特許第6688039号(P6688039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6688039寸法基準器の線膨張係数測定方法および測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688039
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】寸法基準器の線膨張係数測定方法および測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/16 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   G01N25/16 B
   G01N25/16 E
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-215240(P2015-215240)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-83415(P2017-83415A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】萩野 健
(72)【発明者】
【氏名】栗山 豊
【審査官】 芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102012219417(DE,A1)
【文献】 特開2004−226369(JP,A)
【文献】 特開2005−83920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00−25/72
G01B 3/00− 3/08
3/11− 3/56
21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法基準器を測定対象物とし、前記測定対象物の延伸方向に離れた複数対の測定始点および測定終点で規定される複数の測定区間における前記測定対象物の線膨張係数を測定する寸法基準器の線膨張係数測定方法であって、
複数の前記測定区間に対応する複数の基準区間を規定する複数対の基準始点および基準終点を有し、前記基準区間の各々の長さが既知である基準ゲージと、
前記測定対象物および前記基準ゲージを収容可能、かつ内部温度を調整可能、かつ測定用表面に測定用開口を有する恒温槽と、
前記測定用開口から前記恒温槽の内部へ測定プローブを導入可能な三次元測定機と、を準備し、
前記恒温槽の内部に、前記測定対象物および前記基準ゲージを平行に支持しておき、
前記恒温槽の内部温度を第1温度とし、前記測定プローブで前記測定始点、前記測定終点、前記基準始点および前記基準終点の位置を検出し、複数の前記測定区間の各々の長さを対応する前記基準区間の長さに基づいて比較測定し、
前記恒温槽の内部温度を第2温度とし、前記測定プローブで前記測定始点、前記測定終点、前記基準始点および前記基準終点の位置を検出し、複数の前記測定区間の各々の長さを対応する前記基準区間の長さに基づいて比較測定し、
複数の前記測定区間の各々について、前記第1温度での測定長さと前記第2温度での測定長さとから線膨張係数を算出することを特徴とする寸法基準器の線膨張係数測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載した寸法基準器の線膨張係数測定方法において、
前記基準ゲージは、前記基準始点および前記基準終点が、それぞれ、
前記基準ゲージに形成された凸部の前記延伸方向に交差する表面上の点、
前記基準ゲージに形成された円筒状の検出孔の内周面を前記三次元測定機で検出して得られる前記検出孔の中心軸線上の仮想的な点、
前記基準ゲージに形成された検出円柱の外周面を前記三次元測定機で検出して得られる前記検出円柱の中心軸線上の仮想的な点、
前記基準ゲージに形成された検出球の外周面を前記三次元測定機で検出して得られる前記検出球の中心を示す仮想的な点、のいずれかであることを特徴とする寸法基準器の線膨張係数測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した寸法基準器の線膨張係数測定方法において、
前記基準ゲージは、前記基準区間に対応する複数のブロックゲージを束ねて形成され、前記ブロックゲージの両端面が前記基準始点および前記基準終点とされていることを特徴とする寸法基準器の線膨張係数測定方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載した寸法基準器の線膨張係数測定方法において、
前記基準ゲージは、前記測定対象物の前記測定始点および前記測定終点の少なくともいずれか一つに対応する位置に、前記三次元測定機の測定プローブを挿通可能な挿通孔を有することを特徴とする寸法基準器の線膨張係数測定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載した寸法基準器の線膨張係数測定方法において、
前記基準ゲージは、前記第1温度と前記第2温度との間の温度変化では精度上膨張を無視しうる極低膨張係数ないしゼロ膨張係数の材質から製造されたもの、または、膨張係数が既知である材質から製造されたもの、のいずれかであることを特徴とする寸法基準器の線膨張係数測定方法。
【請求項6】
寸法基準器を測定対象物とし、前記測定対象物の延伸方向に離れた複数対の測定始点および測定終点で規定される複数の測定区間における前記測定対象物の線膨張係数を測定する寸法基準器の線膨張係数測定装置であって、
複数の前記測定区間に対応する複数の基準区間を規定する複数対の基準始点および基準終点を有し、前記基準区間の各々の長さが既知である基準ゲージと、
前記測定対象物および前記基準ゲージを収容可能、かつ内部温度を調整可能、かつ測定用表面に測定用開口を有する恒温槽と、
前記測定用開口から前記恒温槽の内部へ測定プローブを導入可能な三次元測定機と、を有することを特徴とする寸法基準器の線膨張係数測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法基準器の線膨張係数測定方法測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元測定機などの測定装置においては、検査のために寸法基準器が用いられる。
寸法基準器としては、端面寸法が高精度に校正された各種ブロックゲージが用いられるとともに、複数の長さに対応したステップゲージが用いられている。
ステップゲージは、凸部と凹部とが交互に配置される櫛歯状とされ、凸部の端面間に複数の基準寸法が得られる。このようなステップゲージは、凸部となる測定ブロックと凹部となる間隔ブロックとを交互に配列してホルダに固定することで製造されるほか、単一の部材から櫛歯状に削り出すことで製造される。
【0003】
ステップゲージの端面間の距離の校正値は、特定の温度における長さとして提供され、多くの場合は工業標準温度の20℃における長さである。
三次元測定機の検査において、測定された長さは校正時の温度に換算して用いる必要がある。これを一般に、長さの温度補正と呼んでいる。この時、ステップゲージの線膨張係数を正確に知る必要がある。
【0004】
ステップゲージを含め多くの寸法基準器は、校正証明書あるいは検査成績書に、温度補正に用いる線膨張係数が記載されている。このような線膨張係数は、それぞれ公差を伴って表示される。
三次元測定機の検査にステップゲージを用いる場合には、検査の不確かさを検討する上で、この公差を不確かさの要因として扱う。従って、検査における不確かさを低減する目的で、ステップゲージの線膨張係数を高精度に評価することが要求される。
【0005】
寸法基準器を含めて、物体の線膨張係数は、物体の温度を変化させ、その温度変化による物体の長さの変化量を測定することにより、求められる。
具体的に、線膨張係数αは、基準温度Toにおける物体の長さをLo、現在の温度Tにおける物体の長さをL、温度変化量ΔT=T−To、長さの変化量(熱膨張量)ΔL=L−Loとして、α=(ΔL/L)・(1/ΔT)によって与えられる。
【0006】
ステップゲージなど、寸法基準器では、物体の長さLの大きさは長さの変化量ΔLに対して10の5乗より大きい。このため、一般に、長さLの数値の正確性は、線膨張係数αの数値に対して影響が小さい。
従って、線膨張係数αを高精度に求めるためには、温度変化量ΔT及び長さの変化量ΔLを高精度に測定することが必要である。
【0007】
このような線膨張係数αの測定を行うために、光波干渉計を用いた測定方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、同じ測定軸線で対向する2組の光波干渉計を用い、ブロックゲージなどの被測定物の両端面間の長さを高精度に測定できるようにする。そして、温度制御手段により被測定物の温度を変化させ、異なる温度で長さ測定を行うことで、変温による熱膨張量を取得し、線膨張係数を計算する。
【0008】
しかし、このような光波干渉計を用いた長さ測定では、光波干渉計が高価であるという問題がある。すなわち、光波干渉計自体が高価であるだけでなく、測定用の光の波長を補正するために空気の屈折率の算出が必要で、これには温度、湿度、気圧、二酸化炭素濃度といった環境の測定機も必要であり、システム全体として高価となるという問題がある。
【0009】
また、光波干渉計を用いた長さ測定では、被測定物の両端面からの反射光を利用するため、測定する長さは測定対象の長さに限定される。つまり、ステップゲージのような櫛歯状の測定面をもつ基準器において、中間部分の凸部どうしの長さの測定には適用が難しいという問題がある。
【0010】
このような問題に対し、三次元測定機を用いる方法(特許文献2参照)および挟み部と歪みゲージを用いる方法(特許文献3参照)が提案されている。
【0011】
特許文献2の方法では、被測定物であるステップゲージを恒温槽内に配置し、外部の三次元測定機のプローブを恒温槽の開口部から導入し、このプローブによってステップゲージの長さを測定する。そして、恒温槽内の温度設定を変更し、異なる温度で長さ測定を行い、変温の前後の測定長さの差から熱膨張量を計算する。
このような三次元測定機を用いた長さ測定では、光波干渉計を用いる必要がなく、汎用の三次元測定機が使用できる環境であれば十分である。
また、三次元測定機を使用することで、ステップゲージの中間部分の凸部間の長さ測定も行うことができ、中間部分の熱膨張率の均一性についても測定することができる。
【0012】
特許文献3の方法では、ステップゲージの任意の凸部を挟む挟み部を用い、挟み部のステップゲージに接触するチップの一方に歪みゲージを設置しておき、長さ測定する一対の端面を挟み部で挟んだ状態で温度を変化させ、温度変化に伴う熱膨張を歪みゲージで直接検出する。
このような挟み部と歪みゲージを用いた熱膨張の測定では、光波干渉計を用いる必要がなく、挟み部と歪みゲージという簡単かつ安価な構成でよく、ステップゲージの中間部分の凸部間の長さ測定も行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3897655号公報
【特許文献2】特開2004−226369号公報
【特許文献3】特開2005−83920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、ステップゲージなどの寸法基準器は、検査対象の三次元測定機のサイズに合わせて、様々な寸法のものが用いられる。例えば、ステップゲージの長いものでは、呼び寸法(公称長さ)が1.5mを超えるものもある。
前述した寸法基準器の線膨張係数αの測定は、このような長さLが大きな寸法基準器に対しても適用でき、かつ高精度に測定できることが要求される。
【0015】
しかし、前述した特許文献3の方法では、挟み部によって測定長さが固定され、中間部分の長さなど多様な測定ができないという問題がある。また、長尺のステップゲージに対しては、相応の大きさの挟み部を準備する必要があり、実施が制約される。
さらに、歪みゲージの出力にはノイズ成分が含まれるため、長さに変換された量からステップゲージの線膨張係数だけを抽出することが難しいという問題もある。
【0016】
これに対し、前述した特許文献2のように、長さ測定に三次元測定機を利用すれば、様々な長さの寸法基準器に対して、両端面間の長さおよび中間部分の凸部の端面間長さといった多様な測定に対応することができ、異なる温度での測定に基づいて線膨張係数の測定を行うことができる。
【0017】
しかし、特許文献2の方法のように三次元測定機による長さ測定を用いる場合でも、前述した長さが1.5mを超える大きなステップゲージについては、精度低下などの問題が生じる可能性がある。
すなわち、三次元測定機には、その測定性能を示す指標として最大許容長さ測定誤差が用いられる。最大許容長さ測定誤差は、一般的に一次式で与えられ、測定長さに比例して大きくなる。このことは、測定する長さが大きくなるに従って、精度が低下することを意味する。このような理由で、長いステップゲージについては、線膨張係数を高精度に測定することが難しくなる。
【0018】
このような問題に対し、本発明の発明者らにより、様々な長さの寸法基準器に対して、線膨張係数の測定を、高精度かつ安価に行える寸法基準器の線膨張係数測定方法および測定装置が提案されている。
この提案では、三次元測定機を用いて測定対象物の長さを測定する際に、長さの基準として基準ゲージを用い、この基準ゲージに対する長さの比較測定を行う。
具体的には、基準ゲージおよび測定対象物を並列状態で恒温槽に収め、複数の温度に変化させる。そして、各温度で測定対象物の長さを比較測定し、長さ変化と温度変化とから線膨張係数を計算する。この際、長さ測定の結果は、三次元測定機のスケールの精度に依存せず、専ら繰り返し精度に依存することになり、測定対象物が長尺化しても高精度を確保できる。なお、基準ゲージには極低膨張係数ないしゼロ膨張係数の材質から製造されたもの、または正確な膨張量が既知である素材を用いる。
【0019】
しかし、提案された線膨張係数測定方法および測定装置においては、ステップゲージなどの寸法基準器における中間部分の区間長さの測定には必ずしも好適ではなかった。
【0020】
すなわち、ステップゲージなど一部の寸法基準器は、その全長つまり両端の距離とは別に、中間部分の区間長さが、基準長さとして利用される。例えば、ステップゲージでは、配列された複数の凸部のうち、中間部分の2つの凸部の端面により、区間長さが規定される。
このような中間部分の区間長さを、高精度な基準長さとするためには、この区間長さにおける局所的な線膨張係数を把握しておく必要がある。
【0021】
ステップゲージなどの寸法基準器において、一般に線膨張係数と呼ばれるのは、その全長にわたる熱変形を全長で除し、更に熱変形の前後における温度変化量で除したものであり、いわば代表値である。しかし、実際のステップゲージなどでは、線膨張係数が全長にわたって均一でないことがあり、例えば延伸方向の一部で線膨張係数が高く、あるいは低くなっている部分が存在する。従って、前述のような中間部分の区間長さを設定した際には、その区間の線膨張係数が、代表値である線膨張係数からずれる可能性があり、この中間部分の区間長さの寸法基準としての精度が確保できなくなることもある。
【0022】
そこで、ステップゲージなどの寸法基準器において、中間部分の区間についても高精度な温度補正ができるようにするために、寸法基準となる中間部分の区間長さ毎に線膨張係数を測定しておくことが必要となる。このために、前述したステップゲージの中間部分の凸部間などの長さ測定が重要な意味をもつことになる。
【0023】
ところが、前述した本発明の発明者らにより提案された線膨張係数測定方法および測定装置においては、測定する長さに応じた基準ゲージを、測定対象物とともに恒温槽に収容し、所定の温度条件に設定する必要がある。
そして、測定対象物に多数の中間的な区間長さが設定されている場合、その数だけの基準ゲージが必要であるだけでなく、各区間長さについて複数の温度で長さを測定するために、恒温槽内の基準ゲージを入れ替えては複数の温度に設定する、という煩雑な手順が必要となる。
いったん恒温槽を開けて基準ゲージを取り替えると、恒温槽を所期の温度に安定させるのに約1日が必要であり、このような基準ゲージの交換を伴う線膨張係数の測定はきわめて煩雑なものとなる。
【0024】
本発明の目的は、様々な長さの寸法基準器の線膨張係数を高精度かつ安価に測定できるとともに、寸法基準器の中間部分の区間毎の線膨張係数をも効率よく測定できる寸法基準器の線膨張係数測定方法および測定装置を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の寸法基準器の線膨張係数測定方法は、寸法基準器を測定対象物とし、前記測定対象物の延伸方向に離れた複数対の測定始点および測定終点で規定される複数の測定区間における前記測定対象物の線膨張係数を測定する寸法基準器の線膨張係数測定方法であって、複数の前記測定区間に対応する複数の基準区間を規定する複数対の基準始点および基準終点を有し、前記基準区間の各々の長さが既知である基準ゲージと、前記測定対象物および前記基準ゲージを収容可能、かつ内部温度を調整可能、かつ測定用表面に測定用開口を有する恒温槽と、前記測定用開口から前記恒温槽の内部へ測定プローブを導入可能な三次元測定機と、を準備し、前記恒温槽の内部に、前記測定対象物および前記基準ゲージを平行に支持しておき、前記恒温槽の内部温度を第1温度とし、前記測定プローブで前記測定始点、前記測定終点、前記基準始点および前記基準終点の位置を検出し、複数の前記測定区間の各々の長さを対応する前記基準区間の長さに基づいて比較測定し、前記恒温槽の内部温度を第2温度とし、前記測定プローブで前記測定始点、前記測定終点、前記基準始点および前記基準終点の位置を検出し、複数の前記測定区間の各々の長さを対応する前記基準区間の長さに基づいて比較測定し、複数の前記測定区間の各々について、前記第1温度での測定長さと前記第2温度での測定長さとから線膨張係数を算出することを特徴とする。
【0026】
このような本発明では、複数の前記測定区間の各々について、第1温度での測定長さと第2温度での測定長さとから線膨張係数を算出することで、寸法基準器の中間部分の区間毎の線膨張係数をも効率よく測定することができる。
本発明では、三次元測定機を用いて測定対象物の長さ測定を行うので、高価な光波干渉計を用いることなく、様々な長さの寸法基準器の線膨張係数を、高精度に測定することができる。
本発明では、三次元測定機を用いて測定対象物の長さを測定する際に、長さの基準として基準ゲージを用い、この基準ゲージに対する長さの比較測定を行う。このため、長さ測定の結果は、三次元測定機のスケールの精度に依存せず、専ら繰り返し精度に依存することになり、測定対象物が長尺化しても高精度を確保できる。なお、基準ゲージには極低膨張係数ないしゼロ膨張係数の材質から製造されたもの、または正確な膨張量が既知である素材を用いる。
本発明では、基準ゲージおよび測定対象物は、ともに恒温槽内に収容されているため、三次元測定機による各測定区間の長さの比較測定においては、恒温槽の測定用開口を開閉し、測定プローブの導入ないし取り出すだけでよい。つまり、第1温度での各測定区間の比較測定から第2温度での各測定区間の比較測定までの間に、基準ゲージの交換およびその出し入れのための恒温槽の開放は一切必要がなく、恒温槽内の温度変化を最小限に留めることができ、測定作業時間も最小限とすることができる。
以上により、本発明の寸法基準器の線膨張係数測定方法によれば、様々な長さの寸法基準器の線膨張係数の測定を、高精度かつ安価に行うことができるとともに、寸法基準器の中間部分の区間毎の線膨張係数をも効率よく測定することができる。
【0027】
本発明の実施にあたっては、例えば、測定対象物において、第1測定区間、第2測定区間および第3測定区間を設定し、第1測定区間は第1測定始点と第1測定終点との対で規定され、同様に、第2、第3の測定区間は第2測定始点と第2測定終点との対、および第3測定始点と第3測定終点との対で規定される、とすることができる。
このような測定対象物に対応する場合、基準ゲージは、第1〜第3の測定区間に対応した第1〜第3の基準区間を有するものとし、第1基準区間は第1基準始点と第1基準終点との対で規定され、同様に、第2、第3の基準区間は第2基準始点と第2基準終点との対、および第3基準始点と第3基準終点との対で規定される、とすることができる。
【0028】
このような設定では、第1温度および第2温度の各々において、基準ゲージの第1〜第3の基準区間に対する比較測定を順次行うことにより、測定対象物の第1〜第3の測定区間の長さが測定できる。各温度での各区間の長さが得られたら、第1〜第3の測定区間における第1温度での長さと第2温度での長さとの差と、第1温度と第2温度との温度差とから、各区間における線膨張係数、つまり第1〜第3の線膨張係数を得ることができる。
さらに、対応する第1〜第3の測定区間と第1〜第3の基準区間とは、対応する始点および終点の位置が完全に一致し、区間の長さも完全に同じものとしてもよいが、始点および終点の延伸方向の位置がずれていて長さが異なるものであってもよい。ただし、対応する測定区間および基準区間の長さの差は、10mm以下であることが望ましい。
【0029】
本発明において、測定区間および基準区間の設定数は、例示した第1〜第3の3組に限らず、第1および第2の2組でもよく、4組以上であってもよい。
本発明において、測定対象物とする寸法測定器としては、例えばステップゲージが用いられる。そして、ステップゲージに配列される複数の凸部のうち、いずれかの凸部の表面上の点を始点および終点として、複数の測定区間を設定すればよい。
ただし、本発明の測定対象物は、ステップゲージに限らず、延伸方向に複数の長さ基準を与える形状をもつ他の寸法基準器であってもよい。
【0030】
本発明の寸法基準器の線膨張係数測定方法において、前記基準ゲージは、前記基準始点および前記基準終点が、それぞれ、前記基準ゲージに形成された凸部の前記延伸方向に交差する表面上の点、前記基準ゲージに形成された円筒状の検出孔の内周面を前記三次元測定機で検出して得られる前記検出孔の中心軸線上の仮想的な点、前記基準ゲージに形成された検出円柱の外周面を前記三次元測定機で検出して得られる前記検出円柱の中心軸線上の仮想的な点、前記基準ゲージに形成された検出球の外周面を前記三次元測定機で検出して得られる前記検出球の中心を示す仮想的な点、のいずれかであることが望ましい。
【0031】
このような本発明では、基準ゲージに形成された凸部の表面で、実体的な基準始点および基準終点を形成することができる。このような凸部を有する基準ゲージとしては、例えばステップゲージを用いることができる。さらに、実体的な基準始点および基準終点を形成する表面として、基準ゲージの両端面を用いてもよい。
本発明では、実体的な基準始点および基準終点に限らず、基準ゲージに内周面が円筒状の検出孔を形成し、または基準ゲージに検出円柱や検出球を配列し、その表面の3点以上の接触測定を三次元測定機で行うことで仮想的な基準始点および基準終点を設定してもよく、一本の長尺板状の基準ゲージ本体に検出孔を加工し、あるいは表面に検出円柱や検出球を固定してゆくことで、基準ゲージを簡単に製造することができる。
【0032】
本発明の寸法基準器の線膨張係数測定方法において、前記基準ゲージは、前記基準区間に対応する複数のブロックゲージを束ねて形成され、前記ブロックゲージの両端面が前記基準始点および前記基準終点とされていることが望ましい。
【0033】
このような本発明では、既存のブロックゲージを複数束ねることで基準ゲージを形成することができる。複数のブロックゲージは、それぞれの両端面が基準始点および基準終点として基準区間を形成するため、束ねられた状態では複数の長さの基準区間を形成することができる。従って、複数の長さの基準区間を形成する基準ゲージを簡単かつ廉価に製造することができる。
なお、複数のブロックゲージを束ねる際には、全長が長いものから順に重ね合わせることが望ましい。一つのブロックゲージに固定された他の短いブロックゲージにより、前述した「基準ゲージに形成された凸部」を構成することができる。
【0034】
ブロックゲージを複数束ねた状態で固定する際には、各ブロックゲージの束を包囲する部材、各ブロックゲージを貫通する部材、あるいは各ブロックゲージを結合する接着剤を用いることができる。
複数のブロックゲージのうち、いずれかの基準始点どうしを同一平面状に揃え、反対側の端部に各ブロックゲージの長さの差分が専ら現れるようにしてもよく、両端を揃えずに各ブロックゲージの長さの差分が両端にそれぞれ現れるようにしてもよい。
【0035】
本発明の寸法基準器の線膨張係数測定方法において、前記基準ゲージは、前記測定対象物の前記測定始点および前記測定終点の少なくともいずれか一つに対応する位置に、前記三次元測定機の測定プローブを挿通可能な挿通孔を有することが望ましい。
【0036】
このような本発明では、測定対象物の測定始点および測定終点が形成される側に沿って基準ゲージを並列配置した場合でも、挿通孔を通して測定プローブを導入することで、測定始点および測定終点の位置を検出することができる。
なお、挿通孔は、基準ゲージに形成された円筒状の検出孔と共用されるものであってもよい。
【0037】
本発明において、前記基準ゲージは、前記第1温度と前記第2温度との間の温度変化では精度上膨張を無視しうる極低膨張係数ないしゼロ膨張係数の材質から製造されたもの、または、膨張係数が既知である材質から製造されたもの、のいずれかであることが望ましい。
【0038】
このような本発明では、基準ゲージが、極低膨張係数ないしゼロ膨張係数の材質から製造されている場合、第1温度と第2温度との間での基準ゲージの長さの温度補正を省略することができる。一方、基準ゲージが、膨張係数が既知である材質から製造されている場合、第1温度および第2温度において、温度補正により各温度における高精度な基準ゲージの長さを計算することができる。いずれの場合も、各温度における基準ゲージ長さを正確にできるので、第1温度での比較測定と第2温度での比較測定とを高精度に行うことができる。
【0039】
本発明の寸法基準器の線膨張係数測定装置は、寸法基準器を測定対象物とし、前記測定対象物の延伸方向に離れた複数対の測定始点および測定終点で規定される複数の測定区間における前記測定対象物の線膨張係数を測定する寸法基準器の線膨張係数測定装置であって、複数の前記測定区間に対応する複数の基準区間を規定する複数対の基準始点および基準終点を有し、前記基準区間の各々の長さが既知である基準ゲージと、前記測定対象物および前記基準ゲージを収容可能、かつ内部温度を調整可能、かつ測定用表面に測定用開口を有する恒温槽と、前記測定用開口から前記恒温槽の内部へ測定プローブを導入可能な三次元測定機と、を有することを特徴とする。
【0040】
このような本発明の寸法基準器の線膨張係数測定装置においては、前述した本発明の寸法基準器の線膨張係数測定方法に用いることで、前述した通りの作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、様々な長さの寸法基準器の線膨張係数を高精度かつ安価に測定できるとともに、寸法基準器の中間部分の区間毎の線膨張係数をも効率よく測定できる寸法基準器の線膨張係数測定方法および測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の第1実施形態の線膨張係数測定装置を示す斜視図。
図2】第1実施形態の測定対象物であるステップゲージを示す斜視図。
図3】第1実施形態の基準ゲージを示す側面図。
図4】第1実施形態の基準ゲージを示す平面図。
図5】第1実施形態の測定状態を示す模式図。
図6】第1実施形態の測定手順を示すフローチャート。
図7】本発明の第2実施形態の基準ゲージを示す側面図。
図8】第2実施形態の基準ゲージを示す平面図。
図9】本発明の第3実施形態の基準ゲージを示す側面図。
図10】第3実施形態の基準ゲージを示す平面図。
図11】本発明の第4実施形態の基準ゲージを示す側面図。
図12】第4実施形態の基準ゲージを示す平面図。
図13】本発明の第5実施形態の基準ゲージを示す側面図。
図14】第5実施形態の基準ゲージを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、本実施形態の線膨張係数測定装置1が示されている。
線膨張係数測定装置1は、寸法基準器であるステップゲージ10を測定対象物とし、その線膨張係数を高精度に測定するものである。
このために、線膨張係数測定装置1は、ステップゲージ10を収容して所定温度に維持する恒温槽30と、ステップゲージ10とともに恒温槽30に収容される基準ゲージ20と、基準ゲージ20を基準としてステップゲージ10の長さを比較測定する三次元測定機40と、を備えている。
【0046】
三次元測定機40は、定盤41を有し、その上面にはコラム42およびクロスバー43によりヘッド44が支持されている。ヘッド44には下方へ延びるラム45が設置され、その先端にはプローブ46が支持されている。
三次元測定機40は、コラム42が定盤41に対してX軸方向に移動自在とされ、ヘッド44がクロスバー43に対してX軸方向に移動自在とされ、ラム45がヘッド44に対してZ軸方向に移動自在とされている。これらの3軸移動により、プローブ46を定盤41に対して三次元移動させることができる。
【0047】
恒温槽30は、箱状の筐体内部の温度を所望の温度に維持可能な装置であり、定盤41の上面に載置され、その長手方向がY軸方向に沿うように固定されている。
恒温槽30は、上面を開閉することで、内部にステップゲージ10および基準ゲージ20を収容可能である。
恒温槽30の上面には、開閉式の蓋体を有する測定用開口31が複数、Y軸方向に配列して形成されている。
【0048】
恒温槽30の内部において、ステップゲージ10は、その延伸方向LtがY軸方向に沿うように支持されている。また、基準ゲージ20は、ステップゲージ10の上面側(ステップゲージ10の測定用開口31に対向する側)に配置され、その延伸方向LrがY軸方向に沿って、ステップゲージ10と互いに平行に支持されている。
【0049】
図2には、本実施形態における測定対象物であるステップゲージ10が示されている。
ステップゲージ10は、延伸方向Ltに延びる角柱状の本体を有し、その上面、底面および各側面は延伸方向Ltに交差する2方向である高さ方向Htおよび幅方向Wtのいずれかに平行とされている。
ステップゲージ10の上面には、ブロックゲージ状の凸部19が複数、延伸方向Ltに配列されている。各凸部19の延伸方向Ltの長さはDp、各凸部19の間の凹部の延伸方向Ltの間隔はDcとされている。
【0050】
本実施形態では、ステップゲージ10に3つの測定区間S11,S12,S13が設定される。
第1測定区間S11は、第1測定始点11Sがステップゲージ10の一方の端部にある凸部19の表面(延伸方向Ltに交差する表面)に設定とされ、第1測定終点11Eがステップゲージ10の他方の端部にある凸部19の表面に設定とされる。第1測定区間長さはD11とされる。
第2測定区間S12は、第2測定始点12Sが前述した第1測定始点11Sと同じ表面に設定され、第2測定終点12Eがステップゲージ10の中間位置にある凸部19の表面に設定される。第2測定区間長さはD12(<D11)とされる。
第3測定区間S13は、第3測定始点13Sが前述した第1測定始点11Sと同じ表面に設定され、第3測定終点13Eがステップゲージ10の中間位置にある凸部19の表面に設定される。第3測定区間長さはD13(<D12)とされる。
【0051】
図3および図4には、本実施形態の基準ゲージ20が示されている。
基準ゲージ20は、3枚のブロックゲージ21,22,23で構成されている。
これらのブロックゲージ21〜23は、それぞれ同じ厚み(高さ方向Hrの寸法)および幅(幅方向Wrの寸法)を有するが、各々の長さ(延伸方向Lrの寸法)が異なる。
すなわち、ブロックゲージ21,22,23は、それぞれ長さD21,D22,D23とされ、これらは前述したステップゲージ10の3つの測定区間S11,S12,S13(長さD11,D12,D13)に対応した長さとされている。
【0052】
前述したブロックゲージ21,22,23により、基準ゲージ20には3つの基準区間S21,S22,S23が設定されている。
第1基準区間S21は、第1基準始点21Sおよび第1基準終点21Eがブロックゲージ21の両端面に設定される。第1基準区間長さD21は、対応する第1測定区間長さD11よりも凸部19の一個分の長さDpだけ短く設定されている。
第2基準区間S22は、第2基準始点22Sおよび第2基準終点22Eがブロックゲージ21の両端面に設定される。第2基準区間長さD22は、対応する第2測定区間長さD12よりも凸部19の一個分の長さDpだけ短く設定されている。
第3基準区間S23は、第3基準始点23Sおよび第3基準終点23Eがブロックゲージ21の両端面に設定される。第3基準区間長さD23は、対応する第3測定区間長さD13よりも凸部19の一個分の長さDpだけ短く設定されている。
【0053】
基準ゲージ20において、3枚のブロックゲージ21,22,23は、長い順に重ね合わせられたうえ、各々を貫通するボルト28,29により束ねられている。詳細には、ブロックゲージ21,22の2枚がボルト28により締結され、ブロックゲージ21〜23の3枚がボルト29により締結されている。
なお、ブロックゲージ21〜23を重ね合わせて固定する手段としては、ボルト29による締結に限らず、相互の接着、ベルト状部材による結束など、他の手段を用いてもよい。
【0054】
3枚のブロックゲージ21〜23のうち、最上段のブロックゲージ23を除く2枚のブロックゲージ21,22には、それぞれ挿通孔26,27が形成されている。
挿通孔26は、ブロックゲージ21の中間部分のうち、ブロックゲージ22の第2基準終点22Eとされる端部に重ねられる部位に形成され、ブロックゲージ21,22を束ねた状態では、ブロックゲージ22の端部が挿通孔26の開口内にせり出した状態とされる。
挿通孔27は、ブロックゲージ21,22の中間部分のうち、ブロックゲージ23の第3基準終点23Eとされる端部に重ねられる部位に形成され、ブロックゲージ21〜23を束ねた状態では、ブロックゲージ21,22の各挿通孔27が互いに連通されるとともに、ブロックゲージ23の端部が挿通孔27の開口内にせり出した状態とされる。
【0055】
図5には、ステップゲージ10および基準ゲージ20が恒温槽30内に収容された状態が示されている。
恒温槽30内において、ステップゲージ10および基準ゲージ20は、恒温槽30内に平行に設置される。すなわち、ステップゲージ10の延伸方向Lt、基準ゲージ20の延伸方向Lrおよび恒温槽30のY軸方向が、全て同じ方向に揃うように設置される。
【0056】
ステップゲージ10は、恒温槽30内に設置されている支持体32,33で下面側を支持される。
支持体32において、ステップゲージ10は、延伸方向Ltおよび幅方向Wtの変位を規制される。ただし、延伸方向Lt、高さ方向Htおよび幅方向Wtの各方向を中心とする回転は全て許容される。
支持体33において、ステップゲージ10は、幅方向Wtの変位を規制されるが、延伸方向Ltの変位は許容される。さらに、延伸方向Lt、高さ方向Htおよび幅方向Wtの各方向を中心とする回転は全て許容される。
【0057】
このような支持体32,33としては、いわゆるキネマティックマウント(球と円錐孔の接触による並進3自由度(X,Y,Z)の拘束、球とV溝の接触による回転2自由度(ピッチ,ヨー)の拘束、球と平面の接触による回転1自由度(ロール)の拘束)を利用することができる。
このような支持体32,33で支持されることで、ステップゲージ10は、その延伸方向Ltを常時一定に維持されるとともに、熱変形に伴う伸縮は、主に第1〜第3の測定終点11E〜13E側に現れるようにできる。
【0058】
基準ゲージ20は、恒温槽30内に設置されている支持体34,35で下面側を支持されるとともに、上面側を押圧体36,37で押圧される。
支持体34において、基準ゲージ20は、延伸方向Ltおよび幅方向Wtの変位を規制される。ただし、延伸方向Lt、高さ方向Htおよび幅方向Wtの各方向を中心とする回転は全て許容される。
支持体35において、基準ゲージ20は、幅方向Wtの変位を規制されるが、延伸方向Ltの変位は許容される。さらに、延伸方向Lt、高さ方向Htおよび幅方向Wtの各方向を中心とする回転は全て許容される。
【0059】
このような支持体34,35も、いわゆるキネマティックマウント(球と円錐孔の接触による並進3自由度(X,Y,Z)の拘束、球とV溝の接触による回転2自由度(ピッチ,ヨー)の拘束、球と平面の接触による回転1自由度(ロール)の拘束)を利用することができる。
このような支持体34,35で支持されることで、基準ゲージ20は、その延伸方向Lrを常時一定に維持されるとともに、熱変形に伴う伸縮は、主に第1〜第3の基準終点21E〜23E側に現れるようにできる。
【0060】
押圧体36,37は、弾発力を有するコイルばね等を有し、支持体34,35に対向して設置され、基準ゲージ20を支持体34,35に対して押し付ける。
このうち、押圧体37は、支持体35に対応して、基準ゲージ20の延伸方向Ltの変位を許容するように、いわゆるフリーボールベアリングあるいはボールキャスタが用いられる。
このような押圧体36,37により、基準ゲージ20が軽量である場合でも、支持体34,35に向けて押圧することで、基準ゲージ20を支持体34,35で安定して支持することができる。
【0061】
恒温槽30内に設置される際に、基準ゲージ20は、ステップゲージ10に対して、ステップゲージ10の凸部19の1個分の長さDpだけ、第1基準終点21E側にずらして配置される。
この状態で、第1〜第3の測定終点11E〜13Eと、対応する第1〜第3の基準終点21E〜23Eとが、互いに同じ位置に配置される(図3参照)。
【0062】
恒温槽30内において、基準ゲージ20はステップゲージ10の測定用開口31側に配置される。
従って、基準ゲージ20の第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび第1〜第3の基準終点21E〜23Eは、測定用開口31の最寄りのものを開いてプローブ46を導入することで、プローブ46で接触して位置検知することができる。
【0063】
一方、ステップゲージ10は、測定用開口31の側の大部分を基準ゲージ20により覆われ、第1〜第3の測定始点11S〜13Sが設定される凸部19の上面だけが覆われない状態とされる。
しかし、基準ゲージ20に挿通孔26,27が形成されているため、この挿通孔26,27を通してプローブ46を導入することができ、これにより第2および第3の測定始点12S,13Sについてもプローブ46が接触できる。
これにより、ステップゲージ10の第1〜第3の測定始点11S〜13Sおよび第1〜第3の測定終点11E〜13Eの全てについて、プローブ46で接触して位置検知することができる。
【0064】
〔線膨張係数の測定動作〕
図6には、線膨張係数測定装置1によるステップゲージ10の線膨張係数の測定手順が示されている。
測定開始にあたっては、先ず、線膨張係数測定装置1として三次元測定機40に恒温槽30を固定し、恒温槽30の内部にステップゲージ10および基準ゲージ20を収容しておく(処理ST1)。
ステップゲージ10および基準ゲージ20の設置(処理ST1)ができたら、測定用開口31を全て閉じた状態とし、恒温槽30の内部温度を第1温度t1に設定し、所定時間を待って温度を安定化させる(処理ST2)。
【0065】
温度が安定化したら、三次元測定機40によりプローブ46を移動させ、第1〜第3の測定始点11S〜13Sに最寄りの測定用開口31を開き、第1〜第3の測定始点11S〜13Sが設定される端部の凸部19(基準ゲージ20で覆われない)の上面および側面にプローブ46を接触させ、それぞれ複数点の位置検出によりステップゲージ10の方向(延伸方向LtとY軸方向との誤差)を計測しておく(処理ST3)。
続いて、プローブ46をステップゲージ10の第1〜第3の測定始点11S〜13Sに接触させ、各々の位置を計測するとともに、プローブ46を基準ゲージ20の第1〜第3の基準始点21S〜23Sに接触させ、各々の位置を計測する(処理ST4)。
【0066】
続いて、プローブ46を別の測定用開口31から順次導入し、ステップゲージ10の第3測定終点13Eと基準ゲージ20の第3基準終点23Eと、ステップゲージ10の第2測定終点12Eと基準ゲージ20の第2基準終点22Eと、ステップゲージ10の第1測定終点11Eと基準ゲージ20の第1基準終点21Eとに、それぞれ接触させ、各々の位置を計測する(処理ST5)。
これらにより、第1〜第3の測定始点11S〜13Sと第1〜第3の測定終点11E〜13Eとから、第1〜第3の測定区間S11〜S13の区間長さD11〜D13が計算される。また、第1〜第3の基準始点21S〜23Sと第1〜第3の基準終点21E〜23Eとから、第1〜第3の基準区間S21〜S23の区間長さD21〜D23が計算される。
ここで、基準ゲージ20の第1〜第3の区間長さD21〜D23は、予め高精度に測定されている。従って、区間長さD21〜D23の既知の値と計測された値との差分を、計測された第1〜第3の区間長さD11〜D13に適用して補正することで、基準ゲージ20の基準区間S21〜S23を基準としたステップゲージ10の測定区間S11〜S13の長さの比較測定を行うことができる(処理ST6)。
【0067】
次に、恒温槽30の内部温度を第2温度t2に設定し、所定時間を待って温度を安定化させる(処理ST7)。
そして、第1温度t1における処理ST2〜ST6と同様に、処理ST8、処理ST9、処理ST10および処理ST11を実行する。これらの処理ST8〜ST11は、前述した処理ST2〜ST6と同内容であるため、重複する説明は省略する。
以上により、第1温度t1における第1〜第3の測定区間長さD11〜D13と、第2温度t2における第1〜第3の測定区間長さD11〜D13とが得られるので、これらから第1〜第3の測定区間S11〜S13の線膨張係数α11〜α13が得られる。
すなわち、第1温度t1における第1測定区間長さD11(t1)とし、第2温度t2における第1測定区間長さD11(t2)とし、第1測定区間の呼び寸法をD11(呼び寸法)としたとき、線膨張係数α11は次式となる。
α11=(D11(t1)−D11(t2))/(D11・(t1−t2))
そして、他の区間S12,S13についても同様の計算を行うことにより、第1測定区間S11の線膨張係数α11、第2測定区間S12の線膨張係数α12および第3測定区間S13の線膨張係数α13を得ることができる(処理ST12)。
【0068】
〔第1実施形態の効果〕
このような本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、ステップゲージ10の中間部分である第1〜第3の測定区間S11〜S13の各々について、第1温度t1での測定長さD11〜D13と、第2温度t2での測定長さD11〜D13とから、線膨張係数α11〜α13を算出することができ、ステップゲージ10の中間部分の区間毎の線膨張係数をも効率よく測定することができる。
【0069】
本実施形態では、三次元測定機40を用いて測定対象物であるステップゲージ10の長さ測定を行うので、高価な光波干渉計を用いることなく、様々な長さのステップゲージ10の線膨張係数を、高精度に測定することができる。
さらに、三次元測定機40を用いてステップゲージ10の長さを測定する際に、長さの基準として基準ゲージ20を用い、この基準ゲージ20に対する長さの比較測定を行う。このため、長さ測定の結果は、三次元測定機40のスケールの精度に依存せず、専ら基準ゲージ20の精度に依存することになり、ステップゲージ10が長尺化しても高精度を確保できる。
【0070】
さらに、本実施形態では、基準ゲージ20およびステップゲージ10は、ともに恒温槽30内に収容されているため、三次元測定機40による各測定区間の長さの比較測定においては、恒温槽の測定用開口31を開閉し、プローブ46の導入ないし取り出しを行うだけでよい。つまり、第1温度t1での各測定区間の比較測定から第2温度t2での各測定区間の比較測定までの間に、基準ゲージ20の交換およびその出し入れのための恒温槽30の開放は一切必要がなく、恒温槽30内の温度変化を最小限に留めることができ、測定作業時間も最小限とすることができる。
【0071】
本実施形態では、基準ゲージ20に挿通孔26,27を形成したため、ステップゲージ10の測定用開口31側に基準ゲージ20を配置した場合でも、挿通孔26,27を通してプローブ46を導入することができ、全ての測定始点および測定終点の位置を確実に検出することができる。
【0072】
本実施形態では、既存のブロックゲージ21〜23を複数束ねることで基準ゲージ20を形成することができる。複数のブロックゲージ21〜23は、それぞれの両端面が基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eとして基準区間S21〜S23を形成するため、束ねられることで基準ゲージ20に複数の長さの基準区間S21〜S23を形成することができる。従って、複数の長さの基準区間S21〜S23を形成する基準ゲージ20を簡単かつ廉価に製造することができる。
そして、複数のブロックゲージ21〜23を束ねる際に、全長が長いものから順に重ね合わせることで、測定用開口31側からプローブ46を導入して全ての基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eに接触させることができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
図7および図8には、本発明の第2実施形態の基準ゲージ20Aおよびステップゲージ10が示されている。
本実施形態において、基準ゲージ20A以外の構成は、線膨張係数測定装置1をはじめとして、前述した第1実施形態と共通である。従って、以下には相違する部分についてのみ説明する。
【0074】
前述した第1実施形態では、図3に示すように、ステップゲージ10の図中左端から右端までの第1測定区間S11と、同左端から中間位置までの第2測定区間S12および第3測定区間S13の線膨張係数を測定するために、これに対応する第1〜第3の基準区間S21〜S23を設定していた。そして、基準ゲージ20においては、第1〜第3の基準始点21S〜23Sを揃えるように3枚のブロックゲージ21〜23を束ねていた。
これに対し、本実施形態では、基準ゲージ20Aとして、同様な3枚のブロックゲージ21A〜23Aを用いるが、束ねる際には第1〜第3の基準始点21S〜23Sを揃えないようにしている。
【0075】
図7において、本実施形態では、ステップゲージ10の測定区間S11〜S13は、互いに中央部分を揃えられ、いわば入れ子状に設定されている。
このため、基準ゲージ20Aの基準区間S21〜S23も対応する配置とするべく、ブロックゲージ21A〜23Aは互いに中央部分が重ね合わされている。
3枚のブロックゲージ21A,22A,23Aは、中央のボルト29により締結されている。ブロックゲージ21A〜23Aを重ね合わせて固定する手段としては、ボルト29による締結に限らず、相互の接着、ベルト状部材による結束など、他の手段を用いてもよい。
このうち、ブロックゲージ21A,22Aには、互いに連通する挿通孔27が2箇所に形成され、ブロックゲージ21Aには、挿通孔26が2箇所に形成されている。
【0076】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様な測定手順により、同様の効果を得ることができる。
このように、本発明では、基準ゲージ20,20Aを使い分けることにより、ステップゲージ10の任意の領域を測定区間とし、その線膨張係数を測定することができる。
【0077】
〔第3実施形態〕
図9および図10には、本発明の第3実施形態の基準ゲージ20Bおよびステップゲージ10が示されている。
本実施形態において、基準ゲージ20B以外の構成は、線膨張係数測定装置1をはじめとして、前述した第1実施形態と共通である。従って、以下には相違する部分についてのみ説明する。
【0078】
前述した第1実施形態では、3枚のブロックゲージ21〜23を束ねて基準ゲージ20を形成し、各ブロックゲージ21〜23の両端面により、第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eを構成していた。
これに対し、本実施形態では、基準ゲージ20Bとして、1枚のブロックゲージ21Bに複数の挿通孔26Bを形成している。本実施形態においては、挿通孔26Bが検出孔を兼ねており、各挿通孔26Bの中心軸位置により、第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eが規定されている。
【0079】
ブロックゲージ21Bは、前述した第1実施形態のブロックゲージ21と同様な部材である。
検出孔を兼ねる挿通孔26Bは、ブロックゲージ21Bの6箇所に形成されている。
このうち、図9左側の3つは、それぞれ第1〜第3の基準始点21S〜23Sとなるべき位置、つまり測定対象物であるステップゲージ10の第1〜第3の測定始点11S〜13Sに対応する位置に設定されている。
一方、図9右側の3つは、それぞれ第1〜第3の基準終点21E〜23Eとなるべき位置、つまり測定対象物であるステップゲージ10の第1〜第3の測定終点11E〜13Eに対応する位置に設定されている。
【0080】
このような本実施形態においては、検出孔を兼ねる6つの挿通孔26Bのそれぞれにおいて、内周面の3点以上にプローブ46を接触させることで、各々の中心軸線位置つまり第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eの位置を計測することができる。
また、検出孔を兼ねる6つの挿通孔26Bのそれぞれを挿通して、プローブ46をステップゲージ10の第1〜第3の測定始点11S〜13Sおよび測定終点11E〜13Eの位置を計測することができる。
従って、これらの各点から基準ゲージ20Bの各基準区間長さを測定し、ステップゲージ10の測定区間長さを比較測定することができ、前述した第1実施形態と同様な測定手順により、同様の効果を得ることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、ステップゲージ10において第1の測定始点11Sを与える凸部19は、その第1の測定始点11Sを与える端面、一方の側面、および上面が、基準ゲージ20Bの挿通孔26Bの開口領域内に表れるように配置されている。
これにより、プローブ46を上方から挿通孔26Bに挿通し、凸部19の端面、側面および上面に当接することで、各々の位置を検出し、ステップゲージ10の方向(延伸方向LtとY軸方向との誤差)を計測すること(第1実施形態における図6の処理ST3)ができる。
この点は、後述する第4および第5の実施形態でも同様である。
【0082】
〔第4実施形態〕
図11および図12には、本発明の第4実施形態の基準ゲージ20Cおよびステップゲージ10が示されている。
本実施形態において、基準ゲージ20C以外の構成は、線膨張係数測定装置1をはじめとして、前述した第1実施形態と共通である。従って、以下には相違する部分についてのみ説明する。
【0083】
前述した第1実施形態では、3枚のブロックゲージ21〜23を束ねて基準ゲージ20を形成し、各ブロックゲージ21〜23の両端面により、第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eを構成していた。
これに対し、本実施形態では、基準ゲージ20Cとして、1枚のブロックゲージ21Cに複数の挿通孔26Cを形成するとともに、その近傍のブロックゲージ21Cの表面に、6つの検出球24が固定されている。これらの検出球24の中心を通りかつブロックゲージ21Cに垂直な軸線により、第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eが規定されている。
【0084】
検出球24は、例えばブロックゲージ21Cと同じ材質で形成され、高精度な球面に仕上げられている。そして、検出球24は、ブロックゲージ21Cの表面に形成された円錐状の孔により位置決めされた状態で、接着剤などによりブロックゲージ21Cに固定されている。
【0085】
このような本実施形態においては、検出球24のそれぞれにおいて、球面の4点以上にプローブ46を接触させることで、各々の中心点ないし第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eを示す軸線の位置を計測することができる。
また、挿通孔26Cのそれぞれを挿通して、プローブ46をステップゲージ10の第1〜第3の測定始点11S〜13Sおよび測定終点11E〜13Eの位置を計測することができる。
従って、これらの各点から基準ゲージ20Cの各基準区間長さを測定し、ステップゲージ10の測定区間長さを比較測定することができ、前述した第1実施形態と同様な測定手順により、同様の効果を得ることができる。
【0086】
〔第5実施形態〕
図13および図14には、本発明の第5実施形態の基準ゲージ20Dおよびステップゲージ10が示されている。
本実施形態において、基準ゲージ20D以外の構成は、線膨張係数測定装置1をはじめとして、前述した第1実施形態と共通である。従って、以下には相違する部分についてのみ説明する。
【0087】
前述した第1実施形態では、3枚のブロックゲージ21〜23を束ねて基準ゲージ20を形成し、各ブロックゲージ21〜23の両端面により、第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eを構成していた。
これに対し、本実施形態では、基準ゲージ20Dとして、1枚のブロックゲージ21Dに複数の挿通孔26Dを形成するとともに、その近傍のブロックゲージ21Dの表面に、6つの検出円柱25が固定されている。これらの検出円柱25の中心軸線により、第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eが規定されている。
【0088】
検出円柱25は、例えばブロックゲージ21Dと同じ材質で形成され、その外周面は高精度な円筒面に仕上げられている。そして、検出円柱25は、接着剤などにより、ブロックゲージ21Cの表面の所定位置に固定されている。
【0089】
このような本実施形態においては、検出円柱25のそれぞれにおいて、外周の円筒面の3点以上にプローブ46を接触させることで、各々の中心軸線ないし第1〜第3の基準始点21S〜23Sおよび基準終点21E〜23Eを示す軸線の位置を計測することができる。
また、挿通孔26Dのそれぞれを挿通して、プローブ46をステップゲージ10の第1〜第3の測定始点11S〜13Sおよび測定終点11E〜13Eの位置を計測することができる。
従って、これらの各点から基準ゲージ20Dの各基準区間長さを測定し、ステップゲージ10の測定区間長さを比較測定することができ、前述した第1実施形態と同様な測定手順により、同様の効果を得ることができる。
【0090】
〔他の実施形態〕
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した各実施形態では、測定区間および基準区間のセットをそれぞれ3組設定し、各区間の線膨張係数α11〜α13を測定した。すなわち、測定対象物であるステップゲージ10に第1〜第3の測定区間S11〜S13、測定始点11S〜13S、測定終点11E〜13Eを設定し、基準ゲージ20に第1〜第3の基準区間S21〜S23、基準始点21S〜23S、基準終点21E〜23Eを設定した。
【0091】
しかし、これらのセットは3組に限らず、2組でもよく、あるいは4組以上であってもよい。そして、これらの各区間は、互いに重なるもの、一部が重なるものに限らず、延伸方向Ltに沿って重なることなく並ぶ複数の区間であってもよい。
前述した各実施形態では、ステップゲージ10を測定対象物としていたが、測定対象物としては、ステップゲージ10に限らず、延伸方向Ltに沿って複数の長さ基準を与える形状をもつ他の寸法基準器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、様々な長さの寸法基準器に対して、その中間部分の区間毎の線膨張係数をも測定できる寸法基準器の線膨張係数測定方法および測定装置として利用できる。
【符号の説明】
【0093】
1…線膨張係数測定装置、10…測定対象物であるステップゲージ、11E…第1測定終点、11S…第1測定始点、12E…第2測定終点、12S…第2測定始点、13E…第3測定終点、13S…第3測定始点、19…凸部、20,20A,20B,20C,20D…基準ゲージ、21,21A,21B,21C,21D,22,23…ブロックゲージ、21E…第1基準終点、21S…第1基準始点、22E…第2基準終点、22S…第2基準始点、23E…第3基準終点、23S…第3基準始点、24…検出球、25…検出円柱、26,26C,26D,27…挿通孔、26B…検出孔を兼ねる挿通孔、28,29…ボルト、30…恒温槽、31…測定用開口、32,33…ステップゲージの支持体、34,35…基準ゲージの支持体、36,37…押圧体、40…三次元測定機、41…定盤、42…コラム、43…クロスバー、44…ヘッド、45…ラム、46…プローブ、Hr…基準ゲージの高さ方向、Ht…ステップゲージの高さ方向、Lr…基準ゲージの延伸方向、Lt…ステップゲージの延伸方向、S11…第1測定区間、S12…第2測定区間、S13…第3測定区間、S21…第1基準区間、S22…第2基準区間、S23…第3基準区間、t1…第1温度、t2…第2温度、Wr…基準ゲージの幅方向、Wt…ステップゲージの幅方向、α11,α12,α13…線膨張係数。
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