(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記芳香族ジカルボン酸残基がテレフタル酸残基、イソフタル酸残基又は2,6−ナフタレンジカルボン酸残基である請求項1又は2記載の成型加工用熱可塑性樹脂組成物。
前記脂肪族ジオール残基がエチレングリコール残基、1,3−プロピレングリコール残基、1,4−ブタンジオール残基又は1,6−ヘキサンジオール残基である請求項4記載の成型加工用熱可塑性樹脂組成物。
前記炭素原子数4〜22の脂肪族モノアルコール残基が、オクタノール残基、2−エチルヘキサノール残基、ノナノール残基、イソノナノール残基、デカノール残基又はウンデカノール残基である請求項1記載の成型加工用熱可塑性樹脂組成物。
前記炭酸カルシウム用分散剤(B)の含有量が、前記炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.1〜3質量部である請求項1記載の成型加工用熱可塑性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、芳香族ジカルボン酸残基と、脂肪族ジオール残基と、モノアルコール残基又はモノカルボン酸残基とを含有し、融点が100〜250℃のポリエステル樹脂であることを特徴とする。
【0016】
前記融点が100℃よりも低いと本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する際に、押出し機のホッパー上で溶融してブリッジングし、その結果、炭酸カルシウム用分散剤としての機能を発現しにくいことから好ましくない。また、融点が250℃よりも高いと本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する際に炭酸カルシウムや熱可塑性樹脂との混合時に十分に溶融混合されず、その結果、炭酸カルシウム用分散剤としての機能を発現しにくいことから好ましくない。融点は100〜240℃が好ましく、130〜240℃がより好ましい。
【0017】
本発明において、融点(Tm)は以下の示差走査熱量(DSC)方法に従って測定した。示差走査熱量測定計DSC822e(METTLER TOLEDO社製)を用い、ポリエステル樹脂5mgを軽量アルミパンに入れ、窒素雰囲気下、25℃から250℃まで毎分10℃で昇温した(1st run)後、0℃まで一旦急冷し、再度、0℃から250℃まで毎分10℃で昇温させた(2nd run)。2nd runから得られたDSC曲線より融点(Tm)を決定した。
【0018】
前記芳香族ジカルボン酸残基としては、例えば、フタル酸残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、2,6−ナフタレンジカルボン酸残基、1,5−ナフタレンジカルボン酸残基、1,4−ナフタレンジカルボン酸残基等が挙げられる。
【0019】
前記芳香族ジカルボン酸残基としては、結晶性を有するポリエステル樹脂となり、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成型加工時の取り扱い性に優れる炭酸カルシウム用分散剤となることからテレフタル酸残基、イソフタル酸残基又は2,6−ナフタレンジカルボン酸残基が好ましい。
【0020】
本発明において、「ジカルボン酸残基」とはジカルボン酸からカルボキシル基を除いた残りの有機基を言う。
【0021】
前記脂肪族ジオール残基としては、例えば、エチレングリコール残基、1,2−プロピレングリコール残基、1,3−プロピレングリコール残基、1,2−ブタンジオール残基、1,3−ブタンジオール残基、2−メチル−1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)残基、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)残基、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)残基、3−メチル−1,5−ペンタンジオール残基、1,6−ヘキサンジオール残基、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール残基、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール残基、2−メチル−1,8−オクタンジオール残基、1,9−ノナンジオール残基、1,10−デカンジオール残基、1,12−ドデカンジオール残基、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン残基や、ジエチレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基などのエーテルグリコール残基等が挙げられる。
【0022】
前記脂肪族ジオール残基としては、結晶性を有するポリエステル樹脂となり、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成型加工時の取り扱い性に優れる炭酸カルシウム用分散剤となること、融点を100〜250℃の範囲に調整しやすいことから炭素原子数2〜10の脂肪族ジオール残基が好ましく、エチレングリコール残基、1,3−プロピレングリコール残基、1,4−ブタンジオール残基、又は1,6−ヘキサンジオール残基がより好ましい。
【0023】
本発明において「グリコール残基」とはグリコールから水酸基を除いた残りの有機基を言う。
【0024】
前記モノアルコール残基としては、芳香族モノアルコール残基や脂肪族モノアルコール残基が挙げられる。前記芳香族モノアルコール残基としては、例えば、フェノール残基、エチルフェノール残基、イソブチルフェノール残基、ペンチルフェノール残基、オクチルフェノール残基、ドデシルフェノール残基、テトラデシルフェノール残基、ベンジルアルコール残基、2−フェニルエタノール残基、2−フェノキシエタノール残基、3−フェニル−1−プロパノール残基等が挙げられる。
【0025】
前記脂肪族モノアルコール残基としては、例えば、メタノール残基、エタノール残基、プロパノール残基、イソプロパノール残基、ブタノール残基、ヘプタノール残基、ヘキサノール残基、シクロヘキサノール残基、イソヘキサノール残基、オクタノール残基、イソオクタノール残基、2−エチルヘキサノール残基、ノナノール残基、イソノナノール残基、デカノール残基、イソデカノール残基、ウンデカノール残基、ドデカノール残基、ステアリルアルコール残基、オレイルアルコール残基等が挙げられる。
【0026】
前記モノアルコール残基としては、後述する熱可塑性樹脂(C)、特に、ポリオレフィン樹脂への相溶性が良好な炭酸カルシウム用分散剤となることから脂肪族モノアルコール残基が好ましく、炭素原子数4〜22の脂肪族モノアルコール残基がより好ましく、オクタノール残基、2−エチルヘキサノール残基、ノナノール残基、イソノナノール残基、デカノール残基又はウンデカノール残基が更に好ましい。
【0027】
本発明において「モノアルコール残基」とは、モノアルコールから水酸基を除いた残りの有機基を言う。
【0028】
前記モノカルボン酸残基としては、芳香族モノカルボン酸残基や脂肪族モノカルボン酸残基が挙げられる。前記芳香族モノカルボン酸残基としては、例えば、安息香酸残基、ジメチル安息香酸残基、トリメチル安息香酸残基、テトラメチル安息香酸残基、エチル安息香酸残基、プロピル安息香酸残基、ブチル安息香酸残基、クミン酸残基、パラターシャリブチル安息香酸残基、オルソトルイル酸残基、メタトルイル酸残基、パラトルイル酸残基、エトキシ安息香酸残基、プロポキシ安息香酸残基、ナフトエ酸残基、アニス酸残基等が挙げられる。
【0029】
前記脂肪族モノカルボン酸残基としては、例えば、酢酸残基、プロピオン酸残基、ブタン酸残基、ヘキサン酸残基、シクロヘキサンカルボン酸残基、2-エチルヘキサン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、ベヘン酸残基等が挙げられる。
【0030】
前記モノカルボン酸残基としては、後述する熱可塑性樹脂(C)、特に、ポリオレフィン樹脂への相溶性が良好な炭酸カルシウム用分散剤となることから脂肪族モノカルボン酸残基が好ましく、炭素原子数1〜17の脂肪族モノカルボン酸残基がより好ましい。
【0031】
本発明において、「モノカルボン酸残基」とは、モノカルボン酸からカルボキシル基を除いた残りの有機基を言う。
【0032】
本発明の炭酸カルシウム用分散剤であるポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は後述する熱可塑性樹脂(C)への炭酸カルシウム(A)の分散が良好な炭酸カルシウム用分散剤が得られることから500〜5,000が好ましく、800〜4,000がより好ましい。また、重量平均分子量は、600〜15,000が好ましく1,000〜10,000がより好ましい。
【0033】
ここで、本発明において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0034】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL SuperHM−H」(6.0mmI.D.×15cm)×2+東ソー株式会社製「TSK−GEL SuperH2500」(6.0mmI.D.×15cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 クロロホルム
流速 0.6ml/分
試料:ポリエステル樹脂10mgを5mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)とクロロホルムの1:1混合溶剤(容積比)に溶解し、マイクロフィルターでろ過したもの(40μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0035】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
【0036】
本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、具体的には、下記一般式(1)又は一般式(2)
【0038】
(式中、B
1はモノアルコール残基を表す。B
2はモノカルボン酸残基を表す。Aは、芳香族ジカルボン酸残基を表す。Gは脂肪族ジオール残基を表す。m、nはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数で、1以上である。括弧で括られた繰り返し単位毎にAおよびGは同一であっても異なっていても良い。)
で表される構造を有するポリエステル樹脂である。
【0039】
前記一般式(1)中のm、一般式(2)中のnは、それぞれ括弧で括られた繰り返し単位数であり1以上である。m及びnは一般式(1)、一般式(2)で表されるポリエステル樹脂の融点が100〜250℃となれば良く、前記B
1、G、A、B
2の分子量にもよるが、例えば、それぞれ1〜50である。
【0040】
本発明の炭酸カルシウム用分散剤の一例である前記一般式(1)で表されるポリエステル樹脂は、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法1:一般式(1)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成するジカルボン酸、ジオール及びモノアルコールを一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法2:一般式(1)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成するジカルボン酸とジオールとを、カルボキシル基の当量が水酸基の当量よりも多くなる条件下で反応させてカルボキシル基を主鎖の末端に有するポリエステル樹脂を得た後、該ポリエステル樹脂とB
1を構成するモノアルコールとを反応させる方法。
【0041】
前記一般式(2)で表されるポリエステル樹脂は、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法3:一般式(2)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成する芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジオール及びモノカルボン酸を一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法4:一般式(2)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成する芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを、水酸基の当量がカルボキシル基の当量よりも多くなる条件下で反応させて水酸基を主鎖の末端に有するポリエステル樹脂を得た後、該ポリエステル樹脂とB
2を構成するモノカルボン酸とを反応させる方法。
【0042】
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。
【0043】
前記芳香族ジカルボン酸の中でも、結晶性を有するポリエステル樹脂となり、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成型加工時の取り扱い性に優れる炭酸カルシウム用分散剤となることからテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルが好ましい。
【0044】
前記Gを構成する脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンや、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。
【0045】
前記脂肪族ジオールの中でも、結晶性を有するポリエステル樹脂となり、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成型加工時の取り扱い性に優れる炭酸カルシウム用分散剤となること、融点を100〜250℃の範囲に調整しやすいことから炭素原子数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
【0046】
前記モノアルコールとしては芳香族モノアルコールや脂肪族モノアルコールが挙げられる。前記芳香族モノアルコールとしては、例えば、フェノール、エチルフェノール、イソブチルフェノール、ペンチルフェノール、オクチルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、2-フェノキシエタノール、3-フェニル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0047】
前記脂肪族モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0048】
前記モノアルコールの中でも、後述する熱可塑性樹脂(C)、特に、ポリオレフィン樹脂への相溶性が良好な炭酸カルシウム用分散剤となることから脂肪族モノアルコールが好ましく、炭素原子数4〜22の脂肪族モノアルコールがより好ましく、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、ウンデカノールが更に好ましい。
【0049】
前記モノカルボン酸としては、芳香族モノカルボン酸や脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。前記芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、テトラメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、クミン酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ナフトエ酸、アニス酸等が挙げられる。
【0050】
前記脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
【0051】
前記モノカルボン酸の中でも、後述する熱可塑性樹脂(C)、特に、ポリオレフィン樹脂への相溶性が良好な炭酸カルシウム用分散剤となることから脂肪族モノカルボン酸が好ましく、炭素原子数2〜18の脂肪族モノカルボン酸がより好ましい。尚、本発明においてカルボン酸の炭素原子数にはカルボニル基の炭素原子も含める。
【0052】
前記一般式(1)や一般式(2)で表されるポリエステル樹脂は、例えば、前記の原料を、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば、180〜250℃の温度範囲内で10〜25時間、エステル化反応させることにより製造することができる。尚、エステル化反応の温度、時間などの条件は特に限定せず、適宜設定してよい。
【0053】
前記エステル化触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
【0054】
前記エステル化触媒の使用量は、適宜設定すればよいが、通常、原料の全量100質量部に対して、0.001〜0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0055】
前記一般式(1)や一般式(2)で表されるポリエステル樹脂の性状は、数平均分子量や組成などの要因により異なるが、結晶性を有する固体状である。
【0056】
本発明の炭酸カルシウム組成物は、炭酸カルシウム(A)と、本発明の炭酸カルシウム用分散剤〔以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(B)と略記することがある〕とを、炭酸カルシウム(A)100質量部に対して炭酸カルシウム用分散剤(B)0.05〜5質量部となる範囲で含有することを特徴とする。
【0057】
前記炭酸カルシウム(A)としては、天然の白色石灰石を物理的に粉砕した重質炭酸カルシウム、化学的な沈殿反応による合成炭酸カルシウム等が挙げられる。前記重質炭酸カルシウムは、天然の高白色度の石灰石を物理的に粉砕するという製造プロセスであるため、粒度分布幅が広く物理的粉砕独特の不規則な形態をしている。
【0058】
合成炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウムあるいは沈降性炭酸カルシウムとも呼ばれ、化学的な沈殿反応により製造される。その製造法としては、水酸化カルシウムスラリー中に炭酸ガスを吹き込むことにより炭酸カルシウムを沈殿させる炭酸ガス化合法、塩化カルシウムと炭酸ナトリウムとの反応による塩化カルシウムソーダ法、炭酸水素カルシウムと水酸化カルシウムとの反応による水処理法等が工業的に採用されている。
【0059】
前記の通り、合成炭酸カルシウムは化学的な沈殿反応により生成するものであることから、原料中のカルシウム濃度、炭酸化の温度あるいは炭酸化反応の速度などの製造条件を調節することによって、粒子形状や粒子径を制御することが可能である。その粒子形状としては、例えば、紡錘状、立方体状、柱状、連鎖状等の粒子形状のものが良く知られており、粒度分布幅も比較的狭く粒子径は揃っている。
【0060】
例えば、紡錘状炭酸カルシウムは、通常、長径1.5〜6μm、短径0.3〜2μmの紡錘形をなしており、比較的高い白色度を有しており経済性に優れる。また、立方体状炭酸カルシウムは、平均粒子径が0.02〜0.3μmの立方体状の形状をなしている。
【0061】
本発明で用いる炭酸カルシウムの平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。
【0062】
本発明の炭酸カルシウム組成物は、炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.05〜5質量部と、炭酸カルシウム(A)に対して極めて少量の炭酸カルシウム用分散剤(B)を含有させることで熱可塑性樹脂への分散性を向上した炭酸カルシウム組成物とすることができる。本発明の炭酸カルシウム組成物中の炭酸カルシウム用分散剤(B)の含有量としては、少量でありながら、熱可塑性樹脂への分散性が向上した組成物となることから炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.1〜3質量部がより好ましい。
【0063】
本発明の炭酸カルシウム組成物は種々の方法で製造することができ、製法に限定はない。本発明の炭酸カルシウム組成物は、例えば、炭酸カルシウム(A)100質量部に炭酸カルシウム用分散剤(B)0.05〜5質量部を加え、その後、リボンブレンダー、高速ミキサー等により混合することにより製造することができる。
【0064】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、炭酸カルシウム(A)と、炭酸カルシウム用分散剤(B)と、熱可塑性樹脂(C)とを含有し、該炭酸カルシウム用分散剤(B)の含有量が炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲であることを特徴とする。
【0065】
前記熱可塑性樹脂(C)としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン樹脂等が挙げられる。
【0066】
本発明で用いる熱可塑性樹脂(C)の中でも、炭酸カルシウム(A)の分散が良好な熱可塑性樹脂組成物が得られることからポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸がより好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリ乳酸が更に好ましい。
【0067】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.05〜5質量部と炭酸カルシウム(A)に対して極めて少量の炭酸カルシウム用分散剤(B)を用いることにより炭酸カルシウムの熱可塑性樹脂への分散性が向上した組成物となる。炭酸カルシウム用分散剤(B)の含有量としては、少量でありながら、炭酸カルシウムの熱可塑性樹脂への分散性が向上した組成物となることから炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.1〜3質量部がより好ましい。
【0068】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中の炭酸カルシウム(A)の含有量は、後述する成型体の使用分野にもよるが、例えば、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて多孔性フィルムを得る場合、熱可塑性樹脂(C)100質量部に対して50〜300質量部、好ましくは100〜200質量部である。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いてLCDの反射板を得る場合、通常熱可塑性樹脂(C)100質量部に対して20〜120質量部、好ましくは30〜100質量部である。
【0069】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は種々の方法で製造することができ、製法に限定はない。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、炭酸カルシウム(A)、炭酸カルシウム用分散剤(B)及び熱可塑性樹脂(C)を、炭酸カルシウム用分散剤(B)の含有量が炭酸カルシウム(A)100質量部に対して0.05〜5質量部となるように混合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー、スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、二軸型混練機等の混練機を用いて混練することにより製造することができる。混練後はペレット化し、後述する本発明の成型体の製造に用いても良いし、ペレット化せず、混練後、そのまま成型体の製造を行うこともできる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は本発明の炭酸カルシウム組成物と熱可塑性樹脂(C)とを混合することによっても製造することができる。
【0070】
本発明の成型体は本発明の熱可塑性樹脂組成物を含有することを特徴とする。前記の通り、本発明の熱可塑性樹脂組成物を混練し製造した後、ペレット化しておきこれを用いて本発明の成型体を製造しても良いし、本発明の熱可塑性樹脂組成物を混練し製造した後、これをそのまま使用して成型体を製造しても良い。
【0071】
本発明の成型体の形状としては、例えば、フィルム状、繊維状、トレイ状、ボトル状、パイプ状等が挙げられる。成型体の使用用途としては、例えば、自動車部品、テレビ・掃除機などの電気電子機器の各種部品、便座などの住宅設備機器部品等の工業分野の各種部品や建材部品、インストルメントパネル、グローブボックス、トリム類、ハウジング類、ピラー、バンパー、フェンダー、バックドアーなどの自動車内外装部品や農業用養生シート、育苗トレー、育苗ポット、育成ポット、植木鉢、導水管用鋳鉄管の防食・防塵の為の樹脂キャップ等が挙げられる。以下に、成型体の一例であるフィルムについて詳述する。
【0072】
本発明の成型体の一例であるフィルムは、例えば、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、含有する熱可塑性樹脂(C)の融点以上、好ましくは融点+20℃以上、分解温度未満の温度において、Tダイ等が装着された押出成型機、円形ダイが装着されたインフレーション成型機等の公知の成型機を用いて、溶融、製膜することにより製造することができる。
【0073】
また、前記フィルムの一例である多孔性フィルムは、例えば、前記の方法で得られたフィルムを原反フィルムとし、該原反フィルムを少なくとも1軸方向に延伸することにより得ることができる。前記多孔性フィルムは例えば次の方法によって効率よく製造することができる。
【0074】
先ず、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分を、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等を用いて予備混合した後、一軸又は二軸押出機で混練してペレット化する。次に、得られたペレットを用い成型機によって成膜しフィルム(原反フィルム)を得る。成型機としては、例えば、Tダイ型やインフレーション型のものを用いることができ、Tダイ型の成型機を用いることが好ましい。
【0075】
得られた原反フィルムを一軸又は二軸延伸して、熱可塑性樹脂(A)と炭酸カルシウム(B)との界面剥離を生じさせ多孔質化する。この延伸にはロール法やテンター法などが用いられる。このようにして多孔性フィルムが得られる。原反フィルムの延伸は、少なくとも一軸方向に、1.1倍以上に延伸することが好ましく、1.5〜5倍に延伸することが好ましい。面積延伸倍率で言えば、1.1倍以上に延伸することが好ましく、1.3〜4倍に延伸することが好ましい。
【0076】
前記多孔性フィルムの坪量は、例えば5〜100g/m
2とすることができ、その厚みは、例えば5〜100μmとすることができる。
【0077】
前記多孔性フィルムは、例えば衛生材料、医療用材料、衣料用材料などとして用いることができる。また、前記多孔性フィルムは、その一面に不織布などの繊維シートと貼り合わせた複合シートの形態で前記の材料として用いることもできる。特に、前記多孔性フィルムは、前述の通り透湿性を有しているので、これをそのまま、或いは繊維シートと貼り合わせた複合シートとして、使い捨ておむつや生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッドなどの吸収性物品の構成材料として用いると、着装内の湿度上昇を防止することができ、着用者の肌のかぶれ発生を効果的に防止することができる。これらの吸収性物品は一般に液透過性の表面シート、液不透過性(難透過性も含む)の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を備えており、前記多孔性フィルム又はこれを繊維シートと貼り合わせてなる複合シートは、特に前記裏面シートとして好ましく用いられる。また、前記多孔性フィルム又はこれを繊維シートと貼り合わせてなる複合シートは、その良好な柔軟性や透湿性を活かして、吸収性物品における、裏面シート以外の構成要素の材料として用いることもでき、例えば、立体ギャザーやウエストバリアシートなどの材料として用いることもできる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明する。例中の部及び%は断りがない限り質量基準である。
【0079】
実施例1(炭酸カルシウム用分散剤)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート310g、1,4−ブタンジオール151g、2−エチルヘキサノール83g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.016gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計15時間反応させた。反応後、過剰の2−エチルヘキサノールを減圧除去し、一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で白色固体であり、酸価は0.16で、水酸基価は5.8で、固有粘度IV値(フェノール/テトラクロロエタン=1/1混合溶液、30℃)は0.18、融点は209℃であった。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は2,200、重量平均分子量(Mw)は5,500であった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(1)と略記する。
【0080】
実施例2(同上)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート435g、1,4−ブタンジオール212g、2−エチルヘキサノール58g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.021gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計15時間反応させた。反応後、過剰の2−エチル−ヘキサノールを減圧除去し、一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で白色固体であり、酸価は0.14で、水酸基価は6.1で、固有粘度IV値は0.29、融点は216℃であった。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は3,800、重量平均分子量(Mw)は9,500であった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(2)と略記する。
【0081】
実施例3(同上)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート233g、1,6−ヘキサンジオール148g、2−エチルヘキサノール62g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.010gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計15時間反応させた。反応後、過剰の2−エチルヘキサノールを減圧除去し、一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で白色固体であり、酸価は0.15で、水酸基価は23.0で、固有粘度IV値は0.17、融点は138℃であった。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は2,400、重量平均分子量(Mw)は5,500であった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(3)と略記する。
【0082】
実施例4(同上)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチル-2,6-ナフタレート390g、1,4−ブタンジオール151g、2−エチルヘキサノール83g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.020gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計15時間反応させた。反応後、過剰の2−エチルヘキサノールを減圧除去し、一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で白色固体であり、酸価は0.12で、水酸基価は3.8で、固有粘度IV値は0.19、融点は230℃であった。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は2,200、重量平均分子量(Mw)は5,300であった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(4)と略記する。
【0083】
実施例5(同上)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート310g、1,4−ブタンジオール151g、イソノニルアルコール92g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.016gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計15時間反応させた。反応後、過剰のイソノニルアルコールを減圧除去し、一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で白色固体であり、酸価は0.16で、水酸基価は5.5で、固有粘度IV値は0.18、融点は205℃であった。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は2,100、重量平均分子量(Mw)は5,300であった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(5)と略記する。
【0084】
実施例6(同上)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチルテレフタレート194g、1,4−ブタンジオール81g、2-フェノキシエタノール97g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.018gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計15時間反応させた。反応後、過剰の2-フェノキシエタノールを減圧除去し、一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で白色固体であり、酸価は0.16で、水酸基価は5.5で、固有粘度IV値は0.16、融点は215℃であった。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は1,500、重量平均分子量(Mw)は2,900であった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(6)と略記する。
【0085】
比較例1(比較対象用炭酸カルシウム用分散剤)
温度計、撹拌器及び精留塔を備えた1Lの四つ口フラスコにアジピン酸94g、ペンタエリスリトール95g、オレイン酸358g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.028gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃になるまで段階的に昇温しながら合計16時間反応させた。反応後、過剰のオレイン酸を減圧除去し、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は室温で淡黄色液体であり、酸価は0.23で、水酸基価は20.5、25℃における粘度は7.5Pa・sであった。以下、これを炭酸カルシウム用分散剤(1’)と略記する。
【0086】
実施例7(熱可塑性樹脂組成物)
ポリエチレン樹脂(ユメリット2040F 宇部丸善ポリエチレン株式会社製 融点116℃)100部、重質炭酸カルシウム(比表面積4.5〜5.0 粒度分布2.67)100部、炭酸カルシウム用分散剤(1)0.6部及び安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010 BASF社製)を前記ポリエチレン樹脂、重質炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム用分散剤(1)の合計質量に対して1000ppmとなるように混合し、ヘンシェルミキサーで混合攪拌し本発明の熱可塑性樹脂組成物(1)を得た。
【0087】
熱可塑性樹脂組成物(1)を用いた押出し成型を行い、成型時の押出し圧力の上昇度を測定することにより、熱可塑性樹脂組成物(1)中の炭酸カルシウムの分散性を評価した。押出し圧力の上昇度の測定方法を以下に示す。評価結果を表に示す。
【0088】
<押出し圧力の上昇度の測定方法>
熱可塑性樹脂組成物(1)を混練押出機(ラボプラストミル 東洋精機製)に投入し、混練温度220℃にてストランド状に押し出し、ストランド状の成型体を得た。この際の押出開始時の押出し圧力と押出開始時から60分後の押出し圧力を測定し、下記式に基づいてその変化率(%)を求めた。変化率が小さい程、炭酸カルシウムの分散性が良好であることを示す。尚、混練押出機には3個のフィルター(孔径250μm、孔径150μm及び孔径38μm)を取り付けた。
変化率(%)=〔(押出開始時から60分後の圧力)−(押出開始時の圧力)〕×100/(押出開始時の圧力)
【0089】
また、ストランド状の成型体の状態を下記基準に従って評価した。評価結果を表に示す。
○:成型体に収縮の形跡(ヒケ)がなく、また成型体表面に荒れ状の模様も観察されない。
△:成型体にヒケが確認できるか、又は成型体表面が荒れていることが観察される。
×:成型体にヒケが確認でき、且つ、成型体表面が荒れていることが観察される。
【0090】
実施例8(同上)
炭酸カルシウム用分散剤(1)の代わりに炭酸カルシウム用分散剤(2)を用いて実施例7と同様の操作により本発明の熱可塑性樹脂組成物(2)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0091】
実施例9(同上)
炭酸カルシウム用分散剤(1)の代わりに炭酸カルシウム用分散剤(3)を用いて実施例1と同様の操作により本発明の熱可塑性樹脂組成物(3)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0092】
実施例10(同上)
炭酸カルシウム用分散剤(1)の代わりに炭酸カルシウム用分散剤(4)を用いて実施例7と同様の操作により本発明の熱可塑性樹脂組成物(4)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0093】
実施例11(同上)
炭酸カルシウム用分散剤(1)の代わりに炭酸カルシウム用分散剤(5)を用いて実施例7と同様の操作により本発明の熱可塑性樹脂組成物(5)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0094】
実施例12(同上)
炭酸カルシウム用分散剤(1)の代わりに炭酸カルシウム用分散剤(6)を用いて実施例7と同様の操作により本発明の熱可塑性樹脂組成物(6)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0095】
比較例2(比較対象用熱可塑性樹脂組成物)
炭酸カルシウム用分散剤(1)を用いない以外は実施例7と同様にして比較対象用熱可塑性樹脂組成物(1’)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0096】
比較例3(同上)
炭酸カルシウム用分散剤(1)のかわりに比較対象用炭酸カルシウム用分散剤(1’)を用いた以外は実施例7と同様にして比較対象用熱可塑性樹脂組成物(2’)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0097】
実施例13(熱可塑性樹脂組成物)
重質炭酸カルシウムのかわりに軽質炭酸カルシウム(比表面積4.8 粒度分布1.10)を用いた以外は実施例7と同様にして熱可塑性樹脂組成物(7)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0098】
比較例4(比較対象用熱可塑性樹脂組成物)
炭酸カルシウム用分散剤(1)を用いない以外は実施例13と同様にして比較対象用熱可塑性樹脂組成物(3’)を得た。実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0099】
実施例14(熱可塑性樹脂組成物)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(BF3068 インドラマ・ベンチャーズ社製 融点254℃)100部、重質炭酸カルシウム(比表面積6.0〜7.0 粒度分布1.39)30部及び炭酸カルシウム用分散剤(1)0.2部を混合し、ヘンシェルミキサーで混合攪拌し本発明の熱可塑性樹脂組成物(8)を得た。混錬温度を260℃とした以外は実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0100】
比較例5(比較対象用熱可塑性樹脂組成物)
炭酸カルシウム用分散剤(1)を用いない以外は実施例14と同様にして比較対象用熱可塑性樹脂組成物(4’)を得た。混錬温度を260℃とした以外は実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0101】
実施例15(熱可塑性樹脂組成物)
ポリ乳酸樹脂(テラマックTP−4000 ユニチカ株式会社製 融点170℃)100部、重質炭酸カルシウム(比表面積4.5〜5.0 粒度分布2.67)30部及び炭酸カルシウム用分散剤(1)0.2部を混合し、ヘンシェルミキサーで混合攪拌し本発明の熱可塑性樹脂組成物(9)を得た。混錬温度を190℃とした以外は実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す。
【0102】
比較例6(比較対象用熱可塑性樹脂組成物)
炭酸カルシウム用分散剤(1)を用いない以外は実施例15と同様にして比較対象用熱可塑性樹脂組成物(5’)を得た。混錬温度を190℃とした以外は実施例7と同様の評価を行い、その結果を表に示す
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
第1表〜第3表の脚注
炭酸カルシウム(1):重質炭酸カルシウム(比表面積4.5〜5.0 粒度分布2.67
炭酸カルシウム(2):軽質炭酸カルシウム(比表面積4.8 粒度分布1.10)
炭酸カルシウム(3):重質炭酸カルシウム(比表面積6.0〜7.0 粒度分布1.39
PE:ポリエチレン樹脂 ユメリット2040F
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂 BF3068
PLA:ポリ乳酸樹脂 テラマックTP−4000