(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を用いて、深溝に薄膜を形成する基板処理装置200の一例について説明する。
【0010】
(チャンバ)
まずチャンバを説明する。
基板処理装置200はチャンバ202を有する。チャンバ202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、チャンバ202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。チャンバ202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ100を処理する処理空間205と、ウエハ100を処理空間205に搬送する際にウエハ100が通過する搬送空間206とが形成されている。チャンバ202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板208が設けられる。
【0011】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ149に隣接した基板搬入出口148が設けられており、ウエハ100は基板搬入出口148を介して図示しない真空搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0012】
処理空間205を構成する処理室は、例えば後述する基板載置台212とシャワーヘッド230で構成される。処理空間205内には、ウエハ100を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ100を載置する基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212、基板載置台212に内包された加熱源としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。ヒータ213には、ヒータ213の温度を制御する温度制御部220が接続される。
【0013】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217の支持部はチャンバ202の底壁に設けられた穴215を貫通しており、更には支持板216を介してチャンバ202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び基板載置台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ100を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われている。チャンバ202内は気密に保持されている。
【0014】
基板載置台212は、ウエハ100の搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口148に対向する位置まで下降し、ウエハ100の処理時には、
図1で示されるように、ウエハ100が処理空間205内の処理位置となるまで上昇する。
【0015】
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ100を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ100を下方から支持するようになっている。
【0016】
処理空間205の上部(上流側)には、シャワーヘッド230が設けられている。
シャワーヘッド230は、蓋231を有する。蓋231はフランジ232を有し、フランジ232は上部容器202a上に支持される。更に、蓋231は位置決め部233を有する。位置決め部233が上部容器202aに勘合されることで、蓋231が固定される。
【0017】
シャワーヘッド230は、バッファ空間234を有する。バッファ空間234は、蓋231と位置決め部232で構成される空間をいう。バッファ空間234と処理空間205は連通している。バッファ空間234に供給されたガスはバッファ空間内232で拡散し、処理空間205に均一に供給される。ここではバッファ空間234と処理空間205を別の構成として説明したが、それに限るものではなく、バッファ空間234を処理空間205に含めてもよい。
【0018】
処理空間205は、主に上部容器202a、基板処理ポジションにおける基板載置台212の上部構造で構成される。処理空間205を構成する構造を処理室と呼ぶ。なお、処理室は処理空間205を構成する構造であればよく、上記構造にとらわれないことは言うまでもない。
【0019】
搬送空間206は、主に下部容器202b、基板処理ポジションにおける基板載置台212の下部構造で構成される。搬送空間206を構成する構造を搬送室と呼ぶ。搬送室は処理室の下方に配される。なお、搬送室は搬送空間205を構成する構造であればよく、上記構造にとらわれないことは言うまでもない。
【0020】
(ガス供給部)
続いてガス供給部を説明する。共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243a、第二ガス供給管244a、第三ガス供給管245aが接続されている。また、下部容器202bには、第四ガス供給管248aが接続されている。
【0021】
第一ガス供給管243aを含む第一ガス供給系243からは第一の処理ガスが主に供給され、第二ガス供給管244aを含む第二ガス供給系244からは主に第二の処理ガスが供給される。第三ガス供給管245aを含む第三ガス供給系245からは不活性ガスが供給される。第四ガス供給管248aを含む第四ガス供給系248からは不活性ガスが供給される。
【0022】
(第一ガス供給系)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、第一ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。
【0023】
第一ガス供給管243aから、第一元素を含有するガス(以下、「第一の処理ガス」)が、マスフローコントローラ243c、バルブ243d、共通ガス供給管242を介してシャワーヘッド230に供給される。
【0024】
第一の処理ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一の処理ガスは、例えばシリコン含有ガスである。具体的には、シリコン含有ガスとして、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2。DCSとも呼ぶ。)ガスが用いられる。
【0025】
第一ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、第一不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第一不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源246b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)246c、及び開閉弁であるバルブ246dが設けられている。
【0026】
ここで、不活性ガスは、例えば、窒素(N
2)ガスである。原料ガスのキャリアガス又は希釈ガスとして作用するものである。
【0027】
主に、第一ガス供給管243a、マスフローコントローラ243c、バルブ243dにより、第一の処理ガス供給系243(シリコン含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0028】
また、主に、第一不活性ガス供給管246a、マスフローコントローラ246c及びバルブ246dにより第一不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源246b、第一ガス供給管243aを、第一不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0029】
更には、第一ガス供給源243b、第一不活性ガス供給系を、第一の処理ガス供給系243に含めて考えてもよい。
【0030】
(第二ガス供給系)
第二ガス供給管244aの上流には、上流方向から順に、反応ガス供給源244b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)244c、及び開閉弁であるバルブ244dが設けられている。反応ガスをプラズマ状態とする場合には、バルブ244dの下流にリモートプラズマユニット(RPU)244eを設ける。
【0031】
そして、第二ガス供給管244aからは、反応ガスが、MFC244c、バルブ244d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。反応ガスをプラズマ状態とする場合には、RPU244eによりプラズマ状態とされ、ウエハ100上に照射される。
【0032】
反応ガスは、処理ガスの一つであり、例えば酸素ガスである。酸素ガスとしては、例えば酸素(O
2)ガスが用いられる。
【0033】
主に、第二ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、反応ガス供給系244が構成される。なお、反応ガス供給系244は、反応ガス供給源244b、RPU244e、後述する第二不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。
【0034】
第二ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、第二不活性ガス供給管247aの下流端が接続されている。第二不活性ガス供給管247aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)247c、及び開閉弁であるバルブ247dが設けられている。そして、第二不活性ガス供給管247aからは、不活性ガスが、MFC247c、バルブ247d、第二ガス供給管244a、RPU244eを介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0035】
不活性ガスは、反応ガスのキャリアガス又は希釈ガスとして作用するものである。具体的には、例えば、窒素(N
2)ガスを用いることができる。
【0036】
主に、第二不活性ガス供給管247a、MFC247c、及びバルブ247dにより、二不活性ガス供給系が構成される。なお、第二不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源247b、
第二ガス供給管244a、RPU244eを含めて考えてもよい。また、第二不活性ガス供給系は、第二ガス供給系244に含めて考えてもよい。
【0037】
(第三ガス供給系)
第三ガス供給管245aには、上流方向から順に、第三ガス供給源245b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)245c、及び開閉弁であるバルブ245dが設けられている。
【0038】
第三ガス供給管245aから、パージガスとしての不活性ガスが、マスフローコントローラ245c、バルブ245d、共通ガス供給管242を介してシャワーヘッド230に供給される。不活性ガスは、例えば、窒素(N2)ガスである。
【0039】
主に、第三ガス供給管245a、マスフローコントローラ245c、バルブ245dにより、第三ガス供給系245が構成される。
【0040】
不活性ガス供給源245bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、チャンバ202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。
【0041】
主に、第一ガス供給系243、第二ガス供給系244、第三ガス供給系245をまとめて処理ガス供給部と呼ぶ。なお、処理ガス供給部とは処理ガスを処理空間に供給する構成であればよく、プロセスに応じて第一ガス供給系243、第二ガス供給系244、第三ガス供給系245のいずれか、もしくはそれら一部の組み合わせを示すものである。
【0042】
(第四ガス供給系)
第四ガス供給管248aには、上流方向から順に、第四ガス供給源248b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)248c、及び開閉弁であるバルブ248dが設けられている。
【0043】
第四ガス供給管248aから、パージガスとしての不活性ガスが、マスフローコントローラ248c、バルブ248dを介して搬送空間206に供給される。不活性ガスは、例えば、窒素(N
2)ガスである。
【0044】
主に、第四ガス供給管248a、マスフローコントローラ248c、バルブ248dにより、第四ガス供給系248が構成される。第四ガス供給系248は、搬送室206に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部とも呼ぶ。
【0045】
ところで、近年、デバイス特性改善や新規膜種の採用にともない、低温でガスを反応させて成膜することが要求されている。高温で処理すると、既に形成されている膜に悪影響を及ぼす場合があるためである。
【0046】
ところで、品質の高い膜を形成する方法として安定な元素を有するガスを用いる方法があるが、たいていは反応に必要な温度が高いため、低温要求に沿わないという問題がある。
【0047】
一方、低温で品質の高い膜を形成する方法としてプラズマを用いる方法がある。本実施形態に照らし合わせれば、処理空間205内に電力を供給する構造を設け、処理空間205に供給されたガスをその電力によってプラズマ状態とする。この方法でも低温を実現できるが、高いエネルギーとなり深溝上でCVD反応が促進される。したがって、深溝の深部にガスが侵入する前に表面で膜が形成され、結果深部に膜を形成できない、という問題がある。
【0048】
そこで、第一の処理ガスとしては、低温にて分解容易なガスを用いる。また、第二の処理ガスとしては、低温で分解可能なガス、もしくはリモートプラズマユニット244eを用いて、低エネルギーのプラズマ状態のガスを生成する。更には、後述するように、第二の処理ガスを供給する際、処理空間205を高圧とする。このようにすることで、第一の処理ガス、第二の処理ガスを深溝の底部まで到達させるようにする。
【0049】
(排気部)
チャンバ202の雰囲気を排気する排気系は、処理空間205の雰囲気を排気する処理空間排気系261、搬送空間206の雰囲気を排気する搬送空間排気系262で主に構成される。
【0050】
処理空間排気系261は、処理空間205に接続される排気管(第1排気管)261aを有する。排気管261は、処理空間205に連通するよう設けられる。
排気管261aには、処理空間205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(AutoPressure Controller)261c、処理空間205の圧力を計測する第一の圧力検出部261dが設けられる。APC261cは開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、後述するコントローラ280からの指示に応じて排気管261のコンダクタンスを調整する。また、
排気管261においてAPC261cの上流側にはバルブ261bが設けられる。排気管262とバルブ261b、APC261c、第一の圧力検出部261dをまとめて処理室排気系261と呼ぶ。
【0051】
搬送空間排気系262は、搬送空間206に接続される排気管(第2排気管)262aを有する。
排気管262aは、搬送空間206を構成する下部容器202bの側面あるいは底面に設けられる。
排気管262aには、搬送空間206内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC262c、が設けられる。なお、排気管262に、ポンプ262e
(TMP。Turbo Molecular Pump)を設けても良い。排気管262aにおいてポンプ262eの上流側には搬送空間用排気バルブとしてのバルブ262bが設けられる。更には、排気管262aには搬送空間206の圧力を検出する第二の圧力検出部262dが設けられる。
排気管262aとAPC262c、バルブ262b、第二の圧力検出部262dをまとめて搬送室排気系262と呼ぶ。搬送室排気系262に、ポンプ262eを含めても良い。
【0052】
排気管261a,排気管262aの下流側には、排気管(第3排気管)264が接続される。排気管264には、DP(Dry Pump。ドライポンプ)278が設けられる。図示のように、排気管264には、その上流側から
排気管261a,排気管262aが接続され、さらにそれらの下流にDP278が設けられる。DP278は、
排気管261a,排気管262aのそれぞれを介して、処理空間205および搬送空間206のそれぞれの雰囲気を排気する。また、DP278は、TMP265が動作するときに、その補助ポンプとしても機能する。すなわち、高真空(あるいは超高真空)ポンプであるTMP262eは、大気圧レベルまでの排気を単独で行うのは困難であるため、補助ポンプとしてDP278が用いられる。上記した排気系の各バルブには、例えばエアバルブが用いられる。
【0053】
(コントローラ)
基板処理装置200は、基板処理装置200の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、
図2に記載のように、演算部(CPU)280a、一時記憶部280b、記憶部280c、送受信部280dを少なくとも有する。コントローラ280は、送受信部280dを介して基板処理装置200の各構成に接続され、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部280cからプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)282を用意し、外部記憶装置282を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いても良いし、上位装置270から送受信部283を介して情報を受信し、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、キーボードやタッチパネル等の入出力装置281を用いて、コントローラ280に指示をしても良い。
【0054】
なお、記憶部280cや外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部280c単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0055】
(半導体装置の説明)
続いて、処理対象の半導体装置の一例を
図3から
図6を用いて説明する。処理対象の半導体装置は、積層タイプのメモリである。
図4は、
図3に記載のホール106に電荷トラップ膜等を充填させた状態の図である。
図5は犠牲膜104を除去した状態であり、空隙111が形成された状態の図である。
図6は空隙11に金属膜112を充填させた図である。
【0056】
最初に
図3を用いて、本技術で処理する基板について説明する。
図3(a)はウエハ100に形成された膜の側断面図であり、
図3(b)は上方から見た図である。なお、
図3(b)のα―α’線における側断面図が
図3(a)に相当する。
【0057】
ウエハ100には、共通ソースライン(CSL、Common Source Line)101が形成されている。更に、ウエハ100上には絶縁膜102が形成される。絶縁膜102上には犠牲膜104が形成される。
図3に記載のように、絶縁膜102と犠牲膜104は交互に積層される。具体的には、絶縁膜102(1)上には犠牲膜104(1)、絶縁膜102(2)、犠牲膜104(2)、…、絶縁膜102(8)、犠牲膜104(8)が形成される。犠牲膜104(8)上には、絶縁膜105を形成する。なお、ここでは絶縁膜102、犠牲膜104を8層形成する例を説明したが、それに限るものではなく、より多層にしてもよい。
【0058】
絶縁膜102、犠牲膜104で構成される積層膜及び絶縁膜105には、深溝としてのホール106が形成される。ホール106は、底部において共通ソースライン101が露出するように構成される。ホール106は、
図3(b)に記載のように、ウエハ100の面方向に多数設けられる。
【0059】
続いて
図4を用いて、ホール106を充填した状態を説明する。
ホール106内には、外周側から順に保護膜107、ゲート電極間絶縁膜-電荷トラップ膜-トンネル絶縁膜の積層膜108、チャネルポリシリコン膜109、充填絶縁膜110が形成される。各膜は筒状に構成される。
【0060】
例えば、保護膜107はSiOやメタル酸化膜で構成され、ゲート電極間絶縁膜-電荷トラップ膜-トンネル絶縁膜の積層膜108はSiO-SiN-SiO膜で構成される。改質犠牲膜104を除去する際に積層膜108にダメージが入るのを避けるべく、ホール106の内壁表面に、保護膜107を設け保護している。ホール106に充填後、エッチング処理により犠牲膜104を除去する。
【0061】
図5はエッチング処理によって
犠牲膜104を除去した状態の図である。犠牲膜114が形成されていた場所には、深溝としての空隙111が形成される。空隙111は絶縁膜102と交互に配される。
【0062】
図6は空隙111に金属膜112が埋め込まれた状態である。金属膜112は絶縁膜102と交互に積層される。
【0063】
(基板処理工程)
図7、
図8を用いて基板処理装置200を用いた基板処理工程について説明する。
図7は処理フローを説明する図であり、
図8は各フローと圧力との関係を示した図である。
【0064】
本基板処理工程を行うことで、例えば深溝としてのホール106や空隙111に薄膜を形成する。なお、以下の説明において、基板処理装置200を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0065】
(基板搬入・載置工程)
基板搬入・載置工程を説明する。
図7においては、本工程の説明を省略する。
基板処理装置200では基板載置台212をウエハ100の搬送位置(搬送ポジション)まで下降させることにより、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。次にバルブ262bを開き、搬送空間206とAPC262cの間を連通させ、処理室205及び搬送室206の雰囲気を排気する。
【0066】
続いて、ゲートバルブ149を開いて搬送空間206を真空搬送室(図示せず)と連通させる。そして、この移載室からウエハ移載機(図示せず)を用いてウエハ100を搬送空間206に搬入し、リフトピン207上にウエハ100を移載する。これにより、ウエハ100は、基板載置台212の表面から突出したリフトピン207上に水平姿勢で支持される。
【0067】
チャンバ202内にウエハ100を搬入したら、ウエハ移載機をチャンバ202の外へ退避させ、ゲートバルブ149を閉じてチャンバ202内を密閉する。その後、基板載置台212を上昇させることにより、基板載置面211上にウエハ100を載置させ、さらに基板載置台212を上昇させることにより、前述した処理空間205内の処理位置(基板処理ポジション)までウエハ100を上昇させる。
【0068】
このとき、仕切り板208と基板載置台のフランジ部212aを可能な限り近づかせ、処理空間205と搬送空間206を隔離する。ところで、フランジ部212aと仕切り部208を接触させると、それらに付着した付着物がはがれたり、あるいはいずれかが壊れたりするなどして、パーティクルが発生する恐れがある。本技術のように微細化パターンを処理する場合、そのパーティクルは基板処理装置の性能に悪影響を及ぼす。従って歩留まりが低下することになる。そこで、処理位置までウエハ100を上昇させる際には、フランジ212aと仕切り板208の間に空間221が設けられるよう制御している。そのため、処理空間205と搬送空間206は連通している。
【0069】
ウエハ100が搬送空間206に搬入された後、処理空間205内の処理位置まで上昇したら、バルブ261bを開き、処理空間205とAPC261cの間を連通させる。APC261cは、排気管261aのコンダクタンスを調整することで、処理空間205を所定の圧力(例えば10
−5〜10
−1Paの高真空)に維持する。
【0070】
更に、APC262cが排気管262aのコンダクタンスを調整し、搬送空間206を処理空間205と同程度の圧力(例えば10
−5〜10
−1Paの高真空)に維持する。
【0071】
また、ウエハ100を基板載置台212の上に載置する際は、基板載置台212の内部に埋め込まれたヒータ213に電力を供給し、ウエハ100の表面が所定の温度となるよう制御される。ウエハ100の温度は、例えば室温以上800℃以下であり、好ましくは、室温以上であって500℃以下である。この際、ヒータ213の温度は、温度センサにより検出された温度情報に基づいてコントローラ280が制御値を抽出し、温度制御部220によってヒータ213への通電具合を制御することによって調整される。
【0072】
続いて、深溝に薄膜を形成する具体的な方法を説明する。ここでは、例えばシリコン酸化膜で構成される充填絶縁膜110を形成する例について、
図7、
図8を用いて説明する。
図7はウエハ100の処理フローを示し、
図8は処理フローの各工程と、処理空間205、搬送空間206における圧力との関係を説明する説明図である。
【0073】
ウエハ100を基板処理温度に昇温した後、ウエハ100を所定温度に保ちつつ加熱処理を伴う以下の基板処理を行う。すなわち、共通ガス供給管242、シャワーヘッド230を介して、処理ガスをチャンバ202内に配置されているウエハ100の表面(処理面)に向けて供給し、ウエハ100を処理する。
【0074】
以下、第一の処理ガスとしてDCSガスを用い、第二の処理ガスとして酸素(O
2)ガスを用いて、深溝にシリコン酸化膜を形成する例について説明する。ここでは、異なる処理ガスを交互に供給する工程を繰り返す交互供給処理を行う。
【0075】
(第一の処理ガス供給工程S202)
第一の処理ガス供給工程S202を説明する。ウエハ100を加熱して所望とする温度に達すると、バルブ243dを開くと共に、DCSガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ243cを調整する。なお、DCSガスの供給流量は、例えば100sccm以上800sccm以下である。このとき、第三ガス供給系のバルブ245dを開き、第三ガス供給管245aからN
2ガスを供給する。第一不活性ガス供給系からN
2ガスを流してもよい。
【0076】
バッファ空間234を介して処理空間205に供給されたDCSガスは、熱によってシリコン成分等に分解され、ウエハ100上に供給される。供給されたシリコン成分が深溝の表面に接触することによって、表面に「第一元素含有層」としてのシリコン含有層が形成される。シリコン含有層は、形成する薄膜の前駆体に相当する。
【0077】
DCSガスを処理空間205に供給するのと並行して、第四のガス供給系246から搬送空間206に不活性ガスを供給する。このとき、処理空間205と搬送空間206との圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。具体的には、処理空間205と搬送空間206がほぼ同圧、もしくはやや高い圧力となるよう、搬送空間排気系262と第四のガス供給系246とで制御する。
【0078】
ここでは、第一の圧力検出部261dが処理空間205の圧力を検出し、第二の圧力検出部262dが搬送空間の圧力を検出し、それらの検出データをコントローラ280が受信する。コントローラ280は、マスフローコントローラ243c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、処理空間205と搬送空間206の圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。
【0079】
供給開始時においては、圧力差を所定の範囲に維持した状態で、徐々に処理空間205、搬送空間206の圧力が徐々に高くなるように制御する。
【0080】
供給開始時においても搬送空間206と処理空間205との圧力差を所定の範囲内に維持することで、搬送空間206と処理空間205との間における急激な圧力差を発生させないようにする。急激な圧力差が発生すると、搬送空間206内の雰囲気や空間221に滞留したガスの成分、付着したガスの成分等のパーティクルが処理空間205全域に拡散する恐れがある。特に、搬送空間206の圧力が高い場合に顕著である。これらパーティクルがウエハ100に付着したり、処理室壁に付着したりするなどして、歩留まりが低下する恐れがある。そこで、供給開始時においても搬送空間206の圧力を処理空間205の圧力差が所定の範囲内となるように対応して拡散を抑制する。
【0081】
更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に高めることで、より確実に急激な圧力差を生じないようにさせている。
【0082】
処理中においても、処理空間205と搬送空間206を同圧、もしくは処理空間205よりも搬送空間206の圧力を高くするとすることで、DCSガスが処理空間205から搬送空間206に侵入することを抑制する。なお、
図8においては、処理空間205と搬送空間206の圧力をそれぞれP1とし、同圧としている。圧力P1は、分解された第一ガス含有ガスが再結合しない程度の圧力に設定される。
【0083】
このとき処理空間205、搬送空間206のそれぞれの圧力を例えば50〜300Paのうち、所定の値となるよう制御する。
【0084】
このような圧力値とすることで、シリコン成分の平均自由行程が長くなり、その結果深溝の底部までシリコン成分を到達可能とする。平均自由行程が長いとは、言い換えれば分解したDCSガスの衝突確率が減少することである。すなわち、分解したDCSガスが再結合する確率が低い。したがって、分解した状態で深溝の底部にシリコン成分を到達させることができ、その結果深溝の底部に前駆体を形成することができる。
【0085】
所定時間経過後、バルブ243dを閉じてDCSガスの供給を停止する。
望ましくは、バルブ243dを閉じる前に、マスフローコントローラ243c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、供給開始時と同様に、搬送空間206と処理空間205の圧力差が所定の範囲内に維持されるよう制御する。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に変動させることが望ましい。
【0086】
例えば、圧力差を所定の範囲内に維持した状態で、徐々に第一の処理ガスの供給量を少なくし、それと並行して第四ガス供給系248から供給される不活性ガスの供給量を徐々に少なくする。
【0087】
圧力差を所定の範囲に維持することで、急激な圧力差を生じないようにさせている。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に少なくすることで、より確実に急激な圧力差を生じないようにさせている。
【0088】
第一の処理ガスを供給する際に、第一不活性ガス供給管246aからN
2を供給している場合、そのN
2ガスの供給量を考慮し、処理室への供給量や処理空間205の圧力を調整する。
【0089】
(第一のパージ工程S204)
第一のパージ工程S204を説明する。
バルブ245dを開けて第三ガス供給管245aからN
2ガスを供給し、シャワーヘッド230および処理空間205のパージを行う。それと並行して、バルブ248dを開けて第四ガス供給管248aからN
2ガスを供給して、処理空間205と搬送空間206の圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。例えば、処理空間205と搬送空間206を同圧、もしくは処理空間205よりも搬送空間206がやや高い圧力になるよう制御する。
【0090】
ここでは、第一の処理ガス供給工程S202と同様に、第一の圧力検出部261d、第二の圧力検出部262dが検出した検出データを元に、コントローラ280は、マスフローコントローラ245c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、処理空間205と搬送空間206の圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。例えば、処理空間205と搬送空間206を同圧、もしくは処理空間205よりも搬送空間206がやや高い圧力になるよう制御する。
【0091】
供給開始時においては、圧力差を所定の範囲に維持した状態で、徐々に処理空間205、搬送空間206の圧力が徐々に高くなるように制御する。
【0092】
圧力差を所定の範囲に維持することで、急激な圧力差を生じないようにさせている。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に高くすることで、より確実に急激な圧力差を生じないようにさせている。
【0093】
処理空間205と搬送空間206を同圧、もしくは搬送空間206の圧力を高くすることで、処理空間205中の残ガスが搬送空間206に入り込まないようにする。入り込まないようにすることで、搬送空間206中で残ガスを原因としたパーティクルを発生させないようにする。
【0094】
このとき処理空間205、搬送空間206の圧力を例えば50〜300Paのうち、P1よりも高い圧力であるP2となるよう制御する。このようにすると不活性ガスの流速が上がるので、ガスの置換効率を向上できる。すなわち、第一の処理ガス供給工程S202で供給した第一の処理ガスを早期にパージできる。なお、
図8においては、処理空間205と搬送空間206の圧力を同圧としている。
【0095】
所定時間経過後、バルブ245dを閉じ、N
2ガスの供給を停止する。
望ましくは、バルブ245dを閉じる前に、マスフローコントローラ245c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、搬送空間206と処理空間205の圧力差が所定の範囲内に維持されるよう制御する。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に変動させることが望ましい。
【0096】
例えば、圧力差を所定の範囲内に維持した状態で、徐々に第三ガス供給系245からの不活性ガス供給量を少なくし、それと並行して第四ガス供給系248から供給される不活性ガスの供給量を徐々に少なくする。
【0097】
圧力差を所定の範囲に維持することで、急激な圧力差を生じないようにさせている。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に
小さくすることで、より確実に急激な圧力差を生じないようにさせている。
【0098】
(第二の処理ガス供給工程S206)
第二の処理ガス供給工程S206を説明する。第一のパージ工程S204の後、バルブ244dを開けて、シャワーヘッド230を介して、処理空間205内に酸素ガスの供給を開始する。
【0099】
このとき、酸素ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ244cを調整する。なお、酸素ガスの供給流量は、例えば100sccm以上6000sccm以下である。なお、酸素ガスとともに、第二不活性ガス供給系からキャリアガスとしてN
2ガスを流してもよい。また、この工程においても、第三ガス供給系のバルブ245dは開とされ、第三ガス供給管245aからN
2ガスが供給される。
【0100】
酸素ガスはリモートプラズマユニット244eでプラズマ状態とされる。プラズマ状態の酸素ガスは、シャワーヘッド230を介してウエハ100上に供給される。深溝に既に形成されているシリコン含有層が酸素ガスによって改質されることにより、シリコン元素および酸素元素を含有する層で構成される薄膜が形成される。
【0101】
所定の時間経過後、バルブ244dを閉じ、酸素ガスの供給を停止する。
【0102】
第二の処理ガス供給工程S206においても、上記したS202と同様に、バルブ261bが開とされ、APC261cによって処理空間205の圧力が所定の圧力となるように制御される。本工程における圧力は、第一の処理ガス供給工程S202よりも高い圧力とする。理由は後述する。
【0103】
また、酸素ガスを処理空間205に供給するのと並行して、第四のガス供給系246から搬送空間206に不活性ガスを供給する。このとき、処理空間205と搬送空間206との圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。具体的には、処理空間205と搬送空間206がほぼ同圧、もしくはやや高い圧力になるよう、搬送空間排気系262と第四のガス供給系246とで制御する。
【0104】
ここでは、第一の処理ガス供給工程S202と同様に、第一の圧力検出部261d、第二の圧力検出部262dが検出した検出データを元に、コントローラ280は、マスフローコントローラ244c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、第一の処理ガス供給工程S202と同様、処理空間205と搬送空間206の圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。
【0105】
供給開始時においても搬送空間206と処理空間205との圧力差を所定の範囲に維持した状態で、徐々に処理空間205、搬送空間206の圧力が徐々に高くなるように制御する。
【0106】
圧力差を所定の範囲に維持することで、急激な圧力差を生じないようにさせている。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に高くすることで、より確実に急激な圧力差を生じないようにさせている。
【0107】
処理空間205と搬送空間206を同圧、もしくは搬送空間206の圧力を高くすることで、酸素ガスが処理空間205から搬送空間206に侵入することを抑制する。なお、
図8においては、処理空間205と搬送空間206の圧力を第一の処理ガス供給工程S202よりも高いP3とし、同圧としている。
【0108】
このとき処理空間205、搬送空間206の圧力を例えば100〜1400Paのうち、所定の値となるよう制御する。これは酸素成分が深溝の底部まで移動することが可能な圧力であり、その結果深溝の底部における前駆体を改質できる。したがって、深溝の底部においても薄膜を形成することができる。なお、第二元素ガスがプラズマ状態である場合、プラズマが失活しない程度の圧力とする。
【0109】
所定時間経過後、バルブ244dを閉じ、酸素ガスの供給を停止する。
望ましくは、バルブ244dを閉じる前に、マスフローコントローラ244c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、搬送空間206と処理空間205の圧力差が所定の範囲内に維持されるよう制御する。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に変動させることが望ましい。
【0110】
例えば、圧力差を所定の範囲内に維持した状態で、徐々に第二の処理ガスの供給量を少なくし、それと並行して第四ガス供給系248から供給される不活性ガスの供給量を徐々に少なくする。
【0111】
圧力差を所定の範囲に維持することで、急激な圧力差を生じないようにさせている。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に少なくすることで、より確実に急激な圧力差を生じないようにさせている。
【0112】
第二の処理ガスを供給する際に、第二不活性ガス供給管247aからN
2ガスを供給している場合、そのN
2ガスの供給量を考慮し、処理室への供給量や処理空間205の圧力を調整する。
【0113】
(第二のパージ工程S208)
第二のパージ工程S208を説明する。第一のパージ工程S204と同様、第三ガス供給管245aからN
2ガスを供給し、シャワーヘッド230および処理空間205のパージを行う。それと並行して、第四ガス供給管248aからN
2ガスを供給して、処理空間205と搬送空間206の圧力差が所定の範囲内となるよう制御する。例えば、処理空間205と搬送空間206を同圧、もしくは処理空間205よりも搬送空間206がやや高い圧力になるよう制御する。
【0114】
供給開始時においては、圧力差を所定の範囲に維持した状態で、徐々に処理空間205、搬送空間206の圧力が徐々に高くなるように制御する。
【0115】
このとき処理空間205、搬送空間206の圧力を、パージ工程S204よりも高い圧力とする。例えば20〜300Paのうち、所定の値となるよう制御する。
このような圧力値とすることでこのようにすると不活性ガスの流速が上がるので、ガスの置換効率を向上できる。すなわち、第二の処理ガス供給工程S206で供給した第二の処理ガスを早期にパージできる。
なお、
図8においては、処理空間205と搬送空間206の圧力をそれぞれP3とし、同圧としている。
【0116】
所定時間経過後、バルブ245dを閉じ、N
2ガスの供給を停止する。
望ましくは、バルブ245dを閉じる前に、マスフローコントローラ245c、マスフローコントローラ248c、APC261c、APC262cを制御して、搬送空間206と処理空間205の圧力差が所定の範囲内に維持されるよう制御する。更には、処理空間205、搬送空間206の圧力を徐々に変動させることが望ましい。
【0117】
例えば、圧力差を所定の範囲内に維持した状態で、徐々に第三ガス供給系245からの不活性ガス供給量を少なくし、それと並行して第四ガス供給系248から供給される不活性ガスの供給量を徐々に少なくする。
【0118】
(判定S210)
判定S210を説明する。コントローラ280は、上記1サイクルを所定回数(n cycle)実施したか否かを判定する。
【0119】
所定回数実施していないとき(S210でNoの場合)、第一の処理ガス供給工程S202、パージ工程S204、第二の処理ガス供給工程S206、パージ工程S208のサイクルを繰り返す。所定回数実施したとき(S210でYesの場合)、
図7に示す処理を終了する。
【0120】
(基板搬出工程)
基板搬出工程では、基板載置台212を下降させ、基板載置台212の表面から突出させたリフトピン207上にウエハ100を支持させる。これにより、ウエハ100は処理位置から搬送位置となる。その後、ゲートバルブ149を開き、アーム(不図示)を用いてウエハ100をチャンバ202の外へ搬出する。
【0121】
以上説明した技術により、アスペクト比の高い深溝に対しても、深溝の底部に薄膜を形成することができる。
【0122】
尚、上述の実施形態では、第一の処理ガスとしてシリコン含有ガスを用い、第二の処理ガスとして酸素ガスを用い、深溝にシリコン酸化膜を形成する場合について説明したが、それに限るものではない。第一の処理ガスとしては、分解容易な性質を有していればよく、例えばHCD(Si
2Cl
6)やTDMAS(SiH(N(CH
3)
2)
3)であってもよい。また、第二の処理ガスとしては、O
2ガスに限るものではなく、オゾンやHO等であってもよい。また第二元素は酸素に限らず、窒素であっても良い。特にオゾンの場合、それ単体で高いエネルギーを有するため、プラズマ状態にしなくてもよい。そのため、プラズマが失活するほど高圧とする場合は、オゾンを用いてもよい。
【0123】
また、不活性ガスとしてN
2ガスを例に説明したが、処理ガスと反応しないガスであればそれに限るものではない。例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。