(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水酸基を有するポリウレタンと、ポリイソシアネートとを含有する2液硬化型組成物を、離型ライナーの表面に塗工及び乾燥し反応させることによって、引張速度300mm/分で引っ張ることで測定された引張破断伸度が450%以上で、かつ、引張破断強度が2000N/cm2以上であるポリウレタンフィルム(a1)を製造する工程、及び、前記ポリウレタンフィルム(a1)の少なくとも一方の面に、粘着剤層(B)を設ける工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の粘着シートは、ポリウレタン基材(A)の片面または両面に、歪み量100%における応力−歪み曲線に基づく引張強さが6N/cm
2以上である粘着剤層(B)を有することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の粘着シートを構成する粘着剤層(B)としては、歪み量100%における応力−歪み曲線に基づく引張強さが6N/cm
2以上であるものを使用する。
【0018】
ここで、前記引張強さは、厚さ50μmの粘着剤層を積層することによって得た厚さ約400μm、標線間隔2cm及び幅1cmの粘着剤層からなる試験片を、温度23℃及び湿度50%の測定環境下で、引張試験機を用い、引張速度300mm/分で引張試験することによって測定される応力−歪み曲線(いわゆる、S−Sカーブ)において、歪み量が100%であるときの引張強さを指す。
【0019】
ここで、前記引張強さが6N/cm
2未満である粘着剤層を備えた粘着シートでは、優れたピール接着力と優れたプッシュ強度とを両立することができない場合や、実用上十分な静荷重保持力を発現できない場合がある。
【0020】
前記引張強さの上限は、特に制限ないが、30N/cm
2以下であることが好ましく、25N/cm
2以下であることがより好ましく、20N/cm
2以下であることが、ピール接着力とプッシュ強度と静荷重保持力等をはじめとする粘着シートの性能をバランスよく発現させるうえでさらに好ましい。
【0021】
前記粘着剤層(B)としては、1μm〜150μmの厚さを有するものを使用することが好ましく、5μm〜100μmの厚さを有するものを使用することがより好ましく、10μm〜80μmの厚さを有するものを使用することがさらに好ましい。
【0022】
前記粘着剤層(B)は、各種粘着剤を用い形成することができる。なかでも、前記粘着剤層(B)としては、例えば、アクリル重合体(b1)、粘着付与樹脂(b2)及び架橋剤(b3)を含有する粘着剤を用いて形成される粘着剤層であることが、特定の引張強さを備えた粘着剤層を形成するうえで好ましい。
【0023】
また、前記粘着剤層(B)としては、歪み量500%における応力−歪み曲線に基づく引張強さが12N/cm
2以上のものを使用することが好ましく、13N/cm
2以上のものを使用することがより好ましく、15N/cm
2以上のものを使用することがさらに好ましく、17N/cm
2以上のものを使用することがさらに好ましく、19N/cm
2以上のものを使用することが特に好ましい。また、上記引張強さの上限は、70N/cm
2以下であることが好ましく、65N/cm
2以下のものを使用することがより好ましい。上記範囲の歪み量500%における応力−歪み曲線に基づく引張強さを有する粘着剤層を使用することによって、ピール接着力とプッシュ強度と静荷重保持力および耐衝撃性等をはじめとする粘着シートの性能をバランスよく発現させるうえでより好ましい。
【0024】
前記粘着剤に含まれていてもよい前記アクリル重合体(b1)としては、粘着剤層(B)の引張強さを特定範囲に設定し、その結果、より一層優れたピール接着力と優れたプッシュ強度と優れた静荷重保持力と良好な耐衝撃性とを備えた粘着剤層を形成するうえで、1〜50の範囲の酸価を有するものを使用することが好ましく、10〜50の範囲の酸価を有するものを使用することがより好ましく、25〜40の範囲の酸価を有するものを使用することがさらに好ましい。また、前記酸価は、もっぱらカルボキシル基に由来した酸価であることが好ましい。なお、前記酸価は、前記アクリル重合体(b1)溶液中に存在する酸基を中和するのに要した水酸化カリウムのmgを指す。
【0025】
また、前記アクリル重合体(b1)としては、より一層優れたピール接着力と優れたプッシュ強度と優れた静荷重保持力とを備えた粘着剤層を形成するうえで、脂肪族環式構造を有するものを使用することが好ましい。
【0026】
前記脂肪族環式構造としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、プロピルシクロヘキシル基、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デシル基、ビシクロ〔4,3,0〕−ノニル基、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデシル基、プロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデシル基、ノルボルネン基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基等が挙げられるが、なかでもシクロヘキシル基、ノルボルネン基、イソボルニル基、アダマンチル基であることが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを有する粘着シートを得るうえで好ましい。
【0027】
また、前記アクリル重合体(b1)としては、80万以上の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、100万以上の重量平均分子量を有するものを使用することが、より一層優れたピール接着力と優れたプッシュ強度と優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえでより好ましく、100万〜300万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがさらに好ましく、100万〜220万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが、粘着剤層(B)の引張強さを特定範囲に設定でき、その結果、優れたピール接着力と優れたプッシュ強度と静荷重保持力とを両立した粘着シートを得るうえでさらに好ましい。なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算での重量平均分子量である。
【0028】
前記GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算した値である。
【0029】
サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:100μl
溶離液:THF
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
スタンダードポリスチレン分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
【0030】
前記アクリル重合体(b1)としては、−15℃以下のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましく、−55℃〜−20℃のガラス転移温度を有するものを使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度と優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえでより好ましい。なお、前記ガラス転移温度は、FOXの式によって算出される計算値を指す。
【0031】
前記アクリル重合体(b1)は、前記粘着剤層(B)の全体に対して、50質量%〜95質量%含まれることが好ましく、60質量%〜90質量%含まれることが、良好な塗工作業性を維持するうえでより好ましい。
【0032】
前記アクリル重合体(b1)としては、後述するビニル単量体成分が重合反応することによって形成される各単量体に由来する構造単位を有するものを使用することが好ましい。前記構造単位としては、例えば下記一般式(1)が挙げられる。
【0033】
前記式(1)中のX及びRは、後述するビニル単量体に対応した官能基を指し、Xは水素原子またはメチル基、Rは水素原子、アルキル基、アルカノール基等が挙げられる。たとえばn−ブチルアクリレートであれば、Xは水素原子及びRはn−ブチル基であり、4−ヒドロキシブチルアクリレートであれば、Xは水素原子及びRは−CH
2CH
2CH
2CH
2OH基であり、アクリル酸であれば、X及びRは水素原子である。
【0034】
前記ビニル単量体成分としては、所定の引張強さを備えた粘着剤層を形成するうえで、N−ビニル−2−ピロリドン等の窒素原子を有するビニル単量体や酢酸ビニルやスチレン等の(メタ)アクリル単量体以外のビニル単量体の含有量が、前記ビニル単量体成分の全量に対して、合計5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であるビニル単量体混合物を使用することができる。
【0035】
また、前記ビニル単量体成分としては、所定の引張強さを備えた粘着剤層を形成するうえで、前記ビニル単量体成分の全量に対する、ホモポリマーのガラス転移温度が100℃以上のアルキル(メタ)アクリレートの含有割合が合計1質量%以下であるものを使用することが好ましく、0.5質量%以下であるものを使用することがより好ましく、0.1質量%以下であるものを使用することが特に好ましい。前記ガラス転移温度が100℃以上のアルキル(メタ)アクリレートの具体例としてはメチルメタクリレートが挙げられる。
【0036】
前記ビニル単量体としては、例えば水酸基を有するビニル単量体、酸基を有するビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0037】
前記アクリル重合体(b1)を製造する際に使用できる水酸基を有するビニル単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリル、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体を使用することができる。
【0038】
なかでも、前記水酸基を有するビニル単量体としては、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を使用した場合と比較して、所定の引張強さを備えた粘着剤層を形成しやすく、その結果、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえより好ましい。
【0039】
前記水酸基を有するビニル単量体は、前記単量体成分の全量に対して0.01質量%〜0.2質量%の範囲で使用することが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%未満の範囲で使用することがより好ましく、0.02質量%〜0.08質量%の範囲で使用することが、粘着剤層(B)の引張強さを特定範囲に設定し、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0040】
前記アクリル重合体(b1)を製造する際に使用できる前記酸基を有するビニル単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニル単量体、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基を有する(メタ)アクリル単量体等を使用することができる。なかでも、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体を使用することが好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸を使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえより好ましい。
【0041】
前記酸基を有するビニル単量体は、前記アクリル重合体(b1)の酸価が所定の好ましい範囲となる量であれば特に限定されないが、前記単量体成分の全量に対して1質量%〜30質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜15質量%の範囲で使用することより好ましく、1質量%〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、2.5質量%〜7質量%の範囲で使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえでさらに好ましい。
【0042】
また、前記アクリル重合体(b1)を製造する際には、脂肪族環式構造をアクリル重合体(b1)に導入するうえで、前記ビニル単量体成分として脂肪族環式構造を有するビニル単量体を使用することが好ましい。
【0043】
前記脂肪族環式構造を有するビニル単量体としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することが好ましく、シクロヘキシルアクリレートを使用することがより好ましい。
【0044】
前記脂肪族環式構造を有するビニル単量体は、前記ビニル単量体成分の全量に対して、0.5質量%〜30質量%の範囲で使用することが、所定の引張強さを備えた粘着剤層を形成しやすく、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえで好ましく、4質量%〜25質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0045】
前記アクリル重合体(b1)の製造に使用可能なビニル単量体成分としては、前記したものの他に、必要に応じてその他の単量体を使用することができる。
【0046】
前記その他のビニル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0047】
前記その他のビニル単量体としては、前記したなかでも、アルキル基の炭素原子数が4〜12であるアルキル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0048】
前記その他のビニル単量体として使用可能な前記アルキル(メタ)アクリレートのうち、アルキル基の炭素原子数が4〜12であるアルキル(メタ)アクリレートは、前記アクリル重合体(b1)の製造に使用する単量体成分の全量に対して40質量%〜98質量%の範囲で使用することが好ましく、50質量%〜98質量%の範囲で使用することがより好ましく、53質量%〜96質量%の範囲で使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0049】
前記n−ブチルアクリレートは、前記単量体成分の全量に対して40質量%〜98質量%の範囲で使用することが好ましく、50質量%〜98質量%の範囲で使用することがより好ましく、53質量%〜96質量%の範囲で使用することがより好ましく、53質量%〜80質量%の範囲で使用することが、所定の引張強さを備えた粘着剤層を形成しやすく、その結果、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とを備えた粘着シートを得るうえでさらに好ましい。
【0050】
前記2−エチルヘキシルアクリレートは、前記単量体成分の全量に対して0質量%〜58質量%の範囲で使用することが好ましく、3質量%〜45質量%の範囲で使用することがより好ましく、5質量%〜40質量%の範囲で使用することがより好ましく、10質量%〜40質量%の範囲で使用することが、所定の引張強さを備えた粘着剤層を形成しやすいだけでなく、被着体への初期密着性が優れるため、その結果、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力とより一層優れた絶縁性を備えた粘着シートを得るうえでさらに好ましい。
【0051】
また、前記アクリル重合体(b1)の製造に使用可能なその他のビニル単量体としては、例えばアミド基を有するアクリル単量体、アミノ基を有する(メタ)アクリル単量体、イミド基を有する(メタ)アクリル単量体等の窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0052】
前記アミド基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等を使用することができる。
【0053】
前記アミノ基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0054】
前記イミド基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えばシクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド等を使用することができる。
【0055】
前記その他のビニル単量体としては、前記した以外に、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有アクリル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0056】
前記アクリル重合体(b1)は、例えば有機溶剤の存在下に、前記単量体成分を供給しそれらをラジカル重合させることによって製造することができる。具体的には、前記アクリル重合体(b1)は、前記単量体成分と重合開始剤と、有機溶剤とを、好ましくは40℃〜90℃の温度下で混合、攪拌し、ラジカル重合させることによって製造することができる。前記単量体成分は、一括して供給してもよく、分割して供給してもよい。
【0057】
前記重合開始剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロキシパーオキサイド等の過酸化物や、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾ化合物等を使用することができる。前記重合開始剤の使用量は、前記単量体成分の全量に対して0.01質量%〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0058】
本発明で使用することのできる粘着剤としては、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力を備えた粘着シートを得るうえで、粘着付与樹脂(b2)を含有するものを使用することが好ましい。
【0059】
前記粘着付与樹脂(b2)としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系粘着付与樹脂等を使用することができる。
【0060】
なかでも、前記粘着付与樹脂(b2)としては、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂及びテルペンフェノール系粘着付与樹脂からなる群より選ばれる2種以上を組み合わせ使用することが、前記アクリル重合体(b1)との相溶性に優れ、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力を備えた粘着シートを得るうえで好ましく、3種以上がより好ましい。
【0061】
前記粘着付与樹脂(b2)の軟化点は100℃以上が好ましく、120℃〜170℃の範囲のものを使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力を備えた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0062】
前記粘着付与樹脂(b2)は、前記アクリル重合体(b1)100質量部に対して、5質量部〜60質量部の範囲で使用することが好ましく、10質量部〜50質量部の範囲で使用することが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力を備えた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0063】
また、前記粘着剤としては、より一層優れた凝集力を備えた粘着剤層を形成するうえで、架橋剤(b3)を含有するものを使用することが好ましい。
【0064】
前記架橋剤(b3)としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等を使用することができる。なかでも、前記架橋剤としては、予め製造した前記アクリル重合体(b1)またはその溶液と、混合して使用しやすく、かつ、速やかに架橋反応を進行させることのできる架橋剤を使用することが好ましく、具体的には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を使用することがより好ましい。
【0065】
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネート等を使用することができる。なかでも、前記イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネート等を使用することが好ましい。
【0066】
前記架橋剤(b3)を含有する粘着剤を用いて形成された粘着剤層(B)の架橋度合いの指標としては、粘着剤層(B)をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値が挙げられる。前記ゲル分率としては、20質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、30質量%〜70質量%の範囲であることがより好ましく、35質量%〜65質量%の範囲であることさらに好ましく、45質量%〜65質量%の範囲であることがさらに好ましく、50質量%〜65質量%の範囲であることが、より一層優れたピール接着力とより一層優れたプッシュ強度とより一層優れた静荷重保持力を備えた粘着シートを得るうえで特に好ましい。
【0067】
なお、前記ゲル分率は、下記に示す方法で測定した値を指す。
【0068】
任意の剥離ライナーの片面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤を塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃で2日エージングすることによって粘着剤層を形成する。それを50mm角に切り取ったものを試料とする。
【0069】
次に、上記試料の質量(G1)を測定した後、前記試料をトルエン溶液中に23℃で24時間浸漬する。前記浸漬後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求める。
【0070】
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0071】
前記粘着剤としては、前記したものの他に、必要に応じてその他の成分を含有するものを使用することができる。
【0072】
前記その他の成分としては、例えば可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、難燃剤、ガラスやプラスチック製の繊維やバルーンやビーズ、金属、金属酸化物、金属窒化物等の充填剤、顔料や染料等の着色剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の添加剤を使用することができる。
【0073】
また、前記粘着剤としては、良好な塗工作業性を付与するうえで、前記アクリル重合体(b1)の他に、必要に応じて溶媒を含有するものを使用することが好ましい。前記溶媒としては、例えば有機溶剤、水等の水性媒体等が挙げられる。
【0074】
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン、3−ペンタノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を使用することができる。
【0075】
本発明の粘着シートとしては、ポリウレタン基材(A)の片面側または両面側に前記粘着剤層(B)を備えた粘着シートが挙げられる。
【0076】
前記粘着シートを構成するポリウレタン基材(A)としては、例えばフィルムまたはシート状の基材を使用することができ、例えばポリウレタンフィルム(a1)、ポリウレタン発泡体(a2)等を使用することができる。ポリウレタン基材(A)としては、ポリウレタン発泡体を使用することが、良好な耐衝撃性等を備えた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0077】
前記ポリウレタンフィルム(a1)としては、実質的に非発泡であるフィルム状のものを使用することができ、引張速度300mm/分で引っ張ることによって測定された引張破断伸度が450%以上であり、かつ、引張破断強度が2000N/cm
2以上であるものを使用することが、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得ることができるため好ましい。
【0078】
前記引張破断伸度は、450%以上であることが好ましく、600%以上であることが、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえでより好ましい。前記引張破断伸度の上限は、1000%であることが好ましい。
【0079】
また、前記引張破断強度は、2000N/cm
2以上であることが好ましく、2500N/cm
2以上であることが、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0080】
前記ポリウレタンフィルム(a1)としては、厚さ200μm以下のものを使用することが好ましく、1μm〜200μmであるものを使用することがより好ましく、3μm〜150μmであるものを使用することがさらに好ましく、10μm〜130μmであるものを使用することが特に好ましい。なお、前記ポリウレタンフィルム(a1)の厚さは、前記ポリウレタンフィルム(a1)のうち無作為に選択した5か所の厚さを測定して得た値の平均値である。前記範囲の厚さの前記ポリウレタンフィルム(a1)を使用することによって、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得ることができる。
【0081】
前記ポリウレタンフィルム(a1)としては、例えば、水酸基を有するポリウレタンと、ポリイソシアネートと、必要に応じて溶媒を含有する、いわゆる2液硬化型組成物を用いて形成されたポリウレタンフィルムを使用することが、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0082】
2液硬化型組成物に使用可能な前記水酸基を有するポリウレタンとしては、例えばポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
【0083】
前記水酸基を有するポリウレタンの製造に使用可能なポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環族ポリイソシアネート、カルボジイミド基を有するポリイソシアネート、アロファネート基を有するポリイソシアネート、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート等を使用することができる。
【0084】
なかでも、前記ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用することが、前記所定の引張破断伸度及び引張破断強度を備え、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0085】
前記水酸基を有するポリウレタンの製造に使用可能なポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールを、単独または2種以上組み合わせ使用することができ、ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
【0086】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸とポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
【0087】
前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、o−フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸等を使用することができる。
【0088】
また、前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能なポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等を使用することができる。
【0089】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、γ−ブチロラクトンやε−カプロラクトン等の開環重合物、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール等を使用することもできる。
【0090】
前記ポリエステルポリオールとしては、脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
【0091】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前記ポリオールやポリアミン等を開始剤とし、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合して得られるものを使用することができる。
【0092】
前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば前記したポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの共重合物等を使用することができる。
【0093】
また、前記ポリオールとしては、分子量が60〜140の低分子量のポリオールを使用することもできる。前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグリコシド等を使用することができ、1,4−ブタンジオールを使用することが、前記所定の引張破断伸度及び引張破断強度を備え、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0094】
前記2液硬化型組成物において前記水酸基を有するポリウレタンと組み合わせ使用可能なポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環族ポリイソシアネート、カルボジイミド基を有するポリイソシアネート、アロファネート基を有するポリイソシアネート、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、及び、それらのアダクト体等を使用することができる。
【0095】
なかでも、前記ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましく、トリレンジイソシアネートや、そのトリメチロールプロパンアダクト
を使用することが、前記所定の引張破断伸度及び引張破断強度を備え、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえでより好ましい。
【0096】
前記ポリウレタンフィルム(a1)としては、必要に応じて添加剤や溶媒を含有する2液硬化型組成物を使用することができる。
【0097】
前記溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類などを使用することができる。
【0098】
前記フィルム基材(A)は、例えば、必要に応じて上記添加剤や溶媒等を含有する2液硬化型組成物を、離型シートの表面に塗工し乾燥等することによって製造することができる。
【0099】
前記2液硬化型組成物としては、前記樹脂等と有機溶剤とを含有する組成物、前記樹脂等と水性媒体とを含有する組成物、実質的に前記溶媒を含有しない無溶剤型の組成物等を使用することができる。なかでも、前記2液硬化型組成物としては、前記所定の引張破断伸度及び引張破断強度を備え、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、被着体に対する追従性に優れ、かつ、絶縁性に優れた粘着シートを得るうえで、前記ポリイソシアネートとポリオールと溶媒とを含有するものを使用することがより好ましい。
【0100】
前記2液硬化型組成物を用い、前記ポリウレタンフィルム(a1)を形成する方法としては、例えば前記水酸基を有するポリウレタンと溶媒とを含有する組成物、及び、前記ポリイソシアネートを混合して得た2液硬化型組成物を、コンマコーター法で離型フィルムの表面に塗工する工程、前記塗工物を温度140℃環境下で乾燥させることで、前記2液硬化型組成物に含まれる溶媒を揮発させる工程、前記塗工物を温度40℃、相対湿度50%環境下で72時間程度養生し反応させる工程を有する方法が挙げられる。
【0101】
また、前記ポリウレタン基材(A)に使用可能な前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、例えば流れ方向の平均気泡径が30μm〜200μmの範囲であり、幅方向の平均気泡径が30μm〜200μmであり、厚さ方向の平均気泡径が30μm〜200μmの範囲であり、厚さ方向の平均気泡径に対する流れ方向の平均気泡径の比(x)が0.67〜2.0の範囲であり、かつ、厚さ方向の平均気泡径に対する幅方向の平均気泡径の比(y)が0.67〜2.0の範囲である気泡を有するポリウレタン発泡体を使用することができる。上記特定のポリウレタン発泡体(a2)を使用することによって、従来と比較して薄型または細幅であってもより一層優れた耐衝撃性や絶縁性や被着体への追従性等を備えた粘着シートを得ることができる。
【0102】
前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、流れ方向と幅方向の平均気泡径が30μm〜150μmの範囲の気泡を有するものを使用することが好ましく、50μm〜135μmの範囲の気泡を有するものを使用することがより好ましい。前記範囲の平均気泡径の気泡を有するポリウレタン発泡体(a2)を使用することによって、従来、薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体に対して良好な追従性を備えた粘着シートを得ることができる。
【0103】
また、前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、厚さ方向の平均気泡径に対する流れ方向の平均気泡径の比(x)、及び、厚さ方向の平均気泡径に対する幅方向の平均気泡径の比(y)が、共に0.8〜1.6の範囲の気泡を有するものを使用することが好ましく、0.85〜1.4の範囲の気泡を有するものを使用することがより好ましい。
【0104】
前記気泡は、扁平状に著しく変形しておらず、比較的、球状(例えば真球に近い形状)を保持していることが好ましい。
【0105】
前記気泡の形状は、前記平均気泡径の比(x)が〔前記平均気泡径の比(y)−0.3〕〜〔前記平均気泡径の比(y)+0.3〕の範囲となる形状であることが好ましく、〔前記平均気泡径の比(y)−0.2〕〜〔前記平均気泡径の比(y)+0.2〕の範囲となる形状であることが、球に近い形状を保持するうえで好ましい。
【0106】
前記範囲の気泡を有するポリウレタン発泡体(a2)は、従来と比較して薄型または細幅であっても前記気泡の形状が扁平状に変形しにくいため、その流れ方向及び幅方向に層間割れしにくい。前記特定のポリウレタン発泡体(a2)を使用することによって、前記粘着シートのせん断方向から力(衝撃)が加わった場合であっても、前記ポリウレタン発泡体(a2)の割れや前記粘着シートの剥がれに起因した被着体の脱落等を引き起こさないレベルの耐衝撃性(せん断方向の力に対する耐衝撃性)を備えた粘着シートを得ることができる。
【0107】
前記ポリウレタン発泡体(a2)が有する前記気泡は、独立気泡構造を有するものであることが、前記ポリウレタン発泡体(a2)の切断面からの浸水等を効果的に防止し優れた防水性を付与するうえで好ましい。
【0108】
なお、前記ポリウレタン発泡体(a2)の流れ方向の平均気泡径、幅方向の平均気泡径及び厚さ方向の平均気泡径は、下記の方法で測定された値を指す。
【0109】
まず、ポリウレタン発泡体(a2)を流れ方向または幅方向に切断して断面を得る。
【0110】
次に、前記断面を、走査型電子顕微鏡SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製、型式TM300)を用い、倍率300倍で観察することによって、ポリウレタン発泡体(a2)の流れ方向500μm×厚さの範囲、または、幅方向500μm×厚さの範囲を観察する。
【0111】
前記範囲内に含まれるすべての気泡のうち、流れ方向の気泡径が最も大きいものを測定値として、この測定をサンプルの観察範囲が重ならない状態で5回測定する。この5回の気泡径の測定値の平均値を流れ方向の平均気泡径とする。また、前記範囲内に含まれるすべての気泡のうち、厚さ方向の気泡径が最も大きいものを測定値として、この測定をサンプルの観察範囲が重ならない状態で5回測定する。この5回の気泡径の測定の平均値を厚さ方向の平均気泡径とする。また、前記範囲内に含まれるすべての気泡のうち、幅方向の気泡径が最も大きいものを測定値として、この測定をサンプルの観察範囲が重ならない状態で5回測定する。この5回の気泡径の測定の平均値を流れ方向の平均気泡径とする。幅方向の平均気泡径とする。
【0112】
また、前記厚さ方向の平均気泡径に対する流れ方向の平均気泡径の比(x)、及び、厚さ方向の平均気泡径に対する幅方向の平均気泡径の比(y)は、上記方法で測定された平均気泡径の値を用い、それぞれ[流れ方向の平均気泡径/厚さ方向の平均気泡径]及び[幅方向の平均気泡径/厚さ方向の平均気泡径]の式に基づいて算出した。
【0113】
前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、200μm以下の厚さを有するものを使用することが好ましく、30μm〜200μmの範囲の厚さを有するものを使用することが好ましく、50μm〜170μmの範囲であるものを使用することがより好ましく、50μm〜100μmの範囲であるものを使用することが、例えば携帯電子端末の薄型化に貢献可能なレベルの薄さと、前記粘着シートのせん断方向から力(衝撃)が加わった場合であっても前記ポリウレタン発泡体(a2)の割れや前記粘着シートの剥がれに起因した被着体の脱落等を引き起こさないレベルの耐衝撃性(せん断方向の力に対する耐衝撃性)に優れ、被着体が有する段差部に対する良好な追従性を備えた粘着シートを得るうえで特に好ましい。
【0114】
前記ポリウレタン発泡体(a2)の発泡倍率は、1.1〜2.0の範囲であることが好ましく、1.1〜1.5の範囲であることが、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体に対して良好な追従性を備えた粘着シートを得るうえでより好ましい。なお、前記発泡倍率は、ポリウレタン発泡体(a2)の密度の逆数であり、前記密度は、坪量と厚さとに基づいて算出した値を指す。
【0115】
前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、ポリウレタンを用いて得られた発泡体基材のうち、前記所定の厚さ、比(x)及び(y)を有するものであれば、いずれも使用することができる。なかでも、前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、常温(25℃)では固体状であり、加熱等により溶融し液状または粘稠状となるホットメルトポリウレタンまたはそれを含有する組成物を発泡させて得られる発泡体を使用することが好ましく、反応性ホットメルトポリウレタン組成物を発泡させて得られる発泡体基材を使用することがより好ましく、湿気硬化型ホットメルトポリウレタン組成物を発泡させて得られる発泡体基材を使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を有する発泡体基材を形成し、その結果、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえでさらに好ましい。
【0116】
前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、例えば前記ホットメルトポリウレタン組成物を加熱溶融したものと、水等を含む組成物とを混合及び撹拌し発泡させる方法(以下、水発泡法と省略。)によって得られたものを使用することが好ましい。
【0117】
また、前記ホットメルトポリウレタン組成物として湿気硬化型等の反応性ホットメルトポリウレタン組成物を使用する場合、前記ポリウレタン発泡体(a2)としては、反応性ホットメルトポリウレタン組成物を加熱溶融したものと、水等を含む組成物とを混合及び撹拌することで発泡させた後、前記ポリウレタンが湿気硬化反応等させることによって得られる比較的高強度な発泡体構造が保持されたものを使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を保持でき、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえでさらに好ましい。
【0118】
前記ホットメルトポリウレタン組成物としては、例えばポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られたホットメルトポリウレタンを含有するものを使用することができる。湿気硬化型等の反応性ホットメルトポリウレタンとしては、前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られたポリウレタンのうち、分子末端にイソシアネート基や加水分解性アルコキシシリル基等を有するポリウレタンを使用することができる。
【0119】
前記ポリウレタンとして湿気硬化型ポリウレタンであるイソシアネート基を有するポリウレタンを使用する場合、前記ポリウレタンのイソシアネート基当量が1000〜1600であるものを使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を備え、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。なお、前記イソシアネート基当量は、イソシアネート基1モルあたりのポリウレタンの分子量を表す。
【0120】
前記イソシアネート基を有するポリウレタンを製造する場合、前記ポリオールの水酸基に対する前記ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比[前記ポリイソシアネートのイソシアネート基/前記ポリオールの水酸基]が1を超える条件で、前記ポリオール及びポリイソシアネートを反応させることが好ましく、1.1〜5.0の範囲で反応させることがより好ましく、1.5〜3.0の範囲で反応させることが、優れた加工適性と泡もち性、適度な架橋密度を保持し、その結果、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0121】
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
【0122】
なかでも、前記ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールを使用することが好ましく、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを組み合わせ使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を備え、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0123】
前記ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを組み合わせ使用する場合、その質量割合[ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオール]は、15/85〜85/15の範囲であることが好ましく、30/70〜60/40の範囲であることがより好ましく、40/60〜60/40の範囲で使用することが、ポリウレタン発泡体基材層(A)をより一層柔軟化することができ、その結果、薄型であってもより一層優れた耐衝撃性を備えた粘着シートを得ることができるため好ましい。
【0124】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の多価アルコールの1種または2種以上と、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、オキサイド、スチレンオキサイド等の1種または2種以上とを反応させて得られるものを使用することができる。具体的には、前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を使用することができる。
【0125】
なかでも、前記ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を使用することができ、ポリプロピレングリコール、オキシブチレン構造を有するポリオール(具体的にはポリテトラメチレングリコール(ポリテトラヒドロフラン))等を使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を備え、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0126】
前記ポリテトラメチレングリコールは、前記ポリエーテルポリオールの全量に対して20質量%以上の範囲で使用することが好ましく、50質量%〜100質量%の範囲で使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を備え、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0127】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸とポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
【0128】
前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、o−フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸等を使用することができる。
【0129】
また、前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能なポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等を使用することができる。
【0130】
また、前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能なポリオールとしては、ビスフェノール化合物にアルキレンオキサイドが付加したポリオールを使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を備え、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0131】
前記ビスフェノール化合物としては、例えばビスフェノールA等が挙げられる。また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが挙げられる。前記アルキレンオキサイドは、前記ビスフェノール化合物1モルに対して1モル〜10モル付加することが好ましく、2モル〜8モル付加するものが好ましい。
【0132】
また、前記ホットメルトポリウレタンの製造に使用可能なポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、一部をカルボジイミド化されたジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。なかでも、前記ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)備え、従来と比較して薄型または細幅であっても耐衝撃性や絶縁性に優れ、かつ、被着体への追従性に優れた粘着シートを得るうえで好ましい。
【0133】
前記ポリウレタンは、例えば前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとを反応させることによって製造することができる。その際、前記ポリオールは、予め脱水処理したものを使用することが好ましい。
【0134】
前記ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、無溶剤下で行っても有機溶剤中で行ってもよいが、水発泡法等によって発泡させる前に脱溶剤等することが好ましい。前記有機溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルエチルケトン、トルエン等を使用することができる。前記脱溶剤法としては、減圧下で加熱する方法等が挙げられる。
【0135】
前記方法で得られたポリウレタンの軟化点は、30℃〜160℃の範囲であることが好ましく、40℃〜100℃の範囲であることが、ムラのない安定した均一な発泡体が得られ、水で発泡させた発泡セルの冷却固化時間の適正化が図れる。
【0136】
前記ポリウレタン発泡体(a2)は、前記ホットメルトポリウレタンの他に必要に応じてウレタン化触媒、整泡剤、硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、シランカップリング剤、粘着付与剤、ワックス、可塑剤、安定剤、充填剤、チキソ付与剤、顔料、蛍光増白剤、有機発泡剤及び無機発泡剤等の添加剤、熱可塑性樹脂等を単独または2種以上組合せ含有するものであってもよい。
【0137】
前記ポリウレタン発泡体(a2)は、例えば前記ホットメルトポリウレタン組成物を用いる場合であれば、以下の方法で製造することができる。
【0138】
はじめに、前記反応性ホットメルトポリウレタン組成物等のホットメルトポリウレタン組成物を加熱溶融させた後、前記溶融物と水等とを混合させる。
【0139】
前記ホットメルトポリウレタン組成物を溶融させるために行う加熱は、前記ポリウレタンの溶融温度以上となるよう適宜調整すればよいが、60℃〜200℃の温度で行うことが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)備えたポリウレタン発泡体(a2)を形成するうえで好ましい。
【0140】
前記溶融物に混合してもよい水は、前記ホットメルトポリウレタンのイソシアネート基の一部と反応し、二酸化炭素を発生させる。これにより、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)を有するポリウレタン発泡体(a2)が形成される。
【0141】
前記方法で形成される気泡がつぶれる等して扁平状等に変形することを防止し、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)等を備えたポリウレタン発泡体(a2)を形成することを目的として、前記溶融物と前記水とを混合する際に、さらに活性水素含有化合物を混合することが好ましい。前記活性水素含有化合物は、予め水と混合されていることが好ましい。
【0142】
前記活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のジオール、水酸基を3個以上有するポリオール、前記ポリエステルポリオール、前記ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0143】
前記活性水素含有化合物としては、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)等を備えたポリウレタン発泡体(a2)を効率よく生産するうえで、エチレングリコール、上記プロピレングリコール、上記ブチレングリコールから選択し使用することが好ましい。
【0144】
また、前記溶融物と前記水とを混合する際には、前記活性水素含有化合物の他に、必要に応じてアミン系触媒等のウレタン化触媒、整泡剤等を混合してもよい。前記ウレタン化触媒及び整泡剤は、前記水や活性水素含有化合物と予め混合されていてもよく、前記水や活性水素含有化合物とは別に添加等し混合してもよい。
【0145】
前記水は、前記ホットメルトポリウレタン100質量部に対して、0.05質量部〜5質量部使用することが好ましく、0.1質量部〜2質量部使用することが、所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)等を備えたポリウレタン発泡体(a2)を形成するうえでより好ましい。
【0146】
また、前記水及び活性水素含有化合物は、前記水が有する反応性基と活性水素化合物が有する反応性基との比[活性水素化合物が有する反応性基/前記水が有する反応性基]が、0.5〜10の範囲であることが好ましく、1〜5の範囲であることがより好ましい。
【0147】
前記前記溶融物と前記水等とを混合して得た混合物は、前記混合後、すみやかに離型ライナーの表面に塗工する。
【0148】
前記塗工方法としては、例えばロールコーター等を用いて塗工する方法が挙げられる。前記塗工工程においても、前記混合物は発泡を継続し、所定の気泡を有する発泡体構造が形成される。
【0149】
前記塗工後、前記塗工物を、例えば温度23℃及び相対湿度50%の環境下に72時間程度放置し養生させることが好ましい。前記ホットメルトポリウレタンが湿気硬化型等の反応性ホットメルトポリウレタンである場合、前記養生工程で湿気硬化反応などが進行し、高強度で所定の平均気泡径やその比(x)及び(y)の発泡体構造を有するポリウレタン発泡体(a2)を得ることができる。
【0150】
本発明の粘着シートとしては、前記ポリウレタン基材(A)の表面に、直接、前記粘着剤層(B)が積層された構成を有するものであってもよく、前記ポリウレタン基材(A)と前記粘着剤層(B)との間に、その他の層を有する構成のものであってもよい。
【0151】
前記その他の層としては、例えば粘着シートの寸法安定性や良好な引張強さやリワーク適性等を付与するうえでポリエステルフィルム等のラミネート層、遮光層、光反射層、金属層等の熱伝導層が挙げられ、好ましくは、ポリエステルフィルム等のポリエステル基材(A2)が挙げられる。
【0152】
前記ポリエステル基材(A2)は、前記ポリウレタン基材(A)の少なくとも一方の面側に積層されていてもよい。これにより、薄型であっても任意の細幅形状に加工しやすく、かつ、プッシュ強度や静荷重保持力といった接着力に優れた粘着シートを得ることができる。
【0153】
前記ポリエステル基材(A2)としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム等を使用することができる。
【0154】
前記ポリエステル基材(A2)としては、厚さ1μm〜100μmのものを使用することが好ましく、厚さ2μm〜50μmのものを使用することが、粘着シートの加工性と接着性能を両立するうえでより好ましい。
【0155】
前記ポリエステル基材(A2)を有する粘着シートは、例えば前記2液硬化型組成物を離型ライナーの表面に塗工し乾燥等させることによってポリウレタン基材(A)を製造し、それと前記ポリエステル基材(A2)とを、任意の接着層または粘着層を介して貼付することによって製造したものを、粘着シートの基材(中芯)として使用し、その片面または両面側に粘着剤層(B)を設けることによって製造することができる。
【0156】
前記ポリウレタン基材(A)と前記ポリエステル基材(A2)との貼付に使用可能な前記接着層及び粘着層の厚さは2μm〜50μmであることが好ましい。
【0157】
また、前記ポリウレタン基材(A)は、本発明の粘着シートに、意匠性、遮光性、隠蔽性、光反射性、耐光性等を付与することを目的として、着色されていてもよい。
【0158】
粘着シートに遮光性、隠蔽性、耐光性を付与する場合、ポリウレタン基材(A)としては、黒色に着色されたものを使用することが好ましい。
【0159】
黒色の着色剤としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素等を使用することができる。なかでも、黒色の着色剤としては、コスト、入手性、絶縁性、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出す工程や発泡工程における温度に耐える耐熱性を備えたカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0160】
一方、本発明の粘着シートに意匠性や光反射性などを付与する場合、ポリウレタン基材(A)としては、白色に着色されたものを使用することが好ましい。
【0161】
前記白色の着色剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、リン酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、などの無機系白色着色剤やシリコーン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子などの有機系白色着色剤等を使用することができる。
白色の着色剤としては、コスト、入手性、絶縁性、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出す工程や発泡工程における温度に耐える耐熱性を備えた酸化アルミニウムや酸化亜鉛を使用することが好ましい。
【0162】
また、前記ポリウレタン基材(A)としては、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、酸化亜鉛などの発泡助剤、気泡核調整材、熱安定剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの難燃剤、帯電防止剤、ガラス製やプラスチック製の中空バルーン・ビーズ、金属粉末、金属化合物等の充填材、ニッケル粉末などの導電性フィラー、アルミナや窒化アルミなどの熱伝導性フィラー等の添加剤を含有するものを使用することができる。
【0163】
前記ポリウレタン基材(A)は、粘着剤層や他の層との密着性を向上させるため、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理、易接着処理剤の塗布等の表面処理がなされていてもよい。表面処理は、ぬれ試薬によるぬれ指数が36mN/m以上、好ましくは40mN/m、さらに好ましくは48mN/mとすることで、粘着剤との良好な密着性が得られる。
【0164】
本発明の粘着シートは、例えば前記ポリウレタン基材(A)の片面側または両面側に、ナイフコーターやロールコーターやダイコーター等を用いて前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって製造することができる(直接法)。また、前記粘着シートは、予め離型ライナーの表面にナイフコーターやロールコーターやダイコーター等を用いて前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって粘着剤層(B)を形成し、次いで、前記粘着剤層(B)をポリウレタン基材(A)の片面側または両面側に貼り合せる転写法によって製造することができる。
【0165】
より具体的には、本発明の粘着シートは、前記水酸基を有するポリウレタンと、ポリイソシアネートとを含有する2液硬化型組成物を、離型ライナーの表面に塗工及び乾燥し反応させることによって、引張速度300mm/分で引っ張ることで測定された引張破断伸度が450%以上で、かつ、引張破断強度が2000N/cm
2以上であるポリウレタンフィルム(a1)を製造する工程、及び、前記ポリウレタンフィルム(a1)の少なくとも一方の面に、前記直接法や転写法により粘着剤層(B)を設ける工程を有する方法によって製造することが好ましい。
【0166】
また、本発明の粘着シートは、前記ホットメルトポリウレタン組成物を加熱溶融させたものと、水とを混合して得た混合物を、離型ライナーの表面に塗工することによってポリウレタン発泡体(a2)を製造する工程、及び、前記ポリウレタン発泡体(a2)の少なくとも一方の面に、前記直接法や転写法により粘着剤層(B)を設ける工程を有する方法によって製造することが好ましい。
【0167】
本発明の粘着シートは、より一層優れたピール接着力とプッシュ強度と静荷重保持力とを備えたものである。また、本発明の粘着シートは、前記特定の発泡体基材を使用することによって、優れたピール接着力やプッシュ強度や静荷重保持力を低下させることなく、優れた耐衝撃性を備えることができる。したがって、本発明の粘着シートは、例えば貼付部位や形状等の制約によって、粘着シートの最狭部分の幅が5mm以下、好ましくは0.1mm〜3mm、より好ましくは0.5mm〜2.5mmに制限される部材の固定等に使用することができる。
【0168】
前記狭幅の部材は、例えば携帯電話機等の携帯電子機器、自動車、建材、OB、家電業界などの工業用途における部材として使用されることが多い。
【0169】
前記部材としては、具体的には電子端末を構成する2以上のきょう体、レンズ部材等が挙げられる。
【0170】
本発明の粘着シートを用いて2以上のきょう体やレンズ部材が固定された電子機器等の物品は、落下等の衝撃によって容易に脱落等することなく、また、優れた防水性を備える。
【実施例】
【0171】
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。
【0172】
[調製例1]アクリル重合体(B−1)の製造方法
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート75.94質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、シクロヘキシルアクリレート15質量部、アクリル酸4質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.06質量部、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら65℃まで昇温させた。
【0173】
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル溶液4質量部(固形分2.5質量%)を添加し、攪拌下、65℃で10時間ホールドした。
【0174】
次に、前記混合物を200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量160万のアクリル重合体(B−1)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0175】
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算での重量平均分子量であり、以下の方法で測定した。
GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)を用いて測定される、スタンダードポリスチレン換算値である。
【0176】
サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:100μl
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
スタンダードポリスチレン分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
【0177】
[調製例2]アクリル重合体(B−2)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0.02質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を75.94質量部から75.98質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量164万のアクリル重合体(B−2)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0178】
[調製例3]アクリル重合体(B−3)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0.1質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を75.94質量部から75.9質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量162万のアクリル重合体(B−3)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0179】
[調製例4]アクリル重合体(B−4)の製造方法
前記シクロヘキシルアクリレートを使用しないこと、及び、2−エチルヘキシルアクリレートの使用量を5質量部から15質量部に変更し、アクリル酸の使用量を4質量部から5質量部へ変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量132万のアクリル重合体(B−4)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0180】
[調製例5]アクリル重合体(B−5)の製造方法
前記アクリル酸の使用量を4質量部から2質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から97.94質量部に変更し、かつ、シクロヘキシルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートを使用しないこと以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量164万のアクリル重合体(B−5)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0181】
[調製例6]アクリル重合体(B−6)の製造方法
前記アクリル酸の使用量を4質量部から6質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から93.94質量部に変更し、かつ、シクロヘキシルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートを使用しないこと以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量164万のアクリル重合体(B−6)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0182】
[調製例7]アクリル重合体(B−7)の製造方法
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液の使用量を4質量部(固形分2.5質量%)から20質量部(固形分2.5質量%)に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量178万のアクリル重合体(B−7)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0183】
[調製例8]アクリル重合体(B−8)の製造方法
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液の使用量を4質量部(固形分2.5質量%)から8質量部(固形分2.5質量%)に変更し、反応温度を65℃から70℃に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量84万のアクリル重合体(B−8)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0184】
[調製例9]アクリル重合体(B−9)の製造方法
前記シクロヘキシルアクリレートを使用しないこと、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を75.94質量部から56.94質量部に変更し、及び、2−エチルヘキシルアクリレートの使用量を5質量部から40質量部に変更し、アクリル酸の使用量を4質量部から3質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量133万のアクリル重合体(B−9)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0185】
[調製例10]アクリル重合体(B−10)の製造方法
前記シクロヘキシルアクリレートを使用しないこと、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を75.94質量部から71.94質量部に変更し、及び、2−エチルヘキシルアクリレートの使用量を5質量部から25質量部に変更し、アクリル酸の使用量を4質量部から3質量部へ変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量133万のアクリル重合体(B−10)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0186】
[比較調製例1]アクリル重合体(B−11)の製造方法
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート95.9質量部、アクリル酸4質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1質量部、及び、酢酸エチル300質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら65℃まで昇温させた。
【0187】
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル溶液4質量部(固形分2.5質量%)を添加し、攪拌下、65℃で10時間ホールドした。
【0188】
次に、前記混合物を200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量186万のアクリル重合体(B−11)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0189】
[比較調製例2]アクリル重合体(B−12)の製造方法
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート63.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート32質量部、アクリル酸4質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら72℃まで昇温させた。
【0190】
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル溶液8質量部(固形分2.5質量%)を添加し、攪拌下、72℃で10時間ホールドした。
【0191】
次に、前記混合物を200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量75万のアクリル重合体(B−12)溶液(不揮発分33質量%)を得た。
【0192】
[作製例1]
1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られた数平均分子量600のポリブチレンアジペートポリオール65.1質量部を、ジメチルホルムアミド及びメチルエチルケトンの混合溶剤(ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=30/70質量比)で1.7倍に希釈した。
【0193】
次に、前記希釈物に、1,4−ブタンジオール2.3質量部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート32.6質量部を混合し、80℃で3時間反応させることによって、水酸基を有するポリウレタン溶液(不揮発分50質量%、25℃における粘度4200mPa・s)を得た。
【0194】
次に、前記水酸基を有するポリウレタン溶液と、バーノックNC−40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)7.0質量部とを混合することによって得た2液硬化型組成物1を、離型シートの剥離処理面に、硬化後の厚さが100μmとなるように塗工し、温度120℃の環境下で10分間乾燥させることによってポリウレタンフィルム基材(A−1)を作製した。
【0195】
[作製例2]
1,6−ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られた数平均分子量1500のポリエステルポリオール42.0質量部、及び1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られた数平均分子量600のポリブチレンアジペートポリオール18.0質量部、トリメチロールプロパン0.5質量部を、酢酸エチルで1.7倍に希釈した。
【0196】
次に、前記希釈物にトリレンジイソシアネート10.0質量部を混合し、80℃で3時間反応させることによって、水酸基を有するポリウレタン溶液(不揮発分70質量%、25℃における粘度50000mPa・s)を得た。
【0197】
前記水酸基を有するポリウレタン溶液と、バーノックNC−40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)9.8質量部とを混合することによって得た2液硬化型組成物を、前記2液硬化型組成物1の代わりに使用する以外は、作製例1と同様の方法でポリウレタンフィルム基材(A−2)を得た。
【0198】
[作製例3]
数平均分子量が2000のポリオキシプロピレングリコール25.0質量部、ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを6モル付加して得たポリオールとセバシン酸とイソフタル酸とを反応させて得られた数平均分子量2000のポリエステルポリオール20.0質量部、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール13.0質量部、及び、ジエチレングリコールとo−フタル酸とを反応させて得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール13.0質量部を、メチルエチルケトンで1.7倍に希釈した。
【0199】
次に、前記希釈物に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート11.0質量部を混合し、80℃で3時間反応させることによって、水酸基を有するポリウレタン溶液(不揮発分50質量%、25℃における粘度1000mPa・s)を得た。
【0200】
前記水酸基を有するポリウレタン溶液と、バーノックNC−40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)3.7質量部とを混合することによって得た2液硬化型組成物3を、前記2液硬化型組成物1の代わりに使用する以外は、作製例1と同様の方法でポリウレタンフィルム基材(A−3)を得た。
【0201】
[ポリウレタンフィルム基材の引張破断伸度及び引張破断強度の測定方法]
上記で得たポリウレタンフィルム基材を、長さ50mm(標線間隔20mm)、幅10mmの長方形に裁断したものを試験片とした。前記試験片の長辺側の両端を引張試験機のエアジョウで挟み、300mm/分で引っ張り、フィルム基材が破断するまでの伸度及び強度を測定した。
【0202】
【表1】
【0203】
[作製例4]
1リットル4ツ口フラスコに、数平均分子量が2000のポリオキシテトラメチレングリコール54質量部、ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを6モル付加して得たポリオールとセバシン酸とイソフタル酸とを反応させて得られた数平均分子量2000のポリエステルポリオール(PES1)18質量部、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール(PES2)14質量部、及び、ジエチレングリコールとo−フタル酸とを反応させて得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール14質量部とを混合し、100℃で減圧加熱させることによって、水分率が0.03質量%となるまで脱水した。
【0204】
次に、上記4ツ口フラスコ内を70℃に冷却した後、前記フラスコ内に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.0質量部を加え、触媒としてジ−n−ブチル錫ジラウレートを0.01質量部加えた後、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで3.0時間反応させることによって、イソシアネート基を有するポリウレタン(イソシアネート基当量1034)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−4)を得た。
【0205】
次に、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−4)100質量部を110℃に加熱し溶融したものに窒素ガスを吹き込み、次に、POLYCAT−8(エアープロダクツジャパン社製;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン DMCHA)0.1質量部及び水0.05質量部の混合物を供給し混合したものを、離型シートの剥離処理面に、硬化後の厚さが100μmとなるように塗工し、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で72時間養生させることによって、発泡構造を形成したポリウレタン発泡体基材(A−4)を作製した。
【0206】
[作製例5]
数平均分子量が2000のポリオキシテトラメチレングリコールの使用量を54質量部から21.6質量部に変更し、新たに数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール32.4質量部を使用すること以外は、作製例1と同様の方法でイソシアネート基を有するポリウレタン(イソシアネート基当量1200)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−5)を得た。
【0207】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−4)の代わりに、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−5)を使用すること以外は、作製例1と同様の方法で、発泡構造を形成したポリウレタン発泡体基材(A−5)を作製した。
【0208】
[作製例6]
1リットル4ツ口フラスコに、数平均分子量が2000のポリオキシプロピレングリコール44質量部、及び、ジエチレングリコールとo−フタル酸とを反応させて得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール56質量部とを混合し、100℃で減圧加熱させることによって、水分率が0.03質量%となるまで脱水した。
【0209】
次に、上記4ツ口フラスコ内を70℃に冷却した後、前記フラスコ内に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート26.0質量部を加え、触媒としてジ−n−ブチル錫ジラウレートを0.01質量部加えた後、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで3.0時間反応させることによって、イソシアネート基を有するポリウレタン(イソシアネート基当量1034)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−6)を得た。
【0210】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−4)の代わりに、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−6)を使用すること以外は、作製例1と同様の方法で、発泡構造を形成したポリウレタン発泡体基材(A−6)を作製した。
【0211】
[作製例7]
1リットル4ツ口フラスコに、数平均分子量が1400なるポリオキシテトラメチレングリコール70質量部と、アジピン酸とヘキサンジオールとを反応させて得られた数平均分子量が2000のポリエステルポリオール30質量部とを120℃に減圧加熱して、水分0.05質量%となるまで脱水し、40℃に冷却した。
【0212】
次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを25質量部加えた後、90℃まで昇温して、NCO含有量が一定となるまで3時間反応してイソシアネート基を有するポリウレタン(イソシアネート基当量1034)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−7)を得た。
【0213】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−4)の代わりに、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(H−7)を使用すること以外は、作製例1と同様の方法で、発泡構造を形成したポリウレタン発泡体基材(A−7)を作製した。
【0214】
[平均気泡径の測定法]
前記ポリウレタン発泡体及び黒色ポリオレフィン系発泡体の流れ方向の平均気泡径、幅方向の平均気泡径及び厚さ方向の平均気泡径は、下記の方法で測定した。
【0215】
まず、ポリウレタン発泡体(a2)を流れ方向または幅方向に切断して断面を得た。
【0216】
次に、前記断面を、走査型電子顕微鏡SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製、型式TM300)を用い、倍率300倍で観察することによって、ポリウレタン発泡体(a2)の流れ方向500μm×厚さの範囲、または、幅方向500μm×厚さの範囲を観察した。
【0217】
前記範囲内に含まれるすべての気泡のうち、流れ方向の気泡径が最も大きいものを測定値として、この測定をサンプルの観察範囲が重ならない状態で5回測定した。この5回の気泡径の測定値の平均値を流れ方向の平均気泡径とした。
【0218】
また、前記範囲内に含まれるすべての気泡のうち、厚さ方向の気泡径が最も大きいものを測定値として、この測定をサンプルの観察範囲が重ならない状態で5回測定した。この5回の気泡径の測定値の平均値を厚さ方向の平均気泡径とした。
【0219】
また、前記範囲内に含まれるすべての気泡のうち、幅方向の気泡径が最も大きいものを測定値として、この測定をサンプルの観察範囲が重ならない状態で5回測定した。この5回の気泡径の測定値の平均値を幅方向の平均気泡径とした。
【0220】
また、前記厚さ方向の平均気泡径に対する流れ方向の平均気泡径の比(x)、及び、厚さ方向の平均気泡径に対する幅方向の平均気泡径の比(y)は、上記方法で測定された平均気泡径の値を用い、それぞれ[流れ方向の平均気泡径/厚さ方向の平均気泡径]及び[幅方向の平均気泡径/厚さ方向の平均気泡径]の式に基づいて算出した。
【0221】
【表2】
【0222】
[実施例1]
容器に、前記アクリル重合体(B−1)100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)15質量部と不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂A125(荒川化学工業株式会社製)10質量部とを混合攪拌したのち、酢酸エチルを加えることによって固形分31質量%の粘着剤溶液を得た。
【0223】
次に、前記粘着剤溶液100質量部に対し、架橋剤としてバーノックD−40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)1.4質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによって粘着剤(p−1)を得た。
【0224】
次に、離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが75μmとなるように、バーコーターを用いて前記粘着剤を塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
【0225】
次に、前記粘着剤層を、前記ポリウレタンフィルム基材A−1の両面に貼付し、40℃の環境下で48時間養生することによって粘着シート(T−1)を作製した。
【0226】
[実施例2]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−2)溶液を使用し、バーノックD−40の配合量を1.4質量部から1.6質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−2)及び粘着シート(T−2)を得た。
【0227】
[実施例3]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−3)溶液を使用し、バーノックD−40の配合量を1.4質量部から1.2質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−3)及び粘着シート(T−3)を得た。
【0228】
[実施例4]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−4)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−4)及び粘着シート(T−4)を得た。
【0229】
[
参考例]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−5)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−5)及び粘着シート(T−5)を得た。
【0230】
[実施例6]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−6)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−6)及び粘着シート(T−6)を得た。
【0231】
[実施例7]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−7)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−7)及び粘着シート(T−7)を得た。
【0232】
[
参考例2]
前記アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(B−8)溶液を使用し、バーノックD−40の配合量を1.4質量部から2.0質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−8)及び粘着シート(T−8)を得た。
【0233】
[実施例9]
前記粘着付与樹脂として、前記重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)10質量部と不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂A−125(荒川化学工業株式会社製)5質量部と石油系粘着付与樹脂FTR6125(三井化学株式会社製)を15質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−9)及び粘着シート(T−9)を得た。
【0234】
[実施例10]
前記粘着付与樹脂として、前記重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)5質量部を使用し、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂A−125(荒川化学工業株式会社製)の代わりに石油系粘着付与樹脂FTR6125(三井化学株式会社製)を15質量部使用し、バーノックD−40の使用量を1.4質量部から1.3質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−10)及び粘着シート(T−10)を得た。
【0235】
[実施例11]
アクリル重合体(B−1)溶液の代わりにアクリル重合体(B−9)溶液を使用し、前記粘着付与樹脂として、前記重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)5質量部と石油系粘着付与樹脂FTR6125(三井化学株式会社製)を10質量部使用し、バーノックD−40の使用量を1.4質量部から2.0質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−11)及び粘着シート(T−11)を得た。
【0236】
[実施例12]
アクリル重合体(B−1)溶液の代わりにアクリル重合体(B−10)溶液を使用し、前記粘着付与樹脂として、前記重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)5質量部と石油系粘着付与樹脂FTR6125(三井化学株式会社製)を10質量部使用し、バーノックD−40の使用量を1.4質量部から2.0質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−12)及び粘着シート(T−12)を得た。
【0237】
[実施例13]
前記ポリウレタンフィルム基材(A−1)の代わりに、ポリウレタンフィルム基材(A−2)を使用すること以外は、実施例10と同様の方法で粘着シート(T−13)を得た。
【0238】
[実施例14]
前記ポリウレタンフィルム基材(A−1)の代わりに、ポリウレタンフィルム基材(A−3)を使用すること以外は、実施例10と同様の方法で粘着シート(T−14)を得た。
【0239】
[実施例15]
前記ポリウレタンフィルム基材(A−1)の代わりに、ポリウレタン発泡体基材(A−4)を使用し、乾燥後の粘着剤層の厚さを75μmから25μmにすること以外は、実施例10と同様の方法で粘着シート(T−15)を得た。
【0240】
[実施例16]
前記ポリウレタン発泡体基材(A−4)の代わりに、ポリウレタン発泡体基材(A−5)を使用すること以外は、実施例15と同様の方法で粘着シート(T−16)を得た。
【0241】
[実施例17]
前記ポリウレタン発泡体基材(A−4)の代わりに、ポリウレタン発泡体基材(A−6)を使用すること以外は、実施例15と同様の方法で粘着シート(T−17)を得た。
【0242】
[実施例18]
前記ポリウレタン発泡体基材(A−4)の代わりに、ポリウレタン発泡体基材(A−7)を使用すること以外は、実施例15と同様の方法で粘着シート(T−18)を得た。
【0243】
[実施例19]
前記粘着剤(p−10)の代わりに粘着剤(p−11)を使用すること以外は、実施例15と同様の方法で粘着シート(T−19)を得た。
【0244】
[比較例1]
アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、アクリル重合体(B−11)溶液を使用し、バーノックD−40の使用量を1.4質量部から1.2質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−13)及び粘着シート(Q−1)を得た。
【0245】
[比較例2]
アクリル重合体(B−1)溶液の代わりに、アクリル重合体(B−12)溶液を使用し、バーノックD−40の使用量を1.4質量部から1.6質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(p−14)及び粘着シート(Q−2)を得た。
【0246】
[比較例3]
前記ポリウレタン発泡体基材(A−4)の代わりに黒色ポリオレフィン系発泡体(厚さ:100μm、見かけ密度0.33g/cm
3、25%圧縮強度:70kPa、流れ方向の引張弾性率:799N/cm
2、幅方向の引張弾性率:627N/cm
2)からなる基材層を使用したこと以外は、実施例15と同様の方法で粘着シート(Q−3)を得た。
【0247】
[粘着剤層の歪み量100%及び500%における応力−歪み曲線に基づく引張強さの測定方法]
任意の剥離ライナーの片面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤を塗工し、80℃で3分間乾燥し、40℃で48時間エージングすることによって粘着剤層を形成した。次に、この粘着剤層を厚さ約400μmになるまで積層することによって、標線間隔2cm、幅1cmの試験片を作成した。
【0248】
前記試験片を、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下で、引張試験機を用い、引張速度300mm/分で測定される応力−ひずみ曲線(いわゆる、S−Sカーブ)から、歪み量が100%および500%での引張強さを求めた。
【0249】
[粘着剤層のゲル分率の測定方法]
任意の剥離ライナーの片面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤組成物を塗工し、80℃で3分間乾燥し、40℃で2日エージングすることによって粘着剤層を形成し、50mm角に切り取ったものを試料とした。
【0250】
次に、上記試料の質量(G1)を測定した後、前記試料をトルエン溶液中に23℃で24時間浸漬する。前記浸漬後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求めた。
【0251】
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0252】
[180°ピール接着力の測定方法]
温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下、実施例及び比較例で作製した粘着シートの片側の粘着剤層表面に、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちをした後、長さ120mm、幅20mmに裁断した。
【0253】
次に、もう一方の側の粘着剤層表面をステンレス板に貼付し、2kgのローラーを用い前記粘着シートの上面(ポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちされた面)を1往復させ、さらに、それらを温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下に1時間静置させることによって、前記粘着シートとステンレス板とが接着された試験片1を作製した。
【0254】
次に、テンシロン剥離試験機を用い、前記試験片1を構成するステンレス板を固定した状態で、前記粘着シートを引張速度300mm/minの条件で180°方向に引き剥がした際の強度を測定した。
【0255】
[プッシュ強度の測定方法]
温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下、厚さ2mmで、50mm角のアクリル板(三菱レイヨン(株)アクリライトMR200「商標名」、色相:透明)に、幅5mm、長さ40mmに裁断した粘着シート2枚を40mm間隔で平行に貼付した。
【0256】
次に、中心部に直径10mmの穴がある、厚さ2mm、100×150mmの長方形のABS板(住友ベークライト(株)製タフエースR EAR003、色相:ナチュラル、シボなし)に、前記粘着シートの貼付されたアクリル板を、前記アクリル板の中心と前記ABS板の中心が一致する様に貼付して、2kgローラーで1往復加圧したのち、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で1時間静置したものを試験片2とした。
【0257】
次に、前記試験片2のABS側から、ABS板の穴を通して、直径8mmのステンレス製プローブを取り付けた引張試験機でアクリル板を10mm/分で押し、アクリル板が剥がれる強度を測定した。
【0258】
[静荷重保持力の評価方法]
温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、外形14mm×14mmで粘着シート幅が2mmの額縁状の粘着シートの一方の粘着剤層を、厚さ2mm、外形15mm×15mmのアクリル板(三菱レイヨン(株)アクリライトMR200「商標」、色相:透明)に貼付した。
【0259】
次に、中心部に直径8mmの穴がある、厚さ2mm、外形65mm×30mmの長方形のステンレス板に、前記粘着シートつきアクリル板を、前記穴を塞ぐ様に貼付したのち、50N/cm
2で10秒圧着して試験片3とした。
【0260】
温度40℃、相対湿度50%の雰囲気下、前記試験片3を前記アクリル板側が下になるように水平にしたのち、前記ステンレス板の短辺側の両端部を固定した。次に、前記アクリル板の中央部に400gの重りを取り付けることで、下方向に荷重した状態で放置した。
【0261】
次に、温度40℃、相対湿度50%の雰囲気下、前記重りを取り付けた前記アクリル板とステンレス板との距離が、試験開始前と比較して0.2mm離れるまでの時間(分)を測定し、250分を超えるものを良好な静荷重保持力を有するものとした。なお、測定開始から24時間経過しても、前記アクリル板とステンレス板との距離の増加が0.2mm未満のものは、後述する表に「1440<」と記載した。
【0262】
[耐衝撃性の評価方法]
温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下、厚さ2mmで、50mm角のアクリル板(三菱レイヨン(株)アクリライトMR200「商標名」、色相:透明)に、幅5mm、長さ40mmに裁断した粘着シート2枚を40mm間隔で平行に貼付した。
【0263】
次に、厚さ2mm、100×150mmの長方形のABS板(住友ベークライト(株)製タフエースR EAR003、色相:ナチュラル、シボなし)に、前記粘着シートの貼付されたアクリル板を、前記アクリル板の中心と前記ABS板の中心が一致する様に貼付して、2kgローラーで1往復加圧したのち、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で1時間静置したものを試験片とした。
【0264】
次にデュポン式衝撃試験機(テスター産業株式会社製)の台座の上に、長さ150mm、幅100mm、高さ45mmのコの字型測定台(厚さ5mmのアルミ製)を設置し、その上に、前記試験片を、それを構成するアクリル板が下向きになるよう設置した。
【0265】
次に、前記ABS板側から、直径25mm及び質量300gのステンレス製の撃芯を、高さ10cmの位置から5回落下させた後に、試験片の粘着シートの剥がれや基材破壊の有無を評価した。剥がれなどが無い場合は、落下高さを前回より10cm高くして、5回落下した後の試験片の粘着シートの剥がれや基材破壊の有無を確認する。以降、剥がれや基材破壊がない場合は、落下高さを10cmずつ高くして同様に試験を繰り返し行い、最終的に試験片の粘着シートの剥がれや基材破壊が認められたときの落下高さ(cm)を測定した。
【0266】
◎:上記落下高さが90cm以上であった。
【0267】
○:上記落下高さが80cm以上90cm未満であった。
【0268】
△:上記落下高さが70cm以上80cm未満であった。
【0269】
×:上記落下高さが70cm未満であった。
【0270】
[絶縁性の評価方法]
平滑なアクリル板の表面に、厚さ30μm×縦5cm×横5cmの長方形の銅箔からなる電極2枚を、電極間距離が1mmとなる位置に粘着テープを用いて平行に貼付した。
【0271】
次に、前記2枚の電極の間に、実施例及び比較例で得た両面粘着テープを幅0.7mm×縦50mmの長方形に裁断して得た試験テープを貼付し、前記試験テープの上面に、上記とは別のアクリル板を貼付したものを、23℃及び50%RHの環境下に24時間養生することによって試験片を得た。
【0272】
次に、静電気放電試験機の放電端子を、前記電極の一方に接触させ、直流電圧4kVで10回の条件で印加して、アースされた他方の電極への放電の有無を評価した。放電が無かった場合は前記放電電圧を1kV高くして同様の試験を繰り返し、最終的にアースされた他方の電極への放電が確認された時の電圧(kV)に基づいて、粘着テープの絶縁性を評価した。
【0273】
◎:上記放電電圧が12kV以上であった。
【0274】
〇:上記放電電圧が10kV以上12kV未満であった。
【0275】
△:上記放電電圧が7kV以上10kV未満であった。
【0276】
×:上記放電電圧が7kV未満であった。
【0277】
【表3】
【0278】
【表4】
【0279】
【表5】
【0280】
【表6】