(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示は、可逆的流体貯蔵分配媒体として有用である吸着剤、並びに流体が吸着剤上に貯蔵され、続いて流体分配条件下で吸着剤から脱着放出される流体供給パッケージ、並びにこのような吸着剤を含む流体供給パッケージ及びそれを含む装置に関する。
【0046】
本明細書において用いられるとき、用語「分配条件」は、流体が吸着した吸着剤から流体が離れるように、且つ、離れた流体が使用のために吸着剤から分配されるように、流体を脱着するのに有効である条件を意味する。吸着剤は、例えば、流体供給パッケージ内に、その上に吸着された流体を有する吸着剤を含む容器内に配置されてもよい。吸着剤から流体を脱着するための分配条件は、(i)流体の熱媒介脱着を起こす、吸着剤の加熱、(ii)流体の圧力媒介脱着を起こす、減圧条件への吸着剤の暴露、(iii)流体の濃度勾配媒介脱着を起こし、脱着された流体をキャリア流体内に通す、その上に吸着された流体を有する吸着剤とキャリア流体との接触、(iv)流体の脱着を起こす、熱エネルギー以外のエネルギーの吸着剤への投入、(v)既存の吸着された流体を追い出すように作用し、したがって、例えば、吸着剤上の活性収着部位における競争的置換により、この流体脱着される、吸着剤と吸着性流体との接触、及び(vi)前述の条件のうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0047】
図1は、本開示の吸着剤が、本開示の様々な実施において、その上の流体の可逆的貯蔵のための流体貯蔵分配容器内に配置されてもよい、本開示のその1つの態様による流体供給パッケージの斜視図である。
【0048】
例示の通り、流体供給パッケージ10は、吸着剤18が内部に配置されている容器の内部容積16を囲む境界壁14及び床を含む容器12を含む。吸着剤18は、関心のある流体に対する収着親和性を有するタイプのものであり、このような流体は、容器から排出するための分配条件下で吸着剤18から脱着することができる。容器12は、その上端部で、その上面の上向きに延びるボス28を取り囲むその外周部が平面的であってもよいキャップ20に接合される。キャップ20は、流体分配アセンブリの同様にねじが切られた下部26を受け入れる、ねじが切られた中央の開口部を有する。
【0049】
流体分配アセンブリは、流体分配弁体(
図1に図示せず。)と連結された手動ハンドホイール30の動作によって完全開位置と完全閉位置との間で移動可能である流体分配弁体が内部に配置されているバルブヘッド22を含む。流体分配アセンブリは、ハンドホイール30の操作によってバルブが開いているとき流体供給パッケージからの流体を分配するための出口ポート24を含む。ハンドホイール30の代わりに、流体分配アセンブリは、流体分配アセンブリ内のバルブをバルブの完全開位置と完全閉位置との間で移動させるよう空気圧で動作可能である空気圧バルブアクチュエータなどの自動バルブアクチュエータを含んでもよい。
【0050】
流体分配アセンブリの出口ポート24は、移動可能な弁体を含むバルブヘッド22内のバルブ室と連絡している対応する管状の延長部分の開口端によって画定される。このような管状の延長部分は、分配された流体を下流の使用場所、例えば、集積回路又は他のマイクロ電子デバイスなどの半導体製造製品の製造に適合させた流体利用ツール、或いは太陽電池パネル又はフラットパネルディスプレイの製造に適合させた流体利用ツールに送出するための流れ回路との流体分配アセンブリのカップリングに対応するように、その外面にねじが切られてもよい。ねじが切られた特徴の代わりに、管状の延長部分は、他のカップリング構造、例えば、クイック・コネクトカップリングと共に構成されてもよく、或いは、使用場所に流体を分配するために適合させてもよい。
【0051】
容器12の内部容積16内の吸着剤18は、本明細書に開示の任意の適したタイプのものであってもよく、例えば、粉末、粒子、ペレット、ビーズ、モノリス、タブレット又は他の適切な形態の吸着剤を含んでもよい。吸着剤は、貯蔵条件時及び輸送条件時に容器内に貯蔵され、分配条件下で容器から分配される関心のある流体に対する収着親和性を有するように選択される。このような分配条件は例えば、吸着剤上に吸着された形態で貯蔵されている流体の脱着に対応するバルブヘッド22内の弁体を開くこと、並びに出口ポート24での圧力によって、圧力媒介脱着及び流体供給パッケージからの流体の排出が引き起こされる、容器から流体分配アセンブリを通じた出口ポート24及び関連する流れ回路への流体の排出を含んでもよい。例えば、分配アセンブリは、このような圧力媒介脱着及び分配のために、容器内の圧力より低い圧力、例えば、上述の流れ回路によって流体供給パッケージに連結された下流の流体利用ツールに適切な準大気圧の流れ回路に連結されてもよい。
【0052】
或いは、分配条件は、流体供給パッケージから排出するために流体の熱媒介脱着を引き起こす吸着剤18の加熱と共にバルブヘッド22内の弁体を開くことを含んでもよい。その他の任意の脱着媒介条件及び技術、又はこのような条件及び技術の任意の組み合わせが用いられてもよい。
【0053】
流体供給パッケージ10は、容器12の内部容積16からの流体の初期排出と、その後の出口ポート24を通じた容器内の流体の流れによって、吸着剤上に貯蔵するための流体で満たされてもよく、それによって、流体供給パッケージからの流体を満たすと共に分配する2つの機能を果たす。或いは、バルブヘッド22は、第一に、容器を満たし、導入された流体を吸着剤に負荷するための別の流体導入ポートを備えてもよい。
【0054】
容器内の流体は、任意の適した圧力条件で貯蔵されてもよい。流体貯蔵媒体として吸着剤を使用する利点は、流体を、低圧、例えば、準大気圧又は低超大気圧で貯蔵することができ、それによって、高圧ガスボンベなどの流体供給パッケージと比べて流体供給パッケージの安全性が高まることである。
【0055】
パッケージ化された流体に適切な貯蔵媒体を提供し、その貯蔵媒体から、流体供給パッケージによって特定の使用場所又は特定の流体利用装置に供給するために流体を分配条件下で脱着することができるように、
図1の流体供給パッケージが本明細書に開示の任意の吸着剤の封じ込めのために使用されてもよい。
【0056】
1つの態様において、本開示は、その上に可逆的に吸着された流体を有する吸着剤を含む、使用のための流体を供給するための組成物に関し、吸着剤は、チタニア、ジルコニア、シリカライト、金属有機骨格(MOF)材料及びポリマー骨格(PF)材料からなる群から選択される材料を含み、流体は、半導体製品、フラットパネルディスプレイ、太陽電池パネル、或いはこれらの構成要素又は部分組立品を製造するための流体を含み、流体がシラン又はジシランを含むとき、吸着剤はさらにシリカを含んでもよい。特定の態様において、流体は、シラン、ジシラン、ゲルマン、ジボラン及びアセチレンからなる群から選択される流体を含む。
【0057】
別の態様において、本開示は、前段落に様々に記述された組成物を含む流体貯蔵分配容器と、分配条件下で容器から流体を分配するように構成された分配アセンブリとを含む流体供給パッケージに関する。
【0058】
1つの特定の態様において、本開示は、その上に可逆的に吸着されたシランを有するシリカ又はシリカライトを含む、使用のためのシランを供給するための組成物に関する。
【0059】
本開示の別の態様は、上述の組成物を分配条件にさらすステップ、例えば、減圧への組成物の暴露、加熱、キャリアガスとの接触などを含む、使用のための流体を供給する方法に関する。
【0060】
本開示のさらに別の態様は、上述の流体供給パッケージから分配条件下で流体を分配するステップを含む、使用のための流体を供給する方法に関する。
【0061】
別の態様において、本開示は、半導体製品、フラットパネルディスプレイ、太陽電池パネル、並びにこれらの構成要素及び部分組立品からなる群から選択される製品の製造方法に関し、このような方法は、このような製造方法の製造操作における、上述の組成物から脱着された流体の使用を含む。
【0062】
本開示のさらに別の態様は、半導体製品、フラットパネルディスプレイ、太陽電池パネル、並びにこれらの構成要素及び部分組立品からなる群から選択される製品の製造方法に関し、このような方法は、このような製造方法の製造操作における、上述の流体供給パッケージから分配された流体の使用を含む。
【0063】
チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカライト、金属有機骨格(MOF)材料及びポリマー骨格(PF)材料からなる群から選択される少なくとも1つの吸着剤を含む吸着剤貯蔵媒体が関与するシラン貯蔵分配に関する前述のものは、シランの使用に伴う問題に有効な解決策となる。例えば、その上にガスが収着保持され、続いて分配操作においてそこから脱着される様々なカーボン材料が吸着剤貯蔵媒体として用いられてきたが、シランなどの反応性ガスを長期貯蔵するための貯蔵媒体としてのこのような材料の使用は、このようなガスと、吸着剤材料内のカーボン表面の不純物及び/又はカーボン欠陥部位との反応により問題となる。
【0064】
チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカライト、金属有機骨格(MOF)材料及びポリマー骨格(PF)材料の使用によって、このような問題を回避できる。適切なサイズの孔、例えば、動力学径が0.37nmのシランが効率的に吸着され、続いて分配条件下で脱着される、孔径分布が狭いサブナノメートルの孔を持つ吸着剤が生成される。吸着剤材料は、粉末として、又はプレスされて、或いは、凝集体、ビーズ、ペレット、タブレット、モノリス又は他の適した形態に製造されて使用できる。吸着剤は、1nm未満のサイズの孔内にその空孔のかなりの部分を与えるよう構成されてもよく、例えば、1nm未満のサイズの孔内にその空孔の少なくとも30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上を有するポーラス吸着剤であってもよい。
【0065】
全シリカゼオライトであるシリカライトは、望ましい吸着剤媒体になる。例えば、シリカライト−1は、10員環を持ち、孔径は〜0.6nmの疎水性/親油性の結晶材料である。有利な空孔特性を与えるために、異なる孔構造/孔径を持つシリカライトの変異体(実質的にアルミノケイ酸ゼオライトの全シリカ類似体)が同様に利用されてもよい。
【0066】
シリカライト吸着剤において、孔径は、ゾルゲル調製技術などの様々な技術の使用により、或いは界面活性剤、助剤、及び特定の孔径の成長をテンプレートする反応条件、又はオングストロームレベルの分解で孔径を効果的に縮小させる真空蒸着技術の選択により制御することができる。このような湿式調製技術により生成された吸着剤材料は、収着性ガスに暴露される前に適切に乾燥される。乾燥は、真空中又は流動不活性ガス中で高温(典型的には>150℃)まで吸着剤材料を加熱することによって行われてもよい。脱水の温度及び時間は、吸着剤の特有の特性(孔径、孔径分布、形状因子など)及びその貯蔵履歴に依存する。
【0067】
前述の吸着剤材料は、シラン、又は、例えば、ジシラン、ゲルマン、ジボラン、アセチレンなどの他の反応性ガスの貯蔵分配のために、貯蔵されるガスの量に応じて任意の適した圧力(大気圧、準大気圧又は超大気圧)で、任意の適切な温度で利用されてもよい。
【0068】
1つの態様において、本開示は、サイズが減少したナノポーラスカーボン粒子をナノポーラスカーボン出発材料から生成する方法に関し、本方法は、ナノポーラスカーボン出発材料の空孔に浸透剤を導入するステップと、浸透剤を活性化させて、ナノポーラスカーボン出発材料の空孔に対して剥離的に有効な膨張作用を発揮させ、ナノポーラスカーボン出発材料を剥離させ、且つサイズが減少したナノポーラスカーボン粒子をナノポーラスカーボン出発材料から生成するステップとを含む。
【0069】
浸透剤は、任意の適したタイプのものであってもよく、例えば、酸、酸の混合物、例えば、硫酸:硝酸混合物、アルカリ金属、アンモニア、有機溶剤、及び前述のうちの2つ以上の混合物を含んでもよい。
【0070】
このような浸透剤の活性化は、以下でさらに詳しく説明するように、任意の適した活性化条件により、例えば、加熱、活性化剤との反応、活性化圧力条件への暴露、又は浸透剤がナノポーラスカーボン出発材料に対して膨張剥離作用を発揮するようにするのに有効であるその他の任意の活性化技術により様々に行われてもよい。
【0071】
このようなサイズ減少の手法は、体積に対する表面積の比の大幅な増加を可能にし、多種多様な用途において広範な有用性を有するナノポーラスカーボンを提供する。
【0072】
例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)ポリマー又はコポリマーのカーボン熱分解生成物として生成されたナノポーラスカーボンは、0.5nmから〜1nmの間の孔(スリット)サイズで生成されてもよく、高密度(例えば、〜1.1g/cc程度)、並びに大きなミクロ孔容積(>40%、マクロ孔(>5nm)及びボイド容積はわずか10%程度)及び高表面積(例えば、〜1100m2/g)を有してもよい。微視的レベルでは、このようなナノポーラスカーボン材料は、幾分ランダムな向きに折り畳まれ、交互配置されたグラフェンシート(sp2混成グラファイト平面)からなり、比較的高い電気伝導率及び熱伝導率を与える。
【0073】
ナノポーラスカーボン内の孔(スリット)サイズは、必要ならば、(1つ又は複数の)適切な前駆体ポリマー、例えば、PVDC又はPVDC−ポリメチルアクリレート(PMA)コポリマーの選択、高温熱分解条件の適切な選択、及びカーボン熱分解生成物の適切な後処理によって、0.05nmの許容範囲内に制御されてもよい。粉末については、粒子サイズは、例示的に150μm程度であってもよく、又は、(1つ又は複数の)前駆体ポリマーのサイズに応じて、さらに広く、50μm−300μmの範囲内であってもよい。エネルギー貯蔵用途に必要な粒子サイズは、典型的には25ミクロン未満であり、(典型的には25ミクロン程度である)アノード厚さによって制限される。したがって、これらの用途においてナノポーラスカーボンの使用に成功するには、表面積がより大きく、拡散長がより短いナノスケール粒子を実現して、より高出力の動作に対応するために、大幅なサイズ減少が必要になる可能性がある。
【0074】
このようなカーボンの高い耐摩耗性、高い圧縮強度及び高いヤング率を考えると、機械的摩砕、或いは遊星、ボール及び/又はエアー/ジェットミル粉砕などの技術による硬質カーボンの粒子サイズの減少は困難であり、ボールミル粉砕などの技術は、ギザギザの粒子形状を生じ、ボールから潜在的に汚染物質を取り込む傾向がある。さらに、熱分解されるポリマーの出発材料は非常に軟らかい場合があり、したがって、摩砕/ミル粉砕操作は、粒子凝集及び/又は孔を塞ぐガラス状表面の形成につながる恐れがある。
【0075】
グラファイトは、その軟らかい、非反応性の特徴の結果、ミクロンサイズの粒子に摩砕することができる。グラファイトの二次元の層構造にもかかわらず、これらの小さい粒子は実質的に三次元である。ナノメートルスケールの厚さを持つ長さ数ミクロンの二次元のグラファイトプレートレット(グラフェンナノ粒子)は、インターカレーション/剥離/加熱プロセスを使用して生成することができる。グラファイト(及び他の層状材料)内に容易にインターカレートして中間層の間隔を広げる典型的な分子には、酸及び酸の混合物、アルカリ金属、アンモニア、有機溶剤などが含まれる。これらの材料を加熱すると、急速に膨張/破砕し、したがって、粒子サイズが大幅に減少する。次いで、より均一な粒子サイズ分布を得るために、これらの「毛羽立った」粒子の後摩砕/ミル粉砕が用いられてもよい。
【0076】
したがって、孔/スリット入口を塞がずにナノポーラス硬質カーボンの粒子サイズを減少させるために、様々な材料(例えば、酸、酸の混合物(例えば、4:1硫酸:硝酸)、アルカリ金属、アンモニア、有機溶剤など)のうちの1つ又は複数の浸透が用いられ、その後に膨張が続く。分子のナノポーラスカーボンへの浸透は、より大きな孔/スリットサイズ(例えば、>0.5nm対0.35nm)のために、グラファイト内へのインターカレーションよりもはるかに速く、深くなる。有効であるために、グラファイトインターカレーション/剥離の出発サイズは100ミクロン程度であってもよく、さらに大きな出発粒子サイズは、所望の小さい粒子サイズに達するために複数のインターカレーション/剥離ステップを必要とする。急速浸透は、処理時間及びコストを最小限に抑えるのに有利である。
【0077】
急速膨張は、加熱(例えば、炉、火炎暴露、マイクロ波、赤外線、RF誘導、レーザー、サンプル内の電流通過、或いは発熱化学反応、電気化学的挿入又は超音波処理などの他の加熱様式の利用)によって行うことができる。得られる温度上昇は、グラフェン平面を一緒に保持するファンデルワールス力(5.9kJ/モル)を超えるガス圧の上昇をもたらす。或いは、化学反応又は化学分解は、平面を押し開くガスを発生させ得る(例えば、アルカリ金属+水→水素及び金属水酸化物、又はNH
4HCO
3(aq)→NH
3(g)+CO
2(g)+H
2O(g))。グラファイトは、急速加熱プロセスの間に200倍から300倍膨張し得ることが示された。
【0078】
しかし、(sp3結合がより多い)ナノポーラスカーボン内のより多くの三次元構造と比較して、グラファイトは二次元の層構造(sp2結合)であるため、ナノポーラスカーボンでは膨張/剥離がより困難になる可能性がある。したがって、追加のエネルギー又はさらに急速なエネルギーの増加が必要になることもある(例えば、マイクロ波加熱又は他の強力な加熱様式の利用)。マイクロ波エネルギーの吸収にとってグラファイトの断面が大きいため、マイクロ波加熱は特定の用途において非常に有利であり得る。ナノポーラスカーボン内へのインターカレート物質のより深い浸透は、剥離の促進に用いることができる。残留するインターカレート物質を完全に除去するために、水及び/又は溶剤によるさらなる加熱及び/又はすすぎが利用されてもよい。ナノポーラスカーボンの三次元構造の結果として、小さい三次元粒子を得ることができる。所望の最終的な粒子サイズ、粒子サイズ分布及び粒子形状に応じて、摩砕もしくはミル粉砕及び/又はふるい分けの後処理が用いられてもよい。
【0079】
粒子サイズの減少に加えて、密度(粒子間の間隙空間)の低減、表面積の増加、熱伝導率及び電気伝導率の低減、孔(スリット)サイズの増加、並びにより多くのエッジ欠陥を実現するために、浸透及び活性化剥離プロセスが行われてもよい。カーボン材料の特定の用途に望まれる材料特性、例えば、疎水性、親水性、表面パッシベーション及び/又はドーピングを制御するために、別の化学処理が用いられてもよい。
【0080】
したがって、本開示は、流体貯蔵分配用途及びエネルギー貯蔵用途に有用なサイズが小さい高表面積カーボン粒子を提供するための硬質ナノポーラスカーボンの粒子サイズの減少を意図しており、より大きな表面積及びより短い拡散長を実現するために、ナノポーラスカーボンの大幅なサイズ減少が行われてもよい。
【0081】
ナノポーラスカーボンの空孔に導入され、次いで、ナノポーラスカーボンの空孔に対して剥離的に有効な膨張作用を発揮させ、ナノポーラスカーボンを剥離させ、且つサイズが減少した粒子をナノポーラスカーボンから生成するために活性化される浸透剤の使用を含む本開示のプロセスにおいて、ナノポーラスカーボン出発材料は、任意の適した特徴の孔を含む空孔を有してもよい。種々の実施形態において、ナノポーラスカーボン出発材料の空孔の少なくとも30%が、0.5nmから1nmのサイズの孔によって構成される。他の実施形態において、空孔の少なくとも40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はさらに高いパーセントが、このような0.5nm−1nmのサイズの孔によって構成されてもよい。孔はスリット形であってもよく、又は他の形状特性を有してもよく、深さ、曲がり、及び他の孔特性が異なっていてもよい。
【0082】
浸透剤は、孔の急速膨張を起こして、ナノポーラスカーボン出発材料からサイズが減少した粒子を生成する剥離を起こす、ナノポーラスカーボンの空孔内でin situで活性化することができる任意の適したタイプのものであってもよい。本開示の特定の実施形態においてこのような目的に潜在的に有用な浸透剤には、限定することなしに、酸並びに酸の混合物、例えば、4:1硫酸:硝酸、アルカリ金属、アンモニア、有機溶剤などが含まれる。浸透剤は、望ましくは、ナノポーラスカーボン出発材料に急速に深く浸透するその能力のために選択される。ナノポーラスカーボン出発材料は、例えば、特定の実施形態において100−200μmの範囲内の片サイズを有してもよい。他の実施形態において、ナノポーラスカーボン出発材料は、100−200μmの範囲内の平均片サイズを有してもよいが、さらに大きな片サイズ又はさらに小さな片サイズ、或いは平均片サイズが用いられてもよく、さらに大きな片サイズは、浸透剤で繰り返し処理され、活性化され、剥離的サイズ減少が行われ、ナノポーラスカーボン生成物粒子の所望のサイズが減少した特徴を実現する。本明細書において先に示した通り、ナノポーラスカーボンの空孔内への浸透剤の急速浸透は、処理時間の最小化及び関連コストの低減の実現に望ましい。この点に関して、浸透速度は、本明細書の開示に基づいて当業者の技能の範囲内で容易に経験的に決定できる。
【0083】
前述の方法によって生成されたサイズが減少したナノポーラスカーボン粒子は、任意の適した粒子サイズ又は粒子サイズ分布を有してもよい。特定の実施形態において、このような方法によって生成されたサイズが減少したナノポーラスカーボン粒子は例えば、5μm−50μmの範囲内、又は10μm−40μmの範囲内、又は12μm−30μmの範囲内、又は15μm−25μmの範囲内、又はサイズが減少した粒子が意図される用途に適した他の範囲内のサイズの粒子を含んでもよい。
【0084】
先述の通り、浸透剤の活性化は、ナノポーラスカーボンの空孔内で活性化された浸透剤により剥離作用を引き起こすのに有効である任意の適した方法で行われてもよい。例えば、これには、例えば、炉内の加熱、火炎暴露、マイクロ波放射暴露、赤外線放射暴露、高周波(RF)誘導、レーザー衝突、ナノポーラスカーボン内の電流の通過による加熱、又は浸透剤の加熱を起こす他の適した方法での加熱の結果、急速膨張が起こるように、浸透剤へのエネルギーの投入が関与してもよい。或いは、浸透剤は、対応する活性化技術によって発熱化学反応又は電気化学的挿入を起こすよう活性化されてもよい。別の代替として、ナノポーラスカーボンは、膨張剥離作用が開始されるよう浸透剤を活性化する超音波処理が行われてもよい。他の実施形態において、浸透剤の活性化には、pH、圧力及び/又は温度の選択的な変更、そのための活性化剤との浸透剤の接触、或いは浸透剤がナノポーラスカーボン出発材料に対して膨張剥離作用を発揮するようにする他の作用が含まれてもよい。したがって、多種多様な浸透剤及び対応する活性化技術が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0085】
浸透剤及び/又はその反応副生成物、残留活性化剤などを除去するために、サイズが減少したナノポーラスカーボン粒子の後剥離処理が必要になることもある。このような処理には、剥離したナノポーラスカーボン粒子の空孔から異物を除去するための、サイズが減少したナノポーラスカーボン粒子のさらなる加熱、並びに/或いは水及び/又は他の溶剤によるそのすすぎが含まれてもよい。所定の粒子サイズ範囲内又は所定の粒子サイズ分布の粒子を回収するために、ふるい分け、又は他の後剥離処理が必要になることもある。後剥離処理にはさらに、ナノポーラスカーボンの疎水性及び親水性を制御するための、並びに/或いは表面パッシベーションを起こすための、又は他の有用な特性を製品ナノポーラスカーボン粒子に取り込むための化学処理が含まれてもよい。ナノポーラスカーボン粒子は、その物理化学特性を改善するために後剥離処理においてドープされてもよい。
【0086】
したがって、浸透及び剥離プロセスは、空孔のポーラス/スリット入口を塞がずに、サイズが減少したナノポーラスカーボンの生成を可能にする。浸透及び剥離プロセスの結果生じるナノポーラスカーボンの特性の別の変化は、特定の実施形態において、粒子間空間の拡大の結果としての密度の低下、表面積の増加、電子及びフォノンを散乱させる粒子/粒子界面の増加の結果としての熱伝導率及び電気伝導率の低下、並びに浸透剤の膨張による孔/スリットサイズの増加を含み得る。
【0087】
本開示の別の態様は、剥離粒子としてサイズが減少したナノポーラスカーボン粒子を生成するような方法によって生成されたナノポーラスカーボン粒子に関する。
【0088】
本開示の別の態様は、流体分配条件下で容器から流体を分配するために配置されたバルブヘッドアセンブリと連結された流体貯蔵分配容器を含む流体供給パッケージに関し、流体貯蔵分配容器は、本開示の剥離方法によって生成されたナノポーラス剥離カーボン粒子を含む。
【0089】
別の態様の本開示は、所定の空孔を有するカーボン熱分解生成物吸着剤の調製方法に関する。このような方法において、多層状、例えば、共層状の材料は、熱分解性出発材料、例えば、PVDC又はPVDCコポリマーを含むPVDCベースの熱分解性出発材料の少なくとも1つの層と、本方法において生成されるカーボン熱分解生成物吸着剤を強化又は支持するために用いられる任意の添加剤とを含んで生成される。多層状材料はさらに、不活性ガス環境を含んでもよい、多層構造の熱分解性出発材料を高温で熱分解するプロセスの間に除去されるか、又はほとんど除去される消失性材料の少なくとも1つの層を含む。消失性材料の除去は、熱分解プロセスの間のこのような材料の揮発、又は熱分解多層構造からの他の除去様式によって行われてもよい。
【0090】
その最も単純な形態の多層構造は、熱分解性出発材料の単層と消失性材料の単層とを含む共層構造を含む。各材料の別の層が所望の通り追加されてもよい。多層構造内の各層の厚さは、熱分解性出発材料に対する消失性材料の所望の比率が得られるように互いに対して異なっていてもよく、これによって、本方法において生成されるカーボン熱分解生成物吸着剤中に所望の空孔が得られる。
【0091】
したがって、多層構造内の熱分解性出発材料層及び消失性材料層のタイプ及び相対的な厚さ、並びに熱分解プロセスの条件によって空孔(孔容積、孔径、孔径分布など)及びカーボン熱分解生成物吸着剤の密度が決まり、所定の空孔及び密度特性のカーボン熱分解生成物吸着剤は、必要以上の実験をすることなく、本明細書の開示に基づいて実験的評価によって得られる。
【0092】
一般に、高密度カーボン熱分解生成物吸着剤は、消失性材料の含有量と比べて相応に高い多層構造内の熱分解性出発材料の含有量によって実現され得る。これは、消失性材料層の厚さと比べて大幅に大きい多層構造内の熱分解性出発材料層の厚さによって実現され得る。その反対に、ボイド容積が大きい低密度カーボン熱分解生成物吸着剤については、消失性材料層の厚さと比べて小さい熱分解性出発材料層の厚さが用いられてもよい。このような高ボイド容積カーボン熱分解生成物吸着剤は、圧力損失が優先的に考慮されない他の用途ではなく、吸着性流体と吸着剤との接触時に低圧力損失が必要とされる用途において用いられ得る。
【0093】
多層構造は熱分解性出発材料の単層と消失性材料の単層とを含んでもよいこと、或いはこのような材料のうちの1つ、又は両方の複数の層が多層構造内で用いられてもよいことが認識されるであろう。
【0094】
多層構造が形成されたら、次いで、少なくとも1回、好ましくは1回を超えて折り畳まれ、多層アセンブリ構造を形成する。適した長さの多層構造を最初に提供することで、アセンブリ折り畳みプロセスを利用して、繰り返し倍増する折り畳み操作及び再形成操作により多数の層が得られる。アセンブリ折り畳みプロセスが完了すると、多層アセンブリ構造を、次いで、さらに厚い構造、例えば、プレート又はブロックに巻き、且つ/又はレイアップし、次いで熱分解して、熱分解性出発材料をナノポーラスカーボンに変換し、所望のカーボン熱分解生成物吸着剤を得ることができる。このような折り畳み及び再形成プロセスは自動化されてもよく、折り畳まれ、再形成された多層構造の面の広さが大きくなり、構造内の構成層の厚さが小さくなる中間の伸張操作、展延操作又は薄化操作と組み合わせられてもよい。
【0095】
或いは、多層構造が形成されたら、同じか、又は同等のサイズのさらに小さい長さ又は部分に切断されてもよく、切断された部分は、次いで、複合多層構造の面の広さが大きくなり、構造内の構成層の厚さが小さくなり、その後、面積的に拡大した層の積層がさらに続き、その後、切断操作、面積拡大操作及び積層操作が続き、所望の多層アセンブリ構造が得られるまで繰り返される、中間の伸張操作、展延操作又は薄化操作が行われてもよい。さらに別の代替として、多層構造は、順次の切断操作、面積拡大操作及び積層操作を行う代わりに、プロセス操作のシーケンスが、連続する積層操作、面積拡大操作及び切断操作を含むように、積層操作の後であるが、切断操作の前に複合多層構造の面積拡大が行われてもよい。
【0096】
さらに別の選択肢として、多層構造、或いは順次の切断操作、面積拡大操作及び積層操作により、又は順次の積層操作、面積拡大操作及び切断操作により形成されるその後の複合多層構造に折り畳み操作が行われてもよい。同じく、別の順次の切断操作、空気膨張操作及び積層操作、並びに/又は順次の積層操作、面積拡大操作及び切断操作によって、初めに説明した折り畳み操作が行われてもよい。
【0097】
その後の熱分解のために初期の多層構造に対して実施され、これを多層アセンブリ構造に変換するすべての前述の過渡的な処理ステップ、或いはこれらのうちの選択された1つ又は複数は、所望の特徴のカーボン熱分解生成物吸着剤を生成するために複数のこのような操作が実施されるとき、任意の適した順列又は組み合わせで利用されてもよい。
【0098】
多層構造内で得られる消失性材料は、熱分解性出発材料がカーボン熱分解生成物吸着剤に変換されるとき、消失性材料が分解され、最小限の残留物を残すように、融点、及びアセンブリ折り畳みプロセスに適応するが、熱分解操作において熱的に不安定である他の特性を有するように適切に選択されてもよい。このように、熱分解性出発材料の層がカーボン熱分解生成物製品内でカーボンの高密度シートに変換されて、硬質カーボン吸着剤の平行なマイクロシートの堅牢な積層を含む熱分解生成物製品を生成するように消失性材料が選択されてもよい。熱分解の間、多層アセンブリ構造を平坦な構造に維持することによって、有益な熱的特性及び透過性を有する吸着剤プレートを形成することができる。
【0099】
この点に関して本開示は、分子ふるい特性を持つ吸着剤を生成するためのカーボン熱分解生成物製品内のカーボン層の厚さ及び間隔の調整を意図している。
【0100】
消失性材料は、任意の適したタイプのものであってもよく、例えば、適切な熱的特性を持つ任意の昇華可能な固体(有機又は無機)材料、又は比較的低い沸点を持つ粘性スラリー材料を含んでもよい。例示的な消失性材料には、限定することなしに、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、テレフタル酸、ナフタレン、アルキルナフタレン、napthoquinone、カンファーなどが含まれる。
【0101】
ここで図面を参照すると、
図2は、連続して折り畳むステップによって多層構造が多層アセンブリ構造に変換されるプロセスシーケンスを示す。
【0102】
多層構造300は、熱分解性出発材料の層304と、その上に堆積される消失性材料の層302とを含む。この多層構造300は、次いで、矢印Aで示す折り畳み操作において折り畳まれて、折り畳まれた多層中間構造306を形成し、これは、次いで、矢印Bで示す別の折り畳み操作において折り畳まれて、多層アセンブリ構造308を形成する。多層アセンブリ構造308は、次いで、熱分解操作が行われてもよく、熱分解操作の間に消失性材料層302は揮発し、或いは除去されて、所望のボイド容積及び空孔特性を有するカーボン吸着剤製品としてカーボン熱分解生成物を与える。熱分解操作は、任意の適した熱分解条件で実施されてもよく、例えば、熱分解操作において所望の特定の時間−温度スケジュール及び生成物特性に応じて、1−7日又はさらに長い様々な範囲にすることができる熱分解処理時間で、周囲出発温度から所望の高い熱分解温度までの、例えば、600℃−1000℃の温度範囲内の温度ランピングを伴って漸進的に行われてもよい。
【0103】
図3は、出発多層構造の多層アセンブリ構造への変換に利用される順次の展延、切断及び積層プロセスの概略図である。
【0104】
図3に示すように、出発多層構造320は、熱分解性出発材料の層324と、その上に堆積される消失性材料の層322とを含む。このような多層構造は、示すように、矢印330で示す展延操作によって面の広さが拡大した多層構造が生じるように、そのそれぞれの上面及び底面に矢印Pで示す面圧縮を受ける。面積的に拡大した多層構造は、次いで、破線Cで示す切断線に沿って、矢印332で示す切断操作によって処理されて切断された多層切片を生成し、矢印334で示す積層操作において矢印Sで示すように積層されて中間多層積層342を形成する。
【0105】
中間多層積層342は、矢印336で示す展延操作において、そのそれぞれの上面及び底面に矢印Pで示す面圧縮を受けて面積的に拡大した中間多層積層342を形成し、次いで、矢印338で示す切断操作において破線Cで示す切断が行われる。得られる切断された多層切片346及び348は、矢印340で示す積層操作において矢印Sで示すように積層されて多層アセンブリ構造350を形成する。多層アセンブリ構造350は、熱分解されてカーボン熱分解生成物吸着剤製品を生成してもよい。熱分解操作は、多層アセンブリ構造から消失性材料を消散させ、或いは除去して、適した空孔特性、密度及び他の所望の特性を有するカーボン熱分解生成物吸着剤を生成する任意の適した方法で行われてもよい。
【0106】
図3に関連して説明した展延、切断及び積層プロセスは単に例示的な性質のものであること、例示した手法の展延、切断及び積層のステップが、代わりに他のシーケンス及び他の回数の繰り返しサイクルで行われて、任意の所望のタイプ及び特性の多層アセンブリ構造を形成してもよいことが認識されるであろう。
【0107】
したがって、本開示は、1つの態様において、カーボン熱分解生成物吸着剤を生成するように熱分解可能である多層アセンブリ構造を形成する方法を意図しており、このような方法は、熱分解性出発材料の少なくとも1つの層及び消失性材料の少なくとも1つの層を含む多層構造を形成するステップと、カーボン熱分解生成物吸着剤を生成するように熱分解可能である多層アセンブリ構造として、多層構造を処理して、このような処理の前の多層構造に比べて熱分解性出発材料及び消失性材料のより多くの層を含む複合多層構造を形成するステップとを含む。
【0108】
前述のプロセスにおいて複合多層構造を形成する多層構造の処理は、例えば、
図2に記載の多層構造を折り畳むステップ、或いは、任意の適したシーケンス、例えば、
図3に関連して例示的に説明した展延/切断/積層シーケンスで実施される展延操作、切断操作及び積層操作、又は(1つ又は複数の)その他の任意の処理操作、例えば、カーボン熱分解生成物吸着剤を生成するように熱分解可能である多層アセンブリ構造として複合多層構造を形成する切断のみを含むプロセスステップを含んでもよい。
【0109】
1つの実施形態において、複合多層構造を形成する多層構造の処理は、熱分解性出発材料の層及び消失性材料の層を巻き上げて、ロールとして複合多層構造を形成するステップを含む。別の実施形態において、複合多層構造を形成する多層構造の処理は、熱分解性出発材料の層の間に消失性材料を含浸させたスクリーンを挿入するステップを含む。別の実施形態において、複合多層構造を形成する多層構造の処理は、消失性材料の層を熱分解性出発材料の層に施すステップを含み、この製造方法は、次いで、任意選択で、施された消失性材料の層を有する熱分解性出発材料の層を巻き上げて、ロールとして複合多層構造を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0110】
このような実施形態の何れかにおける、或いは本明細書に開示の広範な手法の内の消失性材料は、消失性材料の消失時、カーボン熱分解生成物吸着剤中のスペーサー材料を構成する非消失性材料を含んでもよい。
【0111】
本開示の広範な実施における非消失性材料は、カーボンナノチューブ、グラフェンフレーク、カーボンウィスカー、カーボンブラック、バッキーボール、アルミノシリケート粉末、炭化ケイ素粒子、ゼオライト系材料、金属有機骨格(MOF)材料、並びに金属体及び金属合金体からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0112】
このような多層アセンブリ構造は、次いで、熱分解されて、多層アセンブリ構造内の熱分解性出発材料層内の熱分解性出発材料を熱分解しながら消失性材料を消失させ、所望の特徴の熱分解生成物製品としてカーボン吸着剤を与えてもよい。以下でさらに詳しく開示するように、カーボン熱分解生成物物品を生成するためにカーボン熱分解生成物吸着剤が用いられてもよく、同様に以下でさらに詳しく開示するように、流体濾過、精製又は分離装置を構成するためにこのようなカーボン熱分解生成物物品が用いられてもよい。
【0113】
したがって、本開示は、構成層内に消失性材料及び熱分解性材料を含む多層状構造の調製を意図しており、この多層状構造は、次いで熱分解されて、空孔及び/又は密度が調整されたマイクロポーラスカーボン熱分解生成物吸着剤を与える。
【0114】
このような製造プロセスでは、多層状材料を連続的に生成し、伸張し、多層状材料に他の処理ステップを施すことができる。例えば、プロセスは、多層状多成分ゼリーロール構造が形成されるロール・ツー・ロールプロセスであってもよい。
【0115】
図4は、回転可能なスピンドル356上に取り付けられた円筒形のコア本体354上に多層状シート358が形成されたロール352の概略斜視図である。巻かれた多層状多成分材料は、続いて、任意の数の方法でロールに切り取られ、さらに小さなロール又はブロック、或いは扁平化によってシートを与えることができる。
図5は、
図4に示したような多層状シートから形成されるようなブロック360の斜視図である。これらのシート又はブロックは、次いで、多層状モノリスブロック又はシートとして処理することができる。熱分解によって、シート又はブロックは、所望の空孔及び/又は密度を有してもよく、硬質カーボン(近グラファイト)平面の成層及び配向により、一方の軸方向と他方の軸方向で非常に異なる伝導率、透過性、強度の特性を有するように調製することができる。或いは、シート又はブロックは、所望のサイズ及び形状の片に切断したり、打ち抜いたりすることができる。
【0116】
図6は、
図5に示したブロック360の概略斜視図であり、多層材料の分離した片の対応する生成のために、様々な形状362を切断することができる。このような多層片は、次いで、熱分解することができる。
【0117】
加えて、熱分解性硬質カーボン前駆体材料と組み合わせた消失性層状種を含むゼリーロール多層多成分物品を用いて、ガス濾過物品又はガス分離物品として有用性を有する調整されたマイクロポーラス吸着剤構造を得ることができて、熱分解生成物物品前後の最小の圧力損失で粒子の濾過及び不純物の捕捉を実現することができ、したがって、効率的なガス濾過用途及びガス分離用途において高い流体流量が使用できる。
【0118】
図7は、消失性層及び熱分解性硬質カーボン前駆体材料層を含むゼリーロール多層多成分物品から生成された熱分解生成物ガス接触物品の概略斜視図であり、熱分解によって消失性材料が除去されて、ゼリーロール前駆体物品から消失性材料を除去することによって形成された流体流路を有する熱分解生成物ガス接触物品が生成された。このような構造によって、矢印「A」で示す方向に流される流体は、流路内を長手方向に流れ、物品内でカーボン熱分解生成物材料と接触し、得られる濾過された、且つ/又は不純物が減少した流体が物品から矢印「B」で示す方向に排出される。
【0119】
したがって、本開示は、その内部の流路を含むカーボン熱分解生成物物品を意図しており、物品内のカーボン熱分解生成物は、ゼリーロール前駆体物品の処理の結果、異方性の性質のものになる。異方性は、空孔、密度、伝導率、透過性などから選択される(1つ又は複数の)異方特性を含んでもよい。
【0120】
ゼリーロール前駆体物品の代わりに、所与の最終使用用途において望まれ得る、又は適切であり得る他の幾何形状及び構造、例えば、平面状、弓状などの多積層品前駆体物品から濾過物品及びガス分離物品が同様に生成されてもよいことを理解されたい。
【0121】
ゼリーロール前駆体物品、又は内部に流体が流され得るカーボン熱分解生成物製品が意図される上述のタイプの他の多層前駆体物品において、熱分解性材料及び消失性材料の各層を重ね合わせる、或いは集める「レイアップ」プロセスは、任意選択で、硬質カーボン熱分解生成物層の間に適した空き空間を得て、その結果、製品が、貫流フィルター又は分離構造として有用になる十分なガス流コンダクタンスを有するように、前駆体物品内への非消失性スペーサー要素の取り込みを含んでもよい。このような非消失性スペーサー要素は、例えば、消失性樹脂内に分散し、熱分解された材料又は熱分解性材料から消失性材料が揮発した後或いは除去された後にそのスペーサーに残り、その結果、硬質カーボン熱分解生成物層が、残留するスペーサー要素によって隔置される、金属粒子、例えば、bb又はボールベアリングを含むことができる。スペーサー要素は、金属で形成される場合、高熱伝導率の利点を有し、したがって、その後の使用においてカーボン熱分解生成物製品の多積層品マトリックス全体を等温化するのにも役立つ。
【0122】
さらに広く、製品内のスペーサー要素は、多層複合材前駆体物品の消失性層内のフィラー材料としてのマイクロポーラス熱分解生成物カーボン粉末から形成されてもよい。スペーサー要素はまた、カーボンナノチューブ、グラフェンフレーク、カーボンウィスカー、カーボンブラック、バッキーボール、アルミナ−シリケート粉末、炭化ケイ素粒子、ゼオライト系材料、金属有機骨格(MOF)材料、金属体又は金属合金体、並びに熱分解操作の気体の副生成物の存在下で熱分解プロセスに耐える他の材料などの材料で形成されてもよい。残留するスペーサー材料は、不活性な物理的スペーサーとして、或いは、例えば、電気伝導率、熱伝導率、特定のガス又は不純物に対する収着容量、捕捉性などの別の特性又は性能特性を製品カーボン熱分解生成物物品に与える添加剤として作用してもよい。
【0123】
第一に多層前駆体物品を生成するために使用される消失性媒体内にスペーサー材料を配置することによってスペーサー要素を提供する代わりに、例えば、ローラーコーティング又は他の付与技術によって消失性材料を含浸させたスクリーン部材又はグリッド部材が用いられてもよく、その結果、このような孔のある要素の開口部が消失性材料で充填され、レイアップ操作において多層前駆体物品に取り込まれる。続いて、レイアップした積層品内の消失性材料を揮発させると、スクリーン又はグリッドが硬質カーボン層間のスペーサーとして残る。この点に関して、スクリーンの長手方向及び横断方向のストランドの寸法は、カーボン熱分解生成物製品の最終的な流体流コンダクタンスを適切に実現するために適切に調整することができる。製品内の所望のコンダクタンスを実現するために、グリッド要素の同様の寸法決めが用いられてもよい。
【0124】
やはり熱分解される多層前駆体材料を考慮して、製品の特定の所望の形状、例えば、円形、正方形、又は他の幾何学的に規則的もしくは変則的な形状を生み出すために、このような多層前駆体材料が、熱分解の前に切断、成形されても、又は様々な可能な形状にされてもよいことを理解されたい。
【0125】
図8は、隣接するシートが互いに平行であり、円筒形の物品内を長手方向に延びる円筒形の物品を与え、したがって、その後の熱分解によって、それらの交互のシート内の消失性材料が除去され、カーボン熱分解生成物物品の長軸に対して垂直な、一般に長方形断面の流路を与える、熱分解性材料のシート及び消失性材料のシートの成層と、その後に続くパンチング操作、切断操作又は他の形成操作によって形成されたタイプのガス接触カーボン熱分解生成物物品366の概略斜視図である。
図8に示すように、矢印「A」で示す方向に流される流入流体は、不純物の吸着除去、固体粒子の濾過、及び/又は他の接触操作のためのカーボン熱分解生成物層と接触しながら、このような長方形断面の流路内を流れ、生じる処理流体は、製品の末端で矢印「B」で示す方向に排出される。
【0126】
図9は、
図8のカーボン熱分解生成物物品366のようではあるが、
図8の物品の円形断面ではなく正方形断面を有する、熱分解性材料のシート及び消失性材料のシートの交互の成層から形成されたガス接触カーボン熱分解生成物物品368の概略斜視図である。ガス接触カーボン熱分解生成物物品368は、このような物品の配列に配置されてもよく、構成物品のそれぞれが、少なくとも1つの他のこのような物品と隣接する関係にあり、所望の流体接触操作を実施するためにガスが適切な体積流量及び見掛け速度で接触し得るその物品のアセンブリが提供される。
図9中の流体流の方向を、流入流体の方向を示す矢印「A」及び排出流体の方向を示す矢印「B」で示す。
【0127】
図10は、熱分解性材料及び消失性材料の各シートがテイクアップロール376上に受け取られ、熱分解されて、
図7に示したタイプのカーボン熱分解生成物物品を生成し得るゼリーロール確認前駆体物品を与えるようにフィードロールが付記した矢印で示す方向に駆動される、熱分解性材料及び消失性材料それぞれのフィードロール372及び374を含むプロセスシステム370を示す概略正面図である。熱分解性及び消失性材料の各層がテイクアップロール376上に巻き上げられるとき、このような層の間に気泡又は他のボイドポケットが存在することなく互いに完全に面接触するように、テイクアップロール376はそこで、ばね付勢された、或いは、矢印「W」で示す方向の力を作用させるように機能する圧縮ロール378と連携していてもよい。
【0128】
図11は、
図10のプロセスシステムの簡略斜視図であり、その各ロール372、374及び376を示している。
【0129】
図12は、
図11に示したものと同様のプロセスシステムであるが、トップロール378がスクリーンのフィードロールであり、ボトムロール380が熱分解性材料のフィードロールであり、したがって、得られる巻き取られた前駆体物品382のゼリーロール構造が、スクリーン及び熱分解性材料の交互の層でできているプロセスシステムの簡略斜視図である。
【0130】
図13は、熱分解性物品ロール390上に巻き上げられるような熱分解性材料のシートを熱分解性材料のフィードロール384が供給し、フィードロールとテイクアップロールの間にある熱分解性材料のシートが、コーティング材料ディスペンサー388から消失性材料のコーティング386を受け取る、別のプロセスシステムの簡略斜視図である。得られるゼリーロール構造前駆体物品は、次いで、長手方向に切断して
図14に示すブロック積層品391を生成することができ、これは熱分解性であり、熱分解操作において除去された消失性材料に由来するその内部の通路を有する製品カーボン熱分解生成物物品を生成する。
【0131】
多層前駆体物品の生成は、多数の異なる材料層を用いて実施できることを理解されたい。
【0132】
図15は、3つの異なるタイプの層を含む多層熱分解性物品392の斜視図である。
図16は、このような多層熱分解性物品392の斜視図であり、示すように多数の成形片393が切り出されてもよい。
【0133】
図17は、熱分解性材料の層と交互に円筒形に巻き取られた消失性材料含浸スクリーンの層を含むゼリーロール構造前駆体物品から製造される、本開示の別の実施形態によるカーボン熱分解生成物流体接触物品394の概略斜視図であり、前駆体物品は熱分解条件にさらされて、熱分解操作による影響を受けない材料で形成されたスクリーンがカーボン熱分解生成物層間のスペーサーとして役目を果たすカーボン熱分解生成物薄層間に流路が形成されている。物品394内を流れる流体の経路は、流入流体の方向を示す矢印「A」によって示されており、流体の排出方向は、排出矢印「B」で示されている。
【0134】
本開示は、別の態様において、熱分解性出発材料と、金属フィラメント、例えば、鉄フィラメントとをブレンドして、熱分解性複合出発材料を生成するステップと、熱分解性出発材料を熱分解して複合熱分解生成物を生成するステップと、複合熱分解生成物を、複合熱分解生成物から金属フィラメントを少なくとも部分的に除去するのに有効である除去剤と接触させてカーボン熱分解生成物吸着剤を生成するステップとを含む、カーボン熱分解生成物吸着剤の調製方法に関する。
【0135】
この方法は、金属フィラメントの寸法特性によって孔径及び空孔特性を綿密に制御できるという利点を有する。除去剤は、複合熱分解生成物からの金属フィラメントの少なくとも部分的な除去に有効である任意の適したタイプのものであってもよい。特定の実施形態において、除去剤は、金属フィラメントと化学的に反応して複合熱分解生成物から金属フィラメントを除去するのに有効である、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの酸を含んでもよい。或いは、除去剤は、複合熱分解生成物から金属フィラメントを溶解又は浸出させるのに有効である溶剤を含んでもよい。
【0136】
カーボン熱分解生成物の生成に用いられる金属フィラメントの量は、最終的なカーボン熱分解生成物吸着剤製品の所望の空孔及び透過性特性を得るための熱分解性出発材料とブレンドされる金属フィラメントの濃度を決定する、様々な金属フィラメント含有量のサンプルの配合、及びこのようなサンプルの熱分解、及びこれらの除去剤処理を伴う簡単な実験によって経験的に決定されてもよい。
【0137】
鉄フィラメントが金属フィラメントとして用いられる実施形態において、処理された熱分解生成物の鉄含有量は密度測定装置又は磁化率測定装置によって容易に測定できて、したがって、複合熱分解生成物から実質的に完全な、例えば、95−100%の金属フィラメント除去を実現する除去剤及び接触プロトコルは容易に決定できる。
【0138】
さらに、本開示は、このような方法によって生成されるカーボン熱分解生成物吸着剤を意図している。
【0139】
別の態様の本開示は、吸着剤ベースのガス供給パッケージから分配されたガスの純度の向上、及びこのような純度向上を実現するガス供給パッケージを製造するための手法に関する。
【0140】
1つの態様において、本開示は、熱分解炉内で熱分解性出発材料を熱分解して、熱分解炉から排出場所で排出されるカーボン熱分解生成物吸着剤を生成するステップと、分配アセンブリを含むガス貯蔵分配容器内の排出場所でカーボン熱分解生成物吸着剤をパッケージ化してガス供給パッケージを形成するステップとを含む、ガス供給パッケージを製造するためのプロセスに関する。
【0141】
熱分解性出発材料は、対応する(1つ又は複数の)形態がカーボン熱分解生成物吸着剤において実現するような、粉末、顆粒、ペレット、もしくはレンガ、ブロック、ブール、円筒ディスクなどのモノリシック状の形態、又は2つ以上のこのような形態の組み合わせ、或いは出発材料の他の適した形状及び形態であってもよい。また、本開示は、対応するカーボン熱分解生成物吸着剤を生成するための2つ以上のサイズの同じ形態の熱分解性出発材料の同時使用を意図している。
【0142】
ガス貯蔵分配容器は、円筒形又は他の容器の幾何形状のものであってもよい。1つの実施形態において、ガス貯蔵分配容器は円筒形のものであり、カーボン熱分解生成物吸着剤は、このような円筒ディスクの積層配列を画定する、ガス貯蔵分配容器の内部容積に導入される円筒ディスクの形態であり、吸着剤で占められる容器内の体積を最大にするように、このようなディスクのそれぞれは、容器の内径に非常に接近する、例えば、このような内径の1.5cm以内である直径を有し、積層内の円筒ディスクの連続する対それぞれが、対面する隣接関係で互いに隣接する。
【0143】
ガス供給パッケージの製造は、熱分解炉が配置されているエンクロージャを含む製造設備内で行われてもよい。エンクロージャはさらに、熱分解炉の排出場所に充填ステーションを含んでもよく、任意選択で、熱分解炉内に活性化ゾーンをさらに含み、充填ステーションは、ガス供給パッケージ内でカーボン熱分解生成物吸着剤をパッケージ化するために配置される。エンクロージャは、製造プロセスに寄与する(1つ又は複数の)不活性ガス及び/又は(1つ又は複数の)他のガスが供給されてもよい。カーボン熱分解生成物吸着剤は、(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン及びクリプトンのうちの1つ又は複数を含む)不活性雰囲気下、或いは水素、硫化水素又は他の適したガスの還元性雰囲気中、或いは不活性ガス及び還元性ガスの組み合わせ中でガス供給パッケージ内でパッケージ化されてもよい。製造プロセスは、連続した別々の製造設備のゾーン内で行われてもよく、それぞれが、それぞれの熱分解、ガス貯蔵分配容器の吸着剤負荷、及びガス貯蔵分配容器へのガス分配アセンブリの固定を促進するための異なる周囲ガス環境を備える。
【0144】
分配アセンブリは、バルブコントローラ又はアクチュエータによって完全開位置と完全閉位置との間で移動可能である弁体を含むバルブヘッドを含んでもよい。バルブヘッドは、ガス充填及びガス分配に利用される単一のポートを含んでもよく、又はバルブヘッドは、その代わりに別々の専用のガス充填ポート及びガス分配ポートを含んでもよい。バルブヘッドは、例えば、ハンドホイール又は同様の機械構造による手動バルブ制御のために構成されてもよく、或いはバルブヘッドは、バルブアクチュエータ、例えば、空気圧バルブアクチュエータによる弁体の動作及び調節のために構成されてもよい。
【0145】
図18は、本開示の1つの態様によるガス供給パッケージを製造するための製造設備の概略図である。
【0146】
図18に示す通り、製造設備400は、熱分解炉416が内部に配置されているプロセス設備エンクロージャ402を含んでもよく、熱分解性出発材料物品424が熱分解されてカーボン熱分解生成物吸着剤物品426を生成し、片方又は両方が適した動力駆動装置(
図13に図示せず。)によって駆動される回転可能なローラー420及び422上に配置されたコンベヤベルト418上に熱分解性出発材料物品が配置される。
【0147】
プロセス設備エンクロージャ402は、エンクロージャ402内の雰囲気を確立するために用いられるガスの適した源と連結されてもよいガス供給ライン406によってエンクロージャ内に適切な雰囲気を備えてもよい。ガスは、例えば、窒素、アルゴン、クリプトンなどの不活性ガス、又は適切な性質の還元性ガスであってもよい。
【0148】
熱分解炉416内の熱分解の結果得られるカーボン熱分解生成物吸着剤物品426は、スライド428を含む排出場所で炉から排出される。排出された吸着剤物品426は、したがって、重力によってスライド構造を滑り落ち、移動するコンベヤベルト440上に位置するガス貯蔵分配容器430に入り、その結果、連続的に導入された吸着剤物品は、容器の内部容積内に吸着剤物品積層432を形成する。適した高さの積層でその内部が充填された容器は、バルブヘッド分配アセンブリ436が容器に接続及び固定されてガス供給パッケージを形成するアセンブリステーションに移動する。バルブヘッド分配アセンブリ436は、任意の適した方法で容器430に固定されてもよく、例えば、適した機械的な締結具によって容器に機械的に接合されてもよく、或いはバルブヘッドアセンブリと容器が、それらの接合部で継ぎ目に沿って溶接により固定されてもよく、又は容器内のバルブヘッドアセンブリの固定が、その他の任意の適した方法で行われてもよい。
【0149】
プロセス設備エンクロージャ402は、排気ファン、ブロワ、エダクタなどを含んでもよい動力流体駆動装置410によってエンクロージャ402の内部容積404から取り除かれるガスのためのガス排出ライン408を備えてもよく、ガスは、大気中に排出されるか、又はベントライン412内の他の処置のために排出される。排出されたガスは、例えば、排出されたガスの毒性成分又は有害成分を除去する排出物除害ユニット内で処理されてもよく、又は排出されたガスは、製造設備400内での再使用のための適切な確認又は他の処理と共に再循環されてもよい。
【0150】
エンクロージャ402の内部容積404内のガス環境は、述べた通り、製造設備400内で行われるそれぞれの製造操作において異なっていてもよい。熱分解炉は、したがって、熱分解操作に寄与する内部の周囲環境を有する。熱分解炉には、吸着剤上に貯蔵され、続いてガス供給パッケージの分配操作において吸着剤から脱着されることが望まれるガスの収着利用のための吸着剤を調製するために、熱分解された吸着剤が高温で活性化されるカーボン熱分解生成物活性化室が追加されてもよい。吸着剤物品内の何らかの残留不純物種を反応的に揮発させるのに役立つ、或いは、不純物種の除去に、又は収着剤物品が環境大気条件に暴露された場合には起こるであろう吸着剤物品の汚染の抑制に役立つ、ガス貯蔵分配容器内で熱分解された吸着剤物品をパッケージ化するステップが、別の周囲ガス環境下、例えば、水素環境下で行われてもよい。最後に、ガス貯蔵分配容器へのバルブヘッドアセンブリの固定が、固定操作に寄与する雰囲気下で行われてもよい。
【0151】
製造設備400は、したがって、熱分解操作からの(又は、熱分解された吸着剤物品の処理において活性化がさらに適応される場合、熱分解/活性化処理からの)熱分解された吸着剤物品がガス供給パッケージの容器に直ちに導入され、容器が完成する排出場所を含み、したがって、熱分解された吸着剤物品は、このような製造中、高純度状態に保たれる。ガス供給パッケージは排出場所で製造され、分配アセンブリは、このような排出場所でガス貯蔵分配容器と溶接又は螺合することができる。熱分解された吸着剤物品は、(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン及びクリプトンのうちの1つ又は複数を含む)不活性雰囲気下、或いは水素、硫化水素又は他の適したガスの還元性雰囲気中、或いは不活性ガス及び還元性ガスの組み合わせ中でガス貯蔵分配容器に導入されてもよい。
【0152】
本開示の別の態様において、高純度カーボン熱分解生成物物品は、その後にガス供給パッケージ内に設置するためにプリパッケージとしてパッケージ化されてもよい。例えば、カーボン熱分解生成物物品は生成されたら、パッケージ化された吸着剤がガス供給パッケージ内に設置された後、続いてin situで開封されるように構成されているガス不透過性の袋又は他のプリパッケージ容器に熱分解又は熱分解/活性化システムの排出場所でパッケージ化されてもよい。
【0153】
カーボン熱分解生成物吸着剤物品のためのこのようなパッケージ化の手法は、貯蔵、輸送などの間、物品を高純度状態に保つことを可能にし、したがって、物品は、吸着剤物品の高純度の特徴を損なわずにガス供給パッケージに導入され得る。カーボン熱分解生成物吸着剤物品がパッケージ化される袋又は他の容器は、吸着剤物品の高純度の特徴を保持する、有害なガス種に対して十分に不透過性である任意の適した材料で形成されてもよい。このようなガス不透過性材料は例えば、マイラーもしくは他の金属化フィルム、又は多層ポリマーフィルム、或いはその他の任意の適した材料を含んでもよい。袋は密封されてもよい。
【0154】
袋詰め、或いはパッケージ化された吸着剤物品は、次いで、流体供給パッケージの容器内に設置されてもよく、容器は、次いで、バルブヘッドアセンブリに接合されてパッケージを完成させ、袋又は他のパッケージングは、次いで、容器内でin situで開封されて吸着剤物品に暴露され、その結果、吸着剤物品は、その後に容器に満たされるガスを収着的に取り込むことができる。或いは、プリパッケージ化された吸着剤物品の袋又は他の容器は、ガス貯蔵分配容器の内部容積に導入されてもよく、袋又は容器は、容器上に分配アセンブリを設置する前に開封されてもよい。
【0155】
ガス供給パッケージ内のin situでの吸着剤の開封又は暴露は、任意の適した方法で行われてもよい。1つの実施形態において、吸着剤物品は、袋内の容器に導入され、バルブヘッドアセンブリを固定した後、真空条件にさらされて袋を破裂させ、それによって吸着剤を使用のためにさらす。別の実施形態において、高圧ガスをガス貯蔵分配容器に導入し、それによって生じる袋の圧力差で袋を破裂させることによって袋を破裂させてもよい。或いは、容器の加熱により熱分解される材料で袋を形成して袋を破裂させ、その内部で吸着剤を暴露させてもよい。別の実施形態として、ガスが袋の材料と反応して、蒸気圧が無視できる固体の反応生成物を生成するように、容器内に保持される1つの特定のガスによって袋が分解されてもよい。別の実施形態の袋は、吸着剤をin situで暴露させるための、高周波によって活性化されるクロージャーを備えてもよい。袋内の吸着剤の暴露は、様々な他の方法の何れかで行われてもよいことが認識されるであろう。
【0156】
吸着剤を暴露させたら、吸着剤上に貯蔵され、続いて吸着剤から脱着及び分配されるガスを、例えば、バルブヘッドアセンブリの充填ポートを通じて容器に満たすことができる。
【0157】
図19は、高純度カーボン熱分解生成物吸着剤をガス供給容器に導入し、次いで、ガス供給容器を、設置されるバルブヘッドアセンブリと共に完成させ、その後、吸着剤をin situで暴露させるための処理シーケンスの概略図である。
【0158】
示す通り、高純度状態の円筒ディスク形のカーボン熱分解生成物吸着剤物品の積層464が、クロージャー462によってその上端で固定されている袋460内でパッケージ化されている。このようにして、袋詰めされた吸着剤は、周囲ガスとの接触が防止される。
【0159】
図5において対応する矢印で示すプロセスシーケンスのステップ1において、袋詰めされた吸着剤はガス貯蔵分配容器464の内部容積468に導入され、続いて、ステップ2において、バルブヘッドアセンブリ470は容器と係合され、容器に固定される。得られるガス供給パッケージは、ガス貯蔵分配容器466に固定され、且つ袋詰めされた吸着剤464を含むバルブヘッドアセンブリ470と共に、次いで、バルブヘッドアセンブリの充填ポートで流体導管476により真空ポンプ474に連結される。真空ポンプ474は、次いで、吸着剤464を含む袋を十分に真空にして、これを破裂し、袋に開口部472を作り、それによって、分類可能なガスのその後の吸着のために吸着剤を暴露させる。
【0160】
パッケージを真空にしてパッケージを強制的に破裂させる代わりに、吸着剤が、例えば、大気圧でパッケージ化されたとき、ポンプ474が代わりに高圧ガスの外部の源に接続されてもよく、次いで、高圧ガスがポンプの作用下で内部容積に導入されて袋に圧力を加え、同様にパッケージの破裂を誘発して吸着剤を暴露させる。ガスの吸着及び貯蔵、並びにその後のガス分配の操作のために吸着剤をパッケージ化してin situで暴露させることができる多くの方法が存在することが認識されるであろう。
【0161】
したがって、本開示は、カーボン熱分解生成物物品の配列を保持する容器を含む、カーボン熱分解生成物物品のプリパッケージを意図しており、容器はガス不透過性であり、且つカーボン熱分解生成物物品のプリパッケージがガス供給パッケージ内に設置された後、続いてin situで開封されるように構成されている。
【0162】
カーボン熱分解生成物物品のプリパッケージは、上述の通り、容器として袋を含んでもよく、パッケージは、円筒ディスク形のカーボン熱分解生成物物品の積層内にカーボン熱分解生成物物品の配列を含んでもよく、積層内のカーボン熱分解生成物物品の隣接する対は、互いに対面する隣接関係にある。
【0163】
さらに、本開示は、上述のカーボン熱分解生成物物品のプリパッケージを保持するガス貯蔵分配容器と、ガス貯蔵分配容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージに関する。
【0164】
別の態様において、本開示は、上述のカーボン熱分解生成物物品のプリパッケージの設置をガス供給パッケージ内で行うステップを含む、使用のためのガスを供給する方法に関する。本開示の別の態様は、上述のカーボン熱分解生成物物品のプリパッケージをガス供給パッケージ内に設置するステップを含む、使用のためのガスを供給する方法に関する。本開示のさらに別の態様は、上述のカーボン熱分解生成物物品のプリパッケージをガス供給パッケージ内でin situで開封するステップを含む、使用のためのガスを供給する方法に関する。
【0165】
別の態様において、本開示は、吸着剤を、吸着剤から不純物を追い出すのに有効である置換ガスと接触させるステップと、吸着剤から置換ガスを除去して高純度カーボン熱分解生成物吸着剤を与えるステップとを含む、カーボン熱分解生成物吸着剤の純度を向上させる方法に関する。
【0166】
このようなプロセスは、したがって、吸着剤の純度を向上させる酸洗い法を提供する。酸洗い法は、高温で、温度の調節と共に、長時間、例えば、少なくとも98重量%の不純物を吸着剤から除去するのに十分な時間にわたり、且つ/又は圧力の調節と共に、且つ、置換ガスが吸着剤との接触ステップのために吸着剤に流され、その後に吸着剤からの置換ガスをパージするステップが続き、接触/パージステップが少なくとも1回の繰り返しサイクルの間行われるいくつかのポンプ/パージステップを含む周期的に繰り返される方法で行われてもよい。
【0167】
特定の用途において、置換ガスは、吸着された不純物の吸着剤からの所望の置換を実現するのに有効であるサロゲート化合物として用いられ得る。置換ガスは、所期の収着質ガスではなく、吸着剤上の収着貯蔵のために所期の収着質ガスを満たし、ガスが分配条件下で吸着剤から脱着されるとき、その後に分配使用する前に、不純物を置換し、且つ吸着剤の純度を向上させる水素、硫化水素、又は他の適したガスなどの還元性ガスであってもよい。水素又は硫化水素などの還元性ガスのこのような使用は、所期の収着質ガスが四フッ化ゲルマニウム(GeF
4)などの高価なガスであるとき特に費用効果が高い。他の実施形態において、置換ガスは、不活性ガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、窒素、クリプトン、又はこのようなガスのうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。さらに他の実施形態において、置換ガスは、還元性ガスと組み合わせた不活性ガスを含んでもよい。
【0168】
前述の純度の向上は、初めに不純物を最大限に除去し、続いて脱ガスして吸着剤から置換ガスを除去するために、吸着剤の高温脱気によって、任意選択で、例えば、20−1600psigの圧力、又は他の適した超大気圧の高圧置換ガスを使用して行われてもよい。
【0169】
ガス供給パッケージによって供給されるガスの純度は、ガス供給パッケージのバルブヘッドアセンブリの排出ポートでフィルターを使用することによって向上されてもよい。フィルターは、交換可能なフィルターエレメント、又はフィルターエレメントの再使用に対応する、汚染物質を除去するために処理され得る要素を含んでもよい。
【0170】
ガス供給パッケージへのガス供給の純度は、追加的又は代替的に、関心のある不純物種を除去するのに有効である乾燥剤又はスクラバー媒体、例えば、CO
2ゲッターをガス貯蔵分配容器の内部容積内に配置することによって向上されてもよい。
【0171】
本明細書の開示は、主としてカーボン熱分解生成物吸着剤を対象とするが、代替の吸着剤が有用であり得、有利である場合には、本明細書に記載の用途の何れかにおいて代替の吸着剤が用いられてもよく、1つの態様において、本開示は、二硫化モリブデン(MoS
2)を含む代替の吸着剤を意図しており、これは、カーボン熱分解生成物吸着剤の使用において、本明細書に様々に記述される形状及び構造を含む任意の形状因子(例えば、粉末状、顆粒状、ペレット状、モノリシック状など)を備えてもよい。1つの特定の実施形態において、吸着剤は、モノリシック状の多数の吸着剤物品を含む。
【0172】
したがって、別の態様の本開示は、その上に貯蔵するために吸着されたガスを保持するための、及びパッケージの分配条件下でガス供給パッケージから排出するためにガスを脱着するための吸着剤を含むガス供給パッケージに関し、吸着剤は二硫化モリブデン(MoS
2)を含む。
【0173】
吸着剤材料上の不純物種の除去により向上された純度は、さらに、より効率的な吸着剤の脱ガスの実施を可能にする間隙ボイド容積を与える吸着剤物品間の適切なレベルの間隙空間を与える吸着剤物品形態、並びに、不純物除去のためのより効率的な脱ガスのためにより多くのボイド空間を与えるようより小さく生成される吸着剤材料物品、例えば、タブレット又はペレット或いは他の適した形態の使用により向上され得る。
【0174】
1つの態様において、本開示は、吸着剤に脱ガスを行うときにカーボン熱分解生成物吸着剤中の少なくとも98重量%の不純物の除去を実現するために分割形及び分割形サイズの吸着剤を提供するステップと、吸着剤を脱ガスしてこのような除去を実現するステップとを含む、カーボン熱分解生成物吸着剤の純度を向上させる方法に関する。
【0175】
別の不純物低減手法は、不純物種を含んでもよく、又は不純物種の拡散侵入に適応してもよく、次いで、引き続き、その後のガス供給パッケージの輸送、貯蔵、設置及び使用において脱ガスしてもよいガス貯蔵分配容器の構成材料に関する。ガス貯蔵分配容器は、例えば、容器壁表面及び床表面からの望ましくない不純物の析出を最小限に抑えるために、アルミニウム、もしくは容易に不動態化される他の材料で形成されてもよく、或いは、ガス貯蔵分配容器は、めっきされても、コーティングされてもよく、又は、このようなより低不純物の材料のフィルムもしくは層を容器に、その内面にわたって、任意選択で容器の外面にわたって備えてもよい。
【0176】
したがって、本開示は、別の態様において、吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージに関し、容器は、容器の内部容積内の析出しやすい不純物の含有量が比較的高く、且つ容器の内部容積内の内面を与える構成材料を含み、内面は、容器の内部容積内の析出しやすい不純物の含有量が比較的低い材料でめっきされている。
【0177】
別の態様において、本開示は、吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージに関し、容器は、構成材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金を含む。
【0178】
純度向上材料による容器表面のめっき又は被覆に加えて、容器は、研磨された、又はより滑らかな内面仕上げ、例えば、容器の内面の鏡面仕上げが得られるよう処理されてもよい。
【0179】
したがって、本開示は、別の態様において、吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージから分配されるガスの純度を向上させる方法を意図しており、このような方法は、研磨された滑らかな内面仕上げを有する内部容器表面を含むようにガス供給パッケージの容器を製造するステップを含む。
【0180】
パッケージの使用においてガス供給パッケージから分配されるガスの純度を向上させる別の技術には、ヘッドスペース内で濃縮した可能性のある不純物を除去するためのガス貯蔵分配容器の内部容積内のヘッドスペースの高速ポンピングが含まれる。ヘッドスペースは、吸着剤の上にある容器の内部容積の部分であり、収着質ガスによる置換、或いは収着質ガスを満たす前又は後のシールされたガス容器内の蒸気圧の影響の結果として、不純物がヘッドスペース内に蓄積し得るため、バルブヘッドアセンブリのポート(例えば、その充填ポート又は排出ポートの何れか)を通じたヘッドスペースの一時的な高速ポンピングが、ヘッドスペースの不純物を除去するのに有効である。
【0181】
したがって、本開示は、別の態様において、使用中にガス供給パッケージから分配されるガスの純度を向上させる方法を意図しており、ガス供給パッケージは、吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含み、容器は、吸着剤ガス貯蔵媒体の上方にヘッドスペースを含む内部容積を含み、本方法は、パッケージを収着質ガスで満たす前又は後にヘッドスペースに高速ポンピングを行うステップを含む。
【0182】
様々な個々の技術の任意の組み合わせ及び順列で使用されてもよい、純度を向上させる前述の手法に関連して、その純度レベルを含む容器内のガスの特性を対象とする充填後分析データを補完したガス供給パッケージが使用のために提供されてもよい。このようなデータは、容器上のRFIDタグ内もしくは他のデータ記憶装置内に、又は容器上の印刷ラベルの形態で、又は別の印刷されたレポートとして提供されてもよく、したがって、容器は、販売、輸送、貯蔵及び/又は設置されたとき、供給されたガス及び/又はガスが供給されるガス供給パッケージの他の特性の確認に加えて、特定のガス純度基準を満たすことが容易に確認できる。
【0183】
したがって、本開示は、別の態様において、(i)その上に吸着された収着質ガスを有する吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージと、(ii)データ表示物品又はデバイス内の、ガス純度を含む供給されたガスの充填後分析データとを含むガス供給パッケージキットを意図している。
【0184】
本開示は、別の態様において、その上に収着質ガスを貯蔵するための吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージに関し、容器はDOT3AAボンベを含み、吸着剤ガス貯蔵媒体は、PVDCベースのポリマー又はコポリマー熱分解生成物吸着剤、例えば、PVDC−MAカーボン熱分解生成物吸着剤を含む。吸着剤は、任意の適した形態、例えば、ペレット状及び/又はビーズ状であってもよい。
【0185】
吸着剤のペレット及び/又はビーズは、適切に、使用中にガス供給パッケージによって送出される1つの特定の収着質ガスに適している吸着剤物品のブレンドを提供するように、例えば、孔径、孔径分布、かさ密度、灰分、透過性などの様々な吸着剤特性を有する(1つ又は複数の)異なるカーボン熱分解生成物タイプのものであってもよい。
【0186】
別の態様において、本開示は、例えば、20−90の範囲内又は他のL/D特性の直径(D)に対する長さ(L)の比を有してもよい細長い吸着剤物品としてのロッドの形態で提供されるカーボン熱分解生成物吸着剤に関する。このような文脈において用いられるとき、直径という用語は、吸着剤物品の軸方向又は長さ方向に対して垂直な横断方向の最大寸法を指す。ロッドは、任意の適した断面形状、例えば、正方形、長方形、円形、卵形、十字形などを有してもよい。吸着剤ロッドは、円形断面の押出ダイから押し出される熱分解性出発材料から円形断面で容易に形成され得、押出物は所望の長さで切断されて、熱分解とその後の任意選択の活性化によってロッド状のカーボン熱分解生成物吸着剤を与える出発材料が得られる。
【0187】
カーボン熱分解生成物吸着剤のロッドが、例えば、形成されてもよく、多数のこのようなロッドが束ねられてロッドアセンブリを構成してもよく、これは、例えば、集められても、或いは単一のアセンブリに互いに固結されてもよい。束は、したがって、ロッドのそれぞれが束内の他のロッドと平行に配向したロッド物品のアセンブリを含んでもよい。このようなロッドの束は、例えば、分配条件下で容器からのガスの分配を「調整する」ために、ガス貯蔵分配容器の頸部開口部内に配置されてもよい。このような例では、吸着剤ロッド物品のロッドの束は、内部容積内のロッドの束を1つの特定の位置に保持するように、圧縮くさびsure springなどの位置決め装置によってガス貯蔵分配容器の頸部内或いは内部容積内の所定の位置に保持することができる。
【0188】
図20は、多数の形態の吸着剤を含む、本開示の別の態様によるガス供給パッケージの概略図であり、このようなパッケージのガス貯蔵分配容器の頸部内に束ねられたロッドを含む。
【0189】
例示の通り、ガス供給パッケージ500は、容器壁504で囲まれた、その内部の内部容積を画定するガス貯蔵分配容器502を含む。容器の内部容積内には、ディスクの隣接する対が互いに対面する隣接関係にあるディスク形の吸着剤物品506の積層を含む、多数の形態のカーボン熱分解生成物吸着剤が備えられる。積層内の一番上のディスク上には、吸着剤のロッド及びビーズの混合群508が備えられる。吸着剤のロッド及びビーズの混合群は、希望するならば、内部容積内のスクリーン514又は他の孔のある保持要素によって所定の位置に保持されてもよい。吸着剤のロッド及びビーズの混合群の上にあるのは、容器502の頸部に挿入された吸着剤ロッドの束510である。ロッドは、その下端でスクリーン514上に置かれてもよく、或いは、容器の頸部内の所定の位置に保持されてもよい。
【0190】
容器は、その上端で、ガスを容器に満たすための、及びパッケージの分配条件下でパッケージからのガスを分配するための充填ポート及び排出ポートを含む分配ヘッドアセンブリ512に固定される。分配ヘッドアセンブリ512は、分配ヘッドアセンブリ内のバルブを完全開位置と完全閉位置との間で移動させるためのバルブアクチュエータ又は他の構造を含んでもよい。
【0191】
図20に示したガス供給パッケージは、したがって、多数の形態のカーボン熱分解生成物吸着剤が用いられている本開示のガス供給パッケージを示す。束内に配置されたロッドは、したがって、隣接するロッド間の間隙空間を含み、それを通じてガスは、このような分配ヘッドアセンブリの排出ポートでその後に排出されるために容器から分配ヘッドアセンブリへと出て行くことができる。ロッドは、したがって、容器からのガス放出を調節するために備えられてもよく、したがって、分配ヘッドアセンブリ内のそれまで閉じていたバルブが初めて開いても、圧力の急上昇が伝播したり、分配されたガスの流れの他の乱れが生じたりすることはない。
【0192】
ガス供給パッケージは、パッケージ内に様々な吸着剤のタイプ及び形態を含む本開示にしたがって利用されてもよい。例えば、パッケージからの分配されたガスの所望の流れが得られるように、比較的遅いガス移動特性を有する吸着剤の特定の形態が、より高い充填速度及びガス送出速度を与えるより高い透過性の吸着剤と共に提供されてもよい。
【0193】
1つの態様において、本開示は、その上に収着質ガスを貯蔵するための吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージに関し、吸着剤媒体は、上述のカーボン熱分解生成物吸着剤物品の束を含み、束は容器の頸部内に位置する。
【0194】
このようなガス供給パッケージは、さらに、モノリシック状(例えば、円筒ディスク物品)、ビーズ状及び/又はペレット状などの他の非ロッド状の吸着剤媒体を任意の適した組み合わせ及び順列で含んでもよい。
【0195】
別の態様の本開示は、その上に収着質ガスを貯蔵するための吸着剤ガス貯蔵媒体を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージの送出能力を向上させるための手法に関する。
【0196】
ガス供給パッケージの種々の実施形態において用いられるこのような手法の1つは、熱分解性出発材料の熱分解並びにその後の活性化及び脱ガスによって処理されるその内部の吸着剤の利用であり、処理は、吸着剤上に貯蔵され、続いて吸着剤から分配される収着質ガスに依存し、カーボン熱分解生成物吸着剤の能力の向上を実現するために適用される。カーボン熱分解生成物吸着剤の所定の活性化を実現するために選択される処理のプロセス変数には、活性化温度及び活性化時間が含まれる。熱分解操作は、同じく、熱分解時間及び温度に関して、収着質ガスに対するカーボン熱分解生成物吸着剤の能力を向上させる目的のために選択されてもよい。外来種がカーボン熱分解生成物吸着剤から除去される脱ガス操作は、それに応じて、特定のレベルのカーボン熱分解生成物吸着剤の能力向上を実現するために、特定の脱ガス温度、最終的な(脱ガス操作の最後の)圧力及び脱ガス時間が選択されてもよい。
【0197】
したがって、本開示は、異なるガスを供給するために使用されるパッケージを含むガス供給パッケージの製造方法を意図しており、ガス供給パッケージそれぞれは、その上に収着質ガスを貯蔵するための吸着剤を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含み、前記方法は、熱分解性出発材料の熱分解並びにその後の活性化及び脱ガスを含む処理によって吸着剤を調製するステップと、その後に続くガス供給パッケージ内で吸着剤をパッケージ化するステップとを含み、処理ステップは、このような吸着剤を含むガス供給パッケージ内で用いられる収着質ガスに特異的である処理条件にしたがって行われ、処理条件は、異なるガスを供給するための異なるガス供給パッケージ内でパッケージ化されている吸着剤に対して異なる。
【0198】
このような方法において、異なる処理条件は、活性化温度、活性化時間、熱分解時間、熱分解温度、脱ガス温度、最終脱ガス圧力及び脱ガス時間からなる群から選択される少なくとも1つの条件で異なっていてもよい。
【0199】
ガス供給パッケージの送出能力を向上させるための別の手法は、ヒール、すなわち、分配操作の最後に残るガス供給パッケージ内の残留ガスを低減することに焦点を合わせている。排気されたガス供給パッケージのヒール分はガスの廃棄物であり、これは、半導体製品、フラットパネルディスプレイ及び太陽電池パネルなどの製品の製造の様々な用途において、プロセスの大きなコストになり得るが、その理由は、パッケージのヒール分は、使用の最後に容器内に単に残され得、続いて、ガスの利用を実現できない形で排出され得、或いは処分され得、これは、費用がかかる性質のものになり得るためである。
【0200】
排気されたガス供給パッケージ内のヒールを最小限に抑える取り組みにおいて、パッケージ内で異なるタイプ又は形態のカーボン熱分解生成物吸着剤を利用することが有利なことがあり、これによって、ヒールガスが分配のためにより容易に脱着され、したがって、パッケージのより多くのガスインベントリが使用のために実際に排出される。
【0201】
したがって、本開示は、その上に収着質ガスを貯蔵するための吸着剤を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージの排気時のヒール分を低減する方法を意図しており、このような方法は、吸着剤として、異なるタイプ及び異なる形態のうちの少なくとも1つの吸着剤種を提供するステップを含み、(1つ又は複数の)異なるタイプ及び/又は(1つ又は複数の)形態は、前記吸着剤種のうちの1つの吸着剤に比べて、前記分配条件下で吸着剤から脱着される収着質ガスの量を増加させる。
【0202】
ガス供給パッケージのヒール分を最小限に抑えるための別の手法として、収着質ガスが、同位体濃縮されたガス、すなわち、(1つ又は複数の)同位体の自然存在比を上回るレベルで1つ又は複数の同位体に富むガスを含み、同位体濃縮されたガスは、気体化合物の各同位体の自然に存在する補完物を含む対応する自然存在比のガスよりもかなり費用がかかる例では。このような例では、対応する自然存在比のガスを利用して低い初期圧力までガス供給パッケージを充填し、ヒールを確立することが有利なことがあり、対応する同位体濃縮されたガスは、次いで、ガス供給パッケージ内のカーボン熱分解生成物吸着剤に所望の収着質ガスを負荷するために主に満たすガスとして利用され、したがって、同位体濃縮されたガスは、所望の充填圧力又は充填容量の他の目安まで「予備ヒールした」吸着剤を充填するために使用される。
【0203】
このように、同位体濃縮されたガスは、通常の分配操作の間に分配することができて、一方、自然存在比のガスは、容器内のガスのヒール部分として保持され、したがって、ヒールガスの分配可能でない性質が理由で被る経済的な不利益は大きくはない。
【0204】
したがって、本開示は、その上に同位体濃縮された収着質ガスを貯蔵するための吸着剤を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージの排気時のヒール分を低減する方法を意図しており、前記方法は、ガス供給パッケージのガス貯蔵分配容器内の吸着剤を、ガスヒールを確立するのに十分な量の対応する同位体濃縮されていない収着質ガスで初めに満たすステップと、ガスヒールの確立後、ガス貯蔵分配容器内の吸着剤を、同位体濃縮された収着質ガスでガス供給パッケージの所定の充填容量まで満たすステップとを含む。
【0205】
このような方法における収着質ガスは、任意の適したガス、例えば、三フッ化ホウ素、シラン、四フッ化ケイ素、四フッ化ゲルマニウム及びゲルマンからなる群から選択されるガスを含んでもよい。
【0206】
また、本開示は、対応する態様において、その上に収着質ガスを貯蔵するための吸着剤を保持するガス貯蔵分配容器と、その分配条件下でパッケージから収着質ガスを排出するための、容器に固定されたガス分配アセンブリとを含むガス供給パッケージに関し、ガス貯蔵分配容器内の収着質ガスインベントリは、同位体濃縮されていない収着質ガスを含むヒール部分と、対応する同位体濃縮された収着質ガスを含む残りの非ヒール部分とを含む。
【0207】
種々の実施形態において、このようなガス供給パッケージ内の吸着剤は、適したタイプのカーボン熱分解生成物吸着剤を含んでもよく、より一般的には、本明細書に開示の任意の吸着剤を含んでもよい。
【0208】
収着質ガスは、同じく、任意の適したタイプのものであってもよく、例えば、三フッ化ホウ素、シラン、四フッ化ケイ素、四フッ化ゲルマニウム及びゲルマンからなる群から選択されるガスを含んでもよい。
【0209】
本明細書では本発明の特定の態様、特徴及び例示的な実施形態に関して本開示を説明してきたが、本開示の有用性は、そのように限定されず、むしろ、本開示の分野の当業者なら本明細書の説明に基づいて思いつく多数の他の変形、修正及び代替の実施形態にまで及び、且つこれらを包含することを理解されたい。それに応じて、以下に記載の本開示は、その趣旨及び範囲にすべてのこのような変形、修正及び代替の実施形態を含むよう広く解釈されることが意図される。