特許第6683277号(P6683277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683277半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの両面研磨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6683277
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの両面研磨装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20200406BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20200406BHJP
   B24B 37/08 20120101ALI20200406BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   H01L21/304 622S
   H01L21/304 621A
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 622Q
   B24B37/00 K
   B24B37/08
   B24B49/12
   B24B37/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-45717(P2019-45717)
(22)【出願日】2019年3月13日
【審査請求日】2019年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−094954(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/096065(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/035864(WO,A1)
【文献】 特開平09−237774(JP,A)
【文献】 特開2011−119405(JP,A)
【文献】 特開2014−017524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/08
B24B 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子のセルロース誘導体を含む研磨スラリーを用いて両面研磨された半導体ウェーハの厚みを測定する半導体ウェーハの厚み測定方法であって、
前記両面研磨された半導体ウェーハを、オゾン濃度を5ppm以上としたオゾン水に10秒以上浸漬させる工程と、
前記浸漬を行った半導体ウェーハを乾燥させる工程と、
前記乾燥させた半導体ウェーハの厚みを測定する工程と
を有することを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定方法。
【請求項2】
前記オゾン水に浸漬させる工程の前に、前記両面研磨された半導体ウェーハを、純水に浸漬させる工程を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハの厚み測定方法。
【請求項3】
半導体ウェーハを両面研磨する両面研磨装置であって、
前記半導体ウェーハを両面研磨する際に用いる研磨スラリーとして、高分子のセルロース誘導体を含むものを供給する研磨スラリー供給手段と、
前記半導体ウェーハを、オゾン濃度を5ppm以上としたオゾン水に10秒以上浸漬するためのオゾン水浸漬槽と、
前記半導体ウェーハを乾燥させる乾燥手段と、
前記半導体ウェーハの厚みを測定する厚み測定手段と
を具備することを特徴とする半導体ウェーハの両面研磨装置。
【請求項4】
前記半導体ウェーハを純水に浸漬するための純水浸漬槽をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の半導体ウェーハの両面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの両面研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路線幅の微小化に伴い、その基板である半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」とも称する。)に要求される平坦度はますます厳しくなってきている。このような中で、大直径ウェーハを研磨する際には、従来の片面研磨に代わってより加工精度の優れた両面研磨方式が採用されている。
【0003】
ここで、両面研磨装置において、研磨後のウェーハの平坦度は研磨終了時のウェーハの厚さ、すなわちウェーハの仕上がり厚さとキャリアの厚さとの関係によって変化することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、キャリアの厚さに対して仕上がり厚さを厚くすると、研磨荷重によるウェーハの研磨布への沈み込みの影響から、ウェーハ外周部の圧力が中央部に比べて高くなる。その結果、ウェーハ外周部の研磨が促進されて中心部よりも外周部が薄くなる、いわゆる外周ダレが発生し全体形状も凸形状になりやすい。
【0005】
逆に、キャリアの厚さに対して仕上がり厚さを薄くすると、キャリアがウェーハの研磨布への沈み込みの影響を緩和するいわゆるリテーナー効果から、ウェーハ外周部の圧力が中央部に比べて小さくなる。その結果、ウェーハ外周部が中心部に対して厚くなる外周ハネが発生し、全体形状は凹形状になりやすい。このことから、従来では、キャリアの厚さに対するウェーハの仕上がり厚さを調整することによってウェーハの平坦度を調整している。平坦度の高いウェーハに研磨するためにはキャリアの厚さに対して最適な厚さでウェーハを仕上げる必要がある。そのため、両面研磨後のウェーハの厚さの測定が必要である。
【0006】
この場合、このウェーハを両面研磨装置にウェーハを仕込み回収する、自動搬送ロボットを用いて乾燥させインラインにてウェーハ厚み測定する方法がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−177539号公報
【特許文献2】特開2013−94954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載されたようなインライン測定により早いフィードバックで平坦度が測定でき、次の研磨厚みを決定することができている。このインライン測定精度を向上させることにより、半導体ウェーハの平坦度の調整精度の向上、及び、より早いフィードバックを実現することができる。
【0009】
しかしながら、従来、両面研磨終了直後に半導体ウェーハの厚みを測定する場合、測定精度が低かった。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑み、両面研磨終了直後に、半導体ウェーハの厚みを、精度よく、早いフィードバックで測定することができる半導体ウェーハの厚み測定方法を提供することを目的とする。本発明はまた、そのような半導体ウェーハの厚み測定を行うことが可能な両面研磨装置を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、研磨スラリーを用いて両面研磨された半導体ウェーハの厚みを測定する半導体ウェーハの厚み測定方法であって、前記両面研磨された半導体ウェーハを、オゾン水に浸漬させる工程と、前記浸漬を行った半導体ウェーハを乾燥させる工程と、前記乾燥させた半導体ウェーハの厚みを測定する工程とを有することを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定方法を提供する。
【0012】
このような半導体ウェーハの厚み測定方法は、両面研磨された半導体ウェーハをオゾン水に浸漬することにより、両面研磨後の半導体ウェーハを酸化膜で保護することができる。そのため、半導体ウェーハの厚み測定をより精度よく行うことができる。また、この方法は簡易かつ迅速に行うことができる。
【0013】
また、本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法は、前記研磨スラリーを、高分子のセルロース誘導体を含むものとすることができる。
【0014】
このように、研磨スラリーとして、高分子のセルロース誘導体を含むものを用いた場合であっても、オゾン水浸漬工程を有することにより、簡易かつ迅速に高分子のセルロース誘導体を除去することができるため、半導体ウェーハの厚み測定をより精度よく行うことができる。
【0015】
また、本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法では、前記オゾン水のオゾン濃度を5ppm以上とすることが好ましい。
【0016】
このようなオゾン濃度を有するオゾン水を用いることにより、より効果的に半導体ウェーハの処理を行うことができる。
【0017】
また、オゾン水に浸漬させる工程を10秒以上とすることが好ましい。
【0018】
このような時間でオゾン水に半導体ウェーハを浸漬することにより、より効果的に半導体ウェーハの処理を行うことができる。
【0019】
また、本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法では、前記オゾン水に浸漬させる工程の前に、前記両面研磨された半導体ウェーハを、純水に浸漬させる工程を有することができる。
【0020】
このように、オゾン水浸漬工程の前に半導体ウェーハを純水に浸漬させる工程を有することにより、オゾン水浸漬前に簡易洗浄を行うことができるため、より確実にオゾン水による半導体ウェーハの処理を行うことができる。
【0021】
また、本発明は、半導体ウェーハを両面研磨する両面研磨装置であって、前記半導体ウェーハを両面研磨する際に用いる研磨スラリーを供給する研磨スラリー供給手段と、前記半導体ウェーハをオゾン水に浸漬するためのオゾン水浸漬槽と、前記半導体ウェーハを乾燥させる乾燥手段と、前記半導体ウェーハの厚みを測定する厚み測定手段とを具備することを特徴とする半導体ウェーハの両面研磨装置を提供する。
【0022】
このような両面研磨装置であれば、両面研磨機による半導体ウェーハの両面研磨の後、迅速に、インラインで半導体ウェーハの厚み測定を行うことができ、その際、半導体ウェーハに対してオゾン水浸漬槽によるオゾン水浸漬処理を行うことができるため、半導体ウェーハの厚み測定をより精度よく行うことができる。
【0023】
本発明の半導体ウェーハの両面研磨装置では、前記研磨スラリー供給手段が、前記研磨スラリーとして、高分子のセルロース誘導体を含むものを供給するものとすることができる。
【0024】
このように、高分子のセルロース誘導体を含む研磨スラリーを用いる両面研磨装置の場合であっても、オゾン水浸漬槽によるオゾン水浸漬処理を行うことができるため、半導体ウェーハの厚み測定をより精度よく行うことができる。
【0025】
また、本発明の半導体ウェーハの両面研磨装置では、前記半導体ウェーハを純水に浸漬するための純水浸漬槽をさらに具備することができる。
【0026】
このように純水浸漬槽を具備することにより、半導体ウェーハをオゾン水に浸漬させる前に純水に浸漬させる処理を行うことができるため、より確実に半導体ウェーハをオゾン水により処理することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法では、両面研磨された半導体ウェーハをオゾン水に浸漬することにより、両面研磨終了直後の半導体ウェーハを酸化膜で保護することができる。そのため、半導体ウェーハの厚み測定をより精度よく行うことができる。また、この方法は簡易かつ迅速に行うことができる。これにより、インラインで半導体ウェーハの厚みを測る方法とすることができる。その結果、早いフィードバックで半導体ウェーハの厚み測定をすることが可能となり、半導体ウェーハの平坦度向上にもつながる。また、本発明の両面研磨装置は、そのような半導体ウェーハの厚み測定を迅速に行うことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法の概略を示すフロー図である。
図2】両面研磨後の半導体ウェーハの厚み測定の結果を示したグラフであり、(a)は、オゾン水浸漬工程を有しない場合の半導体ウェーハの厚み分布を示すグラフであり、(b)は、本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法によるオゾン水浸漬工程を有する場合の半導体ウェーハの厚み分布を示すグラフである。
図3】オゾン水浸漬工程におけるオゾン水の濃度と、半導体ウェーハの厚み測定における測定精度の関係を示すグラフである。
図4】本発明の半導体ウェーハの両面研磨装置の構成の一例を示す概略図である。
図5】本発明の半導体ウェーハの両面研磨装置を構成する一部である両面研磨機の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
本発明は、研磨スラリーを用いて両面研磨された半導体ウェーハの厚みを測定する半導体ウェーハの厚み測定方法であって、両面研磨された半導体ウェーハを、オゾン水に浸漬させる工程と、浸漬を行った半導体ウェーハを乾燥させる工程と、乾燥させた半導体ウェーハの厚みを測定する工程と有する半導体ウェーハの厚み測定方法である。
【0031】
この本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法は、半導体ウェーハを両面研磨する両面研磨装置であって、半導体ウェーハを両面研磨する際に用いる研磨スラリーを供給する研磨スラリー供給手段と、半導体ウェーハをオゾン水に浸漬するためのオゾン水浸漬槽と、半導体ウェーハを乾燥させる乾燥手段と、半導体ウェーハの厚みを測定する厚み測定手段とを具備する半導体ウェーハの両面研磨装置によって行うことができる。この両面研磨装置の構成について、さらに、図4図5を参照して説明する。
【0032】
図4に、本発明の半導体ウェーハの両面研磨装置の構成の一例の概略を、概念的な図で示した。図4に示したように、両面研磨装置100は、半導体ウェーハWを両面研磨する両面研磨機10を有する。図4には、両面研磨機10で研磨されたウェーハWが自動搬送ロボット等のウェーハ搬送手段70により回収される様子を示している。両面研磨装置100はさらに、半導体ウェーハWをオゾン水42に浸漬するためのオゾン水浸漬槽40、半導体ウェーハWを乾燥させる乾燥手段50、半導体ウェーハWの厚みを測定する厚み測定手段60を具備する。両面研磨装置100はさらに、半導体ウェーハWを純水32に浸漬するための純水浸漬槽30をさらに具備していてもよい。
【0033】
図5には、本発明の半導体ウェーハの両面研磨装置100を構成する一部である両面研磨機10の構成の一例を示す概略断面図を示した。本発明の両面研磨装置において、半導体ウェーハWを両面研磨する部分である両面研磨機の構成は特に限定されないが、例えば、図5に示すような4way式の両面研磨機10とすることができる。両面研磨機10は、上下に相対向して設けられた上定盤11と下定盤12を備えている。上下定盤11、12には、それぞれ研磨布13が貼付されている。上定盤11と下定盤12の間の中心部にはサンギア14が、周縁部にはインターナルギア15が設けられている。サンギア14及びインターナルギア15の各歯部にはキャリア21の外周歯が噛合しており、上定盤11及び下定盤12が不図示の駆動源によって回転されるのに伴い、キャリア21は自転しつつサンギア14の周りを公転する。このとき、キャリア21の保持孔22で保持されたウェーハWの両面は、上下の研磨布13により同時に研磨される。半導体ウェーハWの研磨時には、研磨スラリー供給手段16から研磨スラリー17がウェーハWの研磨面に供給される。
【0034】
図1に、本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法の概略を示した。
【0035】
まず、図1(a)に示したように、研磨スラリーを用いて、半導体ウェーハの両面研磨を行う。この両面研磨工程においては、図4、5に示した両面研磨機10を用いて半導体ウェーハWの両面研磨を行うことができる。このとき、図5に示したように、研磨スラリー供給手段16から研磨スラリー17をウェーハWの研磨面に供給することができる。本発明は、このときの研磨スラリー17を、高分子のセルロース誘導体を含むものとした場合に特に好ましい。
【0036】
次に、図1(b)に示したように、両面研磨された半導体ウェーハを、両面研磨機から回収する。このとき、図4に示したように、自動搬送ロボット等のウェーハ搬送手段70を用いて両面研磨機10から半導体ウェーハWを回収することができる。また、この後の工程でも、ウェーハ搬送手段70により半導体ウェーハWを搬送することができる。
【0037】
このように両面研磨機から回収した半導体ウェーハを、図1(c)に示したように、オゾン水に浸漬させるのであるが、本発明では、オゾン水浸漬工程の前に、半導体ウェーハWを、純水に浸漬させる工程(純水浸漬工程)を有していてもよい。この純水浸漬工程は、図4に示した純水浸漬槽30に収容された純水32に、半導体ウェーハWを浸漬させることにより行うことができる。
【0038】
ウェーハ回収工程の後(又は、ウェーハ回収工程及び純水浸漬工程の後)のオゾン水浸漬工程は、図4に示したオゾン水浸漬槽40に収容されたオゾン水42に、半導体ウェーハWを浸漬させることにより行うことができる。このオゾン水浸漬工程では、オゾン水42のオゾン濃度を5ppm以上とすることが好ましく、オゾン濃度を10ppm以上とすることがさらに好ましい。オゾン濃度が5ppm以上であれば、より確実に、半導体ウェーハを酸化膜で保護することができ、また、高分子のセルロース誘導体を除去することもできる。オゾン濃度を10ppm以上とすれば、厚さの測定精度の向上が著しい。オゾン水42のオゾン濃度の上限は特に限定されず飽和濃度まで含有させることもできるが、経済性の面から、100ppm以下とすることができる。
【0039】
また、このオゾン水浸漬工程では、半導体ウェーハWをオゾン水42に浸漬させる時間を10秒以上とすることが好ましく、30秒以上とすることがさらに好ましく、1分以上とすることが特に好ましい。このような時間でオゾン水浸漬工程を行えば、十分に半導体ウェーハWの表面の処理を行うことができる。一方、このオゾン水浸漬工程は、生産性の観点から、必要以上の長い時間を行わなくてよい。そのため、オゾン水浸漬工程の時間は5分以下とすることができる。
【0040】
オゾン水浸漬工程では、半導体ウェーハWのオゾン水42への浸漬は1枚のウェーハごとに行ってもよいし、複数枚同時に行ってもよい。これは、純水32への浸漬でも同様である。
【0041】
オゾン水浸漬工程を行った後は、図1(d)に示したように、半導体ウェーハを乾燥させる。この乾燥工程は、図4に示した乾燥手段50を用いて行うことができる。この乾燥もシリコンウェーハWを1枚ごとに行ってもよいし、複数枚同時に行うこともできる。乾燥手段50としては半導体ウェーハを乾燥させる公知の乾燥手段のいずれでも用いることができる。
【0042】
乾燥工程を行った後、図1(e)に示したように、乾燥させた半導体ウェーハの厚みを測定する。この厚み測定では、図4に示した厚み測定手段60を用いることができる。厚み測定手段60としては、公知の半導体ウェーハの厚み測定機器を用いることができる。例えば、キーエンス社製の分光干渉レーザ変位計SI−Fシリーズを用いることができる。
【0043】
両面研磨された半導体ウェーハWは、研磨スラリーなどから腐食されるのを防止し、保護するため、通常、高分子のセルロース誘導体が付着している。この高分子のセルロース誘導体は、通常、研磨スラリー自体に添加されている。この高分子のセルロース誘導体は、具体的には、例えば、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0044】
上記のように、両面研磨機で両面研磨された後回収された半導体ウェーハは、通常、高分子のセルロース誘導体が付着している。本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法では、回収後の半導体ウェーハ(回収直後の未乾燥の半導体ウェーハ)をオゾン水(又は、純水及びオゾン水)に浸漬することにより、簡易的にウェーハの表面に付いた凝集したシリカを含む高分子のセルロース誘導体を取り除くことができる。また、オゾン水の作用により、酸化膜で半導体ウェーハの表面を保護することができる。高分子のセルロース誘導体が付着していない半導体ウェーハの場合であっても、研磨により活性化したウェーハ表面を、オゾン水の作用により、酸化膜で半導体ウェーハの表面を保護することができる。そのため、オゾン水浸漬工程を行った後に乾燥すれば、高精度に半導体ウェーハの厚みを測定することができる。
【0045】
本発明の方法は簡易かつ迅速に行うことができる。これにより、インラインで半導体ウェーハの厚みを測る方法とすることができる。すなわち、図4に示したように、両面研磨装置100の装置内で迅速に半導体ウェーハの厚み測定を行うことができる。その結果、早いフィードバックで半導体ウェーハの厚み測定をすることが可能となり、半導体ウェーハの平坦度向上にもつながる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1〜5)
図1のフローに従って、両面研磨後の半導体ウェーハの厚み測定を行った。まず、両面研磨する半導体ウェーハWとして、以下のようにしてシリコンウェーハを準備した。まず、チョクラルスキー法にしたがって単結晶引上装置により引き上げられた単結晶インゴットをスライスしてアズスライスウェーハとした。このアズスライスウェーハのエッジ部を面取りした後、ラッピングし、残留ひずみを取り除くためにエッチングした。このようにして直径300mmのCWウェーハを準備した。
【0048】
次に、上記のCWウェーハを、図5に示したような両面研磨機10にて、ラップ工程起因のひずみを除去するのに十分な量を両面研磨加工した(図1(a))。研磨スラリーとしてはコロイダルシリカ研磨剤を用いた。この研磨スラリーには高分子のセルロース誘導体が含まれていた。
【0049】
次に、研磨された半導体ウェーハWを自動搬送ロボット(ウェーハ搬送手段70)を用いて回収した(図1(b))。ここで回収した両面研磨後の半導体ウェーハWは研磨スラリー剤などから腐食するのを保護するための高分子のセルロース誘導体が付着していた。回収された半導体ウェーハは1枚ごとに、オゾン水42に浸漬した(図1(c))。ここでオゾン水42に浸漬する条件として、オゾン濃度を2〜20ppmの範囲で振り、浸漬時間を30秒として評価した。オゾン濃度2ppmが実施例1、オゾン濃度5ppmが実施例2、オゾン濃度7ppmが実施例3、オゾン濃度10ppmが実施例4、オゾン濃度20ppmが実施例5である。オゾン水42に浸漬した後ウェーハWを乾燥し(図1(d))、厚み測定(図1(e)を行った)。ここでのインラインの厚み測定にはキーエンス社製の分光干渉レーザ変位計SI−Fシリーズを用いた。
【0050】
(比較例)
オゾン水42への半導体ウェーハWの浸漬を行わないことを除き、実施例1〜5と同様にして半導体ウェーハの厚み測定を行った。すなわち、上記の研磨条件の元、両面研磨し、ウェーハ回収を行い、乾燥、厚み測定を行った。
【0051】
図2に、10ppmのオゾン水に浸漬した場合(「オゾン有り」、実施例4、図2(b))と、オゾン水に浸漬しない場合(「オゾン無し」、比較例、図2(a))について、半導体ウェーハの厚み分布を測定した結果を示す。
【0052】
「オゾン無し」の比較例では、ノイズが乗っているのに対して、「オゾン有り」の実施例では測定結果の半導体ウェーハの断面厚み線が滑らかになっていることがわかる。
【0053】
図3にオゾン濃度と測定精度の相関について評価した結果を示す。半導体ウェーハの測定精度を評価するためのパラメータとして、測定結果のデータに対して、隣り合うデータの差分を平均したものを用いた。
【0054】
図3からわかるように、オゾンが含まれるオゾン水への浸漬を行うことにより、測定精度を上げることができる。また、オゾン水のオゾン濃度を上げることでウェーハ表面の汚れが改善され、それにより測定結果のノイズが低減していることがわかる。測定精度の向上にはオゾン濃度5ppm以上が好ましく、オゾン濃度10ppm以上がより測定精度が向上しさらに好ましいことも図3からわかる。特に、測定精度としては1nm以下であれば十分と考えられ、オゾン濃度は10ppm以上であれば十分に目的の精度が得られる結果となった。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0056】
10…両面研磨機、 11…上定盤、 12…下定盤、 13…研磨布、
14…サンギア、 15…インターナルギア、
16…研磨スラリー供給手段 17…研磨スラリー、
21…キャリア、 22…保持孔、
30…純水浸漬槽、 32…純水、
40…オゾン水浸漬槽、 42…オゾン水、
50…乾燥手段、 60…厚み測定手段、 70…ウェーハ搬送手段、
100…両面研磨装置、
W…半導体ウェーハ。
【要約】
【課題】 両面研磨終了直後に、半導体ウェーハの厚みを、精度よく、早いフィードバックで測定することができる半導体ウェーハの厚み測定方法を提供する。
【解決手段】 研磨スラリーを用いて両面研磨された半導体ウェーハの厚みを測定する半導体ウェーハの厚み測定方法であって、前記両面研磨された半導体ウェーハを、オゾン水に浸漬させる工程と、前記浸漬を行った半導体ウェーハを乾燥させる工程と、前記乾燥させた半導体ウェーハの厚みを測定する工程と有することを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定方法。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5