比表面積は4m
2/g以上であることが好ましく、6m
2/g以上であることがより好ましく、8m
2/g以上であることがさらに好ましく、9m
2/g以上であることがよりさらに好ましく、10m
2/g以上であることが特に好ましく、20m
2/g以上であることが最も好ましい。また、酸化亜鉛粒子の比表面積は、35m
2/g以下であることが好ましく、33m
2/g以下であることがより好ましく、31m
2/g以下であることがさらに好ましい。酸化亜鉛粒子の比表面積の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0030】
酸化亜鉛粒子の比表面積が上記範囲であることにより、化粧料に処方された場合に、より透明性の高い化粧料が得られるため好ましい。
【0031】
本実施形態の酸化亜鉛粒子のNa含有量は、10mg/kg以上であることが好ましく、20mg/kg以上であることがより好ましく、50mg/kg以上であることがさらに好ましい。また、酸化亜鉛粒子のNa含有量は、500mg/kg以下であることが好ましく、200mg/kg以下であることがより好ましく、100mg/kg以下であることがさらに好ましい。酸化亜鉛粒子のNa含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0032】
酸化亜鉛粒子のNa含有量が上記範囲であることにより、シランカップリング剤での表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理粒子を得ることができる。
【0033】
本実施形態の酸化亜鉛粒子のスラリー導電率は、25μS/cm以上であることが好ましく、30μS/cm以上であることがより好ましく、50μS/cm以上であることがさらに好ましい。また、酸化亜鉛粒子のスラリー導電率は、200μS/cm以下であることが好ましく、150μS/cm以下であることがより好ましく、100μS/cm以下であることがさらに好ましい。酸化亜鉛粒子のスラリー導電率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0034】
酸化亜鉛粒子のスラリー導電率が上記範囲であることにより、シランカップリング剤での表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理粒子を得ることができる。
【0035】
上記式(1)の左辺(S・M/σ
2)は、SPF値をより向上させる観点においては、0.10以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。
【0036】
S・M/σ
2の上限値は特に限定されない。例えば、1.0以下であってもよく、0.80以下であってもよく、0.60以下であってもよく、0.50以下であってもよい。
【0037】
なお、S・M/σ
2の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0038】
さらに、本実施形態の酸化亜鉛粒子は、シランカップリング剤で表面処理される場合には、酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部を1時間混合したスラリーのpHが7.1以上かつ9.0以下であることが好ましく、7.5以上9.0以下であることがより好ましく、7.5以上8.5以下であることがさらに好ましい。
【0039】
本実施形態の酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部を1時間混合したスラリーのpHとは、次の方法により測定された値を意味する。測定は、酸化亜鉛粒子10質量部と、純水90質量部とを1時間混合し、得られたスラリーについてpH計(商品名:D−51、株式会社堀場製作所製)を用いて行う。
【0040】
シランカップリング剤の表面処理反応は加水分解・縮重合反応であり、表面被覆の反応効率上、加水分解したシランカップリング剤が速やかに酸化亜鉛粒子と反応することが好ましい。酸化亜鉛粒子のpHが上記範囲である場合には、この酸化亜鉛粒子にシランカップリング剤を表面処理する場合の加水分解反応と縮重合反応の速度のバランスがよく、シランカップリング剤が酸化亜鉛粒子の表面に一様に処理されやすくなるため好ましい。また、表面処理中に酸化亜鉛粒子が溶解することを抑制することができる点でも好ましい。
【0041】
上記範囲のpHを有する酸化亜鉛粒子をシランカップリング剤で表面処理することで、表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理粒子を得ることができる。
【0042】
本実施形態の酸化亜鉛粒子の製造方法は、特に限定されないが、特許文献1,2の公知の方法で製造することができる。
【0043】
例えば、硫酸亜鉛の水溶液に炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムの水溶液を加えてできる塩基性炭酸亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛等の沈殿を水洗、乾燥、か焼、粉砕の工程を経ることによって製造することができる。この際に、か焼温度、か焼時間を変更することで酸化亜鉛粒子の比表面積を調整することができる。また、沈殿物の水洗終点を調整したり、得られた酸化亜鉛粒子を再度洗浄したりすることで、酸化亜鉛粒子のNa含有量、導電率、pHを調整することができる。
【0044】
[表面処理酸化亜鉛粒子]
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の粒子表面がアルコキシ基を有するシランカップリング剤で処理された表面処理酸化亜鉛粒子であって、酸化亜鉛粒子が、下記式(1)を満たす。
S・M/σ
2≧0.05 …(1)
(Sは酸化亜鉛粒子の比表面積(単位:m
2/g)、Mは酸化亜鉛粒子のNa含有量(単位:mg/kg)、σは酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合したスラリーの導電率(単位:μS/cm)である。)
【0045】
すなわち、本実施形態の表面処理粒子は、本実施形態の酸化亜鉛粒子が、シランカップリング剤で表面処理されたものである。
【0046】
本実施形態の表面処理粒子において、含まれる酸化亜鉛粒子の比表面積、Na含有量、酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合したスラリーの導電率について、好適な範囲は、上述の酸化亜鉛粒子と同様の数値範囲を採用することができる。
【0047】
酸化亜鉛粒子の粒子表面をシランカップリング剤で処理した表面処理粒子は、シランカップリング剤と酸化亜鉛粒子が化学結合しているため非常に安定性が高い。また、置換基が異なるシランカップリング剤を用いることにより、粒子表面の性質を容易に変更可能である。例えば、シランカップリング剤の種類を変更することにより、本実施形態の表面処理粒子を配合した化粧料について、肌に塗ったときの伸びや肌さわり等の感触を変えることができるという利点がある。
【0048】
本実施形態の表面処理粒子を化粧料に配合する場合、表面処理に用いるシランカップリング剤は、化粧料に使用可能なシランカップリング剤であれば特に限定されない。
例えば、シランカップリング剤としては、一般式(2)で表されるシランカップリング剤のうち、化粧料に使用可能なものが挙げられる。
R
1Si(OR
2)
3 …(2)
(R
1は、炭素数1〜18のアルキル基、フルオロアルキル基またはフェニル基、R
2は、炭素数1〜4のアルキル基を示す)
【0049】
具体的には、表面処理に用いるシランカップリング剤として、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン(トリエトキシカプリリルシラン)、n−オクタデシルトリメトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン;
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランなどのフルオロアルコキシシラン、フルオロアルキルアルコキシシラン;
が挙げられる。
【0050】
また、表面処理に用いるシランカップリング剤として、ジメトキシジフェニルシラン−トリエトキシカプリリルシランクロスポリマー、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンなど、シロキサン骨格を主鎖とし、分子構造内にアルコキシ基とアクリル基とを有するポリマー型シランカップリング剤等が挙げられる。
【0051】
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0052】
上記シランカップリング剤の中でも、分子内にオクチル基を有するシランカップリング剤が好ましい。具体的には、官能基の極性が中程度でありナチュラルオイルやエステル油からシリコーンオイルまでの幅広い極性の油相に対応可能なオクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン−トリエトキシカプリリルシランクロスポリマーを特に好適に用いることができる。
これらのシランカップリング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0053】
上記シランカップリング剤の表面処理量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、酸化亜鉛粒子の含有量に対して2質量%以上かつ10質量%以下が好ましい。上記範囲で酸化亜鉛粒子にシランカップリング剤を表面処理することにより、分散性に優れ、紫外線遮蔽性に優れる表面処理粒子が得られやすいため好ましい。
【0054】
なお、本実施形態の表面処理粒子の特性を阻害しない範囲であれば、シランカップリング剤に加え、化粧料に用いられる表面処理剤であってシランカップリング剤以外のものを用いて、酸化亜鉛粒子を表面処理してもよい。
【0055】
シランカップリング剤以外の表面処理剤としては例えば、シリカ、アルミナ等の無機材料や、シリコーン化合物、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステルおよび有機チタネート化合物などの有機材料を用いることができる。
【0056】
本実施形態の表面処理粒子の製造方法は、特に限定されず、表面処理に用いる成分に応じて、乾式処理や湿式処理等公知の方法で適宜実施すればよい。
【0057】
例えば乾式処理の場合は、酸化亜鉛粒子をヘンシェルミキサーやスーパーミキサーなどのミキサー中で撹拌しながら、シランカップリング剤を液滴下あるいはスプレー噴霧にて加えた後、一定時間高速強撹拌する。その後、撹拌を続けながら70℃から200℃に加熱処理することによって、表面処理を行う方法が挙げられる。
【0058】
シランカップリング剤の加水分解用の水分は、酸化亜鉛粒子の付着水を用いても良く、必要に応じてシランカップリング剤と共に又は別々に添加してもよい。
【0059】
シランカップリング剤は、シランカップリング剤と混合可能な溶媒で希釈して用いてもよい。このような溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、n−ヘキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。水分を添加して表面処理する場合には、これらの溶媒の中でも、水との相溶性が高いアルコール等の極性溶媒が好適に用いられる。
【0060】
例えば湿式処理の場合は、酸化亜鉛粒子とシランカップリング剤と溶媒とを撹拌しながら、25℃から100℃で数時間混合後、固液分離し、洗浄し、この洗浄物を70℃から200℃で加熱処理することによって表面処理を行う方法が挙げられる。シランカップリング剤の加水分解用の水分は、酸化亜鉛粒子の付着水を用いても良く、必要に応じてシランカップリング剤と共に又は別々に添加してもよい。
【0061】
シランカップリング剤は、シランカップリング剤と混合可能な溶媒で希釈して用いてもよい。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、n−ヘキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。水分を添加して表面処理する場合には、これらの溶媒の中でも、水との相溶性が高いアルコール等の極性溶媒が好適に用いられる。
【0062】
[分散液]
本実施形態の分散液は、本実施形態の表面処理粒子と、分散媒と、を含有している。
なお、本実施形態の分散液は、粘度が高いペースト状の分散体も含む。
【0063】
分散媒は、化粧料に処方することが可能で、表面処理粒子が分散できるものであれば、特に限定されない。
例えば、水;
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、オクタノール、グリセリン等のアルコール類;
酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;
ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;
ナチュラルオイル、エステル油、シリコーンオイル等が好適に用いられる。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
また、他の分散媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;
シクロヘキサン等の環状炭化水素;
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン類等が用いられる。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
また、他の分散媒としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン類;
アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン類等が用いられる。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
また、他の分散媒としては、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等の炭化水素油;
イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油;
デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;
ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等の疎水性の分散媒を用いてもよい。
【0067】
本実施形態の分散液は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
【0068】
添加剤としては、例えば、防腐剤、分散剤、分散助剤、安定剤、水溶性バインダー、増粘剤、油溶性薬剤、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、UV吸収剤等の他の成分を含んでもよい。
【0069】
本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)は、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。
【0070】
d50の下限値は特に限定されず、例えば、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよい。d50の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0071】
また、本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)は400nm以下であることが好ましく、350nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。
【0072】
d90の下限値は特に限定されず、例えば、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。d90の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0073】
分散液のd50が300nm以下の場合には、この分散液を用いて作製した化粧料を皮膚に塗布した場合に、表面処理粒子が均一に分布しやすく、紫外線遮蔽効果が向上するため好ましい。また、分散液のd90が400nm以下の場合には、分散液の透明性が高く、この分散液を用いて作製された化粧料の透明性も高くなるため好ましい。
【0074】
すなわち、本実施形態における分散液のd50とd90が上記範囲であることにより、透明性に優れ、紫外線遮蔽性に優れる分散液を得ることができる。また、この分散液を用いて作製した化粧料も、透明性と紫外線遮蔽性に優れる。
【0075】
本実施形態の分散液における酸化亜鉛粒子の含有量は、所望の特性に合わせて適宜調整すればよい。
【0076】
本実施形態の分散液を化粧料に用いる場合には、分散液における酸化亜鉛粒子の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、分散液における酸化亜鉛粒子の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。分散液における酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0077】
分散液における酸化亜鉛粒子の含有量が上記範囲であることにより、酸化亜鉛粒子が高濃度で含有されるため、処方の自由度を向上することができるとともに、分散液の粘度を取り扱いが容易な程度とすることができる。
【0078】
本実施形態の分散液の粘度は、5Pa・s以上であることが好ましく、8Pa・s以上であることがより好ましく、10Pa・s以上であることがさらに好ましく、15Pa・s以上であることが最も好ましい。また、分散液の粘度は、300Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましく、80Pa・s以下であることがさらに好ましく、60Pa・s以下であることが最も好ましい。分散液の粘度の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0079】
分散液の粘度が上記の範囲であることにより、固形分(酸化亜鉛粒子)を高濃度に含んでいても、取り扱いが容易な分散液を得ることができる。
【0080】
本実施形態の分散液は、表面処理粒子を10質量%含有させた分散液を、12μmとなるように塗布して15分間自然乾燥させて塗膜を形成した場合、当該塗膜について測定される物性値が、次の範囲であることが好ましい。
すなわち、上記塗膜の450nmにおける透過率が、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。上限値は特に限定されず、100%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。塗膜の450nmにおける透過率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0081】
上記塗膜の450nmにおける透過率が大きいほど透明性に優れるため、450nmにおける透過率は高いほうが好ましい。
【0082】
また、上記塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率は、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。下限値は特に限定されず、0%であってもよく、0.5%であってもよく、1%であってもよい。塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0083】
上記塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率が小さいほど紫外線遮蔽性に優れるため、290nm〜320nmにおける平均透過率は小さいほうが好ましい。
【0084】
また、上記塗膜のSPF値は、30以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。上限値は特に限定されず、150であってもよく、100であってもよく、80であってもよい。上記塗膜のSPF値の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0085】
上記塗膜のSPF値が大きいほど、紫外線B波を防ぐ効果が大きいため、SPF値は大きいほうが好ましい。
【0086】
上記塗膜の臨界波長(Critical Wavelength)は、370nm以上であることが好ましい。分散液の臨界波長が370nm以上であることにより、この分散液を含有する化粧料は、臨界波長が370nm以上となり、長波長紫外線(UVA)及び短波長紫外線(UVB)の広範囲の紫外線を遮蔽することができる。
【0087】
なお、本明細書において「臨界波長」とは、分散液を塗布した塗膜を測定することで求められる値である。具体的には、上記塗膜について、290nm以上400nm以下の紫外線領域の吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトルにおいて290nmから長波長側に積分したとき、積分面積が290nm以上400nm以下の全領域での積分面積の90%となる波長を、求める「臨界波長」とする。
【0088】
本実施形態の分散液の製造方法は、特に限定されない。例えば、本実施形態の表面処理粒子と、分散媒とを、公知の分散装置で、機械的に分散する方法が挙げられる。
【0089】
分散装置は必要に応じて選択でき、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、ロールミル等が挙げられる。
【0090】
本実施形態の分散液は、化粧料の他、紫外線遮蔽機能やガス透過抑制機能等を有する塗料等に用いることができる。
【0091】
[組成物]
本実施形態の組成物は、本実施形態の表面処理粒子と、樹脂と、分散媒と、を含有してなる。
【0092】
本実施形態の組成物における表面処理粒子の含有量は、所望の特性に合わせて適宜調整すればよいが、例えば、10質量%以上かつ40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上かつ30質量%以下であることが好ましい。
【0093】
組成物における表面処理粒子の含有量が上記範囲であることにより、固形分(酸化亜鉛粒子)を高濃度に含むため、表面処理粒子の特性が十分に得られ、かつ、表面処理粒子を均一に分散した組成物を得ることができる。
【0094】
分散媒としては、工業用途で一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0095】
本実施形態の組成物における分散媒の含有量は、特に限定されず、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。
【0096】
樹脂としては、工業用途で一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0097】
本実施形態の組成物における樹脂の含有量は、特に限定されず、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。
【0098】
本実施形態の組成物は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、重合開始剤、分散剤、防腐剤等が挙げられる。
【0099】
本実施形態の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態の表面処理粒子と、樹脂と、分散媒とを、公知の混合装置で、機械的に混合する方法が挙げられる。
【0100】
また、上述した分散液と、樹脂とを、公知の混合装置で、機械的に混合する方法が挙げられる。
【0101】
混合装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。
【0102】
本実施形態の組成物を、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、はけ塗り法、浸漬法等の通常の塗布方法により、ポリエステルフィルム等のプラスチック基材に塗布することにより、塗膜を形成することができる。これらの塗膜は、紫外線遮蔽膜やガスバリア膜として活用することができる。
【0103】
[化粧料]
本実施形態の一実施形態の化粧料は、本実施形態の表面処理粒子および本実施形態の分散液からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなる。
【0104】
別の一実施形態の化粧料は、化粧品基剤原料と、本実施形態の表面処理粒子および本実施形態の分散液からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなる。
【0105】
ここで、化粧品基剤原料とは、化粧品の本体を形成する諸原料を意味し、油性原料、水性原料、界面活性剤、粉体原料等が挙げられる。
油性原料としては、例えば、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油類等が挙げられる。
【0106】
水性原料としては、精製水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
【0107】
粉末原料としては、有色顔料、白色顔料、パール剤、体質顔料等が挙げられる。
【0108】
本実施形態の化粧料は、例えば、本実施形態の分散液を、乳液、クリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー等の化粧品基剤原料に、従来通りに配合することにより得られる。
【0109】
また、本実施形態の化粧料は、本実施形態の表面処理粒子を油相または水相に配合して、O/W型またはW/O型のエマルションとしてから、化粧品基剤原料と配合することにより得られる。
【0110】
化粧料における表面処理粒子の含有量は所望の特性に応じて適宜調整すればよく、例えば、表面処理粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、1質量%以上であってもよい。また、表面処理粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。化粧料における表面処理粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0111】
以下、日焼け止め化粧料について具体的に説明する。
紫外線、特に長波長紫外線(UVA)を効果的に遮蔽し、粉っぽさやきしみの少ない良好な使用感を得るためには、日焼け止め化粧料における表面処理粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、日焼け止め化粧料における表面処理粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。日焼け止め化粧料における表面処理粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0112】
日焼け止め化粧料は、必要に応じて、疎水性分散媒、表面処理粒子以外の無機微粒子や無機顔料、親水性分散媒、油脂、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、栄養剤、酸化防止剤、香料等を含んでいてもよい。
【0113】
疎水性分散媒としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等の炭化水素油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0114】
化粧料に含まれる表面処理粒子以外の無機微粒子や無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(アパタイト)、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、酸化チタン、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、γ−酸化鉄、チタン酸コバルト、コバルトバイオレット、酸化ケイ素等が挙げられる。
【0115】
日焼け止め化粧料は、さらに有機系紫外線吸収剤を少なくとも1種含有していてもよい。
【0116】
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、シリコーン系ケイ皮酸紫外線吸収剤、これら以外の有機系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0117】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0118】
ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤としては、例えば、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、1−(4’−イソプロピルフェニル)−3−フェニルプロパン−1,3−ジオン、5−(3,3’−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0119】
安息香酸系紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル等が挙げられる。
【0120】
アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等が挙げられる。
【0121】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−2−プロパノールフェニルサリシレート等が挙げられる。
【0122】
ケイ皮酸系紫外線吸収剤としては、例えば、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、ジ−パラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0123】
シリコーン系ケイ皮酸紫外線吸収剤としては、例えば、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−1−メチルプロピル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−3−メチルプロピル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルブチル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルブチル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−トリス(トリメチルシロキシ)シリル−1−メチルプロピル]−3,4−ジメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0124】
上記以外の有機系紫外線吸収剤としては、例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、5−(3,3’−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、シリコーン変性紫外線吸収剤、フッ素変性紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0125】
本実施形態の化粧料の臨界波長は、370nm以上であることが好ましい。化粧料の臨界波長が370nm以上であることにより、長波長紫外線(UVA)及び短波長紫外線(UVB)の広範囲の紫外線を遮蔽することができる。
【0126】
以上のような表面処理酸化亜鉛粒子は、安定的に高い紫外線遮蔽性を示すものとなる。
また、以上のような分散液、化粧料によれば、上述したような表面処理酸化亜鉛粒子を含むため、安定的に高い紫外線遮蔽性を示すものとなる。
また、以上のような酸化亜鉛粒子によれば、上述したような表面処理酸化亜鉛粒子を好適に製造可能となる。
【実施例】
【0127】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0128】
実施例1〜5、比較例1〜2の酸化亜鉛粒子は、湿式法で酸化亜鉛粒子を製造する際、酸化亜鉛粒子を含むスラリーを純水で洗浄する回数を変更することにより作製した。
【0129】
[実施例1]
「表面処理粒子の作製」
酸化亜鉛粒子A1(比表面積S:30m
2/g、Na含有量M:56mg/kg、純水中に1時間撹拌した10質量%スラリーの導電率σ(以下、「スラリー導電率σ」):85.6μS/cm、S・M/σ
2=0.23)100質量部をヘンシェルミキサーに投入した。この酸化亜鉛粒子A1を撹拌混合しながら、オクチルトリエトキシシラン(信越化学製KBE−3083)5質量部と、純水0.375質量部と、イソプロピルアルコール7.125質量部と、の混合液を添加してヘンシェルミキサー内で混合し、1時間撹拌した。
【0130】
次いで、得られた混合物をジェットミルにて粉砕し、この粉砕粉を100℃で乾燥することで、実施例1の表面処理粒子B1を得た。
【0131】
「分散液の作製」
表面処理粒子B1を10質量部と、分散剤(信越化学社製、KF−6028)を2質量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン88質量部とを、攪拌機を用いて4000rpmで撹拌し、実施例1の分散液C1を得た。
【0132】
[実施例2]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A2(比表面積S:30m
2/g、Na含有量M:70mg/kg、スラリー導電率σ:186.7μS/cm、S・M/σ
2=0.06)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の表面処理粒子B2、分散液C2を得た。
【0133】
[実施例3]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A3(比表面積S:24m
2/g、Na含有量M:81mg/kg、スラリー導電率σ:67.1μS/cm、S・M/σ
2=0.43)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の表面処理粒子B3、分散液C3を得た。
【0134】
[実施例4]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A4(比表面積S:24m
2/g、Na含有量M:97mg/kg、スラリー導電率σ:75.7μS/cm、S・M/σ
2=0.41)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の表面処理粒子B4、分散液C4を得た。
【0135】
[実施例5]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A5(比表面積S:20m
2/g、Na含有量M:101mg/kg、スラリー導電率σ:81.2μS/cm、S・M/σ
2=0.31)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の表面処理粒子B5、分散液C5を得た。
【0136】
[実施例6]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A6(比表面積S:10m
2/g、Na含有量M:31mg/kg、スラリー導電率σ:82.0μS/cm、S・M/σ
2=0.05)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の表面処理粒子B6、分散液C6を得た。
【0137】
[実施例7]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A7(比表面積S:15m
2/g、Na含有量M:48mg/kg、スラリー導電率σ:65.0μS/cm、S・M/σ
2=0.17)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の表面処理粒子B7、分散液C7を得た。
【0138】
[比較例1]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A8(比表面積S:30m
2/g、Na含有量M:1400mg/kg、スラリー導電率σ:1034μS/cm、S・M/σ
2=0.04)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の表面処理粒子B8、分散液C8を得た。
【0139】
[比較例2]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A9(比表面積S:24m
2/g、Na含有量M:2400mg/kg、スラリー導電率σ:1370μS/cm、S・M/σ
2=0.03)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の表面処理粒子B9、分散液C9を得た。
【0140】
[比較例3]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替わりに、酸化亜鉛粒子A10(比表面積S:8m
2/g、Na含有量M:18mg/kg、スラリー導電率σ:76.2μS/cm、S・M/σ
2=0.02)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の表面処理粒子B10、分散液C10を得た。
【0141】
「評価」
(粒度分布の測定)
実施例1〜7、比較例1〜3で得られた分散液について、動的光散乱式粒径分布測定装置(型番:LB−550、堀場製作所製)を用いて測定し、累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)と、累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)とを求めた。
【0142】
(SPF値、臨界波長、透過率の測定)
実施例1〜7、比較例1〜3で得られた分散液を、それぞれ石英ガラス板上に厚さが12μmとなるように塗布し、15分間自然乾燥させて塗膜を形成した。
【0143】
得られた塗膜について、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いて測定し、紫外線領域における分光透過率(290〜320nmにおける平均透過率、450nmにおける透過率)、SPF値、臨界波長を求めた。
【0144】
実施例1〜7、比較例1〜3で用いた酸化亜鉛粒子について表1に示す。また、実施例1〜7、比較例1〜3の評価結果を表2に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
図1は、実施例1〜7、比較例1〜3についてS・M/σ
2とd50との関係を示すグラフである。また、
図2は、実施例1〜7、比較例1〜3についてS・M/σ
2とSPF値との関係を示すグラフである。
図1,2より、S・M/σ
2が0.05以上であれば、d50が300nm以下で分散性に優れ、かつSPF値が30以上の紫外線遮蔽性に優れる分散液が得られることが確認された。
【0148】
以上の結果より、本発明が有用であることが分かった。