(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記副操作部が、前記操作部の異常を示すアラームを受付けると、前記操作部との接続を切断しつつ、前記制御部と接続を確立するよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
更に、前記基板を処理するレシピは、少なくとも基板を保持した基板保持具を処理室へ装入するステップと、前記基板を処理するステップと、処理済みの前記基板を保持した基板保持具を処理室から搬出するステップを有し、
前記副操作部は、前記操作部に異常が発生したときに実行されていた前記ステップを終了させるよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
前記記憶部の状態に関連する情報は、前記記憶部の稼働時間、前記記憶部の内部温度、前記記憶部の電源オンオフ回数、内蔵メモリの書替え回数、ECCエラー回数、セクタ故障時に割り付けられる代替セクタの使用回数よりなる群から選択される一つ以上の情報である請求項1記載の基板処理装置。
更に、前記基板を処理するレシピは、少なくとも基板を保持した基板保持具を処理室へ装入するステップと、前記基板を処理するステップと、処理済みの前記基板を保持した基板保持具を処理室から搬出するステップを有し、
前記操作部は、前記第1記憶部と前記第2記憶部のどちらか一方の記憶部の消耗を示すアラームが発生したときに実行されていた前記ステップを終了させるよう構成されている請求項8記載の基板処理装置。
前記操作部は、前記第1記憶部と前記第2記憶部のどちらか一方の記憶部の消耗を示すアラームが発生したときに実行されていた前記レシピを終了させるよう構成されている請求項8記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基板処理装置の概要) 以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。先ず、
図1、
図2に於いて、本発明が実施される基板処理装置1について説明する。
【0011】
基板処理装置1は筐体2を備え、筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能な様に設けられたメンテナンス用の開口部4が開設され、開口部4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0012】
筐体2の正面壁3にはポッド搬入搬出口6が筐体2の内外を連通する様に開設されており、ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ7によって開閉され、ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート8が設置されており、ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せする様に構成されている。
【0013】
ポッド9は密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によって前記ロードポート8上に搬入され、又、ロードポート8上から搬出される様になっている。
【0014】
筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚11が設置されており、回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納する様に構成されている。
【0015】
回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板13とを備えており、棚板13は前記ポッド9を複数個宛載置した状態で格納する様に構成されている。
【0016】
回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ14が設けられ、ポッドオープナ14はポッド9を載置し、又ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0017】
ロードポート8と回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送機構15が設置されており、ポッド搬送機構15は、ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、ロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間でポッド9を搬送する様に構成されている。
【0018】
筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(以後、基板ともいう)18をサブ筐体16内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口19が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19に対してポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0019】
ポッドオープナ14はポッド9を載置する載置台21と、ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。ポッドオープナ14は載置台21に載置されたポッド9の蓋を開閉機構22によって開閉することにより、ポッド9のウェーハ出入口を開閉する様に構成されている。
【0020】
サブ筐体16はポッド搬送機構15や回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、基板移載機構24は、基板18を載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。基板移載機構24はボート(基板保持具)26に対して基板18を装填及び払出しする様に構成されている。
【0021】
移載室23の後側領域には、ボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。処理炉28は内部に処理室29を形成し、処理室29の下端部は炉口部となっており、炉口部は炉口シャッタ31により開閉される様になっている。
【0022】
筐体2の右側端部とサブ筐体16の待機部27の右側端部との間にはボート26を昇降させる為のボートエレベータ32が設置されている。ボートエレベータ32の昇降台に連結されたアーム33には蓋体としてのシールキャップ34が水平に取付けられており、シールキャップ34はボート26を垂直に支持し、ボート26を処理室29に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0023】
ボート26は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)の基板18をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持する様に構成されている。
【0024】
ボートエレベータ32側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設され、クリーンユニット35は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア36を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。基板移載機構24とクリーンユニット35との間には、基板18の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0025】
クリーンユニット35から吹出されたクリーンエア36は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び基板移載機構24、ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、筐体2の外部に排気がなされるか、若しくはクリーンユニット35によって移載室23内に吹出されるように構成されている。
【0026】
次に、基板処理装置1の作動について説明する。
【0027】
ポッド9がロードポート8に供給されると、ポッド搬入搬出口6がフロントシャッタ7によって開放される。ロードポート8上のポッド9はポッド搬送装置15によって筐体2の内部へポッド搬入搬出口6を通して搬入され、回転式ポッド棚11の指定された棚板13へ載置される。ポッド9は回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、ポッド搬送装置15により棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて載置台21に移載されるか、若しくはロードポート8から直接載置台21に移載される。
【0028】
この際、ウェーハ搬入搬出口19は開閉機構22によって閉じられており、移載室23にはクリーンエア36が流通され、充満している。例えば、移載室23にはクリーンエア36として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0029】
載置台21に載置されたポッド9はその開口側端面がサブ筐体16の正面壁17に於けるウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構22によって取外され、ウェーハ出入口が開放される。
【0030】
ポッド9がポッドオープナ14によって開放されると、基板18はポッド9から基板移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、ノッチ合せ装置にて基板18を整合した後、基板移載機構24は基板18を移載室23の後方にある待機部27へ搬入し、ボート26に装填(チャージング)する。
【0031】
ボート26に基板18を受渡した基板移載機構24はポッド9に戻り、次の基板18をボート26に装填する。
【0032】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14に於ける基板移載機構24により基板18のボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には前記回転式ポッド棚11から別のポッド9が前記ポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、前記他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0033】
予め指定された枚数の基板18がボート26に装填されると炉口シャッタ31によって閉じられていた処理炉28の炉口部が炉口シャッタ31によって開放される。続いて、ボート26はボートエレベータ32によって上昇され、処理室29に搬入(ローディング)される。
【0034】
ローディング後は、シールキャップ34によって炉口部が気密に閉塞される。なお、本実施の形態において、このタイミングで(ローディング後)、処理室29が不活性ガスに置換されるパージ工程(プリパージ工程)を有する。
【0035】
処理室29が所望の圧力(真空度)となる様にガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。又、処理室29が所望の温度分布となる様にヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度迄加熱される。
【0036】
又、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが供給され、処理ガスが処理室29を流通する過程で、基板18の表面と接触し、基板18の表面上に所定の処理が実施される。更に、反応後の処理ガスは、前記ガス排気機構により前記処理室29から排気される。
【0037】
予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給機構により不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、処理室29が不活性ガスに置換されると共に、処理室29の圧力が常圧に復帰される(アフターパージ工程)。そして、ボートエレベータ32によりシールキャップ34を介してボート26が降下される。
【0038】
処理後の基板18の搬出については、上述した説明と逆の手順で、基板18及びポッド9は筐体2の外部へ払出される。未処理の基板18が、更にボート26に装填され、基板18のバッチ処理が繰返される。
【0039】
(制御システム200の機能構成) 次に、
図3を参照して、操作部としての主コントローラ201を中心とした制御システム200の機能構成について説明する。
図3に示すように、制御システム200は、主コントローラ201と、搬送制御部としての搬送系コントローラ211と、処理制御部としてのプロセス系コントローラ212と、を備えている。
【0040】
ここで、装置データとは、基板処理装置1が基板18を処理するときの処理温度、処理圧力、処理ガスの流量など基板処理に関するデータや、製造した製品基板の品質(例えば、成膜した膜厚、及び該膜厚の累積値など)に関するデータや、基板処理装置1の構成部品(石英反応管、ヒータ、バルブ、MFC等)に関するデータなど、基板処理装置1が基板18を処理する際に各構成部品を動作させることにより発生するデータである。
【0041】
操作部201は、例えば100BASE−T等のLAN(Local Area Network)により、搬送制御部211及び処理制御部212と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能な構成となっている。
【0042】
操作部201には、外部記憶装置としての記録媒体(例えばUSBメモリ等)が挿脱される装着部としてのポートが設けられている。操作部201には、このポートに対応するOS(Operation System)がインストールされている。また、操作部201には、外部上位コンピュータ及び管理装置とが、例えば通信ネットワークを介して接続される。このため、基板処理装置1がクリーンルーム内に設置されている場合であっても、上位コンピュータがクリーンルーム外の事務所等に配置されることが可能である。また、管理装置は、基板処理装置1とLAN回線で接続され、操作部201から装置データを収集する機能を有する。
【0043】
ネットワークストレージとしてのデータベース(以後、格納部ともいう)215は、操作部201とLAN回線で接続され、外部上位コンピュータ及び管理装置と同様に、操作部201から装置データを格納する機能を有する。主に、装置データの定期保存、つまり、バックアップに利用される。尚、この格納部215は、管理装置でも代用できる。
【0044】
搬送制御部211は、主に回転式ポッド棚11、ボートエレベータ32、ポッド搬送装置15、基板移載機構24、ボート26及び回転機構(図示せず)により構成される基板搬送系211Aに接続されている。搬送制御部211は、回転式ポッド棚11,ボートエレベータ32、ポッド搬送装置15、基板移載機構24、ボート26及び回転機構(図示せず)の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。特に、搬送制御部211は、モーションコントローラ211aを介してボートエレベータ32、ポッド搬送装置15、基板移載機構24の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0045】
処理制御部212は、温度コントローラ212a、圧力コントローラ212b、ガス流量コントローラ212c、シーケンサ212dを備えている。これら温度コントローラ212a、圧力コントローラ212b、ガス流量コントローラ212c、シーケンサ212dは、サブコントローラを構成し、処理制御部212と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能となっている。なお、処理制御部212とサブコントローラは、別体で図示されているが、一体構成でも構わない。
【0046】
温度コントローラ212aには、主にヒータ及び温度センサ等により構成される加熱機構212Aが接続されている。温度コントローラ212aは、処理炉28のヒータの温度を制御することで処理炉28内の温度を調節するように構成されている。なお、温度コントローラ212aは、サイリスタのスイッチング制御を行い、ヒータ素線に供給する電力を制御するように構成されている。
【0047】
圧力コントローラ212bには、主に圧力センサ、圧力バルブとしてのAPCバルブ及び真空ポンプにより構成されるガス排気機構212Bが接続されている。圧力コントローラ212bは、圧力センサにより検知された圧力値に基づいて、処理室29内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、APCバルブの開度及び真空ポンプのスイッチングを制御するように構成されている。
【0048】
ガス流量コントローラ212cは、MFC(Mass Flow Controller)により構成される。シーケンサ212dは、処理ガス供給管やパージガス供給管からのガスの供給や停止を、バルブ212Dを開閉させることにより制御するように構成されている。また、プロセス系コントローラ212は、処理室29内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、MFC212c、シーケンサ212d(バルブ212D)を制御するように構成されている。
【0049】
なお、本実施形態にかかる主コントローラ201、搬送制御部211、処理制御部212は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(USBメモリなど)から当該プログラムをインストールすることにより、所定の処理を実行する各コントローラを構成できる。
【0050】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。そして、提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、所定の処理を実行できる。
【0051】
(主コントローラ201の構成) 次に、操作部201の構成を、
図4を参照しながら説明する。
【0052】
操作部201は、主コント制御部220、主コント記憶部としてのSSD(ソリッドステートディスク)222、各種情報を表示する表示部と操作者からの各種指示を受け付ける操作部とを含む操作表示部227、基板処理装置1内外と通信する主コント通信部としての送受信モジュール228とを含むように構成される。主コント制御部220は、処理部としてのCPU(中央処理装置)224や、一時記憶部としてのフラッシュメモリ(RAM、ROM等)226を含み、時計機能(図示せず)を備えたコンピュータとして構成されている。以後、フラッシュメモリのことを単にメモリと称する場合がある。
【0053】
SSD222には、基板の処理条件及び処理手順が定義されたレシピ等の各レシピファイル、これら各レシピファイルを実行させるための制御プログラムファイル、レシピを実行するためのパラメータが定義されたパラメータファイル、また、エラー処理プログラムファイル及びエラー処理のパラメータファイルの他、プロセスパラメータを入力する入力画面を含む各種画面ファイル、各種アイコンファイル等(いずれも図示せず)が格納されている。パラメータとは、例えば、搬送制御部211の各搬送機構の停止位置等の数値である。
【0054】
操作表示部227には、基板処理装置1を操作するための操作画面が表示されるように構成されている。操作表示部227の操作画面は、例えば液晶を用いたタッチパネルである。なお、操作表示部227は、液晶ディスプレイなどの表示部並びにキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含むユーザインタフェース(UI)部などを含む構成でも構わない。
【0055】
操作表示部227は、基板搬送系や基板処理系の状態を確認するための操作部と表示部を含む。また、操作表示部227の操作画面には、
図3に示す、基板搬送系211Aや基板処理系(加熱機構212A、ガス排気機構212B及びガス供給系212C)への動作指示を入力したりする入力部としての各操作ボタンを設けることも可能である。
【0056】
操作表示部227は、操作画面を介して基板処理装置100内で生成される装置データに基づいた情報を操作画面に表示する。操作表示部227は、操作画面からの作業者の入力データ(入力指示)を受け付け、入力データを操作部201に送信する。また、操作表示部227は、メモリ226等に展開されたレシピ、若しくは主コント記憶部222に格納された複数のレシピのうち任意の基板処理レシピ(プロセスレシピともいう)を実行させる指示(制御指示)を受け付け、主コント制御部220に送信するようになっている。
【0057】
予備コントローラ(以後、副操作部ともいう)202は、操作部201と同様の構成であるため説明を省略する。操作部201による運用中(通常時)は、副操作部202の操作表示部207に権限が無い為、操作部201の操作表示部207と同じ画面を表示するよう構成されている。例えば、操作部201上の所定の権限切替ボタンにより、副操作部202の操作表示部207でファイル編集等の作業を行えるように構成されている。後述するように副操作部202は、通常時は、操作表示部227と同じ情報を表示する表示部として利用されているに過ぎないが、故障が発生して操作部201が停止(異常時)したときに、操作部201の代わりに搬送制御部211、処理制御部212を制御するよう構成される。
【0058】
主コント通信部228には、スイッチングハブ等が接続されており、操作部201が、ネットワークを介して、外部のコンピュータや装置1内の他のコントローラ等と、データの送信及び受信を行うように構成されている。
【0059】
また、操作部201は、図示しないネットワークを介して外部の上位コンピュータ、例えば、ホストコンピュータに対して基板処理装置1の状態など装置データを送信する。なお、基板処理装置1の基板処理動作は、主コント記憶部222に記憶されている各レシピファイル、各パラメータファイル等に基づいて、制御システム200により制御される。
【0060】
(基板処理方法) 次に、本実施形態に係る基板処理装置1を用いて実施する、所定の処理工程を有する基板処理方法について説明する。ここで、所定の処理工程は、半導体デバイスの製造工程の一工程である基板処理工程(ここでは成膜工程)を実施する場合を例に挙げる。
【0061】
基板処理工程の実施にあたって、実施すべき基板処理に対応する基板処理レシピ(プロセスレシピ)が、例えば、処理制御部212内のメモリ226に展開される。そして、必要に応じて、操作部201から処理制御部212や搬送制御部211へ動作指示が与えられる。このようにして実施される基板処理工程は、搬入工程と、成膜工程と、搬出工程と、回収工程とを少なくとも有する。また、移載工程(装置1への基板投入工程を含めてもよい)を、基板処理工程に含むようにしてもよい。
【0062】
(移載工程) 操作部201からは、搬送制御部211に対して、基板移載機構24の駆動指示が発せられる。そして、搬送制御部211からの指示に従いつつ、基板移載機構24は載置台としての授受ステージ21上のポッド9からボート26への基板18の移載処理を開始する。この移載処理は、予定された全ての基板18のボート26への装填(ウエハチャージ)が完了するまで行われる。
【0063】
(搬入工程) 指定枚数の基板18がボート26に装填されると、ボート26は、搬送制御部211からの指示に従って動作するボートエレベータ32によって上昇されて、処理炉28内に形成される処理室29に装入(ボートロード)される。ボート26が完全に装入されると、ボートエレベータ32のシールキャップ34は、処理炉28のマニホールドの下端を気密に閉塞する。
【0064】
(成膜工程) その後は、処理室29内は、圧力制御部212bからの指示に従いつつ、所定の成膜圧力(真空度)となるように真空排気装置によって真空排気される。また、処理室29内は、温度制御部212aからの指示に従いつつ、所定の温度となるようにヒータによって加熱される。続いて、搬送制御部211からの指示に従いつつ、回転機構によるボート26及び基板18の回転を開始する。そして、所定の圧力、所定の温度に維持された状態で、ボート26に保持された複数枚の基板18に所定のガス(処理ガス)を供給して、基板18に所定の処理(例えば成膜処理)がなされる。
【0065】
(搬出工程) ボート26に載置されたウェーハ18に対する成膜工程が完了すると、搬送制御部211からの指示に従いつつ、その後、回転機構によるボート26及びウェーハ18の回転を停止させ、ボートエレベータ32によりシールキャップ34を下降させてマニホールドの下端を開口させるとともに、処理済の基板18を保持したボート26を処理炉28の外部に搬出(ボートアンロード)する。
【0066】
(回収工程) そして、処理済の基板18を保持したボート26は、クリーンユニット35から吹出されるクリーンエア36によって極めて効果的に冷却される。そして、例えば150℃以下に冷却されると、ボート26から処理済の基板18を脱装(ウエハディスチャージ)してポッド9に移載した後に、新たな未処理基板18のボート26への移載が行われる。
【0067】
プロセスレシピを実行することにより、以上のような各工程を繰り返すことで、本実施形態に係る基板処理装置1は、例えば、基板18上へのシリコン膜の形成を、高スループットで行うことができる。
【0068】
(処理システムの構成)
図5乃至
図8を用いて、以下、本実施形態における処理システムについて説明する。
【0069】
図5に示すように、本実施形態における処理システムは、装置データを記憶する記憶部(SSD)222と、SSDの状態に関連する情報を取得する取得部と、SSDの消耗時期をモニタ管理する管理部と、消耗時期に達する前に消耗を示すアラームを発生する通知部と、を備えた操作部201と、操作部201に接続され、且つ操作部201と同じ操作画面を有する副操作部202と、を備えており、更に、LAN回線を介して格納部215を含む構成である。
【0070】
本実施形態における処理システムでは、記憶部222内に記憶された装置データが所定の周期毎に後述する複写部により複写され、操作部201は、複写された装置データを格納部215に格納するように構成されている。尚、メモリ226、または記憶部222をそのまま複写するように構成してもよい。
【0071】
副操作部202は、故障が発生して操作部201が停止時に、縮退運転を行えるように構成されている。つまり、簡易的な表示画面と必要最低限の操作機能を持ったプログラムを起動して、装置制御を継続するように構成されている。尚、工場の上位コントローラとの通信や、制御に関する詳細情報のログ等の機能を有するよう構成してもよく、また、操作部201と同様の機能を有するように構成してもよい。
【0072】
図6に示すように、操作部201が起動時に記憶部222内に格納されているSSD状態監視プログラムを実行することにより、取得部203と、管理部204と、通知部205と、複写部206がそれぞれ制御部220(メモリ226)内に構成される。
【0073】
制御部220は、取得部203により記憶部222の状態に関する情報(SMART(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)情報)を取得する。この情報には、記憶部222の稼働時間や内部温度、SSDの電源オンオフの回数、内蔵フラッシュメモリの書替え回数、ビット破損の修正失敗を示すECC(Error Correction Code)エラー回数、セクタ故障時に割り付けられる代替セクタ(単位メモリ領域)の使用回数等の情報が含まれる。制御部220は、これらの情報に基づいて記憶部222の状態を管理し、記憶部222の消耗傾向を計算する管理部204を有するよう構成されている。
【0074】
制御部220は、また、取得部203により取得した記憶部222の状態に関する情報が、予め設定された閾値を超えた場合に消耗を示すアラームを発生する通知部205を有するよう構成されている。尚、この閾値は、記憶部222の消耗度に対して予めマージンを考慮して設定される。制御部220は、この閾値を超えた場合、複写部206によりメモリ226若しくは記憶部222内に格納されている装置データを複写させ、この複写された装置データを格納部215に転送するように構成されている。
【0075】
また、アラーム通知を受けたオペレータが代替のSSDを準備して、記憶部222の空きポートに接続することにより、記憶部(SSD)222を該代替のSSDへ自動的に複写されるようにしてもよい。また、オペレータが操作表示部227で自動バックアップするファイルを予め選択しておき、その後、所定期間が経過したら格納部215への複写を開始するように構成してもよく、また、選択された対象ファイル内の装置データに変更が発生したら自動的に格納部215への複写を開始するように構成してもよい。
【0076】
そして、予測外の記憶部(SSD)222故障により、操作部201が使用不能になった場合、代替操作部または代替SSDに交換後、自動バックアップされたファイルを、交換された操作画面を使用して復旧することが可能である。
図7に示すように、選択されたファイル(A)が交換後の操作画面に表示されるよう構成されている。
【0077】
但し、この場合、装置データの復旧は可能ではあるが、所定の復旧処理(例えば、交換作業)が必要であるため、装置を停止させてしまう。特に、本実施形態における基板処理装置1において、基板18を処理中であれば、ロットアウトとなり、基板の損失が大きくなる可能性がある。よって、本実施形態における処理システム内に、予め代替操作部を設けていることが好ましい。
【0078】
図8に操作部201と副操作部202の接続状態を示す。また、
図8において、制御コントローラ#1、制御コントローラ#2、制御コントローラ#3と示されているが、制御コントローラの数は特に限定されない。また、制御コントローラは、搬送制御部211や処理制御部212を含む構成でもよく、また、搬送制御部211と処理制御部212のどちらか一方を含む構成としてもよい。尚、各制御コントローラに図示しない処理室29が接続されているよう構成されている。この構成によれば、複数の処理室29が設けられた基板処理装置1への適用が可能である。また、図示しない他のコントローラが追加されることを特に否定することなく適宜追加してもよい。
【0079】
図8Aは、通常時の操作部201と副操作部202の接続状態を示している。この場合、副操作部202は、操作表示部227と同様に使用されている。また、図示されていないが操作部201は各制御コントローラと接続されており、操作部201は各制御コントローラを制御している。副操作部202と各制御コントローラは接続されていないので点線で示している。一方、
図8Bは、異常時の操作部201と副操作部202の接続状態を示している。例えば、SSDに消耗限界や不意の故障が発生した場合、操作部201は、各制御コントローラへのレシピの実行を停止すると共に、操作部201の異常を示すアラームを発生しつつ、副操作部202への制御に切り替える。具体的には、副操作部202は操作部201から発生されたアラーム指示を受けつけると、操作部201との接続を切断し、各制御コントローラとの接続を確立し、アラームの内容に応じて、レシピの実行を継続したり、強制的にレシピを終了したりする。
【0080】
このように、操作部201と副操作部202との間の接続は切断されているので、
図8Bにおいて、操作部201と副操作部202との接続状態は、点線で示される。従来のHDDを利用したシステムでは、HDDの消耗や故障の検出が難しく、また、動作が安定しないために、操作部201を他の操作部に切替える制御が困難だったが、本実施形態によれば、操作部201から副操作部202への制御切り替え処理が、SSD内に収集したデータに支障なく可能である。
【0081】
基板を処理するレシピを実行中に予測外の操作部201の異常があれば、操作部201から副操作部202に切り替えて、レシピを実行することができる。副操作部202は故障が発生したステップは少なくとも終了させるように構成されている。また、通信異常の場合は、基板処理装置1を構成する部品には異常がない場合があるため、レシピ事態を終了させるように構成してもよい。このように副操作部202が縮退運用させることにより、途中でレシピ実行不可のまま装置停止となることが無い為、ロットアウトを抑制することができる。
【0082】
また、予測外の操作部201の異常が基板を処理するレシピを実行前の基板を搬送する基板搬送時であっても(基板を搬送するレシピを実行中であっても)、搬送途中に停止することなく搬送先の位置に搬送系を搬送させることができるので、所定の復旧処理(例えば、交換作業)後、交換後の操作部201によりレシピを実行することが可能である。
【0083】
本実施形態では、SSDを1個だけ接続して使用する場合について上述したが、レシピ実行中に操作部201の異常が発生すると、途中でレシピ実行不可のまま装置停止となることは無いが、レシピの実行が一時中断されてしまう。ここで、
図6の点線に示すように、記憶部222を2個用意したRAIDシステム構成が、従来から実施されている。
図6に示すように、SSDを2個使用することにより、SSD#1(SSD#2)が故障しても、もう一つのSSD#2(SSD#1)での運用に切り替えることができ、SSDを1個使用する時よりも信頼性が向上する。
【0084】
この場合、制御部220が、SSD#2の状態は”デグレート”にする。これにより、SSD運用時は、1個のSSD#1が”正常”であれば、”デグレート”によりSSD#1とSSD#2が切り離されている状態であるため、アラームを発報しないように構成する。また、SSD#2の複写時(SSD#1の内容をSSD#2に複写しているとき)は、SSD#2の状態を”リビルト”を発報する。ここで、デグレート(状態)とは、RAIDメンバーのSSDが1個切り離されたなどRAID構成による冗長性が失われた状態であり、リビルト(状態)とは、RAIDメンバーから切り離されたSSDの替わりのSSDをメンバーに加えた場合などRAID構成による冗長性の回復を試みている状態である。
【0085】
また、基板を処理するレシピを実行中、SSD#1の内容をSSD#2に複写する(リアルタイムで自動バックアップする)ように構成すれば、SSD#1が故障してもSSD#2に切り替えることにより、レシピを中断することなくレシピを継続しても収集される装置データを漏れなく記憶することができる。但し、このような運用では、SSD#1、SSD#2の両方が”正常”でなければならない。更に、SSD自体は、書き換え回数の上限、また書き換えによる消耗に起因する故障の問題があるため、常にSSD#1、SSD#2の両方で装置データを記憶する運用は、装置信頼性の面から改善の余地がある。以下、具体的な運用例を記載する。
【0086】
(運用例1) 基板を処理するレシピを実行しているとき等の基板処理工程では、SSD#1、SSD#2の両方で装置データを記憶する運用を利用し、基板処理工程以外(例えば、メンテナンス等の装置内に処理対象の基板が無い状況等)では、SSD#1、SSD#2のどちらか一方で装置データを収集し、他の一方の状態を”デグレート”にする。
【0087】
これにより、SSDの問題点を抑制しつつ、装置の安全な稼働を保持することができ、装置信頼性が低下することはない。尚、RAIDシステムにおいても、格納部215がSSD#1(若しくはSSD#2)に変更しただけでの構成であるため、レシピ実行中に操作部201の故障が発生し、操作部201が使用できなくなった時に、副操作部202への切替が可能である。また、故障ではなく通信異常であった場合は、副操作部202によりレシピ終了まで装置データの漏れなく継続させることも可能である。
【0088】
また、SSD異常が発生したら、異常が発生したSSD#1、SSD#2のどちらか一方の状態を”デグレート”にし、他の一方で装置データの収集を継続することができるので、レシピの実行を継続することができる。
【0089】
また、SSD#1、SSD#2のどちらか一方で装置データを収集し、他の一方の状態を”デグレート”にする運用でも、ある程度マージンを考慮した閾値で管理されるため、SSDで異常が発生しても、異常が発生していないSSDの状態を”リビルト”にして複写する。これにより、基板処理中であってもレシピを継続することができる。また、同様に、操作部201にトラブルが発生しても副操作部202への切り替えが可能である。但し、基板処理中に複写する処理を行うため、基板処理中は、SSD#1、SSD#2の両方が、SSDの切替に係る時間が短い為、好ましい。
【0090】
(運用例2) また、基板を基板保持具へ搬送するまでの基板搬送工程を除く、基板を処理するレシピを実行しているとき(ボートロード、成膜工程、ボートアンロード)に限定して、SSD#1、SSD#2の両方で装置データを記憶する運用を利用することが考えられる。これにより、運用例1と同様の効果を奏する。
【0091】
なお、本実施形態では、操作部201は、ウェーハ処理(基板処理)機能と上位報告機能と別に、格納部215を設けているが、このような形態に限定されない。更に、本実施形態におけるSSDは、操作部としての主コントローラ201、搬送制御部としての搬送系コントローラ211と、処理制御部としてのプロセス系コントローラ212のどのコントローラに組み込まれるよう構成してもよい。
【0092】
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0093】
(a) 本実施形態における処理システムによれば、HDDの代わりにSSDを適用することにより、コントローラの性能を向上させることができる。
【0094】
(b) 本実施形態における処理システムによれば、HDDの代わりにSSDを適用することにより、消費電力を低下させることができ、また、保守交換の頻度をHDDと比べて、例えば、1/8程度に減らすことができる。
【0095】
(c) 本実施形態における処理システムによれば、HDDの代わりにSSDを適用することにより、従来から有るコントローラ構成を利用して、ソフトウェアによる機能追加を行うため改造時のコストを低コストに抑えることができる。
【0096】
(d) 更に、RAID構成(要求に応じてSSDを2個使用すること)により、ミラー化運転を行うことでSSDを1個使用するときよりも信頼性確保を行うものである。これにより、SSDに異常が発生しても実行中のレシピを継続することができる。
【0097】
(e) 本実施形態における構成によれば、SSDの故障だけではなく、操作部の異常全般に対して、装置データのバックアップ作業及びSSD交換等の復旧作業が容易にできるようになる。
【0098】
(f) 本実施形態における構成によれば、操作部と副操作部の両方を設けることにより、SSDの故障だけではなく操作部の異常全般に対して、装置データのバックアップ作業が可能である。また、操作部から副操作部へ切り替えることができるので、操作部に何らかの異常が発生しても実行中のレシピを継続することができる。
【0099】
なお、本発明の実施形態に於ける基板処理装置1は、半導体を製造する半導体製造装置だけではなく、LCD(Liquid Crystal Display)装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。又、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用した処理装置等の各種基板処理装置にも適用可能であるのは言う迄もない。
【0100】
更に、成膜処理には、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)等の薄膜を形成する処理や酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理でも実施可能である。
【0101】
最後に、この出願は、2016年3月30日に出願された日本出願特願2016−068476を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。