(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、装置を加熱することは多大なエネルギーと時間が必要な上、装置は液体窒素の超低温と高温ガスによる高温の双方に耐えなければならない。このため、装置の部品に要求される熱特性として−200℃から+200℃程度という広い温度範囲が要求され、部品の材質選択範囲が狭まったり、装置全体の構造が複雑化したりといった問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2には、液体窒素を無菌化するような機能を長期にわたって維持できるフィルタは存在しておらず、実際には持続して無菌の液体窒素を製造することは容易ではない。
【0007】
また、特許文献3には、無菌化したガスを冷却して液化することおよび、この配管等を蒸気によって滅菌することが記載されている。しかしながら、液化ガスを貯留するタンクがないため液化ガスの供給量を変更できない上、装置内に滅菌用の蒸気が残留する可能性があり、残留した水分によって菌が繁殖する可能性がなくならない。このため、液化ガスにおいて無菌状態を保証できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、無菌液化ガスの製造・供給において、無菌液化ガスの持続的製造を可能とするとともに、無菌状態の保証を可能とする無菌液化ガス製造装置
、無菌液化ガスの製造方法を提供するという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る無菌液化ガス製造装置は、液化ガス貯留タンクと、前記液化ガス貯留タンクに原料ガスを供給する原料ガス供給装置と、前記液化ガス貯留タンク内を冷却して前記原料ガスを液化する冷却装置と、前記原料ガス供給装置と前記液化ガス貯留タンクとを接続する供給配管と、前記供給配管に設けられる滅菌フィルタと、前記滅菌フィルタよりも下流部分に位置する滅菌領域を
121℃以上に設定される高温飽和水蒸気により加熱滅菌する滅菌装置と、前記加熱滅菌により生じた水分を除去して前記滅菌領域を乾燥させる乾燥装置と、
前記液化ガス貯留タンク内を加圧して前記液化ガス貯留タンク内から前記加熱滅菌により生じた水分を排出するとともに前記液化ガスを外部に供給する排出配管と、
を有し、
前記供給配管と前記排出配管と前記冷却装置とが、前記液化ガス貯留タンクの上部を貫通し、
前記液化ガス貯留タンクの底部には、前記加熱滅菌により生じた水分が貯溜可能な貯溜凹部が設けられ、
前記排出配管の先端が前記貯溜凹部の付近に位置しており、
前記滅菌装置と前記乾燥装置とが、前記滅菌フィルタよりも上流側に位置する前記供給配管に接続される。
本発明の一態様に係る無菌液化ガス製造装置においては、前記乾燥装置が、前記滅菌領域に
100℃以上の高温不活性ガスを供給して前記滅菌領域の乾燥を行ってもよい。
本発明の一態様に係る無菌液化ガス製造装置においては、前記滅菌装置と前記乾燥装置とが、前記滅菌フィルタよりも上流側に位置する前記供給配管に接続されてもよい
。
本発明の一態様に係る無菌液化ガス製造装置においては、前記冷却装置は、冷凍機を含んでもよい。
本発明の一態様に係る無菌液化ガス製造装置においては、前記排出配管
の下流側で前記液化ガス貯留タンクの外部位置に設けた弁と、前記液化ガス貯留タンクの内圧を測定する圧力検出装置と
、を備えてもよい。
本発明の一態様に係る
無菌液化ガスの製造方法においては、
原料ガスから減菌された
無菌液化ガス
を製造する方法であって、
上記のいずれか一項に記載の無菌液化ガス製造装置を用い、
前
記減菌領域を
前記滅菌装置からの高温飽和水蒸気により加熱減菌する
滅菌工程と、
前記
排出配管を介して前記加熱減菌により生じた水分を除去して前記減菌領域を乾燥させる
乾燥工程および水分排出工程と
、
前記原料ガス供給装置から前記滅菌フィルタを介して原料ガスを前記液化ガス貯留タンクに供給する原料ガス供給工程と、
前記冷却装置により前記液化ガス貯留タンクの内部を冷却して原料ガスを液化する液化冷却工程と、
を備えている。
本発明の一態様に係る
無菌液化ガスの製造方法においては、
原料ガスから減菌された無菌液化ガスを製造する方法であって、
上記の無菌液化ガス製造装置を用い、
前記減菌領域を前記滅菌装置からの高温飽和水蒸気により加熱減菌する滅菌工程と、
前記排出配管を介して前記加熱減菌により生じた水分を除去して前記減菌領域を乾燥させる乾燥工程および水分排出工程と、
前記原料ガス供給装置から前記滅菌フィルタを介して原料ガスを前記液化ガス貯留タンクに供給する原料ガス供給工程と、
前記冷却装置により前記液化ガス貯留タンクの内部を冷却して原料ガスを液化する液化冷却工程と、
を備え、
前
記弁と前記圧力検出装置
とを連動させて、前記液化ガス貯留タンクの内圧調整を行ってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る無菌液化ガス製造装置によれば
、上記構成を備えることにより、滅菌フィルタよりも下流部分に位置する滅菌領域である少なくとも滅菌フィルタと供給配管と液化ガス貯留タンク内とに滅菌装置から高温飽和水蒸気を供給する。これにより、この滅菌領域を加熱滅菌し、乾燥装置によって加熱滅菌により生じた水分を除去し、この滅菌領域を乾燥させることで滅菌領域の滅菌処理を完了する。この無菌状態となった液化ガス貯留タンクに原料ガス供給装置から滅菌フィルタを介して無菌状態の原料ガスを供給するとともに、冷却装置により液化ガス貯留タンク内を冷却して原料ガスを液化するとともに無菌液化ガスを液化ガス貯留タンクに貯留する。これにより、必要に応じて製造された無菌液化ガスを外部に供給することが可能となる。
【0011】
ここで、無菌とは、滅菌された状態を意味し、滅菌とは、有害・無害を問わず、対象物に存在しているすべての微生物およびウイルスを死滅させるか除去することを意味する。
具体的には、無菌性保証レベル(sterility assurance level:SAL)を満たすことを意味し、SAL≦10
−6(滅菌操作後、被滅菌物に微生物の生存する確率が100万分の1以下であること)を意味する。
また、液化ガスとは、−50℃未満の標準沸点を有するガスであり、例えば、窒素、酸素、液体空気およびアルゴンを挙げることができる。
【0012】
本発明の一態様において、前記乾燥装置は、前記滅菌領域に高温不活性ガスを供給して前記滅菌領域の乾燥を行う。これにより、滅菌装置によって高温飽和水蒸気を滅菌領域に供給して滅菌処理を行った後に、この乾燥装置によって、高温不活性ガスを滅菌領域に供給することにより、滅菌領域である少なくとも滅菌フィルタと供給配管と液化ガス貯留タンク内とに付着、あるいは、液化ガス貯留タンク内に貯留した水分を外部に除去する。この結果、残留水分に起因した菌の再発生を防止して、滅菌処理後の滅菌領域における無菌化を図り、無菌液化ガスを製造することが可能になるとともに、製造された液化ガスにおける無菌状態を保証することが可能となる。
ここで、乾燥装置が滅菌領域に供給する高温不活性ガスとしては、窒素ガスを採用することができる。なお、液化ガス製造時の原料ガス供給装置からの供給流量に比べて、乾燥処理におけるガス供給流量は大きく設定されることが乾燥処理の短時間化のために好ましい。
【0013】
本発明の一態様において、前記滅菌装置と前記乾燥装置とが、前記滅菌フィルタよりも上流側の前記供給配管に接続されることにより、前記滅菌装置と前記乾燥装置とが滅菌領域よりも上流側に接続された状態となる。これにより、滅菌領域全体に対して滅菌処理および乾燥処理を行うことができるため、滅菌領域全体を無菌状態として、無菌液化ガスの製造を行うことが可能となるとともに、製造された液化ガスにおける無菌状態を保証することが可能となる。
【0014】
また、本発明の一態様において、前記供給配管が、前記液化ガス貯留タンクの上部に接続されることにより、液化ガス貯留タンクの側面および底面に供給配管を貫通させる必要がなくなる。このため、液化ガス貯留タンクの内面における表面処理を所定の状態にすることが容易にできる。
なお、本発明の一態様の無菌液化ガス製造装置において、液化ガスが接触する表面、あるいは、滅菌領域の内表面は、サニタリ規格を満たした状態とされている。これにより、製造された液化ガスにおける無菌状態を保証することが可能となる。
ここで、サニタリ規格とは、食品、酪農、醸造、飲料、製菓、水産、医薬、化粧品、化学工業品、清涼飲料、ビール、酒、食肉加工、化学薬品液、半導体等の製造に用いられる規格を意味する。
【0015】
また、前記冷却装置が、冷凍機を含むことにより、液化ガス貯留タンクの内部を原料ガスの液化温度かそれ以下の温度まで冷却することが容易となり、液化ガス貯留タンク内に貯留する液化ガスを大量に製造することができる。
【0016】
また、前記液化ガス貯留タンクの底部には、前記加熱滅菌により生じた水分が貯溜可能な貯溜凹部が設けられている。これにより、滅菌装置による加熱滅菌で生じた水分を液化ガス貯留タンク内でこの貯溜凹部に貯溜して、効率的に外部に排出し,無菌状態を容易に維持することが可能となる。
【0017】
本発明の一態様においては、前記液化ガス貯留タンクには、前記液化ガス貯留タンク内を加圧して前記加熱滅菌後の水分を排出する排出配管が設けられる。これにより、液化ガス貯留タンクを加圧するだけで、滅菌装置による加熱滅菌で生じた水分を液化ガス貯留タンク内から排出配管を介して効率的に外部に排出して、滅菌領域における水分をなくして菌の再発生を防止し、無菌状態を容易に維持することが可能となる。
【0018】
本発明の一態様の無菌液化ガス製造装置においては、前記液化ガス貯留タンクには、前記液化ガス貯留タンク内を加圧して前記加熱滅菌後の水分を排出する排出配管が設けられ、前記液化ガス貯留タンクの底部には、前記加熱滅菌により生じた水分が貯溜可能な貯溜凹部が設けられ、前記排出配管が前記液化ガス貯留タンクの上部を貫通するとともに、前記排出配管の先端が前記貯溜凹部の付近に位置している。このような構成を採用することにより、滅菌装置による加熱滅菌で生じた水分を液化ガス貯留タンク内でこの貯溜凹部に貯溜して、液化ガス貯留タンクを加圧するだけで、貯溜凹部に貯溜された水分を液化ガス貯留タンク内から排出配管を介して効率的に外部に排出して、滅菌領域における水分をなくして菌の再発生を防止し、無菌状態を容易に維持することが可能となる
。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、液化ガスの製造・貯溜される滅菌領域において、高温飽和水蒸気によって滅菌し、乾燥装置によって水分を除去する。これにより、この滅菌領域における菌の再発生を防止し、無菌状態を容易に維持して、無菌液化ガスの製造を行うことが可能となるとともに、製造された液化ガスにおける無菌状態を保証することが可能となる無菌液化ガス製造装置
、無菌液化ガスの製造方法を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1実施形態に係る無菌液化ガス製造装置を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における無菌液化ガス製造装置を示す模式断面図であり、図において、符号10は、無菌液化ガス製造装置である。
【0022】
本実施形態に係る無菌液化ガス製造装置10は、
図1に示すように、液化ガス貯留タンク11と、原料ガス供給装置12と、冷却装置13と、供給配管14と、滅菌フィルタ15と、滅菌装置16と、乾燥装置17と、排出配管18と、を有する。
【0023】
本実施形態に係る液化ガス貯留タンク11は、
図1に示すように、有底略円筒状の密閉容器とされ、後述するように、サニタリ仕様とされている。
液化ガス貯留タンク11には、
図1に示すように、上端となる蓋部11aを貫通して供給配管14と排出配管18と冷却装置13とが設けられている。液化ガス貯留タンク11の底部11bは、底部11bと側壁11cとの間の接続位置から底部11bの中心に向かってなだらかに下降する傾斜が形成されている。底部11bの中央には凹みが形成されており、凹みが貯溜凹部19を形成している。なお、底部11bは、例えば、球面を切り取った曲面状に形成されており、液化ガス貯留タンク11と外部との間に圧力差が生じた場合に、液化ガス貯留タンク11の強度が維持可能とされている。
【0024】
原料ガス供給装置12は、液化ガスの原料となる原料ガスを液化ガス貯留タンク11に供給するように構成されており、弁14aを介して供給配管14に接続されている。本実施形態では、原料ガス供給装置12は、原料ガスとして窒素ガスを液化ガス貯留タンク11に供給する。原料ガス供給装置12は、例えば、室温程度の原料ガスを液化ガス貯留タンク11に供給する。
本実施形態の原料ガス供給装置12としては、吸着剤を利用した窒素発生装置(PSA)を有しており、空気から効率よく酸素と窒素を分離し、99.99%までの窒素ガスを液化ガス貯留タンク11に供給可能である。なお、原料ガスを液化ガス貯留タンク11に供給可能であれば、原料ガス供給装置12の構成は、上記構成に限定されない。
【0025】
冷却装置13は、冷凍機システムで、
図1に示すように、液化ガス貯留タンク11の上端となる蓋部11aを貫通する機械式冷凍機の冷却部13aと、この冷却部13aに接続されて冷媒ガスを供給そして回収するためのコンプレッサ13bと、コンプレッサ13bに接続された水冷部13cとを有する構成とされている。冷却部13aは、蓋部11aを貫通して液化ガス貯留タンク11の内部に突出し、原料ガスが機械式冷凍機の冷却部13aと熱交換して液化するよう構成されている。冷却部13aは、コンプレッサ13bから供給される冷媒(例えば、ヘリウムガス)をサイモン膨張させることにより、例えば、80Kの超低温にまで冷却することができる。
【0026】
コンプレッサ13bは、例えば、ヘリウムガスを冷却部13aとコンプレッサ13bとの間で環流させ、冷却部13aから熱を奪う構成を有する。この熱は、水冷部13cによって、外部に廃熱される。
なお、水冷部13cを設けないでコンプレッサ13bにより直接外部に廃熱する構成(空冷)を採用することもできる。液化ガス貯留タンク11の内部に突出した冷却部13aは、その表面がサニタリ仕様を満たすように構成されている。
【0027】
供給配管14の下流側は、液化ガス貯留タンク11の上端となる蓋部11aを貫通して液化ガス貯留タンク11の中央の軸方向に位置しており、供給配管14は、液化ガス貯留タンク11の内部を縦に延在するように設けられている。液化ガス貯留タンク11の内部に延在する供給配管14の管側面には、全長にわたって多数の貫通孔が設けられており、液化ガス貯留タンク11の内部に延在する供給配管14の内部と液化ガス貯留タンク11の内部とが連通している。
【0028】
供給配管14の上流側には、滅菌フィルタ15が設けられている。さらに、滅菌フィルタ15の上流側に位置する配管は、三つ叉に分岐するように形成されている。分岐された配管には、弁14a,14b,14cを介して、原料ガス供給装置12と、滅菌装置16と、乾燥装置17と、がそれぞれ接続されている。なお、弁14a,弁14b,弁14cは、3つの独立した弁で構成することもできるが、3方向の分岐を互いに切り替え可能な構成であれば、他の構成が採用されてもよい。
【0029】
滅菌フィルタ15は、供給配管14に設けられ、原料ガス供給装置12から供給された原料ガスを滅菌可能なフィルタである。滅菌フィルタ15のろ過性能は、室温付近において呈することができる。また、後述するように、滅菌フィルタ15は、滅菌装置16から供給される高温飽和水蒸気によってろ過性能が低下しない材質・形状で形成されている。
滅菌フィルタ15、この滅菌フィルタ15よりも下流側に位置する供給配管14、液化ガス貯留タンク11の内部、排出配管18は、製造される液化ガスを無菌状態とするために、液化ガス製造時には滅菌された状態を維持する滅菌領域Sとされている。
滅菌フィルタ15としては、例えば、PALL社製の気体滅菌用疎水性PTFEメンブレンフィルターを採用することができる。
【0030】
滅菌フィルタ15は、滅菌フィルタ15の内部に複数の流路が切り替え可能に設けられた構成を有しており、例えば、2本、あるいは、3本のフィルタを並列に切り替え可能な構成とされている。
【0031】
滅菌装置16は、例えば、121℃以上に設定される高温飽和水蒸気を供給可能な飽和蒸気発生器を有しており、弁14bを介して分岐した供給配管14に接続される。
弁14bを開とし、弁14a,弁14cを閉とし、滅菌装置16により高温飽和水蒸気を供給することで、滅菌フィルタ15よりも下流部分となる滅菌領域Sを加熱滅菌することが可能となる。
【0032】
乾燥装置17は、100℃以上の高温不活性ガスを滅菌領域Sに供給することで、加熱滅菌により生じた水分を除去して滅菌領域S内を乾燥させるよう構成されている。滅菌領域Sに供給する不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスを採用することができる。なお、乾燥を行う際には、液化ガスの原料ガス供給量に対して、大きな流量で窒素ガスを供給可能とすることが好ましい。
【0033】
排出配管18の上流側は、液化ガス貯留タンク11の上端となる蓋部11aを貫通して液化ガス貯留タンク11の中央の軸方向に位置しており、排出配管18は、液化ガス貯留タンク11の内部を縦に延在するように設けられている。
排出配管18の上流側端部は、貯溜凹部19の最低位置となる中央部分に対してほぼ接触するように配置されている。排出配管18は、この貯溜凹部19に溜まった加熱滅菌により生じた水分(熱水)を外部に排出可能なドレーンとして構成されている。
【0034】
排出配管18の下流側には、液化ガス貯留タンク11の外部位置に、弁18aが設けられ、弁18aの下流側には、弁18bが設けられている。弁18aと弁18bとの間には、弁18bと枝分かれするように、液化ガスを外部に供給する取出口18cが設けられている。
弁18bの下流には、滅菌装置16から高温飽和水蒸気が供給された際に、弁18bから排出された蒸気を冷却する図示しない冷却装置が設けられることもできる。
【0035】
取出口18cは、開閉可能に構成されており、この取出口18cから外部に取り出した液化ガスをそのまま貯溜すること、あるいは、医療、製薬、食品、研究分野などで、無菌状態の液化ガスを使用する領域等に、取出口18cを配管を介して直接接続し、そのまま他の装置等に供給することが可能である。
【0036】
液化ガス貯留タンク11には、図示していないが、内部圧力を測定する圧力検出装置、内部温度を測定する温度検出装置、加熱滅菌時に内部を加熱するヒータ、内部を加圧するダイヤフラム、所定値以上に圧力が上昇した場合に動作する安全弁等が設けられている。
これら装置(圧力検出装置、温度検出装置、ヒータ、ダイヤフラム、安全弁)のうち、液化ガス貯留タンク11の外部へと連絡する必要がある装置は、いずれも液化ガス貯留タンク11の上端となる蓋部11aを貫通するように配置される。
【0037】
なお、温度検出装置は、液化ガス貯留タンク11の内部において複数設けることができる。温度検出装置が設置される位置としては、例えば、液化ガス貯留タンク11の側壁の上側位置、冷却部13aの温度を検出可能な冷却部13aの付近の位置、液化ガス貯留タンク11の下端となる底部11bの近傍の位置、および、液化ガス貯留タンク11の内部を加熱するヒータの近傍の位置等が挙げられる。
【0038】
本実施形態の無菌液化ガス製造装置10において、滅菌領域Sである供給配管14、滅菌フィルタ15、液化ガス貯留タンク11、冷却部13a、排出配管18、弁18bの近くに位置する排出配管18の下端、および、取出口18cは、これらの表面または内面がサニタリ仕様を満たすように構成されている。
【0039】
サニタリ仕様を満たす材料としては、例えば、ステンレス鋼材、特に、SUS316、SUS316Lが挙げられる。さらに、そのステンレス鋼材の表面を#400番の研磨剤を用いた鏡面研磨処理、および、電解研磨処理を行うことで、JIS規格に規定されるステンレスサニタリ配管などに準じた仕様を実現することができる。あるいは、上述のステンレス鋼材の表面又は上記処理が施された表面がAu、Pt等の金属で覆われた構成を用いることも可能である。
【0040】
また、上記滅菌領域Sを構成する部材や配管の継手、或いは、継手に設けられるOリングなどは、サニタリ規格を満たすシリコーン製、フッ素樹脂製、フッ化ビニリデン系(FKM)などのフッ素ゴム等を使用することができる。
【0041】
以下、本実施形態の無菌液化ガス製造装置における無菌液化ガス製造方法について説明する。
図2は、本実施形態の無菌液化ガス製造装置における液化ガス製造工程を示すフローチャートである。
【0042】
本実施形態の無菌液化ガス製造装置10における無菌液化ガス製造方法は、
図2に示すように、滅菌工程S1と、乾燥工程S2と、水分排出工程S3と、原料ガス供給工程S4と、液化冷却工程S5と、を有する。
【0043】
本実施形態の無菌液化ガス製造装置10における無菌液化ガス製造方法においては、まず、
図2に示す滅菌工程S1として、滅菌領域Sを滅菌する。
滅菌工程S1においては、まず、弁14aと弁14cとを閉状態として、弁14bを開状態とし、冷却装置13を停止状態とし、原料ガス供給装置12を停止状態とし、弁18aを開状態とし、弁18bを開状態とし、取出口18cを開状態とする。
【0044】
この状態で、滅菌装置16を動作させ、飽和蒸気発生器で発生させた121℃以上に設定される高温飽和水蒸気を弁14bを介して供給配管14に供給する。高温飽和水蒸気は、弁14bを介して、滅菌領域Sである供給配管14、滅菌フィルタ15、液化ガス貯留タンク11、排出配管18を経て、弁18b側に位置する排出配管18の下端および、取出口18cから排出される。これにより、高温飽和水蒸気が滅菌領域Sを構成する部材の内表面に接触し、高温飽和水蒸気が接触した滅菌領域Sを構成する部材の内表面において滅菌処理をおこない、滅菌領域Sの内表面から菌を死滅させる。
このとき、図示しないヒータにより液化ガス貯留タンク11の内部を加熱することや、図示しないダイヤフラムにより液化ガス貯留タンク11の内部を加圧することも可能である。
【0045】
滅菌工程S1における処理条件としては、完全な無菌状態を得るために、例えば、医薬品向けの凍結乾燥装置において必要な滅菌の条件を採用することができる。このような処理条件においては、例えば、121℃以上とされるスチームに20分以上、例えば、30分程度、滅菌領域Sを曝して、この温度状態を維持することにより、菌を死滅させる。高温飽和水蒸気による滅菌工程S1における圧力は、210kPa程度、220kpa〜240kpa程度とすることができる。
【0046】
このとき、高温飽和水蒸気が接触した滅菌領域Sを構成する部材の内表面において、高温飽和水蒸気は高温の水分(湯)となり、加熱滅菌で生じた水分(湯)が外部に排出される。また、高温飽和水蒸気から発生した高温の水分(湯)は、供給配管14、滅菌フィルタ15、液化ガス貯留タンク11において、液化ガス貯留タンク11底部11bの貯溜凹部19に貯留される。この場合、貯溜凹部19となる底部11bに排出配管18の上端が接するように設けられていることで、サイフォンの原理により排出配管18において弁18bの近くに位置する排出配管18の下端および取出口18cから、高温の水分(湯)は、速やかに排出される。
【0047】
滅菌領域Sが所定時間蒸気の高温状態に維持されたことが確認されたら、滅菌装置16の動作を停止して、滅菌工程S1を終了する。
【0048】
次いで、
図2に示す乾燥工程S2として、弁14bを閉状態として、弁14cを開状態とする。
【0049】
この状態で、乾燥装置17を動作させ、100℃以上の高温不活性ガスを供給配管14に供給する。例えば、窒素ガスとされる高温不活性ガスは、弁14cを介して、滅菌領域Sである供給配管14、滅菌フィルタ15、液化ガス貯留タンク11、排出配管18を経て、弁18bの近くに位置する排出配管18の下端および、取出口18cから外部に排出される。これにより、滅菌工程S1における加熱滅菌で生じた水分(湯)を除去して滅菌領域S内を乾燥させる。
このとき、図示しないヒータにより液化ガス貯留タンク11の内部を加熱することや、図示しないダイヤフラムにより液化ガス貯留タンク11の内部を加圧することも可能である。
【0050】
乾燥工程S2においては、液化ガス貯留タンク11等の滅菌領域S内を乾燥することが必要であるので、後述する液化冷却工程S5における原料ガス供給装置12からの原料ガス供給に比べて流量の多い高温不活性ガスを乾燥装置17から滅菌領域S内に供給する。
乾燥装置17から供給された高温不活性ガスは、無菌状態となっている滅菌フィルタ15を通過することによって、菌を死滅させた無菌状態で滅菌領域S内に供給される。
【0051】
次いで、
図2に示す水分排出工程S3として、乾燥工程S2に続けて、乾燥装置17から供給された高温不活性ガスによって、液化ガス貯留タンク11の内部を加圧する。
このとき、図示しないヒータにより液化ガス貯留タンク11の内部を加熱することや、図示しないダイヤフラムにより液化ガス貯留タンク11の内部を加圧することも可能である。
【0052】
貯溜凹部19に貯留された加熱滅菌で生じた水分(湯)が外部に排出された後は、乾燥装置17から供給された高温不活性ガスによって、滅菌領域Sの内表面に付着した水分は、蒸発して、排出配管18から排出される。液化ガス貯留タンク11の内部だけでなく滅菌領域Sの内表面に付着した水分が完全に外部に排出されたことを確認して、乾燥装置17の動作を停止させ、水分排出工程S3を終了する。
なお、本実施形態では、乾燥工程S2と水分排出工程S3とは、便宜上、別々の工程として述べたが、同時に行う工程とすることも可能である。
【0053】
次いで、
図2に示す原料ガス供給工程S4として、弁14c、弁18bを閉状態として、弁14aを開状態とし、取出口18cを開状態とする。この状態で、原料ガス供給装置12を動作させて、原料ガスである窒素ガスを液化ガス貯留タンク11に供給する。
このとき、原料ガス供給装置12から供給された原料ガスは、滅菌フィルタ15を介して供給配管14を流れて液化ガス貯留タンク11に流入するが、原料ガスが流入する範囲は、滅菌フィルタ15よりも下流側に位置する滅菌領域Sである。滅菌装置16による滅菌処理が全て完了しているので、滅菌フィルタ15よりも下流の滅菌領域Sとなる部分は、無菌状態を維持することができる。
【0054】
次いで、
図2に示す液化冷却工程S5として、冷却装置13を動作させ、コンプレッサ13bは、ヘリウムガスをコンプレッサ13bと冷却部13aとの間で環流させて、冷却部13aから熱を奪い、この熱は水冷部13cによって外部に廃熱される。これにより、蓋部11aを貫通して液化ガス貯留タンク11の内部に突出した冷却部13aが冷却されることで、液化ガス貯留タンク11の内部を冷却して原料ガスを液化する。
液化された原料ガスは液化ガス貯留タンク11の内部に貯留される。
液化ガス貯留タンク11に貯留された無菌液化ガスは、必要に応じて、液化ガス貯留タンク11内を加圧して取出口18cから外部に供給することが可能となる。
【0055】
ここで、取出口18cを開状態に維持したまま、原料ガスを液化ガス貯留タンク11に供給すると、乾燥工程S2で液化ガス貯留タンク11内は大気圧よりも高く(1気圧+α)なっており、かつ、温度も高い状態となっている。これは、冷却装置13を動作させてもすぐに冷えず、液化ガス貯留タンク11内の圧力は原料ガス供給装置12の供給圧まで上がるためである。
同時に、ガスの流れを一方向にして菌が入り込まないようにするため、液化ガス貯留タンク11内は大気圧+αになるよう原料ガス供給装置12による原料ガス供給を調整する。
【0056】
また、原料ガスが供給されて液化作業している時は、取出口18cは開状態を維持する。
さらに、原料ガスが供給されず液体が液化ガス貯留タンク11内に保管されている場合は、入熱による原料ガスの蒸発で液化ガス貯留タンク11内の圧力が上がる。このため、図示しない圧力検出装置と弁18bとを連動させることによって、液化ガス貯留タンク11の内圧を設定値まで下げるように制御されている。また、安全弁は通常は作動させない。
【0057】
本実施形態の無菌液化ガス製造装置10における無菌液化ガス製造においては、滅菌工程S1、乾燥工程S2、および、水分排出工程S3によって、滅菌領域Sが無菌状態とされている。この無菌状態を維持して原料ガスの液化処理を行うことができるため、無菌液化ガスを製造することが可能となる。さらに、このように、無菌状態を維持しているため、製造した無菌液化ガスにおける無菌状態を保証することが可能となる。
【0058】
本実施形態においては、滅菌フィルタ15を滅菌工程S1、乾燥工程S2、および、水分排出工程S3によって無菌状態としている。この状態で、供給配管14を通じて原料ガス供給装置12から液化ガス貯留タンク11に向けて原料ガスを供給すると、原料ガスは滅菌フィルタ15を通過する。滅菌フィルタ15によって無菌状態となった原料ガスを液化ガス貯留タンク11の内部に供給して、液化処理を行うことが可能となる。
【0059】
本実施形態においては、貯溜凹部19を設けたため、液化ガス貯留タンク11底部11bに底面に形成された傾斜面(角度)に沿って、水を集め、たまった水(湯)を排出することが可能となる。
【0060】
本実施形態においては、排出配管18がサイフォン状に形成されていることにより、貯溜凹部19に溜まった湯を完全に外部へ排出することができるため、液化ガス貯留タンク11の内部および排出配管18を無菌状態とすることが可能となる。
また、排出配管18が貯溜凹部19に接するように配置されていることによって、製造された液化ガス中に異物があった場合でも、異物が貯溜凹部19に溜まる形態である場合には、この異物を外部に排出することができる。
【0061】
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。