(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6690846
(24)【登録日】2020年4月13日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20200421BHJP
H01M 2/18 20060101ALI20200421BHJP
H01M 10/0587 20100101ALN20200421BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20200421BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/04 Z
H01M2/18 Z
!H01M10/0587
!H01M10/0585
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-158714(P2015-158714)
(22)【出願日】2015年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-39156(P2016-39156A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年6月28日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0103631
(32)【優先日】2014年8月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】成 宰 一
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0233474(US,A1)
【文献】
特開2012−059363(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2005−0118579(KR,A)
【文献】
特開2004−253330(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102012109032(DE,A1)
【文献】
今堀 誠,ホットメルト系接着剤,日本接着学会誌,2006年,Vol.42 No.11,pp.471-480
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 2/18
H01M 10/0585
H01M 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間のセパレータを具備した電極組立体と、
前記電極組立体の一端に付着された保護フィルムと、
前記電極組立体を収容するカンと、
前記カンと結合するキャッププレートと、を含み、
前記電極組立体の一端は、前記カンの底面と隣接した前記電極組立体の下面であり、
前記電極組立体の下面で、前記セパレータは、前記第1電極板及び前記第2電極板より前記保護フィルムに向けてさらに突出し、
前記保護フィルムは、前記電極組立体の下面の全面を覆い、突出した前記セパレータの端部と熱融着された二次電池。
【請求項2】
前記保護フィルムは、前記セパレータの端部と熱融着された第1層と、前記第1層上に積層された第2層と、を含み、
前記第1層と前記第2層は、互いに異なる材質から形成されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1層の融点は、前記セパレータの融点、及び前記第2層の融点より低いことを特徴とする請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第1層は、エチレン−αオレフイン共重合体またはプロピレン−αオレフイン共重合体から形成されたことを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記第1層の厚みは、1μmないし50μmであることを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記第2層は、ポリプロピレンから形成されたことを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
【請求項7】
前記第2層の厚みは、1μmないし100μmであることを特徴とする請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記保護フィルムは、複数のホールを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記第1電極板及び前記第2電極板は、前記保護フィルムと離隔されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記保護フィルムは、前記電極組立体の側面の一部と付着されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間のセパレータが共に巻き取られたゼリーロール状の電極組立体と、
前記電極組立体の下面に付着された保護フィルムと、を含み、
前記保護フィルムは、前記電極組立体の下面の全面を覆い、
前記電極組立体の下面で、前記セパレータは、前記第1電極板及び前記第2電極板より前記保護フィルムに向けてさらに突出し、
前記保護フィルムは、前記セパレータの端部と熱融着された第1層と、前記第1層上に積層された第2層と、を含み、
前記第1電極板及び前記第2電極板は、前記保護フィルムと離隔された二次電池。
【請求項12】
前記第1層と前記第2層は、互いに異なる材質から形成され、
前記第1層の融点は、前記セパレータの融点、及び前記第2層の融点より低いことを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
前記第1層の融点は、60℃ないし100℃であることを特徴とする請求項12に記載の二次電池。
【請求項14】
前記第1層は、エチレン−αオレフイン共重合体またはプロピレン−αオレフイン共重合体から形成されたことを特徴とする請求項12に記載の二次電池。
【請求項15】
前記第1層の厚みは、1μmないし50μmであることを特徴とする請求項14に記載の二次電池。
【請求項16】
前記第2層は、ポリプロピレンから形成されたことを特徴とする請求項12に記載の二次電池。
【請求項17】
前記第2層の厚みは、1μmないし100μmであることを特徴とする請求項16に記載の二次電池。
【請求項18】
前記保護フィルムは、複数のホールを含み、前記ホールそれぞれの大きさは、30μm以下であることを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
【請求項19】
前記保護フィルムは、前記電極組立体の側面の一部と付着されたことを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
【請求項20】
前記電極組立体を収容するカン、及び前記カンと結合するキャッププレートをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充電が不可能な一次電池とは異なり、充放電が可能な電池を意味し、二次電池は、産業全般にわたった多様な技術分野に適用されている。例えば、二次電池は、デジタルカメラ、携帯電話、ノート型パソコンのようなモバイル電子機器のエネルギー源だけではなく、化石燃料を使用する既存のガソリン及びディーゼル内燃機関の大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車などのエネルギー源としても注目されている。このように、二次電池の使用領域が拡大するにつれ、二次電池の高出力化、高容量化が要求されており、それと共に、二次電池の安定性が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第2006−0019768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、安定性が向上した二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面による二次電池は、第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間のセパレータを具備した電極組立体;前記電極組立体の一端に付着された保護フィルム;前記電極組立体を収容するカン;及び前記カンと結合するキャッププレート;を含み、前記電極組立体の一端で、前記セパレータは、前記第1電極板及び前記第2電極板より前記保護フィルムに向けてさらに突出し、前記保護フィルムは、突出した前記セパレータの端部と熱融着される。
【0006】
本実施形態において、前記保護フィルムは、前記セパレータの端部と熱融着された第1層と、前記第1層上に積層された第2層と、を含み、前記第1層と前記第2層は、互いに異なる材質から形成される。
【0007】
本実施形態において、前記第1層の融点は、前記セパレータの融点、及び前記第2層の融点より低い。
【0008】
本実施形態において、前記第1層は、エチレン−αオレフイン共重合体またはプロピレン−αオレフイン共重合体から形成される。
【0009】
本実施形態において、前記第1層の厚みは、1μmないし50μmでもある。
【0010】
本実施形態において、前記第2層は、ポリプロピレンから形成される。
【0011】
本実施形態において、前記第2層の厚みは、1μmないし100μmでもある。
【0012】
本実施形態において、前記保護フィルムは、複数のホールを含んでもよい。
【0013】
本実施形態において、前記第1電極板及び前記第2電極板は、前記保護フィルムと離隔される。
【0014】
本実施形態において、前記保護フィルムは、前記電極組立体の側面の一部と付着することができる。
【0015】
本発明の他の側面による二次電池は、第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間のセパレータが共に巻き取られたゼリーロール状の電極組立体;及び前記電極組立体の下面に付着された保護フィルム;を含み、前記電極組立体の下面で、前記セパレータは、前記第1電極板及び前記第2電極板より前記保護フィルムに向けてさらに突出し、前記保護フィルムは、前記セパレータの端部と熱融着された第1層と、前記第1層上に積層された第2層と、を含み、前記第1電極板及び前記第2電極板は、前記保護フィルムと離隔される。
【0016】
本実施形態において、前記第1層と前記第2層は、互いに異なる材質から形成され、前記第1層の融点は、前記セパレータの融点、及び前記第2層の融点より低い。
【0017】
本実施形態において、前記第1層の融点は、60℃ないし100℃でもある。
【0018】
本実施形態において、前記第1層は、エチレン−αオレフイン共重合体またはプロピレン−αオレフイン共重合体から形成される。
【0019】
本実施形態において、前記第1層の厚みは、1μmないし50μmでもある。
【0020】
本実施形態において、前記第2層は、ポリプロピレンから形成される。
【0021】
本実施形態において、前記第2層の厚みは、1μmないし100μmでもある。
【0022】
本実施形態において、前記保護フィルムは、複数のホールを含み、前記ホールそれぞれの大きさは、30μm以下でもある。
【0023】
本実施形態において、前記保護フィルムは、前記電極組立体の側面の一部と付着することができる。
【0024】
本実施形態において、前記電極組立体を収容するカン、及び前記カンと結合するキャッププレートをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、電極組立体とカンとの短絡を効果的に防止することができるので、二次電池の安定性を確保することができる。
【0026】
本発明の効果は、前述の内容以外にも、図面を参照して以下で説明する内容からも導き出されるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による二次電池を概略的に図示した分解斜視図である。
【
図2】
図1のI−I断面を概略的に図示した断面図である。
【
図3】
図1の二次電池の保護フィルムを概略的に図示した平面図である。
【
図4】
図1の二次電池の電極組立体を概略的に図示した図面である。
【
図5】
図1の二次電池の電極組立体の変形例を概略的に図示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有するが、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、それは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものであると理解されなければならない。本発明の説明にあたり、関連公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にするであろうと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0029】
第1、第2のような用語は多様な構成要素の説明に使用されるが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0030】
本出願で使用された用語は、ただ、特定実施形態の説明に使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、一つ、またはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。
【0031】
以下、添付された図面に図示された本発明に係わる実施形態を参照し、本発明について詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による二次電池を概略的に図示した分解斜視図であり、
図2は、
図1のI−I断面を概略的に図示した断面図であり、
図3は、
図1の二次電池の保護フィルムを概略的に図示した平面図であり、
図4は、
図1の二次電池の電極組立体を概略的に図示した図面である。
【0033】
図1ないし
図4を参照すれば、本発明の一実施形態による二次電池100は、電極組立体120、電極組立体120の一端に付着された保護フィルム130、電極組立体120を収容するカン110、及びカン110と結合するキャッププレート150を含んでもよい。
【0034】
電極組立体120は、第1電極板121、第2電極板123、及び第1電極板121と、第2電極板123との間のセパレータ125を含んでもよい。一例として、電極組立体120は、第1電極板121、セパレータ125及び第2電極板123を積層した後、積層された第1電極板121、セパレータ125及び第2電極板123を共に巻き取ってゼリーロール状に製作することができる。
【0035】
第1電極板121は、正極フィルムまたは負極フィルムのうちいずれか一つでもある。第1電極板121が正極フィルムである場合、第2電極板123は、負極フィルムであり、反対に、第1電極板121が負極フィルムである場合、第2電極板123は、正極フィルムでもある。すなわち、第1電極板121と第2電極板123は、電気的に極性が異なるように形成され、特定極性に限定されるものではない。ただし、以下では、説明の便宜のために、第1電極板121は、正極フィルムとして形成され、第2電極板123は、負極フィルムとして形成される場合について説明する。
【0036】
第1電極板121は、第1活物質が塗布された第1活物質部121aと、第1活物質が塗布されていない第1無知部121bと、を含んでもよい。第1活物質部121aは、例えば、アルミニウム板の少なくともいずれか1面の一部に、第1活物質を塗布して形成し、第1活物質が塗布されていないアルミニウム板の残りの部分は、第1無知部121bにもなる。
【0037】
第1活物質は、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2、LiMnO
4のようなリチウム含有遷移金属酸化物、またはリチウムカルコゲナイド化合物のような正極活物質でもある。
【0038】
第1電極板121には、第1電極タブ126が電気的に連結される。第1電極タブ126は、一端が第1無知部121bに、溶接などによって接合され、第1電極タブ126の他端は、キャッププレート150に、溶接などによって接合される。
【0039】
第2電極板123は、第2活物質が塗布された第2活物質部123aと、第2活物質が塗布されていない第2無知部123bと、を含んでもよい。第2活物質部123aは、例えば、銅板の少なくともいずれか1面の一部に、第2活物質を塗布して形成し、第2活物質が塗布されていない銅板の残りの部分は、第2無知部123bにもなる。
【0040】
第2活物質は、例えば、負極活物質でもあり、具体的には、結晶質炭素、非晶質炭素、炭素複合体、炭素ファイバのような炭素材料;リチウム金属またはリチウム合金などでもある。
【0041】
第2電極板123には、第2電極タブ128が電気的に連結される。第2電極タブ128は、一端が第2無知部123bに溶接などによって接合され、第2電極タブ128の他端は、電極端子152と、溶接などによって接合される。
【0042】
セパレータ125は、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)及びポリプロピレン(PP)のうち少なくともいずれか一つを含んで形成される多孔性高分子膜でもある。例えば、セパレータ125は、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)との共重合体(co-polymer)からなる群のうちから選択されるいずれか1つの基材に、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP co-polymer)をコーティングすることによって製造されるが、それに限定されるものではない。セパレータ125は、第1電極板121と、第2電極板123との間の短絡を防止するために、第1電極板121及び第2電極板123よりさらに大きい面積を有して形成される。
【0043】
カン110は、電極組立体120が挿入されるように、一側に開口112を含み、電極組立体120がカン110に収納された後、カン110の開口112は、キャッププレート150によって密閉される。一方、キャッププレート150と電極組立体120との間には、絶縁プレート140が配置される。
【0044】
カン110は、アルミニウムのような導電性部材から形成され、外部衝撃から電極組立体120を保護し、電極組立体120の充放電動作に伴う熱を外部に放出させる放熱板の機能を遂行することができる。
【0045】
絶縁プレート140は、電極組立体120の上下遊動を防止し、第1電極タブ126が通過することができる第1切開部142と、第2電極タブ128が通過することができる第2切開部144と、を含んでもよい。また、絶縁プレート140は、第1切開部142及び第2切開部144と離隔された地点には、電解質の注入のための開口146が形成される。
【0046】
キャッププレート150は、カン110と同一材質から形成され、溶接などによって、カン110と結合することにより、開口112を密閉することができる。キャッププレート150は、一側に、電解質注入口156を含んでもよい。キャッププレート150がカン110と結合した後、電解質は、電解質注入口156を介して、カン110の内部に注入され、電解質注入口156は、栓160によって密閉される。
【0047】
キャッププレート150には、第1電極タブ126が溶接などによって接合される。また、キャッププレート150には、第2電極タブ128と接続する電極端子152が形成され、電極端子152とキャッププレート150との短絡を防止するため、電極端子152とキャッププレート150との間には、絶縁体154が配置される。
【0048】
一方、カン110は、キャッププレート150と電気的に連結され、キャッププレート150は、第1電極タブ126と電気的に連結されているので、カン110は、第1電極板121と同一極性を有することができる。このとき、カン110の内部に収容されたゼリーロール状に巻き取られた電極組立体120は、巻き取り軸に隣接した中央部が、重力方向に押される現象が発生し、それによって、第1電極板121と同一極性を有するカン110と、第2電極板123との間に短絡が発生する。
【0049】
それを防止するため、電極組立体120の一端には、保護フィルム130が付着される。ここで、電極組立体120の一端は、カン110の底面と隣接した電極組立体120の下面を意味する。
【0050】
一方、前述のように、セパレータ125は、第1電極板121及び第2電極板123よりさらに大きい面積を有して形成されるので、電極組立体120の下面において、セパレータ125は、第1電極板121及び第2電極板123より保護フィルム130に向けてさらに突出する。従って、保護フィルム130は、セパレータ125の端部と付着するが、保護フィルム130とセパレータ125との付着は、熱融着による。また、第1電極板121及び第2電極板123は、保護フィルム130と離隔されるので、熱融着時、第1電極板121と第2電極板123とが熱によって損傷されることを防止することができる。
【0051】
さらに具体的には、保護フィルム130は、セパレータ125の端部と熱融着された第1層132と、第1層132上に積層され、第1層132と異なる材質から形成された第2層134と、を含んでもよい。
【0052】
第1層132は、保護フィルム130に印加される熱によって溶融されながら、セパレータ125の端部に熱融着される層であり、第1層132の融点は、セパレータ125の融点より低くなければならない。
【0053】
例えば、第1層132の融点は、60℃ないし100℃でもある。第1層132の融点が60℃より低い場合は、二次電池100の動作時に発生する熱によって、第1層132が溶融されてしまうので、二次電池100の安定性が低下してしまう。一方、第1層132の融点が100℃より高い場合は、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリプロピレンのうち少なくともいずれか一つを含んで形成されるセパレータ125が、第1層132を溶融させるために加えられる熱によって、収縮などの変形が発生してしまう。
【0054】
従って、第1層132が60℃ないし100℃の融点を有する材質から形成されれば、セパレータ125の損傷なしに、第1層132とセパレータ125とを熱融着させることができ、二次電池100の動作時にも、第1層132が溶融されず、二次電池100の安定性を確保することができる。このような第1層132は、αオレフイン共重合体から形成される。例えば、第1層132は、エチレン−αオレフイン共重合体またはプロピレン−αオレフイン共重合体から形成される。
【0055】
第1層132は、1μmないし50μmの厚みに形成される。第1層132の厚みが1μmより薄い場合は、熱融着によるセパレータ125との接合力が低下し、第1層132の厚みが50μmより厚い場合は、第1層132が十分に溶融され難く、カン110の内部空間が相対的に狭まるので、二次電池100の容量が低減する。
【0056】
第2層134は、第1層132の溶融のための加熱時にも、その形状を維持するように、第1層132の融点より高い融点を有する材質から形成される。また、第2層134は、電極組立体120を支持するので、十分な剛性を有する材質から形成される。例えば、第2層134は、ポリプロピレンからも形成されるが、それに限定されるものではない。
【0057】
第2層134の厚みは、1μmないし100μmに形成される。第2層134の厚みが1μmより薄い場合は、第2層134が電極組立体120の押し下がり現象などを防止するための十分な剛性を有し難く、一方、第2層134の厚みが100μmより厚い場合は、二次電池100の容量が低減する。
【0058】
一方、保護フィルム130は、ホール136をさらに含んでもよい。カン110の内部に注入された電解質は、ホール136を介して電極組立体120側に移動し、電極組立体120は、電解質内に含浸される。具体的には、電解質は、第1電極板121とセパレータ125との間、及びセパレータ125と第2電極板123との間の間隙を介して、毛細管現象によって、電極組立体120内に移動する。従って、ホール136は、保護フィルム130に均一に分布することが望ましい。また、電解質内に含有された異物などが電解質と共に、電極組立体120内に移動することを防止するために、ホール136の大きさは、30μm以下に形成される。ここで、ホール136の大きさは、ホール136が円形である場合は、ホール136の直径を意味し、ホール136が円形以外の他の形状を有する場合は、ホール136の最大サイズを意味する。
【0059】
このように、電極組立体120の一端に保護フィルム130が付着されれば、二次電池100の内部短絡を防止することができ、セパレータ125が、第1層132によって固定されるので、電極組立体120の位置が固定され、カン110の内部において、電極組立体120が遊動することを防止することができる。
【0060】
図5は、
図1の二次電池の電極組立体の変形例を概略的に図示した斜視図である。
【0061】
図5を参照すれば、電極組立体220は、共に巻き取られた第1電極板221、第2電極板223、及び第1電極板221と第2電極板223との間のセパレータ225を含み、第1電極タブ226と第2電極タブ228とが電気的に連結される。また、電極組立体220の一端には、保護フィルム230が付着される。
【0062】
セパレータ225は、第1電極板221と第2電極板223との短絡を防止するために、第1電極板221及び第2電極板223よりさらに大きい面積を有して形成されるので、保護フィルム230が付着される電極組立体220の一端において、セパレータ225は、第1電極板221及び第2電極板223より保護フィルム230に向けてさらに突出する。
【0063】
従って、保護フィルム230は、第1電極板221及び第2電極板223と離隔され、セパレータ225の端部と熱融着して接着される。保護フィルム230は、セパレータ225より融点が低く、セパレータ225と熱融着された第1層(図示せず)と、第1層(図示せず)と異なる材質から形成された第2層(図示せず)と、を含んでもよい。第1層(図示せず)と第2層(図示せず)は、
図1ないし
図4で説明した第1層132及び第2層134とそれぞれ同一であるので、繰り返して説明しない。
【0064】
保護フィルム230は、電極組立体220の側面の一部に付着されるように、少なくとも一側が延長されて形成される。電極組立体220は、第1電極板221、セパレータ225及び第2電極板223が共に巻取されて形成されるが、電極組立体220の最外側面には、絶縁のためにセパレータ225が配置される。このとき、保護フィルム230が、電極組立体220の側面にまで付着されれば、最外側面に配置されたセパレータ225の剥離を防止することができ、電極組立体220の巻き取られた状態を維持させることができる。従って、二次電池の動作時に発生する熱によって、二次電池内部の温度が上昇しても、電極組立体220の剥離が防止される。
【0065】
以上、本発明の望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は、前述の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の精神および要旨から外れることなしに、当該発明が属する技術分野の当業者によって、多様な変形実施が可能であるということは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の二次電池は、例えば、エネルギー源関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 二次電池
110 カン
112,146 開口
120,220 電極組立体
121,221 第1電極板
121a 第1活物質部
121b 第1無地部
123,223 第2電極板
123a 第2活物質部
123b 第2無地部
125,225 セパレータ
126,226 第1電極タブ
128,228 第2電極タブ
130,230 保護フィルム
132 第1層
134 第2層
136 ホール
140 絶縁プレート
142 第1切開部
144 第2切開部
150 キャッププレート
152 電極端子
154 絶縁体
156 電解質注入口
160 栓