(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板等の被成膜物に形成される配線の膜厚の増加にともなって、基板の裏面に付着するAl膜も厚くなる。このため、裏面に付着した膜の除去が必要であり、工程が増加してしまうという問題が発生しており、この基板の裏面に付着するAl膜の付着量の低減を行いたいという要求が発生している。
また、Alに限らず、Cu、Ti、Ta、Wなどの他の成膜においても、基板の裏面への膜の付着量を低減したいという要求があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.スパッタ等の成膜において、被成膜物の裏面への着膜を防止すること。
2.被成膜物に厚膜を成膜する際に、被成膜物の裏面への着膜を防止すること。
3.異なる成膜粒子の場合においても、被成膜物の裏面への着膜を同じように防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様に係る成膜装置は、ターゲットを収容するチャンバと、前記ターゲットの一面に所定の間隔を空けて対面して配され、被成膜物が載置されるステージと、前記ターゲットに対向する対向面と、前記対向面に形成された溝とを有し、前記ステージの周縁を囲むプラテンリングとを備える。前記ステージ上に載置される前記被成膜物の周縁は、前記ステージの周縁の外側に位置するように前記ステージの前記周縁からはみ出し、前記被成膜物の周縁に対応する位置に、前記溝が配置されており、前記ターゲットから前記被成膜物までの第1距離よりも、前記ターゲットから前記溝までの第2距離が大きくなるように、前記溝は、前記プラテンリングに周設されており、前記溝は、前記ターゲットから放出された成膜粒子が前記被成膜物の裏面に堆積することを防止する裏面着膜防止曲面を有し、
前記溝は、前記ステージから離間する外側内壁と、前記ステージに近い内側内壁とを有し、
前記外側内壁は、以下の関係式を満たす前記裏面着膜防止曲面である。
D−(L−a)tanθ ≦ Ra ≦ L
a ≦ L ≦ D / tanθ
5a ≦ D
ここで、前記D、前記a、前記L、前記θ、及び前記Raは、以下のとおり定義される。
前記D:基板(前記被成膜物)の裏面から底部の位置までの内側内壁の高さ。
前記a:基板(前記被成膜物)がステージの外側に向けてはみ出した長さ。
前記L:ステージの外側に向いた方向において、基板(前記被成膜物)の裏面がステージからはみ出した境界(ステージの外周縁部)の位置から裏面着膜防止曲面である外側内壁の上端までの距離(底部幅寸法)。
前記θ:成膜粒子におけるスパッタリング放出角。
前記Ra:円弧状をなす外側内壁の曲率半径。
【0009】
本発明の第1態様に係る成膜装置においては、前記裏面着膜防止曲面が、前記ステージの法線方向に沿う断面において曲率半径を有する曲面を有してもよい。
【0012】
本発明の第1態様に係る成膜装置においては、前記裏面着膜防止曲面が、前記ステージの法線方向に沿う断面において、円弧状として形成されてもよい。
【0014】
本発明の第1態様に係る成膜装置においては
、前記ステージの外側に向く方向において前記被成膜物の裏面が前記ステージからはみ出す境界の位置から、前記ステージの側面の法線方向となる水平よりも下側に向けて、前記水平に対してスパッタリング放出最大角θで延びる直線を引いた場合、前記直線が前記外側内壁に交わる到達点の位置よりも、前記外側内壁の上端の位置が、上側に位置してもよい。
【0015】
本発明の第1態様に係る成膜装置においては
、前記ステージの側面の法線方向となる鉛直断面において、前記裏面着膜防止曲面の曲率中心と、前記ステージの外側に向く方向において前記被成膜物の裏面が前記ステージからはみ出す境界の位置とを結ぶ直線を引いた場合、前記直線が水平に対して下側になす角が、スパッタリング放出最大角θより大きく設定されてもよい。
【0016】
本発明の第1態様に係る成膜装置においては、前記ステージの形状は、前記ターゲットから見て、円形または矩形であってもよい。
【0017】
本発明の第2態様に係るプラテンリングは、上述した第1態様に係る成膜装置に用いられる。
【0018】
本発明の第1態様に係る成膜装置は、裏面着膜防止曲面を備えるので、プラテンリングから再蒸発または再スパッタ(リスパッタ)された成膜粒子が被成膜物の裏面に飛来して到達にくくなるため、被成膜物裏面に堆積しない。即ち、被成膜物裏面には、ターゲットからの成膜粒子が飛来せず、被成膜物の裏面に着膜することがない。
また、裏面着膜防止曲面が粒子入射方向に対して傾斜した曲面を有するので、プラテンリングの裏面着膜防止曲面でリスパッタされた成膜粒子が被成膜物の裏面に向かって飛来しない。即ち、プラテンリングの溝内部から再スパッタされ、あるいは再蒸発した粒子は、被成膜物の裏面の方向に進行しない。例えば、溝の内部の他の部分に向かう方向や、溝から見てチャンバの内壁に向かう方向に放出される。従って、成膜粒子(スパッタ粒子)が被成膜物の裏面に再堆積することがない。これにより、裏面に付着した膜を除去する工程を行う必要がなくなる。
【0019】
また、裏面着膜防止曲面が、ステージの法線方向に沿う断面において曲率半径を有する曲面を有するので、ステージの側面の法線方向に沿う鉛直断面内において、例えば、粒子が溝の内部の他の部分に向かう方向や溝から見てチャンバの内壁に向かう方向に放出されるものの、被成膜物の裏面の方向には進行しない。従って、成膜粒子(スパッタ粒子)が被成膜物の裏面に再堆積することがない。これにより、裏面に付着した膜を除去する工程を行う必要がなくなる。
【0020】
また、裏面着膜防止曲面が、溝において、ステージから離間する外側内壁に設けられることにより、溝の外側内壁に入射した成膜粒子が裏面着膜防止曲面でリスパッタされた際に、成膜粒子が被成膜物の裏面に向かって飛来しないようにすることができる。
【0021】
また、裏面着膜防止曲面が、溝において、ステージに近い内側内壁に設けられることにより、溝の内側内壁に入射した成膜粒子が裏面着膜防止曲面でリスパッタされた際に、成膜粒子が被成膜物の裏面に向かって飛来しないようにすることができる。
【0022】
また、裏面着膜防止曲面が、ステージの法線方向に沿う鉛直断面において、円弧状として形成される。これにより、ステージの法線方向に沿う鉛直断面内において、円弧状の曲率中心となる点を通過して溝に入射する成膜粒子の角度以外の角度で溝に入射する成膜粒子は、入射位置から裏面着膜防止曲面の曲率中心へ延ばした直線に対称な出射角でリスパッタされる。曲率中心となる点を通過して入射する成膜粒子は入射方向に沿って溝から出射される。このため、円弧状の裏面着膜防止曲面で成膜粒子がリスパッタされた際に、被成膜物の裏面に向かって成膜粒子が飛来しないようにすることができる。
【0023】
また、裏面着膜防止曲面が、ステージの法線方向に沿う鉛直断面において、楕円形状として形成される。これにより、ステージの法線方向に沿う鉛直断面内において、楕円形状の曲率中心となる点を通過して溝に入射する成膜粒子の角度以外の角度で溝に入射する成膜粒子は、入射位置から裏面着膜防止曲面の曲率中心へ延ばした直線に対称な出射角でリスパッタされる。曲率中心となる点を通過して入射する成膜粒子は入射方向に沿って溝から出射される。このため、楕円形状の裏面着膜防止曲面で成膜粒子がリスパッタされた際に、被成膜物の裏面に向かって成膜粒子が飛来しないようにすることができる。
【0024】
また、溝において、裏面着膜防止曲面は、ステージから離間する外側内壁であり、ステージの外側に向く方向において被成膜物の裏面がステージからはみ出す境界の位置から、ステージの側面の法線方向となる水平よりも下側に向けて、水平に対してスパッタリング放出最大角θで延びる直線を引いた場合、直線が外側内壁に交わる到達点の位置よりも、外側内壁の上端の位置が、上側に位置する。これにより、プラテンリングの裏面着膜防止曲面(裏面着膜防止壁部)でリスパッタされた成膜粒子が被成膜物の裏面に向かって飛来しないようにすることができる。
【0025】
また、溝において、裏面着膜防止曲面は、ステージから離間する外側内壁であり、ステージの側面の法線方向となる鉛直断面において、裏面着膜防止曲面の曲率中心と、ステージの外側に向く方向において被成膜物の裏面がステージからはみ出す境界の位置とを結ぶ直線を引いた場合、直線が水平に対して下側になす角が、スパッタリング放出最大角θより大きく設定されている。これにより、プラテンリングの裏面着膜防止曲面(裏面着膜防止壁部)でリスパッタされた成膜粒子が被成膜物の裏面に向かって飛来しないようにすることができる。
【0026】
また、ステージの形状は、ターゲットから見て、円形または矩形であるので、円形または矩形のウェーハなどを被成膜物として用いることができる。
【0027】
本発明の第2態様に係るプラテンリングにおいては、上記のいずれかに記載の成膜装置に用いられる。このため、指向性を有する粒子(成膜粒子)を飛散させる成膜装置であるスパッタ装置、蒸着装置、プラズマCVD装置、触媒化学気相堆積法によるCat CVD装置といった成膜装置においても、第2態様に係るプラテンリングを適用することができる。これにより、プラテンリングの裏面着膜防止曲面(裏面着膜防止壁部)でリスパッタされた成膜粒子が被成膜物の裏面に向かって飛来しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の態様によれば、スパッタ等の成膜において、被成膜物(基板等)の裏面への着膜を防止することができ、被成膜物に厚膜を成膜する場合において、被成膜物(基板等)の裏面への着膜を防止することができ、異なる成膜粒子を用いる場合においても、同じように裏面着膜を防止することができるという効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第1実施形態に係る成膜装置及びプラテンリングを、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る成膜装置を示す模式断面図であり、
図1において、符号10は、成膜装置である。
本実施形態に係る成膜装置10は、一例として、スパッタリング装置であり、
図1に示すように、チャンバ(真空槽)11を備えている。このチャンバ11の内部空間にあって、鉛直方向の上方には、ターゲット12が配置されている。また、チャンバ11の内部空間にあって、下方には、例えば、チャンバ11と絶縁した状態でステージ13が形成されている。
【0031】
こうしたステージ13の上側面は平面であり、ステージ13は、被成膜物、例えば、シリコンウェーハなどの円形の基板や、FPD(フラットパネルディスプレイ)などの矩形の基板(被成膜物)18を支持する。ステージ13の平面形状(ターゲット12から見たステージ13の形状)は円形または矩形である。なお、ステージ13の内部には、例えば、吸着機能を有する電極が配置されている。チャンバ11の内部の気体を排気して真空状態とし、ステージ13上に基板18を載置し、かつ、吸着電極に電圧を印加した場合において、ステージ13は、基板(被成膜物)18がステージ13の表面に静電吸着される構造を有していればよい。また、ステージ13では、後述するように、基板18の縁部がステージ13の端部からはみ出すように基板18が載置される。つまり、ステージ13の上面縁部のサイズよりも大きなサイズを有する基板18がステージ13上に配置された場合、基板18の周縁で、基板18の裏面18a(下面)がステージ13の上面を接しない部分を有するように、基板18がステージ13上に載置される。
【0032】
ターゲット12にはスパッタリング電源21が接続されている。ターゲット12に対して大気側の領域には回転盤が設置されている。回転盤には永久磁石が固定されおり、ターゲットに対して真空側の領域に磁場を与えている。
チャンバ11は接地されており、チャンバ11の電位は接地電位(GND)となっている。ここで、チャンバ11内部の気体を排気して真空状態とし、ステージ13上に基板18を静電吸着した後、チャンバ11内にスパッタリングガス(たとえば、混合ガス(アルゴンガス+窒素ガス))を導入し、スパッタリング電源21を起動してターゲット12に負電圧を印加することにより、ターゲット12の表面近傍にプラズマが発生する。このプラズマ中に生じた電離したイオンがターゲット12に入射すると、ターゲット12の表面からターゲット12を構成する物質がスパッタリング粒子Sとなってチャンバ11内に飛び出す。
【0033】
成膜装置10では、ターゲット12の周囲を囲うようにアースシールド15が設置されている。また、ターゲット12とステージ13との間に位置する空間を取り囲むように、上部防着板(上部シールド)16、および下部防着板(下部シールド)17が配されている。こうしたアースシールド15、上部防着板16、および下部防着板17はアノードを構成し、チャンバ11と同じように接地されており、アースシールド15、上部防着板16、および下部防着板17の電位は接地電位(GND)となっている。この結果、基板や防着板にはターゲット12を構成する材料、およびスパッタリングガス材料からなる薄膜が形成される。
【0034】
一方、ステージ13は、バイアス電源22によって高周波パワーが印加されるよう構成されている。基板18の電位は、セルフバイアスによって負電位となる。従って、プラズマ中の電子は、アノードに引きつけられ、ターゲット12から飛び出した正電荷を有するスパッタリング粒子や、電離したAr陽イオンは、基板18に引きつけられる。このため正電荷を有するスパッタリング粒子や電離したAr陽イオンは、基板18の表面に衝突して、基板に成膜された材料をエッチングする効果を発生させる。
【0035】
このような成膜装置10では、成膜の際、ターゲット12から放出されるスパッタリング粒子(成膜粒子)Sがチャンバ11内に拡散する。こうしたスパッタリング粒子のチャンバ11の内壁への付着、堆積を防止するために、上部防着板16、および下部防着板17が配されている。
【0036】
このうち、上部防着板16は、例えば、ステージ13とターゲット12との間で、チャンバ11の内周面(側壁)11aに沿う略鉛直方向において内径(鉛直方向に対する直角方向における直径)が増加する筒状に形成されている。即ち、上部防着板16の内径は、チャンバ11の内周面に沿って下部防着板17からアースシールド15に向く方向(上方向)に沿って増加し、上部防着板16の下端領域が屈曲していればよい。
【0037】
一方、下部防着板17は、ステージ13の周縁領域(エッジ部)を囲み、このステージ13からチャンバ11の内周面(側壁)11aに向かって広がるリング状に形成されている。
また、下部防着板17の底部には、下部防着板17の底面側と嵌合するようにプラテンリング19(底部防着板)が形成されている。
【0038】
図2は、本実施形態におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。
図2は、ステージ13の法線方向に沿ったプラテンリング19の断面を示している。具体的に、
図2は、ステージ13の周囲を囲むようにプラテンリング19はリング状に形成されており、プラテンリング19における周回方向に垂直な断面を示している。
図2に示すプラテンリング19の断面は、基板18が円形である場合においては径方向に沿った断面であり、基板18が矩形である場合においては四辺と垂直な方向に沿った断面である。換言すると、
図2は、ステージ13の側面の法線方向となる鉛直断面を示している。「側面の法線方向」とは、基板18が円形である場合には基板18の径方向であり、基板18が矩形である場合には基板の四辺と垂直な方向である。
プラテンリング19は、ターゲット12(
図1参照)に対向する上面19a(対向面)と、溝20とを有する。溝20は、上面19aに隣接する位置、かつ、ステージ13に近接する位置に設けられており、プラテンリング19の外周に近い位置に設けられている(周設されている)。
【0039】
溝20は、
図2に示すように、ターゲット12から見てステージ13の外側位置を囲むように形成されている。また、溝20は、ステージ13の周縁からはみ出すようにステージ13上に載置された基板18に部分的に重なる位置に形成されている。さらに、溝20の位置は、基板18の外側位置に対応している。
ターゲット12から見て、ステージ13の外側位置に対応する溝20内の位置、および、基板18の周縁位置に対応する溝20内の位置における溝20の深さは、異なっている。換言すると、ターゲット12から基板(被成膜物)18までの距離(第1距離)よりも、ターゲット12から溝20の内面までの距離(第2距離)は、大きい。このような深さを有するとともにプラテンリング19に設けられた溝20は、ステージ13の外周に近い位置に配置されている。
より具体的に、溝20の内部には、ステージ13から離間する外側内壁20aと、ステージ13に近い内側内壁20bとが形成されている。換言すると、外側内壁20aは、内側内壁20bよりもステージ13から離れた位置に配置されている。内側内壁20bは、外側内壁20aよりもステージ13に近い位置に配置されている。
外側内壁20aは、ターゲット12から放出されたスパッタ粒子(成膜粒子)が基板18の裏面18aに堆積することを防止する裏面着膜防止曲面として機能する。
【0040】
溝20において、
図2に示すように、内側内壁20bは、上端Ubを有する。内側内壁20bの上端Ubは、ステージ13の周縁からはみ出して載置された基板18の内側位置、つまり、ステージ13の上面外側端とほぼ一致している。内側内壁20bの上端Ubは、ステージ13からターゲット12に向かう方向に立設されている。言い換えると、内側内壁20bの上端Ubは、ステージ13と基板18の裏面18aとの境界線に沿って、ステージ13の法線方向に向かうように、ステージ13の外周を囲むように、立設されている。
なお、
図2に示すように、内側内壁20bの上端Ubを含む面には、傾斜面(テーパ面)が形成されている。
図2に示す断面図においては、内側内壁20bの上端Ubを含む傾斜面は、直線状の面を有する。即ち、ステージ13からターゲット12に向かう方向において溝20の幅寸法が徐々に増加するように、傾斜面が内側内壁20bの上端Ubに向けて延びるように形成されている。換言すると、ステージ13の外側側面に対向する外側部材(プラテンリング19の一部)の厚さが、ステージ13からターゲット12に向かう方向において、徐々に薄くなっている。
【0041】
溝20において、
図2に示すように、内側内壁20bの下端側は、ターゲット12から放出されたスパッタ粒子(成膜粒子)が基板18の裏面18aに堆積することを防止する裏面着膜防止曲面として機能する。
裏面着膜防止曲面である外側内壁20aと内側内壁20bとは、溝20の中心付近で互いに接続されて底部20cを形成している。
【0042】
外側内壁20aの上端Uaは、基板18の外側輪郭(先端T)よりもさらに外側に位置するように、円弧形状の上側部がステージ13からターゲット12に向かう方向に立設されている。言い換えると、外側内壁20aの上端Uaは、ステージ13と基板18の裏面18aとの境界線に沿った外側位置において、ステージ13の法線方向に立設されている。
【0043】
本実施形態において、裏面着膜防止壁部(裏面着膜防止曲面)である外側内壁20a、底部20c、内側内壁20bは、
図2に示すように、いずれも円弧状として形成される。外側内壁20aは、曲率半径Raを有する円弧状に形成されている。内側内壁20bは、曲率半径Rbを有する円弧状に形成されている。底部20cは、曲率半径Rcを有する円弧状に形成されている。これら曲率半径Ra、曲率半径Rb、曲率半径Rcは、同一となるように設定され、外側内壁20aと内側内壁20bと底部20cとは、同一の曲率中心20oを有する形状とされている。したがって、外側内壁20aと内側内壁20bと底部20cとは、滑らかに接続された同一の円弧状に形成されている。
【0044】
裏面着膜防止曲面である外側内壁20a、底部20c、内側内壁20bにおける寸法・形状が、それぞれ、
基板18の裏面18aから底部20cの位置までの内側内壁20bの高さD、
基板18がステージ13の外側に向けてはみ出した長さa、
ステージ13の外側に向いた方向において、基板18の裏面18aがステージからはみ出した境界Kステージ13の外周縁部)の位置から裏面着膜防止曲面である外側内壁20aの上端Uaまでの距離(底部幅寸法)L、
成膜粒子におけるスパッタリング放出角θ、としたときに、次の式として、
a ≦ L ≦ D/tanθ
D−(L−a)tanθ ≦ Ra
D < 5a
Rb > a
Ra + Rb > L
Rc < D
Ra = Rb = Rc
の関係を満たすように設定されている。これにより、成膜装置10の高さ方向の寸法が大きくなりすぎることを防止して、省スペース化を図ることができる。
【0045】
図5は、本実施形態におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。
図5に示すように、基板18の裏面18aがステージ13の外側に向けてはみ出した先端Tの位置から延び、かつ、水平に対してスパッタリング放出角θに等しい角度で延びる直線dP1は、外側内壁20aの円弧と交わっている(到達点P1)。ここで、外側内壁20aの上端Uaとなる上面19aは、直線dP1と外側内壁20aの円弧との到達点P1よりも上側に位置することができる。
また、基板18の裏面18aがステージ13からはみ出す境界Kの位置から延び、かつ、水平に対してスパッタリング放出角θに等しい角度で延びる直線dP2は、外側内壁20aの円弧と交わっている(到達点P2)。ここで、外側内壁20aの上端Uaとなる上面19aは、直線dP2と外側内壁20aの円弧との到達点P2よりも上側に位置することができる。
なお、溝20の断面形状を略半円とした際には、曲率半径Raが、溝20の深さ寸法と等しくなり、つまり、溝20の底部20cから上面19aまでの高さ寸法と等しくなる。
【0046】
さらに、これらの設定方法について説明する。
【0047】
成膜粒子におけるスパッタリング放出角θは、
図3に示すように、ターゲット12の材質によって異なっている。スパッタ収量の角度分布関数A(θ1)の一般式は、
A(θ1) = αsinθ1(1+βsin
2θ1)
で表される。
ここで、αは規格化定数、βはスパッタリングターゲット物質、スパッタガスにより変化する定数である。βが変化するとスパッタ収量最大となるスパッタリング放出角θは変化する。
図3に示す横軸はスパッタリングターゲットに対して水平方向、
図3に示す縦軸はスパッタリングターゲットに対して垂直方向である。
図3にプロットした点と原点とを結ぶ線分の長さがA(θ1)である。θ1は、横軸とA(θ1)の線分が成す角とで定義している。スパッタリング放出角θをスパッタ収量が最大になる角度として規定する。
なお、
図3に関する説明は非特許文献1に記載されている。
【0048】
スパッタリング放出角θは、ターゲット12の物質に依存して、放出角分布は色々で、θは連続的で広範囲な値になる。スパッタ粒子と、これに対するスパッタリング放出角θとの例として、Al(アルミニウム)およびTi(チタン)を次に示す。
垂直入射イオンに対するスパッタリング放出角θは、
図4に示すように、ある程度の分布を有しているが、本実施形態においては、スパッタ収量が最大になる角度をスパッタリング放出角θとして規定する。ここで、
図4に示す横軸はスパッタリングターゲットに対して水平方向、
図4に示す縦軸はスパッタリングターゲットに対して垂直方向である。
図4にプロットした点と原点とを結ぶ線分の長さがスパッタ収量を表している。
スパッタリング放出角θは、
図4に示すように、それぞれアルミニウムが60°程度、チタンで40°程度として設定することができる。
【0049】
本実施形態における具体例として、内側内壁20bの高さDを20mmとし、基板18はみ出し長さaを5mmとした場合、スパッタ粒子をアルミニウムとした場合、スパッタリング放出角θ=60°なので、底部幅寸法L、裏面着膜防止曲面20a高さとなる曲率半径Raは、上記の式により、
5[mm]≦ L ≦ 11.5[mm]
5[mm]−(L−5[mm])×1.73[mm]≦ Ra
として設定することができる。
【0050】
同様に、本実施形態における具体例として、内側内壁20bの高さDを20mmとし、基板18はみ出し長さaを5mmとした場合、スパッタ粒子をチタンとした場合、スパッタリング放出角θ=40°なので、底部幅寸法L、裏面着膜防止曲面20a高さとなる曲率半径Raは、上記の式により、
5[mm]≦ L ≦ 23.8[mm]
5[mm]−(L−5[mm])×0.83[mm]≦ Ra
として設定することができる。
【0051】
上記のように設定することによって、
図2に示す破線d1、d2で挟まれた斜めの領域内では、基板18の裏面18aに向けて飛翔するスパッタ粒子を削減する。なお、破線d1、d2は曲率中心20oを通る直線である。
図2において、ステージ13よりも上側に位置するターゲット12から鉛直下向きに飛翔してきたスパッタ粒子は、溝20に入射する。
【0052】
そして、破線d1で外側内壁20aに垂直に入射したスパッタ粒子は、入射点B1において曲率中心20oを通る直線に対して入射角と対称な角度方向に進行する。
このため、溝20内において、
図2に示す破線d1が通る点B1よりも右側に位置する点から飛ぶスパッタ粒子が内側内壁20bに向けて進むため、基板18の裏面18aにはスパッタ粒子は到達しない。
【0053】
同様に、破線d2で内側内壁20bに垂直に入射したスパッタ粒子は、入射点B2において曲率中心20oを通る直線に対して入射角と対称な角度方向に進行する。
このため、溝20内において、
図2に示す破線d2が通る点B2よりも左側に位置する点から飛ぶスパッタ粒子が外側内壁20aに向けて進むため、基板18の裏面18aにはスパッタ粒子は到達しない。
【0054】
次に、
図2に示す外側内壁20a上の点B3と外側内壁20a上の点B4とについて説明する。点B3は、ステージ13の周縁からはみ出して載置された基板18の内側位置から曲率中心20oを通るように延びる破線d3が外側内壁20aに達する点である。点B4は、ステージ13の周縁からはみ出して載置された基板18の外側位置から曲率中心20oを通るように延びる破線d4が外側内壁20aに達する点である。外側内壁20a上において、点B3と点B4との間の領域は、符号γで示されている。この領域γに入射したスパッタ粒子が基板18の裏面18aに向けて進む可能性があるが、この領域γに入射できるスパッタ粒子は極めて少ないため、基板18の裏面18aにはほとんど到達しない。
これらのように成膜粒子におけるスパッタリング放出角θよりも大きな角度θaで入射したスパッタ粒子であっても、基板18の裏面18aに向けて飛翔することを防止できる。
【0055】
また、裏面着膜防止曲面である外側内壁20aよりも上側となる上面19aの部分では、スパッタ粒子が角度θ方向に飛翔しても基板18の裏面18aには到達しない。
これにより、基板18の裏面18aにおけるリスパッタの発生を防止することができる。
【0056】
本実施形態においては、プラテンリング19に、ステージ13の周囲からはみ出した基板18に対応して、裏面着膜防止曲面である外側内壁20aを有する溝20を設けている。このため、スパッタ粒子の進路が基板18の裏面18aを向かないように設定して、基板18の裏面18aにおけるリスパッタの発生を防止することができる。さらに、裏面18aに対する着膜を除去する工程を設ける必要がない。
さらに、成膜粒子におけるスパッタリング放出角θよりも大きな角度で溝20に入射したスパッタ粒子であっても、基板18の裏面18aに向けて飛翔することを防止できる。
また、所定の溝20の幅寸法Lに対して、高さDが、Ltanθからはみ出し長さaの5倍程度までの範囲で多少深い溝20を設定することもできる。
【0057】
なお、基板18がステージ13の外側に向けてはみ出した長さaは、基板18の裏面18aが露出している領域のうち基板の中心に近い位置から基板18の裏面18aの先端Tまでの長さとして設定される。このため、長さaを定義する基板18とステージ13との間の境界Kの位置がステージ13の外縁であるか内側内壁20bの上端Ubであるかは限定されない。
【0058】
また、本発明の実施形態に係るプラテンリング19を用いることで、スパッタリング成膜時、蒸着時における裏面18aに対する着膜の防止を図ることもできる。この場合、スパッタリング成膜の例として、DCマグネトロンスパッタリング装置、RFマグネトロンスパッタリング装置あるいは、蒸着の例として、電子ビーム式蒸着装置、抵抗加熱式蒸着装置、バッチ式蒸着装置といった装置構成を採用することができる。
さらに、本発明の実施形態に係るプラテンリング19をフォトマスクの製造などに用いることができる。
【0059】
例えば、
図6に示すように、矩形断面を有する溝120を有するプラテンリングを用いる場合について説明する。この場合、破線d5で示した最大放出角よりも大きな角度で溝120に入射したスパッタ粒子においては、リスパッタ成分が基板18の裏面18aに着膜してしまう。ここで、溝120は、鉛直方向に平行な外側内壁120aおよび内側内壁120bと、水平方向に延びる底部120cとを有する。
また、
図6に示すように、矩形断面を有する溝120を有するプラテンリングを用いる場合、破線d6、d7で挟まれた斜めの領域内では、リスパッタ成分が基板18の裏面18aに着膜してしまうことを防止できない。
【0060】
これに対して、本実施形態においては、溝20内に裏面着膜防止曲面である外側内壁20a及び内側内壁20bが形成されていることにより、上記のようなスパッタ粒子が溝20内に入射する場合であっても、基板18の裏面18aに向けて飛翔することを防止して、リスパッタの発生を極めて低減することができる。また、曲率中心20oを通って入射する粒子以外の入射粒子が斜入射になるため、基板18の裏面18aへ向かう方向へのリスパッタをさらに低減することができる。
【0061】
以下、本発明の第2実施形態に係る成膜装置及びプラテンリングを、図面に基づいて説明する。
図7は、本実施形態に係る成膜装置におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。本実施形態は、内側内壁20Abおよび底部20Acに関する点で、上述した第1実施形態と異なる。本実施形態に係る成膜装置のその他の構造は、上述した第1実施形態と同じである。上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係る成膜装置10は、
図7に示すように、溝20Aにおいて、底部20Acおよび内側内壁20Abが平面状(断面直線状)に形成されている。ステージ13に近い位置に配置されている内側内壁20Abの上端Ubは、ステージ13の周縁からはみ出して載置された基板18の内側位置、つまり、ステージ13の上面外側端とほぼ一致するように、ステージ13からターゲット12に向かう方向に立設されている。言い換えると、内側内壁20Abは、ステージ13と基板18の裏面18aとの境界線に沿って、ステージ13の法線方向に向かうように、ステージ13の外周を囲むように、立設されている。
なお、
図7に示すように、内側内壁20Abの上端Ubを含む面には、傾斜面(テーパ面)が形成されている。
図7に示す断面図においては、内側内壁20Abの上端Ubを含む傾斜面は、直線状の面を有する。即ち、ステージ13からターゲット12に向かう方向において溝20Aの幅寸法が徐々に増加するように、傾斜面が内側内壁20Abの上端Ubに向けて延びるように形成されている。換言すると、ステージ13の外側側面に対向する外側部材(プラテンリング19一部)の厚さが、ステージ13からターゲット12に向かう方向において、徐々に薄くなっている。
【0063】
溝20Aにおいて、
図7に示すように、内側内壁20Abの下端は、ステージ13の主面と平行となる底部20Acに接続され、底部20Acの外側は、円弧状の外側内壁20aの下端に接続されている。内側内壁20Abは、基板18の外側輪郭(先端T)よりも内側に位置するように、ステージ13からターゲット12に向かう方向に立設されている。言い換えると、内側内壁20Abは、ステージ13と基板18の裏面18aとの境界線に沿った内側位置に、ステージ13の法線方向に立設されている。底部20Acと外側内壁20aとの接続位置は、基板18の外側輪郭(先端T)よりも外側に位置するように設定されている。底部20Acと外側内壁20aとの接続箇所には滑らかな曲面が形成されている。
【0064】
本実施形態においては、外側内壁20a、底部20Ac、内側内壁20Abにおける寸法・形状が、それぞれ、
D−(L−a)tanθ ≦ Ra ≦ L
a ≦ L ≦ D / tanθ
5a ≦ D
の関係を満たすように設定されている。
【0065】
本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においても、上記のように外側内壁20a、底部20Ac、内側内壁20Abにおける寸法・形状を設定することによって、
図7に示した破線d3、d4で挟まれた斜めの領域に対応する領域内では、基板18の裏面18aに向けて飛翔するスパッタ粒子を削減することができる。
さらに、本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においては、プラテンリング19の除膜メンテナンス周期を延長するという効果を奏することができる。
【0066】
以下、本発明の第3実施形態に係る成膜装置及びプラテンリングを、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態に係る成膜装置におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。本実施形態は、外側内壁20Bbおよび底部20Bcに関する点で、上述した第1または第2実施形態と異なる。本実施形態に係る成膜装置のその他の構造は、上述した第1または第2実施形態と同じである。上述した第1または第2実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
本実施形態に係る成膜装置10は、
図8に示すように、溝20Bにおいて、底部20Bcおよび外側内壁20Baが平面状(断面直線状)に形成されている。ステージ13から離間する位置に配置されている外側内壁20Baは、基板18の外側輪郭(先端T)よりもさらに外側に位置しており、ステージ13からターゲット12に向かう方向に立設されている。言い換えると、外側内壁20Baは、ステージ13と基板18の裏面18aとの境界線に沿った外側位置に、ステージ13の法線方向に立設されている。
【0068】
溝20Bにおいて、
図8に示すように、外側内壁20Baの下端は、ステージ13の主面と平行となる底部20Bcの外側に接続され、底部20Bcの内側は、円弧状の内側内壁20bの下端に接続されている。内側内壁20bは、内側内壁20bの上端Ubが基板18の外側輪郭(先端T)よりも内側に位置するように、ステージ13からターゲット12に向かう方向に立設されている。内側内壁20bと底部20Bcとの接続位置は、基板18の外側輪郭(先端T)よりも外側に位置するように設定されている。底部20Bcと内側内壁20bとの接続箇所には滑らかな曲面が形成されている。
【0069】
本実施形態においては、外側内壁20Ba、底部20Bc、内側内壁20bにおける寸法・形状が、それぞれ、
D−(L−a)tanθ ≦ Rb ≦ L
a ≦ L ≦ D/tanθ
5a ≦ D
の関係を満たすように設定されている。
【0070】
本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においても、上記のように外側内壁20Ba、底部20Bc、内側内壁20bにおける寸法・形状設定することによって、基板18の裏面18aへの着膜を防止することができる。具体的に、
図8に示した破線d5で示した最大放出角よりも大きな角度で溝20Bに入射したスパッタ粒子のリスパッタ成分は、基板18の裏面18aとは異なる方向に飛翔する。したがって、基板18の裏面18aに向けて飛翔するスパッタ粒子を削減することができる。
さらに、本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においては、プラテンリング19の除膜メンテナンス周期を延長するという効果を奏することができる。
【0071】
以下、本発明の第4実施形態に係る成膜装置及びプラテンリングを、図面に基づいて説明する。
図9は、本実施形態に係る成膜装置におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。本実施形態は、溝20Cに関する点で、上述した第1実施形態と異なる。本実施形態に係る成膜装置のその他の構造は、上述した第1実施形態と同じである。上述した第1から第3実施形態のいずれかと対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】
本実施形態に係る成膜装置10は、
図9に示すように、溝20Cにおいて、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Ca、底部20Cc、内側内壁20Cbは、いずれも楕円形状(半楕円形状)として形成される。外側内壁20Ca、底部20Cc、内側内壁20Cbにおける楕円形状の中心点20Coは、溝20Cの幅方向において溝20Cの中心位置となるように設定されている。溝20Cは、
図9に示すように、鉛直方向に平行であるとともに中心点20Coを通る線に対して、左右対称となるように形成されている。つまり、外側内壁20Caと、内側内壁20Cbとの離心率は等しく設定されている。したがって、外側内壁20Caと内側内壁20Cbと底部20Ccとは、滑らかに接続された同一の楕円状(半楕円形状)に形成されている。
なお、
図9においては、楕円の長軸が溝20Cの幅方向、図中の左右方向として記載されているが、楕円の長軸が鉛直方向に平行、つまり、楕円の長軸が上下方向に平行になるように溝20Cを形成することもできる。
【0073】
本実施形態においては、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Ca、底部20Cc、内側内壁20Cbにおける寸法・形状が、それぞれ、
a ≦ L ≦ D/tanθ
5a ≦ D
の関係を満たすように設定されている。
【0074】
本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においても、上記のように外側内壁20Ca、底部20Cc、内側内壁20Cbにおける寸法・形状を設定することによって、基板18の裏面18aへの着膜を防止することができる。具体的に、最大放出角よりも大きな角度で溝20Cに入射したスパッタ粒子のリスパッタ成分は、基板18の裏面18aとは異なる方向に飛翔する。したがって、基板18の裏面18aに向けて飛翔するスパッタ粒子を削減することができる。
さらに、本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においては、プラテンリング19の除膜メンテナンス周期を延長するという効果を奏することができる。
【0075】
以下、本発明の第5実施形態に係る成膜装置及びプラテンリングを、図面に基づいて説明する。
図10は、本実施形態に係る成膜装置におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。本実施形態は、溝20Dに関する点で、上述した第1から第4実施形態のいずれかと異なる。本実施形態に係る成膜装置のその他の構造は、上述した第1から第4実施形態のいずれかと同じである。上述した第1から第4実施形態のいずれかと対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0076】
本実施形態に係る成膜装置10は、
図10に示すように、溝20Dにおいて、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Da、底部20Dc、内側内壁20Dbは、いずれも円弧形状として形成される。外側内壁20Daは、曲率半径Raを有する円弧状に形成されている。内側内壁20Dbは、曲率半径Rbを有する円弧状に形成されている。底部20Dcは、外側内壁20Daと内側内壁20Dbとの接続部分として円弧状に形成されている。これら曲率半径Ra、と曲率半径Rbとは、内側内壁20Dbの曲率半径Rbよりも外側内壁20Daの曲率半径Raが大きくなるように設定されている。
また、内側内壁20Dbにおける円弧状よりも上側部分は、鉛直方向に延びる壁部を有する直線形状となるように立設されている。
【0077】
なお、外側内壁20Daと内側内壁20Dbとの接続位置は、溝20Dの幅方向において基板18の外側輪郭(先端T)とほぼ等しい位置として設定されている。また、底部20Dcにおける接続箇所は滑らかに形成されている。
外側内壁20Daの曲率中心20Do(第1曲率中心)、内側内壁20Dbの曲率中心20Dob(第2曲率中心)は、いずれも溝20Dの幅方向において同じ位置にある。曲率中心20Do及び曲率中心20Dobは、溝20Dの幅方向において基板18の外側輪郭(先端T)とほぼ等しい位置にある。つまり、溝20Dは、
図10に示すように、鉛直方向に平行であるとともに中心点20Doを通る線に対して、左右非対称となるように形成されている。
【0078】
本実施形態においては、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Da、底部20Dc、内側内壁20Dbにおける寸法・形状が、それぞれ、
Ra > Rb
Rb = a
の関係を満たすように設定されている。
【0079】
本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においても、上記のように外側内壁20Da、底部20Dc、内側内壁20Dbにおける寸法・形状を設定することによって、基板18の裏面18aへの着膜を防止することができる。具体的に、最大放出角よりも大きな角度で溝20Dに入射したスパッタ粒子のリスパッタ成分は、基板18の裏面18aとは異なる方向に飛翔する。したがって、基板18の裏面18aに向けて飛翔するスパッタ粒子を削減することができる。
さらに、本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においては、プラテンリング19の除膜メンテナンス周期を延長するという効果を奏することができる。
【0080】
以下、本発明の第6実施形態に係る成膜装置プラテンリングを、図面に基づいて説明する。
図11は、本実施形態に係る成膜装置におけるプラテンリングを示す拡大断面図である。本実施形態は、溝20Eに関する点で、上述した第1から第5実施形態のいずれかと異なる。本実施形態に係る成膜装置のその他の構造は、上述した第1から第5実施形態のいずれかと同じである。上述した第1から第5実施形態のいずれかと対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
本実施形態に係る成膜装置10は、
図11に示すように、溝20Eにおいて、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Ea、底部20Ec、内側内壁20Ebは、いずれも円弧形状として形成される。外側内壁20Eaは、曲率半径Raを有する円弧状に形成されている。内側内壁20Ebは、曲率半径Rbを有する円弧状に形成されている。底部20Ecは、外側内壁20Eaと内側内壁20Ebとの接続部分として円弧状に形成されている。これら曲率半径Ra、と曲率半径Rbとは、内側内壁20Ebの曲率半径Rbよりも外側内壁20Eaの曲率半径Raが小さくなるように設定されている。
また、外側内壁20Eaにおける円弧状よりも上側部分は、鉛直方向に延びる壁部を有する直線形状となるように立設されている。
【0082】
なお、外側内壁20Eaと内側内壁20Ebとの接続位置は、溝20Eの幅方向において基板18の外側輪郭(先端T)よりもさらに外側に位置するように設定されている。また、底部20Ecにおける接続箇所は滑らかに形成されている。
外側内壁20Eaの曲率中心20Eoa(第1曲率中心)、内側内壁20Ebの曲率中心20Eo(第2曲率中心)は、いずれも溝20Eの幅方向において同じ位置にある。曲率中心20Eoa及び曲率中心20Eoは、溝20Eの幅方向において基板18の外側輪郭(先端T)よりもさらに外側に位置にある。つまり、溝20Eは、
図11に示すように、鉛直方向に平行であるとともに中心点20Doを通る線に対して、左右非対称となるように形成されている。
【0083】
本実施形態においては、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Ea、底部E20c、内側内壁20Ebにおける寸法・形状が、それぞれ、
Ra < Rb
Rb > a
の関係を満たすように設定されている。
【0084】
本実施形態における溝20Eにおいて、裏面着膜防止曲面である外側内壁20Eaは、少なくともステージ13から離間する位置に配置されている。
図11においては、直線d8が示されている。直線d8は、外側内壁20Eaの曲率中心20Eoaと、ステージ13の外側において基板18の裏面18aがステージ13からはみ出す境界Kの位置とを結ぶ。直線d8と水平とがなす角は、スパッタリング放出最大角θより大きく設定される。
【0085】
本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においても、上記のように外側内壁20Ea、底部E20c、内側内壁20Ebにおける寸法・形状を設定することによって、基板18の裏面18aへの着膜を防止することができる。具体的に、最大放出角よりも大きな角度で溝20Eに入射したスパッタ粒子のリスパッタ成分は、基板18の裏面18aとは異なる方向に飛翔する。したがって、基板18の裏面18aに向けて飛翔するスパッタ粒子を削減することができる。
さらに、本実施形態に係る成膜装置10およびプラテンリング19においては、プラテンリング19の除膜メンテナンス周期を延長するという効果を奏することができる。
【0086】
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。