(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、光源装置を備えたプロジェクタ(投影型映像表示装置)は、広く普及している。プロジェクタには、半導体レーザを含む光源を備えた光源装置が用いられている。
【0003】
プロジェクタの例として、例えば、特許文献1には、照明手段から出射された光を、ライトバルブ手段により変調し形成した光学像を投射手段で拡大投射する投射型映像表示装置であって、前記ライトバルブ手段に振動を与える振動付加手段と、前記ライトバルブ手段の入射面と出射面の少なくとも一方に風を送る送風手段とを有し、前記振動付加手段と前記送風手段の双方を駆動する期間を有することを特徴とする投射型映像表示装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、更に、投射型映像表示装置の照明手段であるランプの交流駆動回路から、駆動波形を取り出して、ゲート手段により、CPUからの指令と合成し、ドライブ手段で合成した波形をピエゾ素子(PZT)などで構成された加振手段に加えて動作させることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、照明光束を映像に応じて変調して投影表示する投影型映像表示装置に用いる照明装置において、照明光束を出射する光源と、上記光源からの照明光束を複数の光束に分割する第1レンズアレイと、上記第1レンズアレイで分割された複数の光束が入射する第2レンズアレイと、上記第2レンズアレイを経た照明光束を受けて所定の偏光成分を出射させる偏光板と、上記第2レンズアレイを経た照明光束の一部を受光する第1光検出器と、を有することを特徴とする投影型映像表示装置用照明装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、更に、投影型映像表示装置用照明装置が、上記第2レンズアレイ及び/又は上記偏光板を保持するホルダと、上記ホルダを弾性支持部材を介して変位可能に支持する支持部材と、上記ホルダを上記支持部材に対して変位させる電磁駆動手段とを有することが記載されている。
【0007】
特許文献3には、照明光束を映像に応じて空間変調素子で空間変調して投影表示する投影型映像表示装置に用いる照明装置において、照明光束を出射する光源と、上記光源からの照明光束を複数の光束に分割する第1レンズアレイと、上記第1レンズアレイで分割された複数の光束が入射する第2レンズアレイと、上記第2レンズアレイを経た照明光束を受けて所定の偏光成分を出射させる偏光板と、上記偏光板を経た照明光束を収束する収束レンズと、上記第2レンズアレイを経た照明光束の一部を受光する受光手段と、上記第2レンズアレイ及び/又は上記偏光板を保持するホルダと、上記ホルダを変位可能に支持する支持部材と、上記ホルダを加振する駆動手段と、上記ホルダの上記支持部材に対する位置を検出する位置検出手段と、上記受光手段及び上記位置検出手段の出力を監視する制御手段と、を有することを特徴とする投影型映像表示装置用照明装置が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る光源装置及びこの光源装置を備えたプロジェクタについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の光源装置1は、光源10と、少なくとも1つのレンズ70(
図1の例では、集光レンズ21及び受光レンズ50)と、レンズ70を支持するレンズホルダ72(
図1の例では、集光レンズホルダ22及び受光レンズホルダ52)とを備える。また半導体レーザ駆動回路60を備える。本実施形態の光源装置1は、透過部材である回転ホイール30、モータ40及び光学部材である受光レンズ50を含むことができる。
【0016】
次に、本発明の実施形態の光源装置1を、
図2〜
図4に示す模式図を用いて説明する。
【0017】
<光源装置1の実施形態>
図2に、本発明の第1の実施形態の光源装置1を示す。光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されて光を出射する半導体レーザ11を含む。少なくとも1つのレンズ70は、光源10から出射された光の経路に配置される。第1の実施形態の光源装置1は、更に半導体レーザ駆動回路60を有する。半導体レーザ駆動回路60からの電気配線は、光源10に電気的に接続される。第1の実施形態の光源装置1は、更に光源10と電気的に直列に接続されるレンズホルダ用配線74を有する。第1の実施形態の光源装置1では、光源10に含まれる半導体レーザ11が、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されるときに、レンズ70が、磁歪効果により振動するように構成される。レンズ70が振動することにより、レンズ70に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0018】
図2を用いて、更に具体的に、第1の実施形態の光源装置1について説明する。
【0019】
図2に示すように、本発明の第1の実施形態の光源装置1に含まれるレンズホルダ72は、強磁性体を含むレンズホルダ用配線74を有する。レンズホルダ用配線74は、レンズホルダ72に接触するように配置されている。
図2に示す例では、レンズホルダ用配線74は、コイル状であり、レンズホルダ72にコイル状に巻きついて接触する。
図2に示すように、レンズホルダ用配線74は、半導体レーザ駆動回路60を電源としており、光源10と電気的に直列に接続される。そのため、半導体レーザ駆動回路60の電源がオンとなり、光源10に電力が供給されると同時に、レンズホルダ用配線74にも電力が供給される。光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動される。半導体レーザ駆動回路60からのパルス状の電流は、コイル状のレンズホルダ用配線74にも供給されるので、コイル状のレンズホルダ用配線74にパルスに応じて変化する磁場が発生する。レンズホルダ用配線74は強磁性体を含むので、パルスに応じて変化する磁場により発生する磁歪効果により、レンズホルダ用配線74は振動する。この振動は、レンズホルダ72を介してレンズ70に伝わるので、レンズ70が振動する。このようにして、第1の実施形態の光源装置1では、光源10に含まれる半導体レーザ11が半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されるときに、レンズ70が、磁歪効果により振動することができる。レンズ70が振動することにより、レンズ70に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0020】
図3を用いて、本発明の第2の実施形態の光源装置1について説明する。
【0021】
図3に示すように、本発明の第2の実施形態の光源装置1に含まれるレンズホルダ72は、強磁性体を含む。また、レンズホルダ72は、レンズホルダ用配線74を有する。レンズホルダ用配線74は、レンズホルダ72に接触するように配置されている。
図3に示す例では、レンズホルダ用配線74は、コイル状であり、レンズホルダ72にコイル状に巻きついて接触する。
図3に示すように、レンズホルダ用配線74は、半導体レーザ駆動回路60を電源としており、光源10と電気的に直列に接続される。そのため、半導体レーザ駆動回路60の電源がオンとなり、光源10に電力が供給されると同時に、レンズホルダ用配線74にも電力が供給される。光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動される。半導体レーザ駆動回路60からのパルス状の電流は、コイル状のレンズホルダ用配線74にも供給されるので、コイル状のレンズホルダ用配線74にパルスに応じて変化する磁場が発生する。レンズホルダ72は強磁性体を含むので、パルスに応じて変化する磁場により発生する磁歪効果により、レンズホルダ72は振動する。この振動は、レンズ70に伝わるので、レンズ70が振動する。このようにして、第2の実施形態の光源装置1では、光源10に含まれる半導体レーザ11が半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されるときに、レンズ70が、磁歪効果により振動することができる。レンズ70が振動することにより、レンズ70に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0022】
次に、本発明の第3の実施形態の光源装置1について説明する。
【0023】
本発明の第3の実施形態の光源装置1では、レンズホルダ72が、強磁性体を含む以外は、上述の
図2に示す第1の実施形態の光源装置1と同様である。すなわち、強磁性体を含むレンズホルダ72は、強磁性体を含むレンズホルダ用配線74を有する。レンズホルダ用配線74は、レンズホルダ72に接触するように配置されている。
図2に示す例では、レンズホルダ用配線74は、コイル状であり、レンズホルダ72にコイル状に巻きついて接触する。
図2に示すように、レンズホルダ用配線74は、半導体レーザ駆動回路60を電源としており、光源10と電気的に直列に接続される。そのため、半導体レーザ駆動回路60の電源がオンとなり、光源10に電力が供給されると同時に、レンズホルダ用配線74にも電力が供給される。光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動される。半導体レーザ駆動回路60からのパルス状の電流は、コイル状のレンズホルダ用配線74にも供給されるので、コイル状のレンズホルダ用配線74にパルスに応じて変化する磁場が発生する。レンズホルダ用配線74は強磁性体を含むので、パルスに応じて変化する磁場により発生する磁歪効果により、レンズホルダ用配線74は振動する。更に、レンズホルダ72は強磁性体を含むので、パルスに応じて変化する磁場により発生する磁歪効果により、レンズホルダ72は振動する。これらの振動は、レンズホルダ72を介してレンズ70に伝わるので、レンズ70が振動する。このようにして、第3の実施形態の光源装置1では、光源10に含まれる半導体レーザ11が半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されるときに、レンズ70が、磁歪効果により振動することができる。レンズ70が振動することにより、レンズ70に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0024】
レンズホルダ用配線74及び/又はレンズホルダ72に含まれる強磁性体の種類は特に限られない。強磁性体としては、例えば、鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性を示す金属単体、並びにそれらの合金を用いることができる。鉄、コバルト及びニッケルの合金としては、例えば、コバールを用いることができる。また、磁性体として、強磁性体のステンレス鋼、例えば、SUS430を用いることができる。また、磁性体として、強磁性を示すフェライトを用いることができる。
【0025】
なお、レンズホルダ用配線74は、低い電気抵抗であることが好ましいので、強磁性体としては、金属の強磁性体、例えば鉄、コバルト及びニッケル、並びにそれらの合金を好ましく用いることができる。
【0026】
レンズホルダ72のための強磁性体として、フェライトを好ましく用いることができる。フェライトは電気抵抗が高いため、レンズホルダ72の内部に磁場の発生に伴う渦電流が発生することを抑制し、渦電流によるエネルギー損失を低減することができる。また、フェライトは、磁歪定数が大きく、機械的強度にも優れているため、レンズホルダ72のための強磁性体として、好ましく用いることができる。
【0027】
レンズホルダ72の形状は、レンズ70を支持するために適切な形状である。レンズホルダ72が強磁性体を含む場合、レンズホルダ72は強磁性体のみからなることができる。また、レンズホルダ72を構成する材料の一部に強磁性体を含むことができる。
【0028】
図2〜
図4は、レンズホルダ用配線74が、レンズホルダ72の外表面に巻きつくように配置される態様を示すが、これに限られない。例えば、コイル状のレンズホルダ用配線74を、レンズホルダ72の内部に配置することもできる。
【0029】
上述の本発明の第1〜3の実施形態の光源装置1において、レンズホルダ72が、弾性支持部材を介して変位可能なレンズホルダ用弾性支持部材76に支持されていることが好ましい。レンズホルダ用弾性支持部材76の弾性支持部材としては、バネ、板バネ、ゴム等の弾性体及びそれらの組み合わせを用いることができる。レンズホルダ用弾性支持部材76を有することにより、磁歪効果により生じたレンズホルダ72の振動の減衰を抑制させ、効率的にレンズ70に伝えることができる。
【0030】
本発明の光源装置1の具体的な実施形態は、
図1(具体的な特徴部は、
図2〜
図4)に示すような光源装置1であることができる。
【0031】
図1に示す実施形態の光源装置1は、光源10と、集光レンズ21及び受光レンズ50と、集光レンズ21及び受光レンズ50を支持する集光レンズホルダ22及び受光レンズホルダ52とを備える。本実施形態の光源装置1は、透過部材である回転ホイール30、及びモータ40を含む。
【0032】
図1に示す実施形態の光源装置1において、光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されて光を出射する半導体レーザ11を含む。集光レンズ21及び受光レンズ50は、光源10から出射された光の経路に配置される。本実施形態の光源装置1は、更に半導体レーザ駆動回路60を有する。半導体レーザ駆動回路60からの電気配線は、光源10に電気的に接続される。本実施形態の光源装置1は、更に光源10と電気的に直列に接続される集光レンズホルダ用配線24(レンズホルダ用配線の1つ)及び受光レンズホルダ用配線54(レンズホルダ用配線の1つ)を有する。すなわち、光源10、集光レンズホルダ用配線24及び受光レンズホルダ用配線54は、電気的にすべて直列に接続される。そのため、半導体レーザ駆動回路60の電源がオンとなり、光源10に電力が供給されると同時に、集光レンズホルダ用配線24及び受光レンズホルダ用配線54にも電力が供給される。
【0033】
図1に示す実施形態の光源装置1において、集光レンズホルダ22及び集光レンズホルダ用配線24の少なくとも一方が強磁性体を含み、受光レンズホルダ52及び受光レンズホルダ用配線54の少なくとも一方が強磁性体を含む。光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動される。半導体レーザ駆動回路60からのパルス状の電流は、コイル状の集光レンズホルダ用配線24及び受光レンズホルダ用配線54にも供給されるので、コイル状の集光レンズホルダ用配線24及び受光レンズホルダ用配線54にパルスに応じて変化する磁場が発生する。本実施形態の光源装置1では、光源10に含まれる半導体レーザ11が、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されるときに、集光レンズ21及び受光レンズ50が、磁歪効果により振動する。集光レンズ21及び受光レンズ50が振動することにより、集光レンズ21及び受光レンズ50に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0034】
本発明の実施形態に係る光源装置1の構造について、
図1、
図5、
図6を参照しつつ詳細に説明する。
図5に示すように、本実施形態の光源装置1は、光源10、コリメートレンズ20、集光レンズ21、透過部材である回転ホイール30、モータ40及び光学部材である受光レンズ50を含んで構成されている。
【0035】
光源10は、
図1に示すように、複数の半導体レーザ11が、平板形状のプレート12において出射光の進行方向がプレートの出射面に対して垂直となり、かつ互いの出射光が平行となるように保持されている。詳細には、8個の半導体レーザ11が1個のプレート12に保持されており、この8個の半導体レーザ11と1個のプレートとが、2つ重ねて配置されており、合計16個の出射光が出射されるようになっている。半導体レーザ11は、青色半導体レーザ11とすることができる。青色半導体レーザ11の出射光は、例えば370〜500ナノメートルの波長帯域のうち、特定の波長をピークとする光、好ましくは420〜500ナノメートルの波長帯域のうち、特定の波長をピークとする光である。
【0036】
プレート12の出射面と反対側の面は、ヒートパイプ(パイプ状のヒートシンク)13に接続され、さらにヒートパイプ13は、ヒートパイプ13を冷却するための複数のフィン14に接続されている。さらに複数のフィン14に吸い込み型のファン15が備えられており、冷却媒体(例えば空気)が複数のフィン14の間の空間に吸い込まれ、ヒートパイプ13を強制対流冷却で冷却することができる。つまり、ヒートパイプ13、複数のフィン14、及び吸い込み型のファン15を有する冷却装置により、半導体レーザ11が駆動する際の発熱を効率よく冷却することができる。
【0037】
図5に戻り、集光レンズ21は、光源10からの出射光を集光して、回転ホイール30において所定のスポット径となるように集光させる。回転ホイール30は、光を透過させる透明な円板状の部材であり、回転軸を中心に回転する。また、その中心はモータ40の駆動軸40aに固定されている。ここで、回転ホイール30の素材は、光の透過率が高い素材であれば、ガラスや透明セラミックス、樹脂、サファイアや窒化ガリウムなどの結晶基板などを使用することができ、具体的にはサファイアを使用することができる。
図6に回転ホイール30の外観を示す。
【0038】
図6(a)は光源10からの光が回転ホイール30へ入射する面(
図5内の矢印Aで示す方向から見た面。以下、「入射面」又は「表面」ともいう。)を示しており、
図6(b)は、回転ホイール30から蛍光が出射される面(入射面の反対側の面。以下、「出射面」又は「裏面」ともいう。)を示している。また、
図6(a)における破線の円で示すスポットSPは、集光レンズ21によって集光された光源10からの入射光が照射される領域を示している。更に、
図6(b)における破線の円で示す蛍光領域FLは、光源10からの入射光よって後述する蛍光体層が発光する領域を示している。
【0039】
図6に示すように、回転ホイール30には、入射面に外周縁から幅W1を有する輪状の透過領域(
図6(a)参照)が設けられている。この透過領域は円周方向に三等分され、同一円周上に3つの透過領域TR1,TR2,TR3が設けられている。なお、透過領域TR1〜TR3の各々の角度範囲は三等分に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。
【0040】
図6(a)に示すように、透過領域TR1及びTR2の入射面側には、それぞれ幅W1を有する円弧状の誘電体膜31が形成されている。この誘電体膜31によって、光源10の青色半導体レーザ11から出射される光の波長帯域を透過させ、それ以外の波長帯域の光を反射させる。この誘電体膜31としては、ダイクロイックフィルタを用いることができる。これに対して、透過領域TR3の入射面側には誘電体膜31が形成されていないため、特定の波長帯域の光を減衰させることはなく、全波長帯域の光を透過させる。また、透過領域TR3は青色半導体レーザ11から出射される光を透過させるのみであれば、透過領域TR3に誘電体膜31を形成してもよい。これにより、蛍光体ホイール30の入射面全面に誘電体膜31を形成することとになり、誘電体膜の形成工程を簡素化できる。
【0041】
次に、
図6(b)に示すように、透過領域TR1の出射面側には、透過領域の幅W1よりも狭い幅W2を有する円弧状の蛍光体層32Rが形成されている(以下、蛍光体層を備える回転ホイールを蛍光体ホイール30と称することがある)。蛍光体層32Rは、光源10の青色半導体レーザ11から出射された光によって励起され、青色半導体レーザ11から出射された光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発生する。蛍光体層32Rが発する蛍光は、例えば550〜780ナノメートルの波長帯域の蛍光(赤色光)を発生する。蛍光体層32Rの具体的な材料の一例としては、YAG、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、CaAlSiN
3:Eu、SrAlSiN
3:Eu、K
2SiF
6:Mnを挙げることができる。
【0042】
また、透過領域TR2の出射面側には、幅W2を有する円弧状の蛍光体層32Gが形成されており、蛍光体層32Rと同様、青色半導体レーザ11から出射された光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発生する。例えば、青色半導体レーザ11から出射された光によって例えば500〜650ナノメートルの波長帯域の蛍光(緑色光)を発生する。蛍光体層32Gの具体的な材料の一例としては、β−SiAlON:Eu、Lu
3Al
5O
12等の酸化物系蛍光体を挙げることができる。このように、蛍光体層32Rと32Gとはいずれも光源10、より具体的には青色半導体レーザ11から出射された光のピーク波長を包含する波長帯域(第1の波長帯域)を、第1の波長帯域と異なる波長帯域の光、つまり他の波長帯域(第2の波長帯域)の光に波長変換している。ここで、第1の波長帯域と、第2の波長帯域とは、一部の波長帯域が重複していてもよく、また、第2の波長帯域(蛍光体層が発生する蛍光の波長帯域)内に、所定のピーク波長の光が含まれていてもよい。
【0043】
また、透過領域TR3の出射面側には蛍光体層が形成されていないため、全波長帯域の光が透過する。すなわち、回転ホイール30を透過した光源10からの光はそのまま出射される。ただし、透過領域TR3に散乱面を形成し、回転ホイール30の回転によって光源10から出射された青色光を動的に拡散させることでスペックルノイズを低減させてもよい。
【0044】
図5に示すように、モータ40はブラシレス直流モータであり、回転ホイール30の表面に対して駆動軸40aが直交するように固定されている。モータ40は、再生する動画のフレームレート(1秒当たりのフレーム数。単位は[fps])に基づく回転速度で、
図6の矢印Bに示す方向に回転させる。例えば、60[fps]の動画を再生可能とする場合、回転ホイール30の回転速度は毎秒60回転の整数倍に定めるとよい。受光レンズ50は、蛍光体層32R及び32Gから出射された光を集光する光学部材である。すなわち、光源10から出射された光によって蛍光体層32R及び32Gで発生した蛍光を集光して、光源装置1の出射光として出射する。
【0045】
上述した構成の光源装置1においては、具体的には、光源10から出射された複数の青色半導体レーザ11の光は集光レンズ21によって集光され、回転ホイール30に照射される。回転ホイール30はモータ40によって
図6の矢印Bの方向に回転しており、集光レンズ21によって集光されたスポットSPが、透過領域TR1上に位置しているときは、蛍光体層32Rに入射し、赤色光が受光レンズ50へ出射される。また、スポットSPが透過領域TR2上に位置しているときは、蛍光体層32Gに入射し、緑色光が受光レンズ50へ出射される。さらに、スポットSPが透過領域TR3上に位置しているときは、蛍光体層が形成されていないため、入射した青色光が受光レンズ50へ出射される。このようにして、光源装置1は、回転ホイール30の回転に応じて赤色、緑色、青色の光を順番に繰り返し出射する。
【0046】
<光源装置1を用いたプロジェクタ100>
次に
図7を参照して、上述の実施形態に示した光源装置1を、いわゆる1チップ方式のDLP(Digital Light Processing)プロジェクタ100における光源装置1として用いた場合の概略構成について説明する。なお、
図7において、
図5に示した各部と同じものについては同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0047】
図7に示すプロジェクタ100において、光源装置1から出射された光は、光変調手段110であるDMD(Digital Micromirror Device)素子110で反射され、投射手段であるレンズ120によって集光されて、スクリーンSに投影される。DMD素子110は、スクリーンSに投影された画像の各画素に相当する微細なミラーをマトリックス状に配列したものであり、各ミラーの角度を変化させてスクリーンSへ出射する光を、マイクロ秒単位でオン/オフすることができる。ここで、ミラーの角度を、光源装置1から出射された光がレンズ120へ反射するようにした場合がオンの状態であり、レンズ120へ反射しないようにした場合がオフの状態である。
【0048】
また、DMD素子110の各ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、レンズ120へ入射する光の階調を変化させることにより、投影する画像の画像データに基づいた階調表示が可能になる。これにより、光源装置1から順次出射される赤色光、緑色光、青色光の各々に対して、個々のミラーで階調制御を行うことにより、スクリーンSにカラー画像(動画も含む)を投影することができる。レンズ120は、主に投射レンズから構成され、DMD素子110によって形成された画像を、所定の大きさに拡大してスクリーンSに投射する。
【0049】
次に、本発明のプロジェクタ100の実施形態について、
図8を参照して更に説明する。なお、
図8では、光源装置1に相当する部分については簡略化して図示している。
【0050】
図8に示す本発明のプロジェクタ100の実施形態では、本発明の実施形態である光源装置1から出射された光の経路に配置され、画像データに基づいて、光源装置1から出射された光を順次変調して画像を形成する光変調手段110(DMD)を備えることができる。光変調手段110は、光変調手段支持部材112により支持される。上述の集光レンズホルダ22及び受光レンズホルダ52などのレンズホルダ72と同様に、光変調手段支持部材112は、光源装置1が駆動されるときに、磁歪効果により振動するように構成されることが好ましい。
【0051】
図8に示す本発明の実施形態のプロジェクタ100では、光変調手段支持部材112が光変調手段支持部材用配線114を有する。光変調手段支持部材112及び光変調手段支持部材用配線114の少なくとも一方は、強磁性体を含む。光変調手段支持部材用配線114は、光変調手段支持部材112に接触するように配置されている。
図8に示す例では、光変調手段支持部材用配線114は、コイル状であり、光変調手段支持部材112にコイル状に巻きついて接触する。
図8に示すように、光変調手段支持部材用配線114は、半導体レーザ駆動回路60を電源としており、光源10と電気的に直列に接続される。そのため、半導体レーザ駆動回路60の電源がオンとなり、光源10に電力が供給されると同時に、光変調手段支持部材用配線114にも電力が供給される。光源10は、半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動される。半導体レーザ駆動回路60からのパルス状の電流は、コイル状の光変調手段支持部材用配線114にも供給されるので、コイル状の光変調手段支持部材用配線114にパルスに応じて変化する磁場が発生する。光変調手段支持部材112及び光変調手段支持部材用配線114の少なくとも一方は強磁性体を含むので、パルスに応じて変化する磁場により発生する磁歪効果により、光変調手段支持部材112は振動する。この振動により、光変調手段110が振動する。このようにして、本実施形態のプロジェクタ100では、光源10に含まれる半導体レーザ11が半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されるときに、光変調手段110が、磁歪効果により振動することができる。光変調手段110が振動することにより、光変調手段110に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0052】
なお、プロジェクタ100の動作中に光変調手段110が振動すると、投射画像に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、本実施形態のプロジェクタ100では、光変調手段支持部材112が、光源装置100の起動後の所定時間及び光源装置100の動作終了前の所定時間のみ、磁歪効果により振動するように構成されることが好ましい。このような構成を可能にするために、
図8に示すプロジェクタ100は、光変調手段支持部材用配線114を短絡するための短絡スイッチ116を備えることができる。短絡スイッチ116がオンの場合には、光変調手段支持部材用配線114に電流が流れないので、光変調手段支持部材112が磁歪効果により振動しない。したがって、光源装置100の起動後の所定時間及び光源装置100の動作終了前の所定時間のみ、短絡スイッチ116をオフにし、その他の時間は、短絡スイッチ116をオンにすることにより、所定時間のみ、光変調手段支持部材用配線114を磁歪効果により振動させることができる。この結果、投射画像に悪影響を及ぼすことなく、光変調手段110が振動することにより、光変調手段110に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0053】
また、別の実施形態のプロジェクタ100では、光変調手段支持部材112が、半導体レーザ11が半導体レーザ駆動回路60によりパルス駆動されていないときのみ、磁歪効果により振動するように構成されることができる。この場合には、
図8に示す光変調手段支持部材用配線114を半導体レーザ駆動回路60に接続せず、別の電源を用いて光変調手段支持部材用配線114に電力を加え、所定の時間、光変調手段支持部材用配線114を磁歪効果により振動させることができる。または、複数の半導体レーザ11が接続された光源10の両端のアノードとカソードのみを短絡させる回路を設け、光変調手段支持部材用配線114を磁歪効果により振動させることができる。この結果、レーザ駆動時の投射画像に悪影響を及ぼすことなく、光変調手段110が振動することにより、光変調手段110に対する塵埃の付着を低減することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、光変調手段110としてDMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。また、磁歪効果により振動させることができる光学素子及び光学部品は、レンズ及び光変調素子に限られない。上述の実施形態と同様の構成を用いて、任意の光学素子及び光学部品を振動させることにより、塵埃の付着を低減することができる。また、本発明に係る光源装置1及びこの光源装置1を用いたプロジェクタ100は、上述した実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。