(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液晶配向処理剤が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を含有する請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の液晶配向処理剤。
前記液晶配向処理剤が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基及びシクロカーボネート基からなる群から選ばれる架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び炭素数1〜3のアルコキシアルキル基からなる群から選ばれる架橋性化合物、又は重合性不飽和結合基を有する架橋性化合物を含有する請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の液晶配向処理剤。
電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の液晶配向膜。
電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性基を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の液晶配向膜。
【発明を実施するための形態】
【0053】
<特定化合物>
本発明における特定化合物は、ヘテロポリ酸である。
【0054】
ヘテロポリ酸とは、代表的には、下記の式[1−1]で示されるKeggin型又は式[1−2]で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などの酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
【0056】
ヘテロポリ酸化合物の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸又はリンタングストモリブデン酸等が挙げられ、本発明においては、これらを用いることが好ましい。また、これらは単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。なお、本発明におけるヘテロポリ酸化合物は、市販品として入手可能であり、また、公知の方法により合成することもできる。
【0057】
ヘテロポリ酸は、元素分析等の定量分析において、一般式で示される構造から元素の数が多くまたは少ないものであっても、それが市販品として入手し、あるいは、公知の合成方法に従い適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。
【0058】
すなわち、例えば、一般的には、リンタングステン酸は下記の式[1a]で示される構造であり、リンモリブデン酸は式[1b]で示される構造である。
【0060】
これらは、定量分析において、これら式中のP(リン)、O(酸素)、又はW(タングステン)若しくはMo(モリブデン)の数が多く、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、或いは、公知の合成方法に従い適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。この場合、本発明において規定されるヘテロポリ酸の質量とは、合成物や市販品中における純粋なリンタングステン酸の質量(リンタングステン酸含量)ではなく、市販品として入手可能な形態及び公知の合成法にて単離可能な形態において、水和水やその他の不純物等を含んだ状態での全質量を意味する。
【0061】
<重合体>
本発明における重合体は、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であることが好ましい。より好ましいのは、ポリイミド前駆体、ポリイミド又はポリシロキサンである。特に好ましいのは、ポリイミド前駆体又はポリイミド(総称して、特定ポリイミド系重合体ともいう)である。
【0062】
また、上述した通り、本発明の効果をより高めることを目的に、これら重合体には、窒素含有芳香族複素環を含むことが好ましい。
【0063】
窒素含有芳香族複素環は、下記の式[a]、式[b]又は式[c]で示される構造を含有する複素環である。
【0065】
(Waは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【0066】
より具体的には、ピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、プリン環、チアジアゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、シンノリン環、フェナントロリン環、インドール環、キノキサリン環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環、オキサジアゾール環及びアクリジン環などを挙げることができる。なかでも、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環又はベンゾイミダゾール環が好ましい。より好ましいのは、長時間光の照射に曝された後での電圧保持率の低下を抑制することができる点から、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環又はピリミジン環である。特に好ましいのは、イミダゾール環又はピリジン環である。
【0067】
<特定ポリイミド系重合体>
本発明の重合体に、特定ポリイミド系重合体を用いる場合、それらは、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体又はポリイミドであることが好ましい。
【0068】
ポリイミド前駆体とは、下記の式[A]で示される構造を有する。
【0070】
(R
1は4価の有機基を示す。R
2は2価の有機基を示す。A
1及びA
2はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。A
3及びA
4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアセチル基を示す。nAは正の整数を示す。
【0071】
前記ジアミン成分としては、分子内に1級又は2級のアミノ基を2個有するジアミンが挙げられる。テトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸化合物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジハライド化合物、テトラカルボン酸ジアルキルエステル化合物又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物が挙げられる。
【0072】
特定ポリイミド系重合体は、下記の式[B]で示されるテトラカルボン酸二無水物と下記の式[C]で示されるジアミンとを原料とすることで、比較的簡便に得られるという理由から、下記の式[D]で示される繰り返し単位の構造式から成るポリアミド酸又は該ポリアミド酸をイミド化させたポリイミドが好ましい。なかでも、本発明においては、液晶配向膜の物理的及び化学的安定性の点から、ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドであることが好ましい。
【0074】
(R
1及びR
2は、式[A]で定義したものと同義である。)
【0076】
(R
1、R
2及びnAは、式[A]で定義したものと同義である。)
【0077】
また、通常の合成手法で、上記で得られた式[D]の重合体に、式[A]で示されるA
1及びA
2の炭素数1〜8のアルキル基、及び式[A]で示されるA
3及びA
4の炭素数1〜5のアルキル基又はアセチル基を導入することもできる。
【0078】
本発明におけるジアミン成分としては、公知のものを用いることができる。
【0079】
なかでも、上述した通り、本発明の効果をより高めることを目的に、下記の式[2]で示される構造(特定構造(1)ともいう)を有するジアミン化合物を用いることが好ましい。
【0081】
式[2]中、W
1、W
2、W
3及びW
4は、上記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、以下のものが好ましい。
【0082】
W
1は、−O−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCO−、−CON(CH
3)−又は−N(CH
3)CO−が好ましい。より好ましいのは、合成の容易さの点から、−O−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCO−又は−CON(CH
3)−である。特に好ましいのは、−O−、−CONH−又は−CH
2O−である。
【0083】
W
2は、単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、非芳香族環及び芳香族環からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。
【0084】
炭素数1〜20のアルキレン基は、直鎖状でも良いし、分岐していても良い。また、不飽和結合を有していても良い。なかでも、合成の容易さの点から、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。
【0085】
非芳香族環の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環、シクロトリデカン環、シクロテトラデカン環、シクロペンタデカン環、シクロヘキサデカン環、シクロヘプタデカン環、シクロオクタデカン環、シクロノナデカン環、シクロイコサン環、トリシクロエイコサン環、トリシクロデコサン環、ビシクロヘプタン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルネン環及びアダマンタン環などが挙げられる。なかでも、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ノルボルネン環又はアダマンタン環が好ましい。
【0086】
芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、アズレン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環及びフェナレン環などが挙げられる。なかでも、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環又はアントラセン環が好ましい。
【0087】
W
2としては、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環又はアントラセン環が好ましい。なかでも、合成の容易さの点及び長時間光の照射に曝された後での電圧保持率の低下を抑制することができる点から、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、シクロヘキサン環又はベンゼン環が好ましい。
【0088】
W
3は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−又は−O(CH
2)
m−(mは1〜5の整数を示す)が好ましい。より好ましいのは、合成の容易さの点から、単結合、−O−、−OCO−又は−O(CH
2)
m−(mは1〜5の整数を示す)である。
【0089】
W
4は、窒素含有芳香族複素環を示し、前記と同様に、前記式[a]、式[b]又は式[c]で示される構造を含有する複素環を示す。具体的には、前記の通りであり、なかでも、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環又はベンゾイミダゾール環が好ましい。より好ましいのは、長時間光の照射に曝された後での電圧保持率の低下を抑制することができる点から、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環又はピリミジン環である。特に好ましいのは、イミダゾール環又はピリジン環である。
【0090】
また、式[2]におけるW
3は、W
4に含まれる式[a]、式[b]及び式[c]と隣り合わない置換基と結合していることが好ましい。
【0091】
式[2]における好ましいW
1、W
2、W
3及びW
4の組み合わせは、下記の表1〜表31に示す通りである。
【0123】
なかでも、(a−43)〜(a−49)、(a−57)〜(a−63)、(a−218)〜(a−224)、(a−232)〜(a−238)、(a−323)〜(a−329)、(a−337)〜(a−343)、(a−428)〜(a−434)又は(a−442)〜(a−448)の組み合わせが好ましい。より好ましいのは、長時間光の照射に曝された後での電圧保持率の低下を抑制することができる点から、(a−44)、(a−45)、(a−58)又は(a−59)の組み合わせである。
【0124】
特定構造(1)を有するジアミン化合物としては、下記の式[2a]で示されるジアミン化合物(特定ジアミン化合物(1)ともいう)を用いることが好ましい。
【0126】
式[2a]中、Wは、前記式[2]で示される構造を示す。
【0127】
また、式[2]におけるW
1、W
2、W
3及びW
4の詳細及び好ましい組み合わせは、前記式[2]の通りである。
【0128】
m1は、合成の容易さの点から、1が好ましい。
【0129】
特定ジアミン化合物(1)の使用割合は、長時間光の照射に曝された後での電圧保持率の低下を抑制することができる点から、ジアミン成分全体に対し1〜60モル%が好ましい。より好ましいのは、1〜50モル%であり、特に好ましいのは、5〜50モル%である。
【0130】
また、特定ジアミン化合物(1)は、特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶配向性、又は液晶表示素子の電気特性などの特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0131】
本発明の液晶配向処理剤を、VAモード、PSAモード又はSC−PVAモードの液晶表示素子に用いる場合には、ジアミン成分に、下記の式[3−1]又は式[3−2]で示される構造(特定構造(2)ともいう)を有するジアミン化合物を用いることが好ましい。
【0133】
式[3−1]中、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnは、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
【0134】
Y
1は、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましいのは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。
【0135】
Y
2は、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
【0136】
Y
3は、合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましいのは、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。
【0137】
Y
4は、合成の容易さの点から、ベンゼン環、シクロへキサン環又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基が好ましい。
【0138】
Y
5は、ベンゼン環又はシクロへキサン環が好ましい。
【0139】
Y
6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。特に好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
【0140】
nは、原料の入手性や合成の容易さの点から、0〜3が好ましく、より好ましいのは0〜2である。
【0141】
Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの好ましい組み合わせは、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の13頁〜34頁の表6〜表47に掲載される(2−1)〜(2−629)と同じ組み合わせが挙げられる。なお、国際公開公報の各表では、本発明におけるY
1〜Y
6が、Y1〜Y6として示されているが、Y1〜Y6は、Y
1〜Y
6と読み替えるものとする。また、国際公開公報の各表に掲載される(2−605)〜(2−629)では、本発明におけるステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基が、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基と示されているが、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基は、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基と読み替えるものとする。
【0142】
なかでも、(2−25)〜(2−96)、(2−145)〜(2−168)、(2−217)〜(2−240)、(2−268)〜(2−315)、(2−364)〜(2−387)、(2−436)〜(2−483)又は(2−603)〜(2−615)の組み合わせが好ましい。特に好ましい組み合わせは、(2−49)〜(2−96)、(2−145)〜(2−168)、(2−217)〜(2−240)、(2−603)〜(2−606)、(2−607)〜(2−609)、(2−611)、(2−612)又は(2−624)である。
【0144】
式[3−2]中、Y
7及びY
8は、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
【0145】
Y
7は、単結合、−O−、−CH
2O−、−CONH−、−CON(CH
3)−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−O−、−CONH−又は−COO−である。
【0146】
Y
8は、炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。
【0147】
本発明においては、特定構造(2)は、高くて安定な液晶の垂直配向性を得ることができる点から、式[3−1]で示される構造を用いることが好ましい。
【0148】
特定構造(2)を有するジアミン化合物としては、下記の式[3a]で示されるジアミン化合物(特定ジアミン化合物(2)ともいう)を用いることが好ましい。
【0150】
式[3a]中、Yは、前記式[3−1]又は式[3−2]で示される構造を示す。
【0151】
また、式[3−1]におけるY
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの詳細及び好ましい組み合わせは、前記式[3−1]の通りであり、式[3−2]におけるY
7及びY
8の詳細及び好ましい組み合わせは、前記式[3−2]の通りである。
【0152】
n1は、合成の容易さの点から、1が好ましい。
【0153】
式[3−1]で示される特定構造を有する特定ジアミン化合物(2)として、具体的には例えば、下記の式[3a−1]〜式[3a−31]で示されるジアミン化合物が挙げられる。
【0155】
(R
1はそれぞれ、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−及び−CH
2OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。R
2はそれぞれ、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルコキシル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状フッ素含有アルキル基、又は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状フッ素含有アルコキシル基を示す。)
【0157】
(R
3はそれぞれ、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−及び−CH
2−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。R
4はそれぞれ、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルコキシル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状フッ素含有アルキル基、又は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状フッ素含有アルコキシル基を示す。)
【0159】
(R
5はそれぞれ、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−、−O−及び−NH−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。R
6はそれぞれ、フッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。)
【0161】
(R
7はそれぞれ、炭素数3〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、トランス異性体である。)
【0163】
(R
8はそれぞれ、炭素数3〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、トランス異性体である。)
【0165】
(A
4はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基を示す。A
3は1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を示す。A
2は酸素原子又は−COO−*(ただし、「*」を付した結合手がA
3と結合する)を示す。A
1は酸素原子又は−COO−*(ただし、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2)と結合する)を示す。また、a
1は0又は1の整数を示す。a
2は2〜10の整数を示す。a
3は0又は1の整数を示す。)
【0171】
上記式[3a−1]〜[3a−31]中、好ましいジアミン化合物は、式[3a−1]〜式[3a−6]、式[3a−9]〜式[3a−13]又は式[3a−22]〜式[3a−31]である。
【0172】
前記式[3−2]で示される特定構造(2)を有する特定ジアミン化合物(2)として、具体的には例えば、下記の式[3a−32]〜[3a−35]で示されるジアミン化合物が挙げられる。
【0174】
(A
1はそれぞれ、炭素数8〜18のアルキル基又はフッ素含有アルキル基を示す。)
【0175】
特定ジアミン化合物(2)の使用割合は、特に、VAモード、PSAモード又はSC−PVAモードの液晶表示素子に用いる場合には、ジアミン成分全体に対し10〜70モル%が好ましい。より好ましいのは、20〜70モル%であり、特に好ましいのは、20〜60モル%である。
【0176】
また、特定ジアミン化合物(2)は、特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶配向性、又は液晶表示素子の電気特性などの特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0177】
本発明におけるジアミン成分には、前記の特定ジアミン化合物(1)及び特定ジアミン化合物(2)を、液晶表示素子の表示モード、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-plane Switching)モード、VAモード、PSAモード及びSC−PVAモードに応じて、適宜、選択して使用することができる。また、これらの特定ジアミン化合物を2種類以上、すなわち、複数種用いることもできる。
【0178】
特定ポリイミド系重合体を作製するためのジアミン成分としては、下記のジアミン化合物(その他ジアミン化合物ともいう)を用いることもできる。
具体的には例えば、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−ビス(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−ビス(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−ビス(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−ビス(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−ビス(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,12−ビス(3−アミノフェノキシ)ドデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン又は1,12−ジアミノドデカンなどが挙げられる。
【0179】
また、その他ジアミン化合物としては、下記の式[D1]〜式[DA15]で示されるジアミン化合物を用いることもできる。
【0186】
(L
1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1〜5の整数を示す。)
【0188】
その他ジアミン化合物は、特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶配向性、又は液晶表示素子の電気特性などの特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0189】
特定ポリイミド系重合体を作製するためのテトラカルボン酸成分には、下記の式[4]で示されるテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸成分ともいう)を用いることが好ましい。
【0191】
式[4]中、Zは、前記式[4a]〜式[4k]で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を示す。
【0192】
式[4]中のZは、合成の容易さやポリマーを製造する際の重合反応性のし易さの点から、式[4a]、式[4c]、式[4d]、式[4e]、式[4f]、式[4g]又は式[4k]で示される構造が好ましい。より好ましいのは、式[4a]、式[4e]、式[4f]、式[4g]又は式[4k]で示される構造である。特に好ましいのは、式[4e]、式[4f]、式[4g]又は式[4k]で示される構造である。
【0193】
特定テトラカルボン酸成分の使用割合は、全テトラカルボン酸成分に対して1モル%以上であることが好ましい。より好ましいのは、5モル%以上である。特に好ましいのは、10モル%以上であり、最も好ましいのは、長時間光の照射に曝された後での電圧保持率の低下を抑制することができる点から、10〜90モル%である。
【0194】
また、前記式[4e]、式[4f]、式[4g]又は式[4k]で示される構造のテトラカルボン酸成分を用いる場合、その使用量を、テトラカルボン酸成分全体の20モル%以上とすることで、所望の効果が得られる。好ましくは、30モル%以上である。さらに、テトラカルボン酸成分のすべてが、式[4e]、式[4f]、式[4g]又は式[4k]で示される構造のテトラカルボン酸成分であってもよい。
【0195】
本発明におけるテトラカルボン酸成分としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定テトラカルボン酸成分以外のその他のテトラカルボン酸成分を用いることができる。
【0196】
具体的には例えば、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸又は1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
【0197】
特定テトラカルボン酸成分及びその他のテトラカルボン酸成分は、特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶配向性、又は液晶表示素子の電気特性などの特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0198】
特定ポリイミド系重合体を作製するための方法は特に限定されない。通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られる。一般的には、テトラカルボン酸二無水物及びそのテトラカルボン酸の誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸成分と1種又は複数種のジアミン化合物からなるジアミン成分とを反応させて、ポリアミド酸を得る方法が挙げられる。具体的には、テトラカルボン酸二無水物と1級又は2級のジアミン化合物とを重縮合させてポリアミド酸を得る方法、テトラカルボン酸と1級又は2級のジアミン化合物とを脱水重縮合反応させてポリアミド酸を得る方法、又はテトラカルボン酸ジハライドと1級又は2級のジアミン化合物とを反応させてポリアミド酸を得る方法が用いられる。
【0199】
ポリアミド酸アルキルエステルを得るには、カルボン酸基をジアルキルエステル化したテトラカルボン酸と1級又は2級のジアミン化合物とを重縮合させる方法、カルボン酸基をジアルキルエステル化したテトラカルボン酸ジハライドと1級又は2級のジアミン化合物とを反応させる方法、又はポリアミド酸のカルボキシル基をエステルに変換する方法が用いられる。
【0200】
ポリイミドを得るには、前記のポリアミド酸又はポリアミド酸アルキルエステルを閉環させてポリイミドとする方法が用いられる。
【0201】
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応は、通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを有機溶媒中で行う。その際に用いる有機溶媒としては、生成したポリイミド前駆体が溶解するものであれば特に限定されない。下記に、反応に用いる有機溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
【0202】
例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド又は1,3−ジメチル−イミダゾリジノンなどが挙げられる。また、ポリイミド前駆体の溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン又は下記の式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることができる。
【0204】
(D
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。D
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。D
3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0205】
これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリイミド前駆体が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0206】
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散或いは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸成分をそのまま添加する、又は有機溶媒に分散或いは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸成分を有機溶媒に分散、或いは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分及びテトラカルボン酸成分を、それぞれ複数種用いて反応させる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ重合体としてもよい。その際の重合温度は−20℃〜150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5℃〜100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。そのため、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。重合反応の初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することもできる。
【0207】
ポリイミド前駆体の重合反応においては、ジアミン成分の合計モル数とテトラカルボン酸成分の合計モル数の比は0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成するポリイミド前駆体の分子量は大きくなる。
【0208】
ポリイミドは、前記のポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドであり、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。なかでも、本発明における特定ポリイミド系重合体は、ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドであることが好ましい。その際のイミド化率は、40〜90%が好ましい。より好ましいのは、50〜90%である。
【0209】
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、又はポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。ポリイミド前駆体を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方が好ましい。
【0210】
ポリイミド前駆体の触媒イミド化は、ポリイミド前駆体の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン又はトリオクチルアミンなどを挙げることができる。なかでも、ピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸又は無水ピロメリット酸などを挙げることができる。なかでも、無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量、反応温度及び反応時間を調節することにより制御することができる。
【0211】
ポリイミド前駆体又はポリイミドの反応溶液から、生成したポリイミド前駆体又はポリイミドを回収する場合には、反応溶液を溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ベンゼン又は水などを挙げることができる。溶媒に投入して沈殿させたポリマーは、濾過して回収した後、常圧或いは減圧下で、常温或いは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させて再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類又は炭化水素などが挙げられ、これらから選ばれる3種類以上の溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
【0212】
ポリイミド系重合体の分子量は、そこから得られる液晶配向膜の強度、液晶配向膜形成時の作業性及び塗膜性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で、5,000〜1,000,000であることが好ましい。なかでも、10,000〜150,000が好ましい。
【0213】
本発明における特定ポリイミド系重合体は、上述した通り、長時間光の照射に曝された後でも電圧保持率の低下を抑制することができる点から、前記ポリイミド前駆体を触媒イミド化したポリイミドであることが好ましい。その際のイミド化率は、前記の範囲であることが好ましい。
【0214】
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜(樹脂被膜ともいう)を形成するための塗布溶液であり、特定化合物、重合体及び溶媒を含有することが好ましい。
【0215】
液晶配向処理剤における特定化合物の使用割合は、下記の通りであることが好ましい。すなわち、すべての重合体100質量部に対して、1質量部〜30質量部であることが好ましい。より好ましいのは、1質量部〜20質量部であり、特に好ましいのは、3質量部〜15質量部である。
【0216】
液晶配向処理剤における重合体成分には、特定ポリイミド系重合体を用いることが好ましいが、それ以外の他の重合体が混合されていても良い。その際、それ以外の他の重合体の含有量は、特定ポリイミド系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜15質量部であることが好ましい。より好ましいのは、1質量部〜10質量部である。それ以外の他の重合体としては、上述したアクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース又はポリシロキサンなどが挙げられる。
【0217】
液晶配向処理剤中の溶媒は、塗布により均一な液晶配向膜を形成するという点から、液晶配向処理剤中の溶媒の含有量が70〜99.9質量%であることが好ましい。この含有量は、目的とする液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができる。
【0218】
液晶配向処理剤に用いる溶媒は、重合体を溶解させる溶媒(良溶媒ともいう)であれば特に限定されない。下記に、特定ポリイミド系重合体を用いた場合の良溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
【0219】
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
【0220】
なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
【0221】
さらに、特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性が高い場合は、前記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
【0222】
液晶配向処理剤における良溶媒の使用割合は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の10〜100質量%であることが好ましい。より好ましいのは、20〜90質量%であり、特に好ましいのは、30〜80質量%である。
【0223】
液晶配向処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒ともいう)を用いることができる。下記に貧溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
【0224】
例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル又は前記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒などを挙げることができる。
【0225】
なかでも、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル又は前記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
【0226】
これら貧溶媒の使用割合は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の1〜70質量%であることが好ましい。より好ましいのは、1〜60質量%であり、特に好ましいのは、5〜60質量%である。
【0227】
本発明の液晶配向処理剤には、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基及びシクロカーボネート基からなる群から選ばれる架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び炭素数1〜3のアルコキシアルキル基からなる群から選ばれる架橋性化合物、又は重合性不飽和結合基を有する架橋性化合物(総称して特定架橋性化合物ともいう)を導入することが好ましい。その際、これらの基は、化合物中に2個以上有する必要がある。
【0228】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン又は1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールなどが挙げられる。
【0229】
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、下記の式[4A]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【0231】
具体的には、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の58頁〜59頁に掲載される式[4a]〜式[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0232】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下記の式[5A]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【0234】
具体的には、国際公開公報WO2012/014898(2012.2.2公開)の76頁〜82頁に掲載される式[5−1]〜式[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0235】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂又はエチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0236】
このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体としては、例えば、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)が挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリルなど、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリルなどが挙げられる。
【0237】
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン、又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン又は2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。より具体的には、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の62頁〜66頁に掲載される、式[6−1]〜式[6−48]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0238】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン又はグリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート又はヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物などが挙げられる。
【0239】
液晶配向処理剤における特定架橋性化合物の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。より好ましいのは、架橋反応が進行し目的の効果を発現させるため、1〜30質量部であり、特に好ましいのは、1〜10質量部である。
【0240】
液晶配向処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。さらに、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などを用いることもできる。
【0241】
液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有されるすべての重合体成分100質量部に対して0.01〜2質量部が好ましい。より好ましいのは、0.01〜1質量部である。
【0242】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン又はN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0243】
これらの基板との密着させる化合物の使用割合は、液晶配向処理剤に含有されるすべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましい。より好ましいのは、1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶配向処理剤の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0244】
液晶配向処理剤には、上記以外の化合物の他に、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0245】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向処理剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、液晶配向膜として用いることができる。また、VAモード用の液晶表示素子などの場合では配向処理なしでも液晶配向膜として用いることができる。この際に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板なども用いることができる。プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板も使用でき、この場合の電極としてはアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
【0246】
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法又はスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0247】
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、液晶配向処理剤に用いる溶媒に応じて、30〜300℃、好ましくは30〜250℃の温度で溶媒を蒸発させて液晶配向膜とすることができる。焼成後の液晶配向膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。TNモードやIPSモード用の液晶表示素子のように、液晶を傾斜配向や水平配向させる場合は、焼成後の液晶配向膜をラビング又は偏光紫外線照射などで処理する。
【0248】
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により、本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製して液晶表示素子としたものである。
【0249】
液晶セルの作製方法としては、例えば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又はスペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法(ODF:One Drop Filling法ともいう)などが例示できる。
【0250】
本発明の液晶配向処理剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、電極間に電圧を印加しつつ、活性エネルギー線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。紫外線としては、波長が300〜400nm、好ましくは310〜360nmである。加熱による重合の場合、加熱温度は40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。また、紫外線と加熱を同時に行ってもよい。
【0251】
上記の液晶表示素子は、PSAモードの方式により、液晶分子のプレチルトを制御するものである。PSAモードでは、液晶材料中に少量の光重合性化合物、例えば光重合性モノマーを混入しておき、液晶セルを組み立てた後、液晶層に所定の電圧を印加した状態で光重合性化合物に紫外線などを照射し、生成した重合体によって液晶分子のプレチルトを制御する。重合体が生成するときの液晶分子の配向状態が電圧を取り去った後においても記憶されるので、液晶層に形成される電界などを制御することにより、液晶分子のプレチルトを調整することができる。また、PSAモードでは、ラビング処理を必要としないので、ラビング処理によってプレチルトを制御することが難しい垂直配向型の液晶層の形成に適している。すなわち、本発明の液晶表示素子は、上記した手法により液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、液晶セルを作製し、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合することで液晶分子の配向を制御するものとすることができる。
【0252】
PSAモードの液晶セル作製の一例を挙げるならば、例えば次の通りである。すなわち、上述した作製方法にて液晶セルを作製する。その際の液晶には、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物が混合される。重合性化合物としては、アクリレート基やメタクリレート基などの重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分の100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましいのは0.1〜5質量部である。重合性化合物が0.01質量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御できなくなり、10質量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなって液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合する。これにより、液晶分子の配向を制御することができる。
【0253】
さらに、本発明の液晶配向処理剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子、すなわち、SC−PVAモードにも用いることもできる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。紫外線としては、波長が300〜400nm、より好ましいのは310〜360nmである。加熱による重合の場合、加熱温度は40〜120℃、より好ましいのは60〜80℃である。また、紫外線と加熱を同時に行ってもよい。
【0254】
活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方より重合する重合性基を含む液晶配向膜を得るためには、この重合性基を含む化合物を液晶配向処理剤中に添加する方法や、重合性基を含む重合体成分を用いる方法が挙げられる。
【0255】
SC−PVAモードの液晶セル作製の一例を挙げるならば、例えば次の通りである。すなわち、上述した作製方法にて液晶セルを作製する。その後、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射することで、液晶分子の配向を制御することができる。
【0256】
以上のようにして、本発明の液晶配向処理剤を用いることで、長時間光の照射に曝された後でも電圧保持率の低下を抑制し、加えて、高温高湿条件下においても、液晶表示素子の額縁付近に表示ムラが発生しない液晶配向膜を提供することができる。そのため、本発明の液晶配向処理剤を用いて作製された液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大型の液晶テレビ、中小型のカーナビゲーションシステム、スマートフォンなどに好適に利用することができる。特に、本発明の液晶配向処理剤は、VAモード、PSAモード及びSC−PVAモードを用いた液晶表示素子の液晶配向膜に対して有用である。
【実施例】
【0257】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
合成例、実施例及び比較例で用いる略語は以下のとおりである。
(特定化合物)
S1:リンタングステン酸(日本新金属社製)
S2:リンモリブデン酸(12モリブド(IV)リン酸 n水和物)(関東化学社製)
【0258】
(特定ジアミン化合物(1))
A1:下記の式[A1]で示されるジアミン化合物
A2:下記の式[A2]で示されるジアミン化合物
【0259】
【化42】
【0260】
(特定ジアミン化合物(2))
B1:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロへキシル)フェノキシ〕ベンゼン
B2:1,3−ジアミノ−5−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロへキシル)フェノキシメチル〕ベンゼン
B3:1,3−ジアミノ−4−{4−〔トランス−4−(トランス−4−n−ペンチルシクロへキシル)シクロへキシル〕フェノキシ}ベンゼン
B4:下記の式[B4]で示されるジアミン化合物
B5:1,3−ジアミノ−4−オクタデシルオキシベンゼン
【0261】
【化43】
【0262】
(その他ジアミン化合物)
C1:p−フェニレンジアミン
C2:m−フェニレンジアミン
C3:下記の式[C3]で示されるジアミン化合物
C4:4,4’−ジアミノジフェニルアミン
C5:3,5−ジアミノ安息香酸
【0263】
【化44】
【0264】
(特定テトラカルボン酸二無水物)
D1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
D2:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
D3:下記の式[D3]で示されるテトラカルボン酸二無水物
D4:下記の式[D4]で示されるテトラカルボン酸二無水物
D5:下記の式[D5]で示されるテトラカルボン酸二無水物
【0265】
【化45】
【0266】
(架橋性化合物)
M1:下記の式[M1]で示される架橋性化合物
【0267】
【化46】
【0268】
(溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NEP:N−エチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
DME:ジプロピレングリコールジメチルエーテル
【0269】
「ポリイミド系重合体の分子量測定」
常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101、昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805、Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
【0270】
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量:約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0271】
「ポリイミド系重合体のイミド化率の測定」
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500、日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
【0272】
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
(xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。)
【0273】
「ポリイミド系重合体の合成」
<合成例1>
D4(9.65g,32.1mmol)、B5(1.36g,3.61mmol)及びC1(3.52g,32.6mmol)をNMP(30.5g)中で混合し、40℃で6時間反応させた後、D1(0.70g,3.57mmol)及びNMP(15.2g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0274】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.90g)及びピリジン(2.40g)を加え、70℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(1)を得た。このポリイミドのイミド化率は85%であり、数平均分子量は19,800、重量平均分子量は51,800であった。
【0275】
<合成例2>
D2(5.95g,23.8mmol)、B3(4.47g,10.3mmol)、C1(1.49g,13.8mmol)及びC3(2.10g,10.3mmol)をNEP(32.0g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(2.00g,10.2mmol)及びNEP(16.0g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液(2)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は、20,200、重量平均分子量は、68,300であった。
【0276】
<合成例3>
合成例2で得られたポリアミド酸溶液(2)(30.0g)に、NEPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(3)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は18,300、重量平均分子量は46,800であった。
【0277】
<合成例4>
D2(2.98g,11.9mmol)、A1(1.25g,5.16mmol)、B3(2.23g,5.15mmol)及びC1(0.74g,6.84mmol)をNEP(16.4g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(1.00g,5.10mmol)及びNEP(8.21g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0278】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NEPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(4)を得た。このポリイミドのイミド化率は81%であり、数平均分子量は17,800、重量平均分子量は44,900であった。
【0279】
<合成例5>
D2(2.17g,8.67mmol)、A1(1.28g,5.28mmol)、B1(2.67g,7.02mmol)及びC1(0.57g,5.27mmol)をNMP(16.8g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(1.70g,8.67mmol)及びNMP(8.39g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0280】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.80g)及びピリジン(2.40g)を加え、60℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(5)を得た。このポリイミドのイミド化率は56%であり、数平均分子量は17,000、重量平均分子量は43,200であった。
【0281】
<合成例6>
D2(2.17g,8.67mmol)、A1(1.28g,5.28mmol)、B5(2.65g,7.04mmol)及びC1(0.57g,5.27mmol)をNMP(16.7g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(1.70g,8.67mmol)及びNMP(8.36g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0282】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.80g)及びピリジン(2.40g)を加え、60℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(6)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は16,300、重量平均分子量は41,100であった。
【0283】
<合成例7>
D2(1.31g,5.24mmol)、A1(0.86g,3.55mmol)、B2(2.80g,7.10mmol)、C1(0.57g,5.27mmol)及びC4(0.35g,1.76mmol)をNMP(16.6g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(2.40g,12.2mmol)及びNMP(8.29g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0284】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.80g)及びピリジン(2.40g)を加え、60℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(7)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は17,500、重量平均分子量は43,800であった。
【0285】
<合成例8>
D2(2.04g,8.15mmol)、A2(1.07g,4.13mmol)、B2(2.94g,7.45mmol)、C1(0.36g,3.33mmol)及びC5(0.25g,1.64mmol)をNEP(16.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(1.60g,8.16mmol)及びNEP(8.26g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0286】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(8)を得た。このポリイミドのイミド化率は72%であり、数平均分子量は16,800、重量平均分子量は41,900であった。
【0287】
<合成例9>
D2(2.30g,9.19mmol)、A1(0.90g,3.71mmol)、B4(2.29g,4.65mmol)及びC2(1.11g,10.3mmol)をNMP(16.8g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(1.80g,9.18mmol)及びNMP(8.39g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0288】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.80g)及びピリジン(2.40g)を加え、60℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(9)を得た。このポリイミドのイミド化率は52%であり、数平均分子量は15,300、重量平均分子量は39,700であった。
【0289】
<合成例10>
D3(7.10g,31.7mmol)、A1(3.11g,12.8mmol)、B2(5.06g,12.8mmol)及びC1(0.69g,6.38mmol)をNMP(47.9g)中で混合し、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0290】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(10)を得た。このポリイミドのイミド化率は73%であり、数平均分子量は18,600、重量平均分子量は48,400であった。
【0291】
<合成例11>
D4(3.22g,10.7mmol)、A1(0.38g,1.57mmol)、B1(2.95g,7.75mmol)、C2(0.34g,3.14mmol)及びC4(0.62g,3.11mmol)をNMP(16.8g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(0.90g,4.59mmol)及びNMP(8.39g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0292】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NEPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(11)を得た。このポリイミドのイミド化率は85%であり、数平均分子量は16,200、重量平均分子量は41,500であった。
【0293】
<合成例12>
D4(3.67g,12.2mmol)、A2(1.00g,3.86mmol)、B3(2.35g,5.43mmol)、C1(0.50g,4.62mmol)及びC3(0.32g,1.57mmol)をNMP(16.9g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(0.60g,3.06mmol)及びNMP(8.44g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0294】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NEPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(12)を得た。このポリイミドのイミド化率は72%であり、数平均分子量は17,500、重量平均分子量は43,100であった。
【0295】
<合成例13>
D2(2.48g,9.91mmol)、A1(1.62g,6.69mmol)、B2(2.64g,6.69mmol)及びC1(0.36g,3.33mmol)をNMP(17.0g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D5(1.40g,6.60mmol)及びNMP(8.50g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0296】
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NEPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.30g)を加え、80℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(13)を得た。このポリイミドのイミド化率は74%であり、数平均分子量は16,200、重量平均分子量は41,500であった。
【0297】
合成例で得られたポリイミド系重合体を表32及び表33に示す。
【0298】
【表32】
*1:ポリアミド酸。
【0299】
【表33】
【0300】
「液晶配向処理剤の製造」
後記する実施例及び比較例では、液晶配向処理剤の製造例を記載する。また、この液晶配向処理剤は、液晶表示素子の作製及びその評価のためにも使用される。実施例及び比較例で得られた各液晶配向処理剤を表34〜表36に示す。
【0301】
「液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価」
後記する実施例7及び実施例11で得られた液晶配向処理剤を用いて、インクジェット塗布性の評価を行った。具体的には、これら液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、純水及びIPA(イソプロピルアルコール)にて洗浄を行ったITO(酸化インジウムスズ)電極付き基板(縦100mm×横100mm,厚さ0.7mm)のITO面に、塗布面積が70×70mm、ノズルピッチが0.423mm、スキャンピッチが0.5mm、塗布速度が40mm/秒の条件で塗布を行った。その際、インクジェット塗布機には、HIS−200(日立プラントテクノロジー社製)を用いた。また、塗布から仮乾燥までの時間は60秒であり、仮乾燥はホットプレート上にて70℃で5分間の条件で行った。
【0302】
塗布性の評価は、上記で得られた液晶配向膜付き基板の塗膜面を目視観察することで行った。具体的には、塗膜面をナトリウムランプの下で目視観察し、ピンホールの有無を確認した。その結果、いずれの実施例で得られた液晶配向膜とも、塗膜面上にピンホールは見られず、塗膜性に優れた液晶配向膜が得られた。
【0303】
「液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価(通常セル)」
後記する実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、純水及びIPAにて洗浄を行ったITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて230℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。なお、実施例7及び実施例11の液晶配向処理剤は、上記の「液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価」と同様の条件で基板を作製し(基板には、上記と同様の純水及びIPAにて洗浄を行ったITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)を用いた)、その後、熱循環型クリーンオーブンにて230℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板とした。
【0304】
次に、この基板の塗膜面をロール径が120mmのラビング装置で、レーヨン布を用いて、ロール回転数が1000rpm、ロール進行速度が50mm/sec、押し込み量が0.1mmの条件でラビング処理した。
【0305】
その後、ラビング処理後の基板を2枚用意し、塗膜面を内側にして6μmのスペーサー挟んで組み合わせ、シール剤で周囲を接着して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって液晶を注入し、注入口を封止して液晶セルを得た。なお、実施例1及び比較例1においては、液晶にMLC−3018U(メルク・ジャパン社製)を用い、それ以外の実施例及び比較例では、液晶にMLC−6608(メルク・ジャパン製)を用いた。
【0306】
得られた液晶セルを用いて、液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価を行った。具体的には、偏光板とバックライトを用いて、目視観察にて、シール剤付近の液晶配向性の評価を行った。結果、実施例及び比較例で得られたすべての液晶セルとも、均一な液晶配向性を示した。
【0307】
その後、液晶セルを温度80℃、湿度90%の高温高湿槽内に96時間保管し、上記と同様の条件でシール剤付近の液晶配向性の評価を行った。評価は、高温高湿槽内に保管後に、シール剤付近に液晶配向性の乱れが見られていないものほど、本評価に優れるとした(表37〜表39中の良好表示)。表37〜表39中に、高温高湿槽内に保管後の液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の結果を示す。
【0308】
「電圧保持率の評価(通常セル)」
前記の「液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価(通常セル)」と同様の条件で作製した液晶セルを用いて、電圧保持率の評価を行った。具体的には、上記の手法で得られた液晶セルに、80℃の温度下で1Vの電圧を60μs印加し、50ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHRともいう)として計算した。なお、測定は、電圧保持率測定装置(VHR−1)(東陽テクニカ社製)を使用し、Voltage:±1V、Pulse Width:60μs、Flame Period:50msの設定で行った。
【0309】
さらに、上記の液晶セル作製直後の電圧保持率の測定が終わった液晶セルに、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX−1)(センライト社製)を用いて、365nm換算で50J/cm
2の紫外線を照射し、上記と同様の条件で電圧保持率の測定を行った。
【0310】
本評価においては、液晶セル作製直後の電圧保持率の値が高く、さらに、液晶セル作製直後の電圧保持率の値(初期ともいう)に対して、紫外線照射後の値(紫外線照射後ともいう)の低下が小さいものほど、本評価に優れるとした。表37〜表39中に、各VHRの値を示す。
【0311】
<実施例1>
合成例1で得られたポリイミド粉末(1)(2.50g)に、NMP(7.83g)、γ−BL(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.25g)及びBCS(7.83g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0312】
<実施例2>
合成例2で得られた樹脂固形分濃度25.0質量%のポリアミド酸溶液(2)(10.0g)に、S1(0.125g)、NEP(14.0g)及びPB(17.6g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
<実施例3>
【0313】
合成例3で得られたポリイミド粉末(3)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.25g)、BCS(3.92g)及びPB(11.8g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0314】
なお、「液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価(通常セル)」に関しては、前記の標準試験とともに強調試験として、温度80℃、湿度90%の高温高湿槽内に144時間保管した際の評価も行った(その他の条件は、前記条件と同様)。その結果、液晶セル中、シール剤から0.5cmまでの幅の領域までに液晶配向性の乱れが見られた。
【0315】
<実施例4>
合成例4で得られたポリイミド粉末(4)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.25g)、BCS(3.92g)及びPB(11.8g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0316】
なお、「液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価(通常セル)」に関しては、前記の標準試験とともに強調試験として、温度80℃、湿度90%の高温高湿槽内に144時間保管した際の評価も行った(その他の条件は、前記条件と同様)。その結果、液晶セル中、シール剤付近に液晶配向性の乱れは見られなかった。
【0317】
<実施例5>
合成例5で得られたポリイミド粉末(5)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.175g)及びPB(15.7g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0318】
なお、「液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価(通常セル)」に関しては、前記の標準試験とともに強調試験として、温度80℃、湿度90%の高温高湿槽内に168時間保管した際の評価も行った(その他の条件は、前記条件と同様)。その結果、液晶セル中、シール剤付近に液晶配向性の乱れは見られなかった。
【0319】
<実施例6>
合成例6で得られたポリイミド粉末(6)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.175g)及びPB(15.7g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0320】
なお、「液晶セルの額縁付近の表示ムラ特性の評価(通常セル)」に関しては、前記の標準試験とともに強調試験として、温度80℃、湿度90%の高温高湿槽内に168時間保管した際の評価も行った(その他の条件は、前記条件と同様)。その結果、液晶セル中、シール剤付近に液晶配向性の乱れが見られた。
【0321】
<実施例7>
合成例7で得られたポリイミド粉末(7)(1.50g)に、NEP(20.7g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S2(0.105g)、PB(16.5g)及びDME(4.14g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0322】
<実施例8>
合成例8で得られたポリイミド粉末(8)(2.50g)に、NMP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.075g)、M1(0.125g)、BCS(7.83g)及びPB(7.83g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0323】
<実施例9>
合成例9で得られたポリイミド粉末(9)(2.50g)に、NEP(25.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.30g)、BCS(5.88g)及びPB(7.83g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0324】
<実施例10>
合成例10で得られたポリイミド粉末(10)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S2(0.125g)及びPB(15.7g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0325】
<実施例11>
合成例11で得られたポリイミド粉末(11)(1.50g)に、NEP(16.5g)及びγ−BL(4.14g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.105g)、BCS(8.27g)及びPB(12.4g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0326】
<実施例12>
合成例12で得られたポリイミド粉末(12)(2.50g)に、NMP(19.6g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S1(0.25g)、M1(0.175g)、BCS(15.7g)及びDME(3.92g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0327】
<実施例13>
合成例13で得られたポリイミド粉末(13)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、S2(0.175g)、BCS(7.83g)及びPB(7.83g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0328】
<比較例1>
合成例1で得られたポリイミド粉末(1)(2.50g)に、NMP(7.83g)、γ−BL(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、BCS(7.83g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0329】
<比較例2>
合成例3で得られたポリイミド粉末(3)(2.50g)に、NEP(23.5g)を加え、70℃で24時間攪拌して溶解させた。この溶液に、BCS(3.92g)及びPB(11.8g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0330】
【表34】
【0331】
【表35】
【0332】
【表36】
*1:ポリイミド系重合体100質量部に対する特定化合物の導入量(質量部)を示す。
*2:液晶配向処理剤中のポリイミド系重合体の占める割合を示す。
【0333】
【表37】
【0334】
【表38】
【0335】
【表39】
*1:液晶セル中、シール剤付近に液晶配向性の乱れが見られた。
*2:液晶セル中、シール剤から0.5cmまでの幅の領域までに液晶配向性の乱れが見られた(*1よりも液晶配向性の乱れが見られる幅が広い)。
【0336】
上記の結果からわかるように、本発明の実施例の液晶配向処理剤は、比較例の液晶配向処理剤に比べて、液晶セルに紫外線照射を行っても、電圧保持率の低下を抑制することができた。また、液晶セルを長時間、高温高湿槽内に保管しても、シール剤付近に液晶配向性の乱れが見られなかった。すなわち、本発明の液晶配向処理剤は、長時間光の照射に曝された後でも、電圧保持率の低下を抑制し、かつ、高温高湿条件下において液晶表示素子の額縁付近の表示ムラの発生を抑制することができる液晶配向膜となる。
【0337】
具体的には、本発明における特定化合物と特定ポリイミド系重合体を用いた液晶配向処理剤の実施例と、特定化合物を用いていない液晶配向処理剤の比較例において、比較例の液晶配向処理剤は、上記特性に劣ることがわかった。より具体的には、実施例1と比較例1との比較、及び実施例3と比較例3との比較である。
【0338】
また、本発明における特定構造(1)を有する特定ジアミン化合物(1)を用いた液晶配向処理剤は、それを用いていない液晶配向処理剤に比べて、強調試験において、液晶セルを長時間、高温高湿槽内に保管しても、シール剤付近に液晶配向性の乱れが見られなかった。より具体的には、強調試験における同一条件での比較において、実施例3と実施例4との比較である。
【0339】
加えて、本発明における特定構造(2)のなかで、前記式[3−1]の特定構造を有する特定ジアミン化合物(2)を用いた液晶配向処理剤は、前記式[3−2]の特定構造を有するジアミン化合物を用いた液晶配向処理剤に比べて、強調試験において、液晶セルを長時間、高温高湿槽内に保管しても、シール剤付近に液晶配向性の乱れが見られなかった。より具体的には、強調試験における同一条件での比較において、実施例5と実施例6との比較である。