(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記給電装置は、前記蓄電デバイスが満充電に達する第1期間を計時する第1タイマ部を備え、前記第1タイマ部が前記第1期間を計時後に、前記給電コイルから前記受電コイルへの給電を停止し、
前記電子機器は、前記第1期間以上の第2期間を計時する第2タイマ部を備え、
前記電力供給部は、前記第2タイマ部が前記第2期間を計時した場合に、前記蓄電デバイスが充電している電力を前記負荷部に供給する
ことを特徴とする請求項11に記載の無線給電システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態による電子機器、及び無線給電システムについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による無線給電システム100の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、無線給電システム100は、センシングデバイス1と、給電装置2とを備えている。無線給電システム100は、給電装置2からセンシングデバイス1に、ワイヤレス(非接触)により電力を供給する無線給電を行うシステムであり、例えば、センシングデバイス1が備える蓄電デバイス40を充電するための電力を給電装置2からセンシングデバイス1に供給する。
【0021】
給電装置2は、センシングデバイス1に無線給電する装置であり、給電コイル21と、共振コンデンサ22と、交流電源23と、給電スイッチ24とを備えている。
給電コイル21は、例えば、電磁誘導、又は電磁結合により、センシングデバイス1が備える受電コイル11に電力を供給するコイルである。
共振コンデンサ22は、給電コイル21と直列に接続されており、給電コイル21と共振するコンデンサである。給電コイル21と共振コンデンサ22とは、所定の共振周波数(例えば、1.5MHz(メガヘルツ))により共振する共振回路を形成している。
【0022】
交流電源23は、所定の周波数(例えば、1.5MHz)の交流信号を出力する。交流電源23は、給電スイッチ24を介して、直列に接続された給電コイル21と共振コンデンサ22とに、交流信号を供給する。
給電スイッチ24は、共振コンデンサ22と、交流電源23との間に接続されているスイッチである。給電スイッチ24は、センシングデバイス1に給電する際に、オン状態(導通状態)にされ、センシングデバイス1への給電を停止する際に、オフ状態にされる。
【0023】
センシングデバイス1(電子機器の一例)は、給電装置2からの無線給電により得られた電力を蓄電デバイス40に充電(蓄電)し、蓄電デバイス40に蓄電した電力により動作する機器である。本実施形態では、一例として、センシングデバイス1は、例えば、人体に埋め込まれ、蓄電デバイス40に充電された電力により、生体情報のセンシング(検出)する装置について説明する。
センシングデバイス1は、受電コイル11と、共振コンデンサ12と、抵抗13と、スイッチング素子14と、負荷部15と、供給スイッチ16と、整流部30と、蓄電デバイス40と、充放電制御部50とを備えている。
【0024】
受電コイル11は、例えば、電磁誘導、又は電磁結合により、給電装置2が有する給電コイル21から給電されるコイルである。
共振コンデンサ12は、受電コイル11と直列に接続されており、受電コイル11と共振するコンデンサである。受電コイル11と共振コンデンサ12とは、所定の共振周波数(例えば、1.5MHz)により共振する共振回路を形成している。なお、受電コイル11と共振コンデンサ12とが直列に接続された共振回路は、後述する整流部30のノードN1及びノードN2に接続されている。
【0025】
整流部30は、受電コイル11に給電された電力(交流電力)を直流電力に整流(変換)する整流回路である。整流部30は、ダイオード31〜34と、平滑コンデンサ35とを備えている。
ダイオード31〜34は、例えば、ショットキーバリアダイオードであり、ダイオードブリッジ回路を形成している。
【0026】
具体的に、ダイオード31は、アノード端子がノードN1に接続され、カソード端子が電源線L1に接続されている。また、ダイオード32は、アノード端子が電源線L2に接続され、カソード端子がノードN1に接続されている。また、ダイオード33は、アノード端子がノードN2に接続され、カソード端子が電源線L1に接続されている。また、ダイオード34は、アノード端子が電源線L2に接続され、カソード端子がノードN2に接続されている。ここで、電源線L1(第1電源線)は、整流部30が整流する直流電力の正極電源線であり、電源線L2(第2電源線)は、整流部30が整流する直流電力の負極電源線である。
平滑コンデンサ35は、電源線L1と電源線L2との間に接続され、整流部30が整流する直流電力を平滑化する。
【0027】
蓄電デバイス40は、電源線L1と、電源線L2との間に接続され、整流部30によって整流された直流電力を蓄電(充電)する。蓄電デバイス40は、例えば、直列に接続された電気二重層コンデンサ41と、電気二重層コンデンサ42とを備えている。
電気二重層コンデンサ41及び電気二重層コンデンサ42は、最大充電電圧が、例えば、2,5V(ボルト)であり、2つを直列に接続することで、5Vの充電を可能にする。
なお、本実施形態において、蓄電デバイス40の両端の電圧を電圧Vcとし、蓄電デバイス40に流れ込み電流を電流Icとして説明する。
【0028】
抵抗13は、スイッチング素子14と直列に接続され、第1端が電源線L1に接続され、第2端がスイッチング素子14のドレイン端子に接続されている。抵抗13の抵抗値は、例えば、電圧Vcが、ダイオード31〜34、平滑コンデンサ35、及び蓄電デバイス40の許容電圧を超えないように、直流電力を放電する所定の抵抗値に設定されている。
また、抵抗13とスイッチング素子14のオン抵抗との和が、発熱と、後述する電圧V1から電圧V2まで変化するスピードに影響する。例えば、抵抗13とスイッチング素子14のオン抵抗との和が小さい場合には、蓄電デバイス40に蓄電された電力が急速に放電されるため、発熱が大きくなるが、電圧V1から電圧V2まで変化するスピードが速いため、蓄電デバイス40の満充電になるまでの時間が短くなる。また、抵抗13とスイッチング素子14のオン抵抗との和が大きい場合は、発熱が小さくなるが、電圧V1から電圧V2まで変化するスピードが遅くなるため、蓄電デバイス40が満充電になるまでの時間が長くなる。そのため、これらを考慮して、スイッチング素子14のオン抵抗値と、抵抗13の抵抗値とを決定する。
【0029】
スイッチング素子14は、例えば、NMOSトランジスタ(N−Channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。スイッチング素子14は、抵抗13と直列に接続され、抵抗13を介して直流電力を放電する。すなわち、スイッチング素子14は、直流電力の放電(直流電力を放電するか否か)を制御する。また、スイッチング素子14は、ソース端子が電源線L2に接続され、ドレイン端子が抵抗13の第2端子に接続されている。また、スイッチング素子14の制御端子(ゲート端子)は、後述する自己保持回路51の出力線に接続されている。
また、スイッチング素子14は、例えば、ゲート端子がH(ハイ)状態である場合にオン状態(導通状態)になり、抵抗13を介して直流電力を放電する。また、スイッチング素子14は、ゲート端子がL(ロウ)状態である場合にオフ状態(非導通状態)になる。
【0030】
負荷部15は、蓄電デバイス40に蓄電された電力により動作し、例えば、センサ(不図示)を含み生体情報のセンシングを行う。負荷部15は、電源線L1と電源線L2との間に、供給スイッチ16と直列に接続されている。
供給スイッチ16(電力供給部の一例)は、所定の条件に応じて、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。供給スイッチ16は、負荷部15と電源線L2との間に接続され、例えば、不図示の供給制御部によって、負荷部15に電力を供給するために導通状態が制御される。供給スイッチ16は、例えば、オン状態(導通状態)に制御された場合に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
【0031】
充放電制御部50は、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1(例えば、4V)以上になった場合に、スイッチング素子14に放電させるとともに、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V2(例えば、3.8V)以下になった場合に、スイッチング素子14による放電を停止させる。ここで、電圧V1(第1電圧)は、蓄電デバイス40の許容電圧に基づく上限電圧である。また、電圧V2(第2電圧)は、第1電圧により低い電圧であって、負荷部15の動作最低電圧(例えば、2.2V)より高い下限電圧である。
【0032】
例えば、充放電制御部50は、電圧Vcが電圧V1以上になった場合に、スイッチング素子14をオン状態にして、抵抗13を介して電圧Vcを放電させる。また、充放電制御部50は、電圧Vcが電圧V2以下になった場合に、スイッチング素子14をオフ状態にして、電圧Vcの放電を停止させる。
また、充放電制御部50は、上限電圧検出部60と、下限電圧検出部70と、自己保持回路51とを備えている。
【0033】
上限電圧検出部60(第1検出部の一例)は、整流部30が整流した直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1以上になったか否かを検出する。上限電圧検出部60は、抵抗61と、抵抗62と、基準電圧生成部63と、コンパレータ64とを備えている。
抵抗61と抵抗62とは、電源線L1と電源線L2との間に直列に接続され、電源線L1と電源線L2と間の電圧Vcを所定の抵抗比により分圧する。抵抗61は、第1端子が電源線L1に接続され、第2端子がノードN3に接続されている。また、抵抗62は、第1端子がノードN3に接続され、第2端子が電源線L2に接続されている。抵抗61と抵抗62との抵抗値は、電圧Vcが電圧V1と等しい場合に、ノードN3の電圧が、後述する基準電圧と等しくなるように定められている。
【0034】
基準電圧生成部63は、比較用の基準電圧を生成する。基準電圧生成部63は、例えば、ダイオードなどを有するバンドギャップリファレンス回路であり、例えば、約1.25Vの基準電圧を生成する。
コンパレータ64(電圧比較部の一例)は、基準電圧生成部63が生成した基準電圧と、直流電力の電圧を分圧した電圧(ノードN3の電圧)との比較に基づいて、直流電力の電圧Vcが、電圧V1以上になったか否かを検出する。コンパレータ64は、+入力端子がノードN3に接続され、−入力端子が基準電圧生成部63の基準電圧の出力信号線に接続されている。また、コンパレータ64は、出力信号線が自己保持回路51のSET(セット)端子に接続されている。
【0035】
また、コンパレータ64は、ノードN3の電圧と、基準電圧との比較結果を出力する。コンパレータ64は、例えば、ノードN3の電圧が、基準電圧以上である場合に、出力信号線にH状態を出力する。また、コンパレータ64は、例えば、ノードN3の電圧が、基準電圧未満である場合に、出力信号線にL状態を出力する。なお、コンパレータ64は、電源線L1と電源線L2との間の電圧Vcにより動作するものとする。
【0036】
下限電圧検出部70(第2検出部の一例)は、整流部30が整流した直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V2以下になったか否かを検出する。下限電圧検出部70は、抵抗71と、抵抗72と、抵抗73と、トランジスタ74とを備えている。
抵抗71と抵抗72とは、電源線L1と電源線L2との間に直列に接続され、電源線L1と電源線L2と間の電圧Vcを所定の抵抗比により分圧する。抵抗71は、第1端子が電源線L1に接続され、第2端子がノードN4に接続されている。また、抵抗72は、第1端子がノードN4に接続され、第2端子が電源線L2に接続されている。抵抗71と抵抗72との抵抗値は、電圧Vcが電圧V2と等しい場合に、ノードN4の電圧が、後述するトランジスタ74の閾値電圧Vthと等しくなるように定められている。
【0037】
抵抗73は、第1端子が電源線L1に接続され、第2端子がノードN5に接続されている。また、トランジスタ74は、コレクタ端子がノードN5に接続され、エミッタ端子が電源線L2に接続されている。また、トランジスタ74は、ベース端子がノードN4に接続されている。トランジスタ74は、ノードN4が、閾値電圧Vth以上になった場合に、オン状態になり、ノードN5がL状態になる。また、トランジスタ74は、ノードN4が、閾値電圧Vth未満になった場合に、オフ状態になり、ノードN5がH状態になる。
【0038】
自己保持回路51(自己保持部の一例)は、SET(セット)端子が、上限電圧検出部60の出力線であるコンパレータ64の出力信号線に接続され、RESET(リセット)端子が、上述した下限電圧検出部70の出力線であるノードN5に接続されている。自己保持回路51は、例えば、SR(セットリセット)ラッチ回路などであり、RESET端子がH状態になることで、出力線にL状態を出力し、スイッチング素子14をオフ状態にする。また、自己保持回路51は、SET端子がH状態になることで、出力線にH状態を出力し、スイッチング素子14をオン状態にする。
【0039】
すなわち、自己保持回路51は、上限電圧検出部60によって、直流電力の電圧が第1電圧以上になったことを検出した場合に、スイッチング素子14に直流電力を放電させる状態を保持する。また、自己保持回路51は、下限電圧検出部70によって、直流電力の電圧が第2電圧以下になったことを検出した場合に、スイッチング素子14に放電を停止させる。
なお、自己保持回路51は、RESET端子が優先であり、電源線L1と電源線L2との間の電圧Vcにより動作するものとする。
【0040】
次に、図面を参照して本実施形態による無線給電システム100の動作について説明する。
図2は、本実施形態による無線給電システム100の動作の一例を説明する図である。
図2(a)は、給電装置2から人体BDYをウエストリング型の給電コイル21によって、人体BDYに埋め込まれているセンシングデバイス1の受電コイル11に給電して、蓄電デバイス40に蓄電(充電)を行っている状態を示している。
【0041】
図2(a)に示す例では、第1段階として、人体BDYの同部を覆うように設置されたウエストリング型の給電コイル21から受電コイル11に、例えば、電磁誘導を用いて電力が送電(給電)され、人体BDYに埋め込まれているセンシングデバイス1の蓄電デバイス40に充電が行われる。給電装置2は、蓄電デバイス40への充電が完了した時点で電力の送電を終了する。
【0042】
次に、
図2(b)は、人体BDYに埋め込まれているセンシングデバイス1が、蓄電デバイス40に蓄えられたエネルギーを用いて、体内の生体情報をセンシングしている状態を示している。
図2(b)に示す例では、給電コイル21の送電が終了し、第2段階として、供給スイッチ16がオン状態にされ、センシングデバイス1の負荷部15が、蓄電デバイス40に充電された電力によって、動作を開始する。負荷部15は、例えば、蓄電デバイス40に充電された電力によって、体内の生体情報をセンシングする。なお、この際、給電コイル21から受電コイル11への送電(給電)は、停止しているものとする。
【0043】
次に、
図2(c)は、人体BDYに埋め込まれているセンシングデバイス1が、センシングした生体情報を体外に送信している状態を示している。
図2(c)に示す例では、第3段階として、センシングデバイス1の負荷部15が、蓄電デバイス40に充電された電力によって、センシングした体内の生体情報を、例えば、給電コイル21を介して、人体BDYの外の計測装置3に送信する。
【0044】
図3は、本実施形態による無線給電システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、無線給電システム100では、まず、給電装置2から給電が開始される(ステップS101)。すなわち、給電装置2が、
図2(a)に示すように、給電装置2が、給電コイル21からセンシングデバイス1の受電コイル11に給電を開始する。
【0045】
これにより、センシングデバイス1の整流部30が、受電コイル11に給電された交流電力を直流電力に整流し、当該直流電力が蓄電デバイス40に蓄電される。なお、給電が開始された際に、電圧Vcが電圧V2(例えば、3.8V)以下であるため、下限電圧検出部70は、H状態を出力し、自己保持回路51は、L状態を出力する。そのため、スイッチング素子14がオフ状態になり、電圧Vcが抵抗13を介して放電されない状態となる。
【0046】
次に、給電装置2からの給電が停止される(ステップS102)。すなわち、蓄電デバイス40に充分に蓄電され、給電装置2が、給電コイル21からの給電を停止する。
次に、負荷部15への電力供給が開始される(ステップS103)。すなわち、所定の手順により、供給スイッチ16がオン状態にされ、蓄電デバイス40から負荷部15への電力供給が開始される。これにより、負荷部15が、蓄電デバイス40に充電された電力によって、動作を開始する。
【0047】
次に、負荷部15が、生体情報を検出(センシング)する(ステップS104)。すなわち、負荷部15が、
図2(b)に示すように、生体情報を検出(センシング)する。
次に、負荷部15が、生体情報を出力する(ステップS105)。すなわち、負荷部15が、
図2(c)に示すように、検出した生体情報を、例えば、給電コイル21を介して、体外の計測装置3に送信する。ステップS105の処理後に、センシングデバイス1が、処理を終了する。
【0048】
次に、
図4を参照して、センシングデバイス1を疑似的に人体に埋め込んで動作させる場合の実験環境の一例について説明する。
図4は、本実施形態による無線給電システム100を実験する装置例を示す図である。
図4(a)は、成人男性の胴体を模擬した実験環境の一例を示す断面図である。また、
図4(b)は、成人男性の胴体を模擬した当該実験環境の一例を示す側面図である。なお、
図4において、模擬した胴体の断面をXY平面とし、当該断面に垂直な方向をZ方向とする。
【0049】
図4に示すように、当該実験環境には、アクリル容器AQと、ウエストリング型の給電コイル21とが含まれている。
アクリル容器AQは、例えば、XY平面の直径が240mmの円柱状の容器であり、0.25w/v%(weight/volume%)の塩化ナトリウム水溶液が満たされている。アクリル容器AQの内部には、センシングデバイス1の受電コイル11が給電コイル21と同軸になるように配置されている。
【0050】
また、給電コイル21は、例えば、導線を290mmのアクリル円筒に15回巻きつけられて作成されている。また、受電コイル11は、例えば、15mm×20mm、厚さが2.68mmであり、22回巻きの空芯偏平型コイルを3つ直接に接続し、三層に重ね構造に形成されている。
このような、実験環境によって測定した電圧Vc及び電流Icの変化に基づいて、本実施形態のセンシングデバイス1の動作について説明する。
【0051】
図5は、本実施形態による蓄電デバイス40の電圧変化を説明する図である。
図5に示すグラフは、縦軸が
図4に示す実験環境によって測定された蓄電デバイス40の両端の電圧Vcを示し、横軸は、時間を示している。なお、この図において、負荷部15を疑似的に270Ω(オーム)の抵抗で代用した場合の電圧Vcの測定結果である。
【0052】
時刻T1において、給電装置2の給電スイッチ24がオン状態にされ、給電コイル21からセンシングデバイス1の受電コイル11に電力が供給される。整流部30が、受電コイル11に給電された電力(交流電力)を直流電力に整流し、蓄電デバイス40の充電が開始される。その結果、電圧Vcは、波形W1に示すように徐々に上昇する。
【0053】
次に、時刻T2において、電圧Vcが電圧V1(=4.0V)に達し、上限電圧検出部60は、電圧Vcが、電圧V1以上になったことを検出し、自己保持回路51のSET端子にH状態を出力する。これにより、自己保持回路51がH状態を出力し、スイッチング素子14が、オン状態にされる。その結果、電圧Vcは、抵抗13を介して放電されて低下する。
【0054】
また、電圧Vcが低下して電圧V2(=3.8V)に達すると、下限電圧検出部70は、電圧Vcが、電圧V2以下になったことを検出し、自己保持回路51のRESET端子にH状態を出力する。これにより、自己保持回路51がL状態を出力し、スイッチング素子14が、オフ状態にされる。その結果、電圧Vcは、再び上昇する。このように、センシングデバイス1では、充放電制御部50(上限電圧検出部60、下限電圧検出部70、及び自己保持回路51)により、電圧Vcが電圧V1(上限電圧)と、電圧V2(下限電圧)との間に維持される。
【0055】
次に、時刻T3において、給電装置2の給電スイッチ24がオフ状態にされ、受電コイル11への給電が停止されるとともに、所定の手順により、供給スイッチ16がオン状態にされ、蓄電デバイス40から負荷部15への電力供給が開始される。
これにより、蓄電デバイス40に充電された電力が、負荷部15で消費され、電圧Vcは、徐々に低下する。
【0056】
次に、時刻T4において、負荷部15の動作最低電圧Vmin(=2.2V)になると、負荷部15の動作が停止する。
なお、
図5において、期間TR1が、充電期間であり、期間TR2が放電期間である。
【0057】
また、
図6は、本実施形態による蓄電デバイス40の電流変化を説明する図である。
図6に示すグラフは、縦軸が
図4に示す実験環境によって測定された蓄電デバイス40に流れ込む電流Icを示し、横軸は、時間を示している。なお、この図において、時刻T1、時刻T2、時刻T3、及び時刻T4は、上述した
図5と同様である。
【0058】
図6に示す波形W2は、蓄電デバイス40に流れ込む電流Icを示しており、時刻T1から時刻T2の期間TR1に、給電装置2から給電された電力を、整流部30が直流電流に整流して、蓄電デバイス40に充電していることを示している。
また、時刻T2から時刻T3の期間では、充放電制御部50(上限電圧検出部60、下限電圧検出部70、及び自己保持回路51)により、スイッチング素子14のオン状態及びオフ状態が制御され、蓄電デバイス40の電流Icは、充放電を繰り返す。
また、時刻T3から時刻T4の期間TR2において、蓄電デバイス40の電流Icは、負荷部15により放電される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によるセンシングデバイス1(電子機器)は、受電コイル11と、整流部30と、蓄電デバイス40と、スイッチング素子14と、充放電制御部50とを備えている。受電コイル11は、給電装置2が有する給電コイル21から給電される。整流部30は、受電コイル11に給電された電力を直流電力に整流する。蓄電デバイス40は、整流部30によって整流された直流電力を蓄電する。スイッチング素子14は、直流電力の放電を制御する。充放電制御部50は、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、蓄電デバイス40の許容電圧に基づく電圧V1(第1電圧)以上になった場合に、スイッチング素子14に放電させるとともに、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1より低い電圧V2(第2電圧)であって、蓄電デバイス40に蓄電された電力により動作する負荷部15の動作最低電圧Vminより高い電圧V2以下になった場合に、スイッチング素子14による放電を停止させる。
【0060】
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1は、蓄電デバイス40に蓄電をさせつつ、
図5の時刻T2から時刻T3に示すように、スイッチング素子14の放電により、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)を蓄電デバイス40(及び整流部30)の許容電圧の範囲内に維持することができる。すなわち、本実施形態によるセンシングデバイス1は、スイッチング素子14に直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)を放電させることで、蓄電デバイス40及び整流部30が許容電圧を超えた電圧がかかって故障することを抑制することができる。本実施形態によるセンシングデバイス1は、例えば、給電コイル21と受電コイル11の位置関係による結合係数の変化がしょうじた場合であっても、蓄電デバイス40及び整流部30が許容電圧を超えた電圧がかかることを抑制することができる。よって、本実施形態によるセンシングデバイス1は、無線給電によって安定して動作させることができる。
【0061】
また、本実施形態によるセンシングデバイス1は、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)を使用する各部品の許容電圧以下に維持することができるため、使用する各部品の耐圧(許容電圧)を低減することができる。よって、本実施形態によるセンシングデバイス1は、耐圧が低い部品を使用できるため、小型化することができる。
また、本実施形態によるセンシングデバイス1は、蓄電デバイス40に蓄電(充電)した電力により、例えば、生体情報のセンシングを行う負荷部15を動作させるため、受電コイル11を小型化することができる。これにより、例えば、センシングデバイス1が人体に埋め込まれる場合には、本実施形態によるセンシングデバイス1は、例えば、発熱などの人体への影響を低減させつつ、蓄電デバイス40により大きな動作電力を得ることができる。
【0062】
また、本実施形態では、充放電制御部50は、上限電圧検出部60(第1検出部)と、下限電圧検出部70(第2検出部)と、自己保持回路51(自己保持部)とを備えている。上限電圧検出部60は、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1以上になったか否かを検出する。下限電圧検出部70は、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V2以下になったか否かを検出する。自己保持回路51は、上限電圧検出部60によって、電圧Vcが電圧V1以上になったことを検出した場合に、スイッチング素子14に直流電力を放電させる状態を保持するとともに、下限電圧検出部70によって、電圧Vcが電圧V2以下になったことを検出した場合に、スイッチング素子14に放電を停止させる。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1は、簡易な構成により、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)を、蓄電デバイス40及び整流部30の許容電圧の範囲内に維持することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上限電圧検出部60は、基準電圧生成部63と、コンパレータ64(電圧比較部)とを備えている。基準電圧生成部63は、基準電圧を生成する。コンパレータ64は、基準電圧生成部63が生成した基準電圧と、直流電力の電圧を分圧した電圧との比較に基づいて、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1以上になったか否かを検出する。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1は、無線給電であっても、基準電圧生成部63が生成した基準電圧に基づいて、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1以上になったことを正確に検出することができる。よって、本実施形態によるセンシングデバイス1は、無線給電によってさらに安定して動作させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、スイッチング素子14は、蓄電デバイス40と並列に接続されている。また、本実施形態によるセンシングデバイス1は、人体に埋め込まれる機器である。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1は、蓄電デバイス40の放電を含めて、スイッチング素子14により放電させることにより、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)を蓄電デバイス40(及び整流部30)の許容電圧の範囲内に維持することができる。そのため、蓄電デバイス40には短期間の充放電が繰り返され、給電装置2から給電される直流電力が、スイッチング素子14により長期間連続して放電されることがない。また、スイッチング素子14による放電中においても、充放電制御部50を動作させる電力が給電装置2から供給されるため、給電装置2から給電する電力を有効に利用できるとともに、給電装置2から給電する総電力量を低減することができる。よって、本実施形態によるセンシングデバイス1は、受電コイル11が発熱することを低減することができる。したがって、本実施形態によるセンシングデバイス1は、人体において、無線給電によって安定して動作させることができる。
【0065】
また、本実施形態による無線給電システム100は、給電コイル21を備える給電装置2と、給電装置2から給電されるセンシングデバイス1とを備えている。センシングデバイス1は、受電コイル11と、整流部30と、蓄電デバイス40と、スイッチング素子14と、充放電制御部50とを備えている。受電コイル11は、給電装置2が有する給電コイル21から給電される。整流部30は、受電コイル11に給電された電力を直流電力に整流する。蓄電デバイス40は、整流部30によって整流された直流電力を蓄電する。スイッチング素子14は、直流電力の放電を制御する。充放電制御部50は、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、蓄電デバイス40の許容電圧に基づく電圧V1(第1電圧)以上になった場合に、スイッチング素子14に放電させるとともに、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)が、電圧V1より低い電圧V2(第2電圧)であって、蓄電デバイス40に蓄電された電力により動作する負荷部15の動作最低電圧Vminより高い電圧V2以下になった場合に、スイッチング素子14による放電を停止させる。
【0066】
これにより、本実施形態による無線給電システム100は、上述したセンシングデバイス1と同様に、スイッチング素子14に直流電力の電圧(例えば、電圧Vc)を放電させることで、蓄電デバイス40及び整流部30が許容電圧を超えた電圧がかかって故障することを抑制することができる。よって、本実施形態による無線給電システム100は、無線給電によって安定して動作させることができる。
【0067】
[第2の実施形態]
次に、
図7を参照して、第2の実施形態による無線給電システム100a及びセンシングデバイス1aについて説明する。
本実施形態では、タイマ回路(17、25)により、給電装置2aがセンシングデバイス1aへの給電を停止した後に、センシングデバイス1aが負荷部15を動作させる場合の一例について説明する。
【0068】
図7は、本実施形態による無線給電システム100aの一例を示すブロック図である。
図7に示すように、無線給電システム100aは、センシングデバイス1aと、給電装置2aとを備えている。この図において、
図1に示す構成と同一の構成については、同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0069】
給電装置2aは、センシングデバイス1aに無線給電する装置であり、給電コイル21と、共振コンデンサ22と、交流電源23と、給電スイッチ24と、タイマ回路25とを備えている。給電装置2aは、タイマ回路25を備える点を除いて、上述した第1の実施形態の給電装置2と同様である。
【0070】
タイマ回路25(第1タイマ部の一例)は、蓄電デバイス40が満充電に達する期間(第1期間)を計時する。タイマ回路25は、給電スイッチ24をオン状態にしてから、満充電に達する期間(例えば、180s(秒))を計時し、計時が満充電に達する期間に達した場合に、給電スイッチ24をオフ状態にする。
このように、本実施形態では、給電装置2aは、タイマ回路25が上述した第1期間を計時後に、給電コイル21から受電コイル11への給電を停止する。
【0071】
センシングデバイス1a(電子機器の一例)は、給電装置2aからの無線給電により得られた電力を蓄電デバイス40に充電(蓄電)し、蓄電デバイス40に蓄電した電力により動作する機器である。センシングデバイス1aは、受電コイル11と、共振コンデンサ12と、抵抗13と、スイッチング素子14と、負荷部15と、供給スイッチ16と、整流部30と、蓄電デバイス40と、充放電制御部50と、タイマ回路17とを備えている。センシングデバイス1aは、タイマ回路17を備える点を除いて、上述した第1の実施形態のセンシングデバイス1と同様である。
【0072】
タイマ回路17(第2タイマ部の一例)は、蓄電デバイス40が満充電に達する期間(第1期間)以上の計時期間(第2期間)を計時する。タイマ回路17は、給電装置2aからの給電が開始されると、計時を開始し、計時が期間(第1期間)以上の計時期間(第2期間)に達した場合に、供給スイッチ16をオン状態にする。なお、タイマ回路17は、電源線L1と電源線L2との間の電圧Vcにより動作するものとする。
【0073】
供給スイッチ16(電力供給部の一例)は、タイマ回路17が上述した計時期間(第2期間)を計時した場合に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。すなわち、供給スイッチ16は、タイマ回路17が上述した計時期間(第2期間)を計時したという所定の条件に応じて、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
このように、供給スイッチ16は、給電コイル21から受電コイル11への給電が停止した後に、蓄電デバイス40が充電している電力を自動的に負荷部15に供給する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によるセンシングデバイス1aは、蓄電デバイス40が満充電に達する期間以上の計時期間を計時するタイマ回路17(タイマ部)を備えている。そして、供給スイッチ16は、タイマ回路17が計時期間を計時した場合に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1aは、タイマ回路17という簡易な構成により、蓄電デバイス40が満充電後に、安定して負荷部15を動作させることができる。
【0075】
なお、本実施形態によるセンシングデバイス1aは、所定の条件(例えば、タイマ回路17が上述した計時期間を計時したという条件)に応じて、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する供給スイッチ16(電力供給部)を備える。すなわち、供給スイッチ16は、給電コイル21から受電コイル11への給電が停止した後に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1aでは、給電コイル21から受電コイル11への給電が停止した後に負荷部15が動作するため、無線給電による無線電力搬送波が、負荷部15の動作(例えば、生体情報のセンシング)に悪影響を与えることを防止することができる。よって、本実施形態によるセンシングデバイス1aは、無線給電による無線電力搬送波の影響を受けずに、安定して負荷部15を動作(例えば、生体情報をセンシング)させることができる。
【0076】
また、本実施形態による無線給電システム100aは、給電装置2aと、センシングデバイス1aとを備えている。給電装置2aは、蓄電デバイス40が満充電に達する第1期間を計時するタイマ回路25(第1タイマ部)を備え、タイマ回路25が第1期間を計時後に、給電コイル21から受電コイル11への給電を停止する。また、センシングデバイス1aは、第1期間以上の第2期間を計時するタイマ回路17(第2タイマ部)を備える。そして、供給スイッチ16は、タイマ回路17が第2期間を計時した場合に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
これにより、本実施形態による無線給電システム100aは、上述したセンシングデバイス1aと同様に、無線給電による無線電力搬送波が、負荷部15の動作(例えば、生体情報のセンシング)に悪影響を与えることを防止することができる。よって、本実施形態による無線給電システム100aは、無線給電による無線電力搬送波の影響を受けずに、安定して負荷部15を動作(例えば、生体情報をセンシング)させることができる。
【0077】
[第3の実施形態]
次に、
図8を参照して、第3の実施形態による無線給電システム100b及びセンシングデバイス1bについて説明する。
本実施形態では、センシングデバイス1bが、整流部30と、蓄電デバイス40との間に接続されたダイオード18を備え、スイッチング素子14が、当該ダイオード18の前で直流電力を放電する場合の一例について説明する。
【0078】
図8は、本実施形態による無線給電システム100bの一例を示すブロック図である。
図8に示すように、無線給電システム100bは、センシングデバイス1bと、給電装置2とを備えている。この図において、
図1に示す構成と同一の構成については、同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0079】
センシングデバイス1b(電子機器の一例)は、受電コイル11と、共振コンデンサ12と、抵抗13と、スイッチング素子14と、負荷部15と、供給スイッチ16と、整流部30と、蓄電デバイス40と、充放電制御部50と、ダイオード18とを備えている。センシングデバイス1bは、ダイオード18を備え、抵抗13と、スイッチング素子14とを接続する位置が異なる点を除いて、上述した第1の実施形態のセンシングデバイス1と同様である。
【0080】
ダイオード18は、例えば、ショットキーバリアダイオードであり、整流部30と、蓄電デバイス40との間(電源線L11と電源線L12との間)に接続されている。なお、本実施形態では、
図1に示す電源線L1を、ダイオード18より前段(整流部30)側を電源線L11とし、ダイオード18より後段(充放電制御部50)側を電源線L12として説明する。ダイオード18は、アノード端子が電源線L11に接続されカソード端子が電源線L12に接続されている。
【0081】
また、本実施形態では、抵抗13とスイッチング素子14とが、ダイオード18の前段(整流部30)側の電源線L11と電源線L2との間に接続されている。すなわち、スイッチング素子14は、整流部30とダイオード18との間において、直流電力を放電させる。なお、本実施形態では、電源線L11と電源線L2との間の電圧を電圧Vrとし、電源線L12と電源線L2との間の電圧を上述した電圧Vcとして説明する。
【0082】
次に、本実施形態によるセンシングデバイス1bの動作について説明する。
本実施形態によるセンシングデバイス1bでは、整流部30により整流され、ダイオード18を介して供給された電圧Vcが電圧V1(=4.0V)に達すると、上限電圧検出部60は、電圧Vcが、電圧V1以上になったことを検出し、自己保持回路51のSET端子にH状態を出力する。これにより、自己保持回路51がH状態を出力し、スイッチング素子14が、オン状態にされる。
その結果、整流部30とダイオード18との間における電圧Vrは、抵抗13を介して放電されて低下する。ただし、電圧Vcは、ダイオード18を介しているため、抵抗13を介して放電されずに、蓄電デバイス40の出力電圧が維持される。電圧Vcは、充放電制御部50によって消費される電力により、徐々に低下する。
【0083】
次に、電圧Vcが低下して電圧V2(=3.8V)に達すると、下限電圧検出部70は、電圧Vcが、電圧V2以下になったことを検出し、自己保持回路51のRESET端子にH状態を出力する。これにより、自己保持回路51がL状態を出力し、スイッチング素子14が、オフ状態にされる。すなわち、スイッチング素子14は、蓄電デバイス40に充電可能な状態(電圧Vcが電圧V2以下)になるまで、オン状態を維持し、充電可能な状態になった場合に、オフ状態にされる。その結果、電圧Vrは、再び上昇し、蓄電デバイス40への充電が再開される。このように、センシングデバイス1bでは、充放電制御部50(上限電圧検出部60、下限電圧検出部70、及び自己保持回路51)により、電圧Vrが断続的に放電され、電圧Vcが電圧V1(上限電圧)と、電圧V2(下限電圧)との間に維持される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によるセンシングデバイス1bは、整流部30と、蓄電デバイス40との間に接続されたダイオード18を備えている。そして、スイッチング素子14は、整流部30とダイオード18との間において、直流電力を放電させる。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1bは、スイッチング素子14による抵抗13を介した放電により、蓄電デバイス40が放電されないため、蓄電デバイス40の充放電回数を低減することができる。そのため、本実施形態によるセンシングデバイス1bは、蓄電デバイス40の寿命を延ばすことができる。よって、本実施形態によるセンシングデバイス1bは、無線給電によって安定して動作させることができる。
【0085】
また、本実施形態によるセンシングデバイス1bは、蓄電デバイス40に蓄電をさせつつ、スイッチング素子14の放電により、直流電力の電圧(例えば、電圧Vc及び電圧Vr)を蓄電デバイス40(及び整流部30)の許容電圧の範囲内に維持することができる。すなわち、本実施形態によるセンシングデバイス1bは、スイッチング素子14に直流電力の電圧(例えば、電圧Vr)を放電させることで、蓄電デバイス40及び整流部30が許容電圧を超えた電圧がかかって故障することを抑制することができる。
【0086】
[第4の実施形態]
次に、
図9を参照して、第4の実施形態による無線給電システム100c及びセンシングデバイス1cについて説明する。
本実施形態では、センシングデバイス1cが、第2の実施形態と同様に、給電コイル21から受電コイル11への給電が停止した後に、蓄電デバイス40が充電している電力を自動的に負荷部15に供給する別の一例について説明する。
【0087】
図9は、本実施形態による無線給電システム100cの一例を示すブロック図である。
図9に示すように、無線給電システム100cは、センシングデバイス1cと、給電装置2とを備えている。この図において、
図1及び
図8に示す構成と同一の構成については、同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0088】
センシングデバイス1c(電子機器の一例)は、受電コイル11と、共振コンデンサ12と、抵抗13と、スイッチング素子14と、負荷部15と、供給スイッチ16と、整流部30と、蓄電デバイス40と、充放電制御部50と、ダイオード18と、給電検出部80とを備えている。センシングデバイス1cは、ダイオード18及び給電検出部80を備える点を除いて、上述した第1の実施形態のセンシングデバイス1と同様である。
なお、ダイオード18は、上述した第2の実施形態のセンシングデバイス1bと同様である。
【0089】
給電検出部80(第3検出部の一例)は、給電装置2から受電コイル11に給電されているか否かを検出する。給電検出部80は、給電装置2から受電コイル11に給電されていないことを検出した場合に、供給スイッチ16をオン状態にする。また、給電検出部80は、抵抗81と、抵抗82と、抵抗83と、トランジスタ84とを備えている。
【0090】
抵抗81と抵抗82とは、電源線L11と電源線L2との間に直列に接続され、電源線L11と電源線L2と間の電圧Vrを所定の抵抗比により分圧する。抵抗81は、第1端子が電源線L11に接続され、第2端子がノードN6に接続されている。また、抵抗82は、第1端子がノードN6に接続され、第2端子が電源線L2に接続されている。抵抗71と抵抗72との抵抗値は、電圧Vrに整流部30を介して受電コイル11から電力が供給されている場合に、ノードN6の電圧が、後述するトランジスタ84の閾値電圧Vth以上になるように定められている。
【0091】
抵抗83は、第1端子が電源線L12に接続され、第2端子がノードN7に接続されている。また、トランジスタ84は、コレクタ端子がノードN6に接続され、エミッタ端子が電源線L2に接続されている。また、トランジスタ84は、ベース端子がノードN6に接続されている。トランジスタ84は、ノードN6が、閾値電圧Vth以上になった場合に、オン状態になり、ノードN7がL状態になる。また、トランジスタ84は、ノードN6が、閾値電圧Vth未満になった場合に、オフ状態になり、ノードN7がH状態になる。
【0092】
本実施形態による供給スイッチ16は、給電検出部80が給電装置2から受電コイル11に給電されていないことを検出した場合に、オン状態になり、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。また、供給スイッチ16は、給電検出部80が給電装置2から受電コイル11に給電されていることを検出している場合に、オフ状態になり、蓄電デバイス40が充電している電力の負荷部15への供給を停止する。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によるセンシングデバイス1cは、所定の条件に応じて、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する供給スイッチ16(電力供給部)を備え、供給スイッチ16は、給電コイル21から受電コイル11への給電が停止した後に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1cは、第2の実施形態と同様に、給電コイル21から受電コイル11への給電が停止した後に負荷部15が動作するため、無線給電による無線電力搬送波が、負荷部15の動作(例えば、生体情報のセンシング)に悪影響を与えることを防止することができる。よって、本実施形態による無線給電システム100c及びセンシングデバイス1cは、無線給電による無線電力搬送波の影響を受けずに、安定して負荷部15を動作(例えば、生体情報をセンシング)させることができる。
【0094】
また、本実施形態によるセンシングデバイス1cは、給電装置2から受電コイル11に給電されているか否かを検出する給電検出部80(第3検出部)を備え、供給スイッチ16は、給電検出部80が給電装置2から受電コイル11に給電されていないことを検出した場合に、蓄電デバイス40が充電している電力を負荷部15に供給する。
これにより、本実施形態によるセンシングデバイス1cは、簡易な構成により給電装置2から受電コイル11に給電されていないことを正確に検出することができる。
【0095】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態は、それぞれ単独で実施する例を説明したが、これに限定されるものではなく、各実施形態のうちのいくつかを組み合わせて実施してもよい。例えば、第3の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせる場合には、抵抗13の代わりに抵抗81及び抵抗82を使用して、スイッチング素子14と直列に接続させてもよい。この場合、抵抗81及び抵抗82と、スイッチング素子14とは、電圧Vrを放電させつつ、給電装置2から受電コイル11に給電されているか否かを検出することができる。
【0096】
また、上記の各実施形態において、スイッチング素子14が、抵抗13と直列に接続される例を説明したが、これに限定されるものではなく、抵抗13を備えない形態であってもよい。なお、抵抗13を備えない場合には、スイッチング素子14は、スイッチング素子14のオン抵抗を利用して、直流電力を放電する。すなわち、抵抗13は、スイッチング素子14のオン抵抗に含まれてもよい。
【0097】
また、蓄電デバイス40は、電気二重層コンデンサ(EDLC)である場合の一例を説明したが、他の種類のコンデンサであってもよいし、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池(蓄電池)であってもよい。また、蓄電デバイス40は、電気二重層コンデンサ41及び電気二重層コンデンサ42を直列に2段重ねた構成のものを用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、1段、又は3段以上であってもよい。
【0098】
また、上記の各実施形態において、整流部30は、ショットキーバリアダイオードであるダイオード31〜34を備えた全波整流回路である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、整流部30は、ショットキーバリアダイオードの代わりに他の種類のダイオードを用いてもよいし、半波整流回路であってもよい。
【0099】
また、上記の各実施形態において、充放電制御部50は、抵抗13及びスイッチング素子14を含まない例を説明したが、抵抗13及びスイッチング素子14を含む構成としてもよい。また、上記の第4の実施形態において、充放電制御部50は、給電検出部80を含まない例を説明したが、これに限定されるものではなく、給電検出部80を含む構成としてもよい。
また、充放電制御部50の構成は、上記の各実施形態において説明した構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0100】
また、上記の各実施形態において、上限電圧である電圧V1が4.0Vであり、下限電圧である電圧V2が3.8Vである例を説明したが、これに限定されるものではなく、電圧V1及び電圧V2は、他の電圧値であってもよい。
また、上記の各実施形態において、電子機器の一例として、体内に埋め込むセンシングデバイス1(1a〜1c)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の用途に使用される電子機器であってもよい。
【0101】
上述のセンシングデバイス1(1a〜1c)は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したセンシングデバイス1(1a〜1c)の充放電に関する制御の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0102】
また、上述した充放電制御部50の機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。