特許第6688657号(P6688657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6688657ジョイント端子、連結電線、電線接続構造体、及び連結電線の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688657
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ジョイント端子、連結電線、電線接続構造体、及び連結電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20200421BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20200421BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R4/62 A
   H01R43/048 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-71711(P2016-71711)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-183185(P2017-183185A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】氷見 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】外山 貴則
(72)【発明者】
【氏名】上野 裕生
(72)【発明者】
【氏名】川村 幸大
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/068392(WO,A1)
【文献】 特開2013−122869(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/129221(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/056691(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/62
H01R 4/18
H01R 43/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被覆電線と電気的に接続する第1接続部と、
第2被覆電線と電気的に接続する第2接続部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部を軸方向に連結する連結部とで構成され、
記第2接続部が、前記軸方向に直交する断面が環状の環状接続部で構成されるとともに、前記第1接続部が、前記軸方向に直交する断面が略U字状に形成され、
前記連結部の少なくとも一部が、前記第1接続部及び前記第2接続部を構成する金属板材より高強度な高強度連結部で構成され
前記連結部が、前記軸方向に直交する断面において略U字状に形成され、
前記高強度連結部は、
前記連結部を構成する連結部本体と、
該連結部本体から幅方向に延びるとともに、前記幅方向に曲げ返された曲げ返し部とで構成され、
前記連結部本体は、断面略U字状に形成され、
前記曲げ返し部は、前記第1接続部の前記連結部側と外縁が連続するように一体に形成されるとともに、前記第2接続部の前記連結部側と外縁が連続するように一体に形成され、
前記高強度連結部には、
前記曲げ返し部の前記第2接続部側は前記連結部本体と重ね合わされた連結重合部が形成されるとともに、
前記曲げ返し部の前記第1接続部側は、前記第1接続部に向かうに連れて徐々に立ち上がり、前記連結部本体と重ならない連結非重合部を構成し、
前記連結重合部は、前記連結部本体と前記曲げ返し部とが重なる態様の断面略U字状に形成され、
前記連結非重合部は、前記連結部本体と前記曲げ返し部とが重ならない断面略U字状に形成され、
前記連結非重合部において、前記曲げ返し部が前記連結部本体の幅方向の両側から断面略U字状となるように徐々に立ち上がっている
ジョイント端子。
【請求項2】
請求項1に記載のジョイント端子を介して、前記第1被覆電線と前記第2被覆電線とが前記軸方向に連結された
連結電線。
【請求項3】
前記ジョイント端子は、銅系材料で構成され、
前記第1接続部は、前記軸方向に直交する断面が略U字状であるとともに、銅系材料で構成した導体を有する前記第1被覆電線と接続され、
前記第2接続部は、前記環状接続部で構成されるとともに、アルミニウム系材料で構成した導体を有する前記第2被覆電線と接続された
請求項に記載の連結電線。
【請求項4】
請求項3に記載の連結電線における銅系材料で構成した前記第1被覆電線の端部に圧着端子が圧着された
電線接続構造体。
【請求項5】
断面略U字状に形成した第1接続部と断面環状に形成した第2接続部とを連結部で連結したジョイント端子を介して、第1被覆電線と前記第2被覆電線とを軸方向に連結する連結電線の製造方法であって、
銅系材料で構成した導体を有する前記第1被覆電線と前記第1接続部とを圧着する第1接続工程と、
前記第1接続部及び前記第2接続部を構成する金属製板材より高強度な高強度連結部を前記連結部の少なくとも一部に形成する高強度連結部形成工程と、
アルミニウム系材料で構成した導体を有する前記第2被覆電線と前記第2接続部とを圧着する第2接続工程とこの順に行い
前記高強度連結部は、前記連結部を構成する連結部本体と、該連結部本体から幅方向に延びるとともに、前記幅方向に曲げ返された曲げ返し部とで断面略U字状に構成され、
前記高強度連結部形成工程は、前記連結部を構成する連結部本体から幅方向に延びる曲げ返し部を前記幅方向に曲げ返して前記高強度連結部を形成するとともに、前記曲げ返し部の一部を曲げ返して前記連結部本体に重ね合わせた連結重合部を形成する
連結電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被覆電線同士を接続するジョイント端子、該ジョイント端子を介して被覆電線同士を連結した連結電線、該連結電線の両端を圧着端子で圧着接続した電線接続構造体、及び連結電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に配索するワイヤハーネスを構成する電線接続構造体は、被覆電線同士を軸方向に連結した連結電線で構成される場合があり、被覆電線同士を軸方向に連結するジョイント端子として、例えば、被覆電線同士を圧着して軸方向に連結するジョイント端子が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のジョイント端子は、被覆電線に接続する接続部同士を軸方向に連結する平板状の連結部を備えており、各接続部に被覆電線をそれぞれ接続することで被覆電線同士を連結できるとされている。
【0004】
しかしながら、接続部同士を連結する連結部は、平板状に形成されているため、接続部と被覆電線とを圧着する場合に作用する外力や、連結された状態において作用する外力に対して脆弱であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−122869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、連結部の強度を向上させることができるジョイント端子、連結電線、電線接続構造体、及び連結電線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、第1被覆電線と電気的に接続する第1接続部と、第2被覆電線と電気的に接続する第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部を軸方向に連結する連結部とで構成され、記第2接続部が、前記軸方向に直交する断面が環状の環状接続部で構成されるとともに、前記第1接続部が、前記軸方向に直交する断面が略U字状に形成され、前記連結部の少なくとも一部が、前記第1接続部及び前記第2接続部を構成する金属板材より高強度な高強度連結部で構成され、前記連結部が、前記軸方向に直交する断面において略U字状に形成され、前記高強度連結部は、前記連結部を構成する連結部本体と、該連結部本体から幅方向に延びるとともに、前記幅方向に曲げ返された曲げ返し部とで構成され、前記連結部本体は、断面略U字状に形成され、前記曲げ返し部は、前記第1接続部の前記連結部側と外縁が連続するように一体に形成されるとともに、前記第2接続部の前記連結部側と外縁が連続するように一体に形成され、前記高強度連結部には、前記曲げ返し部の前記第2接続部側は前記連結部本体と重ね合わされた連結重合部が形成されるとともに、前記曲げ返し部の前記第1接続部側は、前記第1接続部に向かうに連れて徐々に立ち上がり、前記連結部本体と重ならない連結非重合部を構成し、前記連結重合部は、前記連結部本体と前記曲げ返し部とが重なる態様の断面略U字状に形成され、前記連結非重合部は、前記連結部本体と前記曲げ返し部とが重ならない断面略U字状に形成され、前記連結非重合部において、前記曲げ返し部が前記連結部本体の幅方向の両側から断面略U字状となるように徐々に立ち上がっているジョイント端子であることを特徴とする。
【0008】
上記第1被覆電線及び第2被覆電線は、例えば、銅や銅合金などの銅系材料で構成した銅系導体を絶縁被覆で被覆した被覆電線や、アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミ系材料で構成したアルミ系導体を絶縁被覆で被覆した被覆電線などを含む概念であり、第1被覆電線及び第2被覆電線のそれぞれを同種の材料で同径に形成した被覆電線や、異なる径に形成した被覆電線、或いは、第1被覆電線及び第2被覆電線のそれぞれを異なる材料で同径に形成した被覆電線や、異なる径に形成した被覆電線を含む。
【0009】
上記第1接続部及び第2接続部は、圧着して接続する接続部や、溶着して接続する接続部などを含む概念であって、圧着して接続する接続部の場合、軸方向に直交する断面において、略U字状となるオープンバレル形式の圧着部や、環状となるクローズドバレル形式の圧着部などを含む。
【0010】
上述の金属板材より高強度な高強度連結部とは、例えば、ジョイント端子の一部分を重ね合わせて板厚を厚く形成した連結部、接続部より板厚が厚い端子基材を用いて形成した連結部、第1接続部や第2接続部を構成する金属板材より高強度な金属材料で構成した連結部、或いは、他の部材を重ね合わせて板厚を厚く形成した連結部などを含む概念であり、全範囲を高強度連結部とした連結部や、一部分を高強度連結部とした連結部を含む。
【0011】
上述の幅方向に曲げ返された曲げ返し部とは、連結部本体と重なるように曲げ返された曲げ返し部、連結部本体に重ならないように曲げられた曲げ返し部、或いは、上記曲げ返し部を組み合わせて構成した曲げ返し部などを含む概念である。
【0012】
上述の曲げ返し部が曲げ返されて前記連結部本体と重ね合わされたとは、曲げ返し部の一部分と連結部本体とが重なるように曲げ返されることだけでなく、曲げ返し部の全体と連結部本体とが重なるように折り返されることも含むものとする。
【0013】
上述の軸方向に直交する断面において略U字状に形成した連結部とは、断面略U字状に形成した連結部の他に、例えば、断面略凹状に形成した連結部や、断面略V字状に形成した連結部などを含む概念である。
【0014】
この発明により、前記連結部の強度を向上させることができる。
詳述すると、前記第1接続部及び前記第2接続部を構成する金属板材より高強度な高強度連結部で前記連結部を構成したことで、第1接続部や第2接続部と同等の板厚で平板状に形成される一般的な連結部よりも強度を向上させることができる。
【0015】
これにより、例えば、第1接続部と第1被覆電線とを圧着したり、第2接続部と第2被覆電線とを圧着したりする場合であっても、高強度連結部によって強度が向上した連結部は、圧着によって作用する外力によって曲げられたり、ヒビが入ったり、或いは、捩じれたりして損傷することを防止できる。また、車両搭載後においても、エンジン振動や車両走行振動などの外力によって連結部が損傷することも防止できる。
従って、ジョイント端子を介して接続される第1被覆電線と第2被覆電線とを確実に導通させることができる。
【0016】
また、前記高強度連結部を、前記連結部を構成する連結部本体と、該連結部本体から幅方向に延びるとともに、前記幅方向に曲げ返された曲げ返し部とで構成することにより、部品点数を削減しつつ、前記連結部の強度を確実に向上させることができる。
【0017】
詳述すると、前記連結部を構成する連結部本体と、該連結部本体から幅方向に延びるとともに、前記幅方向に曲げ返された曲げ返し部とで前記高強度連結部を構成することで、連結部本体と曲げ返し部とを一体に形成できるため、高強度連結部を構成する部品の点数を削減することができる。
【0018】
さらに、第1接続部及び第2接続部と同種の金属板材で連結部を構成した場合であっても、曲げ返し部を設けた高強度連結部は、従来のような平板状の連結部と比較して、断面形状による強度が向上する。つまり、断面強度が向上するため、例えば、別部材を用いたり、強度の高い金属材料で形成したりすることなく、連結部の強度を確実に向上させることができる。
従って、部品点数を削減しつつ、連結部の強度を確実に向上させることができる。
【0019】
た、前記第1接続部の前記連結部側と、前記第2接続部の前記連結部側との少なくとも一方と前記曲げ返し部とを一体に形成することにより、前記連結部の強度をより確実に向上させることができる。
【0020】
詳述すると、前記第1接続部の前記連結部側と、前記第2接続部の前記連結部側との少なくとも一方と前記曲げ返し部とを一体に形成することで、曲げ返し部が途切れることなく第1接続部や第2接続部に繋がれる。
【0021】
すなわち、第1接続部や第2接続部と曲げ返し部との境界がなくなり、脆弱部分となり得る境界の強度を向上させることができる。
従って、連結部の強度をより確実に向上させることができる。
【0022】
た、前記高強度連結部に、前記曲げ返し部が曲げ返されて前記連結部本体と重ね合わされた連結重合部を形成することにより、第1接続部及び第2接続部と同種の金属板材で連結部を構成した場合であっても、連結重合部を設けた高強度連結部は、従来のような平板状の連結部と比較して、第1接続部や第2接続部よりも肉厚となり断面強度が向上するため、連結部の強度を確実に向上させることができる。
【0023】
た、前記連結部を前記軸方向に直交する断面において略U字状に形成することにより、略U字状の前記連結部の断面強度は、平板状に形成された一般的な連結部よりも増大するため、連結部の強度をさらに向上させることができる。
従って、第1接続部や第2接続部の圧着による外力によって、連結部が損傷することを確実に防止できる。
【0024】
またこの発明は、上記ジョイント端子を介して、前記第1被覆電線と前記第2被覆電線とを前記軸方向に連結させた連結電線であることを特徴とする。また、この発明は、断面略U字状に形成した第1接続部と断面環状に形成した第2接続部とを連結部で連結したジョイント端子を介して、第1被覆電線と前記第2被覆電線とを軸方向に連結する連結電線の製造方法であって、銅系材料で構成した導体を有する前記第1被覆電線と前記第1接続部とを圧着する第1接続工程と、前記第1接続部及び前記第2接続部を構成する金属製板材より高強度な高強度連結部を前記連結部の少なくとも一部に形成する高強度連結部形成工程と、アルミニウム系材料で構成した導体を有する前記第2被覆電線と前記第2接続部とを圧着する第2接続工程とこの順に行い、前記高強度連結部は、前記連結部を構成する連結部本体と、該連結部本体から幅方向に延びるとともに、前記幅方向に曲げ返された曲げ返し部とで断面略U字状に構成され、前記高強度連結部形成工程は、前記連結部を構成する連結部本体から幅方向に延びる曲げ返し部を前記幅方向に曲げ返して前記高強度連結部を形成するとともに、前記曲げ返し部の一部を曲げ返して前記連結部本体に重ね合わせた連結重合部を形成する連結電線の製造方法であることを特徴とする。
【0025】
これらの発明により、連結部の強度を向上させたジョイント端子を介して第1被覆電線と第2被覆電線とを連結することができるため、連結部が損傷することなく、安定した導通性能を有する連結電線を構成することができる。
【0026】
また、前記ジョイント端子を、銅系材料で構成し、前記第1接続部を、前記軸方向に直交する断面を略U字状に形成するとともに、銅系材料で構成した導体を有する前記第1被覆電線と接続し、前記第2接続部を、前記環状接続部で構成するとともに、アルミニウム系材料で構成した導体を有する前記第2被覆電線と接続することができる。また、連結電線の製造方法において、銅系材料で構成した導体を有する前記第1被覆電線と前記第1接続部とを圧着する前記第1接続工程と、前記連結部を構成する連結部本体から幅方向に延びる曲げ返し部を前記幅方向に曲げ返して前記高強度連結部を形成するとともに、前記曲げ返し部の一部を曲げ返して前記連結部本体に重ね合わせた連結重合部を形成する前記高強度連結部形成工程と、アルミニウム系材料で構成した導体を有する前記第2被覆電線と前記第2接続部とを圧着する前記第2接続工程とをこの順に行うことにより、銅系材料で導体を構成した前記第1被覆電線と、アルミニウム系材料で導体を構成した前記第2被覆電線とを、銅系材料で構成したジョイント端子を介して確実に導通させることができるとともに、連結電線を軽量化することができる。
【0027】
詳述すると、アルミニウム系材料で導体を構成した前記第2被覆電線と、銅系材料で構成した前記ジョイント端子とはイオン化傾向が異なる異種金属であるが、第2接続部を環状接続部で構成したことで、第2被覆電線と第2接続部との接触部分への水分の浸入を防止でき、接触部分が電食することを防止できる。
【0028】
さらに、アルミニウム系材料で導体を構成した前記第2被覆電線を用いて連結電線を構成したことで、銅系材料で導体を構成した被覆電線同士を連結した連結電線よりも軽量化することができる。なお、第1被覆電線よりも第2被覆電線の線長を長くすることで、連結電線をより軽量化することができる。
【0029】
従って、銅系材料で導体を構成した前記第1被覆電線と、アルミニウム系材料で導体を構成した前記第2被覆電線とを、銅系材料で構成したジョイント端子を介して確実に導通させることができるとともに、連結電線を軽量化することができる。
【0030】
なお、上述のように構成する連結電線を、第1接続工程と、高強度連結部形成工程と、第2接続工程とをこの順に行って製造することで、第1接続工程や高強度連結部形成工程の圧着に伴う外力によって、第2接続工程で圧着した第2接続部と第2被覆電線との圧着状態が緩和されることを防止できる。これにより、第2接続部と第2被覆電線とが密着した連結電線を製造することができ、第1被覆電線と第2被覆電線とを確実に導通させることができる。
【0031】
また、上述のように、より軽量化された連結電線として、アルミニウム系材料で導体を構成した第2被覆電線を、銅系材料で導体を構成した第1被覆電線よりも線長を長くした場合、第1接続工程でジョイント端子と圧着した短尺状の第1被覆電線を、第2被覆電線とジョイント端子とを圧着する第2接続工程の作業を行う位置まで容易に搬送することができる。これにより、連結電線の製造性を向上させることができる。
【0032】
またこの発明は、上記連結電線における銅系材料で構成した前記第1被覆電線の端部に圧着端子を圧着した電線接続構造体であることを特徴とする。
この発明により、連結部の強度を向上させたジョイント端子を介して第1被覆電線と第2被覆電線とを連結した連結電線に圧着端子を圧着できるため、連結部が損傷することなく、安定した導通性能を有する電線接続構造体を構成することができる。
【0033】
なお、アルミニウム系材料で導体を構成した第2被覆電線は、銅系材料で導体を構成した第1被覆電線よりも導通性能が低く、第1被覆電線と同等の導電性能を発揮するために、第1被覆電線よりも導体の外径を太くしなければならない。このため、第2被覆電線の導体の外径に適した圧着端子を圧着すると、従来から用いられているコネクタハウジングに圧着端子を装着できないことがある。
【0034】
しかし、銅系材料で導体を構成した前記第1被覆電線に圧着した圧着端子は、従来から用いられている端子サイズの圧着端子を用いることができるため、従来から用いられているコネクタハウジングに装着することができる。これにより、電線接続構造体の導電性能が低下することなく、電線接続構造体の汎用性を向上させることができるとともに、コネクタハウジングを新設するコストを削減することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、連結部の強度を向上させることができるジョイント端子、連結電線、電線接続構造体、及び連結電線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】電線接続構造体の斜視図。
図2】連結電線の斜視図。
図3】ジョイント端子の斜視図。
図4】封止部及び連結部の説明図。
図5】銅電線圧着工程及び折り返し工程の説明図。
図6】アルミ電線圧着工程の説明図。
図7】端子圧着工程の説明図。
図8】他の実施形態におけるジョイント端子の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、電線接続構造体1の斜視図を示し、図2は、連結電線2の斜視図を示し、図3は、ジョイント端子5の斜視図を示し、図4(a)は、アルミ電線圧着部52側からみた封止部52cの断面図を示し、図4(b)は、アルミ電線圧着部52側からみた連結重合部53cの断面図を示し、図4(c)は、アルミ電線圧着部52側からみた連結非重合部53dの断面図を示している。
【0038】
図5(a)は、銅電線圧着工程前のジョイント端子5の斜視図を示し、図5(b)は、銅電線圧着工程後のジョイント端子5の斜視図を示し、図5(c)は、折り返し工程後の連結部53の断面図を示し、図6(a)は、アルミ電線圧着工程前のジョイント端子5の斜視図を示し、図6(b)は、アルミ電線圧着工程後の連結電線2の斜視図を示している。
【0039】
図7(a)は、端子圧着工程前の連結電線2の斜視図を示し、図7(b)は、端子圧着工程後の電線接続構造体1の斜視図を示し、図8は、他の実施形態におけるジョイント端子50の斜視図を示している。
【0040】
なお、平面からみたジョイント端子5の長手方向を軸方向Xとし、短手方向を幅方向Yとする。
また、図1は、電線接続構造体1のアルミ電線4から軸方向Xに沿った一方側のみをあらわし、図7(a)及び図7(b)は、電線接続構造体1又は連結電線2の軸方向に沿った一方側の端部近傍のみをあらわしている。
【0041】
本実施形態の電線接続構造体1は、図1及び図2に示すように、銅電線3とアルミ電線4とを、ジョイント端子5を介して軸方向Xに沿って連結した連結電線2の端部に圧着端子100を圧着して構成している。
【0042】
圧着端子100は、いわゆるオープンバレル形式の一般的な端子であって、圧着部110と、接続部120と、圧着部110と接続部120とを連結する端子連結部130とで構成している(図7(a)及び図7(b)参照)。
【0043】
圧着端子100を構成する圧着部110は、後述する銅電線3の銅導体露出部31aに圧着する導体圧着部111と、銅電線被覆先端部32aに圧着する被覆圧着部112とで構成している。
接続部120は、内部中空状の箱型に形成されたボックス部であり、雄型圧着端子の接続タブと雌雄嵌合可能な構成である。
【0044】
従って、圧着端子100は、従来から用いているコネクタハウジング(図示省略)に装着することができる。
【0045】
なお、圧着端子100は、接続部110をボックス部とした雌型圧着端子に限らず、接続部110を接続タブとした雄型圧着端子であってもよい。
【0046】
銅電線3は、従来から用いられている一般的な被覆電線であって、銅で構成した銅導体31の外周を、絶縁性を有する樹脂で構成した銅電線被覆32で被覆している(図5(a)参照)。
この銅電線3は、両端側の銅電線被覆32を所定の長さ剥いで銅導体31を露出させた銅導体露出部31aと、銅電線被覆32の銅導体露出部31aの銅電線被覆先端部32aとで構成した銅電線先端部3aを設けている。
なお、銅電線3は、圧着端子100の約3倍の長さに形成されている。
【0047】
アルミ電線4は、アルミニウムで構成したアルミ導体41の外周を、絶縁性を有する樹脂で構成したアルミ電線被覆42で被覆して構成している(図6(a)参照)。
このアルミ電線4は、銅電線3と同様に、アルミ導体41を露出させたアルミ導体露出部41aと、アルミ電線被覆42のアルミ導体露出部41a側であるアルミ電線被覆先端部42aとで構成したアルミ電線先端部4aを設けている。
【0048】
なお、アルミ電線4は、銅電線3の線長よりも長く形成されている。また、アルミ導体41は、銅導体31よりも外径が一回り大きく、これに伴って、アルミ電線被覆42は、銅電線被覆32よりも線径が一回り大きい。
【0049】
ジョイント端子5は、図3に示すように、銅電線3と圧着して接続する銅電線圧着部51と、アルミ電線4と圧着して接続するアルミ電線圧着部52と、銅電線圧着部51及びアルミ電線圧着部52を軸方向Xに沿って連結する連結部53とを一体に形成している。
【0050】
銅電線圧着部51は、図3に示すように、軸方向Xに直交する断面が略U字状に形成された、いわゆるオープンバレル形式の圧着部である。
この銅電線圧着部51は、銅導体露出部31aと圧着する銅導体圧着部51aと、銅電線被覆先端部32aに圧着する銅電線被覆圧着部51bとを、連結部53側からこの順に離間させて配置している。
【0051】
アルミ電線圧着部52は、軸方向Xに直交する断面が略環状に形成された、いわゆるクローズドバレル形式の圧着部である。
このアルミ電線圧着部52は、アルミ導体露出部41aと圧着するアルミ導体圧着部52aと、アルミ電線被覆先端部42aと圧着するアルミ電線被覆圧着部52bとを、連結部53側からこの順に配置し一体に形成するとともに、アルミ導体圧着部52aの連結部53側を封止した封止部52cを備えている。
【0052】
さらに、アルミ電線圧着部52は、幅方向Yの両端部を突き合わせることで環状に形成されており、突き合わせた両端部を軸方向Xに沿ってレーザー溶接した第1溶接部52dと、封止部52cを幅方向Yに沿ってレーザー溶接した第2溶接部52eを形成されている。
【0053】
アルミ導体圧着部52aは、アルミ導体41よりも大径の環状に形成されており、アルミ電線被覆圧着部52bは、アルミ電線被覆42よりも大径の環状に形成されている。これらアルミ導体圧着部52a及びアルミ電線被覆圧着部52bは、軸方向Xに沿って連続するように段差状に形成されている。
【0054】
封止部52cは、図4(a)に示すように、アルミ導体圧着部52aの連結部53側を平板状に重ね合わせるように押し潰して構成されており、断面が略U字状に形成されている。
【0055】
連結部53は、図3図4(b)及び図4(c)に示すように、銅電線圧着部51とアルミ電線圧着部52とを連結する連結部本体53aと、連結部本体53aの幅方向Yの両側に延設した曲げ返し部53bとで構成している。
【0056】
連結部本体53aは、図4(b)及び図4(c)に示すように、下方に窪む断面略U字状に形成されている。
曲げ返し部53bは、銅電線圧着部51の銅導体圧着部51aと、アルミ電線圧着部52の封止部52cとを滑らかに繋ぐように一体に形成されている。つまり、曲げ返し部53bは、銅電線圧着部51と外縁が連続するように一体に形成されるとともに、アルミ電線圧着部52と外縁が連続するように一体に形成されている。
【0057】
この曲げ返し部53bのアルミ電線圧着部52側は、図4(b)に示すように、連結部本体53aと曲げ返し部53bとが重なる連結重合部53cを構成しており、曲げ返し部53bの銅電線圧着部51側は、図4(c)に示すように、銅電線圧着部51に向かうに連れて徐々に立ち上がり、連結部本体53aと重ならない連結非重合部53dを構成している。
【0058】
連結重合部53cは、図4(b)に示すように、連結部本体53aと曲げ返し部53bとが重なる態様の断面略U字状に形成されている。
連結非重合部53dは、図4(c)に示すように、連結部本体53aと曲げ返し部53bとが重ならない態様の断面略U字状に形成されている。
【0059】
以上のように構成する連結部53は、アルミ電線圧着部52側の連結重合部53cにおいて、連結部本体53aと曲げ返し部53bとが断面略U字状に重なり、銅電線圧着部51側の連結非重合部53dにおいて、曲げ返し部53bが連結部本体53aの幅方向Yの両側から断面略U字状となるように徐々に立ち上がっている。これは、銅電線圧着部51に銅電線先端部3aを配置し難くなることを防止するためである。つまり、銅電線圧着部51側に連結非重合部53dを構成したことで、銅電線圧着部51に銅電線先端部3aを容易に配置することができる。
【0060】
上述のように構成した電線接続構造体1の製造方法について説明する。
電線接続構造体1の製造方法は、銅電線3にジョイント端子5を圧着する銅電線圧着工程と、曲げ返し部53bを完全に折り返す折り返し工程と、アルミ電線4にジョイント端子5を圧着するアルミ電線圧着工程と、銅電線3に圧着端子100を圧着する端子圧着工程をこの順に行う。
【0061】
銅電線圧着工程は、図5(a)に示すように、銅電線3の両端に設けた銅電線先端部3aの一方をジョイント端子5の銅電線圧着部51に配置する。その後、オープンバレル形式の圧着部を圧着するオープンバレル圧着機(図示省略)を用いて、図5(b)に示すように、銅電線先端部3aに銅電線圧着部51を圧着する。
【0062】
このとき、連結部53の曲げ返し部53bは、銅電線圧着部51の圧着に伴って、連結部本体53aに近づくように、つまり、連結部本体53a側に倒れるように変形する。
なお、この工程では、ジョイント端子5を接続した状態の銅電線3を予め2本製造しておくとよい。
【0063】
曲げ返し工程は、連結部53の曲げ返し部53bを折り返す折り返し圧着機(図示省略)を用いて、図5(c)に示すように、連結部53の全ての範囲の曲げ返し部53bを完全に折り返し、連結部本体53aと曲げ返し部53bとを断面略U字状に重ね合わせ、連結部53全体に連結重合部53cを形成する。
【0064】
アルミ電線圧着工程は、図6(a)に示すように、アルミ電線4のアルミ電線先端部4aをジョイント端子5のアルミ電線圧着部52に挿入する。その後、クローズドバレル形式の圧着部を圧着するクローズドバレル圧着機(図示省略)を用いて、図6(b)に示すように、アルミ電線圧着部52をアルミ電線先端部4aに圧着する。
【0065】
このアルミ電線圧着工程では、銅電線圧着工程で予め製造した2本の銅電線3に圧着したジョイント端子5を、アルミ電線4の両端側のアルミ電線先端部4aに圧着し、アルミ電線4の軸方向Xの両側にジョイント端子5を介して銅電線3を連結した連結電線2を製造する。
【0066】
端子圧着工程は、図7(a)に示すように、銅電線3の銅電線先端部3aの他方を圧着端子100の圧着部110に配置する。その後、上記オープンバレル圧着機を用いて、図7(b)に示すように、圧着部110を銅電線先端部3aに圧着する。
この端子圧着工程では、連結電線2の軸方向Xの両側における銅電線3の銅電線先端部3aに圧着端子100を圧着した電線接続構造体1を製造する。
【0067】
上述のようなジョイント端子1は、銅電線3と電気的に接続する銅電線圧着部51と、アルミ電線4と電気的に接続するアルミ電線圧着部52と、銅電線圧着部51及びアルミ電線圧着部52を軸方向Xに連結する連結部53とで構成し、アルミ電線圧着部52を、軸方向Xに直交する断面形状を環状に形成し、連結部本体53aと、連結部本体53aから幅方向Yに延びるとともに、幅方向Yに曲げ返した曲げ返し部53bとで連結部53を構成したことで、部品点数を削減しつつ、連結部53の強度を向上させることができる。
【0068】
詳述すると、連結部本体53aから幅方向Yに延びるとともに、幅方向Yに曲げ返した曲げ返し部53bで連結部53を構成したことで、連結部本体53aと曲げ返し部53bとを一体に形成できるため、部品点数を削減することができる。
【0069】
さらに、曲げ返し部53bで連結部53を構成したことで、銅電線圧着部51やアルミ電線圧着部52と同等の板厚で平板状に形成される一般的な連結部よりも、断面形状による強度が向上する。つまり、断面強度が向上するため、例えば、別部材を用いたり、強度の高い金属材料で形成したりすることなく、連結部53の強度を向上させることができる。
【0070】
これにより、部品点数を削減しながらも、強度が向上した連結部53は、圧着によって作用する外力によって曲げられたり、ヒビが入ったり、或いは、捩じれたりして損傷することを防止できる。また、車両搭載後においても、エンジン振動や車両走行振動などの外力によって連結部53が損傷することも防止できる。
従って、連結部53が損傷することなく、ジョイント端子5を介して接続される銅電線3とアルミ電線4とを確実に導通させることができる。
【0071】
また、銅電線圧着部51の銅導体圧着部51aと、アルミ電線圧着部52の封止部52cとを曲げ返し部53bで繋ぐように一体に形成することで、連結部53の強度をより確実に向上させることができる。
【0072】
詳述すると、銅導体圧着部51aと封止部52cとを曲げ返し部53bで繋ぐように一体に形成することで、脆弱部分となり得る各部同士の境界を連結部53から排除することができる。
従って、連結部53の強度をより確実に向上させることができる。
【0073】
また、連結部53に、曲げ返し部53bが折り返されて連結部本体53aと重ね合わされた連結重合部53cを形成することで、連結重合部53cを設けた連結部53は、従来のような平板状の連結部と比較して、銅電線圧着部51やアルミ電線圧着部52よりも肉厚となり断面強度が向上するため、連結部53の強度を確実に向上させることができる。
【0074】
また、連結部53を軸方向Xに直交する断面において略U字状に形成することで、平板状に形成された一般的な連結部よりも断面強度が増大するため、連結部53の強度をさらに向上させることができる。
従って、銅電線圧着部51やアルミ電線圧着部52の圧着による外力によって、連結部53が損傷することを確実に防止できる。
【0075】
また上述のような連結電線2は、ジョイント端子5を介して、銅電線3とアルミ電線4とを軸方向Xに連結して構成し、また、銅電線圧着工程と、アルミ電線圧着工程と、折り返し工程とを行うことで、連結部53の強度を向上させたジョイント端子5を介して銅電線3とアルミ電線4とを連結することができるため、連結部53が損傷することなく、銅電線3とアルミ電線4とを確実に導通させることができる。
【0076】
また、ジョイント端子5を、銅系材料で構成し、銅電線圧着部51を、断面略U字状に形成するとともに、銅電線3と接続し、アルミ電線圧着部52を、断面環状に形成するとともに、アルミ電線4と接続し、銅電線圧着工程と、折り返し工程と、アルミ電線圧着工程とをこの順に行うことで、銅電線3とアルミ電線4とを確実に導通させることができるとともに、連結電線2を軽量化することができる。
【0077】
詳述すると、アルミ導体41と、ジョイント端子5のアルミ電線圧着部52とはイオン化傾向が異なる異種金属であるが、アルミ電線圧着部52を断面環状に形成したことで、アルミ電線先端部4aとアルミ電線圧着部52との接触部分への水分の浸入を防止でき、接触部分が電食することを防止できる。
【0078】
さらに、アルミ電線4を用いて連結電線2を構成したことで、銅電線3同士を連結した連結電線2よりも軽量化することができる。なお、銅電線3よりもアルミ電線4の線長を長くすることで、連結電線2をより軽量化することができる。
従って、銅電線3とアルミ電線4とを確実に導通させることができるとともに、連結電線2を軽量化することができる。
【0079】
さらに、銅電線圧着工程と、折り返し工程と、アルミ電線圧着工程とをこの順に行って連結電線2を製造することで、銅電線圧着工程や折り返し工程の圧着に伴う外力によって、アルミ電線圧着工程で圧着したアルミ電線圧着部52とアルミ電線4との圧着状態が緩和されることを防止できる。これにより、アルミ電線圧着部52とアルミ電線4とを密着した状態の連結電線2を製造することができ、銅電線3とアルミ電線4とを確実に導通させることができる。
【0080】
また、上述のように、より軽量化された連結電線2として、銅電線3よりもアルミ電線4の線長を長く設定し、銅電線圧着工程の後にアルミ電線圧着工程を行うことで、銅電線圧着工程でジョイント端子5と圧着した短尺状の銅電線3を、アルミ電線4とジョイント端子5とを圧着するアルミ電線圧着工程まで容易に搬送することができる。これにより、連結電線2の製造性を向上させることができる。
【0081】
また上述のような電線接続構造体1は、上記連結電線2の銅電線3の端部に圧着端子を圧着したことで、連結部53の強度を向上させたジョイント端子5を介して銅電線3とアルミ電線4とを連結した連結電線2に圧着端子100を圧着することができるため、連結部53が損傷することなく、安定した導通性能を有する電線接続構造体1を構成することができる。
【0082】
詳述すると、連結部53の強度を向上させたジョイント端子5を介して銅電線3とアルミ電線4とを連結させた連結電線2を用いて電線接続構造体1を構成しているため、車両走行振動などの外力に伴う曲げなどによって、連結部53が損傷することを防止できる。
従って、連結部53が損傷することなく、安定した導通性能を有する電線接続構造体1を構成することができる。
【0083】
なお、アルミ電線4は、銅電線3よりも導通性能が低く、銅電線3と同等の導電性能を発揮するために、銅導体31の外径よりもアルミ導体41の外径を太く、つまりアルミ電線4の線径を銅電線3よりも太くしなければならない。このため、アルミ電線4のアルミ導体41の外径に適した圧着端子100を圧着すると、従来から用いられているコネクタハウジングに圧着端子100を装着できないことがある。
【0084】
しかし、銅電線3に圧着した圧着端子100は、従来から用いられている端子サイズの圧着端子100を用いることができるため、従来から用いられているコネクタハウジングに装着することができる。これにより、電線接続構造体1の導電性能が低下することなく、電線接続構造体1の汎用性を向上させることができるとともに、コネクタハウジングを新設するコストを削減することができる。
【0085】
また、電線接続構造体1を、銅電線圧着工程と、折り返し工程と、アルミ電線圧着工程と、端子圧着工程とをこの順に行って製造することで、所望の線長の電線接続構造体1を構成することができる。
【0086】
詳述すると、銅電線3とアルミ電線4とを連結する前工程で連結電線2の線長に誤差が生じても、最後に行う端子圧着工程は、オープンバレル形式の銅電線圧着部51と銅電線3とを圧着する工程であるため、封止部を備えていないオープンバレル形式の圧着部に対して配置する被覆電線の配置位置を微調整することができる。これにより、所望の線長の電線接続構造体1を構成することができる。
【0087】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の第1被覆電線は、実施形態の銅電線3に対応し、
以下同様に、
銅系材料で構成した導体は、銅導体31に対応し、
第2被覆電線は、アルミ電線4に対応し、
アルミニウム系材料で構成した導体は、アルミ導体41に対応し、
連結部及び高強度連結部は、連結部53に対応し、
曲げ返し部は、曲げ返し部53bに対応し、
第1接続工程は、銅電線圧着工程に対応し、
第2接続工程は、アルミ電線圧着工程に対応し、
高強度連結部形成工程は、折り返し工程に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0088】
例えば、上述の説明では、ジョイント端子5の銅電線圧着部51を銅導体圧着部51aと銅電線被覆圧着部51bとで構成するとともに、アルミ電線圧着部52をアルミ導体圧着部52aとアルミ電線被覆圧着部52bとで構成したが、図8に示すように、銅電線圧着部51を銅導体圧着部51aのみで構成したジョイント端子50であってもよい。
【0089】
また、上述の説明では、銅電線圧着工程と折り返し工程とをこの順に行ったが、例えば、上記オープンバレル圧着機と折り返し圧着機とを一体に構成した圧着機を用いて、銅電線圧着工程と折り返し工程とを同じ工程で行ってもよい。これにより、工程数を削減することができる。
【0090】
また、上述の説明では、銅電線圧着工程と、折り返し工程と、アルミ電線圧着工程と、端子圧着工程とをこの順に行ったが、例えば、端子圧着工程と、銅電線圧着工程と、折り返し工程と、アルミ電線圧着工程とをこの順に行ってもよい。これにより、各製造工程における作業性をより向上させることができる。
【0091】
詳述すると、アルミ電線圧着工程の前に、端子圧着工程、銅電線圧着工程、及び折り返し工程を行って、銅電線3に圧着端子100及びジョイント端子5を接続することで、最終工程であるアルミ電線圧着工程まで短尺状の銅電線3を搬送することとなり、電線接続構造体1の製造性をより向上させることができる。
【0092】
また、銅電線3の銅導体31は、銅で構成することだけに限らず、銅合金で構成してもよく、同様に、アルミ電線4のアルミ導体41は、アルミニウムで構成することだけ握らず、アルミニウム合金で構成してもよい。
【0093】
また、銅電線先端部3aと銅電線圧着部51とは、圧着して接続することだけに限らず、例えば、溶着して接続してもよい。アルミ電線先端部4aとアルミ電線圧着部52とは、圧着して接続することだけに限らず、例えば、溶着しながら圧着して接続してもよい。
【0094】
また、銅電線圧着部51は、断面略U字状に形成したオープンバレル形式の圧着部のみならず、断面環状に形成したクローズドバレル形式の圧着部であってもよい。
【0095】
また、連結部53を、例えば、ジョイント端子5を構成する端子基材の連結部に対応する部分が肉厚となるように、プレスしたり圧延したりした端子基材を用いて構成してもよいし、他の部材を重ね合わせて板厚を厚く形成した連結部53であってもよい。
さらに、連結部53は、断面略U字状に形成することだけに限らず、例えば、断面略凹状に形成してもよいし、断面略V字状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…電線接続構造体
2…連結電線
3…銅電線
4…アルミ電線
5…ジョイント端子
51…銅電線圧着部
52…アルミ電線圧着部
53…連結部
53a…連結部本体
53b…曲げ返し部
53c…連結重合部
100…圧着端子
X…軸方向
Y…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8