【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0037】
(退色性比較)
製造直後および暗室20℃2週間保存後の色調変化を下記のように比較した。
試験条件は各試料5gをφ30mmの測定用丸セルに入れ、分光式色彩計(日本電色工業株式会社製、形式SE−2000)を用いてL*,a*及びb*の値を測定した。また、色差ΔEは、光暴露前後のL*,a*及びb*の値の差(ΔL*、Δa*及びΔb*)から下記の数式により算出した。結果を表2に示す。
【0038】
【数1】
【0039】
(官能評価の方法および評価基準)
・樹脂臭の評価
本実施例においての評価方法は、特に断りのない限り、以下の通りに行った。
官能評価について、樹脂臭と味覚(苦味)を評価した。
なお、樹脂臭とは、「プラスチックを連想する香り、紙パック臭」(宇都宮仁、他3名、”清酒の官能評価分析における香味に関する品質評価用語及び標準見本”、〔online〕、2006年、独立行政法人酒類総合研究所、第3頁第1表「樹脂臭」、検索日平成27年9月25日、http://www.nrib.go.jp/data/pdf/seikoumihou.pdf)を感じる評価を参考にして以下の方法で実施した。
【0040】
樹脂臭の官能評価の結果は標準見本(実施例1a、1bおよび対照試験1では、抽出器において、85℃に加熱した上水を用いて緑茶を抽出し、得られた抽出液を、また、実施例2a〜対照試験4では上水を、50mlポリプロピレン製遠心管に40ml入れ、10分間沸騰水中につけたもの)を用いて訓練されたパネラー5名の評価結果を集計して示した。
樹脂臭を感知したときの強度を1(感じない)、2(ほとんど感じない)、3(やや感じる)、4(感じる)、5(強い)、6(とても強く感じる)の6段階で評価した。集計した平均値が1以上〜2未満の場合を◎、2以上〜3未満の場合を○、3以上〜4未満の場合を△、4以上の場合を×とした。
【0041】
・味覚(苦味)の評価
官能評価の結果は標準見本(抽出器において、85℃に加熱した上水を用いて緑茶を抽出し、得られた抽出液に、チロソール(TCI98+%)を80mg/lの割合で加えたもの)を用いて訓練されたパネラー5名の評価結果を集計して示した。
製造直後と、暗室20℃2週間保存後の飲料に対する味覚(苦味)の変化を官能評価し、両者の差を、1(感じない)、2(やや感じる)、3(感じる)、4(とても感じる)の4段階で評価した。集計した平均値が1以上〜2未満の場合を◎、2以上〜3未満の場合を○、3以上〜4未満の場合を△、4の場合を×とした。
【0042】
(実施例1a)
外部還流型中空糸膜モジュールは、DIC株式会社製「EF−020G−A30」(スキン層(外層)と中空糸孔径5〜20nmの多孔質層(内側)とが積層した非対称膜を有するポリ−4−メチルペンテン−1樹脂製中空糸膜)を用い、試験前に超純水で72時間洗浄後、モジュール内部を無菌エアーで乾燥した。さらに、上水(23℃)で3分間洗浄した。
【0043】
上水(脱気処理前DO値8.5ppm)を前記モジュールに通液し脱気処理(絶対圧2.4kPa)した後、得られた処理水(脱気処理後DO値0.8ppm)を、窒素雰囲気中の貯留容器内に保存した。
次に、抽出器において、85℃に加熱した処理水を用いて緑茶を抽出し、得られた抽出液を、貯留容器及び濾過器を介して調合容器に送り、調合容器において得られた抽出液100質量部に、スピルリナ乾燥原末(クロロフィルa1.28g/100g、フィコシアニンン7.00g/100g、総カロテノイド360.9mg/100g)1質量部を配合して調合した。その後、缶容器に飲料を充填して密閉した。なお、すべての工程を窒素雰囲気下でおこなった。各評価結果を表1に示した。
【0044】
(実施例1b)
外部還流型中空糸膜モジュールDIC株式会社製「EF−020G−A30」の替りに、内部還流型中空糸膜モジュール三菱レイヨン社製「20M3400A」(非多孔質の超薄膜を多孔質層でサンドイッチ状に挟み込んだ三層複合構造を有するポリエチレン製対称膜)を用いたこと以外は実施例1aと同様に行った。なお、得られた処理水の脱気処理後DO値は2.0ppmであった。各評価結果を表1に示した。
【0045】
(対照試験1)
抽出液100質量部に変えて、上水(DO値8.5ppm)100質量部に対して、スピルリナ乾燥原末(クロロフィルa1.28g/100g、フィコシアニンン7.00g/100g、総カロテノイド360.9mg/100g)1質量部を配合したこと以外は実施例1aと同様に行った。各評価結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
(実施例2a)
外部還流型中空糸膜モジュールは、DIC株式会社製「EF−020G−A30」(スキン層(外層)と中空糸孔径5〜20nmの多孔質層(内側)とが積層した非対称膜を有するポリ−4−メチルペンテン−1樹脂製中空糸膜)を用い、試験前に超純水で72時間洗浄後、モジュール内部を無菌エアーで乾燥した。さらに、上水(23℃)で3分間洗浄した。
【0048】
上水(脱気処理前DO値8.5ppm)を前記モジュールに通液し脱気処理(絶対圧2.4kPa)した後、得られた処理水(脱気処理後DO値0.8ppm)を、窒素雰囲気中の貯留容器内に保存した。
次に、前記処理水100質量部に対して、アカダイコン色素1質量部を配合して調合した。その後、缶容器に飲料を充填して密閉した。なお、すべての工程を窒素雰囲気下でおこなった。各評価結果を表2に示した。
【0049】
(実施例2b)
外部還流型中空糸膜モジュールDIC株式会社製「EF−020G−A30」の替りに、内部還流型中空糸膜モジュール三菱レイヨン社製「20M3400A」(非多孔質の超薄膜を多孔質層でサンドイッチ状に挟み込んだ三層複合構造を有するポリエチレン製対称膜)を用いたこと以外は実施例1aと同様に行った。なお、得られた処理水の脱気処理後DO値は2.0ppmであった。各評価結果を表2に示した。
【0050】
(対照試験2)
上水(DO値8.5ppm)100質量部に対して、アカダイコン色素1質量部を配合したこと以外は実施例2aと同様に行った。各評価結果を表2に示した。
【0051】
(実施例3a)
外部還流型中空糸膜モジュールは、DIC株式会社製「EF−020G−A30」(スキン層(外層)と中空糸孔径5〜20nmの多孔質層(内側)とが積層した非対称膜を有するポリ−4−メチルペンテン−1樹脂製中空糸膜)を用い、試験前に超純水で72時間洗浄後、モジュール内部を無菌エアーで乾燥した。さらに、上水(23℃)で3分間洗浄した。
【0052】
上水(脱気処理前DO値8.5ppm)を前記モジュールに通液し脱気処理(絶対圧2.4kPa)した後、得られた処理水(脱気処理後DO値0.8ppm)を、窒素雰囲気中の貯留容器内に保存した。
次に、前記処理水100質量部に対して、ベニバナ色素1質量部を配合して調合した。その後、缶容器に飲料を充填して密閉した。なお、すべての工程を窒素雰囲気下でおこなった。各評価結果を表2に示した。
【0053】
(実施例3b)
外部還流型中空糸膜モジュールDIC株式会社製「EF−020G−A30」の替りに、内部還流型中空糸膜モジュール三菱レイヨン社製「20M3400A」(非多孔質の超薄膜を多孔質層でサンドイッチ状に挟み込んだ三層複合構造を有するポリエチレン製対称膜)を用いたこと以外は実施例3aと同様に行った。なお、得られた処理水の脱気処理後DO値は2.0ppmであった。各評価結果を表2に示した。
【0054】
(対照試験3)
上水(DO値8.5ppm)100質量部に対して、アカダイコン色素1質量部を配合したこと以外は実施例3aと同様に行った。各評価結果を表2に示した。
【0055】
(実施例4a)
外部還流型中空糸膜モジュールは、DIC株式会社製「EF−020G−A30」(スキン層(外層)と中空糸孔径5〜20nmの多孔質層(内側)とが積層した非対称膜を有するポリ−4−メチルペンテン−1樹脂製中空糸膜)を用い、試験前に超純水で72時間洗浄後、モジュール内部を無菌エアーで乾燥した。さらに、上水(23℃)で3分間洗浄した。
【0056】
上水(脱気処理前DO値8.5ppm)を前記モジュールに通液し脱気処理(絶対圧2.4kPa)した後、得られた処理水(脱気処理後DO値0.8ppm)を、窒素雰囲気中の貯留容器内に保存した。
次に、前記処理水100質量部に対して、クチナシ色素1質量部を配合して調合した。その後、缶容器に飲料を充填して密閉した。なお、すべての工程を窒素雰囲気下でおこなった。各評価結果を表2に示した。
【0057】
(実施例4b)
外部還流型中空糸膜モジュールDIC株式会社製「EF−020G−A30」の替りに、内部還流型中空糸膜モジュール三菱レイヨン社製「20M3400A」(非多孔質の超薄膜を多孔質層でサンドイッチ状に挟み込んだ三層複合構造を有するポリエチレン製対称膜)を用いたこと以外は実施例4aと同様に行った。なお、得られた処理水の脱気処理後DO値は2.0ppmであった。各評価結果を表2に示した。
【0058】
(対照試験4)
上水(DO値8.5ppm)100質量部に対して、クチナシ色素1質量部を配合したこと以外は実施例4aと同様に行った。各評価結果を表2に示した。
【0059】
【表2】
【0060】
以上の評価分析より、実施例1a、1bでは中空糸膜モジュールを用いることで、緑茶抽出物飲料および緑色色素(クロロフィルa等)に対して、長期保存時に優れた退色防止効果を示しつつ、かつ味覚(苦味)の変化を抑制することができた。さらに、実施例1aでは、スキン層で接液する中空糸膜モジュールを用いることで、優れた退色防止効果を示しつつ、かつ、樹脂臭などの異臭を抑え、かつ味覚(苦味)の変化を抑制することができた。
また、実施例2a〜4a、2b〜4bでは中空糸膜モジュールを用いることで、天然色素に対して、長期保存時に優れた退色防止効果を示すことが明らかとなった。さらに、実施例2a〜4aでは、スキン層で接液する中空糸膜モジュールを用いることで、優れた退色防止効果を示しつつ、かつ、樹脂臭などの異臭を抑制することができた。