(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゴム系ブロック共重合体(a1)と熱膨張性微小球(a2)とを含有する粘着剤層(A)を有する粘着テープであって、23℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が10N/20mm以上であり、かつ、120℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が2N/20mm以下であり、前記粘着剤層(A)に含まれる粘着成分の1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23が1.0×103〜5.0×107Paの範囲であり、1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G120が1.0×102〜5.0×106Paの範囲であり、前記貯蔵弾性率G120に対する前記貯蔵弾性率G23の割合〔G23/G120〕が1〜20であり、
前記粘着剤層(A)が基材の両面にそれぞれ設けられたものであり、前記粘着剤層(A)の厚さが50μm以上であり、
前記粘着剤層(A)はゴム系ブロック共重合体(a1)と粘着付与樹脂を粘着成分とし、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して40質量部〜100質量部の範囲の前記粘着付与樹脂を使用して得られたものであり、
ゴム系ブロック共重合体(a1)はトリブロック共重合体及びジブロック共重合体の混合物であるスチレン‐ブタジエンブロック共重合体であり、ゴム系ブロック共重合体(a1)全体に対してジブロック共重合体を20質量%〜75質量%の範囲で含有し、
前記熱膨張性微小球(a2)は前記粘着剤層(A)に対して7質量%〜20質量%含有することを特徴とする粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ゴム系ブロック共重合体(a1)と熱膨張性微小球(a2)とを含有する粘着剤層(A)を有する粘着テープであって、23℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が10N/20mm以上であり、かつ、120°におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が2N/20mm以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の粘着テープは、例えば60℃以下、好適には20℃〜60℃の温度領域下において非常に優れた接着性に優れるため貼付初期から長期間にわたり剥がれを引き起こすことがない。そのため、前記粘着テープは、各種被着体同士の接着に好適に使用することができる。とりわけ、本発明の粘着テープは、従来の仮固定用粘着テープと異なり、加熱等することなく貼付初期から速やかに強接着力を発現できるため、物品の製造場面において部品の貼付初期における部品のズレ等を引き起こしにくい。
【0015】
前記粘着テープは、例えば常温(23℃)環境下において、ステンレス板からの180°引き剥がし接着力が10N/20mm〜40N/20mm程度の接着力を有するものであることが好ましく、15N/20mm〜40N/20mm程度の接着力を有するものであることが、貼付初期から被着体を強固に接着させ、剥がれ等を防止するうえでより好ましい。
【0016】
なお、上記180°引き剥がし接着力は、JIS Z 0237にしたがい、以下の方法で測定された値を指す。具体的には、粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちする。前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層にステンレス板(BA−SUS304)に貼り合わせたものを試験片とする。前記試験片を、23℃及び50%RH環境下で30分放置した後、23℃温度環境下で、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片を構成する両面粘着テープを、前記ステンレス板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定する。
【0017】
本発明の粘着テープは、120℃程度の温度領域下において接着力を極端に低下させる。具体的には、前記粘着テープは、120℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力が2N/20mm以下である。そのため、本発明の粘着テープは、好適には20℃〜60℃程度の温度環境下では経時的な剥がれ等を引き起こすことがない一方で、120℃程度に加熱されると、ほとんど外力を加えることなく、接着された被着体同士を分離することができる。
【0018】
前記粘着テープは、120℃環境下において、ステンレス板からの180°引き剥がし接着力が1.8N/20mm以下の接着力を有することが好ましく、1.5N/20mm以下程度の接着力であることが、ほとんど外力を加えることなく、120℃程度に加熱されるだけで、接着された被着体同士を分離することができるためより好ましい。
【0019】
なお、上記180°引き剥がし接着力は、JIS Z 0237にしたがい、以下の方法で測定された値を指す。具体的には、粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちする。前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層にステンレス板(BA−SUS304)に貼り合わせたものを試験片とする。前記試験片を、60℃環境下で100時間放置した後、120℃の温度環境下に10分放置した後、120℃下でテンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片を構成する両面粘着テープを、ステンレス板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定する。
【0020】
また、本発明の粘着テープは、例えば常温(23℃)環境下において、ステンレス板に貼付し一定期間経過した後の180°引き剥がし接着力が10N/20mm〜40N/20mm程度の接着力を有するものであることが好ましく、15N/20mm〜40N/20mm程度の接着力を有するものであることが、被着体を強固に接着させ、経時的な剥がれ等を防止するうえでより好ましい。
【0021】
なお、ステンレス板に貼付し一定期間経過した後の180°引き剥がし接着力は、JIS Z 0237にしたがい、以下の方法で測定された値を指す。具体的には、粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちする。前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層にステンレス板(BA−SUS304)に貼り合わせたものを試験片とする。前記試験片を、60℃環境下で100時間放置した後、23℃の温度環境下に30分放置した後、23℃下で、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片を構成する両面粘着テープを、ステンレス板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定する。
【0022】
本発明の粘着テープとしては、単層または積層された粘着剤層(A)によって構成されるいわゆる基材レスの粘着テープ、基材の片面または両面に、直接または他の層を介して前記粘着剤層(A)を有する粘着テープを使用することができる。前記粘着テープとしては、基材の両面に、直接または他の層を介して前記粘着剤層(A)を有する粘着テープを使用することが好ましい。
【0023】
本発明の粘着テープを構成する粘着剤層(A)は、いわゆる感圧接着性等の粘着性能に寄与するゴム系ブロック共重合体(a)や必要に応じて使用可能な粘着付与樹脂等の粘着成分、及び、前記粘着成分以外の熱膨張性微小球(a2)等の添加剤を含有するものを使用することができる。
【0024】
前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、いわゆるABAタイプのブロック共重合体(トリブロック共重合体)、ABタイプのブロック共重合体(ジブロック共重合体)、及び、それらの混合物を使用することができる。前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、前記トリブロック共重合体及びジブロック共重合体の混合物を使用することが、後述する23℃における貯蔵弾性率と120℃における貯蔵弾性率、23℃での貯蔵弾性率を120℃で測定される貯蔵弾性率で除した時の値を有しやすく、その結果、20℃〜60℃程度の温度領域で上記範囲の180°引き剥がし接着力と、120℃において上記範囲の180°引き剥がし接着力とを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。前記ジブロック共重合体は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)全体に対して10質量%〜90質量%の範囲で含有するものを使用することがより好ましく、15質量%〜80質量%の範囲で使用することがさらに好ましく、20質量%〜75質量%の範囲で使用することが、20℃〜60℃程度の温度領域で上記範囲の180°引き剥がし接着力と、120℃において上記範囲の180°引き剥がし接着力とを備えた粘着テープを得るうえで特に好ましい。
【0025】
前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、スチレン系ブロック共重合体を使用することが好ましい。前記スチレン系ブロック共重合体は、ポリスチレン単位(a1−1)とポリオレフィン単位とを有するトリブロック共重合体、ジブロック共重合体、または、それらの混合物を指す。
【0026】
前記ポリスチレン単位(a1−1)は、粘着剤層(A)に含まれる粘着成分の弾性率を高め、優れた凝集力の発現に寄与するとともに、120℃下では急激に軟化し、接着力を低下させることに寄与する。
【0027】
前記スチレン系のブロック共重合体としては、例えばポリスチレン−ポリ(イソプロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(イソプロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン/ブチレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体等を使用することができる。なかでも、前記スチレン系のブロック共重合体としては、ポリスチレン単位(a1−1)とポリイソプレン単位(a1−2)とを有するブロック共重合体を使用することが好ましく、ポリスチレン−ポリ(イソプロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック−ポリスチレン共重合体、を使用することが、2以上の被着体を十分に固定できるレベルの接着力を備え、かつ、必要なときに加熱することによって容易に解体できるレベルにまで接着力を低下させることのできる熱解体性粘着テープを得るうえでより好ましい。
【0028】
前記粘着剤層(A)としては、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)の他に、粘着成分として、必要に応じて粘着付与樹脂等を含有するものを使用することが好ましい。
【0029】
前記粘着付与樹脂としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、脂肪族(石油樹脂)系粘着付与樹脂、C5系石油系粘着付与樹脂を使用することができる。
【0030】
なかでも、前記粘着付与樹脂としては、被着面への濡れ性を向上するうえで、C5系石油系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂を使用することが好ましい。特にテルペンフェノール系粘着付与樹脂は、粘着剤層(A)に適度な柔軟性を付与でき、およそ20℃〜60℃程度の温度領域下において、貼付初期から接着性に優れ、かつ、一定の反発力がテープに加わった場合の経時的な剥がれ等を防止可能な粘着テープを得るうえで使用することが特に好ましい。
【0031】
上記C5系粘着付与樹脂としては、一般にナフサの分解で得られるC5留分よりイソプレン及びシクロペンタジエンを抽出分離した残りを重合した樹脂を使用することができる。
【0032】
上記テルペンフェノール系粘着付与樹脂としては、テルペンモノマーとフェノールを共重合した樹脂を使用することができる。上記テルペンフェノール系粘着付与樹脂としては、軟化点105℃〜145℃の範囲のものを使用することが、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)との相溶性を向上させ、その結果、好適には20℃〜60℃程度の温度領域下において、貼付初期から接着性に優れ、かつ、一定の反発力がテープに加わった場合の経時的な剥がれ等を防止可能な耐剥がれ性を備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
【0033】
前記粘着付与樹脂は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して10質量部〜150質量部の範囲で使用することが好ましく、15質量部〜100質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0034】
特に、テルペンフェノール系粘着付与樹脂は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して50質量部〜100質量部の範囲で使用することが好ましく、65質量部〜80質量部の範囲で使用することが、およそ20℃〜60℃程度の温度領域下において、貼付初期から接着性に優れ、かつ、一定の反発力がテープに加わった場合の経時的な剥がれ等を防止可能な耐剥がれ性を備えた粘着テープを得るうえで好ましい。また、前記C5系粘着付与樹脂は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して10質量部〜100質量部の範囲で使用することが好ましく、20質量部〜50質量部の範囲で使用することがより好ましく、25質量部〜50質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0035】
また、粘着付与樹脂としては、前記したもののほかに、室温で液状の粘着付与樹脂を使用することもできる。前記液状の粘着付与樹脂としては、例えばプロセスオイル、ポリエステル系粘着付与樹脂、ポリブテン等の低分子量の液状ゴムが挙げられる。
【0036】
前記粘着剤層(A)は、前記粘着成分以外の成分として、熱膨張性微小球(a2)を含有する粘着剤層である。
【0037】
前記熱膨張性微小球(a2)は熱の影響により膨張しうるものである。具体的には、前記熱膨張性微小球(a2)としては、120℃における熱膨張率が150%以上であるものを使用することが好ましく、120℃における熱膨張率が170%以上であるものを使用することがより好ましく、120℃における熱膨張率が200%以上であるものを使用することがさらに好ましく、120℃おける熱膨張率が220%以上であるものを使用することが特に好ましく、250%以上であるものを使用することが、粘着テープまたは被着体に、ほとんど力を加えることなくそれらを剥離することを可能にするうえで好ましい。前記膨張率の上限は、特に制限されないが、概ね5000%であることが好ましい。なお、上記熱膨張率は、以下の方法によって算出された値を指す。
【0038】
はじめに、熱膨張性微小球(膨張していないもの)1gをメスフラスコにいれ、水置換法により真比重を測定する。次に、前記熱膨張性微小球1gをギア式オーブンに入れ、120℃下で2分間加熱し膨張させる。次に、膨張した微小球をメスフラスコにいれ、水置換法により真比重を測定する。熱膨張後の微小球の真比重に対する膨張前の熱膨張性微小球の比。を算出し100を乗じた値を熱膨張率とした。
【0039】
上記熱膨張性微小球(a2)の膨張開始温度は、特に限定されないが、80℃以上であることが好ましく、85℃〜130℃であることがより好ましく、90℃〜125℃であることが、2以上の被着体の熱による損傷を引き起こすことなく、それらを分離するうえでさらに好ましい。なお、上記「熱膨張性微小球の膨張開始温度」は、熱膨張性微小球を熱分析装置(「TMA/SS6100」、SII・ナノテクノロジー(株)製)を使用し、膨張法(荷重:0.1N、プローブ:3mmφ、昇温速度:5℃/分)で評価した際の、熱膨張性微小球の膨張が開始した温度である。
【0040】
上記熱膨張性微小球の最大膨張温度は、特に限定されないが、90℃以上であることが好ましく、90℃〜180℃であることが好ましく、100℃以上〜150℃であることが、2以上の被着体の熱による損傷を引き起こすことなく、それらを分離するうえでさらに好ましい。なお、上記「最大膨張温度」は、熱膨張性微小球を熱分析装置(「TMA/SS6100」、SII・ナノテクノロジー(株)製)を使用し、膨張法(荷重:0.1N、プローブ:3mmφ、昇温速度5℃/分)で評価した際の、熱膨張性微小球の膨張が最大となる温度である。なお、最大膨張温度よりも高い温度にまで加熱された熱膨張性微小球は、通常、収縮し膨張率を低下させるため、上記最大膨張温度よりも高い温度に加熱しないことが好ましい。
【0041】
上記熱膨張性微小球(a2)の平均粒子径(膨張前)は、特に限定されないが、貼付直後から非常に高い接着性を有し、剥離する際には短時間加熱することによってその接着力を急激に低下させ、ほとんど力を加えることなく2以上の被着体を分離させることができ、かつ、粘着テープの薄型化を実現するうえで、1μm〜50μmであることが好ましく、3μm〜30μmであることがより好ましく、5μm〜20μmであることがさらに好ましい。なお、前記熱膨張性微小球の平均粒子径(膨張前)は、マルバーン社製粒度分布測定装置「マスターサイザー2000」を使用し、レーザー回折散乱法によって測定した値を指す。
【0042】
上記熱膨張性微小球(a2)としては、例えば弾性を有するカプセル内に、熱によりガス化する物質を含有するものを使用することができる。
【0043】
上記熱によりガス化しうる物質としては、80℃〜150℃程度に加熱されることによってガス化しうる物質を使用することが好ましく、具体的にはブタン、イソブタン、プロパン、イソプロパン、イソペンタン、イソオクタン等を使用することがより好ましい。
【0044】
上記弾性を有するカプセルとしては、例えば90℃〜150℃程度に加熱されることによって軟化するもので構成されるものを使用することができ、具体的には塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等によって構成されるカプセル状のものが挙げられる。
【0045】
上記熱膨張性微小球(a2)は、例えばコアセルベーション法や界面重合法等の周知慣用の方法により製造することができる。
【0046】
上記熱膨張性微小球としては、例えば、「マツモトマイクロスフェア」(商品名、松本油脂製薬(株)製)、「マイクロスフィアーエクスパンセル」(商品名、日本フィライト(株)製)、「ダイフォーム」(商品名、大日精化工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
【0047】
上記熱膨張性微小球(a2)の含有量(配合量)は、粘着剤層(A)に対して、5質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜25質量%であることがより好ましく、7質量%〜20質量%であることが、貼付直後から非常に高い接着性を有し、剥離する際には短時間加熱することによってその接着力を急激に低下させ、ほとんど力を加えることなく被着体同士を分離させるうえでさらに好ましい。
【0048】
本発明の粘着テープを構成する粘着剤層(A)は、前記したとおりゴム系ブロック共重合体(a)や必要に応じて使用可能な粘着付与樹脂等の粘着成分、及び、熱膨張性微小球(a2)や必要に応じてその他の添加剤等を含有する層である。そのうち、前記ゴム系ブロック共重合体(a)及び必要に応じて使用可能な粘着付与樹脂等からなる粘着成分としては、周波数1Hzで120℃における貯蔵弾性率G
120が1.0×10
3〜2.0×10
5Paであるものを使用することが好ましい。前記範囲の貯蔵弾性率G
120を有する粘着テープを使用することによって、貼付直後から非常に高い接着性を有し、剥離する際には短時間加熱することによってその接着力を急激に低下させるとともに、前記熱膨張性微小球(a2)を十分に膨張させることができ、その結果、ほとんど力を加えることなく、接着された2以上の被着体を分離させることができるため好ましい。また、上記粘着成分を含む粘着剤層(A)を使用することによって、いわゆる粘着性能を保持できるため、貼付の際に加熱等を必要としないため、貼付作業性も向上させることができる。
【0049】
また、前記粘着剤層(A)としては、それに含まれる上記粘着成分の1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G
120が1.0×10
3〜2.0×10
6Paの範囲であり、かつ、前記貯蔵弾性率G
120に対する1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G
23の割合〔G
23/G
120〕が1〜20であるものを使用する。前記範囲の割合〔G
23/G
120〕を有する粘着テープを使用することによって、2以上の被着体を十分に固定できるレベルの接着力を備え、かつ、必要なときに加熱することによって容易に解体できるレベルにまで接着力を低下させることのできる粘着テープを得るうえでさらに好ましい。
【0050】
前記粘着テープとしては、例えば前記基材の片面側に設けられた前記粘着剤層(A)の厚さが50μm以上であるものを使用することが好ましく、60μm〜120μmであるものを使用することが、貼付直後から非常に高い接着力を発現でき、剥離する際には短時間加熱することによってその接着力を急激に低下させるとともに、前記熱膨張性微小球(a2)を十分に膨張させることができ、その結果、ほとんど力を加えることなく被着体同士を分離させることができるため好ましい。
【0051】
前記粘着テープとしては、例えば前記基材の両面側に設けられた前記粘着剤層(A)の合計の厚さが90μm以上であるものを使用することが好ましく、90μm〜300μmの範囲であることがより好ましく、100μm〜250μmの範囲であることがさらに好ましく、100μm〜210μmの範囲であることが、貼付直後から非常に高い接着性を有し、剥離する際には短時間加熱することによってその接着力を急激に低下させるとともに、前記熱膨張性微小球(a2)を十分に膨張させることができ、その結果、ほとんど力を加えることなく接着された2以上の被着体を分離させることができるため好ましい。
【0052】
本発明の粘着テープとしては、前記したとおり、基材の片面または両面に、直接または他の層を介して前記粘着剤層(A)を有する粘着テープを使用することができる。
【0053】
前記基材としては、例えば不織布基材や樹脂フィルム基材等を使用することができる。なかでも、前記基材としては、赤外線の吸収性に優れる基材(赤外線吸収性基材)を使用することが好ましい。
【0054】
前記赤外線吸収性基材としては、赤外線吸収性無機フィラー、有機色素、無機色素、染料、顔料を含有した樹脂フィルム、前記樹脂フィルム上に赤外線吸収層を設けたものが挙げられる。
【0055】
前記赤外線吸収性基材としては、黒色の基材を使用することが、前記粘着テープに好適な吸熱性や蓄熱性を与え、活性エネルギー線やレーザー光線等を照射した際に、前記粘着テープを局所的に昇温させることができるため、前記照射時間を短縮することができ、その結果、2以上の被着体を分離する工程の作業効率を格段に向上させることができるため好ましい。
【0056】
前記黒色基材としては、黒色であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂フィルムに黒インキ層を印刷したもの、樹脂と黒顔料とを練りこみフィルム状に成形したもの、不織布基材に黒顔料を分散させたものなどが挙げられる。
【0057】
前記基材としては、4μm〜100μmの厚さのものを使用することが好ましく、10μm〜75μmの厚さのものを使用することが、粘着テープの良好な加工性と、被着体への優れた追従性とを付与するうえでより好ましい。
【0058】
前記樹脂フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート基材等を使用することができる。また、前記樹脂フィルム基材としては、前記粘着剤層(A)の投錨性を向上させるうえで、コロナ処理やアンカーコート処理が施されたものを使用することができる。
【0059】
本発明の粘着テープは、例えば前記基材の片面または両面に、ロールコーターやダイコーター等を用いて、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)及び熱膨張性微小球(a2)等を含有する粘着剤を塗布及び乾燥し粘着剤層(A)を形成することによって製造することができる。
【0060】
また、前記粘着テープは、予め、離型ライナーの表面に、ロールコーター等を用いて、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)及び熱膨張性微小球(a2)等を含有する粘着剤を塗布し、乾燥することによって粘着剤層(A)を形成し、次いで、前記粘着剤層(A)を、前記基材の片面または両面に貼り合せる転写法によって製造することができる。
【0061】
前記粘着テープを用い2以上の被着体を接着させることによって物品を製造する方法としては、例えばいずれか一方の被着体の表面に前記粘着テープを構成する一方の粘着剤層(A)を貼付した後、他方の粘着剤層(A)の表面に他方の被着体を貼付し、必要に応じてそれらを圧着等させることによって物品を製造することができる。
【0062】
一方、前記物品を解体する方法としては、例えば前記物品を構成する前記粘着テープまたは前記被着体を加熱することで、前記粘着テープを直接または間接的に加熱し、前記被着体同士を分離することによって前記物品を解体する方法が挙げられる。
【0063】
前記加熱方法としては、例えば活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
【0064】
前記活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、可視光線、α線、β線、ガンマ線等が挙げられる。
【0065】
また、前記レーザー光線としては、市販されるレーザー照射装置によって照射可能なものが挙げられる。
【0066】
前記活性エネルギー線やレーザー光線は、前記部材の一部または全部が透明である場合には、前記部材を介して前記粘着テープに照射してもよい。
【0067】
前記活性エネルギー線やレーザー光線が照射されることによって、前記粘着テープを構成する粘着剤層が、軟化、発熱、または、架橋等することによって、その粘着力を著しく低下させる。
【0068】
また、前記加熱方法としては、ハロゲンランプを用いる方法が好適である。前記ハロゲンランプは、前記粘着テープに接近または接触させてもよく、被着体にハロゲンランプを接近または接触させることによって前記粘着テープを間接的に加熱してもよい。例えば、前記粘着テープの端部が前記被着体の端部よりも外側に出ている場合、前記粘着テープの端部にハロゲンランプを接近または接触させてもよい。
【0069】
前記加熱工程では、例えばハロゲンランプを備えた加熱装置を用いた場合であれば、前記粘着テープの温度が80℃〜130℃になるまで加熱することが好ましく、85℃〜125℃になるまで加熱することがより好ましく、90℃〜120℃になるまで加熱することがさらに好ましい。また、前記加熱は20秒以内であることが好ましく、15秒以内であることがより好ましく、10秒以内であるという比較的短時間に行うことがさらに好ましい。
【0070】
また、ハロゲンランプを備えた加熱装置としては、例えば一定面積を短時間で加熱可能な「平行光型ハロゲンランプヒーター」、局所的な加熱が可能な集光型ハロゲン型ランプ等を使用することができ、平行光型ハロゲンランプヒーターを使用することが、広い範囲を一度に加熱することができるため、加熱時間を上記した時間にまで短縮することができる。
【0071】
前記平行光型ハロゲンランプヒーターが一度に加熱可能な面積は、10cm
2〜500cm
2程度であることが好ましい。また、平行光型ハロゲンランプヒーター等の加熱装置は、携帯可能な大きさ及び重さであることが、上記物品の解体作業の効率化を向上させるうえで好ましい。前記重さは、3kg以下であることが好ましく、2kg以下であることが好ましく、0.1kg〜1kgであることがさらに好ましい。
【0072】
前記方法で加熱された前記物品は、それを構成する2以上の被着体に対しほとんど力を加えずとも、または、弱い力を加えることによって容易に解体される。前記被着体の表面には、前記粘着テープ由来の糊残りがほとんどないため、前記被着体をリサイクル等に使用することができる。
【0073】
本発明の粘着テープは、20℃〜60℃程度の温度領域下において非常に優れた接着力を有するため、例えばコピー機能やスキャン機能を備えた複写機や複合機等の電子機器を構成する透明天板と、そのきょう体との固定に使用することができる。
【0074】
前記透明天板としては、一般のコピー機能やスキャン機能を搭載した複写機や複合機に設置される透明天板を使用することができる。
【0075】
前記透明天板としては、例えばガラスまたはプラスチックからなる透明板状剛体を使用することができる。前記プラスチックとしては、例えばアクリル板、ポリカーボネート板等を使用することができる。
【0076】
前記透明天板としては、それが設置される複写機等の形状に合ったものを使用できるが、通常は、正方形または長方形であるものを使用することが好ましい。
【0077】
前記粘着テープは、例えば長方形の前記透明天板であれば、対向する2辺の端部に沿って、貼付されることが好ましい。その際、前記粘着テープは、前記透明天板の辺の長さに対応した覆記載に裁断したものを使用できるが、例えば幅が0.5mm〜20mmで、長さが0.1mm〜2.0mmであるものを使用することが好ましい。
【0078】
また、本発明の粘着テープは、もっぱら、携帯電子機器を構成する部材の固定に使用することができる。前記部材としては、例えば電子機器を構成する2以上のきょう体またはレンズ部材が挙げられる。
【0079】
前記携帯電子機器としては、例えば前記部材としてきょう体と、レンズ部材またはその他きょう体の一方とが、前記熱解体性粘着テープを介して接合された構造を有するものが挙げられる。
【0080】
前記粘着テープを用いて接合された携帯電子機器は、優れた接着力を有し、かつ、防水性にも優れることから、産業界で好適に使用することが可能である。
【0081】
以下に実施例により具体的に説明する。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
重量平均分子量30万のスチレン−ブタジエンブロック共重合体S(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は50質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は30質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は70質量%)100質量部、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)65質量部、マツモトマイクロスフィアーF−48(松本油脂製薬株式会社製、120℃における熱膨張率が370%、膨張開始温度90℃〜100℃、最大膨張温度125℃〜135℃、平均粒子径(膨張前)9μm〜15μm)を16.5質量部を混合したものを、トルエンに溶解することによって粘着剤(A1)を得た。前記粘着剤(A1)を、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが60μmとなるように、離型ライナーの表面に塗布し、85℃で5分間乾燥させることによって粘着剤層を形成した。前記粘着剤層の暴露している面側を剥離ライナーと貼り合わせることで粘着テープを作製した。
【0083】
(実施例2)
テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の使用量を65質量部から75質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0084】
(実施例3)
マツモトマイクロスフィアーF−48(松本油脂製薬株式会社製、120℃における熱膨張率が370%、膨張開始温度90℃〜100℃、最大膨張温度125℃〜135℃、平均粒子径(膨張前)9μm〜15μm)の使用量を16.5質量部から35質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0085】
(実施例4)
粘着剤層の厚さを60μmから100μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0086】
(実施例5)
スチレン−ブタジエンブロック共重合体Sに代えて、重量平均分子量30万のスチレン−ブタジエンブロック共重合体T(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は40質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は27質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は83質量%)を使用したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0087】
(実施例6)
スチレン−ブタジエンブロック共重合体Sに代えて、重量平均分子量30万のスチレン−ブタジエンブロック共重合体U(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は20質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は20質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は80質量%)を100質量部、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)に代えて、C5石油系粘着付与樹脂(軟化点100℃、数平均分子量885)40質量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0088】
(実施例7)
マツモトマイクロスフィアーF−48の代わりにマイクロスフィアーエクスパンセル053−40(日本フィライト株式会社製、120℃における熱膨張率が350%、膨張開始温度96℃〜103℃、最大膨張温度138℃〜146℃、平均粒子径(膨張前)10μm〜16μm)を16.5質量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0089】
(比較例1)
重量平均分子量30万のスチレン−ブタジエンブロック共重合体V(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は20質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は30質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は70質量%)を、トルエンに溶解することによって粘着剤(A2)を得た。前記粘着剤(A2)を、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが60μmとなるように、離型ライナーの表面に塗布し、85℃で5分間乾燥させることによって粘着剤層を形成した。前記粘着剤層の暴露している面側を剥離ライナーと貼り合わせることで粘着テープを作製した。
【0090】
(比較例2)
(粘着剤(A3)の調製)
攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート44.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸2質量部、酢酸ビニル3質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.1質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、70℃で10時間重合することによって、重量平均分子量80万のアクリル系共重合体X溶液を得た。
【0091】
次に、アクリル系共重合体X100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(軟化点125℃、数平均分子量880)30質量部を添加し、酢酸エチルを加えて混合することによって、不揮発分45質量%のアクリル粘着剤を得た。
【0092】
前記アクリル粘着剤100質量部に対し、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.1質量部、マツモトマイクロスフィアーF−48(松本油脂製薬株式会社製、120℃における熱膨張率が370%、膨張開始温度90℃〜100℃、最大膨張温度125℃〜135℃、平均粒子径(膨張前)9μm〜15μm)を16.5質量部混合し15分攪拌して得たアクリル粘着剤(A3)を、アプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが60μmになるように、セパレーター上に塗布し、85℃下で5分間乾燥することによって粘着剤層を形成した。前記粘着剤層の暴露している面側を剥離ライナーと貼り合わせることで粘着テープを作製した。
【0093】
(比較例3)
(粘着剤(A4)の調製)
攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に表1の組み合わせのモノマー配合100質量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、80℃で8時間重合してアクリル共重合体Y溶液を得た。
【0094】
次に、アクリル共重合体Y100質量部に対し、ロジンエステル系樹脂A−100(荒川化学工業株式会社製)を10質量部、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−135(荒川化学工業株式会社製)を20質量部添加し、トルエンで希釈混合することによって不揮発分45質量%の粘着剤(A4)を得た。
【0095】
前記粘着剤(A4)100質量部に対し、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.1質量部、マツモトマイクロスフィアーF−48(松本油脂製薬株式会社製、120℃における熱膨張率が370%、膨張開始温度90℃〜100℃、最大膨張温度125℃〜135℃、平均粒子径(膨張前)9μm〜15μm)を16.5質量部(粘着剤樹脂に対して10質量%)混合し15分攪拌したものを、アプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが60μmになるように、セパレーター上に塗布し、85℃下で5分間乾燥することによって粘着剤層を形成した。前記粘着剤層の暴露している面側を剥離ライナーと貼り合わせることで粘着テープを作製した。
【0096】
(比較例4)
マイクロスフィアーF−48(松本油脂製薬株式会社製、120℃における熱膨張率が370%、膨張開始温度90℃〜100℃、最大膨張温度125℃〜135℃、平均粒子径(膨張前)9μm〜15μm)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0097】
〔粘着剤層の動的粘弾性測定〕
作製例及び比較作製例で得た粘着テープの製造に使用した粘着成分(ゴム系ブロック共重合体またはアクリル系共重合体と粘着付与樹脂との合計)を、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが100μmとなるように、離型ライナーの表面に塗布し、85℃で5分間乾燥させることによって、厚さ100μmの粘着剤層を、それぞれ複数枚形成した。
【0098】
次に、同一の粘着剤を用いて得た粘着剤層を重ねあわせることによって、厚さ2mmの粘着剤層からなる試験片を、それぞれ作成した。
【0099】
ティ・エイ・インスツルメントジャパン社製の粘弾性試験機(アレス2kSTD)に、直径7.9mmのパラレルプレートを装着した。前記試験片を、前記パラレルプレートで圧縮荷重40〜60gで挟み込み、周波数1Hz、温度領域−60〜150℃、及び、昇温速度2℃/minの条件で、23℃下での貯蔵弾性率(G
23)及び120℃下での貯蔵弾性率(G
120)を測定した。
【0100】
〔23℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力の測定方法〕
上記180度引き剥がし接着力は、JIS Z 0237に従い測定した。具体的には、実施例及び比較例で得た粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちした。
【0101】
前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層にステンレス板(BA−SUS304)に貼り合わせたものを試験片3とした。
【0102】
前記試験片3を、23℃及び50%RH環境下で30分放置した後、23℃温度環境下で、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片3を構成する両面粘着テープを、ポリカーボネート板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定した。
【0103】
〔120℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力の測定方法〕
上記180度引き剥がし接着力は、JIS Z 0237に従い測定した。具体的には、実施例及び比較例で得た粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちした。
【0104】
前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層にステンレス板(BA−SUS304)に貼り合わせたものを試験片3とした。
【0105】
前記試験片3を、60℃環境下で100時間放置した後、120℃の温度環境下に10分放置した後、120℃下でテンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片3を構成する両面粘着テープを、ステンレス板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定した。
【0106】
〔長期放置後の23℃におけるステンレス板に対する180°引き剥がし接着力の測定方法(経時)〕
上記180度引き剥がし接着力は、JIS Z 0237に従い測定した。具体的には、実施例及び比較例で得た粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちした。
【0107】
前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層にステンレス板(BA−SUS304)に貼り合わせたものを試験片3とした。
【0108】
前記試験片3を、60℃環境下で100時間放置した後、23℃の温度環境下に30分放置した後、23℃下で、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片3を構成する両面粘着テープを、ステンレス板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定した。
【0109】
<貼付直後の接着性の評価方法>
実施例及び比較例で得た粘着テープを、1辺(外形)の長さが20mmの正方形状に裁断した。前記裁断して得た粘着テープ202の一方の粘着剤層の表面に、長さ100mm、幅30mm及び厚さ1mmの大きさで、脱脂処理した平滑な表面を有するSUS板201を貼付した。
【0110】
次に、前記粘着テープ202の他方の粘着剤層の表面に、上記SUS板201とは別のSUS板201’の脱脂処理された平滑な表面を貼付し、5kg荷重ローラーを1往復させ加圧したものを、23℃環境下に1時間放置したものを試験片とした。
【0111】
前記試験片を構成するSUS板201を水平に固定し、その垂直上方向におよそ1kgの力でSUS板201’を手で引っ張ることによって、前記SUS板同士が接着しているかを評価した。
【0112】
○:2枚のSUS板を分離することができず、強固に接着していた。
【0113】
×:2枚のSUS板を分離することができた。
【0114】
<一定期間経過後の接着性の評価方法>
実施例及び比較例で得た粘着テープを、1辺(外形)の長さが20mmの正方形状に裁断した。前記裁断して得た粘着テープ202の一方の粘着剤層の表面に、長さ100mm、幅30mm及び厚さ1mmの大きさで、脱脂処理した平滑な表面を有するSUS板201を貼付した。
【0115】
次に、前記粘着テープ202の他方の粘着剤層の表面に、上記SUS板201とは別のSUS板201’の脱脂処理された平滑な表面を貼付し、5kg荷重ローラーを1往復させ加圧したものを、60℃環境下に100時間放置したものを試験片とした。
【0116】
前記試験片を構成するSUS板201を水平に固定し、その垂直上方向におよそ2kgの力でSUS板201’を手で引っ張ることによって、前記SUS板同士が接着しているかを評価した。
【0117】
○:2枚のSUS板を分離することができず、強固に接着していた。
【0118】
×:2枚のSUS板を分離することができた。
【0119】
<解体性の評価方法>
実施例及び比較例で得た粘着テープを、1辺(外形)の長さが20mmの正方形状に裁断した。前記裁断して得た粘着テープ202の一方の粘着剤層の表面に、長さ100mm、幅30mm及び厚さ1mmの大きさで、脱脂処理した平滑な表面を有するSUS板201を貼付した。
【0120】
次に、前記粘着テープ202の他方の粘着剤層の表面に、上記SUS板201とは別のSUS板201’の脱脂処理された平滑な表面を貼付し、5kg荷重ローラーを1往復させ加圧したものを、60℃環境下に100時間放置したものを試験片とした。
【0121】
前記試験片を、120℃環境下に10分放置したものを23℃下に取り出し、前記取り出した時から15秒以内にSUS板201及び201’の両端をそれぞれの手で持ち、垂直方向に引き剥がすことを試みた際のSUS板の分離し易さを以下の基準で評価した。
【0122】
○:SUS板201及び201’の両端を手で持つ時点で、既にSUS板201及び201’が分離し、上記試験片が解体されていた。
【0123】
△:SUS板201及び201’に、垂直上方向におよそ0.5kgの力を加えたことによってそれらを分離することができ、前記試験片を解体することができた。
【0124】
×:垂直上方向におよそ1kgの力を加えても、SUS板201及び201’を分離することができず、前記試験片を解体することができなかった。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】