特許第6687163号(P6687163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6687163無線センサー装置及び無線センサー装置キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687163
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】無線センサー装置及び無線センサー装置キット
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20200413BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20200413BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20200413BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G01D21/00 M
   H01Q1/38
   H01Q23/00
   H05K7/12 C
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-530114(P2019-530114)
(86)(22)【出願日】2018年11月27日
(86)【国際出願番号】JP2018043521
(87)【国際公開番号】WO2019155732
(87)【国際公開日】20190815
【審査請求日】2019年6月4日
(31)【優先権主張番号】特願2018-19160(P2018-19160)
(32)【優先日】2018年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】西 英史
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−523289(JP,A)
【文献】 特開2012−85983(JP,A)
【文献】 特表2008−532596(JP,A)
【文献】 特開2010−251706(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/125726(WO,A1)
【文献】 特開2008−302052(JP,A)
【文献】 特表2015−530225(JP,A)
【文献】 米国特許第6077228(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00−21/02
A61B 5/00− 5/22
G01K 7/00− 7/42
H01Q 1/36− 1/40
H01Q 23/00
H05K 7/12− 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置される無線センサー装置であって、
支え部材を介して浮いた状態で設けられた温湿度センサーと、前記温湿度センサーからの出力値を処理するコントローラーと、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナと、一次電池とを、可撓性回路基板上に備え、
第一の粘着剤層と、前記可撓性回路基板と、可撓性シートとが、この順に積層されて、
前記温湿度センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、前記可撓性回路基板及び前記可撓性シートに挟まれ、
前記温湿度センサーが、支え部材を介して可撓性回路基板及び被着体から離れる状態で設けられている無線センサー装置。
【請求項2】
前記第一の粘着剤層が再剥離性を有する、請求項1に記載の無線センサー装置。
【請求項3】
少なくとも前記温湿度センサー、前記コントローラー及び前記アンテナを保護する保護層を備える、請求項1又は2に記載の無線センサー装置。
【請求項4】
前記保護層が、前記可撓性回路基板と前記可撓性シートとの間に積層されている、請求項3に記載の無線センサー装置。
【請求項5】
前記一次電池がコイン型一次電池である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【請求項6】
前記可撓性回路基板と、前記可撓性シートとの間に、再剥離性を有する第二の粘着剤層を備え、前記一次電池を交換可能に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【請求項7】
前記可撓性回路基板と前記第二の粘着剤層との間に、少なくとも前記センサー、前記コントローラー及び前記アンテナを保護する保護層を備え、前記保護層及び前記第二の粘着剤層が、前記一次電池を収める空間が設けられるようにくり抜かれている、請求項6に記載の無線センサー装置。
【請求項8】
前記コントローラーが、前記温湿度センサーのセンシングタイミング、及び、前記信号の送信タイミングを制御する機能を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【請求項9】
前記可撓性シートの外周部又は前記可撓性回路基板の外周部に、前記無線センサー装置を貼り付ける時に押圧可能な押圧可能領域が設けられ、前記押圧可能領域は前記センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、いずれも実装されない領域であり、前記押圧可能領域にのみ、前記第一の粘着剤層が積層されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【請求項10】
建物に設置される無線センサー装置であって、
温湿度センサーと、前記温湿度センサーからの出力値を処理するコントローラーと、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナと、一次電池とを、可撓性回路基板上に備え、
第一の粘着剤層と、可撓性シートと、前記可撓性回路基板とが、この順に積層されてなり、
前記温湿度センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、前記可撓性回路基板及び前記可撓性シートに挟まれてな無線センサー装置。
【請求項11】
前記第一の粘着剤層よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層及び基材シートを有する粘着シートを、更に備え、
前記第一の粘着剤層は、前記基材シートの背面に積層されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【請求項12】
建物に設置される無線センサー装置のキットであって、
支え部材を介して浮いた状態で設けられた温湿度センサーと、前記温湿度センサーからの出力値を処理するコントローラーと、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナと、一次電池とを、可撓性回路基板上に備え、
前記可撓性回路基板と、可撓性シートとが、積層されて、
前記温湿度センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、前記可撓性回路基板及び前記可撓性シートに挟まれ、
前記温湿度センサーが、支え部材を介して可撓性回路基板及び被着体から離れる状態で設けられている無線センサー装置と、
前記無線センサー装置を被着体に装着させるための第一の粘着剤層と、
を備える無線センサー装置キット。
【請求項13】
前記第一の粘着剤層よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層及び基材シートを有する粘着シートを、更に備える、請求項12に記載の無線センサー装置キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等に設置する無線センサー装置に関する。
本願は、2018年2月6日に、日本に出願された特願2018−019160号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
建物の快適性を維持しつつ、エネルギー消費を低減するために、温度、湿度、照度等をセンシングして、その結果を空調装置の制御などに使用するセンサー装置がある。そのようなセンサー装置は、建物内で使用して、冷房、暖房、換気、空調および照明システムの最適な制御に必要な情報を提供することで、建物のエネルギー使用量をより効率的に制御するために使用することができる。
【0003】
従来のセンサーの設置および配線コストは非常に高いので、特に既存のビルディングに高度なセンサーを大量に導入する際、配線に伴うコストを低減するために、無線センサー装置が提案されている。無線センサー装置は、既存の建物を簡単に改築するのに適しており、最適に観測可能な場所に配置することのできる柔軟性がある。現在商品化されている無線センサー装置は、筐体が樹脂ケースとプリント基板で構成されており、一定の厚み(例えば2cm以上)を有する堅い材質の装置である。
【0004】
特許文献1には、通信システムと、通信システムに通信可能に結合された少なくとも一つのセンサーと、通信システムに電気的に結合された少なくとも一つのアンテナとを含む複数の構成要素が可撓性基板上に配置された無線センサー装置が開示されている。特許文献1には、例えば、太陽電池及び二次電池を内蔵することにより、外部電源も接続させないことができる無線センサー装置の例も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0134327号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外部電源を接続させないことのできる無線センサー装置では、一次電池を内蔵する形態が考えられるが、一次電池交換の必要があり、交換作業の手間と費用が問題となる。太陽電池を内蔵する形態、太陽電池に加えて二次電池及び/又は一次電池を内蔵する形態の無線センサー装置では、太陽電池とその周辺部品の搭載費用が高くなること、および太陽電池搭載による意匠性の劣化が問題となる。更に、太陽電池のみを内蔵する形態の無線センサー装置では、夜間等光源の無い状態での動作が問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、内蔵電池とその周辺部品の搭載費用を低く抑えることができ、かつ、内蔵電池又は無線センサー装置の交換作業の手間を簡易化でき、その交換作業の費用を低く抑えることができる、無線センサー装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1] 建物に設置される無線センサー装置であって、
支え部材を介して浮いた状態で設けられた温湿度センサーと、前記温湿度センサーからの出力値を処理するコントローラーと、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナと、一次電池とを、可撓性回路基板上に備え、
第一の粘着剤層と、前記可撓性回路基板と、可撓性シートとが、この順に積層されて
前記温湿度センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、前記可撓性回路基板及び前記可撓性シートに挟まれ、
前記温湿度センサーが、支え部材を介して可撓性回路基板及び被着体から離れる状態で設けられている無線センサー装置。
[2] 前記第一の粘着剤層が再剥離性を有する、前記[1]に記載の無線センサー装置。
【0009】
[3] 少なくとも前記温湿度センサー、前記コントローラー及び前記アンテナを保護する保護層を備える、前記[1]又は[2]に記載の無線センサー装置。
[4] 前記保護層が、前記可撓性回路基板と前記可撓性シートとの間に積層されている、前記[3]に記載の無線センサー装置。
[5] 前記一次電池がコイン型一次電池である、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
[6] 前記可撓性回路基板と、前記可撓性シートとの間に、再剥離性を有する第二の粘着剤層を備え、前記一次電池を交換可能に備える、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【0010】
[7] 前記可撓性回路基板と前記第二の粘着剤層との間に、少なくとも前記センサー、前記コントローラー及び前記アンテナを保護する保護層を備え、前記保護層及び前記第二の粘着剤層が、前記一次電池を収める空間が設けられるようにくり抜かれている、前記[6]に記載の無線センサー装置。
【0011】
[8] 前記コントローラーが、前記温湿度センサーのセンシングタイミング、及び、前記信号の送信タイミングを制御する機能を有する、前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【0012】
[9] 前記可撓性シートの外周部又は前記可撓性回路基板の外周部に、前記無線センサー装置を貼り付ける時に押圧可能な押圧可能領域が設けられ、前記押圧可能領域は前記センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、いずれも実装されない領域であり、前記押圧可能領域にのみ、前記第一の粘着剤層が積層されている、前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【0015】
[10] 建物に設置される無線センサー装置であって、
温湿度センサーと、前記温湿度センサーからの出力値を処理するコントローラーと、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナと、一次電池とを、可撓性回路基板上に備え、
第一の粘着剤層と、可撓性シートと、前記可撓性回路基板とが、この順に積層されてなり、
前記温湿度センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、前記可撓性回路基板及び前記可撓性シートに挟まれてな無線センサー装置。
【0016】
11] 前記第一の粘着剤層よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層及び基材シートを有する粘着シートを、更に備え、
前記第一の粘着剤層は、前記基材シートの背面に積層されている、前記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の無線センサー装置。
【0017】
12建物に設置される無線センサー装置のキットであって、
支え部材を介して浮いた状態で設けられた温湿度センサーと、前記温湿度センサーからの出力値を処理するコントローラー、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナと、一次電池とを、可撓性回路基板上に備え、
記可撓性回路基板と、可撓性シートとが、積層されて、
前記温湿度センサー、前記コントローラー、前記アンテナ及び前記一次電池が、前記可撓性回路基板及び前記可撓性シートに挟まれ、
前記温湿度センサーが、支え部材を介して可撓性回路基板及び被着体から離れる状態で設けられている無線センサー装置と、
前記無線センサー装置を被着体に装着させるための第一の粘着剤層と、
を備える無線センサー装置キット。
【0018】
13] 前記第一の粘着剤層よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層及び基材シートを有する粘着シートを、更に備える、前記[12]に記載の無線センサー装置キット。
【発明の効果】
【0019】
本発明の無線センサー装置においては、可撓性回路基板及び可撓性シートからなる筐体を第一の粘着剤層で貼着して設置でき、剥がすことも容易にできる。このため、筐体が樹脂ケースとプリント基板で構成された無線センサー装置に比べ、設置及び除去が容易である。更に、内部電源として一次電池を搭載するので、太陽電池を搭載する無線センサー装置に比べて、内蔵電池とその周辺部品の搭載費用を大幅に削減することができる。更に、無線センサー装置は、樹脂ケースとプリント基板で構成された無線センサー装置に比べ、構成する部材の少なさから製造費用を大幅に削減することができるので、無線センサー装置の丸ごとの交換による費用の増加は抑制される。この丸ごとの交換による費用抑制と、設置及び除去の容易性により、従来の無線センサー装置における内蔵電池又は無線センサー装置の交換作業の手間を簡易化でき、その交換作業の費用を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態の無線センサー装置1を示す概略断面図である。
図2】本発明の第一実施形態の無線センサー装置1の概略平面図である。
図3】本発明の第一実施形態の無線センサー装置1が、全体的に可撓性を有することを示す模式図である。
図4】本発明の第一実施形態の無線センサー装置1を、人の手で剥がして丸ごと交換できることを示す模式図である。
図5】本発明の第二実施形態の無線センサー装置2を示す概略断面図である。
図6】本発明の第二実施形態の無線センサー装置2を、人の手で剥がして電池交換できることを示す模式図である。
図7】本発明の第三実施形態の無線センサー装置3を示す概略断面図である。
図8】本発明の第三実施形態の無線センサー装置3の表側及び裏側を示す概略図であり、無線センサー装置3を人の手で貼付できることを示している。
図9】本発明の第三実施形態の変形例の無線センサー装置4を示す概略断面図である。
図10】本発明の第三実施形態の変形例の無線センサー装置5を示す概略断面図である。
図11】本発明の第四実施形態の無線センサー装置6を示す概略断面図である。
図12】本発明の第五実施形態の無線センサー装置7を示す概略断面図である。
図13】本発明の第六実施形態の無線センサー装置8を示す概略断面図である。
図14】本発明の第六実施形態の変形例の無線センサー装置9を示す概略断面図である。
図15】本発明の第七実施形態の無線センサー装置キット80を示す概略図である。
図16】本発明の第七実施形態の変形例の無線センサー装置キット82を示す概略図である。
図17】本発明の第二実施形態の変形例の無線センサー装置2’を示す概略断面図である。
図18】本発明の第二実施形態の変形例の無線センサー装置2’を、人の手で剥がして電池交換できることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る無線センサー装置を、図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0022】
[第一実施形態]
図1は、本発明に係る第一実施形態の無線センサー装置1を示す概略断面図である。
第一実施形態の無線センサー装置1は、温度センサー421と、湿度センサー422と、照度センサー423と、温度センサー421、湿度センサー422及び照度センサー423からの出力値を処理するコントローラー41と、コントローラー41からの信号を無線発信するアンテナ43と、一次電池40とを、可撓性回路基板20上に備え、粘着剤層10と、可撓性回路基板20と、可撓性シート50とが、この順に積層されている。温度センサー421、湿度センサー422、照度センサー423、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40は、可撓性回路基板20及び可撓性シート50に挟まれている。
【0023】
図1においては、湿度センサー422及び照度センサー423の図示を省略している。無線センサー装置の各部品の配置は、限定されない。例えば、図2に示されるような配置で、温度センサー421、湿度センサー422及び照度センサー423と、コントローラー41と、アンテナ43と、一次電池40とを、可撓性回路基板20上に備えてもよい。無線センサー装置は剥離シート70を有していてもよく、無線センサー装置を設置するときに剥離シート70を剥がして使用される。また、粘着剤層・剥離シートを無線センサー装置から分離しておき、無線センサー装置の設置時に取り付けても良い。
【0024】
第一実施形態の無線センサー装置1は、小型かつ薄型にできており、可撓性の実現に必要な薄さについては、各種センサー、コントローラー、内蔵一次電池の厚みの他は、粘着剤層10、可撓性回路基板20、可撓性シート50の厚みを加えただけの薄さを実現できる。筐体に相当する可撓性回路基板20及び可撓性シート50がいずれも可撓性を有しているので、図3に示されるように、無線センサー装置1が全体的に可撓性を有している。そして、剥離シート70を剥がして、建物の壁や柱等の被着体に、粘着剤層10で貼着させて容易に設置することができる。また、無線センサー装置1は外気窓425を備えており、温度センサー421及び湿度センサー422は、外気の温度及び湿度を正確に計測できるよう、外気窓425に通じている。無線センサー装置1はインジケーター424を備える。照度センサー423に対応する可撓性シート50の位置には、照度を正しく計測するために、照度センサー用小窓428が設けられている。
【0025】
可撓性シート50としては、シート状の素材であればよく、シート50の素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ゴム系樹脂やスポンジ系樹脂等が挙げられるが、これらに限られない。
【0026】
可撓性回路基板20は、絶縁性を有する薄く柔らかいベースフィルムと銅箔等の導電性金属を貼り合わせた基材に電気回路を形成した基板である。PETフィルム、PENフィルム、又は、ポリイミドフィルム等のベースフィルムに、例えば、導電性インキの印刷により配線を形成して作製することができる。
【0027】
また、無線センサー装置1は、太陽電池を搭載せず、内部電源として一次電池を搭載している。一次電池としては、市場に流通している安価な一次電池が好ましく、コイン型一次電池を好適に使用することができる。無線センサー装置1は、可撓性を有する筐体を選択したこと、太陽電池を搭載せず、内部電源として一次電池のみを搭載したことにより、筐体が樹脂ケースとプリント基板で構成された無線センサー装置や、太陽電池を搭載する無線センサー装置に比べて、無線センサー装置の製造費用を大幅に削減することができ、夜間等光源の無い状態での動作が問題となることがない。
【0028】
無線センサー装置1は、剥離シート70を剥がして、可撓性を有する筐体を粘着剤層10で貼着させて設置することができ、図4に示されるように、人の手で剥がして丸ごと交換できるので、交換作業の手間と費用を削減することができる。無線センサー装置1は、交換不能な薄型内蔵一次電池を使用しており、使用後には、無線センサー装置1の本体を剥がして丸ごと交換する使い捨ての使用形態を採用することができ、電池交換作業が不要となる。無線センサー装置1は、前記製造費用を大幅に削減することができるので、無線センサー装置の丸ごとの交換による費用の増加は抑制される。
【0029】
無線センサー装置は、温度センサー421、湿度センサー422、照度センサー423、その他各種環境条件をセンシングするセンサーからなる群から選択される少なくとも一のセンサーを備える。無線センサー装置は、温度センサー及び湿度センサーを兼ね備える温湿度センサーを備えるものであってもよく、温湿度センサーは外気窓425に通じているものであってもよい。温度センサー421、湿度センサー422、照度センサー423、その他各種環境条件をセンシングするセンサー、コントローラー41、及びアンテナ43は、前記センサーからの出力値をコントローラー41に伝え、コントローラー41からの情報信号を、およびアンテナ43に伝えるために、電気的に結合し、これらが、通信システムとして機能している。コントローラー41には、無線センサー装置がこのような通信システムを構成するための制御手段が組み込まれている。温度センサー、湿度センサー及び照度センサーとしては、ICチップに搭載できる種類のセンサーであれば、市販の薄型のセンサーチップを使用することができる。センサーチップからの情報信号は、低消費電力で広いエリアをカバーできるLPWA規格が好ましく、通信プロトコルとしては、例えば、LoRa方式:Chirp Spread Spectrum変調が挙げられる。
【0030】
無線センサー装置において、アンテナ43は、センサーからの信号を無線発信するものであり、可撓性回路基板上に備えることができる、薄型、平面型、小型又は超小型アンテナに属するものであれば、素材、形状、製法は限られない。
【0031】
無線センサー装置では、第一の粘着剤層10が再剥離性を有することが好ましい。第一の粘着剤層10としては、市販の工業用両面粘着テープを使用することができ、再剥離型の工業用両面粘着テープを使用することがより好ましい。第一の粘着剤層は、例えば、ポリエステル基材の両面に粘着層を有するタイプのものであってもよく、基材を有さないノンキャリアタイプのものであってもよい。第一の粘着剤層10のうち、両方の側の面を再剥離型の粘着面としてもよく、可撓性回路基板20の側を汎用型の粘着面とし、他方の側を再剥離型の粘着面とする、片面再剥離型の工業用両面粘着テープを使用することが特に好ましい。無線センサー装置1は、第一の粘着剤層10のうち可撓性回路基板20の側を汎用型の粘着面とし、他方の側を再剥離型の粘着面としているので、無線センサー装置1の本体を、第一の粘着剤層10を介して建物の壁などに貼着することができ、長期間使用した後に剥がす際も、貼着していた建物の壁紙などを傷付けずに、容易にきれいに剥がすことができる。
【0032】
市販の工業用両面粘着テープとしては、例えば、DIC株式会社製のダイタック(DAITAC、登録商標)を使用することができ、片面再剥離型の工業用両面粘着テープとしては、DIC株式会社製のダイタック(DAITAC、登録商標)の品番、「♯8800DR」、「♯8612DFT」、「♯8616DJ-50」、「♯8616DJクロ(N)」等が挙げられる。
【0033】
無線センサー装置1は、温度センサー421、湿度センサー422、照度センサー423、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40を保護する保護層30を備える。保護層30は、可撓性回路基板20と可撓性シート50との間に積層されており、無線センサー装置1が全体として可撓性を損なわないようゴム又はスポンジからなる素材でできている。保護層30は、難燃性のゴム又はスポンジからなる素材であることが好ましい。
【0034】
一次電池40としては、薄型であることが好ましく、安価に入手できることから、コイン型二酸化マンガンリチウム電池等の、等のコイン型一次電池であることが好ましい。
【0035】
建物に設置された無線センサー装置において、温度センサーでセンシングされた温度情報、湿度センサーでセンシングされた湿度情報、照度センサーでセンシングされた照度情報を、アンテナ43を介して、建物設備管理システムに無線送信することができ、冷暖房、換気・空調、照明それぞれのシステムに、最適な制御に必要な情報を提供することで、建物のエネルギー使用量をより効率的に制御するために使用することができる。
【0036】
本発明に係る無線センサー装置では、運用費用を抑制するために、一次電池の持続時間を長くすることが重要になる。そのため、コントローラー41には、センシングタイミングおよび送信タイミングの工夫により、消費電力を抑え、内蔵一次電池の持続時間を延ばすための制御手段が組み込まれている。コントローラー41に組み込まれた制御手段には、例えば、(1)オフィス等では暗い環境でのセンサーデータの送信頻度を少なくする(すなわち、送信間隔を長くする)、(2)消費電力の多いセンサー(例えば、湿度センサー)の測定頻度を、その他のセンサー(例えば、温度センサー)より少なくする、などの設定をすることができ、これにより、一次電池の持続時間を長くして、運用費用を抑制することができる。
【0037】
[第二実施形態]
図5は、本発明に係る第二実施形態の無線センサー装置2を示す概略断面図である。なお、図5以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
第二実施形態の無線センサー装置2は、温度センサー421と、湿度センサー422と、照度センサー423と、温度センサー421、湿度センサー422及び照度センサー423からの出力値を処理するコントローラー41と、コントローラー41からの信号を無線発信するアンテナ43と、コイン型の一次電池44とを、可撓性回路基板20上に備え、粘着剤層10と、可撓性回路基板20と、再剥離性を有する第二の粘着剤層60と、可撓性シート50とが、この順に積層されている。温度センサー421、湿度センサー422、コントローラー41、アンテナ43及びコイン型の一次電池44は、可撓性回路基板20及び可撓性シート50に挟まれている。可撓性シート50を剥がすことで、一次電池44は交換可能である。図5においては、湿度センサー及び照度センサーの図示を省略している。第二実施形態の無線センサー装置2は外気窓425を備えており、温度センサー421及び湿度センサー422は、外気の温度及び湿度を正確に計測できるよう、外気窓425に通じている。第二実施形態の無線センサー装置2は、温度センサー及び湿度センサーを兼ねる温湿度センサーを備えるものであってもよく、温湿度センサーは外気窓425に通じているものであってもよい。照度センサー423に対応する可撓性シート50の位置には、照度を正しく計測するために、照度センサー用小窓428が設けられている。
【0039】
第二実施形態の無線センサー装置2も、小型かつ薄型にできている。筐体に相当する可撓性回路基板20及び可撓性シート50はいずれも可撓性を有しているので、無線センサー装置2が全体的に可撓性を有している。そして、剥離シート70を剥がして、建物の壁や柱等の被着体に、粘着剤層10で貼着させて容易に設置することができる。
【0040】
無線センサー装置2は、太陽電池を搭載せず、内部電源としてコイン型の一次電池44を搭載している。無線センサー装置2は、可撓性を有する筐体を選択したこと、太陽電池を搭載せず、内部電源としてコイン型の一次電池のみを搭載したことにより、筐体が樹脂ケースとプリント基板で構成された無線センサー装置や、太陽電池を搭載する無線センサー装置に比べて、無線センサー装置の製造費用を大幅に削減することができ、夜間等光源の無い状態での動作が問題となることがない。
【0041】
第二の粘着剤層は、市販の再剥離型の工業用両面粘着テープを使用することができ、両方の側の面を再剥離型の粘着面としてもよいが、一方の面のみを再剥離型の粘着面とする片面再剥離型の工業用両面粘着テープを使用することがより好ましい。第二の粘着剤層は、例えば、ポリエステル基材の両面に粘着層を有するタイプのものであってもよく、基材を有さないノンキャリアタイプのものであってもよい。第二の粘着剤層のうち、いずれの側を再剥離型の粘着面としてもよいが、第二の粘着剤層60は、可撓性回路基板20の側を汎用型の粘着面とし、可撓性シート50の側を再剥離型の粘着面としている。第二の粘着剤層60は、片面再剥離型の両面粘着テープを使用しているので、一次電池44を容易に交換可能である。
【0042】
また、第二実施形態の無線センサー装置2は、可撓性回路基板20と第二の粘着剤層60との間に、温度センサー421、湿度センサー422、照度センサー423、コントローラー41及びアンテナ43を保護する保護層30を備え、図5及び図6に示す様に、保護層30及び第二の粘着剤層60が、一次電池44を収める空間が設けられるようにくり抜かれている。このような構成を有することにより、ネジ回し等を使用せず、可撓性シート50の一部を片面再剥離型の第二の粘着剤層60から人の手で剥がして電池交換し、再び貼着して閉じることができ、電池交換の手間と費用を削減することができる。
【0043】
無線センサー装置2にも、コントローラー41には、内蔵一次電池の持続時間を延ばすための制御手段が組み込まれており、コイン型の一次電池44の持続時間を長くして、運用費用を抑制することができる。
【0044】
図17は、本発明に係る第二実施形態の変形例の無線センサー装置2’を示す概略断面図である。
第二実施形態の変形例の無線センサー装置2’は、無線センサー装置2と同様に、温度センサー421と、湿度センサーと、照度センサーと、コントローラー41と、アンテナ43と、コイン型の一次電池44とを、可撓性回路基板20上に備え、粘着剤層10と、可撓性回路基板20と、可撓性シート50とが、この順に積層されている。
【0045】
第二実施形態の変形例の無線センサー装置2’は、可撓性回路基板20と可撓性シート50との間に、温度センサー421、湿度センサー、照度センサー、コントローラー41及びアンテナ43を保護する保護層30を備え、図17及び図18に示す様に、保護層30は、一次電池44を収める空間が設けられるようにくり抜かれている。コイン型の一次電池44の周辺において、可撓性回路基板20と保護層30との間に、再剥離性を有する第二の粘着剤層60が挟まれている。
【0046】
第二の粘着剤層60は、ポリエステル基材の両面に粘着層を有するタイプのものであり、可撓性回路基板20の側を汎用型の粘着面とし、可撓性シート50及び保護層30の側を再剥離型の粘着面としている。第二の粘着剤層60は、片面再剥離型の両面粘着テープを使用しているので、コイン型の一次電池44の周辺で、可撓性回路基板20及び第二の粘着剤層60を、可撓性シート50及び保護層30から剥がすことで、一次電池44を容易に交換可能である。
【0047】
[第三実施形態]
図7は、本発明に係る第三実施形態の無線センサー装置3を示す概略断面図であり、図8は、無線センサー装置3の無線センサー装置3の表側及び裏側を示す概略図であり、無線センサー装置3を人の手で貼付できることを示している。
【0048】
無線センサー装置3は、可撓性シート50の外周部に、無線センサー装置3を貼り付ける時に押圧可能な環状の押圧可能領域501が設けられ、押圧可能領域501は、温度センサー、湿度センサー、照度センサー423、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40が、いずれも実装されない領域であり、押圧可能領域501にのみ、環状の第一の粘着剤層12が積層されている。図8の左図に示すように、可撓性シート50の環状の押圧可能領域501と、押圧可能領域501の内側の部品実装領域との境界を環状の点線で示してもよく、押圧可能領域501と部品実装領域とを環状に色分けしてもよい。
【0049】
剥離シートを剥がして、無線センサー装置3を建物の壁や柱等の被着体に、粘着剤層12で貼着して設置する時は、可撓性シート50の環状の押圧可能領域501を人の手で押圧すればよい。環状の押圧可能領域501には、温度センサー、湿度センサー、照度センサー423、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40が、いずれも実装されないので、これらの実装部品が破損するおそれを低減できる。
【0050】
無線センサー装置3を建物の壁や柱等の被着体から剥がす時も、可撓性シート50の外周部の押圧可能領域501の裏側にのみ、環状の第一の粘着剤層12が積層されているので、第一の粘着剤層が無線センサー装置の下部の全面よりも第一の粘着剤層の接着面積が小さいので容易に剥がすことができる。また、無線センサー装置3は、照度センサー423に対応する可撓性シート50の位置に、照度を正しく計測するために、照度センサー用小窓428が設けられている。
【0051】
図9は、本発明の第三実施形態の変形例の無線センサー装置4を示す概略断面図である。無線センサー装置4は、無線センサー装置3と同様に、可撓性シート50の外周部に、無線センサー装置3を貼り付ける時に押圧可能な環状の押圧可能領域501が設けられ、押圧可能領域501にのみ、環状の第一の粘着剤層12が積層されている。そして、保護層30の外周部付近が、温度センサー421、湿度センサー、照度センサー、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40を保護する内側の領域よりも薄く、傾斜をもたせてあり、可撓性シート50の押圧可能領域501と、内側の部品実装領域との境界が、可撓性シート50することで容易に区別できるようになっている。可撓性シート50の傾斜領域と内側の部品実装領域とを色分けしてもよく、押圧可能領域501と部品実装領域とを色分けしてもよい。
【0052】
図10は、本発明の第三実施形態の変形例の無線センサー装置5を示す概略断面図である。無線センサー装置5は、無線センサー装置4と同様に、可撓性シート50の外周部に、無線センサー装置3を貼り付ける時に押圧可能な押圧可能領域501が設けられ、押圧可能領域501にのみ、環状の第一の粘着剤層12が積層されている。そして、保護層30の外周部付近が、温度センサー421、湿度センサー、照度センサー、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40を保護する内側の領域よりも薄く、傾斜をもたせてあり、かつ、保護層30よりも可撓性シート50及び可撓性回路基板20が環状の外周部に拡がっており、環状の押圧可能領域501において、可撓性シート50、可撓性回路基板20及び第一の粘着剤層12が直接積層されている構造となっている。
【0053】
[第四実施形態]
図11は、本発明の第四実施形態の無線センサー装置6を示す概略断面図である。無線センサー装置6は、支え部材426を介して浮いた状態で設けられた温湿度センサー427と、照度センサー423と、温湿度センサー427及び照度センサー423からの出力値を処理するコントローラー41と、コントローラー41からの信号を無線発信するアンテナ43と、一次電池40とを、可撓性回路基板20上に備え、粘着剤層10と、可撓性回路基板20と、可撓性シート50とが、この順に積層されている。温湿度センサー427、照度センサー423、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40は、可撓性回路基板20及び可撓性シート50に挟まれている。温湿度センサー427が、支え部材426を介して、可撓性回路基板20から離れた状態で設けられているので、可撓性回路基板20からの影響を少なくすることができ、正確な温湿度を計測することができる。また、温湿度センサー427が、支え部材426及び粘着剤層10を介して、可撓性回路基板20及び被着体から離れた状態で設けられることになるので、可撓性回路基板20及び被着体からの影響を少なくすることができ、正確な温湿度を計測することができる。更に、無線センサー装置6は外気窓を備えており、温湿度センサー427は、外気の温湿度を正確に計測できるよう、外気窓に通じている。
【0054】
[第五実施形態]
図12は、本発明の第五実施形態の無線センサー装置7を示す概略断面図である。無線センサー装置7は、温度センサー421と、湿度センサーと、照度センサーと、温度センサー421、湿度センサー及び照度センサーからの出力値を処理するコントローラー41と、コントローラー41からの信号を無線発信するアンテナ43と、一次電池40とを、可撓性回路基板20上に備え、粘着剤層10と、可撓性シート50と、可撓性回路基板20とが、この順に積層されている。温度センサー421、湿度センサー、照度センサー、コントローラー41、アンテナ43及び一次電池40は、可撓性回路基板20及び可撓性シート50に挟まれている。温度センサー421及び湿度センサーが、可撓性シート50及び粘着剤層10を介して、被着体から離れた状態で設けられることになるので、被着体からの影響を少なくすることができ、正確な温湿度を計測することができる。
【0055】
[第六実施形態]
本発明の第六実施形態の無線センサー装置は、前記第一の粘着剤層よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層及び基材シートを有する粘着シートを、更に備え、前記第一の粘着剤層は、前記基材シートの背面に積層されている。
【0056】
図13は、第六実施形態の無線センサー装置8を示す概略断面図である。無線センサー装置8は、無線センサー装置1に、更に、第一の粘着剤層10よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層62及び基材シート64を有する粘着シート66を備え、第一の粘着剤層10は、粘着シート66の背面の基材シート64に積層されている。基材シート64、第三の粘着剤層62及び剥離シート71は同じ形状、同じ大きさである。第三の粘着剤層62は第一の粘着剤層10よりも大きい接着面積を有するので、建物の壁や柱等の被着体が例えば防汚コーティングされて接着性に難があっても、第三の粘着剤層62で貼着させて容易に設置することができる。
【0057】
第三の粘着剤層は、市販の工業用両面粘着テープを使用することができ、再剥離型の工業用両面粘着テープを使用することがより好ましい。第三の粘着剤層は、例えば、ポリエステル基材の両面に粘着層を有するタイプのものであってもよく、基材を有さないノンキャリアタイプのものであってもよい。第三の粘着剤層のうち、両方の側の面を再剥離型の粘着面としてもよく、可撓性回路基板20の側を汎用型の粘着面とし、他方の側を再剥離型の粘着面とすることが特に好ましい。これにより、建物の壁などに長期間貼着した後に剥がす際も、貼着していた建物の壁紙などを傷付けずに、容易にきれいに剥がすことができる。
【0058】
図14は、本発明の第六実施形態の変形例の無線センサー装置9を示す概略断面図である。無線センサー装置9は、無線センサー装置4に、更に、環状の第一の粘着剤層12よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層62及び基材シート64を有する粘着シート66を備え、第一の粘着剤層12は、粘着シート66の背面の基材シート64に積層されている。環状の第一の粘着剤層12の外形と第三の粘着剤層62の外形は、同じ形状、同じ大きさである。基材シート64、第三の粘着剤層62及び剥離シート71は同じ形状、同じ大きさである。第三の粘着剤層62は第一の粘着剤層12よりも大きい接着面積を有するので、建物の壁や柱等の被着体が例えば防汚コーティングされて接着性に難があっても、第三の粘着剤層62で貼着させて容易に設置することができる。
【0059】
[第七実施形態]
本発明の第七実施形態の無線センサー装置キットは、温度センサー、湿度センサー、照度センサー、その他各種環境条件をセンシングするセンサーからなる群から選択される少なくとも一のセンサー、前記センサーからの出力値を処理するコントローラー、前記コントローラーからの信号を無線発信するアンテナ及び一次電池が、可撓性回路基板及び可撓性シートに挟まれてなる無線センサー装置と、前記無線センサー装置を被着体に装着させるための第一の粘着剤層と、を備える。
【0060】
図15は、第七実施形態の無線センサー装置キット80を示す概略図である。無線センサー装置キット80は、温度センサー、湿度センサー、照度センサー、センサーからの出力値を処理するコントローラー、コントローラーからの信号を無線発信するアンテナ及び一次電池が、可撓性回路基板及び可撓性シート50に挟まれてなる無線センサー装置90と、無線センサー装置90を被着体に装着させるための粘着剤層10と、を備える。
【0061】
無線センサー装置キット80の粘着剤層10は、例えば、重剥離セパレーター上に粘着剤層10を形成した後に軽剥離セパレーターが貼合された形態で提供される。軽剥離セパレーターを剥離して、粘着剤層10を無線センサー装置90に貼着すれば、第一実施形態の無線センサー装置1、第二実施形態の無線センサー装置2、第四実施形態の無線センサー装置6又は第六実施形態の無線センサー装置8と同様になり、重剥離セパレーターを剥がして被着体に装着することができる。
【0062】
図16は、本発明の第七実施形態の変形例の無線センサー装置キット82を示す概略図である。無線センサー装置キット82は、温度センサー、湿度センサー、照度センサー、コントローラー、アンテナ及び一次電池が、可撓性回路基板及び可撓性シート50に挟まれてなる無線センサー装置92と、無線センサー装置92を被着体に装着させるための環状の第一の粘着剤層12と、第一の粘着剤層12よりも大きい接着面積を有する第三の粘着剤層及び基材シートを有する粘着シート66とを備える。
【0063】
無線センサー装置キット82の第一の粘着剤層12は、例えば、重剥離セパレーター上に第一の粘着剤層12を形成した後に軽剥離セパレーターが貼合された形態で提供される。軽剥離セパレーターを剥離して、第一の粘着剤層12を無線センサー装置92に貼着すれば、第三実施形態の無線センサー装置3、無線センサー装置4、無線センサー装置5と同様になり、重剥離セパレーターを剥がして被着体に装着することができる。
【0064】
無線センサー装置キット82の粘着シート66は、例えば、重剥離セパレーター上に第三の粘着剤層62を形成した後に基材シート64に貼合された形態で提供される。第一の粘着剤層12が無線センサー装置92に貼着された第三実施形態の無線センサー装置3の重剥離セパレーターを剥がして、第一の粘着剤層12を粘着シート66の背面の基材シート64に貼着すれば、第六実施形態の変形例の無線センサー装置9と同様になり、重剥離セパレーター(すなわち、剥離シート71)を剥がして被着体に装着することができる。建物の壁や柱等の被着体が例えば防汚コーティングされて接着性に難があっても、大きい接着面積を有する第三の粘着剤層62で貼着させて容易に設置することができる。あらかじめ、建物の壁や柱等の被着体に粘着シート66を貼着した後に、粘着シート66の背面の基材シート64に、第一の粘着剤層12を介して、無線センサー装置92を装着してもよい。
【0065】
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0066】
1,2,2’,3,4,5,6,7,8,9・・・無線センサー装置、10,12・・・粘着剤層(第一の粘着剤層)、20,22・・・可撓性回路基板、30・・・保護層、40,44・・・一次電池、41・・・コントローラー、421・・・温度センサー、422・・・湿度センサー、423・・・照度センサー、424・・・インジケーター、425・・・外気窓、426・・・支え部材、427・・・温湿度センサー、428・・・照度センサー用小窓、43・・・アンテナ、50・・・可撓性シート、501・・・可撓性シートの押圧可能領域、60・・・再剥離性を有する第二の粘着剤層、62・・・第三の粘着剤層、64・・・基材シート、66・・・粘着シート、70,71・・・剥離シート、80,82・・・無線センサー装置キット、90,92・・・無線センサー装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18