(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティング層は、前記第1基材の一面に位置し、前記コーティング層が前記負極集電体の無地部に対面することを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
前記第1セパレータは、前記第1基材の少なくとも一面に位置し、有機物を含む有機層を第2コーティング層としてさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
前記第2セパレータは、前記第2基材の少なくとも一面に位置し、有機物を含む有機層をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
前記第1基材および前記第2基材はそれぞれ、0.01〜1μmの細孔径を有する空隙を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
前記バインダーは、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル、酢酸ビニル誘導体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴム、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載のリチウム二次電池。
前記有機物は、ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体、ポリオレフィンワックス、アクリル系高分子、またはこれらの組み合わせを含む高分子粒子;スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル、酢酸ビニル誘導体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴム、またはこれらの組み合わせを含むバインダー;またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項4または5に記載のリチウム二次電池。
前記有機物は、前記高分子粒子であり、前記高分子粒子の粒径(D50)は、100nm〜5μmであることを特徴とする、請求項14又は15に記載のリチウム二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されるわけではなく、本発明は後述する請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0008】
本発明の一実施形態にかかるリチウム二次電池について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるリチウム二次電池の分解斜視図である。一実施形態にかかるリチウム二次電池は、角型のものを例として説明するが、本発明がこれに制限されるわけではなく、リチウムポリマー電池、円筒型電池など、多様な形態の電池に適用可能である。
【0009】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態にかかるリチウム二次電池100は、正極110、第1セパレータ130、負極120、および第2セパレータ130’が順次に積層されて巻き回された電極アセンブリ140と、前記電極アセンブリ140が内蔵されるケース150とを含むことができる。前記正極110および前記負極120と前記第1セパレータ130および前記第2セパレータ130’は、電解液(図示せず)に含浸されていてよい。
【0010】
前記正極110は、正極集電体を含む。前記正極集電体の少なくとも一面上には正極活物質層が位置し、また、前記正極活物質層の位置しない無地部を有することができる。
【0011】
前記負極120は、負極集電体を含む。前記負極集電体の少なくとも一面上には負極活物質層が位置し、また、負極活物質層の位置しない無地部を有することができる。例えば、無地部は、負極活物質を実質的に含まなくてもよい。つまり、無地部は、負極活物質をほとんど含まなくてもよい。
【0012】
前記第1セパレータ130は、第1基材を含むことができる。また、前記第1セパレータ130は、前記第1基材の少なくとも一面に、無機層および有機層のうちの少なくとも1つを含むコーティング層がさらに位置することができる。
【0013】
前記第2セパレータ130’は、第2基材を含むことができる。また、前記第2セパレータ130’は、前記第2基材の少なくとも一面に、無機層および有機層のうちの少なくとも1つがさらに位置することができる。このような前記第1セパレータ130および前記第2セパレータ130’は、互いに異なっていてよい。具体的には、前記第1セパレータ130と前記第2セパレータ130’は、互いに異なっていてよく、より具体的には、前記第1セパレータ130は、より小さい熱収縮率を有することができ、前記第2セパレータ130’は、より大きい熱収縮率を有することができる。具体的には、前記第1セパレータ130は、前記第2セパレータ130’より低い熱収縮率を有することができる。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記電極アセンブリ140の最外郭部および中心部のうちの少なくとも1つの部分が、正極集電体の無地部と負極集電体の無地部との間に熱収縮率がより小さい第1セパレータが位置すると同時に、正極集電体の無地部と負極集電体の無地部との間に熱収縮率がより大きい第2セパレータが別の層として位置するように構成できる。すなわち、電極アセンブリ140の最外郭部および中心部のうちの少なくとも1つの部分は、正極集電体の無地部、第1セパレータ、負極集電体の無地部、および第2セパレータが順次に積層された構造を有することができる。電池の貫通試験のように、外部要因によって電池内部の短絡が発生すると、熱が発生して内部温度が上昇するが、この時、前記熱収縮率がより大きい第2セパレータは溶融しやすくなることにより、貫通部位に熱が集中するのを防止し、熱分散を容易にして貫通安全性を向上させることができる。これと同時に、前記熱収縮率がより小さい第1セパレータは、無機層に含まれている無機物によって電池の安全性をより大きく向上させることができる。
【0015】
このように、電極の無地部の間で電極アセンブリを前記のような構造に形成することにより、電池の貫通時にも熱的安全性に優れているリチウム二次電池を実現することができる。
【0016】
図1において、A領域は前記電極アセンブリ140の中心部を示し、B領域は前記電極アセンブリ140の最外郭部を示す。
【0017】
図2は、
図1におけるAおよびB領域を拡大した図である。
図2を参照すれば、電極アセンブリ140の最外郭部(B領域)および中心部(A領域)のうちの少なくとも1つの部分が、前記正極集電体の無地部112、前記第1セパレータ130、前記負極集電体の無地部122、および前記第2セパレータ130’が順次に積層された構造を有することができる。
【0018】
前記熱収縮率がより小さい第1セパレータは、具体的には、ポリオレフィン系樹脂粒子を含む第1基材と、前記第1基材の少なくとも一面に位置し、無機物を含む無機層とを含むことが好ましい。すなわち、前記無機層は、前記第1基材の両面に位置するか、前記第1基材の一面に位置することができる。前記無機層が前記第1基材の一面に位置する場合、前記無機層は、前記負極集電体の無地部に対面するように位置することができる。
【0019】
前記第1セパレータは、前記第1基材の少なくとも一面側に位置し、有機物を含む有機層をさらに含むこともできる。具体的には、前記有機層は、前記無機層の上に位置することができる。または、前記第1セパレータは、前記第1基材の少なくとも一面側に位置し、無機物を含む無機層をさらに含むこともできる。具体的には、前記無機層は前記有機層の上に位置することができる。
【0020】
前記熱収縮率がより大きい第2セパレータは、具体的には、ポリオレフィン系樹脂粒子を含む第2基材を含むことができる。すなわち、前記第2セパレータは、前記第1セパレータとは異なって無機層を含まない。前記第2セパレータは、前記第2基材の少なくとも一面側に位置し、有機物を含む有機層をさらに含むこともできる。
【0021】
前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、熱収縮率が高い物質であって、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、0.1〜5μmの粒径(D
50)、具体的には0.5〜3μmの粒径(D
50)を有することができる。前記ポリオレフィン系樹脂粒子の大きさが前記範囲内の場合、リチウムイオンの移動抵抗を最少化し、前記有機層および前記無機層のようなコーティング層の厚さを最少化して、リチウム二次電池の性能を確保することができる。
【0022】
前記第1基材および前記第2基材は、空隙を含むことができる。前記空隙を介してリチウムイオンが移動できる。
【0023】
前記空隙は、0.01〜1μmの細孔径、具体的には0.1〜1μmの細孔径を有することができる。前記空隙の大きさが前記範囲内の場合、リチウムデンドライト(dendrite)の形成による内部短絡を防止し、リチウムイオンの移動抵抗を最少化して、リチウム二次電池の性能および安全性を確保することができる。
【0024】
前記第1基材および前記第2基材の厚さはそれぞれ、6〜25μm、具体的には7〜20μmであってよい。前記基材の厚さが前記範囲内の場合、リチウム二次電池の容量を確保しながら、優れた物理的特性によって優れたリチウム二次電池の安全性を確保することができる。
【0025】
前記無機物は、SiO
2、Al
2O
3、Al(OH)
3、AlO(OH)、TiO
2、BaTiO
2、ZnO
2、Mg(OH)
2、MgO、Ti(OH)
4、ZrO
2、アルミニウムナイトライド、シリコンカーバイド、ボロンナイトライド、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0026】
前記無機物は、粒子の粒径(D
50)が0.1〜5μmであってよく、具体的には0.3〜1μmであってよい。前記無機物の大きさが前記範囲内の場合、前記基材に均一にコーティングされ得、リチウムイオンの抵抗を最少化して、リチウム二次電池の性能を確保することができる。
【0027】
前記無機層の厚さは、0.5〜7μmであってよく、具体的には1〜6μmであってよい。前記無機層の厚さが前記範囲内であるとき、リチウム二次電池の安全性をより向上させることができる。
【0028】
前記無機層は、前記無機物のほか、バインダーをさらに含むことができる。
前記バインダーは、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル、酢酸ビニル誘導体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴム、またはこれらの組み合わせを含むことができ、これらのうち、好適には、前記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、前記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)と前記カルボキシメチルセルロース(CMC)との混合物、前記エチレンビニルアセテート(EVA)、前記ポリビニルアルコール(PVA)、前記エチレン−アクリル酸共重合体、または前記アクリル系ゴムを使用することができる。
【0029】
前記有機物は、ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体、ポリオレフィンワックス、アクリル系高分子、またはこれらの組み合わせを含む高分子粒子;スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル、酢酸ビニル誘導体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴム、またはこれらの組み合わせを含むバインダー;またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0030】
前記有機物が前記高分子粒子の場合、前記高分子粒子の重量平均分子量は、300〜10,000であってよく、具体的には2,000〜6,000であってよい。また、前記高分子粒子の大きさは、100nm〜5μmであってよく、具体的には200nm〜3μmであってよい。前記有機物の重量平均分子量および前記高分子粒子の大きさがそれぞれ前記範囲内の場合、リチウムイオンの移動抵抗を最少化して、リチウム二次電池の性能を確保することができる。
【0031】
前記有機層の厚さは、1〜6μmであってよく、具体的には3〜6μmであってよい。前記有機層の厚さは一面の厚さであってもよく、有機層が両面に位置する場合、両面の厚さを合わせた厚さが前記範囲に含まれていてもよい。前記有機層の厚さが前記範囲内の場合、厚さの薄いリチウム二次電池を確保することができ、充放電サイクルの進行に伴う電池の膨張をより防止することができる。
【0032】
前記正極集電体は、アルミニウムを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
前記正極活物質層は、正極活物質を含む。
前記正極活物質は、リチウムの可逆的な挿入および脱離が可能な化合物(リチエイテッド挿入化合物)を使用することができ、具体的には、リチウム金属酸化物を使用することができる。
前記リチウム金属酸化物は、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルおよびアルミニウムから選択される少なくとも1つの金属と、リチウムを含む酸化物を使用することができる。より具体的には、下記の化学式のうちのいずれか1つで表される化合物を使用することができる。
Li
aA
1−bX
bD
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);Li
aA
1−bX
bO
2−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aE
1−bX
bO
2−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aE
2−bX
bO
4−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cD
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cO
2−αT
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cO
2−αT
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cD
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cO
2−αT
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cO
2−αT
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
bE
cG
dO
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);Li
aNiG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aCoG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
1−bG
bO
2)(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
2G
bO
4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
1−gG
gPO
4(0.90≦a≦1.8、0≦g≦0.5);LiQS
2;LiV
2O
5;LiZO
2;LiNiVO
4;Li
(3−f)J
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
(3−f)Fe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);LiFePO
4。
【0034】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Xは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Dは、O、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Eは、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Tは、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Qは、Ti、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Zは、Cr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0035】
前記リチウム金属酸化物は、より具体的には、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、またはこれらの組み合わせを使用することができ、これらのうち、好適には、前記リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物と前記リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物とを混合して使用することができる。
【0036】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質のほか、バインダーと、導電剤とをさらに含むことができる。
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに付着させやすくし、また、正極活物質を正極集電体に付着させやすくする役割を果たし、その代表例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を起こさずに電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0038】
前記負極集電体は、銅箔を使用することができる。
【0039】
前記負極活物質層は、負極活物質と、バインダーと、選択的に導電剤とを含む。
前記負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離可能な物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質、または遷移金属酸化物を含む。
前記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離可能な物質としては、炭素物質であって、リチウム二次電池において一般に使用される炭素系負極活物質はいかなるものでも使用することができ、その代表例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0040】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属との合金が使用できる。
【0041】
前記リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、SiO
x(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族〜16族元素、遷移金属、希土類元素、またはこれらの組み合わせであり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−C複合体、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族〜16族元素、遷移金属、希土類元素、またはこれらの組み合わせであり、Snではない)などが挙げられ、また、これらのうちの少なくとも1つとSiO
2とを混合して使用することもできる。前記QおよびRの具体的な元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0043】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに付着させやすくし、また、負極活物質を負極集電体に付着させやすくする役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダー、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
前記水溶性バインダーとしては、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン−ブタジエンラバー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、プロピレンと炭素数が2〜8のオレフィン共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与可能なセルロース系化合物をさらに含むことができる。
このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含有量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部〜3重量部であってよい。
【0046】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を起こさずに電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0047】
前記電解液は、非水性有機溶媒と、リチウム塩とを含む。
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たす。前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、および非プロトン性溶媒から選択できる。
【0048】
前記カーボネート系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジプロピルカーボネート(dipropyl carbonate、DPC)、メチルプロピルカーボネート(methylpropyl carbonate、MPC)、エチルプロピルカーボネート(ethylpropyl carbonate、EPC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethyl carbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、ブチレンカーボネート(butylene carbonate、BC)などが使用できる。
特に、鎖状カーボネート化合物および環状カーボネート化合物を混合して使用する場合、誘電率を高めると同時に、粘性が小さい溶媒として製造できて良い。この場合、環状カーボネート化合物および鎖状カーボネート化合物は、約1:1〜1:9の体積比で混合して使用することができる。
【0049】
また、前記エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用できる。前記エーテル溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用可能であり、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用可能である。また、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用できる。
【0050】
前記非水性有機溶媒は、単独または1つ以上混合して使用することができ、1つ以上混合して使用する場合の混合比率は、目的の電池性能に応じて適切に調節することができる。
【0051】
前記電解液は、エチレンカーボネート、ピロカーボネートなどの過充電防止剤のような添加剤をさらに含むこともできる。
【0052】
前記リチウム塩は、有機溶媒に溶解し、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
前記リチウム塩の具体例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
3C
2F
5)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、xおよびyは1〜20の自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate;LiBOB)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
前記リチウム塩の濃度は、約0.1M〜約2.0Mの範囲内で使用するのが良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解液が適切な伝導度および粘度を有するため、優れた電解液性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動可能になる。
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記の実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されるべきではない。
また、ここに記載されていない内容は、当該技術分野における熟練した者であれば十分に技術的に類推できるので、その説明を省略する。
【0054】
<実施例1>
(正極の製造)
LiCoO
297.4重量%、カーボンブラック1.3重量%、およびポリビニリデンフルオライド1.3重量%を、N−メチルピロリドン(NMP)溶媒に添加して、スラリーを製造した。前記スラリーをアルミニウム(Al)箔に所定の間隔をおいて塗布および乾燥した後、ロールプレス(roll press)を実施して正極を製造した。製造された正極は、アルミニウム箔上に、正極活物質層形成部および正極活物質層の形成されない無地部が存在する。
(負極の製造)
黒鉛97.5重量%、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)1.5重量%、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量%を、水溶媒に添加して、スラリーを製造した。前記スラリーを銅箔に所定の間隔をおいて塗布および乾燥した後、ロールプレス(roll press)を実施して負極を製造した。製造された負極は、銅箔上に、負極活物質層形成部および負極活物質層の形成されない無地部が存在する。
(セパレータの製造)
[第1セパレータ]
粒子の大きさが0.6μmのAlO(OH)95重量%を、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)5重量%と共に、水の中で混合して、無機層組成物を製造した。また、アクリル系高分子(Asahi社、FA016A、重量平均分子量:約8000、粒子の大きさ:約300nm)97.5重量%を、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)2.5重量%と共に、水の中で混合して、有機層組成物を製造した。
0.1〜1μmの大きさの空隙を有するポリエチレン材質の基材の一面に前記無機層組成物を塗布して無機層を形成し、該無機層の上及び基材の他の一面の双方に前記有機層組成物を塗布して有機層を形成することにより、セパレータを製造した。この時、有機層は、ドット(dot)状のパターンを有するように形成された。
また、前記基材の厚さは12μmであり、前記基材の一面に形成された前記無機層の厚さは4μmであり、前記有機層の両面の総厚さは2μmとなるように形成した。得られた第1セパレータの熱収縮率は、120℃、1時間で1%であった。
[第2セパレータ]
ポリエチレン材質のセパレータを使用した。第2セパレータの熱収縮率は、120℃、1時間で5%であった。
(電解液の製造)
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートを25:5:40:30の体積比で混合した混合溶媒に、1.15MのLiPF
6を添加して、電解液を製造した。
(リチウム二次電池の製作)
前記正極、前記第1セパレータ、前記負極、および前記第2セパレータを順次に積層および巻き取って電極アセンブリを製造し、これに前記電解液を注入して、リチウム二次電池を製作した。この時、前記電極アセンブリの最外郭部および中心部のうちの少なくとも1つの部分が、前記正極集電体の無地部、前記第1セパレータ、前記負極集電体の無地部、および前記第2セパレータが順次に積層された構造を有するように巻き取った。
【0055】
<実施例2>
第2セパレータとして、ポリエチレン材質のセパレータの代わりに、次のように製造されたセパレータを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製作した。
0.1〜1μmの大きさの空隙を有し、ポリエチレン材質の基材の両面に前記有機層組成物を塗布して有機層を形成することにより、セパレータを製造した。この時、前記基材の厚さは16μmであり、前記有機層の両面の総厚さは2μmとなるように形成した。
【0056】
<参考例1>
第2セパレータとして、ポリエチレン材質のセパレータの代わりに、実施例1で第1セパレータとして用いられたセパレータを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製作した。
【0057】
評価1:釘貫通試験
直径が2.5Φ(2.5mm)の釘を、100mm/secの速度で、実施例1および2と参考例1で製造された電池セルを貫通させた時の、リチウム二次電池の電圧と温度の関係を測定し、その結果を
図3および
図4に示した。
10個の電池セルを対象に前記のような貫通試験を繰り返した結果、実施例1および2の場合、10個とも
図3のようなケース1の結果を得た。また、参考例1の場合、10個とも
図4のようなケース2の結果を得た。
図3は、一実施形態にかかるリチウム二次電池の釘貫通試験時の電圧挙動と温度変化を示したグラフであり、
図4は、参考例によるリチウム二次電池の釘貫通試験時の電圧挙動と温度変化を示したグラフである。
【0058】
ケース1に該当する
図3は、貫通試験時、貫通部の正極集電体のバリ(burr)と負極集電体のハードショート(hard short)が発生するが、貫通部位の第2セパレータが溶けて追加的にショートが発生して正極集電体のハードショート部位のエネルギーが低下し、バリ(burr)が溶融することなくショート部位が維持されることを示す。この時、電圧が完全に下がり、電流がショート部位を介して一定時間流れて、セルの表面温度が100℃程度まで増加してから常温まで徐々に低下する現象を示す。
【0059】
ケース2に該当する
図4は、一次ショートが発生した後、第1及び第2セパレータ双方共に、両面に無機物質がコーティングされたセパレータのため、溶融せず、従って、二次ショートが発生する場合、発火につながることを示す。
【0060】
図3および
図4を参照した結果、電極の無地部の間にいずれも熱収縮率が小さいセパレータを位置させて形成した参考例1は、ケース2の結果が現れるため、これから、電極の無地部の間に熱収縮率がより大きいセパレータおよび熱収縮率がより小さいセパレータをそれぞれ位置させて形成した実施例1および2の場合、参考例1に比べて、貫通時にも熱的安全性に優れていることが分かる。
【0061】
また、前記貫通試験後のセルを解体して、Al箔、第1セパレータ、Cu箔、および第2セパレータそれぞれの貫通後に対して光学顕微鏡で観察し、その結果を
図5に示した。
【0062】
図5は、実施例1および2と参考例1によるリチウム二次電池の貫通試験後のセルを解体したものの光学顕微鏡写真である。
図5を参照すれば、電極の無地部の間に熱収縮率がより大きいセパレータおよび熱収縮率がより小さいセパレータをそれぞれ位置させて形成した実施例1および2の場合、電極の無地部の間にいずれも熱収縮率が小さいセパレータを位置させて形成した参考例1の場合と比較して、Al箔の損失部分がより小さく、第2セパレータの溶融がより大きく生じることが分かる。これから、本発明の一実施形態にかかるリチウム二次電池は貫通安全性に優れていることが分かる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。