(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然油脂由来のオレイン酸を45〜95重量%含有する脂肪酸(A)と、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)と、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)とを含有する吸水性物品用繊維処理剤であって、(A)と(B)と(C)の合計重量に基づいて脂肪酸(A)の含有量が0.3〜3.0重量%であり、(A)と(B)と(C)の合計重量が1重量%となるように水で希釈した水溶液のpHが4.5〜6.5であることを特徴とする吸水性物品用繊維処理剤(D)。
天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)および天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)が植物油脂由来である請求項1または2に記載の吸水性物品用繊維処理剤。
天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)および天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)がひまし油由来である請求項3に記載の吸水性物品用繊維処理剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤は、透水後も弱酸性を示す観点から、天然油脂由来のオレイン酸を45〜95重量%含有する脂肪酸(A)と、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)と、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)とを含有する吸水性物品用繊維処理剤であって、(A)と(B)と(C)の合計重量に基づいて脂肪酸(A)の含有量が0.3〜3.0重量%であり、(A)と(B)と(C)の合計重量が1重量%となるように水で希釈した水溶液のpHが4.5〜6.5であることを特徴とする。
上記脂肪酸(A)を含有しない場合には、吸水性物品用繊維処理剤が付着した繊維を使用した不織布のpHが6.5よりも大きくなる。
【0010】
天然油脂由来のオレイン酸を45〜95重量%含有する脂肪酸(A)の具体例として、例えば、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、米糠油脂肪酸、米胚芽油脂肪酸、菜種油脂肪酸などの植物由来の脂肪酸のうち、オレイン酸を45〜95重量%含有するものが挙げられる。これらの中でも、パーム油脂肪酸、米胚芽油脂肪酸であることが望ましい。
天然油脂由来の脂肪酸は、一般に、炭素数が8、10、12、14、16、18、20、22、24の飽和脂肪酸および/または炭素数が16、18、20、22の不飽和脂肪酸の混合物である。
なお、天然油脂由来の脂肪酸、特に植物油脂由来の脂肪酸は、人の皮膚に直接塗布される化粧品および人体用洗浄剤として使用されてきた実績があり、それらを使用していると説明することが、消費者に安心感を与えることになる。
【0011】
本発明で用いる天然油脂由来の脂肪酸(A)は、繊維への吸着性維持および肌への低刺激性の観点からオレイン酸を45〜95重量%含有することが必要であり、60〜95重量%含有することが好ましく、80〜95重量%含有することがさらに好ましい。
【0012】
本発明で用いる天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)は、植物油脂由来であることが好ましい。
天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)が植物油脂由来であるとは、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)を構成する成分の一部が植物油脂由来であることを意味する。典型的には天然油脂が植物油脂である化合物が含まれる。すなわち、植物油脂由来である天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)には、植物油脂に対して人工的にオキシアルキレン基を付加させた化合物が含まれる。
天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)は、ひまし油由来であることが好ましい。とくに、乳化安定性の観点からひまし油のEO10モル付加物、ひまし油のEO20モル付加物、ひまし油のEO25モル付加物、ひまし油のEO45モル付加物等が好ましい。
なお、EOはエチレンオキサイドを意味する。
【0013】
本発明で用いる天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)は、植物油脂由来であることが好ましい。
天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)が植物油脂由来であるとは、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)を構成する成分の一部が植物油脂由来であることを意味する。典型的には天然油脂が植物油脂である化合物が含まれる。すなわち、植物油脂由来である天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)には、植物油脂に対して人工的にオキシアルキレン基を付加させ、さらにエステル化させた化合物が含まれる。
天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)は、ひまし油由来であることが好ましい。とくに、乳化安定性および繰り返し透水性の観点からひまし油のEO10モル付加物のトリラウリン酸エステル、ひまし油のEO20モル付加物のジオレイン酸エステル、ひまし油のEO25モル付加物のジオレイン酸エステル、ひまし油のEO45モル付加物のトリステアリン酸エステル等が好ましい。
【0014】
脂肪酸(A)の含有量は乳化安定性および初期親水性向上の観点から、(A)と(B)と(C)の合計重量に基づいて0.3〜3.0重量%であり、好ましくは0.6〜2.6重量%である。脂肪酸(A)の含有量が0.3重量%よりも小さいと、(A)と(B)と(C)の合計重量が1重量%となるように水で希釈した際のpHが6.5よりも大きくなる。一方、3.0重量%よりも大きくなると初期親水性が悪くなる。
【0015】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)は、さらに天然油脂(E)を含有することが好ましい。
天然油脂(E)をさらに含有することによって、繊維の滑り性および繊維への吸着性を飛躍的に向上させることができる。そのため肌への物理的な刺激性を抑制することができる。天然油脂そのもののみを繊維処理剤として使用する場合は乳化性が不良となる。
【0016】
この目的で含有させる天然油脂(E)の具体例としては、例えば、牛脂、豚脂といった動物由来の油脂、パーム油、オリーブ油、米糠油、米胚芽油、菜種油などの植物由来の油脂など動植物由来の天然油脂が好ましく用いられる。
これらの中でも、植物油脂であることが好ましく、パーム油、米糠油、米胚芽油であることが望ましい。
天然油脂、特に植物油脂は、人の皮膚に直接塗布される化粧品および人体用洗浄料として使用されてきた実績があり、それを使用していると説明することが、消費者に安心感を与えることになる。特にパーム油は洗剤および食品の原料として用いられ、米糠油、米胚芽油は入浴剤等に用いられてきた実績が長いことから、好ましく用いられる。
【0017】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)は、必要に応じて界面活性剤(F)を含有してもよい。
界面活性剤(F)には、天然油脂のポリオキシアルキレン付加物(B)及び天然油脂のポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル(C)は含まれない。
界面活性剤(F)としては、非イオン界面活性剤(F1)、アニオン界面活性剤(F2)、両性界面活性剤(F3)が挙げられる。
【0018】
非イオン界面活性剤(F1)としては、アルコール、アミン、カルボン酸などの活性水素化合物のアルキレンオキサイド付加物、またはそのエステル化物、多価アルコールのエステル化物が挙げられる。
具体的には、ラウリルアルコールのEO5モル付加物、ソルビタンモノラウレートのEO20モル付加物等が挙げられる。
【0019】
アニオン界面活性剤(F2)としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩が挙げられる。
アルキルスルホン酸塩を構成するアルキル基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、8〜16であることがより好ましく、10〜14であることがさらに好ましい。アルキル基としては、直鎖、分岐のいずれでもよい。
アルキルスルホン酸塩の具体例としては、オクチルスルホン酸カリウム塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム塩、テトラデシルスルホン酸ナトリウム塩、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
アルキルリン酸エステル塩としては、オクチルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、イソデシルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、ドデシルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、オクチルアルコールのEO2モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩、ヘキサデシルアルコールのEO5モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩等が挙げられる。
【0020】
両性界面活性剤(F3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤が挙げられ、カルボン酸塩型両性界面活性剤は、さらにアミノ酸型両性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0021】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)は、必要に応じてその他の添加剤(G)を含有しても差し支えない。
添加剤(G)としては、消泡剤、防腐剤及び香料などが挙げられる。
【0022】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)は、(A)、(B)、(C)、必要により(E)、(F)、(G)等の他の成分を配合し、常温又は必要により加熱して(例えば30〜70℃)、均一に混合することにより得られる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。また、必要により水を配合してもよい。
【0023】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)は、(A)と(B)と(C)の混合物であって、それに(E)などの成分を加えた状態で繊維等に付着させてもよく、水で希釈した後水系エマルションにした状態でこれを繊維等に付着させてもよい。
【0024】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)は、繊維の用途に使用できる。
この繊維としては、不織布製品特に紙おむつ、合成ナプキン等のトップシートに用いられる不織布製品が好ましい。
【0025】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)を繊維に付着させることで、繊維に耐久的な透水性を付与し、本発明の繊維とすることができる。
繊維に吸水性物品用繊維処理剤を付着させる方法には特に制限はなく、紡糸、延伸などの任意の工程で、オイリングロール法、浸漬法、噴霧法などの通常用いられる方法を利用することができる。
【0026】
吸水性物品用繊維処理剤(D)の付着量は、繊維重量に基づいて、固形分として好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは、0.1〜2重量%である。
【0027】
本発明に用いられる繊維とは、温度25℃、相対湿度65%で吸水率が1重量%以下である疎水性の繊維を意味する。
繊維の種類は特に限定されず、通常用いられる疎水性の合成繊維を用いることができ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
【0028】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、及びエチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが挙げられる。
また、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、及びポリエーテルポリエステルなどが挙げられる。
ポリアミドとしては、6,6−ナイロン、及び6−ナイロンなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン及びポリエステルは、おむつ用吸水素材として好ましく用いられる。
【0029】
本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)が付着されてなる繊維を用いた繊維形態は、布状の形状のものが好ましく、織物、編物、不織布などが挙げられる。
また、混綿、混紡、混繊、交編、交織などの方法で混合した繊維を布状として使用してもよい。これらの中では、特に不織布が好ましい。
【0030】
不織布に適用する場合、本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)を付着させた短繊維を、乾式又は湿式法で繊維積層体とした後、加熱ロールで圧着したり、空気加熱で融着したり、高圧水流で繊維を交絡させ不織布としてもよいし、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法などによって得られた不織布に、本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D)を付着させてもよい。
【0031】
本発明の繊維、及びそれを用いた不織布は、吸水性物品の表面材、とくに紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料の表面材として好適に用いられる。
また、セカンドシート、吸水体、工業用又は医療用のワイパー、吸収パッド、及び透水シートなどに利用することもできる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
<製造例1>[ひまし油のEO25モル付加物のジオレイン酸エステル(C−1)の製造]
撹拌器及び温度計を備えた反応容器に、ひまし油のEO25モル付加物(商品名「ブラウノン BR−425」、青木油脂製)880重量部及びオレイン酸(商品名「ルナックO−V」、花王製)270重量部を仕込み、触媒としてパラトルエンスルホン酸ナトリウム4.0重量部を加え、窒素置換した。150℃まで昇温し、12時間反応させることで、ひまし油のEO25モル付加物のジオレイン酸エステル(C−1)を得た。
【0034】
<製造例2>[ひまし油のEO20モル付加物のジオレイン酸エステル(C−2)の製造]
撹拌器及び温度計を備えた反応容器に、ひまし油のEO20モル付加物(商品名「ブラウノン BR−420」、青木油脂製)715重量部及びオレイン酸(ルナックO−V、花王製)185重量部を仕込み、触媒としてパラトルエンスルホン酸ナトリウム4.0重量部を加え、窒素置換した。150℃まで昇温し、12時間反応させることで、ひまし油のEO20モル付加物のジオレイン酸エステル(C−2)を得た。
【0035】
<実施例1>
オレイン酸含有率65%の脂肪酸(A−1)1.5重量部、ひまし油のEO25モル付加物(B−1)60.0重量部、ひまし油のEO25モル付加物のジオレイン酸エステル(C−1)10.0重量部、ひまし油のEO20モル付加物のジオレイン酸エステル(C−2)24.0重量部、菜種油(E−1)4.5重量部をビーカーに入れ、40℃で30分間撹拌して本発明の吸水性物品用繊維処理剤(D−1)を得た。
【0036】
<実施例2〜4、比較例1〜4>
表1に記載した配合処方で実施例1と同様にして各成分を配合し、実施例2〜4の吸水性物品用繊維処理剤(D−2)〜(D−4)及び比較例1〜4の吸水性物品用繊維処理剤(D’−1)〜(D’−4)を得た。
【0037】
【表1】
【0038】
表1中の略称は以下のとおりである。
(A−1):オレイン酸含有率65%の脂肪酸(商品名「NAA−38S」(日油製))
(A−2):オレイン酸含有率47%の脂肪酸(商品名「PM−200」(ミヨシ油脂製))
(A’−1):オレイン酸含有率14%の脂肪酸(商品名「PALMAC505」(ACIDCHEM INTERNATIONAL SDN.BHD製))
(A’−2):クエン酸(磐田化学製)
(B−1):ひまし油のEO25モル付加物(商品名「ブラウノン BR−425」(青木油脂製))
(B−2):ひまし油のEO20モル付加物(商品名「ブラウノン BR−420」(青木油脂製)
(C−1):ひまし油のEO25モル付加物のジオレイン酸エステル
(C−2):ひまし油のEO20モル付加物のジオレイン酸エステル
(E−1):菜種油(商品名「菜種白絞油」(日清オイリオ製))
(E−2):米胚芽油(商品名「PRO−15」(築野食品工業製))
【0039】
吸水性物品用繊維処理剤の物性を測定し、また不織布の繊維を処理して下記の性能評価を行った。その結果を表1に記載する。
【0040】
[吸水性物品用繊維処理剤の物性評価(1重量%水溶液のpH)]
得られた吸水性物品用繊維処理剤をビーカーに入れ、(A)と(B)と(C)の合計量の濃度が1重量%になるようにイオン交換水で希釈し、pHメーターでその水溶液のpHを測定した。
比較例1、2についてはそれぞれ(A´−1)、(A´−2)の配合量を(A)の配合量として計算した。
【0041】
〔処理液の作製方法〕
得られた吸水性物品用繊維処理剤を(A)と(B)と(C)の合計量の濃度が0.5重量%となるようにイオン交換水に希釈して吸水性物品用繊維処理剤の水希釈液を得た。
【0042】
〔処理不織布の作製方法〕
前記の方法で得られた吸水性物品用繊維処理剤希釈液を目付18g/m
2 のポリプロピレンスパンボンド不織布に、乾燥後の(A)と(B)と(C)の合計量の濃度(不織布への付着量)が0.5重量%となるように塗布した。
具体的な塗布方法としては、給油浴の吸水性物品用繊維処理剤希釈液に浸漬後、マングルで絞り(絞り率100%)、その後、循風乾燥機で50℃、30分間乾燥し、室温で8時間以上放置して乾燥させた。
【0043】
〔性能評価項目〕
<不織布表面から抽出回収した成分のpH>
(1)使い捨て紙ウエス(「キムタオル」、日本クレシア(株)製)を敷き、その上に吸水性物品用繊維処理剤を塗布した処理不織布(付着量0.5重量%、サイズ:10cm×10cm)を置いた。
(2)処理不織布の上にSUS製リング(内径6cm、高さ6cm)を載せ、それを通じて50mlのイオン交換水を通液させた後、処理不織布を40℃で8時間乾燥させた。この処理不織布を100枚作製した。
(3)(2)で得られた処理不織布の20枚を、迅速油脂抽出機を使用して、有機溶剤(重量比でジエチルエーテル/エタノール=4/1)で油分を抽出した。抽出した油分入り有機溶剤を40℃で8時間加熱し、有機溶剤を蒸発させ、油分のみを得た。
この操作を5回実施し、合計100枚を同一容器に回収した。
(4)得られた成分の量から計算し、(A)と(B)と(C)の合計量の濃度が1重量%となるようにイオン交換水で希釈し、pHメーターにてpHを測定した。
この評価条件では、一般的にはpHが4.5〜6.5であることが好ましい。
【0044】
<不織布の初期透水性の評価>
(1)処理不織布(10cm×10cm)を10cm×10cmにカットした濾紙(東洋濾紙、No.5)の上に重ねる。
(2)不織布表面から10mmの高さに設置したビューレットより1滴(約0.05ml)の生理食塩水を滴下して、不織布表面から水滴が消失するまでの時間を測定する。
不織布表面にマーキングペンで点を20箇所のうち、この20箇所で測定を行って5秒未満に生理食塩水の消失する個数を表示する。
この評価条件では、一般的には18個以上が好ましい。
【0045】
<不織布の繰り返し透水性の評価>
不織布の初期透水性の評価方法と同方法にて1分間隔で5回実施し、生理食塩水の消失個数を測定する。
この繰り返し試験では回数を重ねても生理食塩水の消失個数(消失時間5秒未満となる箇所の個数)が多い方が不織布の繰り返し透水性に優れる。
この評価条件では、一般的には、5回目で15個以上が好ましい。
【0046】
<通液性>
(1)1回目測定:ろ紙(ADVANTEC製、No.424(10cm×10cm))の上に試験不織布(10cm×10cm)を置く。
(2)さらに上に円筒状の通液プレート(内径:3.3cm)を置いて生理食塩水(NaCl溶液)5mlを通液させ、その通過時間を測定する。通液時間が短い程、通液速度が早く、通液性に優れる。
(3)2回目以降測定:上記方法を1分間隔で2回実施し、通液時間を測定する。この操作を5回目まで実施した。
(4)この評価条件では、一般的には、1回目では12.5秒以下、3回目では14.0秒以下が好ましい。
【0047】
<液戻り防止性>
(1)市販の紙おむつの上に処理不織布(10cm×10cm)を置き、さらにその上にSUS製リング(内径6cm、高さ6cm)を置き、それを通じて100mlの生理食塩水を通液させて紙おむつに吸収させる。
(2)生理食塩水が全て紙おむつに吸収されたらSUS製リングを取り除き、予め合計重量を秤量した濾紙(東洋濾紙、No.5、10cm×10cm)を20枚重ね、これに5kgのおもり(底面積が10×10cm)を乗せる。
(3)5分間放置後、濾紙の重さを計り、重量増加分を測定して液戻り量(g)とする。
(4)この評価条件では、一般的には、液戻り量が1.2g以下であることが好ましく、1.0g以下であることがさらに好ましい。
【0048】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4の吸水性物品用繊維処理剤を使用すると、通液後も不織布表面のpHを4.5〜6.5に維持し、かつ、初期透水性、繰り返し透水性及び通液性、液戻り防止性のいずれも良好である。
一方、天然油脂由来ではあるがオレイン酸を14%しか含有しない脂肪酸(A’−1)を使用した比較例1の吸水性物品用繊維処理剤は不織布から回収した成分のpHが大きくなっていた。
天然油脂由来ではないクエン酸(A’−2)を使用した比較例2も比較例1と同様に不織布から回収した成分のpHが大きくなっていた。
(A)と(B)と(C)の合計重量に基づく脂肪酸(A)の含有量が0.3重量%未満の比較例3は1重量%水溶液のpHの段階で6.8となり、4.5〜6.5の範囲から外れる。pHが弱酸性領域ではないため、肌のかぶれが懸念される。
一方、(A)と(B)と(C)の合計重量に基づく脂肪酸(A)の含有量が3.0重量%を超える比較例4は、1重量%水溶液のpHの段階で4.1となり、4.5〜6.5の範囲から外れる。