(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Yを線形近似した直線が、X=0.10〜0.25(μm)において下記関係式(I)を満たす、請求項1に記載のフロートガラス。
Y=aX+b (I)
〔式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X:ガラス最表面からの深さ(μm)
a:−2.700以上
b:0.700以下〕
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”とは同義である。
【0014】
<フロートガラス>
本発明のフロートガラスは、フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面とを有する。
フロート法によるガラスの製造においては、フロートバスに貯留された溶融金属の表面に上流側から溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを成形しつつ該フロートバスの下流側端部から成形後のガラスリボンを引き出し、レアーで徐冷することにより板ガラスを製造する。
ここで、製造工程においてローラーと接触することにより、ボトム面は傷がつきやすく、このことが強度低下の一因と考えられる。
【0015】
(サミット密度(Sds))
本発明のフロートガラスは、ボトム面のサミット密度(Sds)が4700以下であり、好ましくは3500以下である。ボトム面のサミット密度(Sds)がかかる範囲であることで、面強度の低下が抑制されたフロートガラスとすることができる。
サミット密度(Sds:Summit Density)とは、単位面積(1μm
2)あたりの高さが極大となるポイントの数(=頂点数)を表す。すなわち、Sdsが低いほど、ガラス表面の平坦性は高く、外圧によるクラック生成の起点と成り得る凹みの数が少ないと言える。このため、Sdsが低いほど、ガラスの面強度が高いと考えられる。
本発明において、ボトム面のサミット密度(Sds)は、下記に示すように原子間力顕微鏡(AFM)により形状像を取得した後、画像解析ソフトにより求めることができる。
〔AFM測定条件および画像解析ソフトの解析手順〕
初めに、原子間力顕微鏡(AFM、Atomic Force Microscope)(XE−HDM;Park systems社製)、測定モード:ノンコンタクトモード、スキャンサイズ:1μm×0.5μm、ピクセル数:256×128、カラースケール:±0.5nm、スキャン速度:1Hz、カンチレバー:Non−Contact Cantilever(Item:PPP−NCHR 10M;Park systems社製)により形状像を取得する。その後、AFM装置に付属されている画像解析ソフト(XEI)により、形状像のX方向、Y方向それぞれで平坦化処理を実施する。さらに、平坦化処理された形状像を、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIP6.2.6)を用い、形状像のL−フィルタリング処理(ISO値2.0μm)を実施し、ラフネス解析によりサミット密度(Sds)を求める。
【0016】
(水素濃度プロファイル)
本発明に係るフロートガラスは、ガラスの最表面からの一定の深さ領域における水素濃度が後述する関係式(I)を満たすことが好ましい。
本発明のフロートガラスは、ガラス表層における水素濃度プロファイルが特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、ガラスの最表面からの深さXの領域における水素濃度Yを近似した直線が、X=0.10〜0.25(μm)において下記関係式(I)を満たすことが好ましい。
Y=aX+b (I)
〔式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y:水素濃度(H
2O換算、mol/L)
X:ガラスの最表面からの深さ(μm)
a:−2.700以上
b:0.700以下〕
【0017】
ガラスの強度に関し、ガラス中の水素(水分)の存在によってガラスの強度が低下することは知られている。ボトム面における強度低下は、製造工程においてローラーと接触することにより発生する傷が主原因と考えられるが、その他に、製造工程において雰囲気中からガラスに侵入する水分も原因となっていることを、本発明者らは見出した。
ガラス中の水素濃度が高いと、ガラスのSi−O−Siの結合ネットワークの中に水素がSi−OHの形で入り、Si−O−Siの結合が切れる。ガラス中の水素濃度が高いとSi−O−Siの結合が切れる部分が多くなり、化学的欠陥が生成され易くなり、強度が低下すると考えられる。
【0018】
上記関係式(I)は、最表面からの深さX=0.10〜0.25μmの領域において成り立つものである。最表面(X=0μm)では、経時変質により水分濃度が変化する可能性があるため、その影響がないと考えられる近表面(X=0.10〜0.25μm)の領域において成り立つものとした。
【0019】
式(I)において、aは水素濃度の低下具合を規定する傾きである。aの範囲は−2.700以上であり、好ましくは−1.500以上であり、より好ましくは−0.180以上である。
式(I)において、bは最表面(X=0μm)における水素濃度に相当する。bの範囲は0.700以下であり、好ましくは0.000〜0.400であり、より好ましくは0.000〜0.120であり、さらに好ましくは0.000〜0.100である。
【0020】
一般的に、ガラスの強度低下は、外部からの機械的な圧力によりガラス表面に存在する微小クラックが伸展することが原因と考えられている。文献(Won−Taek Han et.al.,“Effect of residual water in silica glass on static fatigue”,Journal of Non−Crystalline Solids,127,(1991)97−104)によれば、クラックの先端のガラス構造がSi−OHリッチな状態であるほど、クラックが伸展しやすいと考察されている。クラックの先端が雰囲気中に暴露されていると仮定すれば、クラックの先端のSi−OH量は、ガラス最表面の水素濃度と正の相関を示すと推測される。従って、最表面の水素濃度に相当するbは上記に示す程度の低い範囲が好ましい。
水素の侵入深さはガラス組成、フロート製造条件、後述する無機塩と接触させる条件などに依存して変化する可能性が高いが、仮に変化しないとすれば、最表面の水素濃度に相当するbと水素濃度の低下具合を規定する傾きに相当するaには負の相関が現れる。従って、aは上記に示す程度の高い範囲が好ましい。
【0021】
〔水素濃度プロファイル測定方法〕
ここで、ガラスの水素濃度プロファイル(H
2O濃度、mol/L)とは以下の分析条件下で測定したプロファイルである。
ガラス基板の水素濃度プロファイルの測定には二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometory:SIMS)を用いた。SIMSにて定量的な水素濃度プロファイルを得る場合には、水素濃度既知の標準試料が必要である。標準試料の作製方法および水素濃度定量方法を以下に記す。
1)測定対象のガラス基板の一部を切り出す。
2)切り出したガラス基板の表面から50μm以上の領域を研磨あるいはケミカルエッチングによって除去する。除去処理は両面とも行う。すなわち、両面での除去厚みは100μm以上となる。この除去処理済みガラス基板を標準試料とする。
3)標準試料について赤外分光法(Infrared spectroscopy:IR)を実施し、IRスペクトルの3550cm
−1付近のピークトップの吸光度高さA
3550および4000cm
−1の吸光度高さA
4000(ベースライン)を求める。
4)標準試料の板厚d(cm)をマイクロメーターなどの板厚測定器を用いて測定する。5)文献Aを参考に、ガラスのH
2Oの赤外実用吸光係数ε
pract(L/(mol・cm))を75とし、式IIを用いて標準試料の水素濃度(H
2O換算、mol/L)を求める。
標準試料の水素濃度 = (A
3550−A
4000)/(ε
pract・d)・・・式II
文献A)S.Ilievski et al.,Glastech.Ber.Glass Sci.Technol.,73(2000)39.
【0022】
測定対象のガラス基板と上記の方法によって得られた水素濃度既知の標準試料を同時にSIMS装置内へ搬送し、順番に測定を行い、
1H
−および
30Si
−の強度の深さ方向プロファイルを取得する。その後、
1H
−プロファイルから
30Si
−プロファイルを除して、
1H
−/
30Si
−強度比の深さ方向プロファイルを得る。標準試料の
1H
−/
30Si
−強度比の深さ方向プロファイルより、深さ0.70μmから0.85μmまでの領域における平均
1H
−/
30Si
−強度比を算出し、この値と水素濃度との検量線を、原点を通過するように作成する(1水準の標準試料での検量線)。この検量線を用い、測定対象のガラス基板のプロファイルの縦軸の
1H
−/
30Si
−強度比を水素濃度へ変換する。これにより、測定対象のガラス基板の水素濃度プロファイルを得る。なお、SIMSおよびIRの測定条件は以下の通りである。
【0023】
〔SIMSの測定条件〕
装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
+
一次イオンの加速電圧:5kV
一次イオンの電流値:50nA
一次イオンの入射角:試料面の法線に対して60°
一次イオンのラスターサイズ:300×300μm
2
二次イオンの極性:マイナス
二次イオンの検出領域:60×60μm
2(一次イオンのラスターサイズの4%)
中和銃の使用:有
横軸をスパッタ時間から深さへ変換する方法:分析クレータの深さを触針式表面形状測定器(Veeco社製Dektak150)によって測定し、一次イオンのスパッタレートを求める。このスパッタレートを用いて、横軸をスパッタ時間から深さへ変換する。
1H
−検出時のField Axis Potential:装置ごとに最適値が変化する可能性がある。バックグラウンドが十分にカットされるように測定者が注意しながら値を設定する。
【0024】
〔IRの測定条件〕
装置:Thermo Fisher Scientific社製Nic−plan/Nicolet 6700
分解能:4cm
−1
積算:16
検出器:TGS検出器
【0025】
上記分析条件により測定したガラスの水素濃度プロファイル(H
2O濃度、mol/L)から関係式(I)を導くには、以下の手順による。
図3及び
図4に示す通り、Xが0.10から0.25μmの深さ領域の水素濃度プロファイルに対して線形近似を行う。得られた近似直線の式を関係式(I)とする。
また、a及びbを制御する手段としては、例えば、無機塩接触時の塩濃度、温度、時間等を変更することが挙げられる。
【0026】
(表面研磨傷)
本発明に係るフロートガラスは、表面に研磨傷を有さない。ここで、本発明における研磨とは、砥粒を用いてガラス表面を削ることにより平滑化することをいう。また、研磨傷の有無はAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)による表面観察によって判別することができ、10μm×5μm領域内に長さ5μm以上幅0.1μm以上のスクラッチが2本以上存在しないという場合に、表面に研磨傷がない状態ということができる。
図8に、表面研磨傷を有する状態を、
図9に、表面研磨傷を有さない状態をそれぞれ示す。
【0027】
(ガラス面強度)
本発明のフロートガラスの強度(面強度)は、ボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験により評価することができる。
【0028】
(ボールオンリング試験)
本発明のフロートガラスは、ガラス板を直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重するBOR試験により測定したBOR面強度F(N)で評価する。
【0029】
図2に、本発明で用いたBOR試験を説明するための概略図を示す。BOR試験では、ガラス板1を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の面強度を測定する。
【0030】
図2において、SUS304製の受け治具3(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス板1が水平に設置されている。ガラス板1の上方には、ガラス板1を加圧するための、加圧治具2が設置されている。
【0031】
本実施の形態においては、実施例及び比較例後に得られたガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧する。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR面強度とし、20回の測定の平均値をBOR平均面強度とする。ただし、ガラス板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
【0032】
<フロートガラスの製造方法>
本発明に係るフロートガラスを製造する方法の一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0033】
本発明で使用されるガラスは種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。
【0034】
ガラスの製造方法はフロート法により成形されるものであれば特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、フロート成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
【0035】
ガラスの厚みは特に制限されるものではないが、本発明のフロートガラスを、後に化学強化処理を行う場合は、当該処理を効果的に行うために通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。また、後述する酸処理による面強度の向上効果が特に現れる観点から、板厚が1mm以下であることがさらに好ましく、0.7mm以下であることが特に好ましい。
【0036】
本発明のフロートガラスの組成としては特に限定されないが、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)モル%で表示した組成で、SiO
2を50〜80%、Al
2O
3を2〜25%、Li
2Oを0〜10%、Na
2Oを0〜18%、K
2Oを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrO
2を0〜5%含有するガラス
(ii)モル%で表示した組成で、SiO
2を50〜74%、Al
2O
3を1〜10%、Na
2Oを6〜14%、K
2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO
2を0〜5%含有し、SiO
2およびAl
2O
3の含有量の合計が75%以下、Na
2OおよびK
2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成で、SiO
2を68〜80%、Al
2O
3を4〜10%、Na
2Oを5〜15%、K
2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO
2を0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成で、SiO
2を67〜75%、Al
2O
3を0〜4%、Na
2Oを7〜15%、K
2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO
2を0〜1.5%含有し、SiO
2およびAl
2O
3の含有量の合計が71〜75%、Na
2OおよびK
2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
(v)モル%で表示した組成で、SiO
2を56〜71%、Al
2O
3を5〜15%、B
2O
3を0〜3%、Li
2Oを0.1〜10%、Na
2Oを0〜10%、K
2Oを0〜5%、MgOを0〜13%、CaOを0〜21%、SrOを0〜3%およびBaOを0〜3%含有するガラス
【0037】
本発明の製造方法においては、フロート法により成形されたガラスと、後述する特定の塩を含み、使用するガラス組成に応じてK/Na質量比率又はNa/Li質量比率を調整した無機塩とを接触させる。無機塩にガラスを接触させる方法としては、ペースト状の無機塩を塗布する方法、無機塩の水溶液をガラスに噴射する方法、融点以上に加熱した溶融塩の塩浴にガラスを浸漬させる方法などが可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させる方法が望ましい。
【0038】
無機塩としては、ガラスの歪点(通常500〜600℃)以下に融点を有するものが好ましく、本発明においては硝酸カリウム(融点330℃)、硝酸ナトリウム(融点308℃)のいずれか一方または両方を含有する塩が好ましい。硝酸カリウム、硝酸ナトリウムを含有することでガラスの歪点以下で溶融状態であり、かつ使用温度領域においてハンドリングが容易となることから好ましい。無機塩における硝酸カリウム、硝酸ナトリウムの含有量は50質量%以上であることが好ましい。
【0039】
ガラスがKを含む場合、無機塩はさらに、K
2CO
3、Na
2CO
3、KHCO
3、NaHCO
3、K
3PO
4、Na
3PO
4、K
2SO
4、Na
2SO
4、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含有することが好ましい。中でもK
2CO
3、Na
2CO
3、KHCO
3及びNaHCO
3からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含有することがより好ましい。
【0040】
また、ガラスがLiを含む場合、無機塩はLi
2CO
3、LiHCO
3、Li
3PO
4、Li
2SO
4及びLiOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含有することが好ましい。中でもLi
2CO
3及びLiHCO
3の少なくとも一方の塩を含有することがより好ましい。
【0041】
硝酸カリウム及び硝酸ナトリウム以外の上記塩(以下、「融剤」と称することもある。)は、Si−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークを切断する性質を有する。ガラスのSi−O間の共有結合が適度に切断されることで、後述する低密度化処理が進行しやすくなる。
【0042】
なお、共有結合を切断する度合いはガラス組成や用いる塩(融剤)の種類、無機塩を接触させる温度、時間等の処理条件によっても異なるが、Siから伸びている4本の共有結合のうち、1〜2本の結合が切れる程度の条件を選択することが好ましいものと考えられる。
【0043】
融剤の添加量は除去量確保の点から0.1mol%以上が好ましく、0.5mol%以上がさらに好ましく、1mol%以上がより好ましく、2mol%以上が特に好ましい。また生産性の観点から各塩の飽和溶解度以下が好ましい。また、過剰に添加するとガラスの腐食につながるおそれがある。例えば、融剤としてK
2CO
3を用いる場合には、24mol%以下が好ましく、12mol%以下がより好ましく、8mol%以下が特に好ましい。
【0044】
例えば融剤としてK
2CO
3を混合して用いる場合には、無機塩における融剤の含有量を0.1mol%以上とし、24mol%以下が好ましく、12mol%以下がより好ましく、8mol%以下が特に好ましい。また、ガラス接触温度を350〜500℃とすると、ガラス接触時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。
【0045】
例えば融剤としてNa
2CO
3を混合して用いる場合には、無機塩における融剤の含有量を0.1mol%以上とし、24mol%以下が好ましく、12mol%以下がより好ましく、8mol%以下が特に好ましい。また、ガラス接触温度を350〜500℃とすると、ガラス接触時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。
【0046】
無機塩は、融剤の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の化学種を含んでいてもよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のアルカリ塩酸塩やアルカリホウ酸塩などが挙げられる。これらは単独で添加しても、複数種を組み合わせて添加してもよい。
【0047】
本発明の製造方法において、上記無機塩の組成は、ガラス組成中のK/Na質量比率と除去量確保に必要な融剤濃度とで算出される。無機塩中のK/Na質量比率が、ガラス組成中のK/Na質量比率と同程度となるように上記無機塩を調合する。また、その無機塩は、上記した融剤を含む。ここで、無機塩中のK/Na質量比率をA、ガラス組成のK/Na質量比率をBとしたときに、A≧0を満たし、かつ、AとBとの差(A−B)が−0.30〜+1.00の範囲であり、0.00〜+0.30の範囲がより好ましい。上記を満たすK/Na質量比率の無機塩では、ガラスと接触させてもガラスに圧縮応力層は形成されない。無機塩中のK/Na質量比率は、例えば無機塩にNaNO
3、KNO
3、及び上記した融剤等を添加することによって調整することができる。
【0048】
Liを含むガラスについては、Na/Li質量比率を調整することで同様の効果が得られる。すなわち、無機塩中のNa/Li質量比率が、ガラス組成中のNa/Li質量比率と同程度となるように上記無機塩を調合する。また、その無機塩は、上記した融剤を含む。ここで、無機塩中のNa/Li質量比率をC、ガラス組成のNa/Li質量比率をDとしたときに、C≧0を満たし、かつ、CとDとの差(C−D)が−0.30〜+1.00の範囲であり、0.00〜+0.30の範囲がより好ましい。
【0049】
以下、NaNO
3及びKNO
3のいずれか一方または両方と、融剤としてNa
2CO
3とを添加した溶融状態の無機塩に、ガラスを浸漬させることで無機塩と接触させる態様を例に、本発明の製造方法を説明する。
【0050】
(溶融塩の製造1)
溶融塩は下記に示す工程により製造することができる。
工程1a:硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を含有する溶融塩の調製
工程2a:硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を含有する溶融塩への融剤の添加
【0051】
(工程1a−硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を含有する溶融塩の調製−)
工程1aでは、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を含有する塩を容器に投入し、融点以上の温度に加熱して溶融することで、溶融塩を調製する。溶融は硝酸ナトリウムの融点(308℃)または硝酸カリウムの融点(330℃)とガラスの歪点(500〜600℃)の範囲内の温度で行う。特に溶融温度を350〜500℃とすることが、除去量確保とガラスの変形を抑制する点からより好ましい。
【0052】
硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を溶融する容器は、金属、石英、セラミックスなどを用いることができる。中でも、耐久性の観点から金属材質が望ましく、耐食性の観点からはステンレススチール(SUS)材質が好ましい。
【0053】
(工程2a−硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を含有する溶融塩への融剤の添加−)
工程2aでは、工程1aで調製した硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのいずれか一方または両方を含有する溶融塩中に、先述した融剤を添加し、温度を一定範囲に保ちながら、攪拌翼などにより、全体が均一になるように混合する。複数の融剤を併用する場合、添加順序は限定されず、同時に添加してもよい。
温度は硝酸ナトリウムもしくは硝酸カリウムの融点以上、すなわち308℃もしくは330℃以上が好ましく、350〜500℃がより好ましい。また、攪拌時間は1分〜10時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。
【0054】
(溶融塩の製造2)
上記の溶融塩の製造1では、硝酸ナトリウムの溶融塩の調製後に融剤を加える方法を例示したが、溶融塩はまた、下記に示す工程により製造することができる。
工程1b:硝酸ナトリウムと硝酸カリウムのいずれか一方または両方と融剤の混合
工程2b:硝酸ナトリウムと硝酸カリウムのいずれか一方または両方と融剤との混合塩の溶融
【0055】
(工程1b−硝酸ナトリウムと硝酸カリウムのいずれか一方または両方と融剤の混合−)
工程1bでは、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムのいずれか一方または両方と融剤とを容器に投入して、攪拌翼などにより混合する。複数の融剤を併用する場合、添加順序は限定されず、同時に添加してもよい。容器は上記工程1aで用いるものと同様のものを用いることができる。
【0056】
(工程2b−硝酸ナトリウムと硝酸カリウムのいずれか一方または両方と融剤との混合塩の溶融−)
工程2bでは、工程1bにより得られる混合塩を加熱して溶融する。溶融は硝酸ナトリウムの融点(308℃)、硝酸カリウムの融点(330℃)とガラスの歪点(500〜600℃)の範囲内の温度で行う。特に溶融温度を350〜500℃とすることが、除去量確保とガラスの変形を抑制する点からより好ましい。攪拌時間は1分〜10時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。
【0057】
上記工程1a及び工程2a又は工程1b及び工程2bを経て得られる溶融塩において、融剤の添加により析出物が発生する場合には、ガラスを浸漬する前に、当該析出物が容器の底に沈殿するまで静置する。この析出物には、飽和溶解度を超えた分の融剤や、融剤のカチオンが溶融塩中で交換された塩が含まれる。
【0058】
次に、調製した溶融塩に浸漬する。具体的には、下記工程3により行うことができる。
工程3:ガラスの無機塩への接触処理
ガラスを溶融状態の無機塩に接触させることで、ガラス表面ではSi−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークが切断される。
【0059】
(工程3−ガラスの接触処理−)
工程3では、ガラスを予熱し、上記工程1a及び工程2a又は工程1b及び工程2bで調製した溶融塩を、所定の温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラスを溶融塩中から引き上げ、放冷する。なお、ガラスには、浸漬処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行ってもよい。
【0060】
ガラスの予熱温度は、溶融塩に浸漬する温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
【0061】
浸漬温度は、ガラスの変形を抑制する点から500℃以下が好ましく、除去量確保の点から350℃以上が好ましい。
【0062】
ガラスの溶融塩への浸漬時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。かかる範囲にあれば、Si−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークが切断される。
【0063】
本発明の製造方法では続いて、ガラスと無機塩との接触処理後に下記工程を行う。
工程4:ガラスの洗浄
工程5:工程4を経た後のガラスの酸処理
上記工程5まで経た時点で、ガラス表面には表層が変質した、具体的にはガラスの中心に存在する中間層30(バルク)よりも低密度化された、低密度層10を有することとなる[
図1(a)〜
図1(b)]。低密度層とは、ガラスの最表面からNaやKが抜け(リーチングし)、代わりにHが入り込む(置換する)ことによって形成される。
以下、工程4及び工程5について詳述する。
【0064】
(工程4−ガラスの洗浄−)
工程4では工水、イオン交換水等を用いてガラスの洗浄を行う。中でもイオン交換水が好ましい。洗浄の条件は用いる洗浄液によっても異なるが、イオン交換水を用いる場合には0〜100℃で洗浄することが付着した塩を完全に除去させる点から好ましい。
【0065】
(工程5−酸処理−)
工程5では、工程4で洗浄したガラスに対して、さらに酸処理を行う。
ガラスの酸処理とは、酸性の溶液中に、ガラスを浸漬させることによって行い、これによりガラス表面のNa及び/又はKをHに置換することができる。
溶液は酸性であれば特に制限されずpH7未満であればよく、用いられる酸が弱酸であっても強酸であってもよい。具体的には塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、炭酸及びクエン酸等の酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
酸処理を行う温度は、用いる酸の種類や濃度、時間によっても異なるが、100℃以下で行うことが好ましい。
酸処理を行う時間は、用いる酸の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒〜5時間が生産性の点から好ましく、1分〜2時間がより好ましい。
酸処理を行う溶液の濃度は、用いる酸の種類や時間、温度によって異なるものの、容器腐食の懸念が少ない濃度が好ましく、具体的には0.05重量%〜20重量%が好ましい。
【0067】
低密度層は、後述するアルカリ処理により除去されるため、低密度層が厚いほどガラス表面が除去されやすい。したがって低密度層の厚みはガラス表面除去量の観点から5nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。低密度層の厚みは接触処理工程における融剤濃度、温度、時間等により制御することができる。
【0068】
低密度層の密度はガラス表面除去性の観点から、ガラス中心部の深い領域(バルク)の密度に比べて低いことが好ましい。
【0069】
低密度層の厚みはX線反射率法(X−ray−Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。
低密度層の密度はXRRによって測定した臨界角(θc)により求めることができる。
なお、簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、低密度層の形成と層の厚みを確認することも可能である。
【0070】
本発明の製造方法では続いて、酸処理後に下記工程を行う。
工程6:アルカリ処理
上記工程6により、工程5までに形成された低密度層の一部又は全部を除去することができる[
図1(b)〜
図1(c)]。
以下、工程6について詳述する。
【0071】
(工程6−アルカリ処理−)
工程6では、工程5で酸処理したガラスに対して、さらにアルカリ処理を行う。
アルカリ処理とは、塩基性の溶液中に、ガラスを浸漬させることによって行い、これにより低密度層の一部又は全部を除去することができる。
溶液は塩基性であれば特に制限されずpH7超過であればよく、弱塩基を用いても強塩基を用いてもよい。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基が好ましい。これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
アルカリ処理を行う温度は、用いる塩基の種類や濃度、時間によっても異なるが、0〜100℃が好ましく、10〜80℃がより好ましく、20〜60℃が特に好ましい。かかる温度範囲であればガラスが腐食するおそれがなく好ましい。
アルカリ処理を行う時間は、用いる塩基の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒間〜5時間が生産性の点から好ましく、1分間〜2時間がより好ましい。
アルカリ処理を行う溶液の濃度は、用いる塩基の種類や時間、温度によって異なるものの、ガラス表面除去性の観点から0.1重量%〜20重量%が好ましい。
【0073】
上記アルカリ処理により、Hが侵入した低密度層の一部又は全部が除去され、サミット密度(Sds)が特定の範囲にある表層が露出する。これにより面強度が向上したガラスを得ることができる。さらに、低密度層が除去されることでガラスのボトム面に存在していた傷も同時に除去されるので、この点も強度向上に寄与すると考えられる。
【0074】
上記酸処理工程5およびアルカリ処理工程6の間や、アルカリ処理工程6の終了後に、工程4と同様の洗浄工程を有することが好ましい。
【0075】
本発明の製造方法によれば取り扱う薬液の安全性が高いため特別な設備を必要としない。したがって、面強度が格段に向上したフロートガラスを安全かつ効率的に得ることができる。
【0076】
なお、除去される低密度層の量は、アルカリ処理の条件による。
図1(c)には、低密度層10が全て除去された態様を示すが、低密度層10の一部が除去され一部が残存していてもよい。強度向上の観点からは、低密度層の全部が取り除かれずとも効果を得ることができるが、ガラスの透過率を安定的に確保する観点から低密度層の全部を取り除くことが好ましい。
【0077】
(化学強化)
本発明に係るフロートガラスは、化学強化処理に適用可能である。本発明の製造方法によってフロートガラスを得た後に、通常の化学強化処理を行い、化学強化ガラスを製造することができる。
【実施例】
【0078】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0079】
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
【0080】
(ガラスの評価:サミット密度(Sds))
前述の〔AFM測定条件および画像解析ソフトの解析手順〕にて記載した方法に従い、サミット密度(Sds)を求めた。
【0081】
(ガラスの評価:除去量)
ガラスの除去量厚みは、薬液処理前後の重量を分析用電子天秤(HR−202i;AND製)により測定し、次の式を用いて厚み換算することにより求めた。
(片面あたりの除去量厚み)=((処理前重量)−(処理後重量))/(ガラス比重)/処理面積/2
【0082】
(ガラスの評価:面強度)
前述の〔ボールオンリング試験〕にて記載した方法に従い、ガラス面強度を測定した。
【0083】
(ガラスの評価:水素濃度)
前述の〔水素濃度プロファイル測定方法〕にて記載した方法に従い、水素濃度プロファイルを測定し、関係式(I)を導出した。
【0084】
下記各試験例のうち、例1−1、1−2、2−1、2−2、3−1及び3−2は実施例であり、例1−3、2−3及び3−3は比較例である。
【0085】
<例1−1>
(無機塩とガラスとの接触工程)
SUS製のカップに硝酸ナトリウム938g、硝酸カリウム429g、炭酸ナトリウム33gを加え、マントルヒーターで430℃まで加熱して、K/Na質量比率0.62の溶融塩を調製した。フロート法により形成された50mm×50mm×0.56mmのガラスAを用意し、350℃に予熱した後、430℃の溶融塩に1時間浸漬し、室温付近まで冷却することにより接触処理を行った。得られたガラスは水洗いし、次の工程に供した。
ガラスA組成(モル%表示):SiO
2 64.4%、Al
2O
3 8.0%、Na
2O 12.5%、K
2O 4.0%、MgO 10.5%、CaO 0.1%、SrO 0.1%、BaO 0.1%、ZrO
2 0.5%
ガラスA比重(g/cm
3):2.48
【0086】
(酸処理工程)
6.0重量%の硝酸(HNO
3;関東化学社製)をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記接触処理工程で得られたガラスを、調整した塩酸中に120秒間浸漬させ、酸処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。こうして得られたガラスを次の工程に供した。
【0087】
(アルカリ処理工程)
4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸処理工程で得られたガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
以上より、例1−1のフロートガラスを得た。
【0088】
<例1−2>
無機塩との接触処理において、450℃の溶融塩に2時間浸漬した点以外は例1−1と同様に、例1−2のフロートガラスを得た。
【0089】
<例1−3>
無機塩との接触処理、酸処理、および、アルカリ処理を実施していない点以外は例1−1同様に、例1−3のフロートガラスを得た。
【0090】
<例2−1>
SUS製のカップに硝酸ナトリウム1365g、炭酸ナトリウム35gを加え、マントルヒーターで430℃まで加熱して、K/Na質量比率0.0の溶融塩を調製した。フロート法により形成された50mm×50mm×0.56mmのガラスBを用意し、350℃に予熱した後、430℃の溶融塩に1時間浸漬し、室温付近まで冷却することにより接触処理を行った。得られたガラスは水洗いし、次の工程に供した。
ガラスB組成(モル%表示):SiO
2 68%、Al
2O
3 10%、Na
2O 14%、MgO 8%
ガラスB比重(g/cm
3):2.41
酸処理とアルカリ処理は例1−1と同様に行い、例2−1のフロートガラスを得た。
【0091】
<例2−2>
無機塩との接触処理において、450℃の溶融塩に2時間浸漬した点以外は例2−1と同様に、例2−2のフロートガラスを得た。
【0092】
<例2−3>
無機塩との接触処理、酸処理、および、アルカリ処理を実施していない点以外は例2−1と同様に、例2−3のフロートガラスを得た。
【0093】
<例3−1>
SUS製のカップに硝酸ナトリウム5280g、硝酸カリウム84g、炭酸ナトリウム136gを加え、マントルヒーターで430℃まで加熱して、K/Na質量比率0.02の溶融塩を調製した。フロート法により形成された50mm×50mm×0.7mmのガラスCを用意し、350℃に予熱した後、430℃の溶融塩に1時間浸漬し、室温付近まで冷却することにより接触処理を行った。得られたガラスは水洗いし、次の工程に供した。
ガラスC組成(モル%表示):SiO
2 68.5%、Al
2O
3 5%、Na
2O 14.6%、MgO 4.1%、CaO 7.3%、K
2O 0.2%
ガラスC比重(g/cm
3):2.5
酸処理とアルカリ処理は例1−1と同様に行い、例3−1のフロートガラスを得た。
【0094】
<例3−2>
無機塩との接触処理において、450℃の溶融塩に2時間浸漬した点以外は例3−1と同様に、例3−2のフロートガラスを得た。
【0095】
<例3−3>
無機塩との接触処理、酸処理、および、アルカリ処理を実施していない点以外は例3−1同様に、例3−3のフロートガラスを得た。
【0096】
上記により得られた各フロートガラスの評価結果を表1に示す。
なお、ガラスの面強度については、例1−1及び例1−2に関しては例1−3の面強度を1としたとき、例2−1及び例2−2に関しては例2−3の面強度を1としたとき、例3−1及び例3−2に関しては例3−3の面強度を1としたときの、それぞれ相対比で表す。
また、
図5〜7に、各例で得られた各フロートガラスの表層の水素濃度プロファイルをプロットしたグラフを示す。
【0097】
【表1】
【0098】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2015年1月20日出願の日本特許出願(特願2015−008850)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。