(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチプローブは、前記直交方向において前記測定センサよりも前記被測定物側に位置する測定位置と、前記直交方向において前記測定センサよりも前記被測定物から離れた待機位置との間で移動可能となっている、
請求項6に記載の表面性状測定機。
前記第3移動機構が前記測定センサを移動させながら前記内壁面の表面性状を測定する際に、前記第1移動機構及び前記第2移動機構の駆動をロックするロック機構を更に備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の表面性状測定機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、被測定物の内壁面の微細な表面性状の自動測定の実現が要請されている。例えば、自動車用エンジンの開発においては、エンジンの性能や寿命を向上させる観点から、エンジンのシリンダの内壁面の精密な検査等が要求されるため、シリンダの内壁面の表面状態をより正確に観察、測定することが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、被測定物の内壁面の微細な表面性状を高精度に測定可能な表面性状測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、内壁面を有する被測定物を、第1平面に沿って移動させる第1移動機構と、前記内壁面の表面性状を非接触で測定する測定センサと、前記第1平面と直交する直交方向に前記測定センサを移動させて、前記測定センサを前記内壁面に対向させる第2移動機構と、前記内壁面に対向する前記測定センサを前記内壁面の法線方向に移動させる第3移動機構と、前記内壁面に対向する前記測定センサを前記内壁面に沿って移動させる第4移動機構と、を備える、表面性状測定機を提供する。
【0007】
また、前記測定センサは、光の干渉によって生じる干渉縞の輝度情報を用いて、前記表面性状を測定する光干渉センサであることとしてもよい。
【0008】
また、前記測定センサは、前記内壁面を撮像して、前記表面性状を測定する画像センサであることとしてもよい。
【0009】
また、前記測定センサは、前記内壁面に光の焦点を合わせて、前記表面性状を測定する共焦点センサであることとしてもよい。
【0010】
また、前記測定センサは、前記内壁面の撮像画像のコントラストのピークを検出することで、前記表面性状を測定するセンサであることとしてもよい。
【0011】
また、前記表面性状測定機は、前記被測定物の座標を測定するために、前記被測定物に接触するタッチプローブを更に備えることとしてもよい。
【0012】
また、前記タッチプローブは、前記直交方向において前記測定センサよりも前記被測定物側に位置する測定位置と、前記直交方向において前記測定センサよりも前記被測定物から離れた待機位置との間で移動可能となっていることとしてもよい。
【0013】
また、前記測定センサが取り付けられ、長手方向が前記直交方向に沿って延びている測定部を更に備え、前記測定部は、前記被測定物への衝突を検出するための衝突検出センサを有することとしてもよい。
【0014】
また、前記第3移動機構が前記測定センサを移動させながら前記内壁面の表面性状を測定する際に、前記第1移動機構及び前記第2移動機構の駆動をロックするロック機構を更に備えることとしてもよい。
【0015】
また、前記第4移動機構は、前記内壁面として円筒内壁面を有する前記被測定物の周方向に、前記測定センサを回動させる駆動源を有し、前記表面性状測定機は、軸方向の一端側が前記駆動源に連結され、前記測定センサを支持して前記周方向に回動する回動部材と、前記回動部材の前記軸方向の他端側にて、回動中の前記回動部材を支持するベアリングと、を更に備えることとしてもよい。
【0016】
また、前記第4移動機構は、前記内壁面として円筒内壁面を有する前記被測定物の周方向に、前記測定センサを回動させ、前記表面性状測定機は、前記測定センサと接続されたケーブルを支持する支持部材を更に備え、前記支持部材は、前記測定センサの前記周方向への回動に連動して、前記ケーブルを支持した状態で前記周方向に回動することとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被測定物の内壁面の微細な表面性状を高精度に測定できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<表面性状測定機の構成>
図1及び
図2を参照しながら、本発明の一の実施形態に係る表面性状測定機1の構成について説明する。
図1は、一の実施形態に係る表面性状測定機1の外観構成の一例を示す斜視図である。
図2は、表面性状測定機1の構成を示すブロック図である。
【0020】
表面性状測定機1は、
図1及び
図2に示すように、架台10と、ステージ12と、支柱部14と、Zスライダ16と、タッチプローブ20と、測定センサ22と、衝突検出センサ24と、X軸移動機構30と、Y軸移動機構32と、Z軸移動機構34と、W軸移動機構36と、θ軸移動機構38と、ロック機構40と、制御装置70とを有する。本実施形態では、X軸移動機構30及びY軸移動機構32が第1移動機構に該当し、Z軸移動機構34が第2移動機構に該当し、W軸移動機構36が第3移動機構に該当し、θ軸移動機構38が第4移動機構に該当する。
【0021】
表面性状測定機1は、被測定物90の内壁面92の表面性状を自動で測定する装置である。以下では、被測定物90がエンジンのシリンダヘッドであることとして説明する。シリンダヘッドは、円筒部である4つのシリンダを有しており、表面性状測定機1は、4つのシリンダの内壁面92の表面性状を測定する。表面性状測定機1は、被測定物90を分解・カットしなくても、表面性状を測定できる。
【0022】
架台10は、表面性状測定機1のベースとなる部分である。例えば、架台10は、フロアに設置された除震台上に配置されている。除震台は、フロアの振動が架台10に伝達されることを防ぐ。
【0023】
ステージ12は、架台10上に設けられている。ステージ12には、被測定物90が載置されている。ステージ12は、X軸移動機構30及びY軸移動機構32によって、X軸方向及びY軸方向に移動可能となっている。なお、ステージ12には、専用の冶具を用いて被測定物90を載置してもよい。かかる場合には、多様な形状の被測定物90の内壁面92の表面性状を測定できる。
【0024】
支柱部14は、架台10の上面からZ軸方向に沿って設けられた部分である。支柱部14は、Zスライダ16をZ軸方向に移動可能に支持している。
【0025】
Zスライダ16は、Z軸移動機構34によって、支柱部14に対してZ軸方向に移動可能となっている。Zスライダ16には、
図3に示すように、タッチプローブ20、測定センサ22、衝突検出センサ24が取り付けられている。なお、Zスライダ16の詳細構成については、後述する。
【0026】
図3は、タッチプローブ20及び測定センサ22を説明するための図である。
図4は、タッチプローブ20が被測定物90に接触している状態を示す図である。
タッチプローブ20は、被測定物90の座標を測定するために、被測定物90に接触する。タッチプローブ20は、Zスライダ16に取り付けられているため、Zスライダ16のZ軸方向への移動に連動してZ軸方向に移動する。なお、Zスライダ16には、タッチプローブ20をZ軸方向において測定位置と待機位置との間で上下動させる移動機構が設けられている。
【0027】
タッチプローブ20の測定位置は、Z軸方向においてタッチプローブ20が測定センサ22よりも被測定物90側に位置し、被測定物90に接触可能な位置である。タッチプローブ20の待機位置は、Z軸方向においてタッチプローブ20が測定センサ22よりも被測定物90から離れた位置である。タッチプローブ20は、通常は待機位置に待機しており、被測定物90の座標を測定する場合に測定位置へ移動する。これにより、測定センサ22が表面性状を測定する際に、測定位置に位置するタッチプローブ20が被測定物90に衝突することを防止できる。
【0028】
測定センサ22は、内壁面92の表面性状を非接触で測定するセンサである。測定センサ22は、Zスライダ16のZ軸方向への移動に連動してZ軸方向に移動する。測定センサ22は、表面性状として、例えば内壁面92の三次元形状を測定する。これにより、内壁面92の凹凸を測定可能となり、例えば、凹部の体積や、凹部の分布状態を測定できる。測定センサ22は、
図3に示すように、Zスライダ16の下方にZ軸方向に沿って延びている測定部26に取り付けられている。
【0029】
本実施形態において、測定センサ22は、光の干渉によって生じる干渉縞の輝度情報を用いて、内壁面92の表面性状を測定する光干渉センサである。例えば、白色光源を用いる光干渉センサにおいては、参照光路と測定光路の光路長が一致するピント位置で各波長の干渉縞のピークが重なり合い合成される干渉縞の輝度が大きくなることが知られている。このため、光干渉センサでは、測定光路の光路長を変化させながら干渉光強度の二次元分布を示す干渉画像をCCDカメラ等の撮像素子により撮像し、撮像視野内の各測定位置で干渉光の強度がピークとなるピント位置を検出する。これにより、各測定位置における測定面(すなわち、内壁面92)の高さを測定し、この結果、内壁面92の三次元形状等を測定できる。
【0030】
光干渉センサは、例えば公知のマイケルソン型の干渉方式を用いており、光源、レンズ、参照ミラー及び撮像素子等を有する。また、本実施形態において、測定部26の上方に位置する光源から出射された光は、測定部26内を下方に進んだ後に光軸が90度曲げられて、内壁面92に対向する測定部26の側面開口を通過して内壁面92へ向かう構成となっている。
【0031】
図2に戻り、衝突検出センサ24は、測定部26の被測定物90への衝突を検出する。衝突検出センサ24は、Zスライダ16の下方の測定部26の先端に設けられている。衝突検出センサ24は、円筒状の測定部26の半径方向において突出しており、測定センサ22よりも先に内壁面92に接触可能となっている。衝突検出センサ24によって衝突を検出することで、測定センサ22が内壁面92等に接触することを防止できる。
【0032】
X軸移動機構30は、被測定物90が載置されたステージ12をX軸方向(
図1)に移動させる駆動機構である。X軸移動機構30は、例えば送りねじ機構によって構成されている。送りねじ機構は、ボールねじ軸と、ボールねじ軸に螺合されたナット部材とを有する。なお、X軸移動機構30は、ボールねじ機構に限定されず、例えばベルト機構によって構成されていてもよい。
【0033】
Y軸移動機構32は、ステージ12をY軸方向(
図1)に移動させる駆動機構である。Y軸移動機構32は、例えば、X軸移動機構30と同様に送りねじ機構によって構成されている。本実施形態では、X軸移動機構30及びY軸移動機構32は、協働して被測定物90が載置されたステージ12を、X軸方向及びY軸方向が互いに直交するXY面(第1平面)に沿って移動させる。
【0034】
Z軸移動機構34は、XY面に直交するZ軸方向(
図1)にZスライダ16(測定部26)を移動させる駆動機構である。Z軸移動機構34は、例えば送りねじ機構によって構成されている。Z軸移動機構34は、測定部26をZ軸方向において下降させることで、測定センサ22を内壁面92に対向させる。
【0035】
図5は、測定部26の移動方向を説明するための図である。Z軸移動機構34は、
図5(a)に示す矢印方向に測定部26を下降させる(具体的には、測定センサ22を円筒部内に位置させる)ことで、
図5(b)に示すように、測定センサ22が内壁面92に対向する。本実施形態では、測定部26のみを円筒部内に位置させるので、被測定物90の円筒部の直径が小さい場合でも、円筒部の内壁面92の表面性状を測定できる。
【0036】
W軸移動機構36は、内壁面92に対向する測定部26(具体的には、測定センサ22)を内壁面92の法線方向に移動させる駆動機構である。ここで、内壁面92の法線方向は、被測定物90の円筒部の半径方向(以下、W軸方向と呼ぶ)と同一方向であるので、W軸移動機構36は、測定センサ22をW軸方向に移動させる。W軸移動機構36は、例えば被測定物90の円筒部の中心から内壁面92へ向けて(
図5(b)に示す矢印方向)、測定センサ22を移動させる。これにより、測定センサ22は、
図5(c)に示すように内壁面92に接近することになる。
【0037】
W軸移動機構36が測定センサ22をW軸方向へ移動させる際に、測定センサ22がW軸方向における所定のスキャン範囲(測定範囲)でスキャンを行って、内壁面92の表面性状を測定する。
【0038】
θ軸移動機構38は、内壁面92に対向する測定部26(具体的には、測定センサ22)を内壁面92に沿って移動させる駆動機構である。具体的には、θ軸移動機構38は、内壁面92として円筒内壁面を有する被測定物90の円筒部の周方向であるθ軸方向(
図5(c)に示す矢印方向)に、測定センサ22を回動させる。
【0039】
本実施形態では、内壁面92を周方向において複数の測定領域に分割しており、測定センサ22は、各測定領域の表面性状を測定している。これにより、測定センサ22は、θ軸移動機構38によってθ軸方向(周方向)に移動することで、各測定領域の表面性状を測定できる。
【0040】
図6は、内壁面92の周方向に沿った複数の測定領域を説明するための図である。測定領域(
図6に示す測定領域R1、R2、R3等)は、内壁面92を矩形状に分割した領域である。測定領域の大きさは、例えば測定センサ22の撮像素子が撮像可能な視野の大きさに応じて設定されている。
【0041】
図7は、測定センサ22のθ軸方向における位置を説明するための模式図である。
図7(a)は、
図6に示す測定領域R1の表面性状を測定する際の測定センサ22の位置を示している。
図7(b)は、測定領域R1に隣接する測定領域R2の表面性状を測定する際の測定センサ22の位置を示している。測定センサ22は、W軸方向に移動しながら測定領域R1をスキャンして測定領域R1の表面性状を測定した後に、θ軸方向(内壁面92の周方向)に移動する。そして、測定センサ22は、W軸方向に移動しながら測定領域R2をスキャンして測定領域R2の表面性状を測定する。
【0042】
図2に戻り、ロック機構40は、測定センサ22がW軸方向に移動しながら内壁面92の表面性状を測定する際に、X軸移動機構30、Y軸移動機構32及びZ軸移動機構34の駆動をロックする。具体的には、ロック機構40は、X軸移動機構30、Y軸移動機構32及びZ軸移動機構34の各々に設けられた駆動モータをOFFにする。また、ロック機構40は、詳細は後述するが、ディスクブレーキ等のブレーキ機構を有する。かかる場合には、測定センサ22がスキャンをする際に、X軸移動機構30、Y軸移動機構32及びZ軸移動機構34のモータによる振動を抑制できるので、振動に起因する表面性状の測定精度の低下を抑制できる。なお、ロック機構40は、X軸移動機構30、Y軸移動機構32及びZ軸移動機構34に加えて、θ軸移動機構38の駆動もロックしてもよい。
【0043】
制御装置70は、表面性状測定機1の動作全体を制御する。制御装置70は、記憶部72と制御部74を有する。
記憶部72は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部72は、制御部74が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部72は、測定センサ22による内壁面92の測定結果や、測定結果に基づく内壁面92の表面性状の解析結果を記憶する。
【0044】
制御部74は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部74は、記憶部72に記憶されたプログラムを実行することにより、表面性状測定機1の動作を制御する。例えば、制御部74は、X軸移動機構30、Y軸移動機構32、Z軸移動機構34、W軸移動機構36及びθ軸移動機構38を駆動させることで、被測定物90であるシリンダヘッドの4つのシリンダの内壁面92を自動で測定できる。また、制御部74は、測定結果に基づいて、内壁面92の表面性状を解析する。
【0045】
<Zスライダの詳細構成>
図8及び
図9を参照しながら、Zスライダ16の詳細構成について説明する。
図8は、Zスライダ16の構成の一例を示す図である。
図9は、
図8のZスライダ16の一部を示す斜視図である。なお、
図8及び
図9では、説明の便宜上、Zスライダ16を覆うカバーを図示していない。
【0046】
Zスライダ16は、
図8及び
図9に示すように、Z軸駆動モータ50と、θ軸駆動モータ52と、回動部材54と、サポートベアリング56と、W軸駆動モータ58と、支持滑車60と、プローブ支持部62と、ブレーキ機構64とを有する。
【0047】
Z軸駆動モータ50は、Zスライダ16の上部に設けられており、支柱部14に支持されたZスライダ16全体をZ軸方向に移動させる駆動源である。Z軸駆動モータ50によってZスライダ16がZ軸方向に移動することで、測定部26及びタッチプローブ20もZ軸方向に移動する。
【0048】
θ軸駆動モータ52は、回動部材54及び測定部26をθ軸方向に回転させる駆動源である。Zスライダ16には、Z軸駆動モータ50の下方に固定部53が設けられており、この固定部53にはθ軸駆動モータ52が固定されている。固定部53は、支柱部14に片持ち支持されている。θ軸駆動モータ52によって測定部26がθ軸方向に回転することで、測定センサ22もθ軸方向に回転する。
【0049】
回動部材54は、θ軸駆動モータ52に連結されており、θ軸駆動モータ52によってθ軸方向に回動する。回動部材54は、円筒状の部材である。回動部材54の軸方向一端側がθ軸駆動モータ50に連結され、回動部材54の軸方向他端側が測定部26を支持している。このため、回動部材54と測定部26は、一緒に回転する。
【0050】
サポートベアリング56は、回動部材54の軸方向他端側に設けられており、θ軸駆動モータ52により回動中の回動部材54を支持する。サポートベアリング56は、例えば金属製の軸受けであり、支柱部14に支持された中間板57に設けられている。サポートベアリング56を設けることで、回動部材54の回転振れを抑制できるので、回動部材54と共に回動する測定部26の測定精度の低下を抑制できる。また、サポートベアリング56は振動を吸収するので、回動部材54の回動中の振動を抑制できる。さらに、θ軸駆動モータ52が固定された固定部53が支柱部14に片持ち支持されているため、固定部53が撓む恐れがあるが、サポートベアリング56を設けて回動部材54を支持することで、撓みを抑制することができる。
【0051】
W軸駆動モータ58は、測定部26をW軸方向に移動させる駆動源である。W軸駆動モータ58は、測定部26を支持する支持板59をW軸方向に移動させることで、測定部26がW軸方向に移動する。なお、W軸駆動モータ58及び支持板59は、回動部材54と共に回動するように構成されている。
【0052】
支持滑車60は、測定センサ22等に接続されているケーブル61を支持する。支持滑車60は、θ軸駆動モータ52の上方に設けられた支持機構60aに軸支されている。支持機構60aは、Z軸方向に平行な軸を中心に回動自在となるように、支柱部14内に設けられている。このような構成により、支持滑車60は、支持機構60aを介してZ軸方向に平行な軸を中心に回動可能となっている。つまり、支持滑車60は、測定センサ22のθ軸方向への回動に連動して、ケーブル61を支持状態で周方向に回動する。すなわち、ケーブル61を支持する支持滑車60は、測定センサ22と同一方向に回動する。かかる場合には、測定センサ22がθ軸方向に回転する際にケーブル61がねじれることを抑制できる。
【0053】
プローブ支持部62は、θ軸駆動モータ52、回動部材54及びW軸駆動モータ58に沿って(すなわち、Z軸方向に沿って)設けられており、タッチプローブ20をZ軸方向に移動可能に支持する。具体的には、プローブ支持部62は、駆動部を有し、タッチプローブ20を待機位置(
図8に示す位置)と測定位置との間で上下動可能に支持する。
【0054】
ブレーキ機構64は、Z軸方向においてZ軸駆動モータ50と支持滑車60の間に設けられている。ブレーキ機構64は、ここではディスクブレーキ機構であり、Z軸駆動モータ50をロックする。ブレーキ機構64は、前述したロック機構40(
図2)がZ軸駆動モータ50をOFFにした際に、Z軸駆動モータ50をロックする。
【0055】
図10は、ブレーキ機構64の構成の一例を説明するための図である。ブレーキ機構64は、ディスク部65aと、ブレーキ部65bとを有する。ディスク部65aは、Z軸駆動モータ50のモータ軸51に取り付けられている。ブレーキ部65bは、ディスク部65aを上下で挟持可能な構成となっている。ブレーキ部65bは、ディスク部65aを挟持した場合に、モータ軸51をロックする。
【0056】
上記では、Z軸駆動モータ50をOFFした際にブレーキ機構64がモータ軸51をロックすることとしたが、これに限定されない。例えば、Z軸駆動モータ50をONした状態でブレーキ機構64がモータ軸51をロックすることとしてもよい。かかる場合でも、Z軸駆動モータ50による振動を抑制できる。
【0057】
<内壁面の表面性状の測定方法>
上述した表面性状測定機1による内壁面92の表面性状の測定方法について説明する。内壁面92の表面性状の測定は、制御装置70の制御部74が記憶部72に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0058】
ここでは、
図1に示すように、ステージ12上に被測定物90が載置されているものとする。まず、制御部74は、X軸移動機構30及びY軸移動機構32を駆動して、ステージ12をX軸方向及びY軸方向に移動させて、被測定物90をZスライダ16の下方に位置させる(
図4参照)。
【0059】
次に、制御部74は、タッチプローブ20を待機位置から測定位置へ移動させて被測定物90(シリンダブロック)に接触させることで、例えばシリンダブロックの上面高さ、シリンダの中心位置及び直径等を測定する。測定が終了すると、制御部74は、タッチプローブ20を待機位置へ移動させる。
【0060】
次に、制御部74は、X軸移動機構30及びY軸移動機構32を駆動させて、タッチプローブ20の測定結果に基づいて、シリンダの中心上に測定部26を移動させる(
図5(a))。次に、制御部74は、Z軸移動機構34を駆動させて、測定部26をシリンダ内に下降させる(
図5(b))。
【0061】
次に、制御部74は、W軸移動機構36を駆動させて、測定部26をW軸方向に移動させる(
図5(c))。測定部26がW軸方向に移動する際に、測定部26の測定センサ22が被測定物90の内壁面92の一の測定領域をスキャンする。一の測定領域のスキャンが終了すると、制御部74は、θ軸移動機構38を駆動させて、測定部26をθ軸方向に回転させる。そして、制御部74は、測定部26をW軸方向に移動させて、内壁面92の一の測定領域に隣接する測定領域をスキャンする。このように、測定部26のW軸方向及びθ軸方向への移動を繰り返すことで、内壁面92全体をスキャンする。
【0062】
次に、制御部74は、内壁面92の各測定領域の測定結果に基づいて、内壁面92の表面性状を解析する。制御部74は、表面性状として、例えば内壁面92の微細な三次元形状を解析する。
【0063】
<本実施形態における効果>
上述した本実施形態に係る表面性状測定機1は、X軸移動機構30、Y軸移動機構32及びZ軸移動機構34に加えて、被測定物90の内壁面92の表面性状を非接触で測定する測定センサ22を、内壁面92に対向する状態でW軸方向(内壁面92の法線方向)に移動させるW軸移動機構36と、測定センサ22をθ軸方向(円筒部の周方向)に移動させるθ軸移動機構38とを有する。
かかる場合には、X軸移動機構30、Y軸移動機構32及びZ軸移動機構34で測定センサ22を内壁面92に対向させた後に、W軸移動機構36及びθ軸移動機構38によって測定センサ22をW軸方向及びθ軸方向に移動させることで、被測定物90の内壁面92の微細な表面性状を自動で高精度に測定できる。
【0064】
なお、上記では、測定センサ22が光干渉測定により内壁面92の表面性状を測定する光干渉センサであることとしたが、これに限定されない。例えば、測定センサ22は、内壁面92を撮像して、内壁面92の表面性状を測定する画像センサであってもよい。かかる場合には、簡易な構成の画像センサにて、内壁面92の微細な表面性状を精度良く測定できる。
【0065】
また、測定センサ22は、内壁面92に光の焦点を合わせて、内壁面92の表面性状を測定する共焦点センサであってもよい。更に、測定センサ22は、内壁面92の撮像画像のコントラストのピークを検出することで、内壁面92の表面性状を測定するセンサ(便宜上、コントラストセンサと呼ぶ)であってもよい。このように測定センサ22として共焦点センサやコントラストセンサを用いることで、内壁面92の微細な三次元形状を高精度に測定できる。
【0066】
また、上記では、被測定物90がエンジンのシリンダヘッドであることとしたが、これに限定されない。例えば、被測定物90は、ホーニングパイプであってもよい。すなわち、被測定物90は、円筒部を有する被測定物であればよい。
【0067】
また、上記では、円筒部の内壁面92の表面性状を測定することとしたが、これに限定されない。例えば、被測定物90が角筒部(上面視した際に矩形状)を有しており、角筒部の内壁面92の表面性状を測定してもよい。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。