(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の化合物、該化合物を含有する組成物及び光重合開始剤について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0014】
本発明の化合物は、上記一般式(I)で表わされる新規な化合物である。該化合物には、オキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではない。
即ち、本明細書において、上記一般式(I)で表わされる化合物、並びに後述する該化合物の好ましい形態である下記一般式(III)で表わされる化合物及びその例示化合物は、両方の混合物又はどちらか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定するものではない。
【0015】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23及びR
24、で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル等が挙げられる。
【0016】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12及びR
13で表される炭素原子数3〜20のシクロアルキル基とは、3〜20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12及びR
13で表される炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子のうち少なくとも一つが、シクロアルキル基で置換された4〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルブチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルエチル、シクロデシルエチル、アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられる
【0018】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23及びR
24、で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23及びR
24、で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23及びR
24、で表される炭素原子数2〜20の複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5〜7員複素環が好ましく挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)及び上記一般式(II)中の、R
12とR
13及びR
22とR
23が一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環が好ましく挙げられる。
【0022】
上記一般式(I)及び上記一般式(II)中のZ
2は、炭素原子数1〜20のアルカンジイル基、炭素原子数6〜30のアリールジイル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキルジイル基又は炭素原子数2〜20の2価の複素環基を表す。
【0023】
上記炭素原子数1〜20のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル等が挙げられる。
【0024】
上記炭素原子数6〜30のアリールジイル基としては、例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2,6−ナフチレン、1,4−ナフチレン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル、2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイル、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジイル等が挙げられる。
【0025】
また、上記炭素原子数7〜30のアリールアルキルジイル基としては、例えば、[化4]で表わされる連結基等のアリールアルキレン基が挙げられる。
【0027】
また、上記炭素原子数2〜20の2価の複素環基としては、例えば、2,5−ピリジンジイル、2,6−ピリジンジイル、2,5−ピリミジンジイル、2,5−チオフェンジイル、3,4−テトラヒドロフランジイル、2,5−テトラヒドロフランジイル、2,5−フランジイル、3,4−チアゾールジイル、2,5−ベンゾフランジイル、2,5−ベンゾチオフェンジイル、N−メチルインドール−2,5−ジイル、2,5−ベンゾチアゾールジイル、2,5−ベンゾオキサゾールジイル等の2価の複素環基が挙げられる。
【0028】
また、上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22及びR
23で表わされる置換基の水素原子を置換してもよいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0029】
上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22及びR
23で表される置換基のアルキレン部分は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR
24−、−NR
24COO−、−OCONR
24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断される場合があり、この時中断する結合基は1種又は2種以上の基でもよく、連続して中断し得る基の場合は2つ以上連続して中断してもよい。上記一般式(I)及び一般式(II)中の、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22及びR
23で表される置換基のアルキレン部分は、分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合もある。
【0030】
上記一般式(I)及び一般式(II)中のZ
2で表される結合手のアルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR
22−、−NR
22COO−、−OCONR
22−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断される場合があり、この時中断する結合基は1種又は2種以上の基でもよく、連続して中断し得る基の場合は2つ以上連続して中断してもよい。上記一般式(I)及び一般式(II)中の、Z
2で表される結合手のアルキレン部分は、分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合もある。
【0031】
上記一般式(I)中のXは上記化学式(I−A)又は(I−B)で表される結合手を表す。また、上記一般式(II)中のZ
aはOH又はCOOHを表す。
【0032】
上記一般式(I)で表される化合物の中でも、R
1及びR
2がメチル基又はフェニル基であるもの又は下記一般式(III)で表される化合物であるものは上記一般式(II)で表される化合物と組み合わせて用いることによって、溶媒に対する溶解性が高く、重合硬化させた際の硬化物の断面形状が硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい形状である感光性組成物が得られる効果が高いことから特に好ましい。なお、一般式(I)中の2個のR
1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、一般式(I)中の2個のR
2は同一であってもよく、異なっていてもよい。2個のR
1は好ましくは同一のものである。同様に、2個のR
2は好ましくは同一のものである。
【0033】
【化5】
(式中、R
1、R
2、Z
1、Z
2及びXは一般式(I)中のR
1、R
2、Z
1及びZ
2と同義である。)
【0034】
従って、上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物No.1〜No.70が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0045】
上記一般式(I)で表される化合物は、水酸基又はカルボキシル基を有する特定の構造のオキシムエステル化合物を2量化させることで製造することができる。上記の特定のオキシムエステム化合の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2000−80068号報に記載の方法で製造できる。方法の一つとしては、以下の方法により製造する方法が挙げられる。
即ち、ケトン体1と亜硝酸エステルを塩酸存在下で反応させることにより、オキシム化合物2を得る。続いて、該オキシム化合物2に、酸無水物3又は酸クロリド3’を反応させることにより、上記一般式(I)で表される化合物の原料となる水酸基又はカルボキシル基を有する特定の構造のオキシムエステル化合物を得ることができる。これを触媒と反応させることや脱水縮合させるなどのことで2量化させることによって、上記一般式(I)で表される化合物を製造することができる。
【0046】
本発明の組成物は、(A)上記一般式(I)で表される化合物(以下、A成分と略す場合がある。)と;(B)上記一般式(II)で表される化合物(以下、B成分と略す場合がある。)とを含有する組成物である。本発明の組成物は、溶媒に対する溶解性が非常に高く、可視光領域の透過率が高く、低昇華性であり、現像性に優れ、365nm(i線)等の輝線に対して効率よくラジカルを発生させることから、感光性組成物に用いられる光重合開始剤として有用なものである。
【0047】
本発明の組成物の(A)成分は、上記一般式(I)で表される化合物の中でも、R
1及びR
2がメチル基若しくはフェニル基であるもの、又は上記一般式(III)で表される化合物であるものが好ましい。この場合、溶媒に対する溶解性が高い組成物を得ることができ、重合硬化させた際の硬化物の断面形状が硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい形状である感光性組成物を得ることができる。
【0048】
本発明の組成物の(B)成分は、上記一般式(II)で表される化合物の中でも、R
1及びR
2がメチル基若しくはフェニル基であるもの、又は下記一般式(IV)で表される化合物であるものが好ましい。この場合、溶媒に対する溶解性が高い組成物を得ることができ、重合硬化させた際の硬化物の断面形状が硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい形状である感光性組成物を得ることができる。
【0049】
【化16】
(式中、R
1、R
2、Z
1、Z
2及びZ
aは一般式(II)中のR
1、R
2、Z
1Z
2及びZ
aと同義である。)
【0050】
本発明の組成物の中でも、(A)成分がR
1及びR
2がメチル基又はフェニル基であるもの又は上記一般式(III)で表される化合物であり、(B)成分がR
1及びR
2がメチル基又はフェニル基であるもの又は上記一般式(IV)で表される化合物である組成物は、溶媒に対する溶解性が特に高い組成物を得ることができ、重合硬化させた際の硬化物の断面形状が硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい形状である感光性組成物が得ることができることから特に好ましい。
【0051】
本発明の組成物におけるA成分とB成分の配合比率は、特に限定されるものではないが、質量比で、A成分:B成分=0.001:99.999〜95:5の範囲である場合は溶媒に対する溶解性が高いことから好ましく、A成分:B成分=0.01:99.99〜90:10の範囲である場合は溶媒に対する溶解性が特に高いことから特に好ましい。
【0052】
上記一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物No.71〜No.140が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0058】
上記一般式(II)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2000−80068号報に記載の方法で製造できる。方法の一つとしては、以下の方法により製造する方法が挙げられる。 即ち、ケトン体1と亜硝酸エステルを塩酸存在下で反応させることにより、オキシム化合物2を得る。続いて、該オキシム化合物2に、酸無水物3又は酸クロリド3’を反応させることにより、上記一般式(II)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。
【0059】
以上説明した本発明の組成物は、光重合開始剤として特に有用である。
【0060】
本発明の光重合開始剤は、本発明の化合物又は本発明の組成物を含有するものであり、特にエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の光重合開始剤として有用なものである。なかでも、本発明の組成物を含有するものは溶解性が高く、感度も高いことから特に好ましい。本発明の光重合開始剤中における本発明の化合物又は本発明の組成物の含有量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。
【0061】
本発明の感光性組成物は、必須成分として、本発明の光重合開始剤及びエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含有し、任意成分として、エチレン性不飽和基を有する場合があるアルカリ現像性を有する化合物、無機化合物、色材、溶媒等の成分を組み合わせて含有するものである。
【0062】
上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、特に限定されず、従来、感光性組成物に用いられているものを用いることができるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の不飽和脂肪族炭化水素;(メタ)アクリル酸、α―クロルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、ハイミック酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、桂皮酸、ソルビン酸、メサコン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・マレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート或いは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等の不飽和多塩基酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、下記化合物No.A1〜No.A4、(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルエチル]イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム等の不飽和多塩基酸の金属塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の不飽和多塩基酸の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和一塩基酸及び多価アミンのアミド;アクロレイン等の不飽和アルデヒド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シアン化アリル等の不飽和ニトリル;スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル等の不飽和芳香族化合物;メチルビニルケトン等の不飽和ケトン;ビニルアミン、アリルアミン、N−ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の不飽和アミン化合物;アリルアルコール、クロチルアルコール等のビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニルエーテル;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;インデン、1−メチルインデン等のインデン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマー及びポリイソシアネート化合物のビニルウレタン化合物、水酸基含有ビニルモノマー及びポリエポキシ化合物のビニルエポキシ化合物が挙げられる。
これらの中でも、両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート、1個のカルボキシ基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート、不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステルに、本発明のオキシムエステル化合物を含有する光重合開始剤は好適である。
これらの重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、また2種以上を混合して使用する場合には、それらを予め共重合して共重合体として使用してもよい。
【0067】
上記エチレン性不飽和基を有する場合があるアルカリ現像性を有する化合物としては、アルカリ水溶液に可溶であれば特に限定されないが、例えば、特開2004−264414号公報に記載の樹脂等が挙げられる。
【0068】
また、上記エチレン性不飽和基を有する場合があるアルカリ現像性を有する化合物としては、アクリル酸エステルの共重合体や、フェノール及び/又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂、多官能エポキシ基を有するポリフェニルメタン型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、下記一般式(IV)で表されるエポキシ化合物等のエポキシ化合物に、不飽和一塩基酸を作用させ、更に多塩基酸無水物を作用させて得られた樹脂を用いることができる。
これらの中でも、下記一般式(IV)で表されるエポキシ化合物等のエポキシ化合物に、不飽和一塩基酸を作用させ、更に多塩基酸無水物を作用させて得られた樹脂が好ましい。
また、上記エチレン性不飽和結合を有していてもよいアルカリ現像性を有する化合物は、不飽和基を0.2〜1.0当量含有していることが好ましい。
【0069】
【化26】
(式中、X
1は直接結合、メチレン基、炭素原子数1〜4のアルキリデン基、炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基、O、S、SO
2、SS、SO、CO、OCO又は下記〔化27〕、〔化28〕若しくは〔化29〕で表される置換基を表し、上記アルキリデン基はハロゲン原子で置換されていてもよく、R
51、R
52、R
53及びR
54は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、mは0〜10の整数であり、mが0で無いときに存在する光学異性体は、どの異性体でもよい。)
【0070】
【化27】
(式中、Z
3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10
のアルコキシ基により置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基により置換されていてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、Y
1は炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原
子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、上記アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、dは0〜5の整数である。)
【0072】
【化29】
(式中、Y
2及びZ
4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよく、Z
4は、隣接するZ
4同士で環を形成していてもよく、pは0〜4の整数を表し、qは0〜8の整数を表し、rは0〜4の整数を表し、sは0〜4の整数を表し、rとsの数の合計は2〜4の整数である。)
【0073】
上記エポキシ化合物に作用させる上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等が挙げられる。
【0074】
また、上記不飽和一塩基酸を作用させた後に作用させる上記多塩基酸無水物としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、ビフタル酸無水物、無水マレイン酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2’−3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。
【0075】
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応モル比は、以下の通りとすることが好ましい。
即ち、上記エポキシ化合物のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸のカルボキシル基が0.1〜1.0個で付加させた構造を有するエポキシ付加物において、該エポキシ付加物の水酸基1個に対し、上記多塩基酸無水物の酸無水物構造が0.1〜1.0個となる比率となるようにするのが好ましい。
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応は、常法に従って行なうことができる。
【0076】
本発明の感光性組成物の実施態様の一つである、本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物は、必須成分として、本発明の光重合開始剤と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、エチレン性不飽和基を有する場合があるアルカリ現像性を有する化合物とを含有し、任意成分として、無機化合物、色材、溶媒等の成分を組み合わせて含有するものである。尚、本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物のうち、色材を含有するものを、特に、本発明の着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物ともいう。
上記のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、上記のエチレン性不飽和基を有する場合があるアルカリ現像性を有する化合物とは同一の化合物であってもよく、異なっていても良く、また、単独であっても2種以上を併用してもよい。
【0077】
酸価調整して本発明の(着色)アルカリ現像性感光性樹脂組成物の現像性を改良するため、上記エチレン性不飽和結合を有していてもよいアルカリ現像性を有する化合物と共に、更に単官能又は多官能エポキシ化合物を用いることができる。上記エチレン性不飽和結合を有していてもよいアルカリ現像性を有する化合物は、固形分の酸価が5〜120mgKOH/gの範囲であることが好ましく、単官能又は多官能エポキシ化合物の使用量は、上記酸価を満たすように選択するのが好ましい。
【0078】
上記単官能エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、下記化合物No.E1、No.E2等が挙げられる。
【0081】
上記多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物及びグリシジルエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を用いると、特性の一層良好な(着色)アルカリ現像性感光性樹脂組成物を得ることができるので好ましい。
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、上記一般式(IV)で表されるエポキシ化合物を用いることができる他、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物も用いることができる。
また上記グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタン等を用いることができる。
その他、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物;トリフェニルメタン型エポキシ化合物;ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等を用いることもできる。
【0082】
本発明の感光性組成物において、本発明の光重合開始剤の含有量は特に限定されるものではないが、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは1〜70質量部、より好ましくは1〜50質量部、最も好ましくは5〜30質量部である。
【0083】
特に、本発明の感光性組成物を(着色)アルカリ現像性感光性樹脂組成物とする場合、上記エチレン性不飽和結合を有してもよいアルカリ現像性を有する化合物の含有量は、本発明の(着色)アルカリ現像型感光性樹脂組成物中、1〜20質量%、特に3〜12質量%が好ましい。
【0084】
本発明の感光性組成物には、更に溶媒を加えることができる。該溶媒としては、通常、必要に応じて上記の各成分(本発明の光重合開始剤及びエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物等)を溶解又は分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルエーテルアセテート、エトキシエチルエーテルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
これらの中でも、ケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、シクロヘキサノン等が、感光性組成物において、レジストと光重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0085】
また、本発明の感光性組成物(特にアルカリ現像性感光性樹脂組成物)に、更に色材を含有させて着色アルカリ現像性感光性組成物としてもよい。該色材としては、顔料、染料、天然色素等が挙げられる。これらの色材は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0086】
上記顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法又はサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整又は被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO及びCO
2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m
2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の有機又は無機顔料を用いることができる。これらの顔料は単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
【0087】
上記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0088】
上記染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0089】
本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物において、上記色材の含有量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは50〜350質量部、より好ましくは100〜250質量部である。
【0090】
本発明の感光性組成物には、更に無機化合物を含有させることができる。該無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末(特にガラスフリット)、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられる。
これらの中でも、ガラスフリット、酸化チタン、シリカ、層状粘土鉱物、銀等が好ましい。本発明の感光性組成物において、上記無機化合物の含有量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜1000質量部、より好ましくは10〜800質量部である。尚、これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0091】
これら無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電剤、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、撥インク剤等として用いられる。
【0092】
本発明の感光性組成物には、色材及び/又は無機化合物を分散させる分散剤を加えることができる。該分散剤としては、色材又は無機化合物を分散、安定化できるものであれば制限されず、市販の分散剤、例えば、ビックケミー社製のBYKシリーズ等を用いることができる。特に、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、又はポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン、及び/又はその四級塩であり、アミン価が1〜100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0093】
本発明の感光性組成物では、本発明の光重合開始剤と共に他の光重合開始剤を併用することができる。併用できる他の光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、N−1414、N−1717、N−1919、PZ−408(ADEKA社製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF社製)、過酸化ベンゾイル、下記一般式(V)〜(VII)で表される化合物等が挙げられ、これらの他の光重合開始剤を使用する場合、その使用量は、好ましくは本発明のオキシムエステル化合物の使用量の1質量倍以下とする。尚、これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0094】
【化32】
(式中、R
1及びR
2は、上記一般式(I)中のR
1及びR
2と同じであり、R
33は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R
33で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、Y
3は、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、nは0〜5の整数である。)
【0095】
【化33】
(式中、R
1及びR
2は、上記一般式(I)中のR
1及びR
2と同じであり、R
33は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R
33で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、Y
3及びnは上記一般式(V)と同じであり、R’
1及びR’
2は、R
1と同じであり、R’
33はR
33と同じであり、Y’
3はY
3と同じであり、R
8はジオール残基又はジチオール残基を表し、Z
5は酸素原子又は硫黄原子を表す。)
【0096】
【化34】
(式中、R
1及びR
2は、上記一般式(I)中のR
1及びR
2と同じであり、R
33は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R
33で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、Y
3及びnは、上記一般式(V)と同じであり、Z
6は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Aは複素環基を表し、tは0〜5の整数であり、uは0又は1である。)
【0097】
また、本発明の感光性組成物には、必要に応じて、p−アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;レベリング剤;表面調整剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;分散助剤;凝集防止剤;触媒;効果促進剤;架橋剤;増粘剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0098】
本発明の感光性組成物において、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物及び本発明のオキシムエステル化合物以外の任意成分(但し、上記の他の光重合開始剤、エチレン性不飽和基を有する場合があるアルカリ現像性を有する化合物、無機化合物(充填剤)、色材及び溶媒は除く)の使用量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0099】
また、本発明の感光性組成物には、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と共に、他の有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ウレタン樹脂、ポリカーボネートポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ樹脂が好ましい。
他の有機重合体を使用する場合、その使用量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは10〜500質量部である。
【0100】
本発明の感光性組成物には、更に、連鎖移動剤、増感剤、界面活性剤、シランカプリング剤、メラミン等を併用することができる。
【0101】
上記連鎖移動剤又は増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、下記化合物No.C1、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工社製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0103】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤;高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤;両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0104】
上記シランカップリング剤としては、例えば信越化学社製シランカップリング剤を用いることができ、その中でも、KBE−9007、KBM−502、KBE−403等の、イソシアネート基、メタクリロイル基又はエポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
【0105】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH
2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物等を挙げることができる。
ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。
具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。
これらの中でも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0106】
本発明の硬化物を形成する方法は、基体を準備する工程、本発明の感光性組成物、アルカリ現像性感光性樹脂組成物、又は着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物を基体に塗布する工程及びエネルギー線を照射する工程を含む方法である。
【0107】
上記基体の材質としては、例えばシリコン;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン等のセラミックス;ソーダガラス、石英ガラス等のガラス;金属ルテニウム等の金属;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等;が挙げられる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合は、硬化物と基体との密着性が良好なことから好ましい。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられ、基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。本発明の硬化物を形成する方法に用いられる基体の形状は板状が好ましく、その表面は平面であることが好ましい。
【0108】
上記塗布する工程に用いられる塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えばスピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段を用いることができる。また、本発明の硬化物を形成する方法を用いて第1の基体に硬化物を形成した後に、第2の基体に転写することもできる。
【0109】
上記エネルギー線を照射する工程に用いられるエネルギー線の光源としては、特に限定されるものではないが、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用することができる。好ましくは、波長300〜450nmの光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯等が挙げられる。
【0110】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー及びYAGレーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。また、ハーフトーンマスクを使用して用いることもできる。
【0111】
本発明の感光性組成物は、光硬化性塗料又はワニス;光硬化性接着剤;プリント基板;カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示素子におけるカラーフィルター;CCDイメージセンサのカラーフィルター;プラズマ表示パネル用の電極材料;粉末コーティング;印刷インク;印刷版;接着剤;歯科用組成物;ゲルコート;電子工学用のフォトレジスト;電気メッキレジスト;エッチングレジスト;ドライフィルム;はんだレジスト;種々の表示用途用のカラーフィルターを製造するための或いはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト;電気及び電子部品を封入するための組成物;ソルダーレジスト;磁気記録材料;微小機械部品;導波路;光スイッチ;めっき用マスク;エッチングマスク;カラー試験系;ガラス繊維ケーブルコーティング;スクリーン印刷用ステンシル;ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料;ホログラフィ記録用材料;画像記録材料;微細電子回路;脱色材料;画像記録材料のための脱色材料;マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料;印刷配線板用フォトレジスト材料;UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料;プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料又は保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0112】
本発明の感光性組成物は、液晶表示パネル用のスペーサーを形成する目的及び垂直配向型液晶表示素子用突起を形成する目的で使用することもできる。特に垂直配向型液晶表示素子用の突起とスペーサーを同時に形成するための感光性組成物として有用である。
【0113】
上記の液晶表示パネル用スペーサーは、(1)本発明の感光性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して放射線を照射する工程、(3)露光後のベーク工程、(4)露光後の該被膜を現像する工程、(5)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。
【0114】
撥インク剤を添加した本発明の(着色)感光性組成物は、インクジェット方式用隔壁形成樹脂組成物として有用であり、該組成物はカラーフィルター用として用いられ、特にプロファイル角が50°以上であるインクジェット方式カラーフィルター用隔壁に好ましく用いられる。該撥インク剤としては、フッ素系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる組成物が好適に用いられる。
【0115】
本発明の感光性組成物から形成された隔壁が被転写体上を区画し、区画された被転写体上の凹部にインクジェット法により液滴を付与して画像領域を形成する方法により光学素子が製造される。この際、上記液滴が着色剤を含有し、上記画像領域が着色されているのが好ましく、基板上に複数の着色領域からなる画素群と上記画素群の各着色領域を離隔する隔壁を少なくとも有し、上記の光学素子の製造方法により作製された光学素子が好ましく用いられる。
【0116】
本発明の感光性組成物は、保護膜又は絶縁膜用組成物としても用いられ、紫外線吸収剤、アルキル化変性メラミン及び/又はアクリル変性メラミン、分子中にアルコール性水酸基を含有する1又は2官能の(メタ)アクリレートモノマー及び/又はシリカゾルを含有することができる。
【0117】
上記保護膜、絶縁膜用の感光性組成物としては、
(A)ジオ−ル化合物と多価カルボン酸類とを反応させて得られ、重量平均分子量が2,000〜40,000、酸価が50〜200mgKOH/gであるカルボキシル基含有樹脂、
(B)光重合可能なエチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも1つ以上含む不飽和化合物、
(C)エポキシ化合物、及び
(D)本発明の光重合開始剤、
を主成分とする樹脂組成物である。
上記保護膜、絶縁膜用の感光性組成物においては、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、(C)成分が10〜40重量部、(D)成分が0.01〜2.0重量部含有され、且つ、(D)成分の光重合開始剤として上記一般式(I)で表される化合物を含有するものが好ましい。
【0118】
上記絶縁膜は、剥離可能な支持基材上に絶縁樹脂層が設けられた積層体における該絶縁樹脂層に用いられ、該積層体は、アルカリ水溶液による現像が可能なものであり、絶縁樹脂層の膜厚が10〜100μmであることが好ましい。
【0119】
本発明の感光性組成物は、無機材料(無機化合物)を含有させることで、感光性ペースト組成物として用いることができる。該感光性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン及びブラックマトリックスパターン等の焼成物パターンを形成するために用いられる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0121】
〔実施例1〕化合物No.35の製造
【0122】
化合物No.107(3.74g、10.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶解させた溶液に室温で4−ジメチルアミノピリジン(0.61g、5.0mmol)及びカルボニルイミダゾール(0.81g、5.0mmol)を加え、室温のまま14時間撹拌した。撹拌後に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、トルエンで抽出し、さらに減圧することで溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(体積比 酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3) の流分より化合物No.35を得た。
(分析値)
(1)
1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:H数:多重度:分裂間隔)
(7.93,4H,d,8.5Hz)(7.46,4H,d,8.5Hz)(7.07,4H,d,8.5Hz)(6.96,4H,d,8.5Hz)(4.56,4H,t,4.6Hz)(4.26,4H,t,4.6Hz)(2.26,6H,s)(2.25,6H,s)
(2)IR(neat)・: 2959,2934,2892,1778,1750,
1662,1585,1493,1455,1404,1367,1268,1231,1175,1081,1037,995,940,882,831 cm
-1
(3)ESI−MS m/z: 790.2(M+NH
4+)
(4)TG/TDA: 220℃(分解開始温度)
(5)UV(PGMEA):λmax=328nm(ε=3.18x10
4)
(6)Solubility(PGMEA): >30wt%
【0123】
〔実施例2〕化合物No.19の製造
化合物No.91(4.15g、10.0mmol)をテトラヒドロフラン25mlに溶解させた溶液に室温で4−ジメチルアミノピリジン(0.61g、5.0mmol)及びカルボニルイミダゾール(0.81g、5.0mmol)を加え、室温のまま16時間撹拌した。撹拌後に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、トルエンで抽出し、さらに減圧することで溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(体積比 酢酸エチル:n−ヘキサン=2:3) の流分より化合物No.19を得た。
(分析値)
ESI−MS m/z: 874.2(M+NH
4+)
【0124】
〔実施例3〕化合物No.47の製造
化合物No.117(4.35g、10.0mmol)をテトラヒドロフラン25mlに溶解させた溶液に室温で4−ジメチルアミノピリジン(0.61g、5.0mmol)及びカルボニルイミダゾール(0.81g、5.0mmol)を加え、室温のまま16時間撹拌した。撹拌後に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、トルエンで抽出し、さらに減圧することで溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(体積比 酢酸エチル:n−ヘキサン=2:3) の流分より化合物No.47を得た。
(分析値)
ESI−MS m/z: 914.2(M+NH
4+)
【0125】
〔実施例4〕組成物の製造
表1に示す配合で組成物を配合し、実施例組成物No.1〜10とした。
【0126】
【表1】
【0127】
〔製造例1〕
表2に示す配合で組成物を配合し、比較組成物1及び2とした。
【0128】
【表2】
【0129】
〔評価例1〕溶解性試験
実施例組成物No.1〜10並びに比較組成物1及び2について、プロピレングリコールモノメチルエーテル アセテートへの溶解性を評価した。
組成物の20質量%超溶解した場合を++、20〜17質量%溶解した場合を+、17質量%未満しか溶解しなかった場合を−とした。結果を表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
表1の結果より、評価例1−1〜1−10は比較例1及び2よりも高い溶解性を示すことがわかった。なかでも、評価例1−3、1−6、1−9及び1−10は特に高い溶解性を示すことがわかった。
【0132】
〔実施例5〕アルカリ現像性感光性樹脂組成物の製造
SPC−1000(アクリル樹脂;昭和電工社製)55g、アロニックスM−450(多官能アクリレート;東亜合成社製)13g、KBE−403(シランカップリング剤;信越シリコーン社製)0.57g、FZ−2122(界面活性剤;日本ユニカー社製)のシクロヘキサノン1%溶液3.2g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート28gを混合し、混合液から15g量り取り、ここへ実施例組成物No.1〜10 0.20gを各々添加して撹拌することでアルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜10を得た。
【0133】
〔製造例2〕比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物の製造
SPC−1000(アクリル樹脂;昭和電工社製)55g、アロニックスM−450(多官能アクリレート;東亜合成社製)13g、KBE−403(シランカップリング剤;信越シリコーン社製)0.57g、FZ−2122(界面活性剤;日本ユニカー社製)のシクロヘキサノン1%溶液3.2g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート28gを混合し、混合液から15g量り取り、ここへ比較例組成物1又は2 0.20gを各々添加して撹拌することで比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物1及び2を得た。
【0134】
〔実施例6〕実施例硬化物の製造
アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜10を各々ガラス基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて、90℃で90秒間プリベークを行い、光源として高圧水銀ランプを用いてマスクを介して露光した。現像液として2.5質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像後、よく水洗し、オーブンを用いて、230℃で30分ポストベークを行い、パターンを定着させることで、実施例硬化物No.1〜10を得た。
【0135】
〔製造例3〕比較硬化物の製造
比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物1及び2を各々ガラス基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて、90℃で90秒間プリベークを行い、光源として高圧水銀ランプを用いてマスクを介して露光した。現像液として2.5質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い現像後、よく水洗し、オーブンを用いて、230℃で30分ポストベークを行い、パターンを定着させることで、比較硬化物1及び2を得た。
【0136】
〔評価例2〕放射線感度評価
硬化物No.1〜10並びに比較硬化物1及び2の断面形状をSEMで観察した。
硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい断面形状となっている場合を+、硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が同じもしくは小さい断面形状となっている場合を−とした。結果を表4に示す。
【0137】
【表4】
【0138】
表4の結果より、評価例2−1〜2−10は全てが硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい断面形状となっていることがわかった。一方、比較例3及び比較例4は、硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が同じもしくは小さい断面形状となってしまっていることがわかった。硬化物上部の幅よりも硬化物下部の幅が大きい断面形状となっている場合、硬化物の崩れやハガレが発生しにくいことが知られていることから、本発明は所望の形状の硬化物を形成することに適した組成物であることがわかった。