(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[第1実施形態]
(自動分析装置Z)
図1は、第1実施形態で用いられる自動分析装置Zの構成を示す図であり、
図2は、自動分析装置Zの動作を示すフローチャートである。
適宜、
図2を参照しつつ、
図1を参照して自動分析装置Zについて説明する。
自動分析装置Zは、血液(検体(第1の液体物質))に試薬(第2の液体物質)を混合し、血液の凝固時間を測定するものである。自動分析装置Zは、分析装置1、インタフェース47、試薬分注制御装置(制御部)31、A/D(Analog/Disital)変換器32、反応容器移送制御装置33、検体分注制御装置34を有している。インタフェース47には、表示装置41、プリンタ42、コンピュータ(制御部)43、外部出力メディア44、記憶装置45、入力装置46が接続されている。試薬は、例えば、フィブリノーゲン、TTATP等である。
まず、分析装置1について説明する。
【0021】
分析装置1は、凝固時間検出部102を複数備えた反応容器温調部101、測定に使用される反応容器(容器)Vが複数ストックされている反応容器供給部103を有する。さらに、分析装置1は、反応容器Vを移送する反応容器移送部105、試薬昇温機能を備えている試薬分注装置(制御部)106を有している。そして、分析装置1は、反応容器廃棄部107、検体分注装置131、検体ディスク111、試薬ディスク121を有している。
【0022】
次に、自動分析装置Zによる、血液凝固時間測定の動作概略を説明する。
まず、反応容器移送部105により、反応容器Vが反応容器供給部103から凝固時間検体分注ポジション104に移送される。そして、検体分注装置131が、検体ディスク111に収納されている検体容器112から凝固時間検体分注ポジション104の反応容器Vに検体を分注する(
図2のS1)。次に、検体が分注された反応容器Vは、反応容器移送部105により反応容器温調部101が備わっている凝固時間検出部102へと移送される。そして、凝固時間検出部102に備わっている反応容器温調部101によって、検体は37℃まで昇温される。ここで、反応容器Vはディスポーザブルなものである。
【0023】
次に、試薬分注装置106が、試薬容器122から血液凝固反応用の試薬を吸引する。吸引された試薬は、試薬分注装置106に備わっている試薬昇温部(不図示)によって37℃にプレヒートされる。プレヒートが完了した試薬は、試薬分注装置106によって、凝固時間検出部102に移送されている、検体が入った反応容器Vへ吐出される。このとき、試薬吐出の勢いにより検体と試薬の攪拌が実施され、血液凝固が開始する。
【0024】
このように反応液の攪拌を試薬の吐出圧で行うことで攪拌機構が不要となる。このため、自動分析装置Zの簡素化や、攪拌にかかる時間の削減を実現することができる。
血液凝固時間測定が完了した反応容器Vは、反応容器移送部105により、反応容器廃棄部107に廃棄される。なお、試薬分注装置106は、パルス制御型の3次元アクチュエータ等であり、試薬ノズル(ノズル)を3次元方向に移動可能である。
洗浄装置141は、試薬吐出後の試薬ノズルを洗浄する。後記するように、洗浄装置141による洗浄範囲は限定的なものである。
【0025】
なお、
図1では、凝固時間検出部102が6つある(そのうち、一つは試薬分注装置106の一部によって隠れている)。すなわち、6箇所で並行して凝固時間の測定が行われている。
【0026】
次に、
図1の自動分析装置Zにおける制御系及び信号処理系について簡単に説明する。
コンピュータ43は、インタフェース47を介して、反応容器移送制御装置33、検体分注制御装置34、試薬分注制御装置31、A/D変換器32に接続されている。
そして、コンピュータ43は、反応容器移送制御装置33に対して指令を送る。指令を送られた反応容器移送制御装置33は、反応容器移送部105を制御することにより、反応容器Vの移送動作を制御する。
【0027】
また、コンピュータ43は、検体分注制御装置34に対して指令を送る。指令を送られた検体分注制御装置34は、検体分注装置131を制御することにより、検体の分注動作を制御する。
さらに、コンピュータ43は、試薬分注制御装置31に対して指令を送る。指令を送られた試薬分注制御装置31は、試薬分注装置106を制御することにより、試薬の分注動作を制御する。
【0028】
試薬ノズルは、試薬分注装置106によって反応容器Vの所定の場所にセットされる(
図2のS2)。なお、ここでは、以下のようにして試薬ノズルがセットされる。まず、コンピュータ43に予めこれから分注する検体及び試薬の粘性、検体の量、試薬の量についての情報が入力装置46を介して入力されている。そして、コンピュータ43は、入力されている試薬の粘性、検体の量、試薬の量に基づいて、試薬ノズルのセット位置を決定する。そして、試薬分注装置106はコンピュータ43で決定されたセット位置に試薬ノズルをセットする。
【0029】
そして、前記したように、試薬分注装置106によって、反応容器Vに対して所定の位置にセットされた試薬ノズルから試薬が吐出される(
図2のS3)。この吐出による吐出エネルギによって、反応容器Vの検体と、試薬とが攪拌される。
攪拌終了後、試薬分注制御装置31が試薬分注装置106を制御することによって、試薬ノズルが上方に引き上げられる(
図2のS4)。
その後、試薬分注制御装置31は、洗浄装置141に試薬ノズルの洗浄を行わせる(
図2のS5)。この洗浄によって、試薬ノズルのコンタミネーションをある程度防ぐことができる。しかし、その洗浄範囲は限られた範囲にしか行われない。また、省スペース化、洗浄水量の抑制に伴うポンプの小型化等が行われていることから、洗浄範囲を広げることが困難である。
試薬ノズルの洗浄後、試薬分注制御装置31は、試薬分注装置106に試薬ノズルを移動させ、次の反応容器Vに試薬ノズルをセットさせる(
図2のS2)。
【0030】
試薬と、検体とが攪拌された反応容器Vは光度計(第1の検出部、検出部)142によって測光される。すなわち、光源(不図示)から照射されて反応容器Vを通過する光が計測されることによって、試薬と検体とが攪拌された反応液の凝固度が計測される。
光度計142によって計測された測光値はA/D変換器32に送られる。
そして、A/D変換器32によってデジタル信号に変換された測光値は、コンピュータ43に取り込まれる。コンピュータ43は、取り込まれた測定値を基に、検体の血液凝固時間を求める。
【0031】
インタフェース47には、印字するためのプリンタ42や、情報を格納する記憶装置45や、外部出力メディア44、操作指令等を入力するための入力装置46、画面表示するための表示装置41が接続されている。表示装置41は、例えば、CRTディスプレイや、液晶ディスプレイ等である。記憶装置45は、例えばハードディスク記憶装置や、外部記憶装置等である。記憶装置45には、各操作者のパスワード、各画面の表示レベル、分析パラメータ、分析項目依頼内容、キャリブレーション結果、分析結果等の情報が記憶される。
外部出力メディア44は、DVD(Dgital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)等である。
【0032】
(吐出攪拌方法)
次に、
図3及び
図4を参照して、吐出攪拌方法について説明する。
図3は、試薬ノズルHが反応容器Vの中心に位置している状態で試薬M1が吐出される場合を示す図である。なお、
図3〜
図4、
図8〜
図10において、紙面上方に反応容器Vと試薬ノズルHの上面模式図が示され、紙面下方に反応容器Vと試薬ノズルHの側面断面模式図が示されている。
なお、
図3、
図4、
図8〜
図12において白抜き矢印は吐出された後の試薬M1の流れを示している。
図3では、試薬ノズルHの水平位置が反応容器Vの中心位置に配置された状態で、試薬ノズルHから試薬M1が吐出される。検体M2と試薬M1の量の比率によっては(検体M2が試薬M1に対して少ない場合)、試薬M1の流れに沿うように反応液M3の一部は底面を介しながら移動する。反応液M3とは試薬M1と検体M2との混合液である。これにより反応液M3が攪拌される。この結果、ほとんどの試薬M1は検体M2と衝突し、反応液M3を攪拌することになる。これにより、
図3に示すように、反応容器Vの中心から試薬M1が吐出される。しかし、この手法では、気泡が発生しやすい。
【0033】
また、
図3の手法では、吐出エネルギが反応容器Vの周囲に分散されるため、反応液M3の持ち上がりが起きにくい。そのため、
図3の手法では、反応液M3が試薬ノズルHに付着しにくく、次検査へのコンタミネーションが生じにくい。
【0034】
なお、
図3に示すように、反応容器Vの内側には、凸部201が環状に形成されていることが望ましい。このような凸部201を設けることによって、
図4に示すように、反応容器Vの内壁側に試薬ノズルHを位置させた場合でも、毛細管現象によって、試薬ノズルHと反応容器Vの内壁との間を伝って上がってきた試薬M1を凸部201で止めることができる。以下の図面において、反応容器Vの内側に凸部201が設けられているものとしているが、凸部201が省略されてもよい。
【0035】
図4は、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側に位置している状態で試薬M1が吐出される場合を示す図である。
図4では、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側に位置している状態で、試薬M1が吐出されている。これにより、ほとんどの試薬M1は反応容器Vの内壁に沿って流れ、反応液M3を攪拌する。なお、この例では試薬ノズルHの下端が反応容器Vの上端よりも下に位置している。
【0036】
図3に示す攪拌方法よりも、
図4に示す攪拌方法の方が検体M2と試薬M1との衝突が少ない。すなわち、
図4に示す攪拌方法は、
図3に示す攪拌方法よりも気泡の発生を低減することができる。さらに、
図4に示す攪拌方法では、試薬M1の吐出エネルギが反応容器Vの内壁から底面まで伝わりやすい。言い換えると、吐出エネルギが、吐出側の反対側に集中する。そのため、反応液M3の持ちあがりが大きくなる。このように、
図4に示す攪拌方法は、反応液M3を持ち上げるようにして攪拌することができる。従って、
図4に示す攪拌方法は、
図3に示す攪拌方法よりも攪拌効率が高くなる。
【0037】
一方、
図4に示した攪拌方法は、前記したように反応液M3が持ち上がりやすい。すなわち、反応液M3が高く持ち上がることから、検体M2と試薬M1との量の比率や、試薬M1の粘性によって、高く持ち上がった反応液M3が試薬ノズルHに付着してしまうことがある。これにより、次検査におけるコンタミネーションが懸念される。
【0038】
そこで、本実施形態は、検体M2と試薬M1との量の比率や、試薬M1の粘性に応じて、反応液M3が試薬ノズルHに付着することを防ぐ。これによって、次項目へのコンタミネーションを防止できるよう以下の攪拌方法を提供する。
【0039】
(分析項目例)
図5は第1実施形態で用いられる分析項目の例を示す図である。なお、
図5〜
図7の説明において、適宜、
図3、
図4を参照する。
図5において、1列目には項目名が示されている。2列目には、各項目における検体M2の量が示されている。3列目には、各項目における試薬M1の量が示されている。4列目には、試薬M1の粘性が示されている。なお、
図5において検体M2の量とは反応容器V内の検体M2の量である。そして、試薬M1の量とは吐出される試薬M1の量である。そして、試薬M1の粘性とは吐出される試薬M1の粘性である。
【0040】
検体M2の量に対して試薬M1の量が多い場合、攪拌効率が高く(良く)なる。逆に、検体量に対して試薬M1の量が少ない場合、攪拌効率が低く(悪く)なる。そして、試薬M1の粘性が低い場合、反応液M3に気泡が生じやすくなる。また、試薬M1の粘性が低い場合、反応液M3が持ち上がりやすくなる。ちなみに、試薬M1の粘性が高いとは検体M2より粘性が高いことである。また、試薬M1の粘性が低いとは検体M2と同等か、それ以下の粘性であることである。
【0041】
図5に示すように、項目Aでは試薬M1の量が検体M2の量よりも多い。また、項目Aでは試薬M1の粘性が検体M2の粘性と同等かそれよりも低い。
また、項目Bでは試薬M1の量が検体M2の量よりも少ない。また、項目Bでは試薬M1の粘性が検体M2の粘性よりも高い。
さらに、項目Cでは試薬M1の量が検体M2の量よりも少ない。また、項目Cでは試薬M1の粘性が検体M2の粘性と同等かそれよりも低い。
また、項目Dでは試薬M1の量が検体M2の量よりも多い。また、項目Dでは試薬M1の粘性が検体M2の粘性よりも高い。
【0042】
なお、例えば、検体M2に2種類の試薬M1と分注される場合がある。ここで、2種類の試薬M1をそれぞれ第1試薬、第2試薬とする。そして、まず、検体M2に第1試薬が分注された後、第2試薬が、検体M2+第1試薬に分注されることがある。このような場合、
図5の検体M2は、検体M2+第1試薬を意味し、
図5の試薬M1は第2試薬を意味する。また、第1試薬、第2試薬、第3試薬・・・が順に検体M2に分注されることがある。このような場合、第2試薬が分注される際には、検体M2+第1試薬が、
図5の検体M2に相当し、第2試薬が
図5の試薬M1に相当する。また、第3試薬が分注される際には、検体M2+第1試薬+第2試薬が、
図5の検体M2に相当し、第3試薬が
図5の試薬M1に相当する。
また、
図5の検体M2には、検体M2が希釈液で希釈されたものも含まれる。つまり、試薬ノズルHからの試薬M1の吐出時に反応容器Vに収納されている液体が
図5の検体M2に相当する。
【0043】
図6は、試薬M1の粘性と、量に対する気泡の生じやすさ、反応液M3の持ち上がり高さ、攪拌効率の関係を示す表である。なお、試薬M1の量の多少は検体M2に対する量の多少である。また、
図6の最下行に
図5における項目が記載されている。
まず、試薬M1の粘性が低い(検体M2と同等の粘性か、それ以下の粘性)場合、気泡が生じやすくなり(大)、反応液M3が持ち上がりやすくなり(高)、攪拌効率が良くなる(良)。なお、気泡が発生しやすいことは好ましくない。
そして、試薬M1の粘性が高い(検体M2の粘性より高い)場合、気泡が生じにくくなり(小)、反応液M3が持ち上がりにくくなり(低)、攪拌効率が悪くなる(悪)。
【0044】
また、試薬M1の量が検体M2より少ない場合、気泡が生じにくくなり(小)、反応液M3の持ち上がりが低くなり(低)、攪拌効率が悪くなる(悪)。
そして、試薬M1の量が検体M2より多い場合、気泡が生じやすくなり(大)、反応液M3の持ち上がりが高くなり(高)、攪拌効率が良くなる(良)。
【0045】
なお、気泡の生じやすさ、攪拌効率については試薬M1の量の影響の方が試薬M1の粘性の影響よりも大きい。しかし、反応液M3の持ち上がり高さについては試薬M1の粘性の影響の方が試薬M1の量の影響よりも大きい。
【0046】
図7は、ノズル位置、ノズル高さと、気泡の生じやすさ、反応液M3の持ち上がり高さ、攪拌効率の関係を示す表である。ただし、
図7に示す結果は、試薬M1の粘性、試薬M1の量を同一条件とした場合における結果であり、実際には試薬M1の粘性、試薬M1の量によって結果が変わってくる。
ここで、ノズル位置とは、試薬ノズルHの水平方向の位置であり、
図3に示す位置を「中」、
図4に示す位置を「端」とする。また、ノズル位置「上」とは試薬ノズルHを高くセットすることであり、ノズル位置「下」とは試薬ノズルHを低くセットすることである。
ノズル位置が「中」である場合、気泡が生じやすくなり(大)、持ち上がり高さが低くなり(低)、攪拌効率が悪くなる(悪)。
そして、ノズル位置が「端」である場合、気泡が生じにくくなり(小)、持ち上がり高さが高くなり(高)、攪拌効率が良くなる(良)。
【0047】
また、ノズル位置が「上」の場合、気泡が生じやすくなり(大)、持ち上がり高さが低くなり(低)、攪拌効率が悪くなる(悪)。
そして、ノズル位置が「下」の場合、気泡が生じにくくなり(小)、持ち上がり高さが高くなり(高)、攪拌効率が良くなる(良)。
なお、ノズル位置が「下」の方が持ち上がり高さが高いのは、試薬M1の吐出速度が大きい状態で検体M2に到達するためである。
【0048】
以下において、
図5の項目A、項目B、項目C及び項目Dのそれぞれにおける試薬ノズルHのセット位置について説明する。なお、
図8〜
図10において、
図3及び
図4と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
<項目A>
図8は、項目Aにおける試薬ノズルHのセット位置を示す図である。
図5の項目Aでは、検体M2の量に対して試薬M1の量が多く、試薬M1の粘性が低い状態である。すなわち、項目Aは
図6の表に示すように攪拌効率が良く、反応液M3が持ち上がりやすい(高)状態である。
従って、
図8の左図に示すように、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側に位置している状態で試薬M1を吐出すると、反応液M3が持ち上がりやすい。このため、反応液M3が試薬ノズルHに付着するおそれがある。従って、次検査へのコンタミネーションが懸念される。
【0050】
そこで、
図8の右図に示すように、試薬ノズルHが反応容器Vの中心位置で試薬M1を吐出するよう試薬ノズルHの位置が制御される。このようにすることで、
図7の表に示すように反応液M3の持ち上がりが減少する。この結果、反応液M3が試薬ノズルHに付着することを防止することができる。これにより、次検査へのコンタミネーションの影響を防止させることができる。
【0051】
図8の右図に示す手法を用いる場合、反応液M3の中心位置で試薬M1が吐出される。このため、
図7の表に示すように攪拌効率が低下する。しかし、
図5に示すように、項目Aでは、検体M2の量に対して、試薬M1の量が多く、試薬M1の粘性が低い条件である。
図6の表に示すようにこのような条件では、攪拌効率が向上する。従って、反応容器Vの中心位置で試薬M1を吐出させることで、次検査へのコンタミネーションの影響を防止することを優先しても十分な攪拌効率を得ることができる。
【0052】
また、項目Aの条件では、検体M2の量に対して、試薬M1の量が多いことで、
図6の表に示すように検体M2と試薬M1の衝突が多くなり気泡の発生が多くなる。また、ノズル位置を反応容器Vの中心とすると、
図7に示すように気泡が生じやすくなる。しかし、前記したように、
図7の表に示す結果は、実際の試薬M1の量や、試薬M1の粘性等により
図7の表の結果は変わってくる。
【0053】
図8の右図に示すように、反応容器Vの中心位置から試薬M1が吐出されると、試薬M1の量が検体M2の量より多いため、反応容器Vの底面を介しながら攪拌することができる。具体的には、試薬M1に対して検体M2の量が少ないため、吐出された試薬M1は反応容器Vの底面に達する。そして、試薬M1の流れは反応容器Vの底面に沿ったものとなる。従って、試薬M1と検体M2との衝突が少ない。これにより、試薬M1の量が検体M2に対して多い場合と比べて気泡の発生を低減することができる。
【0054】
また、気泡の発生は、試薬M1の吐出速度及び試薬M1を吐出する高さにも起因する。そのため、攪拌効率との関係にもよるが、分析への影響が問題とならない程度に試薬M1の吐出速度を低くし、試薬M1を吐出する高さを試薬ノズルHに反応液M3が付着しない程度まで下げるようにすることもできる。このようにすることにより、項目Aの条件において、反応液M3の泡立ち(気泡の発生)を低減して攪拌効率を維持することができる。これにより、データの再現性を高め、また次検査へのコンタミネーションを防止することが可能となる。
図8の破線L1については後記する。
【0055】
<項目B>
図9は、項目Bにおける試薬ノズルHのセット位置を示す図である。
図5の項目Bでは、検体M2の量に対して、試薬M1の量が少なく、試薬M1の粘性が高い状態である。すなわち、
図6の表に示すように攪拌効率が低く(悪)、反応液M3が持ち上がりにくい(低)状態である。
このように反応液M3が持ち上がりにくい条件のため、
図9の左図に示すように、試薬ノズルHを反応容器Vの内壁側に位置した状態で試薬M1が吐出されても、反応液M3が試薬ノズルHに付着しにくい。このように、項目Bでは試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側に位置した状態で試薬M1が吐出されても、次検査へのコンタミネーションの影響が比較的低い。
【0056】
しかしながら、項目Bの条件では、検体M2の量に対して試薬M1の量が少ないため、
図6の表に示すように攪拌効率が低い(悪)。このため、攪拌効率を高くする必要がある。
そこで、
図9の右図に示すように、試薬ノズルHを反応容器Vの内壁側に位置している状態で、試薬ノズルHの高さを基準位置L1よりも低く、かつ、持ち上がった反応液M3が付着しない高さまで下げる。ここで、基準位置L1は
図8の破線L1の高さである。
図7の表に示すように、試薬ノズルHの高さを下げることで、攪拌効率を向上させることができる。
【0057】
また、項目Bについて、項目Aと同様に攪拌効率との関係にもよるが、分析への影響が問題とならない程度に試薬M1の吐出速度を低くすることもできる。このようにすることにより、項目Bの条件において、反応液M3内の気泡の発生をさらに低減することができる。また、前記したように、試薬ノズルHの高さを低くすることで、攪拌効率を高めることができる。これらにより、データの再現性を高めることができ、また次検査へのコンタミネーションを防止することを実現できる。
また、反応液M3の付着を防止することで試薬ノズルHの洗浄範囲を広げる必要がなくなる。
【0058】
<項目C>
図10は、項目Cにおける試薬ノズルHのセット位置を示す図である。
図6の表に示すように、項目Cでは、すべての条件が対立している。つまり、試薬M1の粘性によれば気泡が生じやすいが(大)、試薬M1の量によれば気泡が生じにくい(小)。同様に、試薬M1の粘性によれば反応液M3の持ち上がり高さが高い(高)が、試薬M1の量によれば持ち上がり高さは低い(低)。そして、試薬M1の粘性によれば攪拌効率がよい(良)が、試薬M1の量によれば攪拌効率が悪い(悪)。
【0059】
しかし、前記したように、気泡の生じやすさ、攪拌効率では試薬M1の量の影響が大きく、反応液M3の持ち上がり高さについては粘性の影響が大きい。
従って、項目Cでは攪拌効率が悪く、反応液M3の持ち上がりが高いという課題がある。
また、項目Cの条件では、試薬M1の粘性が低いため、
図6の表で示すように反応液M3が持ち上がりやすい(高)。ただし、試薬M1の量の影響、すなわち、項目Aの条件より試薬M1の量が少ないため、項目Cは項目Aよりも反応液M3の持ち上がりは低い。従って、攪拌効率を考慮して試薬ノズルHは反応容器Vの内壁側にセットされる。
【0060】
前記したように項目Cでは、項目Aほどではないが反応液M3の持ち上がりが高くなる。従って、
図9の左図や、右図と同様の高さで試薬M1が吐出されると、
図10の左図に示すように反応液M3が試薬ノズルHに付着するおそれがある。つまり、次検査へのコンタミネーションが生じる可能性が比較的高い。そこで、
図10の右図に示すように、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側に位置している状態で、試薬ノズルHの高さを基準位置L1よりも高くする。ここで、基準位置L1は
図8の破線L1の高さである。具体的には、持ち上がった反応液M3が付着しない高さまで試薬ノズルHが高くセットされる。このようにすることで、
図7の表に示すように反応液M3が持ち上がりにくくなる(低)。つまり、反応液M3が持ち上がることによる試薬ノズルHへの反応液M3の付着を回避することができる。
特に、試薬ノズルHの洗浄範囲を広げる必要がなくなる。
【0061】
なお、
図7の表に示すように、試薬ノズルHの高さを高く(上に)すると、気泡が発生しやすく、攪拌効率が悪化する。しかし、気泡の生じやすさに対しては試薬M1の量の影響が大きいため、項目Cでは
図7の表に示すように気泡が生じにくい。従って、試薬ノズルHを高くセットしても気泡が生じにくい。
【0062】
また、
図6の表に示すように項目Cの条件では、攪拌効率が悪い。ここで、試薬ノズルHの高さを高くすると、
図7の表に示すように攪拌効率が悪化してしまう。しかし、ここでは、コンタミネーションの防止を優先することとする。これは、コンタミネーションが次検査の結果に大きく影響するためである。しかし、項目Cでは、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側にセットされているため、これにより攪拌効率が向上している(
図7参照)。これにより、攪拌効率の悪化を、ある程度防ぐことができる。
【0063】
<項目D>
図6の表に示すように、項目Dでは、すべての条件が対立している。つまり、試薬M1の粘性によれば気泡が生じにくい(小)が、試薬M1の量によれば気泡が生じやすい(大)。同様に、試薬M1の粘性によれば反応液M3の持ち上がり高さは低い(低)が、試薬M1の量によれば持ち上がり高さは高い(高)。そして、試薬M1の粘性によれば攪拌効率が悪い(悪)が、試薬M1の量によれば攪拌効率がよい(良)。
しかし、前記したように、気泡の生じやすさ、攪拌効率では試薬M1の量の影響が大きく、反応液M3の持ち上がり高さについては粘性の影響が大きい。
従って、項目Dでは、
図7の表に示すように、気泡が生じやすく、攪拌効率が良い。また、試薬M1の粘性が高いことから反応液M3の持ち上がり高さが低い。つまり、項目A〜Cと比較すると、気泡が生じやすいこと以外の項目Dは好条件である。
従って、項目Dの場合、ノズル位置を
図8の左図の位置とすることで気泡の発生が抑えられる。
【0064】
なお、試薬M1と、検体M2の関係が、
図5の項目A〜項目Dのいずれに該当するのかは、コンピュータ43が判定している。ここで、試薬M1の量、検体M2の量、試薬M1の粘性等の情報は、例えば、入力装置46(
図1参照)を介して入力される。
【0065】
なお、試薬ノズルHを反応容器Vの内壁側に位置させる場合、反応容器Vのどの位置にセットされてもよい。すなわち、例えば、
図4の上段において、試薬ノズルHがX軸の正方向にセットされているが、反応容器Vの内壁側であれば、XY軸で構成されるどの位置でもよい。
【0066】
自動分析装置Zは、血液凝固等の検体M2と試薬M1を攪拌するために試薬M1による吐出攪拌を実施し、反応液M3の凝固反応が光学的に検出される時間を測定する装置である。このような自動分析装置Zは、データの再現性を高くするために、反応液M3内の泡立ち(気泡の発生)の低減、攪拌効率の向上及び次検査へのコンタミネーションを防止することが必要となる。
【0067】
第1実施形態では、試薬分注装置106が試薬M1の粘性及び量に応じて試薬ノズルHの水平位置を制御している。このようにすることで、試薬M1の状態に応じた吐出が可能となる。
また、第1実施形態によれば、試薬M1の量が検体M2の量より多く、かつ、試薬M1の粘性が低い場合、試薬分注制御装置31は、試薬ノズルHの水平位置を反応容器Vの中心に位置させる。つまり、反応液M3が持ち上がりやすい条件では、試薬ノズルHの水平位置が反応容器Vの中心にセットされる。
図7に示されるように反応容器Vの中心に試薬ノズルHがセットされると、反応液M3が持ち上がりにくくくなる。このようにすることで、試薬ノズルHに反応液M3が付着することを防止することができる。従って、次検査へのコンタミネーションを防止することができる。
【0068】
また、第1実施形態によれば、試薬M1の量が検体M2に対して少ないか、又は、試薬M1の粘性が高い場合、試薬分注制御装置31は、試薬ノズルHの水平位置を反応容器Vの内壁側に位置させる。つまり、反応液M3が持ち上がりにくい条件では、気泡が発生しにくく、攪拌効率が良好な反応容器Vの内壁側に試薬ノズルHがセットされる。このようにすることで、試薬ノズルHに反応液M3が付着することを防止しつつ、気泡の発生低減及び攪拌効率の向上を実現することができる。
【0069】
そして、第1実施形態によれば、試薬M1の量が検体M2に対して少ない場合、試薬分注制御装置31は、試薬M1の量、試薬M1の粘性に応じて試薬ノズルHの高さを制御する。このようにすることで、気泡の発生、攪拌効率を制御することができる。
【0070】
また、試薬M1の量が検体M2の量より少なく、かつ、試薬M1の粘性が高い場合、試薬分注制御装置31は、試薬ノズルHの高さを反応液M3が付着しない高さまで下げる。このようにすることで、攪拌効率を向上させることができる。
さらに、試薬分注制御装置31は、試薬M1の量が検体M2の量より少なく、かつ、試薬M1の粘性が低い場合、試薬分注制御装置31は、試薬ノズルHの高さを反応液M3が付着しない高さまで上げる。このようにすることで、コンタミネーションを防止することができる。
【0071】
また、反応容器Vの内壁には凸部201が環状に設けられている。このようすることで、反応容器Vと試薬ノズルHとの間の隙間を試薬M1が毛細管現象で上ってくるのを凸部201で止めることができる。
【0072】
また、凸部201が設けられることにより、反応液M3の持ち上がりの高さを減少させることができる。それは、以下のような理由による。
凸部201が設けられておらず、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁に密着した状態で試薬M1が吐出されると、吐出された試薬M1は反応容器Vの内壁、底部に沿って移動する。そのため、反応容器Vの内壁との摩擦により吐出エネルギの損失が多少生じるものの、吐出エネルギの損失が少ない状態で吐出側とは反対側に到達する。そのため、吐出側とは反対側に生じる反応液M3の持ち上がりが大きくなる。
【0073】
これに対して、凸部201が設けられていると、試薬ノズルHは反応容器Vの内壁から若干離れた状態でセットされる。このような状態で試薬M1が吐出されると、試薬M1のほとんどは反応容器Vの内壁を沿わない状態で反応容器Vの底部に達する。従って、試薬M1のほとんどは反応容器Vの内壁からやや離れた場所で反応容器Vの底部に衝突した後、反応容器Vの底部に沿って吐出側とは反対側に達する。ここで、反応容器Vの底部に吐出された試薬M1が衝突した際に吐出エネルギの損失が生じる。従って、吐出側とは反対側に到達した試薬M1の運動エネルギは、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁に密着した状態で吐出された場合よりも小さくなる。すなわち、試薬ノズルHが反応容器Vの内壁に密着した状態で吐出された場合よりも持ち上がりが小さくなる。
【0074】
また、凸部201が設けられることにより、吐出された試薬M1と、反応容器Vの内壁との摩擦によるエネルギの損失がないため、攪拌効率を向上させることができる。
さらに、凸部201が設けられることにより、反応液M3の持ち上がりによるオーバフローも防止することができる。
【0075】
さらに、
図1に示すように、検体M2を血液、試薬M1を血液を凝固させる試薬とすることで、コンタミネーションを防止しつつ、血液凝固の測定を行う自動分析装置Zを実現することができる。
【0076】
さらに、第1実施形態によれば、試薬ノズルHの位置を制御するプログラムを変更するだけで、既存の自動分析装置Zを利用することができる。これにより、コストの削減が可能となる。
【0077】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態で用いられる試薬ノズルHのセット方法を示す図である。
図11に示すように、第2実施形態では先端が斜め形状となっている試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側にセットされている。さらに、試薬ノズルHの短手方向が反応容器Vの内壁へ向けられた状態で試薬ノズルHがセットされる。
この状態で試薬M1が吐出されると、
図11の破線円内に示されるように試薬ノズルHの短手方向側を流れる試薬M1が、反応容器Vの内壁との表面張力によって、反応容器Vの内壁に沿って流れる。
【0078】
より詳細には、以下のようになる。収納容器に設けられている凸部201によって反応容器Vの内壁と、試薬ノズルHとは、わずかに離間している。しかし、試薬ノズルHから吐出された試薬M1のうち、最も反応容器Vの内壁側を流れる試薬M1aは、試薬M1自身の表面張力により、凸部201によって生じる離間部を超えて反応容器Vの内壁に達する。その後、反応容器Vの内壁に達した試薬M1aは内壁を伝って流れる。
【0079】
すると、試薬ノズルHの中ほどを流れる試薬M1bも反応容器Vの内壁側を流れる試薬M1aに沿う形で反応容器Vの内壁を伝って流れる。
さらに、試薬ノズルHにおいて、反応容器Vの内壁側とは反対側を流れる試薬M1cも、試薬ノズルHの中ほどを流れる試薬M1bに沿う形で反応容器Vの内壁を伝って流れる。
結果として、試薬ノズルHから吐出される試薬M1は、反応容器Vの内壁を伝って流れる。
【0080】
このようにすることで、反応容器Vの内壁を伝って流れる試薬M1で攪拌を実施することができる。反応容器Vの内壁を伝って流れることで、反応容器Vの内壁との摩擦等により試薬M1の運動エネルギが減少するため、検体M2に試薬M1が衝突する速度を減速させることができる。これにより、反応液M3における気泡の発生及び反応液M3の持ち上がりを低減することができる。
【0081】
[第3実施形態]
図12は第3実施形態で用いられる試薬ノズルHのセット方法を示す図である。
図12に示すように、第3実施形態では先端が斜め形状となっている試薬ノズルHが反応容器Vの内壁側にセットされている。さらに、試薬ノズルHの長手方向が反応容器Vの内壁へ向られた状態で試薬ノズルHがセットされる。
この状態で、試薬M1が吐出されると、
図12の破線円内に示されるように第2実施形態(
図11)とは逆に、試薬M1が反応容器Vの内壁を伝うことなく攪拌を実施することができる。
【0082】
そのため、試薬M1が直接検体M2に向けて吐出される。すなわち、第2実施形態のように試薬M1の運動エネルギが減少することなく、試薬M1が検体M2に衝突する。そのため、攪拌効率を向上させることができる。
【0083】
[第2実施形態と第3実施形態の切り替え]
図13は、第2実施形態と第3実施形態の切替方法を示す図である。
図13における符号301に試薬ノズルHが位置する場合、試薬ノズルHは第2実施形態の形式となる。つまり、試薬ノズルHの短手方向が反応容器Vの内壁側を向いている。
また、符号302は、位置301に対して反応容器Vの反対側に試薬ノズルHが位置していることを示している。このとき、試薬ノズルHの短手方向、長手方向は、符号301と同じ方向を向いている。つまり、符号302に試薬ノズルHが位置する場合、試薬ノズルHは第3実施形態の形式となる。要するに、試薬ノズルHの長手方向が反応容器Vの内壁側を向いている。
【0084】
符号301の位置に試薬ノズルHがセットされるか、符号302の位置に試薬ノズルHがセットされるかは、試薬M1の量と、粘性とによる。
具体的には、以下の条件がコンピュータ43によって判定され、ノズルHのセット位置が決定される。
【0085】
(条件1)試薬M1の粘性が低く、検体M2よりも試薬M1の量が多い場合:位置301に試薬ノズルHがセットされる。
このような条件では、
図6に示すように攪拌効率が良好であるが、気泡が発生しやすく、持ち上がりが生じやすい。この場合、符号301に示すように、試薬ノズルHの短手方向が反応容器Vの内壁側に向けられる。前記したように、このようなセット方法だと、反応液M3における気泡の発生及び反応液M3の持ち上がりを低減することができる。
【0086】
(条件2)試薬M1の粘性が高く、検体M2よりも試薬M1の量が少ない場合:位置302に試薬ノズルHがセットされる。
このような条件では、
図6に示すように気泡が発生しにくく、持ち上がりが生じにくいが、攪拌効率が悪い。この場合、符号302に示すように、試薬ノズルHの長手方向が反応容器Vの内壁側に向けられる。前記したように、このようなセット方法だと、試薬M1の運動エネルギが減少することなく、試薬M1が検体M2に衝突する。そのため、攪拌効率を向上させることができる。
【0087】
なお、少量の不純物の混合によっても測定結果に大きな影響が生じる場合、符号301の位置に試薬ノズルHがセットされてもよい。このようにすることで、試薬M1の運動エネルギを減少させた状態で検体M2に衝突させることができる。このようにすることで、静かな混合を行うことが可能となる。試薬M1の運動エネルギを減少させた状態で検体M2に衝突することで、衝突の際に不純物が混入することを抑制することができる。
【0088】
なお、ここでは、反応容器Vに対する試薬ノズルHのセット位置によって試薬ノズルHの短手方向が内壁側になるか、長手方向が内壁側になるかが選択されている。しかし、これに限らず、試薬分注装置106が試薬ノズルHの向きを変えることによって、試薬ノズルHの短手方向が内壁側になるか、長手方向が内壁側になるかが選択されてもよい。
【0089】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態で用いられる複合型分析装置1aを示す図である。
図14に示される複合型分析装置1aは、
図1に示す分析装置1に生化学分析機能が付与された複合型である。
図14に示す複合型分析装置1aは、
図1の血液凝固時間を測定する分析装置1の構成に加え、反応ディスク141、第1試薬サンプリング装置132a、第2試薬サンプリング装置132b、を有している。さらに、複合型分析装置1aは、第1試薬ディスク121a、第2試薬ディスク121b、反応セル洗浄装置142を有している。また、複合型分析装置1aは、光度計(第2の検出部)143と、反応セル144とを有する反応ディスク141を有する。
【0090】
複合型分析装置1aは、以下の手順で生化学分析及び血液凝固時間の測定を行う。
まず、第1試薬ディスク121a、第2試薬ディスク121bには試薬が搭載されている。そして、第1試薬サンプリング装置132a、第2試薬サンプリング装置132bが、血液凝固の試薬を吸引し、反応セル144に吐出する。
【0091】
具体的には、第1試薬サンプリング装置132aによって第1試薬ディスク121aの第1試薬容器122aに格納されている第1試薬(第3の液体物質)が反応セル144に吐出される。その後、第2試薬サンプリング装置132bによって第2試薬ディスク121bの第2試薬容器122bに格納されている第2試薬(第4の液体物質)が反応セル144に吐出される。そして、反応セル144における第1試薬と、第2試薬との反応(生化学反応)が光度計143によって計測される。
【0092】
第1試薬と、第2試薬との反応の計測が終了すると、
図1と同様の手順により、凝固時間検出部102における反応容器V(検体注入済み)へ第1試薬と第2試薬との反応液が吐出される。
第1試薬と第2試薬との分注が完了した反応セル144は反応セル洗浄装置142によって洗浄される。
反応ディスク141には、図示しない温調部が備えられており、反応セル144中の第1試薬と、第2試薬との反応液を温めている。
また、血液凝固測定では、試薬が37℃付近で温度調整されていることが望ましい。反応セル144は37℃付近に恒温されているため、試薬を37℃付近までプレヒートすることができる。37℃付近までプレヒートされた反応セル144内の試薬は試薬分注装置106で吸引される。その後、
図1に示す自動分析装置Zが、
図2と同様の手順で血液凝固測定を行う。従って、予め検体に分注される試薬(第1試薬と、第2試薬との反応液)が温められているため、プレヒートの時間を短縮することができる。
【0093】
このようにすることで、生化学分析及び血液凝固分析を行う複合型分析装置1aを実現することができる。
【0094】
なお、試薬ノズルHの先端形状を斜め形状とすると、
図15のように反応セル144の底面と試薬ノズルHとの間に隙間が生まれ、
図15の破線円内に示されるように試薬を効率よく吸引することができる。この結果、試薬のデッドボリュームを低減することができる。
【0095】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0096】
また、前記した各構成、機能、記憶装置45等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、
図1に示すように、前記した各構成、機能等は、コンピュータ43におけるCPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HDに格納すること以外に、記憶装置45や、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。