【実施例】
【0026】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0027】
以下に示す方法で、実施例1〜3、比較例1,2に係るペースト状調味料を作製した。
【0028】
<実施例1>
ペースト状食材として、練り胡麻を20.0g用意した。その成分は、油分が58〜68%、水分が2%以下、タンパク質が17〜25%、炭水化物が8〜18%、灰分が2〜4%であった。また、食材固形分の粒度は、食材固形分の92〜95%が60メッシュをパスする粒度であり、密度は1.05g/mlであった。
【0029】
油脂類として、融点が約38℃のラードを7.0g用意した。なお、このラードの密度は、30℃で0.901g/ml、40℃で0.896g/ml、50℃で0.890g/mlの各値を示すものであった。
【0030】
これら練り胡麻とラードとを混合し、ペースト状調味料としての練り胡麻調味料を得た。この練り胡麻調味料は、ラード含量が練り胡麻に対して35重量%である。
【0031】
こうして得られた練り胡麻調味料をビーカーに量りこんだ後、熱湯200mlを入れ、直後に撹拌した。
【0032】
<実施例2>
ラードを10.0gとし、ラード含量が練り胡麻に対して50重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。
【0033】
<実施例3>
ラードを20.0gとし、ラード含量が練り胡麻に対して100重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。
【0034】
<比較例1>
ラードを添加せず、ラード含量が練り胡麻に対して0重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。
【0035】
<比較例2>
ラードを5.6gとし、ラード含量が練り胡麻に対して100重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。
【0036】
以下に示す方法で、各実施例および比較例において作製した試料について試験を行った。
【0037】
各実施例および比較例において得られた試料について、撹拌30秒後、60秒後、90秒後、120秒後、150秒後、180秒後それぞれにおいて静止画を撮影した。得られた画像のうち、撹拌30秒後における実施例1の画像を
図1、撹拌30秒後における実施例2の画像を
図2、撹拌30秒後における実施例3の画像を
図3、撹拌30秒後における比較例1の画像を
図4、撹拌30秒後における比較例2の画像を
図5、撹拌120秒後における実施例1の画像を
図6、撹拌120秒後における実施例2の画像を
図7、撹拌120秒後における実施例3の画像を
図8、撹拌120秒後における比較例1の画像を
図9、撹拌120秒後における比較例2の画像を
図10とした。
【0038】
また、それぞれの時点において、練り胡麻調味料の湯の中での状態を観察し、以下のとおり5段階評価を行った。
5:ほとんどの練り胡麻調味料が湯の上に浮いている。
4:一部の練り胡麻調味料が湯の上に浮いており、残りが湯の中を漂っている。
3:ほとんどの練り胡麻調味料が湯の中を漂っている。
2:一部の練り胡麻調味料が湯の下に沈み、残りが湯の中を漂っている。
1:ほとんどの練り胡麻調味料が湯の下に沈んでいる。
【0039】
状態観察評価の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、実施例1では、撹拌30秒後〜150秒後の時点において、ほとんどの練り胡麻調味料が湯の中を漂っていた。そして、180秒後の時点においては、一部の練り胡麻調味料が湯の下に沈み、残りが湯の中を漂っていた。よって、少なくとも撹拌150秒後の時点までは、練り胡麻調味料は湯の下に沈むことがなく、喫食時には、無駄なく食すことが可能となった。
【0042】
実施例2では、撹拌30秒後〜90秒後の時点において、ほとんどの練り胡麻調味料が湯の中を漂っていた。そして、撹拌120秒後〜180秒後の時点においては、一部の練り胡麻調味料が湯の上に浮き、残りが湯の中を漂っていた。よって、少なくとも撹拌180秒後の時点までは、練り胡麻調味料は湯の下に沈むことがなかった。また、撹拌120秒後〜180秒後の時点においては、一部の練り胡麻調味料が湯の上に浮いているため、喫食時には、より無駄なく食すことが可能となった。
【0043】
実施例3では、撹拌30秒後〜180秒後の時点において、ほとんどの練り胡麻調味料が湯の上に浮いていた。よって、少なくとも撹拌180秒後の時点までは、練り胡麻調味料は湯の下に沈むことがなく、ほとんどの練り胡麻調味料が湯の上に浮いているため、喫食時には、さらにより無駄なく食すことが可能となった。
【0044】
比較例1では、撹拌30秒後〜180秒後の時点において、ほとんどの練り胡麻調味料が湯の下に沈んでいた。従って、喫食時において、練り胡麻調味料が食しきれずに残ってしまう。
【0045】
比較例2では、撹拌30秒後〜180秒後の時点において、一部の練り胡麻調味料が湯の下に沈み、残りが湯の中を漂っていた。従って、喫食時において、練り胡麻調味料が食しきれずに残ってしまう。
【0046】
以上のように、実施例1〜3では、撹拌30秒後〜150秒後の時点において、練り胡
麻調味料はほとんど沈まないため、無駄なく食すことが可能となった。なお、実施例1で
は、撹拌180秒後の時点において、一部の練り胡麻調味料が湯の下に沈んだが、撹拌3
0秒後の時点で練り胡麻調味料が沈んでいなければ、練り胡麻調味料を添加する食品を通
常喫食する際には十分であるため、問題ないといえる。
【0047】
また、各実施例および比較例において得られた試料について、撹拌30秒後の時点における官能評価をパネラー5名により行い、以下のとおり5段階で評価した。
5:練り胡麻感を強く感じる。
4:練り胡麻感をやや強く感じる。
3:練り胡麻感を感じる。
2:練り胡麻感をあまり感じない。
1:練り胡麻感をほとんど感じない。
【0048】
官能評価の結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示すように、実施例1〜3では練り胡麻感を感じるのに対し、比較例1および比較例2では練り胡麻感をあまり感じなかった。また、実施例2では練り胡麻感をやや強く感じ、実施例3では練り胡麻感をさらに強く感じた。なお、ここでいう「練り胡麻感」とは、練り胡麻の風味をどれだけ強く感じるかを示す指標である。
【0051】
また、ラードの添加量以外は実施例1と同様の条件としながら、ラード添加量を20.0gよりも順次増加した試料を作製し、撹拌30秒後の時点における官能評価を行った。その結果、ラード含量が練り胡麻に対して500重量%となるまでは練り胡麻感を強く感じたが、500重量%を超えると、ラードの増加により練り胡麻感はかえって弱くなった。
【0052】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。