(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
(実施の形態1)
図1〜
図20を用いて、本発明の実施の形態1の自動分析装置について説明する。実施の形態1の自動分析装置は、試薬ボトルの蓋を開閉する蓋開閉機構部を備える。
【0015】
[自動分析装置]
図1は、実施の形態1の自動分析装置である分析装置1の全体の構成を示す。
図1では、水平面であるXY平面に設置された自動分析装置を上(Z方向)から見た平面の構成を示す。なお、説明上の方向及び座標系として(X,Y,Z)を示す。X方向及びY方向は、水平面を構成する直交する方向である。X方向は、装置の横幅の方向に対応する。Y方向は、装置の縦幅の方向に対応する。Z方向は、X方向及びY方向に垂直な鉛直方向であり、装置の高さ方向に対応する。また、水平面において、第1水平方向として、試薬ディスク2の半径方向Rと、第2水平方向として、試薬ディスク2の円周方向Cとを示す。
【0016】
分析装置1は、制御コンピュータ123、ラック搬送部120、インキュベータディスク104、反応容器搬送機構106、反応容器保持部材107、反応容器攪拌機構108、反応容器廃棄孔109、試薬ディスク2、蓋開閉機構部4、試薬分注ノズル114、検出ユニット116等を有する。
【0017】
分析装置1には、制御コンピュータ123や、ラック101を格納するラック搬送部120が接続されており、それらも構成要素とする。制御コンピュータ123は、分析装置1の各機構を制御して、工程の動作を実現する。制御コンピュータ123は、例えば分析依頼情報に基づいて、分析のための工程を制御する。工程は、試薬分注工程等を含む。また、制御コンピュータ123は、ユーザに対するインタフェースを提供する。
【0018】
ラック搬送部120には、分析装置1の電源投入指示部121及び電源切断指示部122を備える。電源投入指示部121及び電源切断指示部122は、例えば、オペレータ(分析装置1を操作するユーザ)が入力操作可能なボタンである。なお、制御コンピュータ123の表示部に、電源投入指示部121及び電源切断指示部122に相当する入力部を備えてもよい。
【0019】
ラック101には、分析のためのサンプル(試料)を保持するサンプル容器102が架設されている。ラック101は、ラック搬送ライン117によって、サンプル分注ノズル103の近傍のサンプル分注位置まで移動される。
【0020】
インキュベータディスク104には、円周部に複数の反応容器105が設置可能であり、円周方向に設置された反応容器105をそれぞれ所定位置まで移動させるための回転運動が可能である。
【0021】
サンプル分注チップ及び反応容器搬送機構106は、X、Y、Zの3軸の各方向に移動可能である。それらは、サンプル分注チップ及び反応容器保持部材107、反応容器攪拌機構108、サンプル分注チップ及び反応容器廃棄孔109、サンプル分注チップ装着位置110、及びインキュベータディスク104の所定箇所の範囲を移動する。これにより、サンプル分注チップ及び反応容器106が搬送される。
【0022】
サンプル分注チップ及び反応容器保持部材107には、未使用の反応容器105及びサンプル分注チップが複数個設置されている。サンプル分注チップ及び反応容器搬送機構106は、サンプル分注チップ及び反応容器保持部材107の上方に移動し、下降して未使用の反応容器105を把持した後、上昇し、更にインキュベータディスク104の所定位置の上方に移動し、下降して、反応容器105を設置する。
【0023】
次いで、サンプル分注チップ及び反応容器搬送機構106は、サンプル分注チップ及び反応容器保持部材107の上方に移動し、下降して、未使用のサンプル分注チップを把持した後、上昇し、サンプル分注チップ装着位置110の上方に移動し、下降して、サンプル分注チップを設置する。
【0024】
サンプル分注ノズル103は、水平面での回転動作、及び鉛直方向の上下移動が可能である。サンプル分注ノズル103は、サンプル分注チップ装着位置110の上方に回動で移動した後、下降して、サンプル分注ノズル103の先端にサンプル分注チップを圧入して装着する。サンプル分注チップを装着したサンプル分注ノズル103は、搬送ラック101に載置されているサンプル容器102の上方に移動した後、下降して、そのサンプル容器102に保持されているサンプルを所定量吸引する。サンプルを吸引したサンプル分注ノズル103は、インキュベータディスク104の上方に移動した後、下降して、インキュベータディスク104に保持されている未使用の反応容器105にサンプルを吐出する。サンプル吐出が終了すると、サンプル分注ノズル103は、サンプル分注チップ及び反応容器廃棄孔109の上方に移動し、使用済みのサンプル分注チップを、サンプル分注チップ及び反応容器廃棄孔109から廃棄する。
【0025】
試薬ディスク2は、ディスク形状を有する容器設置部であり、必要に応じて回転駆動が行われる。試薬ディスク2には、円周部に複数の試薬ボトル3が設置されている。試薬ディスク2は、駆動に基づいて、水平面において鉛直方向の中心軸の周りに回転する。これにより、試薬ディスク2の円周上に配置されている試薬ボトル3が円周方向Cに移動し、工程に応じた所定の位置に配置される。
【0026】
試薬ディスク2は、特に、半径方向Rにおいて例えば3個の容器部を1セットとした試薬ボトル3が設置可能となっている。容器部毎に蓋を有する。円周方向Cにおいて、複数の試薬ボトル3が設置可能となっている。試薬ディスク2や試薬ボトル3における容器の搭載数は、3個等に限らず、他の数も可能である。
【0027】
試薬ディスク2の上部には、カバー2Aが設けられており、ほこり等の侵入が防止されている。また、試薬ディスク2を含む空間部分が所定の温度に保温または保冷されている。即ち、試薬ディスク2を含む空間部分は、保温庫や保冷庫としても機能する。カバー2Aの一部には開口部2Bが設けられており、開口部2Bの近くには蓋開閉機構部4が設けられている。開口部2Bでは、試薬ディスク2の試薬ボトル3の上側が露出する。
【0028】
蓋開閉機構部4は、試薬ボトル3の容器部の蓋を開閉するための機構部である。蓋開閉機構部4は、試薬ディスク2上の所定範囲内にある試薬ボトル3を対象として、選択した対象の容器部の蓋を開閉可能である。
【0029】
試薬分注ノズル114は、水平面での回転動作、及び鉛直方向の上下移動が可能である。試薬分注ノズル114は、カバー2Aの開口部2Bの上方に回動で移動した後に、下降し、試薬分注ノズル114の先端を、蓋開閉機構部4によって開蓋された試薬ボトル3内の試薬に浸漬して、所定量の試薬を吸引する。次いで、試薬分注ノズル114は、上昇した後、インキュベータディスク104の所定位置の上方に回動で移動して、反応容器105に試薬を吐出する。
【0030】
サンプル及び試薬が吐出された反応容器105は、インキュベータディスク104の回転によって所定位置に移動し、サンプル分注チップ及び反応容器搬送機構106によって、反応容器攪拌機構108へと搬送される。反応容器攪拌機構108は、反応容器105に回転運動を加えることで、反応容器105内のサンプルと試薬を攪拌して混和する。これにより、反応容器105内に反応液が生成される。
【0031】
攪拌の終了した反応容器105は、サンプル分注チップ及び反応容器搬送機構106によって、インキュベータディスク104の所定位置に戻される。反応容器搬送機構115は、インキュベータディスク104と検出ユニット116との間で反応容器105を移載する。反応容器搬送機構115は、反応容器105を把持して上昇し、回動によって検出ユニット116に反応容器105を搬送する。その反応容器105は、検出ユニット116内で分析される。反応液が吸引された反応容器105は、インキュベータディスク104の回転によって所定位置に移動する。その反応容器105は、サンプル分注チップ及び反応容器搬送機構106によって、インキュベータディスク104からサンプル分注チップ及び反応容器廃棄孔109の上方に移動し、その廃棄孔から廃棄される。以降では、主に試薬ボトル3及び蓋開閉機構部4について説明する。
【0032】
[試薬ボトル(1)]
図2は、実施の形態1における試薬ボトル3の蓋開閉に係わる構造の概要を斜視で示す。この試薬ボトル3は、ヒンジ部204を支点(回転軸)として蓋3Aを回動させることで蓋3Aが開閉される構造を有する。本構造では、試薬ボトル3は、1つの直方体形状の本体200において、3個の容器部201が1セットとして実装されている。本体200は、試薬ディスク2に対して設置される(後述の
図45)。本体200の内部は、3個の容器部201に対応した3個の空間に分離されている。分離の位置を破線で示す。1個の容器部201の空間は、例えば直方体形状であるが、円筒形状等としてもよい。容器部201内には試薬が入れられている。試薬ボトル3の3個の容器部201には、それぞれ異なる試薬が入っていてもよい。試薬ディスク2上における試薬ボトル3は、半径方向Rに、3個の容器部201が所定の間隔で並んで配置されている。円周方向Cでは、1個の容器部201が配置されている。
【0033】
試薬ボトル3は、本体200、容器部201、開口部202、蓋3A、ヒンジ部204、キャッチ部205、突起3Bを有する。
【0034】
本体200の上部の上面3Pには、容器部201毎に開口部202を有する。開口部202は、分注口であり、例えば円形状である。開口部202は、上面3Pから上に出るように固定されている所定の厚さの凸部に形成されている。
【0035】
容器部201の開口部202毎に蓋3Aが設けられている。蓋3Aは、概略平板形状であり、蓋3Aの上面が概略矩形である。蓋3Aの下面には、開口部202の円形状に対応した円形状を持つキャッチ部205を有する。キャッチ部205は、弾性体等で形成されている。蓋3Aは、閉状態では、開口部202を覆っている。蓋3Aの閉状態では、キャッチ部205が開口部202内にちょうど接触して嵌合している。これにより容器部201が密閉されている。蓋3Aの閉状態では、試薬の蒸発や劣化が防止されている。
【0036】
開口部202を含む凸部毎に、蓋3Aの半径方向Rの一方端(図示の左側)の辺部211がヒンジ部204で接続されている。ヒンジ部204は、円周方向Cに延在しており、回動の回転軸である。蓋3Aの半径方向Rの他方端(図示の右側)の辺部212には、突起3Bを有する。蓋3Aは、ヒンジ部204を通じて、開口部202を含む凸部に対し、所定の角度の範囲内で開閉可能となっている。辺部212及び突起3Bは、蓋3Aの開閉の際に円弧軌道で移動する側である。蓋3Aの開閉方向及び突起3B等の円弧軌道を破線矢印で示す。
【0037】
蓋3Aは、開状態では、開口部202を覆わずに開放している。例えば、右側の#1で示す容器部201は、蓋3Aが閉状態である。左側の#3で示す容器部201は、蓋3Aが開状態である。真ん中の#2で示す容器部201は、蓋3Aが開状態と閉状態との間で遷移する途中の状態を示す。
【0038】
突起3Bは、蓋3Aの開閉に利用される蓋突起部である。1つの蓋3Aの辺部212において、円周方向Cの両端の位置に、突起3Bとして、2つの突起3Ba,3Bbが設けられている。本構造では、突起3Bは、辺部212から円周方向Cに出る円筒形状の凸部としているが、これに限らず可能である。突起3Bは、辺部212を貫通する1本の棒によって構成されてもよい。
【0039】
試薬ボトル3の蓋3Aの向きは、所定の向きとして規定されている。正しい向きでは、半径方向Rにおいて、図示の左側に対応する矢印起点側に、蓋3Aの一方端の辺部211及びヒンジ部204が配置されており、図示の右側に対応する矢印先端側に、蓋3Aの他方端の辺部212及び突起3Bが配置されている。例えば、半径方向Rの左側が、試薬ディスク2の内周側に対応し、半径方向Rの右側が、試薬ディスク2の外周側に対応する。
【0040】
蓋開閉機構部4のアーム5等は、上記試薬ボトル3の突起3Bを含む蓋開閉の構造に対応させた構造を有している(後述の
図4等)。なお、試薬ボトル3は、本構造に限らず、各種の構造が可能である。例えば、本体200内に3個の各々の容器を着脱できる構造でもよい。あるいは、試薬ディスク2に直接的に各々の容器を着脱できる構造でもよい。本体200に搭載する容器部201の数も3個に限らず可能である。
【0041】
[試薬ボトル(2)]
図3は、試薬ボトル3の蓋3Aの詳細として、蓋3Aの開閉の角度等について示す。
図3では、蓋3Aの付近を側面(円周方向C)から見た平面で示す。蓋3Aの開閉の角度を、蓋角度αとする。蓋角度αは、水平面を基準として0度とする。
図3の(A)は、
図2の#1の容器部201に対応する、蓋3Aの閉状態を示し、蓋角度αが0度の状態である。この閉状態では、辺部212が凸部に接触しており、キャッチ部205が開口部202に嵌合している。
【0042】
図3の(B)は、
図2の#2の容器部201に対応する、蓋3Aがある程度開いている状態として、蓋角度αが45度程度の状態を示す。突起3Bの移動の際の円弧軌道222も示す。
【0043】
図3の(C)は、
図2の#3の容器部201に対応する、蓋3Aの開状態を示し、蓋角度αが概略90度(85〜89度程度)の状態である。なお、蓋3Aの開状態は、蓋角度αが90度の状態として規定してもよい。範囲223は、開口部202の幅に対応した範囲であり、蓋3Aの構成部品が存在しない。蓋3Aの開状態では、この範囲223内で、分注ノズル等が鉛直方向で開口部202以下にアクセス可能である。
【0044】
[蓋開閉機構部(1)]
図4以降を用いて、蓋開閉機構部4の詳細を説明する。
図4は、蓋開閉機構部4の構造を斜視で示す。
図4では、主に円周方向Cから見た構成を示す。蓋開閉機構部4は、蓋開閉部40、鉛直駆動部41、水平駆動部42を有する。蓋開閉部40は、大別して、アーム部50、押さえ部60を有する。
【0045】
鉛直駆動部41は、制御に従い、水平駆動部42を、鉛直方向の上下に移動させる。水平駆動部22は、制御に従い、蓋開閉部40を、第1水平方向(半径方向R)の左右に移動させる。第1水平方向(半径方向R)は、
図2の蓋3Aの向きと対応している。なお、鉛直駆動部41や水平駆動部42の構成要素としては公知のモータやベルトコンベア等が適用可能である。
【0046】
アーム部50は、開蓋部であり、基部51、基部52、アーム5を有する。アーム5としては、2本のアーム5a,5bを有する。基部51は、鉛直方向に延在しており、上端が水平駆動部41に連結されている。基部51の途中には、連結ピン309が設けられている。基部51の下端には基部52が固定されている。基部52は、円周方向Cに延在しており、2箇所に2本のアーム5a,5aが固定されている。アーム5は、主に鉛直方向に延在している部品である。アーム5は、円周方向Cにおいて、2本のアーム5a,5bが1組として設けられている。2本のアーム5a,5bの位置は、
図2の蓋3Aの突起3B(2個1組の突起3Ba,3Bb)の位置と対応している。なお、実施の形態1の
図4のアーム5は、後述の第5設計例の構造が適用されている。
【0047】
押さえ部60は、閉蓋部であり、基部61、基部62、押さえ棒6を有する。レール305の一側面に、基部61が可動に連結されている。基部61は、鉛直方向に延在している。基部61の途中にはガイドピン306が設けられている。ガイドピン306は、基部61とガイド304とを連結している部品である。基部61の下端には基部62が固定されている。基部62は半径方向Rに延在している。基部62の右端には、押さえ棒6が固定されている。押さえ棒6は、円周方向Cに延在している。
【0048】
水平駆動部42には、基部51が可動に連結されている。水平駆動部42は、基部51を第1水平方向に移動させる。これにより、基部51に連結されているアーム5が第1水平方向で移動する。また、水平駆動部42には、基板301が固定されている。基板301には、レール302、ガイド304を有する。ガイド304及びレール305は、押さえ棒6を鉛直方向及び第1水平方向で移動させる。レール302には、レール305が可動に連結されている。レール305は、レール302に対して第1水平方向で移動する。
【0049】
基部51及びレール305の第1水平方向の移動により、それらに連結されている押さえ棒6が第1水平方向で移動する。ガイド304には、ガイドピン306を介して、基部61が可動に連結されている。ガイド304は、基板301のうちの孔部として形成されており、押さえ棒6の動きを規制する機能を持つ。孔部は、図示する斜め方向に形成された部分を含む。基部61は、レール306に対して鉛直方向で移動する。基部61は、ガイド304に対して第1水平方向及び鉛直方向を含む斜め方向で移動する。
【0050】
基部51とレール305は、連結ピン309及びばね310を介して連結されている。連結ピン309は、基部61とレール305との間を連結する部品である。基部51とレール305との間、連結ピン309の途中には、ばね310が設けられている。ばね310は、押さえ棒6側のレール305とアーム5側の基部51との間の連結部(連結ピン309の一部)のピッチを一定に保つ。即ち、通常時には、アーム5と押さえ棒6が所定のピッチで所定の位置関係を維持している。ばね310に力が加わって縮んだ時には、アーム5と押さえ棒6との位置関係が変化する。
【0051】
アーム5は、鉛直駆動部41による鉛直方向の駆動及び水平駆動部42による第1水平方向の駆動によって位置が移動する。アーム5の下端部は、第1水平方向の移動に応じて、試薬ボトル3の蓋3Aの突起3Bと接触する(後述の
図6等)。アーム5aが突起3Baと接触すると共に、アーム5bが突起3Bbと接触する。これにより、アーム5の移動と共に蓋3Aが開けられる。
【0052】
押さえ棒6は、蓋3Aを開ける際には蓋3Aが開き過ぎないように蓋3Aの上面を押さえ、蓋3Aを閉じる際には蓋3Aの上面を押さえる役割を持つ部分である。言い換えると、押さえ棒6は、蓋3Aの開閉の際の角度を調整する役割を持つ。押さえ棒6は、状態に応じて、蓋3Aの上面に接触する時もあるし、接触しない時もある。押さえ棒6は、鉛直駆動部41による鉛直方向の駆動及び水平駆動部42による第1水平方向の駆動によって、位置が移動される。押さえ棒6は、各部品を通じて連結されているアーム5に対して、所定の位置関係を有する。押さえ棒6は、基本的には、アーム5の下端部の左斜め上付近の位置にある(
図45等)。
【0053】
[蓋開閉機構部(2)]
図45は、補足として、実施の形態1における蓋開閉機構部4のアーム5及び押さえ棒6、試薬ボトル3、試薬ディスク2等の配置関係の構成例を、円周方向Cから見た平面で概略的に示す。試薬ディスク2の上面の円周部には、試薬ボトル3を投入、設置することができるボトル固定部2Cを有する。ボトル固定部2Cに、試薬ボトル3の本体200が挿入されて、殆ど動かないように固定されている。この状態で、試薬ディスク2の上面よりも上方の位置に、試薬ボトル3の上面3Pが配置されている。その上面3Pから上に、開口部202に対応する凸部や、蓋3Aが出ている。試薬ボトル固定部2C及び試薬ボトル3の上方には、カバー2Aの開口部2Bがある。その開口部2Bを通じて、アーム5や押さえ棒6等が試薬ボトル3にアクセス可能となっている。なお、開口部2Bは、不必要時には閉じた状態にされる。
【0054】
図45では、試薬ボトル3の右側の蓋3Aがアーム5によって少し開いた状態を示す。アーム5のボトル接触部5B(
図5)が、上面3Pに接触または近接している。アーム5の突起接触部5A(
図5)に、突起3Bが接触している。突起接触部5Aに対して斜め左上の位置には、押さえ棒6が配置されている。このアーム5と押さえ棒6との位置関係は、後述の機能を果たすように、好適に設計されている。
【0055】
なお、アーム5及び押さえ棒6の位置や移動量については、分析装置1の設定で調整可能である。それにより、例えば蓋3Aの開閉の度合いも調整可能である。
【0056】
試薬ボトル3は、1個の容器部201による容器として構成されてもよい。試薬ディスク2のボトル固定部2Cには、その1個の容器が設置されてもよい。キャッチ部205を備えない容器も利用可能である。
【0057】
[アーム−第1設計例(1)]
図5は、実施の形態1におけるアーム部50の第1設計例のアーム5の詳細を、主に円周方向Cから見た斜視で示す。アーム5は、大別して、軸部5F、下端部5Dを有する。下端部5Dには、突起接触部5A、ボトル押さえ部5B、挿入部5Cを有する。アーム5は、鉛直方向では長さz0を有する。アーム5は、円周方向Cでは所定の幅y0を有する。その幅y0は、突起3Bの幅、及び上面3Pの一部の幅と対応している。アーム5は、半径方向Rでは、軸部5Fで幅x1を有し、下端部5Dを含む全体で幅x0を有する。
【0058】
突起接触部5Aは、突起3Bと接触する第1面(接触面ともいう)を含む部分である。第1面は平面である。第1面は、水平面に対して成す角度θを有する。角度θは、水平面を0度として、0度よりも大きく90度よりも小さい。
図5の構造では、角度θに関する第1設計例として、60度程度とした場合を示す。突起接触部5Aは、軸部5Fから横に幅x2で出ている。突起接触部5Aは、鉛直方向の長さz2を有する。
【0059】
ボトル押さえ部5Bは、試薬ボトル3の上面3Pと接触または近接する第2面を含む部分である。第2面は、平面であり、水平面に対して0度であり、幅x3を有する。
【0060】
挿入部5Cは、突起接触部5Aとボトル接触部5Bとの間にある、平面(第3面)を含む部分であり、突起3Bの下側に挿入される部分である。挿入部5Cは、幅x4を有し、鉛直方向の長さz3を有する。水平面に対する第3面の角度は、90度よりも大きい角度としているが、90度にしてもよい。突起接触部5Aと挿入部5Cとの接続箇所である先端部5Eは、第1水平方向で最も左にあり、突起3Bに最初に接触する部分である。
【0061】
なお、ボトル押さえ部5B及び挿入部3Cは、平面形状を持つとしたが、これに限らず、曲面形状を持つようにしてもよい。
【0062】
[アーム−第1設計例(2)]
図6は、蓋3Aの開閉の際に、第1設計例のアーム5の下端部5Dの突起接触部5Aと蓋3Aの突起3Bとが接触している状態の例を斜視で示す。鉛直駆動部41による鉛直方向の駆動によって、アーム5が下降し、ボトル押さえ部5Bが上面3Pに接触または近接する。上面3Pの高さ位置を位置Z0で示す。また、水平駆動部42による第1水平方向の駆動によって、下端部5Dが第1水平方向(半径方向R)の左に移動し、突起接触部5Aの第1面が突起3Bと接触する。第1水平方向における先端部5Eの位置を位置Xaで示す。アーム5の第1水平方向の移動に伴い、突起3Bは、突起接触部5Aの第1面に沿って鉛直方向の上へ円弧軌道で移動する。この際、第1面が角度θを持つことから、アーム5が水平移動する力が、突起3Bを鉛直方向の上に押し上げる力に変換される。これにより、突起3Bが第1面に沿って接触しながら、鉛直方向の上に押し上げられる。これに伴って蓋3Aが開く。
【0063】
また、この開蓋の際、試薬ボトル3の本体には、蓋3Aを通じて、鉛直方向の上に力が働くが、試薬ボトル3の上面3Pの一部面には、接触しているボトル押さえ部5Bによって鉛直方向の下へ押さえる力が働く。そのため、突起3Bの鉛直方向の上への移動に伴い、試薬ボトル3自体が鉛直方向の上に浮き上がることは無い。
【0064】
[アーム−第2設計例]
図7は、実施の形態1の変形例として、第2設計例のアーム5の構造を示す。
図7では、蓋3Aの開閉の際にアーム5の下端部5Dの突起接触部5Aと蓋3Aの突起3Bとが接触している状態の例を、円周方向Cから見た平面で示す。第2設計例のアーム5では、角度θが、
図5の第1設計例の角度θよりも小さく、45度程度とした場合を示す。
【0065】
図5及び
図6に対し、
図7に示すように、角度θが小さいほど、突起3Bを押し上げるために必要な力が少なくて済む利点がある。ただし、蓋3Bを開けるのに必要な第1水平方向の移動距離及び突起接触部5Aの第1面の幅x2は、より大きくなる。これにより、アーム5の小型化の点では不利である。
【0066】
[アーム−第3設計例]
図8は、実施の形態1の変形例として、第3設計例のアーム5の構造を示す。
図8では、同様に、アーム5と突起3Bとが接触している状態の例を示す。第3設計例のアーム5では、角度θが、
図5の第1設計例の角度θよりも大きく、75度程度とした場合を示す。
【0067】
図5及び
図6に対し、
図8に示すように、角度θが大きいほど、突起3Bを押し上げるために必要な力が大きくなるので、その点は不利である。その代わり、蓋3Bを開けるのに必要な第1水平方向の移動距離及び突起接触部5Aの幅x2は、より小さくなる。これにより、アーム5の小型化の点では有利である。
【0068】
[アーム−第4設計例]
図9は、実施の形態1の変形例として、第4設計例のアーム5の構造を示す。
図9では、同様に、アーム5と突起3Bとが接触している状態の例を示す。第4設計例のアーム5は、突起接触部5Aの接触面において、2段階の角度を持つように2段階の平面部を有する。突起接触部5Aにおける2つの平面として、図示の左から右への方向で、第1平面5A1及び第2平面5A2を有する。第1平面5A1は角度θ1を有する。第2平面5A2は角度θ2を有する。角度θ1及び角度θ2は、0度よりも大きく90度よりも小さい。角度θ1よりも角度θ2の方が大きい。角度θ1は例えば45度程度、角度θ1は例えば75度程度とした場合を示す。
【0069】
工程において蓋3Aを開ける動作の際に、最も負荷がかかるのは、突起接触部5Aの面が突起3Bと接触した直後から、試薬ボトル3のキャッチ部205が開口部202から離れるまでの間である。これは、蓋3Aが水平方向に閉じられた閉状態から、鉛直方向に開いた開状態になるまでの間の時間においては、初期の時間(第1時間とする)に相当する。ゆえに、本構造のように、その初期の時間(第1時間)とそれ以降の時間(第2時間とする)とで、接触面の角度θを変化させた構造が有効なものとして挙げられる。本構造により、突起3Bを押し上げるために必要な力を小さくしてアーム5への負荷を低減すること、かつアーム5を小型化すること、の両方の観点の効果をバランスよく満たすことができる。
【0070】
第1時間に対応して接触する部分である第1平面5A1では、アーム5にかかる負荷を低減させるために、角度θ1が相対的に小さい角度に設計されている。第2時間に対応して接触する部分である第2平面5A2では、アーム5にかかる負荷が少ないため、アーム5を小型化させるために、角度θ2が相対的に大きい角度に設計されている。アーム5への負荷を低減し、かつアーム5を小型化するための他の構造としては、以下の第5設計例のアーム5も挙げられる。
【0071】
[アーム−第5設計例(1)]
図10は、実施の形態1で適用している第5設計例のアーム5の構造を示す。
図10では、同様に、アーム5と突起3Bとが接触している状態の例を示す。第5設計例のアーム5は、突起接触部5Aの接触面の角度θの設計として、角度θが次第に増加する曲面を有する場合である。
図10の円周方向Cから見た平面では、突起接触部5Aの接触面は、曲線形状を有する。この曲線は、図示の左(先端部5Eに対応する)から右(軸部5Fに対応する)への方向で、角度θが所定の角度(例えば45度程度)から次第に増加して鉛直の90度に近付くような曲線である。
【0072】
蓋3Aを開ける動作の際、第1時間では、突起3Bと突起接触部5Aの曲面との接触角度が相対的に小さいため、アーム5にかかる負荷が低減される。一方、第2時間では、アーム5にかかる負荷が少ない。よって、突起3Bと曲面との接触角度が大きくなるものの、蓋3Aを開くことができ、かつアーム5の小型化も可能となる。
【0073】
[アーム−第5設計例(2)]
図46は、補足として、実施の形態1における1組のアーム5(5a,5b)が蓋3Aの1組の突起3B(3Ba,3Bb)と接触している状態の例を斜視で概略的に示す。円周方向Cのアーム5の数や形状は、蓋3Aの突起3Bの数や形状と対応して設計されている。蓋3Aの円周方向Cの幅が幅h1である。2本のアーム5a,5bの間隔が間隔y1である。h1<y1である。蓋3Aから円周方向Cに出ている突起3Bの幅が幅h2である。アーム5の幅y0は、突起3Bの幅h2と殆ど同じとしているが、これに限らず、y0<h2としてもよいし、y0>h2としてもよい。
【0074】
なお、突起3Bの断面が円形であり、突起接触部5Aが曲面を持つため、アーム5の先端部5Eが突起3Bの下側に挿入されやすいと共に、突起3Bが突起接触部5Aの第1面に沿って移動しやすい。
【0075】
アーム5の構造の変形例としては、基部や軸部5Fから円周方向Cに延在する部分を有し、その部分に突起接触部5Aやボトル押さえ部5Bを設けてもよい。その場合、2本のアーム5a,5bの間隔は、より広くとることができる。
【0076】
[押さえ棒]
押さえ部60の押さえ棒6に関する構造の詳細として以下である。実施の形態1での押さえ棒6は、
図4のように、基部62から手前側の円周方向Cに出るように延在しており、断面が円形の棒状である。押さえ棒6の円周方向Cの長さは、蓋3Aの円周方向Cの幅よりも大きい。押さえ棒6のうちの一部が、蓋3A(突起3B以外の部分)の上面に接触する。
【0077】
押さえ棒6は、本構造に限らず、実施の形態1の変形例として、以下のような構造も可能である。変形例における押さえ棒6は、基部62から円周方向Cに延在している棒状部と、その棒状部から鉛直方向の下に出る突起部とを有してもよい。この突起部は、蓋3Aの上面に接触する部分である。この突起部の形状は各種可能である。この突起部の円周方向Cの幅は、蓋3Aの円周方向Cの幅と対応している。この突起部の下端は例えば断面が半円形状とする。
【0078】
[蓋開閉(1−1)]
次に、
図11〜
図17を用いて、分注工程の際に蓋開閉機構部4が試薬ボトル3の蓋3Aを開いてから閉じるまでの一連の流れの動作等を説明する。なお、第5設計例のアーム5を用いる場合で説明するが、他の構造でも同様に可能である。分注工程の概要としては以下である。(1)分析装置1は、分注の直前に、蓋開閉機構部4により、対象の試薬ボトルの容器部201の閉状態の蓋3Aを開ける(「開蓋動作」)。(2)分析装置1は、蓋3Aが開状態の対象の容器部201に、分注ノズル等をアクセスし、試薬を吸引する。(3)分析装置1は、分注の直後に、蓋開閉機構部4により、対象の試薬ボトルの容器部201の開状態の蓋3Aを閉じる(「閉蓋動作」)。まず、対象の蓋3Aを開ける開蓋動作について説明する。
【0079】
図11は、蓋開閉機構部4の最初の第1動作及び第1状態を示す。試薬ボトル3の蓋3Aが閉状態である。所定位置に試薬ボトル3及び蓋3Aが正しい向きで設置されている。試薬ボトル3は、蓋開閉機構部4の直下に配置されている。蓋開閉機構部4は、蓋開閉部40を、対象の試薬ボトル3の容器部201及び蓋3Aの直上に位置させるように、予め鉛直方向及び第1水平方向の駆動を行っている。本例では、第1水平方向(半径方向R)において、試薬ボトル3の図示の右側の容器部201の蓋3Aを対象とする。そのため、その直上にアーム5及び押さえ棒6が配置されている。第1状態で、第1水平方向におけるアーム5の先端部5Eの位置を位置X1で示す。位置X1は、突起3Bの位置よりも少し右にある。
【0080】
円周方向Cでは、1組の突起3B(3Ba,3Bb)の位置に対応する位置に1組のアーム5(5a,5b)が配置されている。押さえ棒6は、アーム5に対して一定の位置関係の位置にある。押さえ棒6は、下端部5Dの突起接触部5Aの左斜め上付近に配置されている。試薬ボトル3の上面3Pの高さ位置を基準として位置Z0で示す。アーム5の下端部5Dの下面(ボトル押さえ部5B)の高さ位置を位置Z1で示す。突起3Bの高さ位置を位置Zbで示す。高さ位置関係として、Z0<Zb<Z1である。
【0081】
[蓋開閉(1−2)]
図12は、第2動作及び第2状態を示す。第2状態で、アーム5の先端部5Eの位置は同じく位置X1である。蓋開閉機構部4は、第1状態から、まず、鉛直駆動部41により、アーム部50のアーム5及び押さえ部60の押さえ棒6を、鉛直方向の下に移動させる。これにより第2状態となる。第2状態では、アーム5の下端部5Dの下面であるボトル押さえ部5Bが、試薬ボトル3の上面3Pの一部面に接触または近接し、殆ど位置Z0に達する。また、この動作でアーム5が下降する際には、下端部5Dが突起3B等に接触しない。
【0082】
[蓋開閉(1−3)]
図13は、第3動作及び第3状態を示す。第3状態で、第1水平方向におけるアーム5の先端部5Eの位置を位置X3で示す。位置X3は、突起3Bの位置に近い位置である。蓋開閉機構部4は、水平駆動部32によりアーム5及び押さえ棒6を、ボトル押さえ部5Bと上面3Pが接触または近接したまま、第1水平方向(半径方向R)の左に移動させる。これにより、下端部5Dの突起接触部5Aが、試薬ボトル3の右側の容器部201の蓋3Aの突起3Bと接触する。そして、この水平移動に伴い、突起3Bが突起接触部5Aの第1面に沿って接触しながら鉛直方向の上に円弧軌道で移動する。これに伴い、蓋3Aが次第に開く。
【0083】
[蓋開閉(1−4)]
図14は、第4動作及び第4状態を示す。蓋開閉機構部4は、同様に、アーム5及び押さえ棒6を更に左に移動させている。第4状態で、第1水平方向におけるアーム5の先端部5Eの位置を位置X4で示す。位置X4は、突起3Bの位置よりも少し左の位置である。第3状態から第4状態のように、アーム5と突起3Bとの接触直後から試薬ボトル3のキャッチ部205が開口部202から離れるまでの第1時間では、蓋3Aを開くために要する力が大きい。そのため、蓋開閉機構部4は、第1時間では、水平駆動部42を、トルクを優先するために、低速で駆動させる。第4状態では、試薬ボトル3のキャッチ部205が開口部202から離れている。蓋開閉機構部4は、第4状態の後の第2時間では、水平駆動部42を、相対的に高速で駆動してもよい。
【0084】
[蓋開閉(1−5)]
図15は、第5動作及び第5状態を示す。蓋開閉機構部4は、同様に、アーム5及び押さえ棒6を更に左に移動させている。第5状態で、蓋3Aは開状態(角度θが85度〜89度程度)であり、開口部202が露出している。第5状態で、第1水平方向におけるアーム5の先端部5Eの位置を位置X5で示す。位置X5は、突起3Bの位置よりも左の位置であり、絶対的には次の真ん中の容器部201の蓋3Aの突起3Bに近い位置になっている。突起3Bは、アーム5の第1面を経由して、軸部5Fの側面に達している。
【0085】
上記閉状態(第1状態)から開状態(第5状態)までの開蓋動作の間、アーム5に対して連結されている押さえ棒6は、アーム5に押し上げられた蓋3Aが開き過ぎないように、ガイド304によって鉛直方向の上及び第1水平方向の左に移動している。即ち、押さえ棒6は、ガイド304の形状に沿って斜め左上に移動している。これにより、押さえ棒6は、常に蓋3Aの上面の近傍に配置されている。蓋3Aは、押さえ棒6によって動きが規制されて、開き過ぎないようにされている。
【0086】
[蓋開閉(1−6)]
図16は、第6動作及び第6状態を示す。蓋開閉機構部4がアーム5及び押さえ棒6を更に左に移動させた場合を示す。第6状態で、アーム5の先端部5Eの位置X6は、第5状態の位置X5よりも更に少し左である。蓋3Aは、殆ど90度の開状態である。
【0087】
第5状態や第6状態のように蓋3Aを開けた後には、蓋3Aが開き過ぎること(角度θが90度よりも大きくなること)を防止するために、押さえ棒6と蓋3Aの上面との距離が離れないようにする必要がある。そこで、押さえ棒6が第1水平方向に一定量以上では移動しないように、ガイド304によって押さえ棒6の動作が規制されている。この際、
図16のように、押さえ棒6に対して連結されているアーム5の動作が規制されないように、押さえ棒6とアーム5との間の連結ピン309のばね310が縮む。これにより、アーム5の動きが阻害されない。上記のようにして、蓋3Aを開き過ぎない状態で開けることができる。
【0088】
上記第5状態または第6状態のような蓋3Aの開状態で、試薬分注が行われる。第5状態または第6状態のいずれを採用してもよい。試薬分注では、分注ノズルや撹拌棒等を用いて、容器部201内の試薬の撹拌や吸引等が行われる。分析装置1は、例えば対象の開口部202の上方から分注ノズルを下降させて、分注ノズルの下端を開口部202よりも下の試薬に浸漬させて、試薬を吸引した後、上昇させる。
【0089】
[蓋開閉(1−7)]
次に、蓋3Aを閉じる閉蓋動作について説明する。
図17は、第7動作及び第7状態を示す。蓋開閉機構部4は、閉蓋動作の際、第5状態または第6状態のような開状態から、水平駆動部41により、アーム5及び押さえ棒6を、第1水平方向における開蓋時の方向(右から左への方向)とは逆方向(左から右への方向)に移動させる。これにより例えば第7状態となる。第7状態では、蓋3Aがある程度閉じた状態を示す。アーム5の先端部5Eの位置を位置X7で示す。位置X7は、突起3Bの近くの位置である。
【0090】
この移動の際、ガイド304によって押さえ棒6が鉛直方向の下及び第1水平方向の右に移動し、蓋3Aの上面と接触する。これに伴い、押さえ棒6から蓋3Aの上面に押さえる力が働く。蓋3Aは、ヒンジ204を支点にして回動によって次第に閉じられる。また、第7状態以降では、蓋3Aの下側のキャッチ部205が開口部202に接触して迎合する。押さえ棒6は、ガイド304に沿って一定量まで下降した後には、右に移動する。
【0091】
所定量の水平移動により、蓋3Aは、前述の第1状態と同様の閉状態になる。蓋開閉機構部4は、水平駆動部42によってアーム5及び押さえ棒6を、突起3Bと干渉しない位置である所定位置(位置X1)まで移動させる。その後、蓋開閉機構部4は、鉛直駆動部41によりアーム5及び押さえ棒6を鉛直方向の上に上昇させて、所定位置に戻す。その上昇の際に、アーム5及び押さえ棒6は蓋3Aや突起3Bに接触しない。以上が蓋開閉の一連の流れである。試薬ボトル3の他の蓋3Aを開閉する場合には、第1水平方向の位置を変えて上記動作を同様に行えばよい。
【0092】
[効果等]
上記のように、実施の形態1の自動分析装置によれば、分注等の前後の試薬ボトル3の蓋3Aの開閉を、従来よりも簡素な構造かつ少ない駆動数で実現できる。実施の形態1の分析装置1は、水平駆動を用いて、試薬ボトル3の複数の蓋3Aの開閉を、選択した1個の蓋3Aを対象として1個ずつ同様に行うことができる。実施の形態1における蓋開閉は、従来技術例のようにフックの回動によって蓋を開閉する構造よりも簡素な構造で実現でき、複数の各々のフックを駆動するための駆動部も不要である。即ち、比較的低コストで高性能の分析装置を実現できる。
【0093】
[変形例−ボトル浮き上がり抑制機構]
実施の形態1の変形例として以下が可能である。実施の形態1では、開蓋時に試薬ボトル3の浮き上がりを防止できるように、アーム5にボトル押さえ5Bが設けられている。これに限らず、別の構造を用いて、試薬ボトル3の浮き上がりを抑制する方式が可能である。
【0094】
図18は、実施の形態1の変形例の分析装置1として、蓋開閉機構部4に、ボトル浮き上がり抑制機構を追加した構造を示す。この蓋開閉機構部4は、前述の構成要素に加え、浮き上がり抑制部43を有する。浮き上がり抑制部43は、試薬ボトル3に対して半径方向Rの右側に配置される第1抑制部43aと、半径方向Rの左側に配置される第2抑制部43bとを有する。浮き上がり抑制部43は、左右の部分で同様の構造である。
【0095】
また、この蓋開閉機構部4では、アーム5の下端部5Dの構造が前述の構造とは異なっている。下端部5Dは、前述と同様の突起接触部5Aを有するが、ボトル押さえ部5Bや挿入部5Cを有さず、下面が平面となっている。ちょうど、突起接触部5Aの先端部5Eの位置から下の部分を無くした構造を有する。この下端部5Dの下面は、試薬ボトル3の上面3Pには接触しない。アーム5の突起接触部5Aが突起3Bと接触することで蓋3Aを開ける点は実施の形態1と同様である。
【0096】
浮き上がり抑制部43は、詳しくは、ボトル押さえ部431、レール432、駆動部433を有する。駆動部433は、各部品を駆動させる。ボトル押さえ部431は、前述のボトル押さえ部5Bの代わりに、試薬ボトル3の上面3Pの一部面を押さえる部分である。ボトル押さえ部431は、例えば上面3Pにおける蓋3Aの周りの三辺の部分を押さえられるように、平板の一部を切り欠いた凹形状を有する。レール432は、ボトル押さえ部431を第1水平方向で移動可能とする。これにより、ボトル押さえ部431が上面3Pを押さえる状態と押さない状態とで切り替え可能とする。
図18では、第1状態として、ボトル押さえ部431が上面3Pを押さえていない状態を示す。
【0097】
この変形例の蓋開閉機構部4によって蓋3Aを開ける動作について以下である。
【0098】
図19は、ボトル浮き上がり抑制機構に関する第2状態を示す。第2状態として、ボトル押さえ部431が上面3Pを押さえている状態を示す。まず、浮き上がり抑制部43は、
図18の第1状態から、駆動部433により各部を第1水平方向で駆動させて、ボトル押さえ部431を、試薬ボトル3の上面3Pの一部面を覆う第2状態にする。左右の両方のボトル押さえ部431の先端の凹部が、上面3Pの左右の一部面を覆う。なお、この際、制御としては、実施の形態1と同様に、ボトル押さえ部431が上面3Pに接触する状態としてもよいし、接触せずに余裕距離を持って近接する状態としてもよい。
【0099】
図20は、ボトル浮き上がり抑制機構に関する第3状態を示す。第3状態では、第1水平方向におけるアーム5の下端部5Dの位置がより左の位置になっている。蓋開閉機構部5は、前述と同様に、水平駆動部42によりアーム5等を第1水平方向の左に移動させる。下端部5Dの先端部は、突起3Bとボトル押さえ部431との間の高さ位置に挿入される。これに伴い、突起接触部5Aの第1面(本例では曲面)が突起3Bと接触し、突起3Bが第1面に沿って上に押し上げられて移動する。これにより蓋3Aが次第に開く。
【0100】
この際、試薬ボトル3の本体200には、蓋3Aを通じて、鉛直方向の上への力が働いている。この際、試薬ボトル3の上面3Pは、ボトル押さえ部431の下面に接触して押さえられている。そのため、突起3Bの鉛直方向の上への移動に伴い、試薬ボトル3の本体200が鉛直方向の上に浮き上がることが無い。閉蓋動作についても前述と同様である。蓋3Aが閉状態になった後、蓋開閉機構部4は、ボトル押さえ部431を、上面3Pを覆わない第1状態に戻す。
【0101】
(実施の形態2)
図21〜
図28を用いて、本発明の実施の形態2の自動分析装置について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。自動分析装置に高い処理能力が求められる場合、試薬ボトル3の蓋3Aを複数箇所同時に開けて、複数個の分注ノズルを用いて同時に分注を行う場合が発生する。このような場合に対応可能とするために、実施の形態2の分析装置1では、試薬ボトル3の複数の蓋3Aを同時に開閉できる蓋開閉機構部4を備える。実施の形態2では、特に、試薬ボトル3の3個の容器部201に対応する3個の蓋3Aを同時に開閉する場合を示す。なお、この同時数は、3個に限らず可能であり、例えば2個の蓋3Aを同時に開閉する形態や、4個以上の蓋3Aを同時に開閉する形態も可能である。
【0102】
[蓋開閉機構部]
図21は、実施の形態2における蓋開閉機構部4の構造を示す。対象の試薬ボトル3の構造は実施の形態1(
図2)と同様であり、3個の蓋3Aが同時開閉の対象である。蓋開閉部40は、実施の形態1とは異なる構造のアーム部50及び押さえ部60を有する。アーム部50は、実施の形態1の2本で1組のアーム5(5a,5b)を、第1水平方向において所定間隔で3組備えている。即ち、アーム部50は合計6本のアーム5を備えている。各組のアーム5は同様の形状である。アーム5は、前述の第5設計例の構造の場合を示し、突起接触部5Aに曲面を持つ。
【0103】
押さえ部60は、実施の形態1の押さえ棒6を、第1水平方向において所定間隔で3個備えている。各押さえ棒6は同様の形状であり、それぞれ対応するアーム5との位置関係を持つ。第1水平方向に延在する基部62において所定間隔の3箇所の位置から円周方向Cに3本の押さえ棒6が出るように固定されている。3組のアーム5及び3本の押さえ棒6は、試薬ボトル3の3個の蓋3Aに対応して設けられている。
【0104】
基部52は、水平面に対応した基板形状を有する。基部52の下面の6箇所に、6本のアーム5が固定されている。基部52には、アーム5間の位置に開口部53が2箇所で設けられている。開口部53は、試薬分注時に蓋開閉部40と分注ノズル等との接触等の干渉を防ぐために設けられている、通過穴部である。分注ノズル等を、開口部52Aを通過するようにして試薬ボトル3の開口部202にアクセス可能となっている。
【0105】
[蓋開閉(2−1)]
次に、蓋開閉機構部4が試薬ボトル3の蓋3Aを開いてから閉じるまでの一連の流れを説明する。
図21では最初の第1動作及び第1状態を示す。この状態では、試薬ボトル3の3個の閉状態の蓋3Aの直上の対応する位置に、3組のアーム5及び3本の押さえ棒6が配置されている。なお、1組のアーム5及び1本の押さえ棒6の単位でみると、実施の形態1と同様である。右側の1組のアーム5の先端部5Eの位置X1を示す。
【0106】
[蓋開閉(2−2)]
図22は、第2動作及び第2状態を示す。蓋開閉機構部4は、第1状態から、鉛直駆動部41によりアーム5及び押さえ棒6を鉛直方向の下に移動させて、第2状態とする。第2状態では、アーム5の下面であるボトル押さえ部5Bの高さ位置が、試薬ボトル3の上面3Pの位置Z0と殆ど同じになっている。なお、この際、3組のアーム5のうち右側の1組のアーム5については、上面3Pと接触していなくてもよい。
【0107】
第1水平方向における3組のアーム5の位置及び間隔(ピッチ)は、上下移動時に蓋3Aや突起3Bと接触しないように設計されている。アーム5の下端部5Dの第1水平方向の幅(
図5の幅x0)は、突起3B間の間隔の幅よりも小さい。
【0108】
[蓋開閉(2−3)]
図23は、第3動作及び第3状態を示す。蓋開閉機構部4は、第2状態から、水平駆動部42によりアーム5及び押さえ棒6を第1水平方向の左へ移動させる。これにより第3状態となる。第3状態では、アーム5の先端部5Eの位置X3は、突起3Bの付近の位置である。水平移動に伴い、3組のアーム5の突起接触部5Aは、それぞれ対応する突起3Bと同時に接触する。そして、移動に伴い、各突起3Bが各第1面に沿って同様に移動することで、各蓋3Aが次第に開く。第1時間では、水平駆動として低速駆動される。
【0109】
[蓋開閉(2−4)]
図24は、第4動作及び第4状態を示す。蓋開閉機構部4は、第3状態から、更に水平駆動によってアーム5及び押さえ棒6を左へ移動させる。これにより第4状態になる。第4状態では、アーム5の先端部5Eの位置X4は、突起3Bよりも少し左側の位置となっている。水平移動に伴い、各突起部3Bが各第1面に沿って同様に移動する。
【0110】
[蓋開閉(2−5)]
図25は、第5動作及び第5状態を示す。蓋開閉機構部4は、第4状態から、更に水平駆動によってアーム5及び押さえ棒6を左へ移動させる。これにより第5状態になる。第5状態では、蓋3Aが開状態(85度〜89度程度)であり、開口部202が露出している。第5状態では、各突起3Bは、各第1面を通過して軸部5Fの側面に達している。
【0111】
[蓋開閉(2−6)]
図26は、第6動作及び第6状態を示す。第6状態は、第5状態から更に蓋3Aが開いた開状態(殆ど90度)の場合を示す。
【0112】
上記開蓋動作の際、実施の形態1と同様に、各アーム5に対して連結されている各押さえ棒6は、各蓋3Aが開き過ぎないように、ガイド304に沿って移動することで、常に各蓋3Aの上面の近傍に配置されている。また、各アーム5は、連結ピン309のばね310の縮みによって、動作が阻害されないようにされている。
【0113】
第5状態や第6状態では、基部52の開口部53の鉛直方向の下方で、開口部202の少なくとも一部の領域が重なって存在している。そのため、分注ノズル等の先端を、鉛直方向の下に移動させて、開口部53を通過させて、蓋3Aやアーム5及び押さえ棒6等に接触せずに、開口部202より下の試薬にアクセスが可能である。
【0114】
[蓋開閉(2−7)]
図27は、第7動作及び第7状態を示す。第7状態は、分注動作の際の状態を示す。本例では、3本の分注ノズル71を用いて、試薬ボトル3の3個の容器部201の試薬を吸引する場合を示す。分析装置1は、分注ノズル71を用いた分注動作を前述用のように制御する。本例では、試薬ボトル3は、第6状態のように蓋3Aの蓋角度αが90度の開状態であり、第6状態において分注(試薬吸引)を行う場合を示す。これに限らず、第5状態のような開状態でも同様に分注が可能である。
【0115】
分析装置1の制御に基づいて、試薬ボトル3の開状態で、分注ノズル71の下端部71Aが、鉛直方向の上から、アーム部50の開口部53を通過するように下降し、開口部202を通じて容器部201内に入り、試薬に浸漬される。下端部71Aから容器部201内の試薬が吸引される。なお、本例では、先に左側の容器部201内に左側の分注ノズル71がアクセスし、次に真ん中の容器部201内に真ん中の分注ノズル71がアクセスし、最後に右側の容器部201内に右側の分注ノズル71がアクセスする場合を示すが、これに限らず可能である。右側の分注ノズル71は、開口部53を通過する必要無くアクセス可能である。
【0116】
[蓋開閉(2−8)−比較例]
図28は、実施の形態2に対する比較例の構成における分注の動作及び状態を示す。この比較例では、押さえ部60の押さえ棒6が設けられていない構造である。この構造の場合、あるいは押さえ棒6と蓋3Aの上面との距離が離れている構造の場合、
図28の状態のように、蓋3Aが開きすぎてしまう場合が発生する。
図28の例では、蓋3Aの蓋角度αが90度よりも大きい状態(120度程度)となっている。この場合、分注ノズル71が下降する際に、右側の蓋3A以外の箇所では、開き過ぎた状態の蓋3Aと接触してしまい、開口部202にアクセスできず、試薬分注ができない。
【0117】
[蓋開閉(2−9)]
実施の形態2で試薬ボトル3の蓋3Aを閉じる閉蓋動作については以下である。この際の状態の例としては
図23と同様であり省略する。蓋開閉機構部4は、水平駆動部42により押さえ棒6及びアーム5を、開蓋の際の第1水平方向とは逆方向に移動させる。この際、ガイド304によって各押さえ棒6が鉛直方向や第1水平方向に移動し、各蓋3Aの上面と接触し、各蓋3Aを押さえる。移動に伴い、各蓋3Aのキャッチ部205が開口部202に迎合し、3箇所の蓋3Aが同時に閉じられる。蓋開閉機構部4は、アーム5を突起3Bと干渉しない所定位置まで移動した後、アーム5及び押さえ棒6を鉛直方向の上に移動させる。
【0118】
[効果等]
上記のように、実施の形態2の自動分析装置によれば、複数の容器部201の蓋3Aを同時に開閉する場合にも、比較的簡素な構造かつ少ない駆動数で実現できる。
【0119】
(実施の形態3)
図29〜
図34を用いて、本発明の実施の形態3の自動分析装置について説明する。実施の形態2では、試薬ボトル3の複数の蓋3Aを同時に開閉する機構を示した。ただし、複数個、例えば3箇所の蓋3Aを同時に開閉する場合、アーム5及び水平駆動部42の負荷が比較的大きくなる。そのため、アーム5及び水平駆動部42には、その負荷に耐えられる機能が必要となる。実施の形態1や実施の形態2のように、アーム5と突起3Bとの接触部分(突起接触部5A)の構造によって、その負荷をある程度までは低減できる。しかし、その接触部分の構造によっても、その負荷に耐えられない場合には、実施の形態3で示す構造が有効なものとして挙げられる。
【0120】
実施の形態3の分析装置1では、複数組の各アーム5の長さを変えた構造である。この構造により、アーム5と突起3Bを、複数(3箇所)同時ではなく、個別に異なるタイミングで接触させる。これにより、アーム5及び水平駆動部42への負荷(同時点でかかる負荷)を低減させながら、水平駆動部42の1回の動作(第1水平方向の移動)によって、試薬ボトル3の複数の蓋3Aを、タイミングをずらして順次に開閉できる。実施の形態3における蓋開閉機構部4では、アーム部50の3組の3箇所のアーム5における各々の下端部5Dの第1水平方向の長さが異なる。
【0121】
[蓋開閉機構部]
図29は、実施の形態3における蓋開閉機構部4の構造を示し、第1動作及び第1状態を示す。蓋開閉機構部4は、蓋開閉部40のアーム部50において、基部52に固定されている3組のアーム5として、アーム5I,5J,5Kを有する。3組のアーム5は、第1水平方向(半径方向R)において、図示の右から左へ順に、右側の第1(第1組)のアーム5I、真ん中の第2(第2組)のアーム5J、左側の第3(第3組)のアーム5Kを有する。各組のアーム5は、円周方向Cでは同じ形状の2つのアーム5a,5bを有する点は同じである。各組のアーム5は、下端部5Dにおいて、突起接触部5A及びボトル押さえ部5Bの第1水平方向の幅(
図5での幅x0)が異なる。また、各突起接触部5Aは、角度θや形状が異なる。
【0122】
また、説明上、試薬ボトル3の3個の容器部201(#1〜#3)の3個の蓋3Aについて、第1水平方向で、右から左へ順に、右側の第1の蓋3A1、真ん中の第2の蓋3A2、左側の第3の蓋3A3とする。また、突起3Bを、右側の第1の突起3B1、真ん中の第2の突起3B2、左側の第3の突起3B3とする。
【0123】
アーム5I,5J,5Kの第1水平方向の長さは、工程の際にアーム5と突起3Bを接触させる順番に応じて変えられている。本例では、3個の容器部201の#1,#2,#3の順番に対応する蓋3A1,3A2,3A3の順番で蓋3Aを開けるように、アーム5と突起3Bを接触させる。アーム部50は、所定位置から鉛直駆動によって下降された後、水平駆動によって第1水平方向で右から左へ移動される。この際、まず、第1時点で、右側のアーム5I(下端部5Dの突起接触部5A)と右側の蓋3A1の突起3B1とを接触させる。次に、第2時点で、真ん中のアーム5Jと真ん中の蓋3A2の突起3B2とを接触させる。最後に、第3時点で、左側のアーム5Kと左側の蓋3A3の突起3B3とを接触させる。
【0124】
そのため、接触の順番であるアーム5I,5J,5Kの順に、その第1水平方向の長さが大から小に変わるように設計されている。アーム5Iは、第1長さL1を有し、アーム5Jは、第2長さL2を有し、アーム5Kは、第3長さL3を有する。L1>L2>L3である。最初に接触するアーム5Iの長さが、他の2つのアーム5J,5Kよりも長く、最後に接触するアームKの長さが一番短い。
【0125】
アーム5Iの突起接触部5Aの接触面は、特に、2段階の角度θによる2段階の曲面(第1曲面、第2曲面)を持つ形状としている。この構造は、前述の
図9の第4設計例と同様の考え方で、更に平面を曲面とした構造である。なお、変形例としては、第1曲面を第1平面にする、または第2曲面を第2平面にする等、平面と曲面が混在した形状としてもよい。アーム5Kの突起接触部5Aの接触面は、特に、
図10の第5設計例と同様に、1つの曲面を持つ形状としている。
【0126】
[蓋開閉(3−1)]
次に、蓋開閉機構部4が試薬ボトル3の3箇所の蓋3Aを順次に開いてから順次に閉じるまでの一連の流れについて説明する。
図29は最初の第1状態であり、右側のアーム5Iの先端部5Eの位置を位置X1で示す。
【0127】
[蓋開閉(3−2)]
図30は、第2動作及び第2状態を示す。蓋開閉機構部4は、第1状態から、まず、鉛直駆動部41によりアーム5及び押さえ棒6を鉛直方向の下に移動させる。これにより第2状態となる。アーム5I,5J,5Kの下面であるボトル押さえ部5Bは、殆ど位置Z0に達しており、上面3Pに接触または近接した状態である。アーム5I,5J,5Kの位置及び間隔(ピッチ)は、試薬ボトル3の突起3B1,3B2,3B3と接触しないように設計されている。
【0128】
[蓋開閉(3−3)]
図31は、第3動作及び第3状態を示す。蓋開閉機構部4は、第2状態から、水平駆動部42によりアーム5及び押さえ棒6を第1水平方向で左へ移動させる。これにより第3状態となる。右側のアーム5Iの先端部5Eの位置を位置X3で示す。この移動の際、まず、第1時点で、アーム5Iの突起接触部5Aが蓋3A1の突起3B1と接触する。これに伴い、突起3B1が鉛直方向の上に押し上げられて、蓋3A1が次第に開く。
【0129】
[蓋開閉(3−4)]
図32は、第4動作及び第4状態を示す。蓋開閉機構部4は、第3状態から更にアーム5及び押さえ棒6を左へ移動させる。これにより第4状態となる。右側のアーム5Iの先端部5Eの位置を位置X4で示す。この移動の際、蓋3A1のキャッチ部205が開口部202から離れた後、次に第2時点で、真ん中のアーム5Jが蓋3A2の突起3B2と接触する。これに伴い、突起3B2が鉛直方向の上に押し上げられて、蓋3A2が次第に開く。
【0130】
[蓋開閉(3−5)]
図33は、第5動作及び第5状態を示す。蓋開閉機構部4は、第4状態から更にアーム5及び押さえ棒6を左へ移動させる。これにより第5状態となる。右側のアーム5Iの先端部5Eの位置を位置X5で示す。この移動の際、真ん中の蓋3A2のキャッチ部205が開口部202から離れた後、次に第3時点で、左側のアーム5Kが蓋3A3の突起3B3と接触する。これに伴い、突起3B3が鉛直方向の上に押し上げられて、蓋3A3が次第に開く。
【0131】
上記水平移動の間、各アーム5に対し連結されている各押さえ棒6は、各アーム5によって押し上げられた各蓋3A1,3A2,3A3が開き過ぎないように、ガイド304に沿って移動し、常に各蓋3Aの上面の近傍に配置されている。
【0132】
[蓋開閉(3−6)]
図34は、第6動作及び第6状態を示す。蓋開閉機構部4は、第5状態から更にアーム5及び押さえ棒6を左へ移動させる。これにより第6状態となる。右側のアーム5Iの先端部5Eの位置を位置X6で示す。第6状態では、蓋3A1,3A2,3A3がすべて開状態であり、蓋角度αが殆ど90度の場合を示す。以降の動作は実施の形態2と同様である。分注後に、水平移動が行われ、押さえ棒6によって押さえながら3箇所の蓋3Aが順次に閉じられる。
【0133】
[効果等]
上記のように、実施の形態3の自動分析装置によれば、複数の容器部201の蓋3Aを順次に開閉する場合にも、比較的簡素な構造かつ少ない駆動数で実現できる。
【0134】
(実施の形態4)
図35〜
図42を用いて、本発明の実施の形態4の自動分析装置について説明する。分析装置1のシステム内に、試薬ボトル3をユーザがマニュアルで投入、設置する場合がある。その場合、試薬ボトル3の蓋3A及びヒンジ部204の向きが、蓋開閉機構部4内のアーム5に対して、正しくない逆向きで設置される可能性がある。即ち、
図2で、正しい向きとしては、第1水平方向(半径方向R)において、蓋3Aの一方端の辺部211のヒンジ部204が左側にあり、他方端の辺部212の突起3Bが右側にある。それに対し、正しくない逆向きの場合、第1水平方向において、蓋3Aの一方端の辺部211のヒンジ部204が右側にあり、他方端の辺部212の突起3Bが左側にある。蓋開閉機構部4のアーム5等は、試薬ボトル3の蓋3Aの正しい向きに対応させて配置されている。
【0135】
上記のように試薬ボトル3の蓋3Aが逆向きで設置されている場合、蓋開閉機構部4によって試薬ボトル3の蓋3Aを正しく開閉することができない。実施の形態4では、このような事態を回避するための機構を備える。蓋開閉機構部4は、試薬ボトル3が正しい向きで設置されているかどうかを判別及び検出する機能を備える。また、実施の形態4では、試薬ボトル3がそもそも投入、設置されていない場合についても併せて判別及び検出する機能を有する。
【0136】
[蓋開閉機構部]
図35は、実施の形態4での蓋開閉機構部4の構造を示す。実施の形態4では、アーム部50のアーム5として実施の形態1と同様に1組2本のアーム5a,5bを有する場合を示すが、これに限らず可能である。蓋開閉機構部4は、試薬ボトル3の投入の有無及び向きを検知してユーザにしらせる機能を有する。
【0137】
蓋開閉機構部4は、アーム部50の構造が実施の形態1とは異なる。アーム部50は、連結部54、ばね55、センサ56を有する。連結部54は、基部51の途中、例えば下端の近くに設けられている。連結部54は、基部51と、基部52及びアーム5とを、鉛直方向で可動に連結している。連結部54には、ばね55が設けられている。ばね55は、アーム5と水平駆動部42との距離を一定に保つ。アーム5に鉛直方向の上への力が働いた場合には、ばね55が縮み、距離が変化する。センサ56は、例えばばね55の縮みの状態を検出することで、連結部54の鉛直方向の動きを検知する。
【0138】
[試薬ボトル登録]
次に、
図36及び
図37〜
図41を用いて、実施の形態4での試薬ボトル3の登録の流れに関して説明する。分析装置1の制御コンピュータ123は、試薬ボトル3及びその位置等の情報をシステム(分析装置1により構成されるシステム)に登録及び管理し、試薬ボトル3及び位置の利用可否を制御する機能を有する。分析装置1は、試薬ボトル3の登録動作を制御する。
【0139】
図36は、蓋開閉機構部4を用いた試薬ボトル3の登録処理のフローを示す。
図36は、ステップS41〜S48を有する。以下、ステップの順に説明する。
【0140】
(S41) まず、ユーザが、分析装置1の試薬ディスク2(例えば
図45のボトル固定部2C)に、試薬ボトル3を投入、設置する。ユーザは、投入終了後、分析装置1のシステム、例えば制御コンピュータ123の操作入力部等に、試薬ボトル投入終了の指示を入力する。蓋開閉機構部4は、制御コンピュータ123を通じて、その指示を受け取る。
【0141】
(S42) 蓋開閉機構部4は、試薬ボトル投入向き判別処理を行う。以下、
図37〜
図39を用いながら、試薬ボトル投入向き判別処理の詳細を説明する。
【0142】
図37は、蓋開閉機構部4による試薬ボトル登録動作の詳細として、第2動作及び第2状態を示す。蓋開閉機構部4は、対象の試薬ボトル3に対し、アーム5及び押さえ棒6を、水平駆動部42により
図35の第1状態(待機位置)から一定量で水平移動させて、
図37の第2状態にする。アーム5の先端部5Eの位置は、位置X1から位置X2になっている。位置X2は、正しい向きの場合に蓋3Aの一方端のヒンジ部204がある位置に対応している。
【0143】
図38は、第3動作及び第3状態を示す。蓋開閉機構部4は、第2状態から、鉛直駆動部41によりアーム5及び押さえ棒6を鉛直方向の下に一定量(上面3Pの位置Z0に達するまでの量)で下降させる。これにより例えば
図38の第3状態となる。第3状態は、試薬ボトル3の投入向きが正しい場合であり、蓋3Aは閉状態である。第3状態におけるアーム5の下面であるボトル押さえ部5Bの高さ位置は、位置Z1から位置Z3になっている。位置Z3は、突起3Bの高さ位置の付近である。向きが正しい場合、アーム5は、試薬ボトル3の蓋3Aや突起3Bには接触せずに一定量下降する。即ち、アーム5の下面は、
図38の第3状態を経由して、突起3B間を通り、試薬ボトル3の上面3Pの位置Z0まで達する。
【0144】
図39は、第4動作及び第4状態を示す。第4状態は、試薬ボトル3の投入向きが逆向きである場合を示す。蓋開閉機構部4は、第2状態の位置X2からアーム4を下降させる。この場合、アーム5は、一定量下降中に、試薬ボトル3の蓋3Aの突起3Bの上側と接触する。この時のアーム5の下面の高さ位置が位置Z4である。位置Z4は、位置Z0や位置Z3よりも上である。
【0145】
アーム5が突起3Bと接触すると、アーム5に上への力が働くので、連結部54のばね55が縮み、連結部55が鉛直方向の上に動作する。このように連結部55が動作した場合、この動作がセンサ56により検知される。よって、蓋開閉機構部4は、アーム5の一定量下降中にセンサ56が動作を検知したか否かによって、試薬ボトル3の投入向きが正しい向きか否(逆向き)かを判別することができる。
【0146】
(S43)
図36に戻り、蓋開閉機構部4は、S42の結果、試薬ボトル3の投入向きが正しい向きである場合(S43−Y)にはS44へ進み、否(逆向き)である場合(S43−N)にはS47へ進む。
【0147】
(S47) 蓋開閉機構部4は、上記検知の時点で例えば機構の動作を一旦停止させて、アラームを発生させる。アラームにより、その試薬ボトル3が逆向きであり、再度その試薬ボトル3を投入し直す必要がある旨を、ユーザに注意喚起する。アラーム出力は、例えば制御コンピュータ123の出力装置を用いてもよい。蓋開閉機構部4は、一旦アーム5等を鉛直方向の上に上げることで、ユーザによる試薬ボトル3の投入し直しができるようにする。
【0148】
(S48) 制御コンピュータ123は、S47の後、その試薬ボトル3の投入箇所(試薬ディスク2上の位置)を、システムの登録及び情報管理上でマスクして使用させないようにし、その後の分析動作において蓋開閉機構部4がアクセスしないように制御する。これにより、誤った分注動作等が防止される。なお、そのマスクされた投入箇所が、ユーザによる試薬ボトル3の投入し直しによって、正しい向きになった場合、S43、S46の流れでマスクが解除されて使用可能となる。
【0149】
(S44) しかしながら、S42の試薬ボトル投入向き判別処理だけでは、所定位置に試薬ボトル3が存在しない場合でも、試薬ボトル3の投入向きが正しい向きと判別されてしまう。よって、S44では、更に、蓋開閉機構部4による試薬ボトル有無判別処理を行う。以下、
図40〜
図41を用いながら、試薬ボトル有無判別処理の詳細を説明する。
【0150】
図40は、蓋開閉機構部4による試薬ボトル有無判別処理の際の第5動作及び第5状態を示す。第5状態は、所定位置に試薬ボトル3が正しい向きで有る場合である。
【0151】
S42の試薬ボトル投入向き判別処理の際に、アーム5は既に所定量まで下降している(
図38の第3状態、位置Z3)。蓋開閉機構部4は、S44の試薬ボトル有無判別処理で、アーム5及び押さえ棒6を、上記第3状態から更に所定量で下降させる。この所定量は、位置Z0よりも下の位置Z5に対応する量である。
図40のように、試薬ボトル3が正しい向きで存在している場合には、アーム5の下面が試薬ボトル3の上面3Pの位置Z0に達する。アーム5の下面のボトル押さえ部5Bが上面3Pと接触する。これにより、連結部54のばね55が縮み、連結部54が鉛直方向の上に動作し、センサ56によりその動作が検知される。この検知によって、試薬ボトル3が有ることが判別できる。
【0152】
図41は、試薬ボトル有無判別処理の際の第6動作及び第6状態を示す。第6状態は、所定位置に試薬ボトル3が無い場合である。試薬ボトル3が無い場合、アーム5は、一定量(位置Z5に対応する量)の下降中に、何にも接触せずに、位置Z0及び位置Z5に達する。この下降中に、接触が無いので、センサ56は、連結部54の動作を検知しない。これにより、試薬ボトル3が無いことが判別できる。
【0153】
(S45) S44の結果、試薬ボトル3が有る場合(S45−Y)にはS46へ進み、試薬ボトル3が無い場合(S45−N)にはS48へ進む。S48では、前述のように、その投入箇所がマスクされて使用不可になる。
【0154】
(S46) 制御コンピュータ123は、正しい向きで存在するその試薬ボトル3を、正常に投入、設置されたものとしてシステムに登録し、その後の分析動作において蓋開閉機構部4等により使用可能とする。
【0155】
[効果等]
上記のように、実施の形態4の自動分析装置によれば、試薬ボトル3の向きが正しくない場合や、試薬ボトル3が設置されていない場合にも、検出して対応することができ、高機能な装置を提供できる。
【0156】
(実施の形態5)
図42〜
図44を用いて、本発明の実施の形態5の自動分析装置について説明する。実施の形態4では、蓋開閉機構部4により試薬ボトル3の投入の有無及び向きの判別処理を行うことで、試薬ボトル3が正しい向きで設置されたかを判別した。しかしながら、実施の形態4では、1つの試薬ボトル3を登録して分注等を行う際に、蓋開閉機構部4を大別して2回稼動させる(判別のための1回目の稼動、及び前述の実施の形態1のような分注のための2回目の稼動)。そのため、複数の試薬ボトル3を登録する場合には、比較的長い時間を要する。
【0157】
そこで、実施の形態5の分析装置1では、蓋開閉機構部4において、試薬ボトル3に関する情報を読み取って判定するための情報読取判定機構部を有する。具体的には、試薬ボトル3の特定部位にRFIDタグ等の情報タグが付与されている。分析装置1は、RFIDリーダ等に代表される情報読取機器を併用する。これにより、分析装置1は、蓋開閉機構部4の稼動回数を低減しつつ、試薬ボトル3が正しい向きで投入されたかどうかも判別する。
【0158】
[蓋開閉機構部]
図42は、実施の形態5での蓋開閉機構部4の構造を示す。この実施の形態5の構成は、実施の形態4の構成に対し、試薬ボトル3の向きや有無の判別のための機構(連結部54等)を備える点は同じである。
図42の構成では、異なる点として、蓋開閉機構部4には、情報読取判定機構部80を有する。情報読取判定機構部80は、RFIDリーダ81、RFIDタグ82を有する。なお、実施の形態5では、アーム部50のアーム5が1組の場合を示す。
【0159】
試薬ボトル3の本体200には、特定の部位、例えば半径方向Rの一方の側面の一部に、RFIDタグ82が貼り付けられている。また、蓋開閉機構部4における試薬ボトル設置部には、RFIDリーダ81が設けられている。試薬ボトル設置部(容器設置部)は、例えば、試薬ディスク2の一部(
図45のボトル固定部2C)である。RFIDリーダ81は、所定位置に設置された試薬ボトル3のRFIDタグ82のID情報を読み取る。RFIDリーダ81は、情報読取機器であり、公知の近距離無線検出方式で、RFIDタグ82に記載のID情報を読み取る。なお、実施の形態5では、RFIDタグ82及びRFIDリーダ81を適用しているが、これに限らず、バーコード及びバーコードリーダ等も適用可能である。
【0160】
RFIDリーダ81は、試薬ディスク2の所定位置に試薬ボトル3が正しい向きで投入、設置された場合に、RFIDタグ82とRFIDリーダ81とが所定距離で向かい合うように配置されている。その所定距離では正常にID情報が読み取り可能である。なお、情報読取判定機構部80では、RFIDリーダ81で読み取ったID情報を用いて、更に判定等の情報処理を行ってもよい。制御コンピュータ123等がその情報処理を行ってもよい。
【0161】
[試薬ボトル登録]
次に、試薬ボトル3の登録の流れを説明する。
図43は、実施の形態5での試薬ボトル3の登録処理のフローを示す。
図43のフローは、実施の形態4の
図36のフローに対し、ステップS41の後に、ステップS51、S52が追加されている。
【0162】
ステップS51では、情報読取判定機構部80による、試薬ボトル情報読取処理を行う。以下、試薬ボトル情報読取処理の詳細を説明する。RFIDリーダ81により、試薬ボトル3のRFIDタグ82のID情報を読み取る。この際、
図42のように、試薬ボトル3が正しい向きで設置されている場合には、RFIDタグ82のID情報の読み取りに成功する。しかし、
図43のように、試薬ボトル3が正しく設置されていない場合には、読み取りに失敗する。情報の読み取りができるか否かによって、試薬ボトル3が正しく投入されたか否かを判断可能である。
【0163】
ステップS52では、S51の結果、試薬ボトル3のRFIDタグ81のID情報を読み取ることができるか否か(成功または失敗)で分岐する。読み取ることができる場合(S52−Y)にはS46へ進み、読み取ることができない場合(S52−N)にはS42へ進む。
【0164】
読み取ることができる場合とは、即ち、所定位置に試薬ボトル3が正しい向きで有ることに対応している。よって、前述のS42及びS44の判別処理を省略できる。分析装置1は、S46では、試薬ボトル3が正常に投入されたと判断し、システムに登録し、分析動作に使用可能とする。
【0165】
読み取ることができない場合とは、以下の3つの場合の可能性が考えられる。(1)所定位置に試薬ボトル3がそもそも設置されていない場合。(2)所定位置に試薬ボトル3が逆向きで設置されている場合(
図44)。(3)所定位置に試薬ボトル3が正しい向きで設置されているものの、RFID82に不良(故障や貼り付けの不具合等)が発生している場合。よって、読み取ることができない場合には、前述のS42及びS44の判別処理を行わせる。なお、上記(3)の場合、S52−N、S43−Y、S45−Yの流れとなり、S46で登録される。
【0166】
図44は、試薬ボトル3が正しい向きで投入されていない場合、即ち逆向きで設置されている場合を示す。この場合には、RFIDリーダ81とRFIDタグ82との距離が所定距離範囲外であること等から、S51で、RFIDリーダ81がRFIDタグ81のID情報を読み取ることができず、結果が失敗となる。
【0167】
[効果等]
上記のように、実施の形態5の自動分析装置によれば、試薬ボトル3の向きが正しくない場合や、試薬ボトル3が設置されていない場合にも、検出して対応することができ、高機能な装置を提供できる。
【0168】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。本発明は、蓋付き試薬ボトルの蓋開閉及びそれに伴う試薬分注等を含む工程に限らず、各種の蓋付き容器の蓋開閉等の工程に適用可能である。