(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板支持具の前記反応室への挿荷及び前記反応室からの取り出しは、前記移載室が、所定の酸素濃度以下の雰囲気となっている間に行われる請求項1記載の基板処理装置。
前記クリーンユニットは、成膜処理シーケンスの中で前記移載室が大気環境、窒素環境、大気環境に順次切替わり、大気環境では、少なくとも前記移載機が稼動する間、前記移載機に由来するパーティクルを排出可能な第1の流量で大気を供給し、窒素環境では、移載室を陽圧に保つことができる第2の流量で循環させる請求項1又は2記載の基板処理装置。
前記クリーンユニットは、前記移載室に供給する雰囲気或いは大気を冷却する熱交換器を有し、前記移載機は移載室に設けられ、前記ゲートが開状態において、移載室外に置かれた基板収容器から前記基板支持具への基板の移載を実施する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
<実施形態>
(1)基板処理装置
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における基板処理装置を説明する。本実施形態において、基板処理装置(以下、単に処理装置ともいう)は、一例として、半導体デバイスの製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下の実施形態では、基板処理装置として基板にCVDなどの成膜処理を行うバッチ式縦型熱処理装置を適用した場合について述べる。
【0014】
以下、
図1、
図2および
図3を用いて、処理装置の構成を説明する。
【0015】
図1に示されているように、実施形態に係る処理装置10は筐体11を備えており、筐体11の前面にはカセット授受ユニット12が設備されている。カセット授受ユニット12は、ウエハ1のキャリアで基板収容器(オープンカセット、以下、カセットという。)2を、二台載置することができるカセットステージ13を備えており、カセットステージ13の下方にはウエハ姿勢整合装置14が二組設備されている。なお、基板収容器は、オープンカセットに限るものではなく、SMIF(Standard Mechanical Interface)やFOUP(Front Open Unified Pod)を用いてもよい。
【0016】
外部搬送装置(図示せず)によって搬送されて来たカセット2がカセットステージ13に垂直姿勢(カセット2に収納されたウエハ1が垂直になる状態)で載置されると、ウエハ姿勢整合装置14がカセット2に収納されたウエハ1のノッチやオリエンテーションフラットが同一になるようにウエハ1の姿勢を整合する。カセットステージ13は90度回転することにより、カセット2を水平姿勢にさせるようになっている。筐体11の内部にはカセット授受ユニット12に対向してカセット棚15が設備されており、カセット授受ユニット12の上方には予備カセット棚16が設備されている。
【0017】
カセット授受ユニット12とカセット棚15との間には、カセット移載装置17が設備されている。カセット移載装置17は前後方向に進退可能なロボットアーム18を備えており、ロボットアーム18は横行および昇降可能に構成されている。ロボットアーム18は進退(前後)、昇降および横行の運動により、カセットステージ13の上の水平姿勢となったカセット2をカセット棚15または予備カセット棚16へ搬送して移載するようになっている。カセット棚15および予備カセット棚16は、複数のカセット2のバッファ棚と見做すこともできる。
【0018】
カセット棚15の後方には、カセット2内のウエハ1を複数枚一括して、または、一枚宛、基板支持具(以下、ボートという。)25に移載できるウエハ移載装置(移載機)19が、回転および昇降可能に設備されている。ウエハ移載装置19は進退可能なウエハ保持部20を備えており、ウエハ保持部20には複数枚のウエハ保持プレート21が水平に取り付けられている。ウエハ移載装置19の後方にはボートエレベータ22が設備されており、ボートエレベータ22のアーム23には、ボート25を回転可能に保持するシールキャップ24が水平に設置されている。
【0019】
(1−2)カセット保持室と移載室
図1に示されるように、処理装置10は、移載室50と、カセット保持室60と、を有する。移載室50には、ウエハ移載装置19、ウエハ保持部20、ウエハ保持プレート21およびボートエレベータ22等が設置されている。カセット保持室60には、カセット棚15、予備カセット棚16及びカセット移載装置17等が設置されている。移載室50とカセット保持室60との間には、壁部70が設けられる。
図1には図面の簡素化のため記載されていないが、壁部70は、
図2に示されるように開口71を有し、更には開口71を開閉可能なゲート72が設けられる。開口71は、ウエハ移載装置19がウエハを移載可能な位置(通常、ウエハ移載装置19から最も近い位置である)に置かれた1乃至複数のカセットに対応して設けられ、その上端及び下端の高さは、降下されたボート25の上端及び下端と略等しくすることができる。例えば製品ウェハを150枚搭載するボートに対しては、棚3段分の高さの開口になる。ゲート72は、板とその駆動機構を有し、例えば、板が開口から浮き上がった状態で壁部70に沿って左右または上下にスライドすることで開け閉めする。つまり板は、開いているときに、カセット移載装置17の運動範囲と干渉しない位置に収納されればよい。また、複数の開口がそれぞれのカセットに対応して別個に設けられうるが、ゲート72はそれらを一括に開閉するものが1つ備えられればよい。壁部70及びゲート72の板は、圧力差に耐える強度は不要であり、むしろ、カセット移載装置17と接触しないように薄型に設計されうる。ウエハ移載装置(移載機)19は、ゲート72が開いた状態(72a)で、開口71を介して、カセット保持室60内のカセット2からウエハ1を、ボート25へ移載する。ゲート72が閉じた状態では、開口71が閉じられて、移載室50とカセット保持室60とは隔離された状態となる。したがって、移載室50内の雰囲気は、カセット保持室60とは異なる雰囲気とする事が可能である。移載室50内の雰囲気とカセット保持室60の雰囲気に関しては、後で詳細に説明する。
【0020】
(1−3)処理炉
図3に示されているように、処理装置10は石英ガラス等の耐熱性の高い材料が用いられて一端が開口で他端が閉塞の円筒形状に形成された反応管(処理管)31を備えており、反応管31は中心線が垂直になるように縦に配されて固定的に支持されている。反応管31の筒中空部は複数枚のウエハ1が収容される処理室32を形成しており、反応管31の下端開口はウエハ1を出し入れするための炉口33を形成している。炉口33は、移載室50に対して開口しており、処理室32と移載室50は繋がっている。反応管31の外部には処理室32を全体にわたって均一に加熱するためのヒータ34が、反応管31の周囲を包囲するように同心円に設備されており、ヒータ34は処理装置10の筐体11に支持されることにより垂直に据え付けられた状態になっている。
【0021】
反応管31の炉口33の付近における側面の一部には、処理ガスを供給するためのガス供給管35の一端が接続されており、ガス供給管35の他端は処理ガスを供給するガス供給源(図示せず)に接続されている。反応管31の炉口33の付近における側壁のガス供給管35の反対側には、排気管36の一端が接続されており、排気管36は他端が排気装置(図示せず)に接続されて処理室32を排気し得るように構成されている。反応管31の下端面には炉口33を閉塞するシールキャップ24が、垂直方向下側からシールリング38を挟んで当接されるようになっている。シールキャップ24は円盤形状に形成されており、反応管31の外部に設備されたボートエレベータ22によって垂直方向に昇降されるように構成されている。また、シールキャップ24が下端の位置へ動かされたとき、炉口33を密閉する炉口シャッタ28(図示せず)が設けられうる。シールキャップ24の中心線上には、回転軸39が挿通されており、回転軸39はシールキャップ24と共に昇降し、かつ、回転駆動装置40によって回転されるようになっている。
【0022】
回転軸39の上端には被処理基板としてのウエハ1を保持するためのボート25が、断熱キャップ部37を介して垂直に立脚されて支持されるようになっている。ボート25は上下で一対の端板26、27と、両端板26、27間に架設されて垂直に配設された複数本(本実施の形態では三本)の保持部材(柱)とを備えており、各保持部材には多数条の保持溝が長手方向に等間隔に配されて互いに対向して開口するように没設されている。そして、ウエハ1の外周縁辺が各保持部材の多数条の保持溝間にそれぞれ挿入されることにより、複数枚のウエハ1がボート25に水平にかつ互いに中心を揃えられて整列されて保持されるようになっている。ボート25の下側端板27の下面には断熱キャップ部37が形成されており、断熱キャップ部37の下端面が回転軸39に支持されている。
【0023】
(1−4)コントローラ
図4に、処理装置10が備えるコントローラ121のブロック図が示される。コントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aと通信可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122や外部記憶装置123が接続されている。
【0024】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、レシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、制御プログラムと比較すると高水準言語である。制御プログラムとレシピを総称して、プログラムと呼ぶ。記憶装置121cはまた、装置の動作や状態を記録したログ情報が順次格納される。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0025】
I/Oポート121dは、カセット授受ユニット12、カセットステージ13、ウエハ姿勢整合装置14、カセット移載装置17、ウエハ移載装置19、ヒータ34、温度センサ、回転機構40、ボートエレベータ22等に接続されている。
【0026】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cから、基板のレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、カセット授受ユニット12の姿勢整合動作、カセットステージ13の回転動作、ウエハ姿勢整合装置14、カセット移載装置17のロボットアーム18の動作制御、ウエハ移載装置19の回転および昇降制御、ヒータ34の温度制御、ゲート72の開閉動作制御、移載室50の雰囲気制御、カセット保持室60の雰囲気制御、ボートエレベータ22の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0027】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムやレシピを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な有体の記録媒体として構成されている。
【0028】
以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0029】
(2)基板処理工程
次に、処理装置10の反応管31を用いた基板処理方法を、
図5、
図6および
図7を参照して、説明する。ここ説明される基板処理方法では、上述の処理装置10の反応管31を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程、例えば、基板上にシリコン含有膜を形成する成膜処理を例として説明する。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0030】
(カセット搬入工程(C.CHG):S10)
外部搬送装置(図示せず)によって搬送されて来たカセット2は、カセット授受ユニット(ロードポートトランスファー)12のカセットステージ13に垂直姿勢で載置されると、ウエハ姿勢整合装置14によってカセット2内のウエハ1の向きを揃えられた後、水平姿勢にされて、ロボットアーム18によってバッファ棚(15、16)に搬入される。棚への搬入は、成膜処理と非同期に進行しうる。そして、次の成膜処理のバッチの対象となったカセット2は、カセット棚15の、開口71に対面する位置に移される。この時、
図6(A)に示されるように、ゲート72は開いた状態とされており、カセット保持室60と移載室50とは、開口71で連絡された状態とされている。そして、カセット保持室60と移載室50には、フィルターされた大気であるクリーンエアが供給される。ゲート72が開いた状態となる工程の全てにおいて、原則として、移載室50はカセット保持室60と比べて陽圧とされ、クリーンエアが、矢印arで示されるように、移載室50から開口71を介してカセット保持室60の方へゆっくり流れている。なお、S10ではゲート72は閉じた状態としてもよい。
【0031】
(ウエハ装填工程(W.CHG):S20)
移載室50内のウエハ移載装置(移載機)19は、
図6(B)に示されるように、開口71を介して、カセット棚15内のカセット2内のウエハ1を複数枚一括して、または、一枚宛、ボート25へ移載する。この間、移載室50に充満するクリーンなエアは、開口71からカセット保持室60の方へ流れ出ている。
図6(B)に示される状態では、炉口シャッタ28が閉じられウエハ1の周囲(ボート25等)の温度は高くないので、ウエハ1上に余計な酸化膜(品質の悪い酸化膜)が生成されることはない。つまり、オープンカセットで扱われるウェハには、そもそも薄い自然酸化膜が形成されうるが、この工程における酸化の進行は無視できる。なおシリコンウェハにおいては、フッ酸処理によって水素終端された表面は、常温であれば大気に曝露されても自然酸化はほとんど進行しないことが知られる。
【0032】
(ボート挿荷工程(BLOAD):S30)
ボート25への複数のウエハ1の移載が完了すると、
図6(C)に示されるように、開口71がゲート72により塞がれることで、移載室50はほぼ密閉状態とされる。そして、移載室50は不活性ガス供給器(図示なし)からの窒素ガス(N2ガス)によりパージされる。すなわち、移載室50の空間内に窒素ガスを送り込み、移載室50の空間に充満している大気が窒素ガスに置き換えられる。炉口シャッタ28が開けられる前に、反応管31内も同様に略大気圧の窒素ガスで満たされる。酸素濃度が所定未満になるまで移載室50が窒素ガスでパージされた後、炉口シャッタ28が開けられ、複数のウエハ1の積層されたボート25が、ボートエレベータ22により、反応管31内に挿荷(ロード)される(
図6(D)参照)。
【0033】
(成膜工程(DEPO):S40)
次に、
図6(E)に示されるように、反応管31内へのボート25の搬入が完了したら、反応室32内が所定の圧力となるよう反応室32内の雰囲気を制御する。また、ヒータ34により、反応室32内が所定の温度(例えば、800℃未満)となる様に制御し、反応室32内に、原料ガス(ジシラン)をガス供給管35から供給し、ウエハ1上に、単結晶もしくは多結晶シリコン膜を形成する。あるいは反応ガス(アンモニア(NH3)ガス)および原料ガス(ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6)ガス)を供給して、シリコン窒化層(SiN層)などの薄膜を生成する。この時、反応室32内の未反応の原料ガスや反応ガス等が排気管36から排気される。なお成膜の間、移載室50へ所定量の窒素ガスが供給され、陽圧が維持される。反応室32内が800℃未満であるため、自然酸化膜の蒸発による除去は期待できない。
【0034】
(ボート取り出し工程(BUNLOAD):S50)
ウエハ1上に所望の膜厚の薄膜が生成された後、
図6(F)に示されるように、ボート25がボートエレベータ22により、反応管31から取り出される(アンロード)。この時、移載室50は窒素ガス(N2ガス)によりパージされている為、ウエハ1上に酸化膜が生成されることはない。アンロード後もしばらくの間、ウエハの冷却のために待機する。S50の最後に、移載室50内の窒素ガスを排出し空気を導入する大気復帰が行われる。なお、成膜後の酸化膜は必要に応じてエッチング等で除去できるため、成膜直前にウエハ下地に生成する酸化膜に比べて深刻ではない。そのため、常温よりも高い温度で、大気復帰が開始されうる。
【0035】
(ウエハ脱装工程(WDCG):S60)
ウエハ1の温度が移載可能な温度まで低下するとともに移載室50内の雰囲気が空気とほぼ同じ組成となった後、
図7(A)に示されるように、移載室50が大気雰囲気とされて、ゲート72が開かれ、移載室50とカセット保持室60との間の開口71が露出される。
【0036】
その後、
図7(B)に示されるように、移載室50内に設置されたウエハ移載装置(移載機)19は、開口71を介して、ボート25に積層された複数のウエア1を、カセット保持室60のカセット2へ移載する。
【0037】
(カセット搬出工程(CDCG):S70)
その後、処理済みの複数のウエハ1を収納したカセット2は、
図7(C)に示されるように、カセット移載装置17により、カセット授受ユニット12のカセットステージ13に載置され、カセット保持室60から外部搬送装置(図示せず)によって搬出される。
【0038】
(アイドル状態(IDOL))
図7(D)は、基板処理装置10のアイドル状態またはスタンバイ状態を示している。ゲート72は開いた状態とされており、カセット保持室60と移載室50とは、開口71で連結された状態とされている。
【0039】
(移載室50への窒素ガスの流量)
図8は、ステップS10−S70、アイドル状態IDOLにおける移載室50への窒素ガスの流量の状態を説明するための図である。
図8において、横軸は各ステップおよびアイドル状態IDOLの状態を示し、縦軸は窒素ガスの流量を示している。移載室50への窒素ガスの流量の制御は、移載室50の雰囲気制御として、コントローラ121により制御される。移載室50の雰囲気制御は、窒素ガスの供給バルブ(図示せず)の開閉制御、窒素ガスのマスフローコントローラ(図示せず)の流量制御等である。
【0040】
ステップS10(CCHG)、S20(WCHG)では、移載室50は大気雰囲気であり、窒素ガスの流量が0(ゼロ)L/min(リッタ/分)である。窒素ガスの消費は、0(ゼロ)である。
【0041】
ステップS30(BLOAD)では、ゲート72が閉じられて、移載室50が大気雰囲気から窒素ガス雰囲気へ変更されるので、窒素ガスの流量は、例えば、400Lの容積の移載室に対して800L/min(リッタ/分)程度に設定され、移載室50が急速に窒素ガスによりパージされる。その後、窒素ガスの流量は、例えば、200L/min程度へ変化する。移載室50が窒素ガスによりパージされた状態で、ボート25が、反応管31内に挿荷(ロード)される。
【0042】
ステップS40(成膜工程)では、例えば、1時間程度の処理時間の間、移載室50が窒素ガスによりパージされた状態を保つ。窒素ガスの流量は、固定値でもよいが、移載室50内の酸素濃度計の測定に基づいて、酸素濃度を20ppm以下に保つように可変制御しても良い。更に長時間の成膜を行い場合、パージを止め、さらには一旦大気に復帰してS10と同様な状態としても良い。その場合、S50の開始時までに所望の酸素濃度の窒素雰囲気になるよう、大流量(800L/min)でのパージを再開する必要がある。
【0043】
ステップS50(BUNLOAD)では、移載室50への窒素ガスの流量は200L/min程度にされる。この状態で、ボート25がボートエレベータ22により、反応管31から移載室50へ取り出される(アンロード)。自然酸化膜の生成が無視できる温度になった時点で、窒素ガスの流量を0にし、移載室50内の窒素ガスを排出して大気に置き換える。
【0044】
ステップS60、S70、およびアイドル状態IDOLでは、ゲート72が開いた状態であり、移載室50は大気雰囲気であり、移載室50への窒素ガスの流量は0L/minである。窒素ガスの消費は0(ゼロ)である。
【0045】
(カセット保持室60および移載室50の大気雰囲気の制御構成)
図9に、実施形態に係る処理装置10における大気雰囲気の流れが示される。
【0046】
処理装置10は、その周辺、例えば、クリーンルームから大気を取り入れるためのエア吸気孔10aを有する。エア吸気孔10aから取り入れられた大気は、移載室50側とカセット保持室60側とへ流れる。
【0047】
移載室50側への大気の流れは、移載室50に設けられたクリーンユニット50aへ供給され、クリーンユニット50aにより清浄化されて、移載室50へ供給される。移載室50へ供給された大気は、移載室50に設けられた3つの背面排気ファン50bにより排出される。
【0048】
カセット保持室60側への大気の流れは、クリーンユニット60aへ供給され、そこで清浄化された後、カセットステージ13およびバッファ棚(15、16)へ供給される。クリーンユニット60aは、カセット保持室60の天井のほぼ全面に設けられている。クリーンユニット60aからカセット保持室60へ供給された大気は、棚下排気ファン60cから移載室50の床下を通して、基板処理装置10の背面側の外部へ排気される。
【0049】
前述の様に、移載室50とカセット保持室60との間には、
図9に点線で示される開口71が設けられている。移載室50がカセット保持室60と比べてわずかに陽圧となるように、クリーンユニット50aと60aの風量、もしくは背面排気ファン50bと棚下排気ファン60cの風量のバランスが制御されている。そのため、ゲート72が開いている間、クリーンエア(大気)が、矢印arで示されるように、移載室50から開口71を介してカセット保持室60の方へ、流れ出ている。またカセット授受ユニット12が外部への開口を有している場合、棚下排気ファン60cは、カセット授受ユニット12の開口から外気を取り込まないよう、風量が抑制されうる。
【0050】
(移載室50の雰囲気の制御構成)
図10は、移載室50の雰囲気の制御構成を概念的に示す図である。
図11は、移載室50の雰囲気の制御を説明するための図である。
【0051】
移載室50は、クリーンユニット50aと、クリーンユニット50aにエア吸気孔10aからの大気を供給するエアーインテーク501と、不活性ガス供給器601からの窒素ガスを供給する不活性ガス吸気孔600と、を有する。
【0052】
移載室50は、また、背面排気ファン50bと、排気ダンパ502と、リア排気ダンパ503と、圧力調整板付きの排気ボックス504と、排気ダクト505、循環ダンパ506と、熱交換器であるラジエータ507と、局所排気ダクト508と、循環ダクト509と、クリーンユニット50aの横側に設けられたサイドファン511と、を有する。局所排気ダクト508と循環ダクト509とは、循環ダンパ506を介してラジエータ507の吸気側に結合され、ラジエータ507の排気側はクリーンユニット50aに結合される。ラジエータ507は、移載室50の雰囲気、あるいは大気を冷却するために利用される。局所排気ダクト508と循環ダクト509とは、例えば、移載機19、ボートエレベータ22、回転機構40等の動作に起因するパーティクルを排気するために設けられる。
【0053】
図11に示されるように、移載室50は、モードとして、大気雰囲気と、窒素ガスパージ(N2パージ)と、を有する。
【0054】
大気雰囲気は、動作モードとして、第1モード(CHG/DCHG PROCESS)と、第2モード(DOOR OPEN)とを有する。
【0055】
窒素ガスパージ(N2パージ)は、動作モードとして、第1モード(CHG/DCHG
PROCESS)と、第2モード(Stanby、BUNLOAD)と、第3モード(大気復帰)を有する。
【0056】
大気雰囲気の第1モード(CHG/DCHG PROCESS)では、エアーインテーク501はOpen(開)、排気ダンパ502はOpen(開)、リア排気ダンパ503はOpen(開)、循環ダンパ506はOpen(開)、局所排気ダクト508と循環ダクト509はON(動作)、リアファン50bはON(動作)、サイドファン511はON(動作)、とされる。この動作モードは、循環モードということが出来る。循環モードでは、クリーンユニット50aは、局所排気ダクト508、循環ダクト509を介して循環ダンパ506から供給された移載室50内の大気を、ラジエータ507により冷却し、ラジエータ507からの冷却された大気を清浄化して移載室50に供給するとともに、余剰な大気は装置10の外部に排出する。
図12は、大気雰囲気の循環モードにおける移載室50内の大気の流れを概念的に示している。
【0057】
大気雰囲気の第2モード(DOOR OPEN)では、エアーインテーク501はOpen(開)、排気ダンパ502はOpen(開)、リア排気ダンパ503はOpen(開)、循環ダンパ506はClose(閉)、局所排気ダクト508と循環ダクト509はOFF(不動作)、リアファン50bはOFF(不動作)、サイドファン511はON(MAXで動作)、とされる。この動作モードは、1パスモードということが出来る。1パスモードでは、クリーンユニット50aは、装置10の外部から取り入れた大気(空気)を清浄化して移載室50に供給するとともに、余剰な空気を装置10の外部に排出する。
図13は、大気雰囲気の1パスモードにおける移載室50内の大気の流れを示している。
【0058】
N2パージの第1モード(CHG/DCHG PROCESS)では、エアーインテーク501はClose(閉)、排気ダンパ502はClose(閉)、リア排気ダンパ503はClose(閉)、循環ダンパ506はOpen(開)、局所排気ダクト508と循環ダクト509はON(動作)、リアファン50bはOFF(不動作)、サイドファン511はON(動作)、とされる。この動作モードは、循環モードということが出来る。この動作モードは、循環モードということが出来る。循環モードでは、クリーンユニット50aは、局所排気ダクト508と循環ダクト509を介して循環ダンパ506から供給された移載室50内の窒素ガスを、ラジエータ507により冷却し、ラジエータ507からの窒素ガスを清浄化して移載室50に供給するとともに、余剰な窒素ガスは装置10の外部に排出する。
図14は、N2パージの循環モードにおける移載室50内の窒素ガスの流れを概念的に示している。
【0059】
N2パージの第2モード(Stanby、BUNLOAD)では、エアーインテーク501はOpen(開)、排気ダンパ502はOpen(開)、リア排気ダンパ503はClose(閉)、循環ダンパ506はClose(閉)、局所排気ダクト508と循環ダクト509はOFF(不動作)、リアファン50bはOFF(不動作)、サイドファン511はON(動作)、とされる。この動作モードは、1パスモードということが出来る。
【0060】
N2パージの第3モード(大気復帰)では、
図15に示すように、エアーインテーク501はOpen(開)、排気ダンパ502はOpen(開)、リア排気ダンパ503はClose(閉)、循環ダンパ506はOpen(開)、局所排気ダクト508と循環ダクト509はON(動作)、リアファン50bはOFF(不動作)、サイドファン511はON(動作)、とされる。
【0061】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0062】
1)移載室50とカセット保持室60との間に壁部70が設けられる。壁部70は、開口71を有し、開口71を開閉可能なゲート72が設けられる。開口71がゲート72により塞がれると、移載室50とカセット保持室60とは隔離された状態となる。したがって、移載室50内を窒素ガスによりパージすることが可能である。移載室50の窒素ガスによるパージは、ゲートが閉じた期間のみである。したがって、窒素ガスの消費量を低減することが可能である。
【0063】
2)複数のロードロック室を備えて移載室を常時パージする方式に比べ、ロードロック室のパージが不要であり、カセット搬入工程S10や、ウエハ装填工程S20が短時間に行える。これにより、1回のバッチ基板処理工程の時間もその分短く出来るので、基板処理の生産性が向上する。
【0064】
3)ゲート72が開かれ、開口71が開けられた状態において、移載室50とカセット保持室60とは開口71を介して連結している。この状態において、移載室50とカセット保持室60と大気雰囲気とされる。したがって、窒素ガスの消費量を低減することができ、また移載室50内に有機ガスが蓄積することを防ぐことができる。
【0065】
4)上記2において、移載室50は、カセット保持室60と比較して、陽圧とされるので、移載室50からカセット保持室60側へ清浄大気が流れる。これにより、移載室50の雰囲気を清浄に保つことが可能である。
【0066】
5)移載室50の大気雰囲気は、1パスモードと循環モードとに切り替え可能である。したがって、移載室50内を清浄化することが可能である。
【0067】
6)移載室50の窒素ガス囲気は、1パスモードと循環モードとに切り替え可能である。したがって、移載室50内を清浄化するとともに、窒素ガスの消費量を抑制することが可能である。
【0068】
以上、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能である。本発明は、成膜装置の他、熱酸化やプラズマ酸化装置等においても有用である。つまり、所望の熱酸化の前に、十分高温ではない状態で酸化膜が形成され、酸化膜の品質が悪化することを防ぐことができる。