(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡体基材が更にポリオレフィン、ポリウレタン及びアクリル重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
前記ポリオレフィンが直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPW)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5又は6に記載の粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の粘着シートは、発泡体基材の片面又は両面に、直接又は他の層を介して粘着剤層を有する粘着シートであり、前記発泡体基材がエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及び/又はエチレンアクリル酸共重合体(EAA)を30〜90質量%含有し、前記発泡体基材の見かけ密度が0.20g/cm
3〜0.60g/cm
3かつ流れ方向における引張弾性率が10MPa〜35MPaである。
【0013】
(発泡体基材)
本発明の粘着シートとしては、その基材(中芯)を構成するものとしてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及び/又はエチレンアクリル酸共重合体(EAA)を30〜90質量%含有する発泡体基材を使用する。
前記エチレン酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレンアクリル酸共重合体の含有量は、40〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%であることが最も好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレンアクリル酸共重合体の含有量を当範囲にすることにより、再剥離時にちぎれない発泡体の強度を確保し、かつ、段差部の追従性に必要な柔軟性を確保しやすくなる。
エチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量(共重合比率)が20質量%以下、5質量%以上〜15質量%以下がより好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量を当範囲にすることにより、再剥離時にちぎれない発泡体の強度を確保し、かつ、段差部の追従性に必要な柔軟性を確保しやすくなる。
【0014】
前記発泡体基材は、見かけ密度が0.20g/cm
3〜0.60g/cm
3の範囲のものを使用する。
【0015】
前記発泡体基材の見かけ密度は、0.25g/cm
3〜0.55g/cm
3の範囲が好ましく、0.30g/cm
3〜0.50g/cm
3の範囲がより好ましい。発泡体基材の見かけ密度を、当範囲にすることにより、再剥離時にちぎれない発泡体の強度を確保し、かつ、段差部の追従性に必要な柔軟性を確保することができる。なお、前記見かけ密度は、JISK6767に準じて測定される見かけ密度をいい、4cm×5cmの長方形に切断した発泡体を約15cm
3分用意しその質量を測定し、前記質量と前記体積とに基づいて算出される値を指す。
【0016】
前記発泡体基材は、厚さが50μm〜300μmの範囲であるものが好ましく、70μm〜300μmの範囲であるものがより好ましく、100μm〜250μmの範囲であるものが最も好ましい。発泡体基材の厚さが小さすぎる場合には、再剥離時にちぎれない程度の発泡体強度を確保し難くなる。一方、発泡体の厚さが大きすぎる場合には、電子機器自体の厚みを大きくしてしまい、電子機器のデザイン性や持ち運び性の観点から望ましくない。
【0017】
前記発泡体は、その流れ方向の引張弾性率が10MPa〜35MPaであるものを使用する。流れ方向の引張弾性率は、12MPa〜33MPaが好ましく、14MPa〜29MPaが最も好ましい。引張弾性率を、当範囲にすることにより、再剥離時にちぎれない発泡体の強度を確保し、かつ、段差部の追従性に必要な柔軟性を確保することができる。
【0018】
なお、前記発泡体の流れ方向の引張弾性率は、JISK7161に準じて測定した値を指す。具体的には、つかみ具間距離(L)20mm、試験片の幅(W)10mmの発泡体を、テンシロン引張試験機を用い、23℃及び50%RHの環境下で、引張速度10mm/minで測定を行い、下記方法にて引張弾性率を算出する。当評価方法はテープの再剥離時に発泡体がちぎれることなく剥離できるかどうかの指標として適した評価である。
(1)E=(σ2―σ1)/ε2−ε1
E:引張弾性率[Mpa]、
σ1:ひずみ0.0005における応力[MPa]
σ2:ひずみ0.0025における応力[MPa]
ε1:ひずみ0.0005
ε2:ひずみ0.0025
(2)σ1=F1/(t×W)
F1:ひずみ0.0005における引張荷重[N]
t:試験片の厚み[mm]
W:試験片の幅[mm]
(3)σ2=F2/(t×W)
F2:ひずみ0.0025における引張荷重[N]
t:試験片の厚み[mm]
W:試験片の幅[mm]
なお、各ひずみ時における引張荷重は下記式にもとづき算出されたつかみ具間距離の増加時の引張荷重を使用する。
(4)ε=Lt/L
Lt:つかみ具間距離の増加量[mm]
L:初めのつかみ具間距離[mm]
【0019】
前記発泡体は、更にポリオレフィン、ポリウレタン及びアクリル重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することができる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合ポリマーが好ましく、アクリル重合体としてはアクリル系ゴムやその他のエラストマーが好ましい。なかでも、再剥離時の引張強度を高めるために直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。これらの含有量は5〜60質量%とすることが好ましく、10〜50質量%とすることがより好ましく、20〜40質量%とすることが最も好ましい。この範囲の含有量とすることで段差への追従に必要となる柔軟性とを両立しやすくなる。また、追従性を高めるためのエラストマーを含有することが好ましい。エラストマーとしては、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)が好ましい。エラストマーの含有量は5〜40質量%とすることが好ましく、10〜30質量%とすることがより好ましい。
【0020】
前記発泡体としては、例えば架橋構造を有するものを使用することができる。
【0021】
前記発泡体の製造方法としては、特に限定されず、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及び/又はエチレンアクリル酸共重合体(EAA)に加え、ポリエチレン系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂、必要に応じて熱分解型発泡剤、発泡助剤、及び、着色剤を含有する発泡性樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性樹脂シートを製造する工程と、必要に応じて前記発泡樹脂シートを架橋させる工程と、発泡性樹脂シートを発泡させる工程を有する方法が挙げられる。
【0022】
前記方法で得られた発泡体は、必要に応じて溶融又は軟化され、その流れ方向または幅方向の何れか一方又は双方の方向に延伸させてもよい。前記延伸は、必要に応じて複数回行ってもよい。
【0023】
前記発泡性樹脂シートを製造する方法としては、例えば発泡性樹脂組成物を離型ライナー等の表面に塗工または流延し、乾燥等させることによって製造することができる。
【0024】
前記方法で得た発泡性樹脂シートを架橋させる工程は、例えば、発泡性樹脂シートに電離性放射線を照射する方法、有機過酸化物を含有する発泡性樹脂組成物を用意し、それを用いて得られた発泡性樹脂シートを加熱する方法などで行うことができる。
【0025】
前記電離性放射線としては、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。電離性放射線の線量は、樹脂発泡体のゲル分率が前記の好ましい範囲になるように適宜調整されるが、5〜200kGyの範囲が好ましい。また、電離性放射線の照射は、均一な発泡状態を得やすいことから、発泡性樹脂シートの両面に照射するのが好ましく、両面に照射する線量を同じにするのがより好ましい。
【0026】
有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネートなどが挙げられ、これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0027】
有機過酸化物の添加量は、ベースとなる樹脂100質量部に対し、0.01質量部〜5質量部が好ましく、0.1質量部〜3質量部がより好ましい。
【0028】
また、発泡性樹脂シートを発泡させる工程は、例えば、熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴による方法、オイルバスによる方法等により行うことができる。なかでも熱風により加熱する方法や赤外線により加熱する方法が好ましい。
【0029】
前記発泡性樹脂シートを発泡させる際には、熱分解型発泡剤を含有する発泡性樹脂シート等を使用することができる。
【0030】
前記熱分解型発泡剤は、前記発泡体の発泡倍率に応じて適宜決定してよいが、ベースとなる樹脂100質量部に対して1質量部〜40質量部の範囲で使用することが好ましく、1質量部〜30質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0031】
前記延伸工程は、前記方法で得られた発泡体に対して行ってもよく、発泡性樹脂シートを発泡させる工程と並行して行ってもよい。
【0032】
前記延伸工程は、前記発泡工程での溶融状態を維持した状態で、引き続き行ってもよく、また、前記発泡工程を経た後、冷却し、再度、発泡体を加熱し行ってもよい。
【0033】
ここで、発泡体の溶融状態とは、発泡体を構成するベース樹脂等の樹脂の融点以上に加熱した状態をいう。また、発泡体の軟化とは、発泡体を構成しているベース樹脂の軟化点以上融点未満の温度に加熱した状態をいう。
【0034】
本発明の発泡体としては、意匠性、遮光性、隠蔽性、光反射性、耐光性を付与することを目的として、着色されたものを使用することができる。前記着色に使用可能な着色剤としては、例えば黒色の着色剤を使用することができ、具体的には
カーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などを用いることができる。なかでも、着色剤としては、コスト、入手性、絶縁性、耐熱性を維持するうえでカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0035】
前記着色剤としては、白色の着色剤を使用することができ、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、リン酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、などの無機系白色着色剤やシリコーン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子などの有機系白色着色剤などを用いることができる。なかでも、着色剤としては、コスト、入手性、色調、耐熱性を維持するうえで、酸化アルミニウムや酸化亜鉛を使用することが好ましい。
【0036】
また、本発明の発泡体としては、その物性を損なわない範囲で、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、酸化亜鉛などの発泡助剤、気泡核調整材、熱安定剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの難燃剤、帯電防止剤、ガラス製やプラスチック製の中空バルーン・ビーズ、金属粉末、金属化合物等の充填材、導電性フィラー、熱伝導性フィラー等の添加剤を含有するものを使用することができる。
【0037】
前記発泡体としては、適度な追従性とクッション性を維持するうえで、前記添加剤を、ベースとなる樹脂に対して0.1質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜7質量%が好ましい。
【0038】
前記着色剤や熱分解性発泡剤や発泡助剤等の添加剤を含有する発泡体を製造する場合、色ムラや部分的な過剰発泡や発泡不足等を防止するうえで、発泡性樹脂組成物と相溶性が高い熱可塑性樹脂と、前記添加剤とを予め混練しマスターバッチ化したものを使用することが好ましい。
【0039】
前記発泡体としては、粘着剤層や他の層との密着性を向上させることを目的として、ぬれ試薬によるぬれ指数が36mN/m以上である表面を有するものを使用することが好ましく、40mN/m以上の表面を有するものを使用することがより好ましく48mN/m以上の表面を有するものを使用することがさらに好ましい。前記発泡体の表面のぬれ指数を上記範囲に調整する方法としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理、易接着処理剤の塗布等の表面処理方法が挙げられる。
【0040】
(粘着剤層)
前記粘着シートとしては、前記発泡体の片面または両面に、直接または他の層を介して粘着剤層を有するものを使用することができる。
【0041】
前記粘着剤層の形成に使用可能な粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用することができるが、(メタ)アクリル単量体を含む単量体成分を重合して得られるアクリル系重合体を含有し、必要に応じて粘着付与樹脂や架橋剤等を含有するアクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
【0042】
前記アクリル系重合体の製造に使用可能な(メタ)アクリル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数が1〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0043】
なかでも、(メタ)アクリル単量体としては、炭素原子数が4〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、炭素原子数が4〜8であるアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することがさらに好ましく、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートのいずれか一方または両方を使用することが、優れた接着力と優れた追従性とを両立するうえで特に好ましい。
【0044】
前記炭素原子数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記アクリル系重合体の製造に使用する単量体の全量に対し、60質量%以上使用することが好ましく、80質量%〜98.5質量%の範囲で使用することがより好ましく、90質量%〜98.5質量%の範囲で使用することが、優れた接着力と優れた追従性とを両立するうえでさらに好ましい。
【0045】
また、前記アクリル系重合体を製造する際には、単量体として高極性ビニル単量体を使用することができる。前記高極性ビニル単量体としては、水酸基を有するビニル単量体、カルボキシル基を有するビニル単量体、アミド基を有するビニル単量体等を1種または2種以上組み合わせ使用することができる。
【0046】
水酸基を有する単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0047】
カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2量体、クロトン酸、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート等を使用することができ、なかでもアクリル酸を使用することが好ましい。
【0048】
アミド基を有する単量体としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等を使用することができる。
【0049】
前記高極性ビニル単量体としては、前記したものの他に、酢酸ビニル、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等を使用することもできる。
【0050】
前記高極性ビニル単量体は、前記アクリル系重合体の製造に使用する単量体の全量に対して1.5質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1.5質量%〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、2質量%〜8質量%の範囲で使用することが、優れた接着力と優れた追従性とを両立するうえでさらに好ましい。
【0051】
前記粘着剤として後述する架橋剤を含有するものを使用する場合、前記アクリル系重合体としては、前記架橋剤が有する官能基と反応する官能基を有するアクリル系重合体を使用することが好ましい。前記アクリル系重合体が有していてもよい官能基としては、例えば水酸基が挙げられる。
【0052】
前記水酸基は、例えば前記単量体として水酸基を有するビニル単量体を使用することによって、アクリル系重合体に導入することができる。
【0053】
前記水酸基を有するビニル単量体は、アクリル系重合体の製造に使用する単量体の全量に対し、0.01質量%〜1.0質量%の範囲で使用することが好ましく、0.03質量%〜0.3質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0054】
前記アクリル系重合体は、前記単量体を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法で重合させることによって製造することができ、溶液重合法を採用することが、アクリル系重合体の生産効率を向上するうえで好ましい。
【0055】
前記溶液重合法としては、例えば前記単量体と、重合開始剤と、有機溶剤とを、好ましくは40℃〜90℃の温度下で混合、攪拌し、ラジカル重合させる方法が挙げられる。
【0056】
前記重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイルや過酸化ラウリル等の過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ系熱重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系の光重合開始剤等を使用することができる。
【0057】
前記方法で得たアクリル系重合体は、例えば溶液重合法で製造した場合であれば、有機溶剤に溶解または分散した状態であってもよい。
【0058】
上記アクリル系重合体としては、40万〜300万の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、70万〜250万の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
【0059】
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定され、標準ポリスチレン換算して算出された値を指す。具体的には、前記重量平均分子量は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)を用い、以下の条件で測定することができる。
【0060】
サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:100μL
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
標準ポリスチレンの重量平均分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
【0061】
前記粘着剤層の形成に使用できる粘着剤としては、被着体や発泡体に対する優れた接着力と、優れた追従性とを両立するうえで、粘着付与樹脂を含有するものを使用することが好ましい。
【0062】
前記粘着付与樹脂としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート樹脂系粘着付与樹脂等を使用することができる。前記粘着剤としてエマルジョン型粘着剤を使用する場合には、前記粘着付与樹脂としてもエマルジョン型粘着付与樹脂を使用することが好ましい。
【0063】
前記粘着付与樹脂としては、前記したなかでも不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、石油系樹脂から1種または2種以上を組み合わせ使用することが好ましい。
【0064】
前記粘着付与樹脂としては、軟化点30℃〜180℃の範囲のものを使用することが好ましく、70℃〜140℃の範囲のものを使用することが、被着体や発泡体基材(B)に対する優れた接着力と、優れた追従性とを両立するうえでより好ましい。前記(メタ)アクリレート粘着付与樹脂を使用する場合、(メタ)アクリレート粘着付与樹脂としては、ガラス転移温度30℃〜200℃のものを使用することが好ましく、50℃〜160℃のものを使用することがより好ましい。
【0065】
前記粘着付与樹脂は、前記アクリル系重合体100質量部に対し、5質量部〜65質量部の範囲で使用することが好ましく、8質量部〜55質量部の範囲で使用することが、被着体や発泡体に対する優れた接着力と、優れた追従性とを両立するうえでより好ましい。
【0066】
前記粘着剤層の形成に使用する粘着剤としては、被着体や発泡体に対する優れた接着力を確保するために、架橋剤を使用することが好ましい。
【0067】
前記架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等を使用することができる。なかでも、前記架橋剤としては、アクリル系重合体との反応性に富むイソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤のいずれか一方または両方を使用することが好ましく、イソシアネート系架橋剤を使用することがより好ましい。
【0068】
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート等を使用することができ、トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0069】
前記架橋剤は、粘着剤層のトルエンに対するゲル分率が40〜80%となる量を選択し使用することが好ましく、ゲル分率が30質量%〜70質量%となる量を選択し使用することがより好ましく、ゲル分率が35質量%〜65質量%となる量を選択し使用することが、被着体や発泡体基材に対する優れた接着力と、優れた追従性とを両立した粘着シートを得るうえでさらに好ましい。
【0070】
なお、前記ゲル分率は、下記に示す方法で測定した値を指す。
【0071】
剥離ライナーの離型処理面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤を塗工したものを、100℃の環境下で3分間乾燥した後、40℃の環境下で2日間エージングさせることによって粘着剤層を形成した。
【0072】
前記粘着剤層を縦50mm及び横50mmの正方形に裁断したものを試験片とした。
【0073】
上記試験片の質量(G1)を測定した後、23℃の環境下で、上記試験片をトルエンに24時間浸漬させた。
【0074】
前記浸漬後、前記試験片とトルエンとの混合物を、300メッシュ金網を用いて濾過することによって、トルエンへの不溶成分を抽出した。前記不溶成分を110℃の環境下で1時間乾燥させたものの質量(G2)を測定した。
【0075】
前記質量(G1)と質量(G2)と下記式に基づいて、そのゲル分率を算出した。
【0076】
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0077】
前記粘着剤としては、例えば可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、難燃剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン、ビーズ、金属、金属酸化物、金属窒化物等の充填剤、顔料、染料等の着色剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の添加剤を含有するものを使用することができる。
【0078】
前記粘着剤を用いて形成できる粘着剤層は、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度が好ましくは温度が−40℃〜15℃であることが好ましい。粘着剤層の損失正接のピーク値を当該範囲とすることで、常温下での被着体との良好な密着性を付与しやすくなる。
【0079】
周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)は、温度分散による動的粘弾性測定で得られた貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)から、tanδ=G”/G’の式より求められる。動的粘弾性の測定においては、粘弾性試験機(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:ARES G2)を用いて、厚さ約2mmに形成した粘着剤層を同試験機の測定部である直径8mmの平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzで−50℃から150℃までの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定する。
【0080】
本発明に使用する粘着剤層の厚さは、被着体や発泡体に対する優れた接着力と、優れた追従性とを両立するうえで、5μm〜100μmであることが好ましく、15μm〜80μmであることがより好ましく、25μm〜75μmであることが特に好ましい。
【0081】
(粘着シート)
本発明の粘着シートとしては、1mm幅の額縁形状で押し込み接着強度を測定した際の強度値が40N/cm
2以上であることが好ましく、50N/cm
2以上であることが好ましく、60N/cm
2以上であることが最も好ましい。当方法での接着強度を高くすることにより、部材の固定や防水性を確保するのに必要な接着強度を確保できる。
【0082】
本発明の粘着シートは、例えば、前記発泡体に直接、前記粘着剤を塗布して乾燥させる直接法や、剥離シートに粘着剤を塗布して乾燥させることによって粘着剤層を形成した後、発泡体に貼り合せる転写法によって製造することができる。前記粘着剤層を形成する粘着剤としてアクリル系重合体と架橋剤とを含有する粘着剤を使用する場合、前記直接法または転写法によって発泡体の片面または両面に粘着剤層を積層したものを、好ましくは20℃〜50℃、より好ましくは23℃〜45℃の環境下で2日〜7日間程度、熟成させることが、被着体や発泡体基材に対する優れた接着力と、優れた追従性とを両立するうえで好ましい。
【0083】
本発明の粘着シートとしては、厚さ400μm以下であることが、電子機器の薄型化に貢献しやすいため好ましく、100μm〜300μmであることがより好ましく、150μm〜300μmであることがさらに好ましく、200μm〜300μmであることが最も好ましい。前記粘着シートは、前記特定の見かけ密度及び引張弾性率を有する発泡体を使用していることから、粘着シートの総厚さが前記したように、再剥離時に引きはがした際においても発泡体がちぎれにくく、段差部に対して良好な追従性を両立することができる。
【0084】
前記粘着シートとしては、前記発泡体及び粘着剤層の他に必要に応じてその他の層を有するものを使用することができる。
【0085】
前記他の層としては、例えば粘着シートの寸法安定性や良好な引張強さや再剥離適性等を付与するうえで、ポリエステルフィルム等のラミネート層、遮光層、光反射層、金属層等の熱伝導層が挙げられる。
【0086】
本発明の粘着シートとしては、その粘着剤層の表面に剥離シートが積層されていてもよい。
【0087】
前記剥離シートとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂を用いて得られるフィルム、紙、不織布、布、発泡シート、金属基材、及び、それらの積層体の少なくとも片面に、シリコーン系処理、長鎖アルキル系処理、フッ素系処理などの剥離処理が施されたものを使用することができる。
【0088】
本発明の粘着シートは、例えば凹凸や大きな段差を有する箇所に接着固定用することを要求され、かつ再剥離時に被着部材を破壊しないことが要求される固定等に特に好適に使用することができる。
【0089】
前記凹凸や大きな段差を有する部材は、例えばカーナビやスマートフォン等の電子端末、自動車、建材、OA、家電業界などの工業用途における部材として使用されることが多い。
【0090】
前記部材としては、具体的には電子端末を構成する2以上のきょう体、レンズ部材等が挙げられる。
【0091】
本発明の粘着シートを用いて2以上のきょう体やレンズ部材が固定された電子端末等の物品は、優れた接着強度を有し、解体時等に再剥離することができ、また、優れた防水性を備える。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。
【0093】
[調製例1]アクリル重合体(A−1)の製造方法
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート95.9質量部、アクリル酸4質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら72℃まで昇温させた。
【0094】
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液2質量部(固形分0.1質量%)を添加し、攪拌下、72℃で4時間ホールドした後、75℃で5時間ホールドした。
【0095】
次に、前記混合物200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量186万のアクリル重合体(A−1)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0096】
[調製例2]アクリル重合体(A−2)の製造方法
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート63.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート32質量部、アクリル酸4質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら72℃まで昇温させた。
【0097】
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液2質量部(固形分0.1質量%)を添加し、攪拌下、72℃で4時間ホールドした後、75℃で5時間ホールドした。
【0098】
次に、前記混合物を200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量75万のアクリル重合体(A−2)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0099】
[粘着剤組成物(A)]
容器に、前記アクリル重合体(A−1)100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)10質量部と不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂A−100(荒川化学工業株式会社製)15質量部とを混合攪拌したのち、酢酸エチルを加えることによって固形分31質量%の粘着剤組成物(A)を得た。
【0100】
[粘着剤組成物(B)]
容器に、前記アクリル重合体(A−2)100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)10質量部と不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂A−100(荒川化学工業株式会社製)15質量部とを混合攪拌したのち、酢酸エチルを加えることによって固形分31質量%の粘着剤組成物(B)を得た。
【0101】
[粘着剤(A1)]
前記粘着剤組成物(A)100質量部に対し、架橋剤としてバーノックD−40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)1.4質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによってゲル分率50%の粘着剤(A1)を得た。
【0102】
[粘着剤(A2)]
前記粘着剤組成物(A)100質量部に対し、架橋剤としてバーノックD−40を0.7質量部添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによってゲル分率30%の粘着剤(A2)を得た。
【0103】
[粘着剤(A3)]
前記粘着剤組成物(A)100質量部に対し、架橋剤としてバーノックD−40を2.1質量部添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによってゲル分率70%の粘着剤(A3)を得た。
【0104】
[粘着剤(B)]
次に、前記粘着剤組成物(B)100質量部に対し、架橋剤としてバーノックD−40を1.4質量部添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによってゲル分率50%の粘着剤(B)を得た。
【0105】
[実施例1]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0106】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体1の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0107】
[実施例2]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体2を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0108】
[実施例3]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体3を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0109】
[実施例4]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体4を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0110】
[実施例5]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体5を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0111】
[実施例6]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体6を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0112】
[実施例7]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体7を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0113】
[実施例8]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体8を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0114】
[実施例9]
発泡体1の代わりに、表1に記載の発泡体9を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0115】
[実施例10]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが15μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0116】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体10の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した
[実施例11]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが15μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0117】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体11の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0118】
[実施例12]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが25μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0119】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体12の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0120】
[実施例13]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0121】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体13の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0122】
[実施例14]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0123】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体14の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0124】
[実施例15]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A2)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0125】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体5の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0126】
[実施例16]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A3)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0127】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体5の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0128】
[実施例17]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(B)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0129】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体5の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0130】
[比較例1]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤(A1)を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0131】
次に、前記粘着剤層を、表1に記載の発泡体15の表面をコロナ処理することによってぬれ指数を50mN/mに調整したものの両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シートを作製した。
【0132】
[比較例2]
発泡体15の代わりに、表1に記載の発泡体16を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0133】
[比較例3]
発泡体15の代わりに、表1に記載の発泡体17を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0134】
[比較例4]
発泡体15の代わりに、表1に記載の発泡体18を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
表1中の発泡体の見かけ密度及び引張弾性率は、本願明細書の記載した方法と同様の方法で測定した。
【0140】
[押し込み接着強度の評価方法]
1)23℃で、厚さ2mmで、20mm角のアクリル板(三菱レイヨン(株)アクリライトMR200「商標名」、色相:透明、以下同じ)に、上記で得た粘着シートを外形15mm角、幅1mmの窓枠状に抜き加工したもの貼付する(
図1)。
【0141】
2)次に、中心部に直径10mmの穴がある、厚さ2mm、30×60mmの長方形のSUS板に、1)で作成した粘着シートつきアクリル板を、アクリル板の中心とSUS板の中心が一致する様に貼付して、2kgローラーで1往復加圧したのち、23℃で1時間静置して試験片とする(
図2)。
【0142】
3)試験片のSUS側からSUS板の穴を通して、直径8mmのステンレス製プローブを取り付けた引張試験機でアクリル板を10mm/分で押し、アクリル板が剥がれる強度を測定した(
図3)。
【0143】
[段差追従性の評価方法]
1)上記で得た粘着シートを用いて、外形64mm×43mm、幅1mmの額縁状サンプルを作成し、厚さ2mm、外形65mm×45mmのアクリル板に貼付する(
図4)。
【0144】
2)次に、もう一枚の厚さ2mm、外形65mm×45mmのアクリル板の中央部に、各厚さ(30μm、40μm、50μm、60μm)、幅5mm、長さ45mmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材の片面粘着テープ(段差形成用)2枚を、縦方向に1cm間隔で平行に貼付して、段差付きのアクリル板を作成する(
図5)。
【0145】
3)23℃下で段差つきアクリル板の粘着テープ部分に粘着シートつきアクリル板をのせた後、端部から2kgローラーで1往復加圧する(
図6)。
【0146】
4)段差つきアクリル板側から、段差付近での粘着シートの追従状態を目視で評価する。
【0147】
A:段差60μmまで段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していなかった。
【0148】
B:段差50μmまでは段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していなかったが、段差60μmでは段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在した。
【0149】
C:段差40μmまでは段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していなかったが、段差50μm以上では段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していた。
【0150】
D:段差30μmまでは段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していなかったが、段差40μm以上では段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していた。
【0151】
E:段差30μmにおいて段差部と粘着シートとの界面に気泡等の空隙が存在していた。
【0152】
[再剥離適性]
1)粘着シートを、長さ40mm、幅2mmのサンプルを2枚作成し、厚さ2mm、外形50mm×50mmのアクリル板に2枚が平行になるように貼付する(
図7)。
次に、厚さ0.05mm、外形50mm×50mmのPETフィルム板を貼付し、2kgローラーで各サンプル上を1往復加圧したのち、23℃で24時間放置して試験片とする。
【0153】
2)試験片を、23℃中でPETフィルムを垂直方向に引き剥がした際のテープの状態を評価する(
図8)。
【0154】
3)次に、PETフィルムまたはアクリル板に残った粘着シートを、手で剥離角度約135度方向に引き剥がした際の剥がしやすさを評価した(
図9)。
【0155】
A:PETフィルムを垂直方向に引き剥がした際に、発泡体基材の層間割れがなく剥がせた。さらに、PETフィルムまたはアクリル板に残った粘着シートを引き剥がした際においても、基材の層間割れがなく剥がせた。
【0156】
B:PETフィルムを垂直方向に引き剥がした際に、発泡体基材の層間割れがなく剥がせた。PETフィルムまたはアクリル板に残った粘着シートを引き剥がした際においては、発泡体基材の層間割れが発生したものの再度引っ張ることによりテープを剥がせた。
【0157】
C:PETフィルムを垂直方向に引き剥がした際に、発泡体基材の層間割れがなく剥がせた。PETフィルムまたはアクリル板に残った粘着シートを引き剥がした際においては発泡体基材の層間割れが発生し、再度手で引っ張っても層間割れが発生し剥がすことができなかった。
【0158】
D:PETフィルムを垂直方向に引き剥がした際に、発泡体基材の層間割れが発生した。またPETフィルムまたはアクリル板に残った粘着シートを引き剥がした際において、基材の層間割れが発生し、再度手で引っ張っても層間割れが発生し剥がすことができなかった。
【0159】
【表5】
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
【表8】
【0163】
上記結果より、本願発明の実施例1〜17では、適度な粘着強度を維持しつつ、段差追従性と再剥離性を両立することに成功しているのが分かる。一方、比較例1、3では、段差追従性が悪化しているのが、また、比較例2〜4では再剥離性が悪化しているのが分かる。