(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置およびその製造方法は、技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の発光装置の概略構造を示す上面図および断面図である。
図1(a)は上面図であり、
図1(b)は
図1(a)のI−I断面を示す断面図である。
図1に示すように、発光装置100は、基板120と、基板120の上に設けられた発光素子105と、発光素子105を被覆する被覆部材108と、を有する。被覆部材108は、発光素子105の直上に凹部122を有し、平面視において凹部122の外側に凸部124を有している。ここで、凸部124の最上部となる峰部111は、上面視で略円形になるように形成されている。
【0012】
被覆部材108は、底面の幅Bが、被覆部材108の最大幅Aよりも小さくなるように形成されている。ここで、底面とは、基板120と被覆部材108とが接触している面のことをいう。言い換えると、被覆部材108の基板120との接続断面径が、被覆部材108全体の断面径の最大ではない。つまり、基板120近傍の被覆部材108の形状が逆テーパー状とされている。これにより、発光素子105から光軸Lに対して真横方向に出た光が、屈折により基板上面方向へと向きが変わることで、基板120に当たる事無く外部に取り出される光量を増やすことができる。
【0013】
(基板120)
基板120は、発光素子105を載置するための部材であり、
図1に示されるように、発光素子105に電力を供給するための導電配線102と、導電配線102を配置し絶縁分離するための基体101とを備える。
基体101の材料としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂やセラミックスが挙げられる。なかでも、低コストと、成型容易性の点から、樹脂を絶縁性材料に選択することが好ましい。あるいは、耐熱性及び耐光性に優れた発光装置とするためには、セラミックスを基体101の材料として選択することが好ましい。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)、炭化物系(例えば、SiC)等が挙げられる。なかでも、アルミナからなる又はアルミナを主成分とするセラミックスが好ましい。
また、基体101を構成する材料に樹脂を用いる場合は、ガラス繊維や、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の無機フィラーを樹脂に混合し、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることもできる。また、基板120は、金属部材に絶縁部分を形成しているものであってもよい。
【0014】
導電配線102は、発光素子105の電極と電気的に接続され、外部からの電流(電力)を供給するための部材である。すなわち、外部から通電させるための電極またはその一部としての役割を担うものである。通常、正と負の少なくとも2つ以上に離間して形成される。
導電配線102は、発光素子105の載置面となる、基板120の少なくとも上面に形成される。導電配線102の材料は、基体101として用いられる材料や製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、基体101の材料としてセラミックスを用いる場合は、導電配線102の材料は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する材料が好ましく、例えば、タングステン、モリブデンのような高融点の金属を用いるのが好ましい。さらに、その上に鍍金やスパッタリング、蒸着などにより、ニッケル、金、銀など他の金属材料にて被覆してもよい。
【0015】
また、基体101の材料として樹脂を用いる場合は、導電配線102の材料は、加工し易い材料が好ましい。また、射出成型された樹脂を用いる場合には、導電配線102の材料は、打ち抜き加工、エッチング加工、屈曲加工などの加工がし易く、かつ、比較的大きい機械的強度を有する部材が好ましい。具体例としては、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属、または、鉄−ニッケル合金、りん青銅、鉄入り銅、モリブデン等の金属層やリードフレーム等が挙げられる。また、その表面を、さらに金属材料で被覆してもよい。この材料は特に限定されないが、例えば、銀のみ、あるいは、銀と、銅、金、アルミニウム、ロジウム等との合金、または、これら、銀や各合金を用いた多層膜とすることができる。また、金属材料の配置方法は、鍍金法の他にスパッタ法や蒸着法などを用いることができる。
【0016】
(絶縁材料104)
基板120は、
図1(b)に示すように、任意で絶縁材料104を有していてもよい。絶縁材料104は、導電配線102上の、発光素子105や他材料と電気的に接続する部分以外を被覆する事が好ましい。すなわち、
図1(b)に示されるように、基板上には、導電配線102を絶縁被覆するためのレジストが配置されていても良い。
絶縁材料104を配置させる場合には、導電配線の絶縁を行う目的だけでなく、以下に述べるアンダーフィル材料と同様な白色系のフィラーを含有させることにより、光の漏れや吸収を防いで、発光装置100の光取り出し効率を上げることもできる。
【0017】
絶縁材料104の材料は、発光素子からの光の吸収が少ない材料であり、絶縁性であれば特に限定されない。例えば、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネイト、ポリイミド等を用いることができる。
【0018】
(発光素子105)
基板に搭載される発光素子105は、特に限定されず、公知のものを利用できるが、本形態においては、発光素子105として発光ダイオードを用いるのが好ましい。
発光素子105は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
波長変換材料を備えた発光装置とする場合には、その波長変換材料を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。同一面側に正負の電極を有するものであってもよいし、異なる面に正負の電極を有するものであってもよい。
【0020】
発光素子105は、例えば、成長用基板と、その成長用基板の上に積層された半導体層を有する。この半導体層には、順にn型半導体層、活性層、p型半導体層が形成されており、n型半導体層にn型電極が形成されており、p型半導体層にp型電極が形成されている。成長用基板には、透光性のサファイア基板等を用いることができる。
これらの発光素子105の電極は、
図1(b)に示すように、接続材料103を介して基板の表面の導電配線102にフリップチップ実装されており、電極の形成された面と対向する面、すなわち透光性のサファイア基板の主面を光取り出し面としている。発光素子105は、正と負に絶縁分離された2つの導電配線102に跨るように配置されて、導電性の接続材料103によって接合されている。この発光素子105の実装方法は、半田ペーストを用いた実装方法の他、例えばバンプを用いた実装方法とすることができる。
【0021】
(光源)
本明細書において、「光源」とは光を発する部分のことをいう。例えば、上述した発光素子105や、発光素子105と波長変換部材を組み合わせたもの、発光素子を内蔵するパッケージ品(例えばSMDの発光装置やパッケージ型白色LEDと呼ばれるもの)等が挙げられ、特に形状や構造を限定するものでは無い。
【0022】
(接続材料103)
接続材料103としては、導電性の部材であり、具体的にはAu含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb−Pd含有合金、Au−Ga含有合金、Au−Sn含有合金、Sn含有合金、Sn−Cu含有合金、Sn−Cu−Ag含有合金、Au−Ge含有合金、Au−Si含有合金、Al含有合金、Cu−In含有合金、金属とフラックスの混合物等を挙げることができる。
接続材料103としては、液状、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状、ワイヤー状)のものを用いることができ、組成や支持体の形状等に応じて、適宜選択することができる。また、これらの接続材料103は、単一部材で形成してもよく、あるいは、数種のものを組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(アンダーフィル材料106)
図1(b)に示すように、発光素子105と基板120の間にアンダーフィル材料106が形成されていることが好ましい。アンダーフィル材料106は、発光素子105からの光を効率よく反射できるようにすること、熱膨張率を発光素子105に近づけること等を目的として、フィラーを含有している。
【0024】
アンダーフィル材料106は、発光素子からの光の吸収が少ない材料であれば、特に限定されない。例えば、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネイト、ポリイミド等を用いることができる。
アンダーフィル材料106に含有するフィラーとしては、白色系のフィラーであれば、光がより反射され易くなり、光の取り出し効率の向上を図ることができる。また、フィラーとしては、無機化合物を用いるのが好ましい。ここでの白色とは、フィラー自体が透明であった場合でもフィラーの周りの材料と屈折率差がある場合に散乱で白色に見えるものも含む。
【0025】
ここで、フィラーの反射率は、発光波長の光に対して50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。このようにすれば、発光装置100の光の取り出し効率を向上させることができる。また、フィラーの粒径は、1nm以上10μm以下が好ましい。フィラーの粒径をこの範囲とすることで、アンダーフィル材料としての樹脂流動性が良くなり、狭い隙間でも問題なく被覆することができる。なお、フィラーの粒径は、好ましくは、100nm以上5μm以下、さらに好ましくは200nm以上2μm以下である。また、フィラーの形状は、球形でも鱗片形状でもよい。
【0026】
フィラー材料としては、具体的には、SiO
2、Al
2O
3、Al(OH)
3、MgCO
3、TiO
2、ZrO
2、ZnO、Nb
2O
5、MgO、Mg(OH)
2、SrO、In
2O
3、TaO
2、HfO、SeO、Y
2O
3などの酸化物、SiN、AlN、AlONなどの窒化物、MgF
2のようなフッ化物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0027】
なお、
図1(b)の例では発光素子105の側面がアンダーフィル材料106で被覆される例として説明したが、フィラーの粒径やアンダーフィルの材料を適宜選択および調整することにより、発光素子105の側面がアンダーフィル材料106によって被覆されないようにしても良い。発光素子105の側面をアンダーフィル材料106から露出することで、発光素子の側面を光取り出し面とするためである。
【0028】
(被覆部材108)
被覆部材108は、発光素子105を外部環境から保護するとともに、発光素子105から出力される光を光学的に制御するため、発光素子105を被覆するように基板上に配置される部材である。
被覆部材108の材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂あるいはそれらを混合させた樹脂などの透光性樹脂や、ガラスなどを用いることができる。これらのうち、耐光性および成形のしやすさを考慮して、シリコーン樹脂を選択することが好ましい。
【0029】
さらに、被覆部材108には、発光素子からの光を吸収して発光素子からの出力光とは異なる波長の光を発する波長変換材料や、発光素子からの光を拡散させるための拡散剤を含有させることができる。また、発光素子の発光色に対応させて、着色剤を含有させることもできる。なお、被覆部材108は光源からの光の配光を制御する役割を有しているため、波長変換材料、拡散材、着色剤等の含有量は、被覆部材108により配光が制御できる程度の量に留めることが好ましい。
【0030】
被覆部材108は、発光素子105を被覆するように圧縮成型や射出成型によって形成することができる。その他、後述するように、被覆部材108の材料の粘度を最適化して、発光素子105の上に滴下もしくは描画して、材料自体の表面張力によって、
図1に示されるような形状とすることができる。
【0031】
また、被覆部材は、光軸高さが幅よりも短いことが好ましい。これによりバットウイング配光の輝度ピーク位置をより広角度側にすることが可能となる。
【0032】
(発光装置の製造方法)
次に、発光装置100の製造方法について
図7を用いて説明する。
まず、発光素子105が配置された基板120を準備する。なお、ここでは一例として1つの発光装置100に対応する部分を示すが、1つの基板に複数の発光素子105が載置された基板を用い、それぞれの発光素子105に対して1つの被覆部材108を形成するようにしてもよい。また、1つの被覆部材108によって被覆される発光素子105の数は1つに限られず、複数であってもよい。
【0033】
次いで、被覆部材108を構成する樹脂をノズルから吐出させながら、発光素子105を略中心とする円を描くようにして、基板120および発光素子105の上に樹脂を塗布する。
図7(a)は、樹脂を塗布するときのノズルの動きを矢印で示したものである。
図7(a)では、発光素子105の上を塗布開始位置とし、発光素子105の周囲を環状に囲むように樹脂を塗布する。このとき、発光素子105の上(すなわち、塗布開始位置)においては樹脂の吐出量を少なくすることにより、樹脂の塗布量が発光素子105の周囲に樹脂を塗布するときよりも少なくなるようにすることが好ましい。
【0034】
また、
図7(d)に示すように、発光素子105の周囲を環状に囲むように樹脂を塗布し、発光素子105の上に樹脂を濡れ広げさせることで、発光素子105の上にも被覆部材108が配置されるようにしてもよい。
【0035】
このように、ノズルを移動させながら樹脂を塗布し、樹脂を硬化させることで、
図1(a)および
図1(b)に示すように発光素子105の直上に凹部122を有し、平面視において凹部122の外側に凸部124を有する被覆部材108を形成することができる。これにより、金型を必要とすることなく、より簡便な方法で被覆部材を形成することができる。また、このような形成方法による被覆部材の材料の粘度を調整する手段として、その材料本来の粘度の他、上述したような蛍光体や拡散剤を利用することもできる。
【0036】
図7(b)は封止樹脂の塗布開始位置を発光素子105の外側とし、塗布終わり位置を発光素子105の上とする例を示している。すなわち、樹脂を塗布するときのノズルを
図7(a)とは逆方向に移動させる例である。この場合は、塗布の終わり位置において樹脂の塗布量が少なくなるようにすることで、前述のように凹部122を形成することができる。
【0037】
また、樹脂の塗布経路は円形状に限られず、例えば多角形状に塗布してもよい。例えば、平面視における発光素子の外形に沿って樹脂を塗布してもよく、
図7(c)に示すように、四角形の発光素子の形状に沿って四角形に塗布してもよい。
【0038】
さらに、塗布する樹脂の粘度を調整することにより基板120との接触角を調整し、
図1(b)に示すように被覆部材108の底面の幅Bが、被覆部材108の最大幅Aよりも小さくなるように形成することが容易となる。これにより、基板120近傍の被覆部材の形状を容易に逆テーパー状にすることができ、外部取り出し効率に優れた発光装置とすることができる。なお、被覆部材108の底面の幅が被覆部材108の最大幅となるように形成することもできる。
【0039】
なお、
図1(b)に示すようにアンダーフィル材料を形成する場合は、基板120に発光素子105を載置した後に、アンダーフィル材料を構成する樹脂をノズルから吐出させながら、発光素子105の外周を円または四角状に描くようにして形成する。その後一定時間放置することでアンダーフィル材料が流動して発光素子105と基板120の間に流れ込む。この状態で加熱して硬化させることにより形成することができる。
【0040】
本実施形態の発光装置によれば、バットウイング配光を実現することができるため、隣り合う光源の間隔を例えば20mm以上離間させたとしても、輝度ムラの少ない発光装置とすることができる。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る発光装置200は、
図2に示すように、光源130として発光素子105と発光素子105を被覆する波長変換部材109を備えている点において第1実施形態の発光装置100と異なっている。その他の部分においては第1実施形態の発光装置100と同様の部材を用い、同様に構成することができる。
【0042】
波長変換部材109は、発光素子105の上面を被覆するように形成されている。
図2では発光素子105の側面がアンダーフィル材料106により被覆されているため、波長変換部材109と発光素子105の側面とは直接接しない構造とされているが、発光素子105の側面が直接波長変換部材109により被覆されていてもよい。
【0043】
(波長変換部材109)
波長変換部材としては、発光素子105からの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであればよい。
例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、CASN系又はSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体などが挙げられる。さらに、前記した蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、作用、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0044】
また、波長変換部材は、例えば、いわゆるナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質でもよい。これらの材料としては、半導体材料を用いることができ、例えばII−VI族、III−V族、IV−VI族半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdS
xSe
1−x/ZnS、GaP等のナノサイズの高分散粒子が挙げられる。
【0045】
波長変換部材109の光軸L方向の高さは、被覆部材108の最大幅の4/5以下であることが好ましい。これにより被覆部材108のレンズ効果を維持することが出来る。
【0046】
(発光装置200の製造方法)
発光装置200は、発光装置100と同様に形成することができる。発光装置100では、発光素子105が光源となるのに対し、発光装置200は発光素子105および波長変換部材109が光源となる。
波長変換部材109は、例えば蛍光体や量子ドットを含有する透光性樹脂をポッティングなどで凸状に形成してもよいし、印刷法や電気泳動法を用いてもよいし、シート状に成形された波長変換部材を発光素子の上に貼る方法などを利用することができる。
【0047】
発光装置200においても、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
また、発光装置200は、発光素子105の周囲に波長変換部材109を形成して光源130とし、実質的に波長変換部材109を含有しない被覆部材108により光源130を被覆する構成としているため、被覆部材108の全体で波長変換する場合に比べてバットウイング配光特性の制御がしやすくなる。
【0048】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る発光装置300は、
図3(a)に示すように、光源として小型のパッケージ型白色LED201を使用した方式であり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって発光装置300は、第1実施形態と同様の効果を奏する。パッケージ型白色LED201は、接続材料103を介して基板120と電気的に接続される。このような構成とすることで予め白色色度を選別した光源を使用することができるため、製品の色度歩留まりを向上することが可能である。
【0049】
(パッケージ型白色LED)
パッケージ型白色LEDは、発光素子105と波長変換部材109とがパッケージングされたものであり、外部接続端子を備えるものであればよい。
特に、搭載される発光素子のサイズに近い、いわゆるCSPタイプのものが好ましい。また、光取り出し効率を高めるために、光反射部材を備えているものが好ましい。
【0050】
例えば
図3(b)に示すパッケージ型白色LED201は、発光素子105の側面および下面に光反射部材126を有しており、外部接続端子204が下面に露出されている。また、発光素子105および光反射部材126の上面を覆うように波長変換部材109が形成されている。また、
図3(a)に示すように、パッケージ型白色LED201と基板120の間には、アンダーフィル材料106が配置されている。
【0051】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る発光装置400は、
図4に示すように、発光素子105および波長変換部材109からなる光源130の表面の一部が、被覆部材108から露出している点が第2実施形態と異なっている。すなわち、被覆部材108は光源130が露出する貫通孔140を有し、平面視において貫通孔140の外側に凸部を有している。波長変換部材109の外周縁部は被覆部材108に被覆されている。その他の部分においては第2実施形態の発光装置200と同様の部材を用い、同様に構成することができる。
被覆部材108は、上面視において円状に形成されていることが好ましいが、例えば上面視においてC字状など、途中で途切れていてもよい。
【0052】
発光装置400の被覆部材108の形成方法としては、第1実施形態の発光装置100と同様に形成することができるが、光軸Lが通る光源130の上面の一部には樹脂が塗布されず、波長変換部材109の外周縁部には樹脂が塗布されるように、光源130の周囲に環状に樹脂を塗布する(例えば、
図7(d)のように塗布する)ことで形成することができる。
また、C字状(
図7(e))や、数ヵ所が途切れた円状(
図7(f))に塗布し、途切れたまま硬化させてもよい。
このとき、これまでの実施形態で述べてきたとおり、被覆部材108の底面の幅が、被覆部材108の最大幅よりも小さくなるように形成してもよいし、
図4に示すように被覆部材108の底面の幅が被覆部材108の最大幅となるように形成してもよい。
【0053】
このような発光装置400は、第2実施形態の発光装置200に比べて、光源130の光軸L方向より、広配光角側の光取り出し効率を高めることが可能となる。
【0054】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る発光装置500は、
図5に示すように、発光素子105上の被覆部材108上に光を反射および/または拡散する光反射/拡散領域113を形成した以外は第1実施形態と同様であり、同様の効果を奏する。
この様にすることで、光軸L上に出射する光が横方向に曲げられ、第1実施形態の発光装置100に比べて光軸Lの光強度を下げることができる。
【0055】
光を反射および/または拡散する光反射/拡散領域113は、具体的には、アンダーフィル材106と同様な材料で良く、被覆部材108の硬化後に吐出成形しても良く、また、被覆部材108上に熱可塑性樹脂で構成された反射部材を配置して、その後の熱処理で溶かして形成しても良い。
【0056】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る発光装置600は、
図6に示すように、発光素子105上に気泡を含んだ被覆部材108が形成されている以外は第1実施形態と同様である。なお、この様な構成を取る場合、必ずしも被覆部材108の形状が円状の峰部を持つ必要が無く、一般的なドーム形状でもバットウイング配光を実現することが可能となる。また、気泡の形状も球状、涙状、ピラミッド状等、種々の形状が考えられる。
例えば
図6に示すように、気泡112の形状を、発光素子の上面形状を略底面形状とする錐形状とすることで、光軸L上に出射する光が気泡112の界面で全反射や屈折、散乱し光軸Lの光強度を下げることができる。
【0057】
発光装置600は、被覆部材108の樹脂を塗布する前に、光源に撥油処理を施し、その上から被覆部材108の樹脂を塗布することで、気泡112を形成することができる。また、光源に発泡剤を塗布した後に樹脂を塗布することでも気泡112を形成することができる。
【0058】
<実施例>
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
図1は、本実施例にかかる発光装置100の上面図および断面図を示す。本実施例における基体101は、基体に設けられた正負一対の導電配線102に跨がるように、接続材料103を介して発光素子105が実装されている。なお、電気的な接続を行わない領域には絶縁材料104を形成している。
【0059】
また、発光素子105の下部および側面には光反射機能を持ったアンダーフィル材料106が形成され、その上部に被覆部材108が形成されている。被覆部材108は、光源である発光素子105の直上に凹部122を有しており、凹部122の外側に凸部124を有している。被覆部材108の最上部(峰部111)は、上面視で環状(略ドーナツ状)に形成されている。
【0060】
本実施例では、基体101はガラスエポキシ基材、導電配線102は35umのCu材、絶縁材料104にはエポキシ系白色ソルダーレジストを用いている。また、発光素子105は1辺が600umの正方形で厚みが150umの窒化物系青色LEDを用い、アンダーフィル材料106は酸化チタンフィラー30wt%を含有したシリコーン樹脂、被覆部材108はシリコーン樹脂で形成されている。
【0061】
なお、本実施例の被覆部材108には光拡散性が無い方が好ましいが、被覆部材のチキソトロピー性を与えるため、必要最低限の量のフィラーを添加している。このように形成された発光装置は、
図8に示されるような配光特性を実現することができる。
【0062】
なお、
図8のグラフ中には、被覆部材108の峰部111の径を大(3.3mm)、中(3.0mm)、小(2.8mm)とした3パターンの配光を図示している。このグラフから、峰部111の径が大きいほど、発光素子105からの光が広がっていることがわかる。この様に、峰部111の径を制御することで、バットウイング配光の角部の角度を制御することが可能となる。