特許第6693361号(P6693361)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693361
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】熱硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/20 20060101AFI20200427BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20200427BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   C08G59/20
   C08G59/40
   C08L63/00 A
【請求項の数】19
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-181226(P2016-181226)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-61680(P2017-61680A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-187100(P2015-187100)
(32)【優先日】2015年9月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中原 鉄舟
(72)【発明者】
【氏名】小針 優紀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 学
(72)【発明者】
【氏名】江頭 友弘
(72)【発明者】
【氏名】横手 友紀
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−118425(JP,A)
【文献】 特開2008−156546(JP,A)
【文献】 特開2005−105264(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/012395(WO,A1)
【文献】 特開2014−218651(JP,A)
【文献】 特開2009−013335(JP,A)
【文献】 特開2006−195420(JP,A)
【文献】 特開2011−227291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G59/00− 59/72
C08G73/10
C08G77/14
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルアミド酸、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤を含む組成物であって;
ポリエステルアミド酸がテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び多価ヒドロキシ化合物を必須とする原料からの反応生成物であり、
前記原料がXモルのテトラカルボン酸二無水物、Yモルのジアミン及びZモルの多価ヒドロキシ化合物を、下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような比率で含み、
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦5.0・・・(2)
前記ポリエステルアミド酸が下記一般式(3)及び(4)で示される構成単位を有し;
前記ポリエステルアミド酸100重量部に対し、前記シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物と前記シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物の合計が20〜400重量部であり;
前記エポキシ化合物の合計100重量部に対し、前記エポキシ硬化剤が0〜60重量部であり;そして、
前記エポキシ化合物の合計量中の前記シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の割合が0.5〜70重量%であり;
前記シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物が、下記式(5)及び(6)で示される化合物の群から選択される少なくとも1つである熱硬化性組成物。
【化7】
(Rはテトラカルボン酸二無水物残基であり、Rはジアミン残基であり、Rは多価ヒドロキシ化合物残基である。)
【化8】
(R、R及びRはそれぞれ独立して水素、水酸基、炭素数1〜26の有機基、またはエポキシ基を有する有機基であり、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜26の有機基、またはエポキシ基を有する有機基であり、R、R、R及びRの少なくとも1つがエポキシ基を有する有機基であり、mは2以上の整数であり、RまたはRが異なるSiに結合したRまたはRと結合してシロキサン環を形成していてもよく、そして、R及びRが結合してシロキサン環を形成していてもよい。)
【化9】
(R、R、R10、R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜26の有機基であり、R12及びR13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜26の有機基またはエポキシ基を有する有機基であり、R12及びR13の少なくとも1つがエポキシ基を有する有機基であり、nは1以上の整数であり、RまたはRが異なるSiに結合したR、R、R10、またはR11と結合してシロキサン環を形成していてもよく、そして、R10またはR11が異なるSiに結合したR、R、R10、またはR11と結合してシロキサン環を形成していてもよい。)
【請求項2】
ポリエステルアミド酸の原料が、さらに1価アルコールを含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項3】
1価アルコールが、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンから選択される1種以上である、請求項2に記載の熱硬化性組成物。
【請求項4】
ポリエステルアミド酸の原料が、さらにスチレン−無水マレイン酸共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項5】
ポリエステルアミド酸の重量平均分子量が1,000〜200,000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項6】
テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、及びエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)から選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
ジアミンが、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選択される1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項8】
多価ヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、及びイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)から選択される1種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項9】
シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物が、1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む原料からの反応生成物である共重合体、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランならびにトリメチルメトキシシランを含む原料からの反応生成物である共重合体からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項10】
エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物及び2−ウンデシルイミダゾールから選択される1種以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項11】
テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物または1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物であり;
ジアミンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンであり;
多価ヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであり;
シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物が3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む原料からの反応生成物である、重量平均分子量が1,000〜200,000である共重合体であり;
シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパンであり;
エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物または2−ウンデシルイミダゾールであり;
更に溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する、請求項1に記載の熱硬化性組成物
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物から得られる硬化膜。
【請求項13】
請求項12に記載の硬化膜を保護膜として用いたカラーフィルター。
【請求項14】
請求項13に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
【請求項15】
請求項13に記載のカラーフィルターを用いた固体撮像素子。
【請求項16】
TFTと透明電極間に形成される透明絶縁膜として、請求項12に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【請求項17】
透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として、請求項12に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【請求項18】
透明電極上に形成される透明絶縁膜として、請求項12に記載の硬化膜を用いたタッチパネル装置。
【請求項19】
請求項12に記載の硬化膜を保護膜として用いたLED発光体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品における絶縁材料、半導体装置におけるパッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、又は平坦化膜、あるいは液晶表示素子における層間絶縁膜又はカラーフィルター用保護膜等の形成に用いる熱硬化性組成物、それによる透明膜、及びその膜を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子などの素子の製造工程中には、有機溶剤、酸、アルカリ溶液などの種々の薬品処理がなされたり、スパッタリングにより配線電極を成膜する際に、表面が局部的に高温に加熱されたりすることがある。そのため、各種の素子の表面の劣化、損傷、変質を防止する目的で表面保護膜が設けられる場合がある。これらの保護膜には、上記のような製造工程中の各種処理に耐えることができる諸特性が要求される。具体的には、耐熱性、耐溶剤性・耐酸性・耐アルカリ性等の耐薬品性、耐水性、ガラスなどの下地基板への密着性、透明性、耐傷性、塗布性、平坦性、耐光性などが要求される。また、液晶表示素子の高視野角化、高速応答化、高精細化などの高性能化が進むなか、カラーフィルター保護膜として用いられる場合には、平坦化特性が向上した材料が望まれている。
【0003】
耐光性に関しては、これまでも保護膜の表面洗浄の為にUVオゾン処理が行われており重要であった。しかし、特に近年、横電界モード用のカラーフィルター保護膜では、フォトスペーサーの塗布性向上の為に、より高エネルギーのUVオゾン処理が必要となっており、また、PSAモード等の光重合工程や配向膜の光配向工程等の紫外線露光工程が増えてきており、耐光性は非常に重要な特性となっている。
【0004】
これらの優れた特性を有する保護膜材料としては、シリコン含有ポリアミド酸組成物(特許文献1参照)、ポリエステルアミド酸組成物(特許文献2、特許文献3参照)がある。シリコン含有ポリアミド酸組成物は、平坦性は良好なものの耐熱性が不十分であり、耐アルカリ性に劣るという欠点があった。特許文献2のポリエステルアミド酸組成物は、平坦性及び耐熱性が不十分であるという欠点があった。特許文献3のポリエステルアミド酸組成物は、平坦性、耐熱性及び耐薬品性が非常に優れた材料であるが、耐光性が不十分であり、UVオゾン処理や紫外線露光工程で透明性が低下するという欠点があった。したがって、いずれの材料も保護膜材料としては、耐光性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、及びその他諸特性を十分に満足させるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−291150号公報
【特許文献2】特開2005−105264号公報
【特許文献3】特開2008−156546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、耐熱性、耐溶剤性・耐酸性・耐アルカリ性等の耐薬品性、耐水性、ガラスなどの下地基板への密着性、透明性、耐傷性、塗布性に優れ、特に、平坦性、耐光性に優れた硬化膜及びこの硬化膜を与える組成物を有する電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を含む化合物の反応から得られるポリエステルアミド酸、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤を含む組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化膜により、上記目的を達することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を含む。
【0008】
[1] ポリエステルアミド酸、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤を含む組成物であって;
ポリエステルアミド酸がテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び多価ヒドロキシ化合物を必須とする原料からの反応生成物であり、
前記原料がXモルのテトラカルボン酸二無水物、Yモルのジアミン及びZモルの多価ヒドロキシ化合物を、下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような比率で含み、
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦5.0・・・(2)
前記ポリエステルアミド酸が下記一般式(3)及び(4)で示される構成単位を有し;
前記ポリエステルアミド酸100重量部に対し、前記シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物と前記シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物の合計が20〜400重量部であり;
前記エポキシ化合物の合計100重量部に対し、前記エポキシ硬化剤が0〜60重量部であり;そして、
前記エポキシ化合物の合計量中の前記シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の割合が0.5〜70重量%である熱硬化性組成物。
【化1】
(Rはテトラカルボン酸二無水物残基であり、Rはジアミン残基であり、Rは多価ヒドロキシ化合物残基である。)
【0009】
[2] ポリエステルアミド酸の原料が、さらに1価アルコールを含む、[1]項に記載の熱硬化性組成物。
【0010】
[3] 1価アルコールが、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンから選択される1種以上である、[2]項に記載の熱硬化性組成物。
【0011】
[4] ポリエステルアミド酸の原料が、さらにスチレン−無水マレイン酸共重合体を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0012】
[5] ポリエステルアミド酸の重量平均分子量が1,000〜200,000である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0013】
[6] テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、及びエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)から選択される1種以上である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0014】
[7] ジアミンが、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選択される1種以上である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0015】
[8] 多価ヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、及びイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)から選択される1種以上である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0016】
[9] シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物が、下記式(5)及び(6)で示される化合物の群から選択される少なくとも1つである、[1]〜[8]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【化2】
(R、R及びRはそれぞれ独立して水素、水酸基、炭素数1〜26の有機基、またはエポキシ基を有する有機基であり、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜26の有機基、またはエポキシ基を有する有機基であり、R、R、R及びRの少なくとも1つがエポキシ基を有する有機基であり、mは2以上の整数であり、RまたはRが異なるSiに結合したRまたはRと結合してシロキサン環を形成していてもよく、そして、R及びRが結合してシロキサン環を形成していてもよい。)
【化3】
(R、R、R10、R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜26の有機基であり、R12及びR13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜26の有機基またはエポキシ基を有する有機基であり、R12及びR13の少なくとも1つがエポキシ基を有する有機基であり、nは1以上の整数であり、RまたはRが異なるSiに結合したR、R、R10、またはR11と結合してシロキサン環を形成していてもよく、そして、R10またはR11が異なるSiに結合したR、R、R10、またはR11と結合してシロキサン環を形成していてもよい。)
【0017】
[10] シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物が、1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む原料からの反応生成物である共重合体、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランならびにトリメチルメトキシシランを含む原料からの反応生成物である共重合体からなる群から選択される少なくとも1つである、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0018】
[11] エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物及び2−ウンデシルイミダゾールから選択される1種以上である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【0019】
[12] テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物または1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物であり;
ジアミンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンであり;
多価ヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであり;
シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物が3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む原料からの反応生成物である、重量平均分子量が1,000〜200,000である共重合体であり;
シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパンであり;
エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物または2−ウンデシルイミダゾールであり;
更に溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する、[1]項に記載の熱硬化性組成物。
【0020】
[13] [1]〜[12]のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物から得られる硬化膜。
【0021】
[14] [13]項に記載の硬化膜を保護膜として用いたカラーフィルター。
【0022】
[15] [14]項に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
【0023】
[16] [14]項に記載のカラーフィルターを用いた固体撮像素子。
【0024】
[17] TFTと透明電極間に形成される透明絶縁膜として、[13]項に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【0025】
[18] 透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として、[13]項に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【0026】
[19] 透明電極上に形成される透明絶縁膜として、[13]項に記載の硬化膜を用いたタッチパネル装置。
【0027】
[20] [13]項に記載の硬化膜を保護膜として用いたLED発光体。
【発明の効果】
【0028】
本発明の好ましい態様に係る熱硬化性組成物は、平坦性及び耐光性において特に優れた材料であり、カラー液晶表示素子のカラーフィルター保護膜として用いた場合、表示品位及び信頼性を向上させることができる。また、本発明の好ましい態様に係る熱硬化性組成物を加熱することによって得られる硬化膜は、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性においてもバランスのとれたものであり、非常に実用性の高いものである。特に、染色法、顔料分散法、電着法及び印刷法により製造されたカラーフィルターの保護膜として有用である。また、各種光学材料の保護膜及び透明絶縁膜としても使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1. 熱硬化性組成物
本発明の熱硬化性組成物は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を必須の原料成分として反応させることにより得られるポリエステルアミド酸、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤を含む組成物である。この組成物中、ポリエステルアミド酸100重量部に対し、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物とシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物の合計が20〜400重量部であり、前記エポキシ化合物の合計100重量部に対し、エポキシ硬化剤が0〜60重量部であり、そして、前記エポキシ化合物の合計量中のシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の割合が0.5〜70重量%であることを特徴とする。本発明の熱硬化性組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、上記以外の他の成分をさらに含有していてもよい。
【0030】
1−1. ポリエステルアミド酸
ポリエステルアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を必須の原料成分として反応させることにより得られる。さらに詳しくは、Xモルのテトラカルボン酸二無水物、Yモルのジアミン及びZモルの多価ヒドロキシ化合物を、下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような比率で反応させることにより得られる。

0.2≦Z/Y≦8.0 ・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦5.0 ・・・(2)
【0031】
ポリエステルアミド酸は下記式(3)で表される構成単位及び式(4)で表される構成単位を有する。
【化4】
式(3)及び式(4)において、Rはテトラカルボン酸二無水物から2つの−CO−O−CO−を除いた残基であり、好ましくは炭素数2〜30の有機基である。Rはジアミンから2つの−NHを除いた残基であり、好ましくは炭素数2〜30の有機基である。Rは多価ヒドロキシ化合物から2つの−OHを除いた残基であり、好ましくは炭素数2〜20の有機基である。
【0032】
ポリエステルアミド酸の合成には、少なくとも溶剤が必要であり、この溶剤をそのまま残してハンドリング性等を考慮した液状やゲル状の熱硬化性組成物としてもよいし、この溶剤を除去して運搬性などを考慮した固形状の組成物としてもよい。また、ポリエステルアミド酸の合成には、原料として、必要に応じて、モノヒドロキシ化合物及びスチレン−無水マレイン酸共重合体から選択される1種以上の化合物を含んでいてもよく、なかでも、モノヒドロキシ化合物を含むことが好ましい。また、ポリエステルアミド酸の合成には、原料として、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記以外の他の化合物を含んでいてもよい。
【0033】
1−1−1. テトラカルボン酸二無水物
本発明では、ポリエステルアミド酸を得るための材料として、テトラカルボン酸二無水物を用いる。好ましいテトラカルボン酸二無水物の具体例は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)(商品名;TMEG−100、新日本理化株式会社)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、及びブタンテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらのうち1種以上を用いることができる。
【0034】
これらの中でも、良好な透明性を与える、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、及びTMEG−100がより好ましく、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
【0035】
1−1−2. ジアミン
本発明では、ポリエステルアミド酸を得るための材料として、ジアミンを用いる。好ましいジアミンの具体例は、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル][3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル][3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンを挙げることができる。これらのうち1種以上を用いることができる。
【0036】
これらの中でも、良好な透明性を与える、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンがより好ましく、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが特に好ましい。
【0037】
1−1−3. 多価ヒドロキシ化合物
本発明では、ポリエステルアミド酸を得るための材料として、多価ヒドロキシ化合物を用いる。好ましい多価ヒドロキシ化合物の具体例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量1,000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、重量平均分子量1,000以下のポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、3,6−オクタンジオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2,10−デカントリオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールS(ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンを挙げることができる。これらのうち1種以上を用いることができる。
【0038】
これらの中でも、溶剤への溶解性が良好な、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、及びイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)がより好ましく、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールが特に好ましい。
【0039】
1−1−4. モノヒドロキシ化合物
本発明では、ポリエステルアミド酸を得るための材料として、モノヒドロキシ化合物を用いてもよい。モノヒドロキシ化合物を用いることで、熱硬化性組成物の保存安定性が向上する。好ましいモノヒドロキシ化合物の具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、フェノール、ボルネオール、マルトール、リナロール、テルピネオール、ジメチルベンジルカルビノール、及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを挙げることができる。これらのうち1種以上を用いることができる。
【0040】
これらのなかでもイソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、又は3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンがより好ましい。これらを使用してできるポリエステルアミド酸と、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤を混合した場合の相溶性や、熱硬化性組成物のカラーフィルター上への塗布性を考慮すると、モノヒドロキシ化合物にはベンジルアルコールの使用が特に好ましい。
【0041】
モノヒドロキシ化合物は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び多価ヒドロキシ化合物の合計量100重量部に対して0〜300重量部含有して反応させることが好ましい。より好ましくは5〜200重量部である。
【0042】
1−1−5. スチレン−無水マレイン酸共重合体
また、本発明に用いられるポリエステルアミド酸は、上記の原料に酸無水物基を3個以上有する化合物を添加して合成してもよい。酸無水物基を3個以上有する化合物を添加して合成したポリエステルアミド酸は、透明性の向上が期待されるため好ましい。酸無水物基を3個以上有する化合物の例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体を挙げることができる。スチレン−無水マレイン酸共重合体を構成する各成分の比率については、スチレン/無水マレイン酸のモル比が0.5〜4であり、好ましくは1〜3である。さらには、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0043】
スチレン−無水マレイン酸共重合体の具体例としては、SMA3000P、SMA2000P、SMA1000P(いずれも商品名;川原油化株式会社)を挙げることができる。これらのなかでも耐熱性及び耐アルカリ性が良好なSMA1000Pが特に好ましい。
【0044】
スチレン−無水マレイン酸共重合体は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び多価ヒドロキシ化合物の合計量100重量部に対して0〜500重量部含有することが好ましい。より好ましくは10〜300重量部である。
【0045】
1−1−6. アミノ基を1つ有するアミノシラン化合物
ポリエステルアミド酸の合成には、原料として、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記以外の他の原料を含んでいてもよく、このような他の原料の例として、アミノ基を1つ有するアミノシラン化合物が挙げられる。アミノ基を1つ有するアミノシラン化合物はポリエステルアミド酸の末端の酸無水物基と反応させて末端にシリル基を導入するために用いられる。アミノ基を1つ有するアミノシラン化合物を添加して反応することにより得られたポリエステルアミド酸を含有する本発明の熱硬化性組成物を用いると、得られた塗膜の耐酸性が改善される。更に、上述したモノマーの構成で反応させる場合には、モノヒドロキシ化合物及びアミノ基を1つ有するアミノシラン化合物を両方添加して反応させることもできる。
【0046】
本発明で用いられる好ましいアミノ基を1つ有するアミノシラン化合物の具体例は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、及びm−アミノフェニルメチルジエトキシシランを挙げることができる。これらのうち1種以上を用いることができる。
【0047】
これらのなかでも塗膜の耐酸性が良好になる3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びp−アミノフェニルトリメトキシシランがより好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが耐酸性、相溶性の観点から特に好ましい。
【0048】
アミノ基を1つ有するアミノシラン化合物は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び多価ヒドロキシ化合物の合計量100重量部に対して0〜300重量部含有することが好ましい。より好ましくは5〜200重量部である。
【0049】
1−1−7. ポリエステルアミド酸の合成反応に用いる溶剤
ポリエステルアミド酸を得るための合成反応に用いる溶剤の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルアセトアミドを挙げることができる。これらのなかでもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、又はジエチレングリコールメチルエチルエーテルが好ましい。
【0050】
1−1−8. ポリエステルアミド酸の合成方法
本発明で用いられるポリエステルアミド酸の合成方法は、テトラカルボン酸二無水物Xモル、ジアミンYモル、及び多価ヒドロキシ化合物Zモルを上記溶剤中で反応させる。このときX、Y及びZはそれらの間に下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような割合に定めることが好ましい。この範囲であれば、ポリエステルアミド酸の溶剤への溶解性が高く、したがって組成物の塗布性が向上し、結果として平坦性に優れた硬化膜を得ることができる。

0.2≦Z/Y≦8.0 ・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦5.0 ・・・(2)

式(1)において、好ましくは0.7≦Z/Y≦7.0であり、より好ましくは1.0≦Z/Y≦5.0である。また、式(2)において、好ましくは0.5≦(Y+Z)/X≦4.0であり、より好ましくは0.6≦(Y+Z)/X≦2.0である。
【0051】
本発明で用いられるポリエステルアミド酸は、上記の反応条件においてY+Zに対してXを過剰に用いた条件下では、末端に酸無水物基(−CO−O−CO−)を有する分子が、末端にアミノ基や水酸基を有する分子より過剰に生成すると考えられる。そのようなモノマーの構成で反応させる場合には、必要により、分子末端の酸無水物基と反応させて末端をエステル化するために、上述したモノヒドロキシ化合物を添加することができる。モノヒドロキシ化合物を添加して反応することにより得られたポリエステルアミド酸は、エポキシ化合物及びエポキシ硬化剤との相溶性が改善されるとともに、それらを含む本発明の熱硬化性組成物の塗布性が改善される。
【0052】
反応溶剤は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物の合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は40℃〜200℃で、0.2〜20時間反応させるのがよい。
【0053】
反応原料の反応系への添加順序は、特に限定されない。すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を同時に反応溶剤に加える、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を反応溶剤中に溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物を添加する、テトラカルボン酸二無水物と多価ヒドロキシ化合物をあらかじめ反応させた後、その反応生成物にジアミンを添加する、又はテトラカルボン酸二無水物とジアミンをあらかじめ反応させた後、その反応生成物に多価ヒドロキシ化合物を添加するなどいずれの方法も用いることができる。
【0054】
前記のアミノ基を1つ有するアミノシラン化合物を反応させる場合には、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物の反応が終了した後に、反応液を40℃以下まで冷却した後、アミノ基を1つ有するアミノシラン化合物を添加し、10〜40℃で0.1〜6時間反応させるとよい。また、モノヒドロキシ化合物は反応のどの時点で添加してもよい。
【0055】
このようにして合成されたポリエステルアミド酸は前記式(3)で表される構成単位及び式(4)で表される構成単位を含み、その末端は原料であるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン若しくは多価ヒドロキシ化合物に由来する酸無水物基、アミノ基若しくはヒドロキシ基であるか、又はこれら化合物以外の添加物がその末端を構成する。このような構成を含むことで、硬化性が良好となる。
【0056】
得られたポリエステルアミド酸の重量平均分子量は1,000〜200,000であることが好ましく、3,000〜50,000がより好ましい。これらの範囲にあれば、平坦性及び耐熱性が良好となる。
【0057】
本明細書中の重量平均分子量は、GPC法(カラム温度:35℃、流速:1ml/min)により求めたポリスチレン換算での値である。標準のポリスチレンには分子量が645〜132900のポリスチレン(例えば、アジレント・テクノロジー株式会社のポリスチレンキャリブレーションキットPL2010−0102)、カラムにはPLgel MIXED−D(アジレント・テクノロジー株式会社)を用い、移動相としてTHFを使用して測定することができる。なお、本明細書中の市販品の重量平均分子量はカタログ掲載値である。
【0058】
1−2. エポキシ化合物
本発明に用いられるエポキシ化合物は、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物及びシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物が用いられる。シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物は、前記エポキシ化合物の合計量中の割合が0.5〜70重量%であることが、本発明の効果を損なわずに、後述するシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物による特性を発現させる観点から好ましい。
【0059】
1−2−1. シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物
本発明に用いられるシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物は、本発明の熱硬化性組成物を形成する他成分との相溶性がよければ特に限定されることはない。シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物は下記式(5)及び(6)で示される化合物の群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【化5】
【0060】
式(5)において、R、R及びRはそれぞれ独立して水素、水酸基、炭素数1〜26の有機基、またはエポキシ基を有する有機基であり、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜26の有機基、またはエポキシ基を有する有機基であり、R、R、R及びRの少なくとも1つがエポキシ基を有する有機基である。mは2以上の整数であり、RまたはRが異なるSiに結合したRまたはRと結合してシロキサン環を形成していてもよく、そして、R及びRが結合してシロキサン環を形成していてもよい。
【0061】
、R及びRにおける炭素数1〜26の有機基とは、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、環状アルキル、環状アルキルを含むアルキル、芳香環、芳香環を含む基等であり、これらの基の任意のメチレン(CH)はO、NH、Nを含む基、またはSiを含む基で置き換えられていてもよく、また、これらの基の任意の水素はフッ素で置き換えられていてもよい。
【0062】
直鎖状アルキル及び分岐状アルキルの具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2,3−ジメチルブタン−2−イル、オクチル、6−メチルヘプチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルである。
【0063】
環状アルキル及び環状アルキルを含むアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル、2−シクロヘキシルエチル、2−(シクロヘックス−3−エン−1−イル)エチル、2−シクロヘプチルエチル、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)エチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−(tert−ブチル)シクロヘキシル、及びアダマンチルである。
【0064】
芳香環及び芳香環を含む基の具体例は、フェニル、ベンジル、フェネチル、4−イソプロピルフェニル、メシチル、3,5−ジエチルフェニル、4−イソブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、ナフタレン−2−イル、1,1’−ビフェニル、4’−(tert−ブチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4’−ヘプチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル、12−((2−ベンゾイルベンゾイル)オキシ)ドデシル、及びアントラセン−9−イルである。
【0065】
任意のメチレン(CH)がO、NまたはSiを含む基で置き換えられた前記の基の具体例は、アセトキシメチル、3−メトキシ−3−オキソプロピル、3−(2−メトキシエトキシ)プロピル、2,5,8,11−テトラオキサテトラデカン−14−イル、2,5,8,11−テトラオキサヘプタデカン−17−イル、11,11−ジメトキシウンデシル、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、3−((テトラヒドロフラン−3−イル)メトキシ)プロピル、10−(1,3−ジオキソラン−2−イル)デシル、10−(1,3−ジオキサン−2−イル)デシル、モルフォリノ、4−メトキシ−3,5−ジメチルベンジル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、1−カルボキシエチル、4−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシ−3−オキソブチル、トリメチルシリル、(トリメチルシリル)メチル、3−(トリメチルシリル)プロピル、2−(2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチル−1,3,5,7−テトラオキサ−2,4,6,8−テトラシラシクロオクタン−2−イル)エチル、2−(ジメチル(フェニル)シリル)エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、プロプ−1−エン−2−イルオキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルブトキシ、(3−メチルペンチル)オキシ、(2−メチルヘキサン−2−イル)オキシ、オクチルオキシ、(2−エチルヘキシル)オキシ、デシルオキシ、2−メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ、(1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ、2−ブトキシエトキシ、(3−エチルヘキサノイル)オキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ステアロイルオキシ、(ブタン−2−イリデンアミノ)オキシ、(ジエチルアミノ)オキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロオクチルオキシ、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルメトキシ、シクロノニルオキシ、(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)オキシ、((5−メチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキシル)オキシ、(オクタヒドロ−1H−4,7−メタノインデン−5−イル)オキシ、フェノキシ、p−トリルオキシ、m−トリルオキシ、o−トリルオキシ、o−カルボキシフェノキシ、ベンジルオキシ、フェネトキシ、3−フェニルプロポキシ、シンナミルオキシ、1−フェニル−(2−エトキシ−2−オキソ)エトキシ、(2−メチル−1−オキソ−1−フェニルプロパン−2−イル)オキシ、2−エトキシ−2−オキソ−1−(o−トリル)エトキシ、2−エトキシ−1−(2−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ、(4−エトキシ−4−オキソ−1−フェニルブト−2−エン−1−イル)オキシ、(1−ベンゾイルシクロヘキシル)オキシ、及び2−ヒドロキシエトキシである。
【0066】
任意の水素がフッ素で置き換えられた前記の基の具体例は、3,3,3−トリフルオロプロピル、ペルフルオロオクチル、5,5,6,6,7,7,8,8,8−ノナフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)オクチル、11−(ペルフルオロフェノキシ)ウンデシル、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、3−フェノキシベンジル、4’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル、4−(オクチルオキシ)フェニル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロアセトキシ、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル)オキシ、及びペルフルオロフェノキシである。
【0067】
上記のうちで化合物の組成物中での相溶性に優れ、形成した硬化膜の透明性及び平坦性が良好であるという観点から好ましい基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、フェニル、ベンジル、フェネチル、4−イソプロピルフェニル、メシチル、3,5−ジエチルフェニル、4−イソブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、アセトキシメチル、3−メトキシ−3−オキソプロピル、3−(2−メトキシエトキシ)プロピル、4−メトキシ−3,5−ジメチルベンジル、トリメチルシリル、(トリメチルシリル)メチル、3−(トリメチルシリル)プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、プロプ−1−エン−2−イルオキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルブトキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロオクチルオキシ、フェノキシ、p−トリルオキシ、m−トリルオキシ、o−トリルオキシ、ベンジルオキシ、及び3−フェニルプロポキシであり、より好ましい基は、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ベンジル、アセトキシメチル、トリメチルシリル、(トリメチルシリル)メチル、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシである。
【0068】
における炭素数1〜26の有機基も、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、環状アルキル、環状アルキルを含むアルキル、芳香環、芳香環を含む基等であり、これらの基の任意のメチレン(CH)はO、NH、Nを含む基、またはSiを含む基で置き換えられていてもよく、また、これらの基の任意の水素はフッ素で置き換えられていてもよいが、RがOに連結していることから、具体例についてはR、R及びRに比べて制限を受ける。
【0069】
直鎖状アルキル及び分岐状アルキルの具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2,3−ジメチルブタン−2−イル、オクチル、6−メチルヘプチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルである。
【0070】
環状アルキル及び環状アルキルを含むアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル、2−シクロヘキシルエチル、2−(シクロヘックス−3−エン−1−イル)エチル、2−シクロヘプチルエチル、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)エチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−(tert−ブチル)シクロヘキシル、及びアダマンチルである。
【0071】
芳香環及び芳香環を含む基の具体例は、フェニル、ベンジル、フェネチル、4−イソプロピルフェニル、メシチル、3,5−ジエチルフェニル、4−イソブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、ナフタレン−2−イル、1,1’−ビフェニル、4’−(tert−ブチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4’−ヘプチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル、12−((2−ベンゾイルベンゾイル)オキシ)ドデシル、及びアントラセン−9−イルである。
【0072】
任意のメチレン(CH)がO、NまたはSiを含む基で置き換えられた前記の基の具体例は、アセトキシメチル、3−メトキシ−3−オキソプロピル、3−(2−メトキシエトキシ)プロピル、2,5,8,11−テトラオキサテトラデカン−14−イル、2,5,8,11−テトラオキサヘプタデカン−17−イル、11,11−ジメトキシウンデシル、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、3−((テトラヒドロフラン−3−イル)メトキシ)プロピル、10−(1,3−ジオキソラン−2−イル)デシル、10−(1,3−ジオキサン−2−イル)デシル、モルフォリノ、4−メトキシ−3,5−ジメチルベンジル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、1−カルボキシエチル、4−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシ−3−オキソブチル、トリメチルシリル、(トリメチルシリル)メチル、3−(トリメチルシリル)プロピル、2−(2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチル−1,3,5,7−テトラオキサ−2,4,6,8−テトラシラシクロオクタン−2−イル)エチル、及び2−(ジメチル(フェニル)シリル)エチルである。
【0073】
任意の水素がフッ素で置き換えられた前記の基の具体例は、3,3,3−トリフルオロプロピル、ペルフルオロオクチル、5,5,6,6,7,7,8,8,8−ノナフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)オクチル、11−(ペルフルオロフェノキシ)ウンデシル、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、3−フェノキシベンジル、4’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル、及び4−(オクチルオキシ)フェニルである。
【0074】
上記のうちで化合物の組成物中での相溶性に優れ、形成した硬化膜の透明性及び平坦性が良好であるという観点から好ましい基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、フェニル、ベンジル、フェネチル、4−イソプロピルフェニル、メシチル、3,5−ジエチルフェニル、4−イソブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、アセトキシメチル、3−メトキシ−3−オキソプロピル、3−(2−メトキシエトキシ)プロピル、4−メトキシ−3,5−ジメチルベンジル、トリメチルシリル、(トリメチルシリル)メチル、及び3−(トリメチルシリル)プロピルであり、より好ましい基は、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ベンジル、アセトキシメチル、トリメチルシリル、及び(トリメチルシリル)メチルである。
【0075】
、R、R、及びRにおけるエポキシ基を有する有機基とは、具体的にオキシラン−2−イルメチル、2−(オキシラン−2−イル)エチル、4−(オキシラン−2−イル)ブチル、3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2−イル)エチル、ジメチル(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)ブチル)シリル、3−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル)プロピル、及び8−(オキシラン−2−イル)オクチルである。
【0076】
上記のうちで形成した硬化膜の透明性及び耐熱性が良好であるという観点から好ましい基は、オキシラン−2−イルメチル、2−(オキシラン−2−イル)エチル、4−(オキシラン−2−イル)ブチル、3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル、及び2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2−イル)エチルであり、より好ましい基は、オキシラン−2−イルメチル、2−(オキシラン−2−イル)エチル、4−(オキシラン−2−イル)ブチル、3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピルである。
【0077】
【化6】
【0078】
式(6)において、R、R、R10、R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜26の有機基であり、R12及びR13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜26の有機基またはエポキシ基を有する有機基であり、R12及びR13の少なくとも1つがエポキシ基を有する有機基である。nは1以上の整数であり、RまたはRが異なるSiに結合したR、R、R10、またはR11と結合してシロキサン環を形成していてもよく、そして、R10またはR11が異なるSiに結合したR、R、R10、またはR11と結合してシロキサン環を形成していてもよい。
【0079】
〜R13における炭素数1〜26の有機基及びエポキシ基を有する有機基は、前記式(5)におけるR、R及びRで例示した基を同様に挙げることができ、好ましい基、より好ましい基も同様である。
【0080】
シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の重量平均分子量は、好ましくは200〜10,000であり、より好ましくは200〜5,000である。これらの範囲にあれば、平坦性が良好となる。従って、上記式(5)におけるmの値は、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜25であり、上記式(6)におけるnの値は、好ましくは1〜74であり、より好ましくは1〜36である。
【0081】
シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物は、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物とシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の合計量中の割合が0.5〜70重量%であり、好ましくは1〜50重量%である。これらの範囲にあれば、平坦性、透明性、耐熱性、およびタック性のバランスが良好となる。
【0082】
シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の具体例は、エポキシ基を有し、それ以上縮合によりシロキサン結合を生じることができない有機ケイ素化合物、エポキシ基を有し、縮合によりシロキサン結合を生じることのできる1種類以上の有機ケイ素化合物の共重合体、または、前記エポキシ基を有し、縮合によりシロキサン結合を生じることのできる1種類以上の有機ケイ素化合物と、縮合によりシロキサン結合を生じることのできるエポキシ基を有しない有機ケイ素化合物との共重合体である。市販品であれば、1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン(商品名;ジェレストテクノロジーズ インコーポレイテッド製)、TSL9906(商品名;モメンティブパフォーマンスマテリアル(株)製)、CoatOsil MP−200(商品名;モメンティブパフォーマンスマテリアル(株)製)、コンポセラン SQ506(商品名;荒川化学(株)製)、ES−1023(商品名;信越化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0083】
1−2−2. シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物
本発明に用いられるシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物は本発明の熱硬化性組成物を形成する他成分との相溶性が良ければ特に限定されることはないが、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、又は環式脂肪族エポキシ樹脂、エポキシ基を有するモノマーの重合体、及びエポキシ基を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体、などが挙げられる。
【0084】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、TECHMORE VG3101L(商品名;株式会社プリンテック)、EHPE−3150(商品名;株式会社ダイセル)、EPPN−501H、502H(いずれも商品名;日本化薬株式会社)、JER 1032H60(商品名;三菱化学株式会社)等を挙げることができる。グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、デナコール EX−721(商品名;ナガセケムテックス株式会社)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル(商品名;東京化成工業株式会社製)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPPN−201(商品名;日本化薬株式会社)、JER 152、154(いずれも商品名;三菱化学株式会社)等を挙げることができる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EOCN−102S、103S、104S、1020(いずれも商品名;日本化薬株式会社)等を挙げることができる。ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、JER 157S65、157S70(いずれも商品名;三菱化学株式会社)等を挙げることができる。環式脂肪族エポキシ樹脂としては、セロキサイド2021P、3000(いずれも商品名;株式会社ダイセル)等を挙げることができる。
【0085】
1−3. エポキシ硬化剤
本発明の熱硬化性組成物には、平坦性、耐薬品性を向上させるために、エポキシ硬化剤を用いてもよい。エポキシ硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、触媒型硬化剤、及びスルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等の感熱性酸発生剤などがあるが、硬化膜の着色を避けること及び硬化膜の耐熱性の観点から、酸無水物系硬化剤又はイミダゾール系硬化剤が好ましい。
【0086】
酸無水物系硬化剤の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、例えば、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物等、芳香族多価カルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸、トリメリット酸無水物等、スチレン−無水マレイン酸共重合体が挙げられる。これらの中でも耐熱性と溶剤に対する溶解性のバランスの良好な、トリメリット酸無水物及びヘキサヒドロトリメリット酸無水物が好ましい。
【0087】
イミダゾール系硬化剤の具体例としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイトが挙げられる。これらのなかでも硬化性と溶剤に対する溶解性のバランスの良好な、2−ウンデシルイミダゾールが好ましい。
【0088】
1−4. ポリエステルアミド酸、エポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤の割合
本発明の熱硬化性組成物におけるポリエステルアミド酸100重量部に対するエポキシ化合物の総量の割合は、20〜400重量部である。エポキシ化合物の総量の割合がこの範囲であると、平坦性、耐熱性、耐薬品性、密着性のバランスが良好である。エポキシ化合物の総量は50〜300重量部の範囲であることが好ましい。
【0089】
本発明の熱硬化性組成物においてエポキシ硬化剤を使用する場合、エポキシ化合物100重量部に対するエポキシ硬化剤の割合は、0.1〜60重量部である。エポキシ硬化剤が酸無水物系硬化剤の場合の添加量について、より詳細には、エポキシ基に対して、エポキシ硬化剤中のカルボン酸無水物基又はカルボキシル基が0.1〜1.5倍当量になるよう添加するのが好ましい。このとき、カルボン酸無水物基は2価で計算する。カルボン酸無水物基又はカルボキシル基が0.15〜0.8倍当量になるよう添加すると耐薬品性が一層向上するので、より好ましい。
【0090】
1−5. その他の成分
本発明の熱硬化性組成物には、塗布均一性、接着性を向上させるために各種の添加剤を添加することができる。添加剤には、溶剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、フッ素系又はシリコン系のレベリング剤・界面活性剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系化合物等の酸化防止剤が主に挙げられる。
【0091】
1−5−1. 溶剤
本発明の熱硬化性組成物には、溶剤が添加されてもよい。本発明の熱硬化性組成物に任意に添加される溶剤は、前記のポリエステルアミド酸、エポキシ化合物、エポキシ硬化剤等が溶解できる溶剤が好ましい。当該溶剤の具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、又はN,N−ジメチルアセトアミド、及びシクロヘキサノンである。溶剤は、これらの1種であってもよいし、これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0092】
1−5−2. 界面活性剤
本発明の熱硬化性組成物には、塗布均一性を向上させるために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の具体例は、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商品名;共栄社化学株式会社)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK346、BYK361N、BYK−UV3500、BYK−UV3570(以上いずれも商品名;ビックケミー・ジャパン株式会社)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商品名;信越化学工業株式会社)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40、サーフロンS611(以上いずれも商品名;AGCセイミケミカル株式会社)、フタージェント222F、フタージェント208G、フタージェント251、フタージェント710FL、フタージェント710FM、フタージェント710FS、フタージェント601AD、フタージェント602A、フタージェント650A、FTX−218、(以上いずれも商品名;株式会社ネオス)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(以上いずれも商品名;三菱マテリアル株式会社)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−410、メガファックF−430、メガファックF−444、メガファックF−472SF、メガファックF−475、メガファックF−477、メガファックF−552、メガファックF−553、メガファックF−554、メガファックF−555、メガファックF−556、メガファックF−558、メガファックF−559、メガファックR−30、メガファックR−94、メガファックRS−75、メガファックRS−72−K、メガファックRS−76−NS、メガファックDS−21(以上いずれも商品名;DIC株式会社)、TEGO Twin 4000、TEGO Twin 4100、TEGO Flow 370、TEGO Glide 420、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250N(以上いずれも商品名、エボニック デグサ ジャパン株式会社)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が挙げられる。これらから選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0093】
これらの界面活性剤の中でも、BYK306、BYK342、BYK346、KP−341、KP−358、KP−368、サーフロンS611、フタージェント710FL、フタージェント710FM、フタージェント710FS、フタージェント650A、メガファックF−477、メガファックF−556、メガファックRS−72−k、TEGO Twin 4000、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、及びフルオロアルキルアミノスルホン酸塩の中から選ばれる少なくとも1種であると、熱硬化性組成物の塗布均一性が高くなるので好ましい。
【0094】
本発明の熱硬化性組成物における界面活性剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して0.01〜10重量%であることが好ましい。
【0095】
1−5−3. 密着性向上剤
本発明の熱硬化性組成物は、形成される硬化膜と基板との密着性をさらに向上させる観点から、密着性向上剤をさらに含有してもよい。
【0096】
このような密着性向上剤としては、例えば、シラン系、アルミニウム系又はチタネート系のカップリング剤を用いることができる。具体的には、3−グリシジルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、サイラエースS510;商品名;JNC株式会社)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(例えば、サイラエースS530;商品名;JNC株式会社)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(例えば、サイラエースS810;商品名;JNC株式会社)等のシラン系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤、及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤を挙げることができる。
【0097】
これらの中でも、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
【0098】
密着性向上剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、10重量%以下であることが好ましい。一方で、0.01重量%以上であることが好ましい。
【0099】
1−5−4. 酸化防止剤
本発明の熱硬化性組成物は、透明性の向上、硬化膜が高温にさらされた場合の黄変を防止する観点から、酸化防止剤をさらに含有してよい。
【0100】
本発明の熱硬化性組成物には、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系化合物などの酸化防止剤を添加してもよい。この中でもヒンダードフェノール系が耐候性の観点から好ましい。具体例としては、Irganox1010、IrganoxFF、Irganox1035、Irganox1035FF、Irganox1076、Irganox1076FD、Irganox1076DWJ、Irganox1098、Irganox1135、Irganox1330、Irganox1726、Irganox1425 WL、Irganox1520L、Irganox245、Irganox245FF、Irganox245DWJ、Irganox259、Irganox3114、Irganox565、Irganox565DD、Irganox295(いずれも商品名;BASFジャパン株式会社)、ADK STAB AO−20、ADK STAB AO−30、ADK STAB AO−50、ADK STAB AO−60、ADK STAB AO−70、ADK STAB AO−80(いずれも商品名;株式会社ADEKA)が挙げられる。この中でもIrganox1010、ADK STAB AO−60がより好ましい。
【0101】
酸化防止剤は熱硬化性組成物全量に対して、0.1〜5重量部添加して用いられる。
【0102】
1−5−7. その他の添加剤
前記のポリエステルアミド酸が、原料としてスチレン−無水マレイン酸共重合体を含まない場合には、その他の成分としてスチレン−無水マレイン酸共重合体を添加してもよい。
【0103】
1−6. 熱硬化性組成物の保存
本発明の熱硬化性組成物は、−30℃〜25℃の範囲で保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。保存温度が−20℃〜10℃であれば、析出物もなくより好ましい。
【0104】
2. 熱硬化性組成物から得られる硬化膜
本発明の熱硬化性組成物は、ポリエステルアミド酸、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、及びエポキシ硬化剤を混合し、目的とする特性によっては、さらに溶剤、カップリング剤、界面活性剤、及びその他の添加剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
【0105】
上記のようにして調製された、熱硬化性組成物(溶剤がない固形状態の場合には溶剤に溶解させた後)を、基体表面に塗布し、例えば加熱などにより溶剤を除去すると、塗膜を形成することができる。基体表面への熱硬化性組成物の塗布は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法、及びスリットコート法など従来から公知の方法を用いることができる。次いで、この塗膜はホットプレート又はオーブンなどで加熱(プリベーク)される。加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、通常70〜150℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
【0106】
このようにして得られた硬化膜は、加熱時において、1)ポリエステルアミド酸のポリアミド酸部分が脱水環化しイミド結合を形成し、2)ポリエステルアミド酸のカルボン酸がエポキシ化合物と反応して高分子量化し、3)エポキシ化合物が硬化し高分子量化しているため、非常に強靭であり、透明性、耐熱性、耐薬品性、平坦性、密着性、耐光性、及び耐スパッタ性に優れている。したがって、本発明の硬化膜はカラーフィルター用の保護膜として用いると効果的であり、このカラーフィルターを用いて液晶表示素子や固体撮像素子を製造することができる。また、本発明の硬化膜は、カラーフィルター用の保護膜以外にも、TFTと透明電極間に形成される透明絶縁膜や透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として用いると効果的である。さらに、本発明の硬化膜は、LED発光体の保護膜として用いても効果的である。
【実施例】
【0107】
次に本発明を合成例、参考例、実施例、及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。先ず、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、多価ヒドロキシ化合物の反応生成物からなるポリエステルアミド酸溶液を以下に示すように合成した(合成例1、2、3、及び4)。
【0108】
[合成例1]ポリエステルアミド酸溶液(A1)の合成
攪拌機付き四つ口フラスコに、脱水精製した3−メトキシプロピオン酸メチル(以下、「MMP」と略記)、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下、「ODPA」と略記)、1,4−ブタンジオール、ベンジルアルコールを下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。
MMP 446.96g
ODPA 183.20g
1,4−ブタンジオール 31.93g
ベンジルアルコール 25.54g
その後、反応液を25℃まで冷却し、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、「DDS」と略記)、MMPを下記の重量で投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌した。
DDS 29.33g
MMP 183.04g

〔Z/Y=3.0、(Y+Z)/X=0.8〕
【0109】
溶液を室温まで冷却し、淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液(A1)を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析(ポリスチレン標準)により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたポリマー(A1)の重量平均分子量は4,200であった。
【0110】
[合成例2]ポリエステルアミド酸溶液(A2)の合成
攪拌機付き四つ口フラスコに、脱水精製したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と略記)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、「BT−100」と略記)、SMA1000P(商品名;スチレン・無水マレイン酸共重合体、川原油化株式会社)、1,4−ブタンジオール、ベンジルアルコールの順に下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下125℃で3時間攪拌した。
PGMEA 324.00g
BT−100 30.64g
SMA1000P 145.88g
1,4−ブタンジオール 9.29g
ベンジルアルコール 44.59g
その後、反応液を25℃まで冷却し、DDS、PGMEAを下記の重量で投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、125℃で2時間攪拌した。
DDS 9.60g
PGMEA 36.00g

〔Z/Y=2.7、(Y+Z)/X=0.9〕
【0111】
溶液を室温まで冷却し、淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液(A2)を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析(ポリスチレン標準)により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたポリマー(A2)の重量平均分子量は10,000であった。
【0112】
[合成例3]ポリエステルアミド酸溶液(A3)の合成
攪拌機付き四つ口フラスコに、脱水精製したPGMEA、BT−100、SMA1000P、1,4−ブタンジオール、ベンジルアルコールの順に下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下125℃で3時間攪拌した。
PGMEA 324.00g
BT−100 30.04g
SMA1000P 143.05g
1,4−ブタンジオール 9.11g
ベンジルアルコール 54.66g
その後、反応液を25℃まで冷却し、DDS、PGMEAを下記の重量で投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、125℃で2時間攪拌した。
DDS 3.14g
PGMEA 36.00g

〔Z/Y=8.0、(Y+Z)/X=0.8〕
【0113】
溶液を室温まで冷却し、淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液(A3)を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析(ポリスチレン標準)により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたポリマー(A3)の重量平均分子量は9,000であった。
【0114】
[合成例4]ポリエステルアミド酸溶液(A4)の合成
攪拌機付き四つ口フラスコに、脱水精製したPGMEA、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下、「EDM」と略記)、ODPA、SMA1000P、1,4−ブタンジオール、ベンジルアルコールの順に下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下120℃で3時間攪拌した。
PGMEA 504.00g
EDM 96.32g
ODPA 47.7g
SMA1000P 144.97g
1,4−ブタンジオール 9.23g
ベンジルアルコール 55.40g
その後、反応液を25℃まで冷却し、DDS、MMPを下記の重量で投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、120℃で2時間攪拌した。
DDS 12.72g
EDM 29.68g

〔Z/Y=2.0、(Y+Z)/X=1.0〕
【0115】
溶液を室温まで冷却し、淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液(A4)を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析(ポリスチレン標準)により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたポリマー(A4)の重量平均分子量は21,000であった。
【0116】
次に、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物として、エポキシ基を有し、縮合によりシロキサン結合を生じることのできる1種類以上の有機ケイ素化合物を原料成分として反応させることにより得られる共重合体を以下に示すように合成した(合成例5、及び6)。
【0117】
[合成例5]シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物(S1)の合成
1000mlの四つ口フラスコに、脱水精製したトルエン109.24g、精製水21.62g、及び25重量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(以下、「TMAH」と略記)2.92gを仕込み、撹拌を開始した。加えて、滴下液として、300mlの円筒形滴下ロートに、脱水精製したトルエン53.78g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名サイラエースS510;JNC(株)製、以下「S510」と略記することがある。)94.54gを仕込み、原料を仕込んだ前記1000mlの四つ口フラスコに、1時間かけて全量を流し込んだのち、2時間撹拌して縮合を行った。精製水を用いて反応液を分液し、得られた有機層からロータリーエバポレーターを用いてトルエンを留去することにより、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物(S1)を得た。この溶液のGPCで測定した重量平均分子量は3,200(ポリスチレン換算)であった。
【0118】
[合成例6]シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物(S2)の合成
1000mlの四つ口フラスコに、脱水精製したトルエン137.64g、精製水32.44g、及び25重量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(以下、「TMAH」と略記)4.38gを仕込み、撹拌を開始した。加えて、滴下液として、300mlの円筒形滴下ロートに、脱水精製したトルエン67.76g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(S510)28.36g、フェニルトリメトキシシラン59.48g、トリメチルメトキシシラン31.26gを仕込み、原料を仕込んだ前記1000mlの四つ口フラスコに、1時間かけて全量を流し込んだのち、2時間撹拌して縮合を行った。精製水を用いて反応液を分液し、得られた有機層からロータリーエバポレーターを用いてトルエンを留去することにより、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物(S2)を得た。この溶液のGPCで測定した重量平均分子量は1,900(ポリスチレン換算)であった。
【0119】
次に、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物として、エポキシ基を有するモノマーと、同モノマーと共重合を行う他のモノマーを原料成分として反応させることにより得られる共重合体を以下に示すように合成した(合成例7、及び8)。
【0120】
[合成例7]シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物溶液(E1)の合成
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた1000mlの四つ口フラスコに、脱水精製したMMP300.00g、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」と略記)160.00g、ブチルメタクリレート(以下、「BMA」と略記)40.00g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.00gを仕込み、90℃の重合温度で2時間加熱して重合を行った。反応液を30℃以下に冷却することによりシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物40重量%溶液(E1)を得た。この溶液のGPCで測定した重量平均分子量は78,000(ポリスチレン換算)であった。
【0121】
[合成例8]シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物溶液(E2)の合成
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた1000mlの四つ口フラスコに、脱水精製したMMP420.00g、グリシジルメタクリレート162.00g、ジエチレングリコールジメタクリレート18.00g、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)27.00gを仕込み、110℃の重合温度で2時間加熱して重合を行った。反応液を30℃以下に冷却することによりシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物30重量%溶液(E2)を得た。この溶液のGPCで測定した重量平均分子量は3,600(ポリスチレン換算)であった。
【0122】
次に合成例1、2、3、及び4で得られたポリエステルアミド酸(A1、A2、A3、及びA4)、合成例5、及び6で得られたシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、合成例7、及び8で得られたシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物、市販のエポキシ樹脂(シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物またはシロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物)、及びエポキシ硬化剤を用いて、熱硬化性組成物を以下に示すように調製した。該熱硬化性組成物から硬化膜を得て、この硬化膜の評価を行った(実施例1〜11、及び比較例1〜6)。
【0123】
[実施例1]
撹拌羽根の付いた500mlのセパラブルフラスコを窒素置換し、そのフラスコに、合成例1で得られたポリエステルアミド酸(A1)100.00g、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物としてCoatOsil MP−200(以下「S3」と略記)1.50g、シロキサン結合部位を持たないエポキシ化合物としてTECHMORE VG3101L(商品名;(株)プリンテック、以下「E3」と略記)58.50g、エポキシ硬化剤としてトリメリット酸無水物(以下、「TMA」と略記)6.00g、添加剤としてADK STAB AO−60(商品名;(株)ADEKA製)0.48g、溶剤として脱水精製したMMP367.38g及びEDM109.34gを仕込み、室温で3時間撹拌し、均一に溶解させた。次いで、メガファックF−556(商品名;DIC(株)製)0.17gを投入し、室温で1時間撹拌し、孔径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過して塗布液を調製した。
【0124】
次に、この塗布液をガラス基板上及びカラーフィルター基板上に800rpmで10秒間スピンコートした後、ホットプレート上で、80℃3分間プリベークして塗膜を形成させた。その後、オーブンで、230℃30分間加熱することにより塗膜を硬化させ、膜厚1.0μmの硬化膜を得た。
【0125】
このようにして得られた硬化膜について、透明性、耐光性、平坦性、及び耐熱性について特性を評価した。
【0126】
[透明性の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板において、紫外可視近赤外分光光度計(商品名;V−670、日本分光(株)製)により、硬化膜のみの光の波長400nmでの透過率を測定した。透過率が97%以上の場合を○、97%未満の場合を×とした。
【0127】
[耐光性の評価方法]
前記[透明性の評価方法]で透明性を評価した後の硬化膜付きガラス基板をUVオゾンクリーニング装置(商品名;PL2003N−12、光源;低圧水銀灯、セン特殊光源(株)製)により1J/cm(254nm換算)のUVオゾン処理を行い、オーブンで、230℃30分間加熱した後、紫外可視赤外分光光度計(商品名;V−670、日本分光(株)製)により硬化膜のみの光の波長400nmでの透過率を測定した。透過率が95%以上の場合を○、95%未満の場合を×とした。
【0128】
[平坦性の評価方法]
得られた硬化膜付きカラーフィルター基板の硬化膜表面の段差を段差・表面粗さ・微細形状測定装置(商品名;P−15、KLA TENCOR株式会社)を用いて測定した。ブラックマトリックスを含むR、G,B画素間での段差の最大値(以下、最大段差と略記)が0.25μm未満である場合を○、0.25μm以上である場合を×とした。また、使用したカラーフィルター基板は、最大段差約0.5μmの樹脂ブラックマトリクスを用いた顔料分散カラーフィルター(以下、CFと略記)である。
【0129】
[耐熱性の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板を230℃で1時間再加熱した後、加熱前の膜厚及び加熱後の膜厚を測定し、下記計算式により残膜率を算出した。膜厚の測定には、前記の段差・表面粗さ・微細形状測定装置(商品名;P−15、KLA TENCOR株式会社)を用いた。加熱後の残膜率が96%以上の場合を○、加熱後の残膜率が96%未満の場合を×とした。

残膜率=(加熱後の膜厚/加熱前の膜厚)×100
【0130】
[タック性の評価方法]
上記塗布液をガラス基板上に800rpmで10秒間スピンコートした後、ホットプレート上で、80℃3分間プリベークして塗膜を形成させた。その後、触診にてタックの有無を判定した。プリベーク後の塗膜を触り、膜表面に目視による形状変化が無い場合を○、形状変化が有る場合を×とした。
【0131】
[実施例2〜11]
実施例1の方法に準じて、表1−1及び1−2に記載の割合(単位:g)で各成分を混合溶解し、熱硬化性組成物を得た。なお、表中の各化合物の略称について、S4はシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物である1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン(商品名;ジェレストテクノロジーズ インコーポレイテッド製)を示す。添加剤欄のS510は密着性向上剤サイラエースS510(商品名;JNC株式会社)、AO−60は酸化防止剤ADK STAB AO−60(商品名;(株)ADEKA製)、F−556は界面活性剤メガファックF−556(商品名;DIC(株)製)を示す。
【0132】
[比較例1〜6]
実施例1の方法に準じて、表2に記載の割合(単位:g)で各成分を混合溶解し、熱硬化性組成物を得た。
【0133】
また、実施例1〜11の硬化膜の評価結果を表1−1及び1−2に、比較例1〜6の硬化膜の評価結果を表2にそれぞれまとめて記載した。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜11のシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物を使用した硬化膜は、平坦性に優れており、透明性、耐光性及び耐熱性のすべての点においてバランスが取れていることが分かる。
【0138】
一方、比較例1及び比較例5及び6のエポキシ化合物のみを使用した硬化膜は、透明性、耐熱性に優れているものの、平坦性が劣る。比較例2のエポキシ化合物にE3を使用し、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物を好ましい範囲より少ない量で使用した場合では、透明性、耐光性及び耐熱性に優れるものの、平坦性が劣る結果となった。反対に比較例3及び4のシロキサン結合部位を有するエポキシ化合物を好ましい範囲より多い量で使用した場合では、平坦性は良好なものの、プリベークの段階でタックが発生してしまった。以上のように、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物を必須の成分として一定量用いた場合のみ、全ての特性を満足することができた。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の熱硬化組成物より得られた硬化膜は、透明性、耐光性、及び耐スパッタ性など光学材料としての特性にも優れている点から、カラーフィルター、LED発光素子及び受光素子などの各種光学材料などの保護膜、並びに、TFTと透明電極間及び透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として利用できる。