特許第6684918号(P6684918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6684918投影露光装置及び投影レンズを測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684918
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】投影露光装置及び投影レンズを測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20200413BHJP
   G03F 1/38 20120101ALI20200413BHJP
   G02B 13/24 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G03F7/20 502
   G03F7/20 521
   G03F1/38
   G02B13/24
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-545909(P2018-545909)
(86)(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公表番号】特表2019-510266(P2019-510266A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2017054930
(87)【国際公開番号】WO2017149084
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2018年9月4日
(31)【優先権主張番号】102016203442.1
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】オイゲン フォカ
(72)【発明者】
【氏名】フランク シャド
(72)【発明者】
【氏名】ウベ ヘンペルマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュレゼナー
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−502126(JP,A)
【文献】 特開2012−058593(JP,A)
【文献】 特開2015−225182(JP,A)
【文献】 特開2011−227461(JP,A)
【文献】 特開2009−122566(JP,A)
【文献】 特開2012−003254(JP,A)
【文献】 特開2006−351990(JP,A)
【文献】 特開2005−106869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24
G02B 13/24
G03F 1/38
G01M 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ投影露光装置(100)であって、物体面(155)を像面(156)に結像する投影レンズ(150)と測定構造体(121)とを有し、浸漬液が該投影露光装置(100)の動作中に前記投影レンズ(150)と前記像面(156)との間に少なくとも一時的に設けられ、前記測定構造体(121)が前記浸漬液中に配置可能であり、前記測定構造体(121)は、測定パターンを生成するよう構成され、該投影露光装置(100)は、前記測定パターンを測定する測定デバイス(130、160)を有し、前記測定構造体(121)は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含む吸収層(125)を少なくとも部分的に有し、前記吸収層(125)は前記パターンを生成するように構成されるマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、金属二酸化ケイ素又は金属酸窒化ケイ素でできた吸収層(125)を少なくとも部分的に有する投影露光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、モリブデン二酸化ケイ素又はモリブデン酸窒化ケイ素でできた吸収層(125)を少なくとも部分的に有する投影露光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、モリブデン二酸化ケイ素でできた吸収層(125)を有する投影露光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、モリブデン酸窒化ケイ素でできた吸収層(125)を有する投影露光装置。
【請求項6】
請求項1に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムを含む吸収層(125)を有する投影露光装置。
【請求項7】
請求項1に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできた吸収層(125)を有する投影露光装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、キャリア(120)に施される投影露光装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の投影露光装置において、前記吸収層(125)は、10nm〜100nmmの厚さを有する投影露光装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、反射防止層を有する投影露光装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の投影露光装置において、該投影露光装置(100)は、193nm以下の範囲の波長を有する電磁放射線を発生させる照明系(140)を有する投影露光装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、193nmの波長で3の範囲の光学濃度を有する投影露光装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の投影露光装置において、該投影露光装置(100)は、干渉測定を行うよう構成される投影露光装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の投影露光装置において、前記測定構造体(121)は、格子構造を有する投影露光装置。
【請求項15】
マイクロリソグラフィ投影露光装置(100)であって、物体面(155)を像面(156)に結像する投影レンズ(150)と測定構造体(121)とを有し、浸漬液が該投影露光装置(100)の動作中に前記投影レンズ(150)と前記像面(156)との間に少なくとも一時的に設けられ、前記測定構造体(121)が前記浸漬液中に配置可能であり、前記測定構造体(121)は、測定パターンを生成するよう構成され、該投影露光装置(100)は、前記測定パターンを測定する測定デバイス(130、160)を有し、前記測定構造体(121)は、窒化クロムでできた吸収層(125)を有するマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項16】
投影レンズ(150)を測定する方法であって、測定構造体(121)を前記投影レンズ(150)において浸漬液中に配置し、測定パターンを生成するよう前記測定構造体(121)を構成し、前記測定構造体(121)は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含む吸収層(125)を少なくとも部分的に有し、前記吸収層(125)は前記パターンを生成するように構成され、測定デバイス(130、160)を用いて前記測定パターンを測定する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記測定構造体(121)は、モリブデン二酸化ケイ素又はモリブデン酸窒化ケイ素又は窒化クロム又は窒化タンタル又は窒化ハフニウムでできた吸収層(125)を少なくとも部分的に有する方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の方法において、前記測定デバイス(130、160)は、干渉測定を行う方法。
【請求項19】
マイクロリソグラフィ投影露光装置(100)の投影レンズ(150)を測定する測定構造体(121)であって、前記投影露光装置(100)内で光ビームを散乱又は回折させるよう設定され、且つ酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含む吸収層(125)を少なくとも部分的に有し、前記吸収層(125)は前記パターンを生成するように構成される測定構造体。
【請求項20】
請求項19に記載の測定構造体(121)において、該測定構造体(121)は、金属二酸化ケイ素又は金属酸窒化ケイ素でできた吸収層(125)を少なくとも部分的に有する測定構造体。
【請求項21】
請求項19に記載の測定構造体において、該測定構造体(121)は、モリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできた吸収層(125)を少なくとも部分的に有する測定構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項に記載の投影露光装置、投影レンズを測定する方法、及び測定構造体に関する。
【0002】
本特許出願は、独国特許出願第10 2016 203 442.1号の優先権を主張し、その開示を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、投影露光装置の結像品質を測定するシステムを開示している。特許文献1は、投影レンズを有する投影露光装置を開示している。測定構造体を有する構造体キャリアが、投影レンズの像面に設けられる。測定構造体は、クロム層の形態であり得る。浸漬液によって引き起こされる劣化に対する測定構造体の耐性を、保護システムにより高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国出願公開第2008/0252876号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改良された投影露光装置、改良された投影レンズを測定する方法、及び改良された測定構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項により達成される。
【0007】
本発明のさらに他の実施形態は、従属請求項に明記される。
【0008】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置であって、物体面を像面に結像する投影レンズを有し、浸漬液が投影露光装置の動作中に投影レンズと像面との間に少なくとも一時的に設けられ、測定構造体が前記浸漬液中に配置され、測定構造体は、測定パターンを生成するよう構成され、投影露光装置は、測定パターンを測定する測定デバイスを有し、測定構造体は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置に関する。
【0009】
さらに別の実施形態では、投影露光装置は、金属二酸化ケイ素(metal silicon dioxide)又は金属酸窒化ケイ素(metal silicon oxynitride)でできた吸収層を少なくとも部分的に有する測定構造体を備え得る。
【0010】
さらに別の実施形態では、測定構造体は、モリブデン二酸化ケイ素(molybdenum silicon dioxide)又はモリブデン酸窒化ケイ素(molybdenum silicon oxynitride)でできた吸収層を少なくとも部分的に有する。測定構造体は、モリブデン二酸化ケイ素でできた吸収層を有し得る。
【0011】
測定構造体は、モリブデン酸窒化ケイ素でできた吸収層も同様に有し得る。
【0012】
測定構造体は、窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムを含む吸収層を有し得る。さらに別の実施形態では、測定構造体は、窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできた吸収層を有する。
【0013】
測定構造体は、キャリアに施され得る。
【0014】
キャリアは、石英ガラスから形成され得る。
【0015】
吸収層は、10nm〜100nmの厚さを有し得る。
【0016】
測定構造体は、反射防止層を有し得る。
【0017】
投影露光装置は、193nm以下の範囲の波長を有する電磁放射線を発生させる照明系を有し得る。
【0018】
測定構造体は、193nmの波長で3の範囲の光学濃度を有し得る。測定構造体は、193nmの波長で4以上の光学濃度も有し得る。
【0019】
投影露光装置は、偏波面測定を行うよう構成され得る。
【0020】
投影露光装置は、迷光測定を行うよう構成され得る。
【0021】
投影露光装置は、シアリング干渉計測定を行うよう構成され得る。
【0022】
測定構造体は、格子構造を有し得る。
【0023】
本発明はさらに、マイクロリソグラフィ投影露光装置であって、物体面を像面に結像する投影レンズを有し、浸漬液が投影露光装置の動作中に投影レンズと像面との間に少なくとも一時的に設けられ、測定構造体が浸漬液中に配置され、測定構造体は、測定パターンを生成するよう構成され、投影露光装置は、測定パターンを測定する測定デバイスを有し、測定構造体は、金属窒化物、例えば窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムを有する吸収層を有するマイクロリソグラフィ投影露光装置に関する。
【0024】
本発明はさらに、投影レンズを測定する方法であって、測定構造体を投影レンズにおいて浸漬液中に配置し、測定パターンを生成するよう測定構造体を構成し、測定構造体は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含む吸収層を少なくとも部分的に有し、測定デバイスを用いて測定パターンを測定する方法に関する。
【0025】
さらに別の実施形態では、測定構造体は、モリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできた吸収層を少なくとも部分的に有する。
【0026】
測定デバイスは、干渉測定、特にシアリング干渉測定を行い得る。
【0027】
測定デバイスは、偏波面測定を行い得る。
【0028】
測定デバイスは、迷光測定を行い得る。
【0029】
本発明はさらに、マイクロリソグラフィ投影露光装置の投影レンズを測定する測定構造体であって、露光装置内で光ビームを散乱又は回折させるよう設定され、且つ酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含む吸収層を少なくとも部分的に有する測定構造体に関する。
【0030】
さらに別の実施形態では、測定構造体は、金属二酸化ケイ素又は金属酸窒化ケイ素でできた吸収層を少なくとも部分的に有する。
【0031】
さらに別の実施形態では、測定構造体は、モリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできた吸収層を少なくとも部分的に有する。
【0032】
測定構造体は、モリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素でできた吸収層を少なくとも部分的に有する格子構造を有し得る。
【0033】
測定構造体は、193nmの波長で3の範囲の光学濃度を有し得る。
【0034】
図面を参照して本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】投影露光装置の概略図を示す。
図2図1の一部の拡大図を示す。
図3】第2測定構造体の一部(partial section)の断面の拡大図示す。
図4】第2測定構造体の一部の上面図の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、電磁放射線を発生させる照明系140を有する投影露光装置100の概略図を示す。電磁放射線は、193nmよりも大きくEUV領域までの波長域を有し得る。第1測定構造体111を有する第1キャリア110が、照明系140の下流のビーム経路に配置される。第1測定構造体111は、照明パターンを生成するようになっている構造を有する。投影レンズ150が、第1測定構造体111の下流のビーム経路に配置される。投影レンズ150の物体面155及び像面156は、いずれも破線の形態で図示されている。第1測定構造体111は、投影レンズ150の物体面155に配置される。
【0037】
投影レンズ150は、概略的に図示されているにすぎず、物体面155に配置されて照明系140を用いて照明される物体を像面156にマイクロリソグラフィ用に結像するよう設計される。投影レンズ150は、複数のレンズ素子から構成され、縮小レンズとして働く。ミラー及び他の光学素子も存在し得る。図1は、入射側の第1レンズ素子151及び出射側の最終レンズ素子152を概略的に示す。瞳153が、第1レンズ素子151と最終レンズ素子152との間に配置される。第1液浸空間171が、最終レンズ素子152と像面156との間に形成される。第1液浸空間171は、投影露光装置100の動作中に浸漬液で少なくとも一時的に満たされる。
【0038】
図1は、第1液浸空間171の横方向境界170を概略的に示す。浸漬液の横方向の閉じ込めは、概して、浸漬液を供給及び除去するデバイス(図示せず)の幾何学的形状により決まる。浸漬液は、例えば、露光系140の電磁放射線の波長193nmで屈折率n=1.437を有する超純水であり得る。第2測定構造体121を有する第2キャリア120が、第2測定構造体121が浸漬液中に位置して浸漬液で濡れるように第1液浸空間171に隣接する。
【0039】
第2液浸空間176が、第2キャリア120に隣接するように上記キャリアの下流のビーム経路に形成される。ビーム経路で第2液浸空間176の下流には、検出器130が設けられ、これは例えば、2次元に延びる空間分解光検出器素子132を有する。顕微鏡対物レンズ131が、第2測定構造体121と検出器130との間に配置される。顕微鏡対物レンズ131は、第2液浸空間176に直接隣接し、第2測定構造体176から検出器素子132へ光を指向させる。検出器130は、干渉パターンを測定するよう構成される。この目的で、検出器130は、評価ユニット160に接続され得る。評価ユニット160は、捕捉された干渉パターンに基づいて投影レンズ150の品質を評価するよう構成される。例えばシアリング干渉測定法を用いて、干渉パターンを測定することができる。シアリング干渉法を行う方法は、既知であるためここではさらに説明しない。検出器130及び評価ユニット160は、測定デバイスを表す。
【0040】
図2は、図1の一部の拡大図を示す。第2測定構造体121は、第2キャリア120に施されて少なくとも部分的に又は完全にモリブデン二酸化ケイ素から成る吸収層125の形態であり得る。吸収層125は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含み得る。さらに、吸収層は、金属酸化ケイ素又は金属酸窒化ケイ素でできていてもよい。例えば、モリブデン又はマグネシウムが金属として用いられ得る。
【0041】
さらに、吸収層は、金属二酸化ケイ素、例えばモリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできていてもよい。
【0042】
吸収層125はまた、少なくとも部分的に又は完全にモリブデン酸窒化ケイ素から成り得る。吸収層125はまた、少なくとも部分的に又は完全にモリブデン二酸化ケイ素から成り得る。
【0043】
さらに別の実施形態では、第2測定構造体121は、窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムを有する吸収層125を少なくとも部分的に有する。
【0044】
図3は、第2測定構造体121の一部の拡大図を示す。吸収層125の個々の部分表面がここでは図示されている。第2キャリア120は、例えば5mm〜10mmの厚さ、特に6mm〜7mmの厚さを有し且つ石英ガラスでできていてもよい。吸収層125は、1μm〜10μmの幅及び10nm〜100nmの厚さを有する構造要素であり得る。吸収層125は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含み得る。さらに、吸収層は、金属酸化ケイ素又は金属酸窒化ケイ素でできていてもよい。
【0045】
さらに、吸収層は、金属二酸化ケイ素、例えばモリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできていてもよい。
【0046】
吸収層125は、少なくとも部分的に又は完全にモリブデン二酸化ケイ素から形成される。吸収層125はまた、少なくとも部分的に又は完全にモリブデン酸窒化ケイ素から成り得る。
【0047】
吸収層125はまた、少なくとも部分的に又は完全に窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムから成り得る。
【0048】
第2測定構造体121は、図4に示すように、チェス盤パターンの形態の正方形等の種々の構造を有し得る。さらに、第2測定構造体121は、縞、線、又は面の形状の吸収層125を有し得る。
【0049】
選択した実施形態に応じて、他の層、例えば保護層及び/又は反射防止層等を吸収層125に加えて設けることができる。吸着層125は、モリブデン二酸化ケイ素層又はモリブデン酸窒化ケイ素層を含み得る。
【0050】
酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物及び/又は金属酸化ケイ素及び/又は金属酸窒化ケイ素及び/又はモリブデン二酸化ケイ素から、且つ/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又は窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムで少なくとも部分的に形成された第2測定構造体121が、クロム構造体と比べて大幅に長い寿命を有することが試験により示されている。上記材料案はさらに、よりよい構造性(structurability)を与え、したがって格子位置が変位した場合の測定結果の再現性を高める。
【0051】
上記第2測定構造体121は、例えば偏波面の測定に用いることができる。この第2測定構造体121はさらに、例えばモアレベースの歪測定技術に用いることもできる。この第2測定構造体121は、劣化及び透過に関する要件を満たすが、エッジラフネス及び軽微な構造化誤差に関する要件も満たす。
【0052】
第2測定構造121はさらに、迷光計測学の分野で、特に近距離(short-range)迷光の測定に用いることもできる。第2測定構造体121は、特にKirk試験に用いることができる。
【0053】
選択した実施形態に応じて、第1測定構造体111を第2測定構造体121と類似の構造にすることもできる。結果として、第1測定構造体111も吸収層125を有することができる。吸収層125は、酸化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素及び/又は窒化物を含み得る。さらに、吸収層は、金属酸化ケイ素又は金属酸窒化ケイ素でできていてもよい。さらに、吸収層は、金属二酸化ケイ素、例えばモリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素及び/又は窒化クロム及び/又窒化タンタル及び/又は窒化ハフニウムでできていてもよい。
【0054】
吸着層125は、少なくとも部分的にモリブデン二酸化ケイ素及び/又はモリブデン酸窒化ケイ素から成り得る。第1測定構造体111は、図1に示すようなシアリング干渉計の場合には浸漬液中に配置されないが、第1測定構造体111に関しても高い耐劣化性が有利である。モリブデン二酸化ケイ素及びモリブデン酸窒化ケイ素は、二元系金属間化合物層(binary intermetallic layer)と称され得る。
【0055】
例えば、シアリング干渉法を用いて波面測定を行うことができる。選択した実施形態に応じて、第2測定構造体121を像面156の外側に配置することもできる。第2測定構造体121の配置は、用いる測定法に応じて変わる。
【符号の説明】
【0056】
100 投影露光装置
110 第1キャリア
111 第1測定構造体
120 第2キャリア
121 第2測定構造体
125 吸収層
130 検出器
131 顕微鏡対物レンズ
132 検出器素子
140 照明系
150 投影レンズ
151 第1レンズ素子
152 最終レンズ素子
153 瞳
155 物体面
156 像面
160 評価ユニット
170 境界
171 第1液浸空間
176 第2液浸空間
図1
図2
図3
図4