(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の説明の前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項の記載は、発明者の個人的な検討内容であり、公知技術ではない新規な技術内容を含む。
【0021】
図1〜
図3は予備的事項に係る収納容器を説明するための図である。
【0022】
図1に示すように、予備的事項に係る収納容器100は、細長い四角筒状の容器本体200を備えている。
【0023】
容器本体200の下部の壁に第1開口部210が形成されている。また、第1開口部210に対向する容器本体100の壁に第2開口部220が形成されている。そして、容器本体200の第1開口部210から第2開口部220にストッパ300が挿入される。
図1の容器本体200では、容器本体の下側の部分が部分的に示されている。
【0024】
さらに、容器本体200内に挿入されたストッパ300の上に電子部品などの被収納物(不図示)が積層されて収納される。
【0025】
図2は、
図1の収納容器100のストッパ300を上側からみた平面図である。ストッパ300は、中央に開口穴320aが設けられた三角板状の把持部320と、把持部320に繋がる板状の挿入部400とを備えている。挿入部400の幅は、把持部320の幅よりも狭く形成されている。
【0026】
挿入部400は、把持部320に繋がる基端部420と、基端部420の幅方向の両端部に相互に離間した状態で繋がる2本の細板部440とから形成される。そして、2本の細板部440の外側の各側面に複数の外溝500がそれぞれ並んで形成されている。
【0027】
2本の細板部440の間が開口されているため、基端部420に繋がる2本の細板部440は幅方向に弾性をもつばねとして機能する。
【0028】
図3(a)及び(b)には、
図2のストッパ300を
図1の容器本体200の第1開口部210及び第2開口部220に挿入した様子が示されている。
図3(a)及び(b)では、容器本体200が透視的に描かれている。
【0029】
図3(a)に示すように、ストッパ300の挿入部400を容器本体200の第1開口部210から第2開口部220に挿入する。
【0030】
このとき、第1開口部210の幅はストッパ300の挿入部400の幅よりも広く設定され、第2開口部220の幅はストッパ300の挿入部400の幅に対応して形成されている。
【0031】
これにより、第2開口部220の内壁にストッパ300の外溝500が順次嵌りながら、ストッパ300が容器本体200の第1開口部210及び第2開口部220に挿入される。ストッパ300の挿入は、ストッパ300の把持部320が容器本体200に当接するまで行われる。
【0032】
その結果、ストッパ300の所定の外溝500に容器本体200の第2開口部220の内壁が嵌ってストッパ300が固定される。
【0033】
しかし、容器本体200の第2開口部220にストッパ300を容易に挿入できるようにするには、容器本体200の第2開口部220の内壁とストッパ300の挿入部400との間のクリアランスを比較的大きく設定する必要がある。
【0034】
このため、ストッパ300の外溝500が容器本体200の第2開口部220の内壁に固定されるとしても、ストッパ300のがたつきが発生する。
【0035】
また、容器本体200内のストッパ300の上に多数の被収納物が積層されて配置されるため、ストッパ300にはある程度の強度が要求される。
【0036】
しかし、予備的事項に係るストッパ300は、ばね機能を得るために2本の細板部440の間が開口されているので、強度を高くすることは困難である。このように、予備的事項に係るストッパ300は、構造上、強度が十分ではなく、多数の被収納物を積層して収納すると曲ってしまうことがある。
【0037】
また、
図3(b)に示すように、サイズの異なる各種の容器本体200を使用する場合、ストッパ300を奥まで挿入すると、奥行寸法の合わない位置のストッパ300の外溝500に容器本体200の第2開口部220の内壁が無理やり嵌め込まれることがある。
【0038】
このため、容器本体200の壁がストッパ300によって引っ張られて変形するため、被収納物を取り出すことができなくなる。
【0039】
この対策として、ストッパ300の外溝500の位置が容器本体200の開口部210の内壁の位置に合致するように、ストッパ300を途中の位置まで挿入する手法がある。しかし、この場合は、容器本体200からのストッパ300の把持部320側の突出寸法が長くなって、外部装置との干渉が発生するため、装置全体の構築が困難になることがある。
【0040】
また、外溝500が形成された2本の細板部440は基端部420に繋がるばね構造になっているため、基端側はばね力が強く入れにくいと共に、先端側ではばね力が弱く抜けやすい。このため、ストッパ300の挿入時の作業性が悪いと共に、ストッパ300の固定の信頼性が得られない場合がある。
【0041】
以下に説明する実施形態の収納容器では、前述した不具合を解消することができる。
【0042】
(実施形態)
図4〜
図10は実施形態の収納容器を説明するための図である。
【0043】
図4に示すように、実施形態の収納容器1は、細長い四角筒状の容器本体10を備えている。容器本体10を上側から平面視すると、容器本体10は四角形の枠状に形成され、その中が空洞になっている。
【0044】
容器本体10の下部の壁に第1開口部11が形成されている。また、第1開口部11に対向する容器本体10の壁に第2開口部12が形成されている。このように、容器本体10の下部の対向する壁に一対の第1開口部11及び第2開口部12が形成されている。
【0045】
また同様に、容器本体10の上部の壁に第3開口部13が形成されている。第3開口部13に対向する容器本体10の壁に第4開口部14が形成されている。このように、容器本体10の上部の対向する壁に一対の第3開口部13及び第4開口部14が形成されている。
【0046】
容器本体10は、樹脂から形成され、好適には、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)が使用される。
【0047】
また、収納容器1は第1ストッパ20を備えており、容器本体10の下部の第1開口部11から第2開口部12に第1ストッパ20が挿入される。さらに、容器本体10内に挿入された第1ストッパ20の上に被収納物が(不図示)が積層されて収納される。
【0048】
被収納物としては、放熱板などの電子部品が使用される。第1ストッパ20は、被収納物を積層して配置するための底板として機能し、「キー」と呼ばれることもある。
【0049】
図5(a)に示すように、第1ストッパ20は、中央に開口穴22aが設けられた三角板状の把持部22と、把持部22に繋がる板状の挿入部24とを備えている。挿入部24の幅は、把持部22の幅よりも狭く設定されている。
【0050】
第1ストッパ20の挿入部24の先端の両側の角部が面取りされており、先端部の両側面が傾斜側面Sとなっている。これにより、第1ストッパ20の挿入部24の先端部は先端側になるにつれて幅が細くなるテーパ状に形成されている。
【0051】
第1ストッパ20の挿入部24の先端部を先細りのテーパ形状にすることにより、第1ストッパ20を容器本体10の第1、第2開口部11,12に挿入する際に容器本体10に引っ掛かることなく、スムーズに挿入することができる。
【0052】
また、
図5(b)の側面図を加えて参照すると、第1ストッパ20は、把持部22と挿入部24との間に直線状の溝Gを備えている。溝Gの断面形状は四角状に形成される。
【0053】
第1ストッパ20は、例えばアクリル樹脂からなり、射出成型によって形成される。射出成型は、加熱溶融させた樹脂材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させることによって成形品を得る方法である。
【0054】
そして、
図6に示すように、第1ストッパ20の把持部22を把持して挿入部24を容器本体10の第1開口部11から第2開口部12に挿入する。さらに、
図7に示すように、第1ストッパ20の溝Gを容器本体10の第1開口部11の下側の内壁に嵌めて固定する。
【0055】
第1ストッパ20の把持部22の幅は容器本体10の第1開口部
11の幅よりも広く設定されている。このため、第1ストッパ20が第1開口部11の下側の内壁に固定された状態で、第1ストッパ20の把持部22と容器本体10の壁とが接する。
【0056】
例えば、容器本体10の壁の厚みは1.3mmであり、第1ストッパ20の溝Gの幅は1.5mmであり、溝Gの深さは1mmである。また、第1ストッパ20の厚みは、例えば4mm程度である。
【0057】
このとき、容器本体10の対向する第1開口部11と第2開口部12との下側の各内壁の高さ位置が同じ場合は、第1ストッパ20の溝Gの深さ分だけ第1ストッパ20が傾いて配置されてしまう。
【0058】
この対策として、
図6及び
図7に示すように、挿入方向の奥側の第2開口部12の下側の内壁の高さ位置を、第1ストッパ20の溝Gの深さと同じ高さ:Hだけ、手前側の第1開口部11の下側の内壁の高さ位置よりも低くしている。
【0059】
これにより、第1ストッパ20の溝Gを第1開口部11の下側の内壁に嵌めると、第1ストッパ20を容器本体10の第1開口部11と第2開口部12との間に水平に配置することができる。
【0060】
また、第1ストッパ20の溝Gを容器本体10の第1開口部11の下側の内壁に嵌めるため、第1ストッパ20の溝Gの側面と容器本体10の壁との間のクリアランスを小さくできる。
【0061】
上記した例のように、容器本体10の壁の厚みが1.3mmで、第1ストッパ20の溝Gの幅が1.5mmの場合は、このクリアランスを0.2mm程度に小さくすることができる。これにより、第1ストッパ20ががたつくことなく、第1ストッパ20を容器本体10の第1開口部11に固定することができる。
【0062】
さらには、第1ストッパ20の溝Gを容器本体10の第1開口部11の下側の内壁に嵌めるため、容器本体10からの第1ストッパ20の把持部22側の突出寸法を常に一定にすることができる。よって、第1ストッパ20の把持部22が外部装置と干渉しなくなるため、装置全体の構築が容易になる。
【0063】
また、各種のサイズの容器本体10を使用する場合であっても、容器本体10のサイズに第1ストッパ20の長さが概ね対応していればよく、第1ストッパ20を信頼性よく各種のサイズの容器本体10の第1開口部11に固定することができる。
【0064】
そして、
図8に示すように、容器本体10の中の第1ストッパ20の上に複数の放熱板30を積層して配置する。放熱板30は、熱伝導性の高い銅や銅合金から形成され、ヒートスプレッダとも呼ばれる。放熱板30は被収納物の一例である。
【0065】
このとき、本実施形態に係る第1ストッパ20は一本の長手状板から形成され、内部に開口部を有していないため、十分な強度が得られる。
【0066】
このため、多数の放熱板30を積層して収納しても、第1ストッパ20が曲がることがなく、収納容器の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、容器本体10の壁が第1ストッパ20によって引っ張られて変形するおそれがないため、放熱板30の取り出し不良が発生することもない。
【0068】
さらに、容器本体10に放熱板30が収納されている状態では、第1ストッパ20の溝Gに荷重がかかるため、第1ストッパ20の溝Gが第1開口部11の内壁に強く当接して抜けにくくなる。
【0069】
また、
図9に示すように、第1ストッパ20と同じ構造の第2ストッパ20aを用意する。そして、容器本体10内に積層された放熱板30の上に弾性スペーサ40を配置する。
【0070】
さらに、その状態で、容器本体10の上部の第3開口部13から第4開口部14に第2ストッパ20aを挿入する。このとき、第2ストッパ20aは、弾性スペーサ40を下側に押した状態で挿入される。弾性スペーサ40としては、ウレタンスポンジなどの発砲樹脂が好適に使用される。
【0071】
またこのとき、第2ストッパ20aの溝Gを上側に向けた状態で第2ストッパ20aを挿入し、第2ストッパ20aの溝Gを第3開口部13の上側の内壁に嵌めて固定する。
【0072】
前述した
図6及び
図7と同様に、第4開口部14の上側の内壁の高さ位置は、第3開口部13の上側の内壁の高さ位置よりも第2ストッパ20aの溝Gの深さ分だけ高く設定されている。
【0073】
これにより、第2ストッパ20aは傾くことなく、容器本体10の第3開口部13と第4開口部14との間に水平になって配置される。
【0074】
第2ストッパ20aは、弾性スペーサ40によって上側に押された状態で、容器本体10の第4開口部14の上側の内壁に固定される。
【0075】
また、積層された放熱板30は、第1ストッパ20と第2ストッパ20aとの間に弾性スペーサ40の弾性力によって隙間なく積層されて固定される。
【0076】
なお、積層された放熱板30だけで第2ストッパ20aを固定できる場合は、弾性スペーサ40を省略してもよい。
【0077】
このようにして、実施形態の収納容器1を使用した収納構造2が得られる。
【0078】
図9に示すように、実施形態の収納構造2では、容器本体10の下部の壁に一対の第1開口部11と第2開口部12とが対向して配置されている。第1、第2開口部11,12に第1スペーサ20が挿入され、第1スペーサ20の溝Gが第1開口部11の下側の内壁に嵌って固定されている。
【0079】
また、容器本体10の上部の壁に一対の第3開口部13と第4開口部14とが対向して形成されている。収納構造2は第1スペーサ20と同一構造の第2スペーサ20aを備えている。
【0080】
そして、容器本体10の第3、第4開口部13,14に第2スペーサ20aが挿入され、第2スペーサ20aの溝Gが第3開口部13の上側の内壁に嵌って固定されている。
【0081】
このように、第1スペーサ20と第2スペーサ20aとは、溝Gが相互に逆方向を向いた状態で容器本体10に設置されている。
【0082】
また、容器本体10内の第1スペーサ20と第2スペーサ20aとの間に被収納物として放熱板30が積層されて収納されている。
【0083】
好適な態様では、
図9の例のように、最上の放熱板30と第2スペーサ20aとの間に弾性スペーサ40が配置される。これにより、第2ストッパ20aが弾性スペーサ40によって上側に押されて固定されている。
【0084】
このような収納構造2で多数の放熱板30が収納された収納容器1が輸送される。
【0085】
収納容器1から放熱板30を取り出す際には、まず、第2ストッパ20aを下側の弾性スペーサ40側に押し込んで第2ストッパ20aの溝Gから第2開口部12の内壁を外した状態にして、第2ストッパ20aを引き抜く。その後に、弾性スペーサ40を取り出す。次いで、真空吸着により専用治具で放熱板30を取り出して電子デバイスに実装する。
【0086】
さらに、
図10に示すように、容器本体10の下部に挿入された第1ストッパ20を取り外す場合は、第1ストッパ20を上側に上げて溝Gから第1開口部11の内壁を外した状態にして引く抜くことにより、容易に取り出すことができる。
【0087】
図11には、実施形態の変形例のストッパ21が示されている。前述した
図6及び
図7で説明したように、ストッパの傾き防止のために、挿入方向の奥側の第2開口部12の下側の内壁の高さ位置が手前側の第1開口部11の下側の内壁の高さ位置よりも低くなっている。
【0088】
前述した
図6及び
図7において、間違って作業者が逆の挿入方向(右方向)からストッパを挿入するとストッパが大きく傾くため、正常な収納容器として機能しなくなる。
【0089】
変形例のストッパ21はそのような不具合が発生することを防止するために工夫されている。
【0090】
図11に示すように、変形例のストッパ21の挿入部24は把持部22に繋がる基端部24aと、基端部24aに繋がる延在部24bから形成される。挿入部24の基端部24aに溝Gが形成されている。
【0091】
そして、ストッパ21の延在部24bの幅W1が、基端部24bの幅W2よりも狭く設定されている。
【0092】
図12は、変形例のストッパ21が容器本体10の第1、第2開口部11.12に挿入された様子を示す平面図である。
図12に示すように、変形例のストッパ21を採用する場合は、容器本体10の挿入側の第1開口部11の幅WAがストッパ21の基端部24aの幅WBに対応するように設定する。
【0093】
第1開口部11の幅WAはストッパ21の基端部24aの幅WBよりも広く設定される。容器本体10の第1開口部11にストッパ21の基端部24aを挿入できる程度に対応していればよい。
【0094】
また、容器本体10の奥側の第2開口部12の幅WXがストッパ21の延在部24bの幅WYに対応するように設定する。第2開口部12の幅WXはストッパ21の延在部24bの幅WYよりも広く設定される。容器本体10の第2開口部12にストッパ21の延在部24bを挿入できる程度に対応していればよい。
【0095】
このように、変形例のストッパ21の構造に合わせて、容器本体10の挿入方向の奥側の第2開口部12の幅WXを手前側の第1開口部11の幅WAよりも狭く設定される。
【0096】
図12に示すように、ストッパ21が正常な挿入方向から挿入される場合は、ストッパ21の把持部22が容器本体10の壁に当接するまで挿入することができ、ストッパ21の溝Gを第1開口部11の内壁に嵌めることができる。
【0097】
図13には、ストッパ21が逆の挿入方向から挿入される場合が示されている。この場合は、第2開口部12の幅WXがストッパ21の基端部24aの幅WBよりも狭く設定されているため、ストッパ21の基端部24aが容器本体10の第2開口部12の周囲の壁に当接する。
【0098】
このため、ストッパ21の把持部22を容器本体10の壁に当接できないため、ストッパ21の溝Gを第2開口部12の内壁に嵌めることができなくなる。よって、作業者は間違って逆の挿入方向から挿入したことが分かり、正常な挿入方向から挿入しなおすことができる。これにより、不良の収納容器が構築されることが防止される。
【0099】
また、前述した
図6及び
図7で、第1ストッパ20を容器本体10の第1、第2開口部11,12に挿入する際に、第1ストッパ20の表裏を間違えて挿入することが想定される。
【0100】
このため、第1ストッパ20の溝Gが形成された面を容易に認識できるように、把持部22の表裏でデザインを変えるようにしてもよい。
【0101】
あるいは、第1ストッパ20の把持部22の表裏で色を変えるようにしてもよい。例えば、溝Gが形成された面を有彩色にし、溝Gが形成されていない面を無彩色にして、溝Gが形成された面を容易に認識できるようにしてもよい。