(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体の流入流路の端部と接続される第1の分岐流路と、流出流路の端部と接続される第2の分岐流路と、循環流路の入側端部と接続される第3の分岐流路と、前記循環流路の出側端部と接続される第4の分岐流路を備え、前記第1の分岐流路乃至前記第4の分岐流路が同一平面上に位置し、前記各分岐流路間を連通可能とする可撓性分岐部と、
静止状態を維持する支持部材と、前記可撓性分岐部を挟み前記支持部材と反対側に配される押圧部材と、前記押圧部材に固定される可動鉄心と、固定鉄心と、コイルと、を備え、前記コイルに通電する電流を切替えて前記押圧部材を一方向に移動させ、前記押圧部材と前記支持部材との協働により前記可撓性分岐部のうち押し潰す部分を切替えることで、前記第3の分岐流路と第4の分岐流路が連通する第1の連通状態、及び、前記第1の分岐流路と前記第3の分岐流路が連通し且つ前記第2の分岐流路と前記第4の分岐流路が連通する第2の連通状態を切り替える連通状態切替え部と、を有し、
前記可撓性分岐部は、前記第3の分岐流路及び前記第4の分岐流路が相互に対向しつつ連通し直線状に配されると共に、前記第1の分岐流路及び前記第2の分岐流路が、前記直線状に配される前記第3の分岐流路及び前記第4の分岐流路に直交又は所定の角度にて連通することを特徴とする流路モジュール。
流体の流入流路の端部と接続される第1の分岐流路と、流出流路の端部と接続される第2の分岐流路と、循環流路の入側端部と接続される第3の分岐流路と、前記循環流路の出側端部と接続される第4の分岐流路を備え、前記第1の分岐流路乃至前記第4の分岐流路が同一平面上に位置し、前記各分岐流路間を連通可能とする可撓性分岐部と、
前記複数の分岐流路のうち所望の分岐流路を閉塞又は開放する開閉部材を有し、前記開閉部材を一方向へ移動し前記所望の分岐流路を押圧し閉塞することで、前記第3の分岐流路と第4の分岐流路が連通する第1の連通状態、及び、前記第1の分岐流路と前記第3の分岐流路が連通し且つ前記第2の分岐流路と前記第4の分岐流路が連通する第2の連通状態を切り替える連通状態切替え部と、を有し、
前記第1の分岐流路及び前記第4の分岐流路が相互に対向しつつ連通し直線状に配されると共に、前記第2の分岐流路及び前記第3の分岐流路が相互に対向しつつ連通し直線状に配され、
前記開閉部材は、前記可撓性分岐部を載置する平板状の支持部材と、前記可撓性分岐部上に位置し前記可撓性分岐部に押し付け荷重を付与する複数のローラを回転可能に支持する平面視矩形状の連結部材と、前記連結部材が前記可撓性分岐部に対し平行な方向へ移動すると共に、前記複数のローラは前記連結部材が移動する方向に対し直交するよう対向配置される2辺に回転可能に支持されることを特徴とする流路モジュール。
流体の流入流路の端部と接続される第1の分岐流路と、流出流路の端部と接続される第2の分岐流路と、循環流路の入側端部と接続される第3の分岐流路と、前記循環流路の出側端部と接続される第4の分岐流路を備え、前記第1の分岐流路乃至前記第4の分岐流路が同一平面上に位置し、前記各分岐流路間を連通可能とする可撓性分岐部と、
前記複数の分岐流路のうち所望の分岐流路を閉塞又は開放する開閉部材を有し、前記開閉部材を一方向へ移動し前記所望の分岐流路を押圧し閉塞することで、前記第3の分岐流路と第4の分岐流路が連通する第1の連通状態、及び、前記第1の分岐流路と前記第3の分岐流路が連通し且つ前記第2の分岐流路と前記第4の分岐流路が連通する第2の連通状態を切り替える連通状態切替え部と、を有し、
前記開閉部材は、静止状態を維持する支持部材と、前記可撓性分岐部を挟み前記支持部材と反対側に配される押圧部材を備え、前記押圧部材を一方向に移動し前記所望の分岐流路を押圧し閉塞することにより、前記第1の連通状態と第2の連通状態を切り替え、
前記支持部材は、前記可撓性分岐部の下面に配され、平面視十字状又はT字状の形状を有し、前記押圧部材は、垂直投影面内においてT字状の形状を有し、前記支持部材と対向しつつ一方向へ延伸する第1押圧部と、前記第1押圧部に対し垂直方向へ延伸する第2押圧部を備え、前記第2押圧部は、前記第1押圧部との連結部より上方へと傾斜し所定の位置にて屈曲し所定の角度にて下方へ傾斜する横断面形状を有すると共に、前記連結部にて前記支持部材に設けられたヒンジと連結され、前記ヒンジを支点として、円弧状に回動することを特徴とする流路モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、相互に連通する複数の分岐流路を有する、後述する分岐部材を可撓性分岐部と称する場合もある。また、一方向へ移動するピンチ部材を押圧部材と称する場合もあり、当該押圧部材と静止状態を維持する支持部材との協働により上記可撓性分岐部内の所望の分岐流路間を連通状態とする機構を連通状態切替え部と称する。また、上記ピンチ部材(押圧部材)と上記支持部材をもって開閉部材と称する場合もある。
また、本明細書において、「液置換」とは、後述する循環流路内に、例えば、細胞培養液等の液体を、気泡混入を防止しつつ充填する、或いは、異種の液体を循環流路内において入れ替える動作も含むものである。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の一実施例に係る流路モジュールを含む全体概略構成図であり、
図2は、
図1に示す分岐部材(可撓性分岐部)の拡大図である。
図1に示すように、本実施例の流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び連通状態切替え部3を備える。
分岐部材(可撓性分岐部)2は、相互に連通する4本の分岐流路、すなわち、流入流路4の端部と接続される第1の分岐流路2a、流出流路5の端部と接続される第2の分岐流路2b、循環流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2c、及び、循環流路6の出側端部6bと接続される第4の分岐流路2dを備える。
図1に示す例では、分岐部材2を構成する第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2dのうち、隣り合う2つの分岐流路が水平面内において直交するよう配される。流入流路4と接続される第1の分岐流路2aと循環流路6の出側端部6bと接続される第4の分岐流路2dとが対向しつつ連通する。また、流出流路5と接続される第2の分岐流路2bと循環流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2cとが対向しつつ連通する。
分岐部材(可撓性分岐部)2は、可撓膜(可撓性シート)から形成され、詳細後述する連通状態切替え部3を構成するピンチ部材3aと支持部材3bの間に配され、押圧部材として機能するピンチ部材3aの押圧力により容易に変形可能に構成されている。連通状態切替え部3は、一方向に移動するピンチ部材(押圧部材)3aと静止状態を維持する支持部材3bを備え、第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bを挟むよう配される一組のピンチ部材3aと支持部材3bが配される。また、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部にわたり、分岐部材2の中心を通る平面視対角線状に他の一組のピンチ部材3aと支持部材3bが配される。
【0013】
図1に示される分岐部材2の3(i)方向への押し潰し(ピンチ)、すなわち、上述の平面視対角線状に配される一組のピンチ部材3a及び支持部材3bによる分岐部材2の押し潰しが可能である。また、分岐部材2の3(ii)方向への押し潰し(ピンチ)、すなわち、上述の第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bを挟むよう配される一組のピンチ部材3aと支持部材3bによる分岐部材2の押し潰しが可能である。分岐部材2の3(i)方向への押し潰し(ピンチ)が行われると、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通(導通)し、オープン流路(開放系)が形成され循環流路が遮断される。この連通状態を、以下、「第2の連通状態」と称する。他方、分岐部材2の3(ii)方向への押し潰し(ピンチ)が行われると、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し、循環流路(閉鎖系)が形成され流入流路4及び流出流路5は遮断される。この連通状態を、以下、「第1の連通状態」と称する。なお、流体(液体)の循環において、外部から分岐部材2への流入及び/又は分岐部材2から外部への流出がなければ、分岐部材2の3(ii)方向への押し潰し(ピンチ)は必須ではないものの、逆流を防止する観点から、分岐部材2の3(ii)方向への押し潰し(ピンチ)を行う、第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bを挟むよう配される一組のピンチ部材3aと支持部材3bを備えることが望ましい。循環流路6にはポンプ7が設けられている。ポンプ7は、例えば弾性のチューブをしごいて送るしごきポンプ等が用いられる。この場合、循環流路6は、例えば、シリコンチューブ等の弾性を有する部材で構成することが望ましい。
【0014】
(分岐部材(可撓性分岐)の構成)
図2に示すように、分岐部材(可撓性分岐部)2は、2枚の可撓膜(可撓性シート)を合わせ、内部に相互に連通する第1の分岐流路2a、第2の分岐流路2b、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを備える。これら各分岐流路の外側の側部は、接合部2eにて接合され、各分岐流路の横断面は、円形若しくは楕円形に形成される。なお、各分岐流路の横断面は、円形又は楕円形に限られるのではなく、矩形あるいは多角形状であっても良い。この場合、角部を丸めた形状とすることが望ましい。接合部2eの接合法としては、例えば、超音波溶着や接着等が用いられる。なお、分岐部材(可撓性分岐部)2に、各分岐流路を予め接合しても良い。すなわち、第1の分岐流路2aに流入流路4を、第2の分岐流路2bに流出流路5を、第3の分岐流路2cに循環流路6の入側端部6aを、また、第4の分岐流路2dに循環流路6の出側端部6bを挿入し接合しても良い。
図2では、流入流路4、流出流路5、循環流路6の入側端部6a、及び循環流路6の出側端部6bが、予め分岐部材(可撓性分岐部)2に接合されている例を示している。なお、これに代えて、接続部品を介して、分岐部材2を構成する各分岐流路と、上述の流入流路4等をそれぞれ接続する構成としても良い。
【0015】
図3は、分岐部材(可撓性分岐部)2の形成法を説明する図である。
図3の右図に示すように、例えば、第1の可撓性シート11a上に第2の可撓性シート11bを合わせ、その後、例えば、超音波溶着若しくは熱溶着により四隅に接合部2eを形成することで、当該接合部2eにより画成される4本の分岐流路である、第1の分岐流路2a、第2の分岐流路2b、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを形成する。また、これに限らず、例えば、
図3の左図に示すように、相互に連通する4本の分岐流路の外側の側部を覆うよう、異種部材からなる接合部2eを接合しても良い。何れの場合においても、この接合部2eを有することにより、分岐部材(可撓性分岐部)2を、連通状態切替え部3を構成するピンチ部材(押圧部材)3a及び支持部材3bとの間に設置或いは装着する際の作業性が向上する。なお、異種部材からなる接合部2eを4本の分岐流路の外側の側部に接合する構成についいては、必須ではなく、異種部材からなる接合部2eを有さない分岐部材(可撓性分岐部)2を用いる構成としても良い。また、必ずしも2枚の可撓性シート11a,11bにて分岐部材(可撓性分岐部)2を形成することに限らず、1枚の可撓性シート(可撓膜)を折り畳み形成しても良い。
【0016】
(連通状態切替え部の構成)
次に、連通状態切替え部3の構成について説明する。
図4は、連通状態切替え部3の概略構成図である。
図4に示すように、連通状態切替え部3は、一方向に移動するピンチ部材(押圧部材)3a、静止状態にある支持部材3b、ピンチ部材3aの一方の端部に固定される可動鉄心3c、一端が可動鉄心3cの下面に接続され他端が固定鉄心3gに接続されるばね3e、コイル3f、及び支持部材3bの一方の端部を固定すると共に可動鉄心3c、ばね3e並びにコイル3fを収容する筐体3dを備える。押圧部材として機能するピンチ部材3aは、可動鉄心3cの動作と共に一方向に移動する。ピンチ部材3a及び可動鉄心3cを合わせて、以下、アクチュエータと称する。支持部材3bは、一端が筐体3dの上面に固定され、常時静止状態を維持する。支持部材3bは、筐体3dの上面より鉛直方向上方へと立設する立設部、立設部の上端部にて屈曲し水平方向へ延伸するノーマルクローズ側部材(NC側部材)3b1、及びNC側部材3b1より所定の間隔にて下方に位置し、立設部より水平方向へ延伸するノーマルオープン側部材(NO側部材)3b2から構成される。ここで、ピンチ部材3a及び支持部材3bは、剛性を有するものであれば良く、例えば、ステンレス鋼、鉄、或いは樹脂にて形成される。分岐部材(可撓性分岐部)2は、これら支持部材3bとピンチ部材3aの間に挿通され設置される。なお、
図4では説明の便宜上、ピンチ部材3a及び支持部材3bの形状を簡略化し示している。
【0017】
アクチュエータは、ばね3eによるばね力、及びコイル3fに通電することにより発生する磁力により、
図4において上下動する。すなわち、アクチュエータは一方向に移動する。コイル3fが非通電状態では、アクチュエータは、ばね3eのばね力により付勢され、支持部材3bを構成するNC側部材3b1へと向かい押し上げられる。これにより、NC側部材3b1とピンチ部材3aとの間に設置される分岐部材(可撓性分岐部)2の分岐流路は押し潰される(ピンチされる)。一方、コイル3fに通電すると、アクチュエータは、ばねeのばね力に抗して固定鉄心3g側に引き寄せされる。これにより、NO側部材3b2とピンチ部材3aとの間に設置される分岐部材(可撓性分岐部)2の分岐流路は押し潰される(ピンチされる)。なお、アクチュエータの駆動源としては、本図のような電磁気力を利用する構成の他、空気圧又は液圧等の圧力、或いはカムのように機械的な力を利用する構成としても良い。
また、
図4に示すばね3eに代えてロッドを配し、コイル3fに通電する電流の方向を切り替えることにより、アクチュエータが上下動する構成としても良い。
【0018】
図5は、連通状態切替え部を構成するピンチ部材(押圧部材)と支持部材の形状及び相互の配置関係の一例を示す図である。
図5において、ピンチ部材(押圧部材)3a1、支持部材3b’以外の構造、すなわち、上述の
図4に示すコイル3f、可動鉄心3c、ばね3e及び固定鉄心3g等については省略している。ピンチ部材(押圧部材)3a1及び支持部材3b’1とで開閉部材を構成している。なお、
図5に示す状態は、上述のコイル3fが非通電状態にある場合を示している。
図5に示すように、支持部材3b’は、立設部の上端部にて屈曲し水平方向へ延伸するNC側部材3b1及び、NC側部材3b1より所定の間隔にて下方に位置し、立設部より水平方向へ延伸するNO側部材3b2’を有し、これらNC側部材3b1及びNO側部材3b2’は、互いに異なる平面内において直交するよう配されている。換言すれば、NC側部材3b1及びNO側部材3b2’は、垂直投影面内において、相互に直交するよう配されている。また、ピンチ部材(押圧部材)3a1は、鉛直方向上方へと立設する立設部、立設部の上端部に位置しNC側部材3b1と対向するよう水平方向へ延伸する第1押圧部3a11、第1押圧部3a11の一方端側に配されNO側部材3b2’と対向するよう水平方向へ延伸する第2押圧部3a12、及び第2押圧部3a12と同様に第1押圧部3a11の一方端側に配されNO側部材3b2’と対向するよう水平方向へ延伸する第3押圧部3a13を備える。第2押圧部3a12及び第3押圧部3a13は、同一平面内において第1押圧部3a11に対し直交するよう配され、第2押圧部3a12の第1押圧部3a11側の端部及び第3押圧部3a13の第1押圧部3a11側の端部は、それぞれの延長線が繋がるよう位置する。また、第2押圧部3a12の第1押圧部3a11側の端部及び第3押圧部3a13の第1押圧部3a11側の端部は、第1押圧部3a11の上記一方側端部と所定の開き角をもってV字状部にて連結されている。これにより、第2押圧部3a12及び第3押圧部3a13は、支持部材3b’の立設部と干渉或いは接触することはない。
【0019】
また、
図5に示すように、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第2押圧部3a12と支持部材3b’を構成するNO側部材3b2’との間のギャップΔG、及び、第3押圧部3a13とNO側部材3b2’との間のギャップΔGは、分岐部材(可撓性分岐部)2に設けられる各分岐流路(2a,2b,2c,2d)の外径以上であれば良く、分岐流路の外径とほぼ等しくすることが望ましい。
図5に示すギャップΔGを、分岐部材(可撓性分岐部)2に設けられる分岐流路の外径と略同一とした場合における、連通状態切替え部3への分岐部(可撓性分岐部)2の設置は例えば以下にて行う。
図4に示すコイル3fが非通電の状態にて、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第2押圧部3a12と支持部材3b’を構成するNO側部材3b2’との間に、分岐部材(可撓性分岐部)2の第1の分岐流路2aを挿入すると共に、第3押圧部3a13とNO側部材3b2’との間に第2の分岐流路2bを挿入する。その後コイル3fに通電し、ピンチ部材(押圧部材)3a1を下方へ移動させ、第2押圧部3a12とNO側部材3b2’にて第1の分岐流路2aを押し潰す(ピンチする)と共に、第3押圧部3a13とNO側部材3b2’にて第2の分岐流路2bを押し潰す。これにより、支持部材3b’を構成するNC側部材3b1とピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11との間にギャップΔGが形成される。ここで、NC側部材3b1と第1押圧部3a11との間に、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを挿入する。ことき、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部の下面が第1押圧部3a11上に、また、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部の上面がNC側部材3b1の直下に位置するよう配される。同様に、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部の下面が第1押圧部3a11上に、また、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部の上面がNC側部材3b1の直下に位置するよう配される。以上にて、分岐部材(可撓性分岐部)2の連通状態切替え部3への設置が完了する。
【0020】
分岐部材(可能性分岐部)2のピンチ箇所は2方向3箇所となる。すなわち、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11が延伸する方向、及び、第2押圧部3a12及び第3押圧部3a13が延伸する方向の2方向において、第2押圧部3a12及びNO側部材3b2’にてピンチされる第1の分岐流路2a、第3押圧部3a13及びNO側部材3b2’にてピンチされる第2の分岐流路2b、及び第1押圧部3a11及びNC側部材3b1にてピンチされる平面視対角線状(第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部にわたる)の3箇所にてピンチされる。
【0021】
図6に、連通状態切替え部を構成するピンチ部材(押圧部材)と支持部材の形状及び相互の配置関係の他の例を示す。
図6においても、
図5と同様に、ピンチ部材(押圧部材)3a2、支持部材3b”以外の構造、すなわち、上述の
図4に示すコイル3f、可動鉄心3c、ばね3e及び固定鉄心3g等については省略している。
図6に示すように、支持部材3b”は、鉛直方向に立設する2本の立設部の上端部を結合するNC側部材3b11、NC側部材3b11より所定の間隔にて下方に位置し、一方の立設部に一端が結合し当該立設部より水平方向に延伸する第1のNO側部材3b21、及び他方の立設部に一端が結合し当該立設部より水平方向へ延伸する第2のNO側部材3b22を有する。第1のNO側部材3b21及び第2のNO側部材3b22は、同一水平面内に位置し、それぞれが延伸する方向は逆方向となっている。また、第1のNO側部材3b21及び第2のNO側部材3b22は、垂直投影面内においてNC側部材3b11に直交するよう配されている。ピンチ部材(押圧部材)3a2は、鉛直方向に立設する立設部の上端部に、当該立設部の上端部を中心とし水平方向へ延伸する第1押圧部3a21、第1押圧部3a21の一方端側に配され第1のNO側部材3b21と対向するよう水平方向へ延伸する第2押圧部3a22、及び第1押圧部3a21の他方端側に配され第2のNO側部材3b22と対向するよう水平方向へ延伸する第3押圧部3a23を備える。第2押圧部3a22の第1押圧部3a21側の端部と第1押圧部3a21の端部は、円弧状部にて連結されている。また、第3押圧部3a23の第1押圧部3a21側の端部と第1押圧部3a21の端部は、円弧状部にて連結されている。これにより、第1のNO側部材3b21が接続される支持部材3b”の立設部と第2押圧部3a22とが干渉或いは接触することはない。同様に、第2のNO側部材3b22が接続される支持部材3b”の立設部と第3押圧部3a23とが干渉或いは接触することはない。なお、
図6に示すように、第2押圧部3a22及び第3押圧部3a23は、互いに逆方向へ延伸する。
【0022】
図6に示すように、ピンチ部材(押圧部材)3a2を構成する第2押圧部3a22と支持部材3b”を構成する第1のNO側部材3b21との間のギャップΔG、及び、第3押圧部3a23と第2のNO側部材3b22との間のギャップΔGは、分岐部材(可撓性分岐部)2に設けられる各分岐流路(2a,2b,2c,2d)の外径以上であれば良く、分岐流路の外径とほぼ等しくすることが望ましい。
図6に示すギャップΔGを、分岐部材(可撓性分岐部)2に設けられる分岐流路の外径と略同一とした場合における、連通状態切替え部3への分岐部(可撓性分岐部)2の設置について以下に説明する。なお、ここでは、分岐部材(可撓性分岐部)2内に設けられる4本の分岐流路が、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが対向しつつ連通するよう配され、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが対向しつつ連通するよう配される場合を想定する。
図4に示すコイル3fが非通電の状態にて、ピンチ部材(押圧部材)3a2を構成する第2押圧部3a22と支持部材3b”を構成する第1のNO側部材3b21との間に、分岐部材(可撓性分岐部)2の第2の分岐流路2bを挿入すると共に、第3押圧部3a23と第2のNO側部材3b22との間に第1の分岐流路2aを挿入する。その後コイル3fに通電し、ピンチ部材(押圧部材)3a2を下方へ移動させ、第2押圧部3a22と第1のNO側部材3b21にて第2の分岐流路2bを押し潰す(ピンチする)と共に、第3押圧部3a23と第2のNO側部材3b22にて第1の分岐流路2aを押し潰す。これにより、支持部材3b”を構成するNC側部材3b11とピンチ部材(押圧部材)3a2を構成する第1押圧部3a21との間にギャップΔGが形成される。ここで、NC側部材3b11と第1押圧部3a21との間に、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを挿入する。ことき、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部の下面が第1押圧部3a21上に、また、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部の上面がNC側部材3b11の直下に位置するよう配される。同様に、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部の下面が第1押圧部3a21上に、また、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部の上面がNC側部材3b11の直下に位置するよう配される。以上にて、分岐部材(可撓性分岐部)2の連通状態切替え部3への設置が完了する。
【0023】
図5に示す開閉部材、すなわち、ピンチ部材(押圧部材)3a1と支持部材3b’の構成よりも、
図6に示す開閉部材、すなわち、ピンチ部材3a2と支持部材3b”の構成の方が、ピンチ部材に対する曲げ力の発生が少ない。しかし、
図5に示す開閉部材の構成及び
図6に示す開閉部材の構成のどちらを用いても特に問題はない。
図5に示す開閉部材及び
図6に示す開閉部材のうち何れを用いるかは、分岐部材の使い方及びそれによる部品配置等の関係で決定すれば良い。なお、上述の
図5におけるNC側部材3b1とNO側部材3b2’の高さ方向の位置関係を逆転する形状としても良い。但し、この場合、NC側部材3b1とピンチ部材(押圧部材)3a1の立設部とが干渉或いは接触せぬよう形状を変更する必要がある。例えば、NC側部材3b1のうち、ピンチ部材(押圧部材)3a1の立設部に対応する箇所を円弧状部にする等である。また、
図6におけるNC側部材3b11と、第1のNO側部材3b21及び第2のNO側部材3b22の高さ方向の位置関係を逆転する形状としても良い。
【0024】
(流路モジュールの構成及び動作)
図7は、
図5に示す連通状態切替え部を有する流路モジュールを含む全体概略構成図である。
図7に示すように、流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び
図5に示した連通状態切替え部3を備える。
分岐部材(可撓性分岐部)2は、流入流路4の端部と接続される第1の分岐流路2a、流出流路5の端部と接続される第2の分岐流路2b、循環流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2c、及び、循環流路6の出側端部6bと接続される第4の分岐流路2dを備える。第1の分岐流路2aと第4の分岐流路2dとが対向しつつ連通され、第2の分岐流路2bと第3の分岐流路2cとが対向しつつ連通されている。循環流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2cと、循環流路6の出側端部6bと接続される第4の分岐流路2dとが隣り合うよう配される。
【0025】
先ず、
図4に示した連通状態切替え部3を構成するコイル3fを非通電状態とすることで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(i)方向へ押し潰す(ピンチする)。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11及び支持部材3b’を構成するNC側部材3b1(
図7では図示せず)にて、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチする。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通(導通)しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0026】
次に、循環流路6に設置されるポンプ7を駆動する。ポンプ7の駆動により、分岐部材(可撓性分岐部)2内が負圧となり、流入流路4より、例えば、培養液等の液体が第1の分岐流路2a内に吸引される。第1の分岐流路2a内に吸引された液体は、第3の分岐流路2cを介して循環流路6の入側端部6aに導入され循環流路6内を通流し、循環流路6の出側端部6bより第4の分岐流路2dへ流入する。その後、第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを通流し流出流路5へと流れ出る。連通状態切替え部3により第2の連通状態を所定時間継続することにより、各分岐流路(第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2d)内及び循環流路6内に存在する気相(気泡)は、流出流路5から排出されると共に、第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2d内の内壁を液体が通流することにより、当該内壁に付着する気泡も排出される。
【0027】
その後、
図4に示したコイル3fに通電することで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(ii)方向へピンチする。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第2押圧部3a12及びNO側部材3b2’(
図7では図示せず)にて第1の分岐流路2aをピンチすると共に、第3押圧部3a13及びNO側部材3b2’にて第2の分岐流路2bをピンチする。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態となる。
このように、連通状態切替え部3により、第2の連通状態としポンプ7を駆動し、所定時間経過後に第1の連通状態に切り替えることで、循環流路6内の完全な液置換が実現できる。
【0028】
また、異種の液体の入れ替えを行う場合、第1の連通状態において循環流路6内を通流する第1の液体を、連通状態切替え部3により第2の連通状態に切り替え、分岐部材(可撓性分岐部)2の第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して流出流路5より排出する。その後、例えば、純水等のシステム水を第2の連通状態が維持された状態で、流入流路4、第1の分岐流路2a、第3の分岐流路2c、循環流路6、第4の分岐流路2d、第2の分岐流路、流出流路5の順に通水し排出する。その後、第1の液体と異なる第2の液体を、第2の連通状態が維持された状態で所定時間通流し、流出流路5より排出した後、連通状態切替え部3により第1の連通状態に切り替えることで、異種の液体の入れ替え動作である液置換を実現できる。
【0029】
図8は、
図6に示す連通状態切替え部を有する流路モジュールを含む全体概略構成図である。
図8に示すように、流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び
図6に示した連通状態切替え部3を備える。厳密には、
図6に示した開閉部材を構成するピンチ部材(押圧部材)3a2は、第2押圧部3a22及び第3押圧部3a23が、第1押圧部3a21に対し直交することなく、所定の角度(鋭角)にて第1押圧部3a21に連結される形状を備える。また、同様に開閉部材を構成する支持部材3b”は、第1のNO側部材3b21及び第2のNO側部材3b22が、NC側部材3b11に対し直交することなく、所定の角度(鋭角)にて立設部を介してNC側部材3b11に連結される形状を備える。また、
図8に示すように、分岐部材(可撓性分岐部)2は、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが対向しつつ連通し、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが対向しつつ連通する。換言すれば、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bとが、対向するよう配される。
【0030】
図4に示した連通状態切替え部3を構成するコイル3fを非通電状態とすることで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(i)方向へ押し潰す(ピンチする)。すなわち、ピンチ部材(押圧部材)3a2を構成する第1押圧部3a21及び支持部材3b”を構成するNC側部材3b11(
図8では図示せず)にて、第2の分岐流路2bと第3の分岐流路2cが接合する角部と、第1の分岐流路2a及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチする。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通(導通)しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0031】
また、
図4に示したコイル3fに通電することで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(ii)方向へピンチする。すなわち、ピンチ部材(押圧部材)3a2を構成する第2押圧部3a22及び第1のNO側部材3b21(
図8では図示せず)にて第2の分岐流路2bをピンチすると共に、第3押圧部3a23及び第2のNO側部材3b22にて第1の分岐流路2aをピンチする。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態となる。
なお、液置換時の連通状態切替え部3による第2の連通状態から第1の連通状態への切り替え動作については、上述の
図7と同様ゆえ説明を省略する。
【0032】
図7に示す流路モジュール1の構成よりも、
図8に示す流路モジュール1の構成の方が、循環(第1の連通状態)時において送液をスムーズに実行し得る利点がある。なぜなら、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bとが、対向するよう配されているからである。一方、
図7に示す流路モジュール1の構成においても
図8に示す流路モジュール1と同様に、4本の分岐流路(第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路)が高さ方向に交差することがないため、平面的な配置が可能という利点がある。従って、
図7に示す流路モジュール1及び
図8に示す流路モジュール1のうち何れを用いるかは、装置に求められる要求に合わせて決定すれば良い。なお、
図7及び
図8に示すように、液置換時の送液方向と循環時の送液方向が同一であれば、ポンプ7の制御が容易になる。但し、液置換時の送液方向と循環時の送液方向とを同一とすることは必須ではなく、目的に応じて送液方向を変えても良い。
【0033】
上述の通り、本実施例によれば、循環流路の完全な液置換を簡易な構造にて実現することが可能となる。
【実施例2】
【0034】
図9は本発明の他の実施例に係る実施例2の流路モジュールの概略構成図であって、第2の連通状態を示す図であり、
図10は実施例2の流路モジュールの概略構成図であって、第1の連通状態を示す図である。実施例1では、連通状態切替え部3を構成するピンチ部材(押圧部材)(3a,3a1,3a2)及び可動鉄心3cからなるアクチュエータが一方向(鉛直方向)に上下動することで、ピンチ部材及び常時静止状態を維持する支持部材との協働により分岐部材(可撓性分岐部)2を押し潰し(ピンチし)、第1の連通状態と第2の連通状態を切り替える構成とした。これに対し、本実施例では、ピンチ部材(押圧部材)が、支持部材に対しヒンジ(支点)を中心に回動することで、第1の連通状態と第2の連通状態を切り替える構成とした点が異なる。その他の構成要素は実施例1と同様であり、以下では実施例1と重複する説明を省略する。なお、
図9及び
図10において実施例1と同様の構成要素に同一の符号を付している。
【0035】
図9は、上図に流路モジュール1の上面図を、下図に上図におけるA−A断面図を示している。流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び連通状態切替え部8を備える。
図9の上図及び下図に示すように、連通状態切替え部8は、ピンチ部材(押圧部材)8a及び常時静止状態を維持する支持部材8bからなる開閉部材を有する。ピンチ部材8aは、平面視或いは垂直投影面内においてT字状の形状をなし、一方向へ延伸する第1押圧部8a1と、第1押圧部8a1に対し垂直な方向へ延伸する第2押圧部8a2を備える。また、支持部材8bは、平面視十字状の形状をなし、ピンチ部材8aを構成する第1押圧部8a1と対向しつつ一方向へ延伸する部分と、ピンチ部材8aを構成する第2押圧部8a2と対向しつつ他の方向へ延伸する部分とから構成される。
【0036】
ピンチ部材8aは、
図9の上図に示すように、第1押圧部8a1の一端は第2押圧部8a2の略中央部で連結する。また、
図9の下図に示すように、第2押圧部8a2は、第1押圧部8a1との連結部より所定の角度にて上方へと傾斜し、所定の位置にて屈曲し所定の角度にて下方へと傾斜する横断面形状を備える。また、
図9の下図に示すように、ピンチ部材8aと支持部材8bは、支持部材8bに設けられたヒンジ8cを介して連結されている。ピンチ部材8aがヒンジ8cと連結する箇所は、第1押圧部8a1と第2押圧部8a2の連結部である。ピンチ部材8aがヒンジ8cを支点として円弧状に回動すること、すなわち、円弧状の軌道をなぞる方向である一方向に回動することにより、ピンチ部材8aを構成する第1押圧部8a1と第2押圧部8a2とが相互に反対方向へと円弧状に回動する。ここで、ピンチ部材8aがヒンジ8cを支点として円弧状に回動するための駆動力は、例えば、図示しないモータ、又は、ばねと電磁弁等の直動機構を組み合わせた駆動機構により供給される。
ピンチ部材8a及び支持部材8bは、剛性を有するものであれば良く、例えば、ステンレス鋼、鉄、或いは樹脂にて形成される。
【0037】
分岐部材(可撓性分岐部)2は、
図9の上図に示すように、循環流路6の入側端部6aに接続される第3の分岐流路2cと循環流路6の出側端部6bに接続される第4の分岐流路2dが接合する角部、及び、流入流路4に接続される第1の分岐流路2aと流出流路5に接続される第2の分岐流路2bが接合する角部にわたり、平面視対角線状に第1押圧部8a1と対向する支持部材8b上に配される。また、第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bは、第2押圧部8a2と対向する支持部材8b上に配される。第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bの流路長は、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dの流路長よりも長い。
【0038】
図9に示す状態は、開閉部材を構成するピンチ部材8aの第1押圧部8a1と支持部材8bにより、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2がピンチされた状態である。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通(導通)しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0039】
図10は、連通状態切替え部8により第1の連通状態に切り替えられた状態を示している。
図10は、上図に流路モジュール1の上面図を、下図に上図におけるB−B断面矢視図示している。
図10の下図に示すように、
図9に示した第2の連通状態から第1の連通状態への切り替え時、図示しないモータ、又はばねと電磁弁等の直動機構を組み合わせた駆動機構により、ピンチ部材(押圧部材)8aはヒンジ8cを支点として円弧状に回動する。すなわち、ピンチ部材8aを構成する第1押圧部8a1は、それまで支持部材8bとの協働により、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチする状態から、ヒンジ8cを支点として円弧状に上方へと回動する。第1押圧部8a1の回動に応じて、ピンチ部材8aを構成する第2押圧部8a2は円弧状に下方へと回動する。そして、
図10の上図及び下図に示すように、第2押圧部8a2は支持部材8bとの協働により、分岐部材(可撓性分岐部)2を構成する第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bを同時にピンチする。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態となる。
【0040】
なお、
図10の下図は上図のB−B断面矢視図であることから、常時静止状態を維持する支持部材8bの長手方向にわたり、その上面に分岐部材(可撓性分岐部)2が配されるよう示されている。但し、実際にはピンチ部材(押圧部材)2を構成する第1押圧部8a1と対向しつつ延伸する支持部材8bの上に配されているのは、分岐部材(可撓性分岐部)2のうち、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部から、分岐部材2の中心を通り第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部までの範囲である。
【0041】
なお、本実施例では、支持部材8bを平面視十字状の形状をなすものとしたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ピンチ部材8aを構成する第1押圧部8a1と対向しつつ一方向へ延伸する部分と、ピンチ部材8aを構成する第2押圧部8a2と対向しつつ他の方向へ延伸する部分とから構成され、
図10の下図に示すように、第2押圧部8a2と対向する位置に配され、これらが平面視T字状をなすよう支持部材8bを形成しても良い。
【0042】
本実施例によれば、実施例1のようなピンチ部材(押圧部材)と支持部材との干渉或いは接触を回避することを考慮することなく、ピンチ部材及び支持部材からなる開閉部材を形成することが可能となる。これにより、実施例1に比較し、更に簡易な構造にて循環流路の完全な液置換を実現することが可能となる。
【実施例3】
【0043】
図11は、本発明の他の実施例に係る実施例3の流路モジュールの概略構成図であって、第2の連通状態から第1の連通状態への切り替え動作を示す図である。本実施例では、複数のローラ(押圧部材)と、分岐部材(可撓性分岐部)2を挟み複数のローラとは反対側に平板状の支持部材を配し、開閉部材を構成した点が、上述の実施例1及び実施例2と異なる。その他の構成要素は実施例1と同様であるため、以下では実施例1と重複する説明を省略する。なお、
図11において、上述の実施例1及び実施例2と同様の構成要素に同一の符号を付している。
【0044】
図11に示すように、本実施例の流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び連通状態切替え部9を備える。分岐部材(可撓性分岐部)2は、流入流路4と接続される第1の分岐流路2a、流出流路5と接続される第2の分岐流路2b、図示しない循環流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2c、及び循環流路6の出側端部6bと接続される第4の分岐流路2dを備える。第1の分岐流路2aと第4の分岐流路2dは対向しつつ連通するよう配され、第2の分岐流路2bと第3の分岐流路2cは対向しつつ連通するよう配される。
図11に示すように、第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bの流路長は、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dの流路長よりも長い。
【0045】
連通状態切替え部9を構成する開閉部材は、
図11において、分岐部材(可撓性分岐部)2よりも奥行方向に配され、平板状の支持部材(図示せず)と、分岐部材(可撓性分岐部)2の上方に配され、四角形状であって線状或いは棒状の連結部材9bに回転可能に支持される3個のローラ9a1(以下、第1ローラと称する)、9a2(以下、第2ローラと称する)、及び9a3(以下、第3ローラと称する)から構成される。連結部材9bは、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部、及び、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路とが接合する角部を通る線分(以下、分岐部材2の対角線と称する)に対し平行であって、相互に所定の間隔にて離間し対向する2辺の線状或いは棒状部と、これら2辺の線状或いは棒状部の両端部を連結し相互に所定の間隔にて離間し対向する他の2辺の線状或いは棒状部から構成される。連結部材9bのうち、分岐部材2の対角線に対し平行となるよう配される一方の線状或いは棒状部に第1ローラ9a1が回転可能に支持されると共に、他方の線状或いは棒状部に第2ローラ9a2及び第3ローラ9a3が回転可能に支持されている。
図11では、分岐部材2の対角線に対し平行となるよう配される2辺のうち左側の線状或いは棒状部であって、長手方向中央部より上側に第1ローラ9a1が、また、右側の線状或いは棒状部であって、長手方向中央部より上側に第2ローラ9a2が、長手方向中央部より下側に第3ローラ9a2がそれぞれ配されている。なお、第2ローラ9a2及び第3ローラ9a3は長手方向に沿って僅かな間隔を有して相互に離間し配されている。
【0046】
第1ローラ9a1、第2ローラ9a2、及び第3ローラ9a3は、長手方向の長さが略同一であって、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部及び、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部とを結ぶ線分の長さ以上の長さを有する。また、これら3つのローラ9a1〜9a3の長手方向の長さは、後述する第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bを押し潰す(閉塞する)のに適した長さに設定されている。また、図示しない平板状の支持部材の面積は、少なくとも分岐部材(可撓性分岐部)2の最大外接矩形の面積よりも大きく、これにより、平板状の支持部材上に分岐部材(可撓性分岐部)2を載置(配する)可能であると共に、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3及びこれらを回転可能に支持し連結する連結部材9bにて、上記支持部材との間に分岐部材(可撓性分岐部)2を挟みつつ一方向に移動可能な構成となっている。なお、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3には、分岐部材(可撓性分岐部)2を押し潰す方向に力又は荷重が常時付加されている。
【0047】
図11の左図に示す状態では、第3ローラ9a3及び平板状の支持部材との協働により、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが接合する角部と、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが接合する角部にわたり平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2が押し潰された(閉塞された)状態を示している。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通(導通)しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0048】
図11の左図に示す状態から、図示しない例えばアクチュエータ等により、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3及びこれらを回転可能に支持し連結する連結部材9bを水平方向(
図11では左側から右側へと向かう方向)へ移動させた後の状態を
図11の右図に示している。
図11の右図に示すように、第1ローラ9a1と平板状の支持部材の協働により第1の分岐流路2aが押し潰される(閉塞される)と共に、同時に、第2ローラ9a2と平板状の支持部材との協働により第2の分岐流路2bが押し潰される(閉塞される)。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態となる。
【0049】
なお、本実施例においては、第1ローラ9a1を、連結部材9bを構成する左側の線状又は棒状部に配すると共に、第2ローラ9a2及び第3ローラ9a3を、連結部材9bを構成する右側の線状又は棒状部に配する構成としたがこれに限られるものではない。例えば、第3ローラ9a3を、連結部材9bを構成する左側の線状又は棒状部であって、当該左側の線状又は棒状部の長手方向の中央部より下側に配する構成としても良い。この場合、図示しないアクチュエータ等により、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3及びこれらを回転可能に支持する連結部材9bを水平方向に、
図11に向かって右側から左側へと移動させることで、第2の連通状態から第1の連通状態へ切り替えることができる。
また、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3を回転可能に支持する、連結部材9bを構成する2辺の線状又は棒状部の両端部を連結し、相互に所定の間隔にて離間し対向する他の2辺の線状或いは棒状部を直線状にて形成したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えは、上記他の2辺を円弧状にするなど、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3を回転可能に支持する2辺の線状又は棒状部の両端部を連結する構造であれはいずれの形状としても良い。
【0050】
また、本実施例において、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3及びこれらを回転可能に支持する連結部材9b並びに平板状の支持部材を、例えば、ステンレス鋼、鉄、或いは樹脂等、剛性を有するもので形成すれば良い。
【0051】
本実施例によれば、第1ローラ9a1〜第3ローラ9a3が水平方向に移動し分岐部材(可撓性分岐部)の連通状態を切り替える構成、すなわち、スライド方式により連通状態を切り替える構成であるため、実施例1及び実施例2と比較し、第2の連通状態から第1の連通状態へと切り替える切替え時間が多少長くなるものと予想される。しかしながら、本実施例では、水平面内において一方向にスライドさせることで連通状態の切り替えが可能であることから、更なる簡易化を図ることができる。
【実施例4】
【0052】
図12は、本発明の他の実施例に係る実施例4の流路モジュールの概略構成図であって、第2の連通状態から第1の連通状態への切り替え動作を示す図である。
図12では、分岐部材(可撓性分岐部)内を通流する、例えば、培養液等の液体の流れを点線矢印で示している。本実施例では、分岐部材(可撓性分岐部)の第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2dの4本の分岐流路全てを同一の向きとなるよう整列すると共に、2つのローラ(押圧部材)と分岐部材(可撓性分岐部)を挟み上記2つのローラとは反対側に配される図示しない平板状の支持部材にて開閉部材を構成した点が実施例3と異なる。その他の構成要素は実施例1と同様であるため、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0053】
図12に示すように、本実施例の流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2’及び連通状態切替え部10を備える。分岐部材(可撓性分岐)2’は、流入流路4と接続される第1の分岐流路2a、図示しない分岐流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2c、分岐流路6の出側端部6bに接続される第4の分岐流路2d、及び流出流路5に接続される第2の分岐流路2bを備え、これら4本の分岐流路が上述の順番にて隣接し、全て同一の向きとなるよう整列されている。換言すれば、平面視四角形状の分岐部材(可撓性分岐部)2’の同一側面に、第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2dが配される。
図12に示すように、分岐部材(可撓性分岐部)2’の右側側面より中央部側へと水平に延伸する3つの流路壁にて、下側から順に、第1の分岐流路2a、第3の分岐流路2c、第4の分岐流路2d、及び第2の分岐流路2bがそれぞれ画成される。そして、これら4本の分岐流路は、上記3つの流路壁の左側端部(分岐部材の中央側の端部)から分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面までの領域で相互に連通可能とされている。ここで、上記3つの流路壁は、例えば、1枚の可撓性シートを折り畳み、超音波溶着若しくは熱溶着により形成される。
【0054】
連通状態切替え部10を構成する開閉部材は、
図12において、分岐部材(可撓性分岐部)2’よりも奥行方向に配され、平板状の支持部材(図示せず)と、分岐部材(可撓性分岐部)2’の上方に配され、四角形状であって線状或いは棒状の連結部材10bに回転可能に支持される2個のローラ10a1(以下、第1ローラと称する)及び10a2(以下、第2ローラと称する)から構成される。連結部材10bは、3つの流路壁に対し平行であって、相互に所定の間隔にて離間し対向する2辺の線状或いは棒状部と、上記3つの流路壁と直交し、相互に所定の間隔にて離間し対向する他の2辺の線状又は棒状部から構成される。3つの流路壁に対し平行となるよう配される一方の線状或いは棒状部に第1ローラ10a1が回転可能に支持されると共に、他方の線状或いは棒状部に第2ローラ10a2が回転可能に支持されている。
【0055】
図12に示すように、第1ローラ10a1及び第2ローラ10a2を回転可能に支持する2辺の間隔は、3つの流路壁のうち外側に配される2つの流路壁の間隔と一致する。すなわち、第1の分岐流路2aと第3の分岐流路2cを画成する流路壁と、第4の分岐流路2dと第2の分岐流路2bを画成する流路壁との間隔と同一である。また、第1ローラ10a1及び第2ローラ10a2の長手方向の長さは、少なくとも、3つの流路壁の左側端部(分岐部材の中央側の端部)から分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面までの間隔よりも長い。また、図示しない平板状の支持部材の面積は、少なくとも分岐部材(可撓性分岐部)2’の面積よりも大きく、且つ、連結部材10bが配される領域を覆う面積を有する。これにより、平板状の支持部材上に分岐部材(可撓性分岐部)2’を載置(配する)可能であると共に、第1ローラ10a1及び第2ローラ10a2を回転可能に支持し連結する連結部材10bにて、上記支持部材との間に分岐部材(可撓性分岐部)2’を挟みつつ一方向に移動可能な構成となっている。なお、第1ローラ10a1及び第2ローラ10a2には、分岐部材(可撓性分岐部)2’を押し潰す方向に力又は荷重が常時付加されている。
【0056】
図12の左図に示す状態では、第2ローラ10a2及び平板状の支持部材との協働により、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dを画成する流路壁の中央部側端部から分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面までが押し潰された(閉塞された)状態を示している。また、第1ローラ10a1及び平板状の支持部材との協働により、分岐部材(可撓性分岐部)2’の上辺部が押し潰された(閉塞された)状態を示している。これにより、図中点線矢印にて示すように、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通(導通)しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。このとき、培養液等の液体は、分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面にて折り返される流れとなる。
【0057】
図12の左図に示す状態から、図示しない例えばアクチュエータ等により、第1ローラ10a1及び第2ローラ10a2を回転可能に支持し連結する連結部材10bを水平方向(
図12では上側から下側へと向かう方向)へ移動させた後の状態を
図12の右図に示している。
図12の右図に示すように、第1ローラ10a1と平板状の支持部材の協働により、第2の分岐流路2bと第4の分岐流路2dを画成する流路壁の中央部側端部から分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面までが押し潰される(閉塞される)と共に、同時に第2ローラ10a2と平板状の支持部材の協働により、第1の分岐流路2aと第3の分岐流路2cを画成する流路壁の中央部側端部から分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面までが押し潰される(閉塞される)。これにより、循環流路6の出側端部6bと循環流路6の入側端部6aが第4の分岐流路2d及び第3の分岐流路2cを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態となる。このとき、培養液等の液体は、分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面にて折り返される流れとなる。
【0058】
本実施例によれば、第2の連通状態及び第1の連通状態において、培養液等の液体は分岐部材(可撓性分岐部)2’の左側側面に一旦衝突し、その後折り返される流れとなるため、流線の観点からは必ずしも望ましくないものの、第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2dの全ての流路向きが揃うため、各分岐流路に対し流入流路4等を接続することが容易となる。また、
図12に示すように4本の分岐流路(2a〜2d)の流路幅が均等であることから押圧部として機能するローラを2個のみとでき、実施例3に比べ部品点数を低減できる。
【実施例5】
【0059】
図13は、本発明の他の実施例に係る実施例5の流路モジュールの概略構成図である。本実施例では、上述の実施例1から実施例4に対し、分岐部材(可撓性分岐部)2を構成する第1の分岐流路2a〜第4の分岐流路2dの配置関係又は接続関係が異なる。
その他の構成要素は実施例1と同様であるため、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0060】
図13の左上図に示す流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び実施例1の
図5に示した連通状態切替え部3を備える。分岐部材(可撓性分岐部)2は、図示しない循環流路6の入側端部6aと接続される第3の分岐流路2cと、循環流路6の出側端部6bと接続される第4の分岐流路2dとが対向しつつ連通され、これら第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが直線状に配される。これに対し、流入流路4と接続される第1の分岐流路2aは、所定の角度(鋭角)にて直線状に配される第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dの略中央部に接合される。また、同様に、流出流路5と接続される第2の分岐流路2bは、所定の角度(鋭角)にて直線状に配される第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dの略中央部に接合される。そして、第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bは、直線状に配される第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dに対し、平面視同一側に配される。また、連通状態切替え部3を構成する開閉部材は、実施例1の
図5に示したピンチ部材(押圧部材)3a1及び常時静止状態を維持する支持部材3b’により構成される。第2の連通状態において、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11及び支持部材3b’を構成するNC側部材3b1(
図13では図示せず)にて分岐部材(可撓性分岐部)2がピンチされ(押し潰され)、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路を介して連通すると共に、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通され、オープン流路(開放系)が形成される。このとき、培養液等の液体は、第1の分岐流路2aを通流し、鋭角に折り返され第3の分岐流路2cを通流することとなる。そのため、これら第1の分岐流路2aと第3の分岐流路とのなす角度は、極力、流路抵抗が増大しない範囲内で適宜設定することが望ましい。なお、第2の分岐流路2bと第4の分岐流路2dとのなす角度についても同様である。他方、第1の連通状態においては、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第2押圧部3a12及びNO側部材3b2’(
図13では図示せず)にて第1の分岐流路2aをピンチすると共に、第3押圧部3a13及びNO側部材3b2’にて第2の分岐流路2bをピンチする。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが、直線状に配される第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成されるため、循環流路の流れがスムーズとなる。
【0061】
図13の右上図に示す流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び実施例1の
図6に示した連通状態切替え部3を一部変形した構成を備える。分岐部材(可撓性分岐部)2は、第1の分岐流路2aと第4の分岐流路2dとが相互に平行であって所定の間隔離間し配される。また、第2の分岐流路2bと第3の分岐流路2cとが相互に平行であって所定の間隔離間し配されると共に、第3の分岐流路2cと第4の分岐流路2dとが直線状に配される。このような分岐部材(可撓性分岐部)2の形状であることにより、ピンチ部材(押圧部材)を構成する第1押圧部3a21、第2押圧部3a22’、及び第3押圧部3a23’を垂直投影面内において直線状に配することが可能となる。第1押圧部3a21に対し、所定の間隔だけ下方に第2押圧部3a22’及び第3押圧部3a23’を配することで1本のピンチ部材(押圧部材)にて、分岐部材(可撓性分岐部)2の3箇所をピンチすることが可能となり、実施例1と比較しピンチ部材の形状を単純化或いはピンチ部材の構成要素の低減を図ることが可能となる。
【0062】
図13の左下図に示す流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び実施例1の
図6に示した連通状態切替え部3を備える。分岐部材(可撓性分岐部)2は、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが直線状に配されると共に、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dが直線状に配され、これらが所定の角度にて接合するよう配する構成を備える。換言すれば、分岐部材(可撓性分岐部)2は、直線状に配される第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを基準とした場合、直線状に配される第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bが傾斜しつつ接合される形状を備える。第1押圧部3a21及びNC側部材3b11(
図13では図示せず)にて分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチすることで、オープン流路(開放系)を形成する第2の連通状態、及び、第2押圧部3a22及び第1のNO側部材3b21(
図13では図示せず)にて第2の分岐流路2bをピンチすると共に、第3押圧部3a23及び第2のNO側部材3b22にて第1の分岐流路2aをピンチすることで、循環流路(閉鎖系)を形成する第1の連通状態の何れの場合においても、培養液等の液体の流れをスムーズにすることが可能となる。
【0063】
図13の右下図に示す流路モジュール1は、分岐部材(可撓性分岐部)2及び実施例1の
図6に示した連通状態切替え部3を備える。分岐部材(可撓性分岐部)2は、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dが直線状に配されると共に、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dに対し直交するよう配される第1の分岐流路2a及び第2の分岐流路2bが、オフセット配置される形状を備える。換言すれば、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bとが筋向いとなって配される。このような形状の分岐部材(可撓性分岐部)2に対し、
図6に示した連通状態切替え部3を適用することにより、第2の連通状態及び第1の連通状態の何れの場合においても、分岐部材(可撓性分岐部)2内に、培養液等の液体が残留することなく送液することが可能となる。
【実施例6】
【0064】
図14は、本発明の他の実施例に係る実施例6の流路モジュールを有する細胞培養装置の全体概略構成図であり、
図15は、
図14に示す細胞培養装置の変形例を示す図である。以下では、上述の実施例1における
図7に示す流路モジュール1の構成を一例として説明するが、
図8に示した流路モジュール1の構成、又は実施例2〜実施例5にて説明した流路モジュールの構成のうち何れかを用いても同様である。
図14及び
図15において、上述の実施例1に示した構成要素と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0065】
図14に示すように、細胞培養装置20は、細胞懸濁液21を収容する供給バック、培地22を収容する供給バック、HEPAフィルタ23、流路切替え部24、流路モジュール1、循環流路6、循環流路6に設置される例えばしごきポンプ等のポンプ7、ポンプ7の下流側であって循環流路6に設置される培養容器25、及び培養に供された培地或は培養液を回収する回収バック26を備える。細胞培養装置20は、細胞播種及び培地交換を自動で行い培養を行う。細胞懸濁液21又は培地22は、詳細後述するように流路モジュール1を介して循環流路6へ導入され、培養容器25が設置される循環流路6内を循環することにより閉鎖系を形成している。このように、閉鎖系を形成する循環流路6内で培養を行うことにより、外部からのコンタミネーションを防止し、高信頼性の培養を行うことができる。
【0066】
細胞懸濁液21又は培地22は、流入流路4に導入され、流路切替え部24により選択的に送液される。また、HEPAフィルタ23は、流路切替え部24により選択的に流入流路4に接続可能とされ、HEPAフィルタ23を透過する空気により流路内に残留或は流路内を通流する液体を押し出すことが可能となっている。流入流路4は分岐部材(可撓性分岐部)2の第1の分岐流路2aに接続され、一端が回収バック26に接続される流出流路5は分岐部材(可撓性分岐部)2の第2の分岐流路2bに接続されている。また、循環流路6の入側端部6aは分岐部材(可撓性分岐部)2の第3の分岐流路2cに接続され、循環流路6の出川端部6bは分岐部材(可撓性分岐部)2の第4の分岐流路2dに接続されている。細胞播種時又は培地交換時において、
図4に示した連通状態切替え部3を構成するコイル3fを非通電状態とすることで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(i)方向へ押し潰す(ピンチする)。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11及び支持部材3b’を構成するNC側部材3b1(
図14では図示せず)にて、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチする。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0067】
次に、循環流路6に設置されるポンプ7を駆動することにより、分岐部材(可撓性分岐部)2内が負圧となり、流入流路4より細胞懸濁液21又は培地22が第1の分岐流路2a内に吸引される。第1の分岐流路2a内に吸引された細胞懸濁液21又は培地22は、第3の分岐流路2cを介して循環流路6の入側端部6aに導入され循環流路6内を通流し、循環流路6に設置された培養容器25を介して循環流路6の出側端部6bより第4の分岐流路2dへ流入する。その後、第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを通流し流出流路5へと流出し回収バック26へと送液される。静置して培養する場合は、上述の連通状態切替え部3により第2の連通状態を継続させる。
【0068】
一方、仮に何らかの目的で、細部懸濁液21又は培地22を、循環流路6内を循環させる場合は、上述の
図4に示したコイル3fに通電することで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(ii)方向へピンチする。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第2押圧部3a12及びNO側部材3b2’(
図14では図示せず)にて第1の分岐流路2aをピンチすると共に、第3押圧部3a13及びNO側部材3b2’にて第2の分岐流路2bをピンチする。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通(導通)し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態に切り替えられる。例えば、第1の連通状態にて、細胞懸濁液21又は培地22を、循環流路6内を循環させることにより、流体のせん断力を付与することができる。
【0069】
図15は、循環流路6であって培養容器25の下流側にバッファタンク27を有する細胞培養装置20’の全体概略構成図である。循環流路6は、流路径(内径)及び流路長により流路体積が一義的に決定されるため、培養量に関しフレキシブルな対応が困難となる。そこで、循環流路6中にバッファタンク27を設置し、培養量をフレキシブルに変更可能な構成とする。バッファタンク27は、循環流路6中であって培養容器25の下流側に設置され、タンク筐体27a、流入ポート27b、流出ポート27c、及び空気排出ポート27dから構成される。流出ポート27cはタンク筐体27aの下部に設けられ、空気排出ポート27dはタンク筐体27aの上部に設けられる。細胞懸濁液21又は培地22を、流路モジュール1介して循環流路6へ送液する場合は、流出ポート27cより循環流路6の下流側へ通流させる、一方、タンク筐体27a内に充満する空気を逃がす場合は、空気排出ポート27dを介して循環流路6の下流側へ空気を押し出し、連通状態切替え部3により第2の連通状態とし、分岐部材(可撓性分岐部)2の第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2b並びに流出流路5を介して排気する。これら流出ポート27c及び空気排出ポート27dの切り替えは、切換え弁28により選択的に実行される。なお、流入ポート27bの設置位置は必ずしもタンク筐体27aの上部に限られるものではない。
【0070】
本実施例では、細胞培養装置20がHEPAフィルタ23を有する構成としたが、HEPAフィルタ23は必須ではなく、HEPAフィルタ23に代えて、例えば、純水等のシステム水を収容するバックを設ける構成としても良い。第2の連通状態において、システム水を、分岐部材(可撓性分岐部)2を介して循環流路6内を通流させ、流出流路5を介して排出することにより、培地交換を好適に行うことが可能となる。
【0071】
本実施例によれば、細胞懸濁液又は培地を、気泡混入を防止しつつ循環流路内に送液可能な細胞培養装置を実現することが可能となる。
また、循環流路内にバッファタンクを設置することにより、所望の培養量を得ることが可能となる。
【実施例7】
【0072】
図16は、本発明の他の実施例に係る実施例7の流路モジュールを有する濁度計の全体概略構成図である。以下では、上述の実施例1における
図7に示す流路モジュール1の構成を一例として説明するが、
図8に示した流路モジュール1の構成、又は実施例2〜実施例5にて説明した流路モジュールの構成のうち何れかを用いても同様である。
図16において、上述の実施例1に示した構成要素と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0073】
図16に示すように、濁度計30は、未知の濁度を有する液体を導入する流入口34、流路モジュール1、循環流路6、循環流路6に設置される例えばしごきポンプ等のポンプ7、ポンプ7の下流側であって循環流路6に設置されるフローセル31、フローセル31内を通流する液体に光を照射するための光源32、フローセル31を挟み光源32と反対側に設置される検出器33、及び濁度が計測された液体を流出口35へ送液する流出流路5を備える。
【0074】
先ず、
図4に示した連通状態切替え部3を構成するコイル3fを非通電状態とすることで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(i)方向へ押し潰す(ピンチする)。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11及び支持部材3b’を構成するNC側部材3b1(
図16では図示せず)にて、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチする。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0075】
次に、循環流路6に設置されるポンプ7を駆動することにより、分岐部材(可撓性分岐部)2内が負圧となり、流入口34より導入される未知の濁度を有する液体は流入流路4より第1の分岐流路2a内に吸引される。第1の分岐流路2a内に吸引された未知の濁度を有する液体は、第3の分岐流路2cを介して循環流路6の入側端部6aに導入され循環流路6内を通流し、ポンプ7の下流側に設置されるフローセル31内を通流する。このとき光源32よりフローセル31内を通流する液体に向け光が照射され、その透過光及び/又は散乱光を検出器33が受光し、透過光及び/又は散乱光の光強度に基づき濁度が計測される。濁度が計測された液体は、その後、循環流路6の出川端部6aから分岐部材(可撓性分岐部)2の第4の分岐流路2d、第2の分岐流路2b、及び流出流路5を介して流出口35より排出される。
【0076】
低濁度を有する液体の場合或は環境光等の外乱ノイズにより、一度の計測にて濁度を測定できない場合も生じ得る。この場合、上述の
図4に示したコイル3fに通電することで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(ii)方向へピンチする。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第2押圧部3a12及びNO側部材3b2’(
図16では図示せず)にて第1の分岐流路2aをピンチすると共に、第3押圧部3a13及びNO側部材3b2’にて第2の分岐流路2bをピンチする。これにより、循環流路6の入側端部6aと循環流路6の出側端部6bが第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dを介して連通し循環流路(閉鎖系)が形成され、第1の連通状態に切り替えられる。循環流路6内を通流し、再び液体がフローセル31内を通流する再、再度、光源32よりフローセル31内を通流する液体に向け光が照射され、その透過光及び/又は散乱光を検出器33が受光し、透過光及び/又は散乱光の光強度に基づき濁度が計測される。濁度が計測された場合には、連通状態切替え部3により第2の連通状態へと切り替え、濁度が計測された液体は、分岐部材(可撓性分岐部)2の第4の分岐流路2d、第2の分岐流路2b、及び流出流路5を介して流出口35より排出される。
【0077】
本実施例によれば、未知の濁度を有する液体を、連通状態切替え部にて第2の連通状態とし、循環流路に導入し、循環流路に設置されるフローセル、光源、及び検出器から構成される濁度検出機構により容易に濁度を計測することが可能となる。
また、仮に低濁度を有する液体の場合或は環境光等の外乱ノイズにより、一度の計測にて濁度を測定できない場合であっても、連通状態切替え部にて第1の連通状態に切り替え当該液体を、循環流路内を循環させることで、確実に濁度を計測することが可能となる。
【実施例8】
【0078】
図17は、本発明の他の実施例に係る実施例8の流路モジュールを有する細胞分散装置の全体概略構成図である。以下では、上述の実施例1における
図7に示す流路モジュール1の構成を一例として説明するが、
図8に示した流路モジュール1の構成、又は実施例2〜実施例5にて説明した流路モジュールの構成のうち何れかを用いても同様である。
図17において、上述の実施例1に示した構成要素と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0079】
図17に示すように、細胞分散装置40は、細胞の分散の程度が未知である細胞懸濁液を導入する流入口46、流路モジュール1、循環流路6、循環流路6に設置される例えばしごきポンプ等のポンプ7、ポンプ7の下流側であって循環流路6に設置されるオリフィス41、オリフィス41の下流側であって循環流路6に設置されるフローセル43、フローセル43内を通流する細胞懸濁液に光を照射するための光源44、フローセル43を挟み光源44と反対側に設置される検出器45、フローセル43の下流側であって循環流路6に設置されるバッファタンク47、細胞が均一に分散した細胞懸濁液を排出するための流出口48、及び制御部42を備える。細胞分散装置40は、細胞の分散の程度が未知である細胞懸濁液を流入口46から取り込み、内部で細胞集塊を分散させ、流出口48より細胞が均一に分散した細胞懸濁液を排出する機能を有する。ポンプ7の下流側であって循環流路6に設置されるオリフィス41は流路狭窄部を形成する。オリフィス41は、流路断面積を急激に変化させることで、内部を通流する細胞懸濁液に対し強力な剪断力を付与し、細胞集塊の分散を促進する。オリフィス41の径(断面径)は、一般的に細胞の大きさが10μm程度であることに鑑みると、0.5mm〜1mmの範囲とすると、細胞集塊を効率よく分散でき好ましい。また、細胞の大きさや接着性に基づいて、細胞毎に適したオリフィス径に変えてもよい。オリフィス41は安価な樹脂製のものを用いれば、必要に応じて流路ごと使い捨てとする、すなわち、ディスポーザブルオリフィスとなり、コンタミネーション防止の観点から望ましい。
【0080】
オリフィス41の下流側であって循環流路6に設けられるフローセル43は、フローセル内を細胞懸濁液が通流する際に、細胞集塊の分散の程度に関するデータとして、光強度が測定される。光源44からフローセル43に向け光を照射し、その透過光及び/又は散乱光を検出器45で検出する。換言すれば、光源44、フローセル43、及び検出器45にて細胞分散度測定器を構成している。フローセル43から観測される透過光及び/又は散乱光は、細胞懸濁液の細胞分散度の変化に伴って光量が変化する。そこで、検出器45が検知した光強度の経時変化に着目し、光強度値の変化量が小さくなり、一定の値(好ましくは予め定めた目標値)に集束していくことに基づいて、十分な細胞分散が行われたと判断することが可能となる。制御部42は、検出器45により得られた光強度データに基づいて、細胞が所定の分散度に達したか否かを判断し、所定の分散度に達していない場合、ポンプ7の駆動を継続する。ポンプ7の送液速度を変化させることにより、細胞懸濁液に付与される剪断力を変化させても良い。
【0081】
このように、循環流路6内にて細胞懸濁液中の細胞集塊を分散し、細胞が均一に分散した細胞懸濁液を得るため、先ず、
図4に示した連通状態切替え部3を構成するコイル3fを非通電状態とすることで、分岐部材(可撓性分岐部)2を3(i)方向へ押し潰す(ピンチする)。すなわち、
図5に示した、ピンチ部材(押圧部材)3a1を構成する第1押圧部3a11及び支持部材3b’を構成するNC側部材3b1(
図17では図示せず)にて、第1の分岐流路2aと第2の分岐流路2bが接合する角部と、第3の分岐流路2c及び第4の分岐流路2dとが接合する角部をわたるよう、平面視対角線状に分岐部材(可撓性分岐部)2をピンチする。これにより、流入流路4と循環流路6の入側端部6aが第1の分岐流路2a及び第3の分岐流路2cを介して連通し、且つ、循環流路6の出側端部6bと流出流路5が第4の分岐流路2d及び第2の分岐流路2bを介して連通しオープン流路(開放系)が形成され、第2の連通状態となる。
【0082】
次に、循環流路6に設置されるポンプ7を駆動することにより、分岐部材(可撓性分岐部)2内が負圧となり、流入口46より導入される細胞懸濁液は流入流路4より第1の分岐流路2a内に吸引される。第1の分岐流路2a内に吸引された細胞懸濁液は、第3の分岐流路2cを介して循環流路6の入側端部6aに導入され循環流路6内を通流し、ポンプ7の下流側に設置されるオリフィス41及びフローセル31内を通流する。なお、バッファタンク47の構成及び動作については
図15に示した実施例6と同様であるため説明を省略する。
【0083】
なお、細胞分散度を測定する方法として、上述のように、光源44よりフローセル43に向け光照射し、その透過光及び/又は散乱光を検出器45で検出する方法を採用すると、細胞懸濁液を流動させたままの状態で細胞分散度を測定することができるため特に好ましい。しかしながら、細胞分散度の測定方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、循環流路6中に何らかの観察窓を設け、CCDカメラ付きの顕微鏡で画像(静止画または動画)を撮影し、取得される画像から細胞分散度を算出するようにしても良い。細胞懸濁液を流動させた状態で測定するためにはリアルタイムの処理が求められるが、そのような高速な画像処理が可能であれば、光強度測定に代えて細胞分散度測定法として採用することができる。
【0084】
循環流路6を構成するチューブの材質は、細胞への影響がないか、或は極めて少ないものを使用することが好ましい。そのような材質の一例として、医療用シリコンチューブが挙げられる。また、フローセル43はガラス製のものでもよいが、安価な樹脂製のものを用いると、一度細胞を通したものは循環流路6を含めて使い捨てとするようにし易くなるためより好ましい。
【0085】
本実施例によれば、流路モジュールを構成する連通状態切替え部により第2の連通状態とすることにより、容易に細胞懸濁液中の細胞集塊を分散し、細胞が均一に分散した細胞懸濁液を得ることが可能となる。
【実施例9】
【0086】
図18は、本発明の他の実施例に係る実施例9の流路モジュールを有する細胞数調整装置の全体概略構成図である。以下では、上述の実施例1における
図7に示す流路モジュール1の構成を一例として説明するが、
図8に示した流路モジュール1の構成、又は実施例2〜実施例5にて説明した流路モジュールの構成のうち何れかを用いても同様である。
図18において、上述の実施例1に示した構成要素と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0087】
図18に示すように、細胞数調整装置50は、細胞を高濃度で含有する細胞数濃度(細胞懸濁液の単位量あたりに含まれる細胞の数)が未知の細胞懸濁液を導入する流入口56、導入された細胞懸濁液に希釈液を添加し細胞数濃度を調整するための希釈容器51、流路モジュール1、循環流路6、循環流路6に設置される例えばしごきポンプ等のポンプ7、ポンプ7の下流側であって循環流路6に設置されるフローセル53、フローセル53内を通流する細胞懸濁液に光を照射するための光源54、フローセル53を挟み光源54と反対側に設置される検出器55、フローセル53の下流側であって循環流路6に設置されるバッファタンク57、細胞数が調整された細胞懸濁液を排出するための流出口58、及び制御部52を備える。
【0088】
細胞数調整装置50は、細胞を高濃度で含有する細胞数濃度(細胞懸濁液の単位量あたりに含まれる細胞の数)が未知の細胞懸濁液を流入口56から取り込み、内部で濃度を調整し、流入口56から流入する細胞懸濁液中の細胞数濃度よりも低い所望の細胞数濃度で細胞を含有する細胞懸濁液を流出口58から排出する機能を有する。流入口56と流出口58の間は循環流路6を含む流路系を構築している。流路内の細胞懸濁液を流動させるための送液ポンプであるポンプ7が設けられており、制御部52は少なくともポンプ7を制御する。
【0089】
ポンプ7の下流側であって循環流路6に設けられるフローセル53内を細胞懸濁液が通流する際に、単位量あたりの細胞数濃度に関するデータとして、光強度が測定される。光源54からフローセル53に向け光照射し、その透過光及び/又は散乱光を検出器55で検出する。換言すれば、光源54、フローセル53、及び検出器55にて細胞数計測器を構成している。検出器55で検出された透過光または散乱光の強度と細胞数の関係は別途予め求めておき、当該透過光または散乱光の強度と細胞数の関係と検出器55で検出した光強度とに基づいて細胞数濃度を算出する。透過光または散乱光の強度と細胞数の関係は、例えば培養予定の細胞の濃度既知の細胞懸濁液を数種用意しておき、それぞれについて光強度測定を行い、得られた結果から検量線を作成することにより求められる。なお、フローセル53を通過する細胞懸濁液の流量は、流入口56から取り込んだ量に基づいて、あるいはフローセル53の容積または断面積とポンプ7の送液速度に基づいて求めることができる。必要な希釈液量は、細胞数濃度と細胞懸濁液の量に基づいて決定される。
【0090】
光強度に基づく細胞数濃度測定によれば、細胞懸濁液を流動させた状態で細胞数濃度を算出することができる。細胞懸濁液を流動させた状態で細胞数濃度を算出する場合、検出器55は連続的に絶え間なく光強度を測定していても良く、あるいは断続的に、すなわち間をあけて、好ましくは一定間隔毎に測定しても良い。なお、本実施例の細胞数調整装置50において、細胞数濃度の算出は他の算出法を用いても良い。
【0091】
流入流路4の一部は分岐して分岐流路60と接続されており、分岐部分には切替え弁61が設けられている。切替え弁61は、分岐流路60と流入流路4を切替えることができる。切替え弁61にはピンチ弁を使用することが好ましい。ピンチ弁は、弾性素材からなる流路を外側から押しつぶして(ピンチして)流れを制御するものであり、流体に直接触れることがないため、細胞懸濁液及びピンチ弁自身も汚染せずに細胞懸濁液を制御することができる。切替え弁61は、2つの流路を切替える機能を持ち、2つのピンチ弁を組み合わせても実現できるが、1つのアクチュエータで2つの流路を同時に閉開互い違いに制御できるユニバーサル型のものを用いても良い。制御部52は、切替え弁61に設けられたアクチュエータを制御することにより弁の切替えを制御する。後述する他の切替え弁についても同様である。
【0092】
分岐流路60の先には希釈液を収容する希釈液容器51が接続されている。制御部52は、少なくともポンプ7を、好ましくは併せて切替え弁61も制御し、検出器55の検出結果に応じて取り込んだ細胞懸濁液に希釈液を添加し、さらに細胞懸濁液と添加した希釈液が十分に撹拌され細胞数濃度が均一になるようにする。制御部52によるポンプ7及び切替え弁61等の制御について、以下詳細に説明する。
【0093】
制御部52は、切替え弁61が分岐流路60を閉塞して流入流路4を選択している状態でポンプ7を駆動し、流入口56から細胞懸濁液の原液を取り込む。取り込まれた細胞懸濁液は、流路モジュール1を介してそのままフローセル53まで移送される。このとき、流路モジュール1を構成する連通状態切替え部3は第2の連通状態としている。細胞懸濁液がフローセル53を通流する際に検出器55による光強度測定を行う。制御部52は、その測定結果から細胞数濃度を算出し、予め定めてある目標値と比較した上で、取り込んだ原液の量なども考慮して必要となる希釈液の量を決定する。
【0094】
制御部52は、次に切替え弁61を、分岐流路60側を選択している状態に切り替え、ポンプ7を一定時間駆動し、希釈液容器51から希釈液を、流路モジュール1を介して循環流路6内に取り込む。循環流路6内は、調整前の細胞数濃度が高い細胞懸濁液と希釈液の2液が不均一に存在する状態となる。次に制御部52は、ポンプ7を駆動することにより2液を混合する。循環流路6は、その移動のための空間も含め、細胞懸濁液と希釈液とを保持するに十分な空間を有している。
【0095】
光強度測定の測定値は、最初のうちは循環流路6内における細胞数濃度が不均一であるため振れ幅が大きいが、ポンプ7の駆動につれ、細胞数濃度が徐々に均一となって振れ幅が小さくなっていき、最終的には目標値、すなわち予め定めた細胞数濃度に対応する光強度の値に収束する。そこで、光強度測定の測定値に時間的変化が所定の値(目標値±α)の範囲内となった時点、好ましくは変化が無くなった時点で、制御部52は分岐部材(可撓性分岐部)2内の液が均一になったと判断する。仮に収束した値が目標値と異なる場合には、制御部52が上述した希釈工程を再度繰り返すようにしてもよい。希釈工程により所望の細胞数濃度となった細胞懸濁液は、ポンプ7を駆動させて流出口58から排出される。
【0096】
取り扱う細胞懸濁液の量に対し循環流路6等の断面積が小さいと、混合のために繰り返し移動する際などに流路内の移動に時間がかかり、細胞に負担がかかってしまう。したがって、少なくとも細胞懸濁液が通流する循環流路6、さらに好ましくはフローセル53の断面積は、扱う細胞のサイズや取り込む細胞懸濁液の量を考慮して十分な大きさを有していることが好ましい。例えば、取り込む細胞懸濁液の量が1mL〜1000mLの範囲であれば、循環流路6を構成するチューブとして直径1〜10mm程度のものを使用することが好ましく、フローセル53としては1〜10mm角のものを使用することが好ましい。
【0097】
循環流路6を構成するチューブの材質は、細胞への影響がないか、あるいは極めて少ないものを使用することが好ましい。そのような材質の一例として、医療用シリコンチューブが挙げられる。また、フローセル53はガラス製のものでもよいが、安価な樹脂製のものを用いると、一度細胞を通したものは循環流路6を含めて使い捨てとするようにし易くなるためより好ましい。
【0098】
細胞数濃度を測定する方法として、上述のように、光源54からフローセル53に向け光照射し、その透過光及び/又は散乱光を検出器55で検出する方法を採用すると、細胞懸濁液を流動させたままの状態で細胞数濃度を測定することができるため特に好ましい。しかしながら、細胞数濃度の測定方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、循環流路6中に何らかの観察窓を備え、CCDカメラ付きの顕微鏡で画像(静止画または動画)を撮影し、画像から細胞数を算出するようにしてもよい。細胞懸濁液を流動させた状態で測定するためにはリアルタイムの処理が求められるが、そのような高速な画像処理が可能であれば、光強度測定に代えて細胞数濃度測定法として採用することができる。
【0099】
なお、細胞懸濁液は静置すると細胞が沈降してしまうため、本実施例の細胞数調整装置50は、希釈液を加えて細胞懸濁液を希釈するのみならず、細胞懸濁液を単に撹拌するための装置として用いてもよい。
細胞分散装置40と細胞数調整装置50を接続すれば、剥離した細胞を分散し、細胞数を調整した上で再播種する、すなわち継代培養が可能である。また、例えば細胞分散装置40の流路に分岐流路とそこに繋がる希釈液バッグをさらに設け、細胞分散度測定器を構成する検出器45が検出した光強度データに基づいて細胞懸濁液濃度を判断し、必要な量の希釈液を希釈液バッグから取り込むような構成を追加することにより、細胞数調整装置50は省略することもできる。
【0100】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。