(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板載置部は、前記基板を支持するための第1の基板支持部と、前記第1の基板支持部に接続されて前記基板の外径よりも大きい径を有する複数の環状部と、前記複数の環状部と接続され、前記環状部同士を結合する腕部によって構成される請求項1に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記第1の処理温度を100℃以上450℃以下であって、前記第2の処理温度を300℃以上700℃以下となるように前記第1の加熱装置と前記第2の加熱装置とを制御する請求項1に記載の基板処理装置。
基板を第1の処理温度まで加熱する第1の加熱装置と、前記第1の加熱装置を備えた第1の処理室と、前記基板をマイクロ波によって前記第1の処理温度よりも高い第2の処理温度まで加熱する第2の加熱装置と、前記第2の加熱装置を備えた第2の処理室と、前記基板を載置しつつ回転することによって、前記第1の処理室と前記第2の処理室に前記基板を搬入出する基板載置部と、前記第1の加熱装置と前記第2の加熱装置および前記基板載置部をそれぞれ制御する制御部と、を有する基板処理装置を用いる半導体装置の製造方法であって、
前記基板を前記第1の処理室に搬入し、前記第1の処理温度に加熱する第1の加熱工程と、
前記基板を前記第1の処理室から前記第2の処理室に移載し、前記基板を前記第2の加熱装置から供給されたマイクロ波によって前記第2の処理温度に加熱する第2の加熱工程と、を有し、
前記第1の加熱工程と前記第2の加熱工程とを交互に所定回数行う半導体装置の製造方法。
前記第2の加熱工程では、前記第2の処理温度を前記基板のキャリア密度の変化が少ない温度帯となるように前記第2の加熱装置を制御する請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
基板を第1の処理温度まで加熱する第1の加熱装置と、前記第1の加熱装置を備えた第1の処理室と、前記基板をマイクロ波によって前記第1の処理温度よりも高い第2の処理温度まで加熱する第2の加熱装置と、前記第2の加熱装置を備えた第2の処理室と、前記基板を載置しつつ回転することによって、前記第1の処理室と前記第2の処理室に前記基板を搬入出する基板載置部と、前記第1の加熱装置と前記第2の加熱装置および前記基板載置部をそれぞれ制御する制御部と、を有する基板処理装置にコンピュータによって実行させるプログラムであって、
前記基板を前記第1の処理室に搬入し、前記第1の処理温度に加熱する第1の加熱手順と、
前記基板を前記第1の処理室から前記第2の処理室に移載し、前記基板を前記第2の加熱装置から供給されたマイクロ波によって前記第2の処理温度に加熱する第2の加熱手順と、を有し、
前記第1の加熱手順と前記第2の加熱手順とを交互に所定回数行い前記基板の処理を行う手順と、をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の第1の実施形態>
以下に本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置100は、ウエハに各種の熱処理を施す枚葉型熱処理装置として構成されている。また、本発明に係る基板処理装置100において、製品としての処理基板(ウエハ)200などの処理対象基板を搬送するキャリアとして、FOUP(Front Opening Unified Pod。以下、ポッドと称する。)110が使用されている。なお、以下の説明において、前後左右は
図1に示されているX
1の方向を右方向、X
2方向を左方向、Y
1方向を前方向、Y
2方向を後ろ方向として説明する。同様に、
図2のZ1方向を上方向、Z2方向を下方向として説明する。
【0010】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成された第1の搬送室103を備えており、第1の搬送室103の筐体101は平面視が五角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。第1の搬送室103には負圧下で複数枚のウエハ200を同時に移載出来る第1の搬送装置としての第1の基板移載機112が設置されている。ここで、第1の基板移載機112は、一枚のウエハ200を移載出来る物でも良い。第1の基板移載機112は、昇降機構としての第1の基板移載機エレベータ115によって、第1の搬送室103の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
【0011】
筐体101の五枚の側壁のうち前側に位置する二枚の側壁には、搬入用の予備室と搬出用の予備室とを併用可能な予備室122と123がそれぞれゲートバルブ126,127を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得る構造で構成されている。さらに、予備室(ロードロック室)122,123には基板支持台140により複数枚(例えば2枚)のウエハ200を積み重ねるように置くことが可能である。
【0012】
予備室122,123には、ウエハの間に隔壁板(中間プレート)141が設置される。複数枚の処理済基板が予備室122または123に入る場合、先に入った処理済の冷却途中のウエハが、次に入った処理済基板の熱影響で温度の下がり具合が遅くなるような熱干渉を、隔壁板141があることで防止できる。
【0013】
ここで、一般的な冷却効率を上げるための手法を説明する。予備室122および123、隔壁板141には冷却水やチラーなどを流し、壁面温度を低く抑え、どのスロットに入った処理済基板であっても冷却効率を上げることができる。負圧においては、基板と隔壁板141の距離が離れすぎていると熱交換による冷却効率が低下するため、冷却効率を向上させる手法として、基板支持台140(ピン)に置いたあと、基板支持台140を上下させ、予備室壁面に近づけるための駆動機構を設ける場合もある。
【0014】
予備室122および予備室123の前側には、略大気圧下で用いられる第2の搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第2の搬送室121にはウエハ200を移載する第2の搬送装置としての第2の基板移載機124が設置されている。第2の基板移載機124は、第2の搬送室121に設置された第2の基板移載機エレベータ131によって昇降可能に構成されているとともに、リニアアクチュエータ132によって左右方向に往復移動可能に構成されている。
【0015】
図1に示すように、第2の搬送室121の左側にはノッチまたはオリフラ合わせ装置106を設置させることも出来る。また、
図2に示すように、第2の搬送室121の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット118が設置されている。
【0016】
図1および
図2に示すように、第2の搬送室121の筐体125の前側には、ウエハ200を第2の搬送室121に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口134と、ポッドオープナ108が設置されている。基板搬入搬出口134を挟んでポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側にはロードポート(IOステージ)105が設置されている。ポッドオープナ108は、ポッド110のキャップ110aを開閉すると共に基板搬入搬出口134を閉塞可能なクロージャ142と、クロージャ142を駆動する駆動機構136とを備えており、ロードポート105に載置されたポッド110のキャップ110aを開閉することにより、ポッド110に対するウエハ200の出し入れを可能にする。また、ポッド110は図示しない工程内搬送装置(OHTなど)によって、ロードポート105に対して、供給および排出されるようになっている。
【0017】
図1に示すように、第1の搬送室筐体101の五枚の側壁のうち後ろ側(背面側)に位置する四枚の側壁には、基板に所望の処理を行う第1の処理室202aと、第2の処理室202bと、第三の処理室202cと、第四の処理室202dとがゲートバルブ150a、150b、150c、150dを介してそれぞれ隣接して連結されている。つまり、第1の搬送室103は、処理室202a、202b、202c、202dのそれぞれに隣接して設けられている。ここで、
図2に示すように処理室202a、202b、202c、202dを総称する際には処理室202とし、ゲートバルブ150a、150b、150c、150dを総称する際にはゲートバルブ150として説明する。
【0018】
(処理室)
図3および
図4(a)、
図4(b)に示すように、処理室202は、円筒状の気密容器である反応容器203を備えている。反応容器203は、上部容器203−1と下部容器203−2によって構成され、例えばアルミニウムで形成されている。また、上部容器203−1と下部容器203−2とは、環状の封止部材307によって気密に封止されている。反応容器203内には、ウエハ200の処理空間として、後述するマイクロ波発振器によってウエハ200を加熱するマイクロ波加熱室(マイクロ波処理室)208−1、208−2と、抵抗加熱ヒータなどのマイクロ波以外の加熱装置(ヒータ)によってウエハ200を予備加熱する予備加熱室(予備加熱処理室)209−1、209−2の2種類の加熱室にて構成されており、特に指定しない限り、マイクロ波加熱室208、予備加熱室209と称して説明する。
【0019】
マイクロ波加熱室208および予備加熱室209は、処理室壁305によって区分されており、ウエハ200をマイクロ波加熱室208と予備加熱室209との間を回転させて移動させる基板回転装置の役割と、基板処理時における基板載置部との役割を兼ねた装置として、トレー(サセプタ、基板支持部、基板載置部、基板保持部とも称する)306が配置されている。トレー306は、ウエハを支持するウエハ支持部としてのウエハ支持ピン(第1のウエハ支持部)306−1と、支持ピン306−1と接続されてウエハ200の外径よりも大きい径を有するリング部306−2と、リング部306−2と接続され、複数のリング部を結合するアーム306−3によって構成される。トレー306は、トレー306の中心に位置した回転軸401と接続され、回転軸401と接続された回転・昇降駆動部402が回転または昇降することによって、トレー306が回転または昇降し、ウエハ200が予備加熱室209とマイクロ波加熱室208によって加熱され、所定の処理が行われる。
ここで、トレー306はマイクロ波を透過する石英などの部材(マイクロ波透過部材、電磁波透過部材)で形成されることが好ましく、トレー306がマイクロ波に影響を与える事でウエハ200が均一に加熱されないことを避けるために、ウエハ支持部である支持ピン306−1、リング部306−2は必要最低限の強度を有する構成で、表面積が小さくなるように構成されることが好ましい。また、支持ピン306−1は熱容量が小さく、熱伝導率も小さな構造、材質が好ましい。トレー306をこのような構成とすることによって、トレー306が加熱され、トレー306からの伝熱でウエハ200を加熱してしまうことを抑制することが可能となり、ウエハ200は加熱せず、ウエハ表面に形成された膜だけを選択的に加熱する選択加熱が可能となる。
【0020】
図4(a)に示すように、予備加熱室209には、処理室202に搬送されたウエハ200を予備加熱するための予備加熱装置403として、予備加熱室209の天井部に設けられた上側ヒータ403−1と、トレー306よりも下方に設けられ、ヒータ昇降ユニット(ヒータ昇降機)406によって昇降する下側ヒータ403−2とが設けられている。また、下側ヒータ403−2には、ウエハを支持するウエハ支持ピン(第2のウエハ支持部)404を通すための貫通孔が設けられている。
【0021】
また、マイクロ波加熱室208には、後述するマイクロ波発振器300−1、300−2が、アイソレータ301−2、方向性結合器302−2、整合器303−2とともに、導波管304−2を介して反応容器203に接続されている。なお、マイクロ波発振器、アイソレータ、方向性結合器、整合器、導波管のそれぞれは、特に指定しない限り、マイクロ波発振器300、アイソレータ301、方向性結合器302、整合器303、導波管304と称して説明を行う。
【0022】
(マイクロ波供給部)
マイクロ波加熱室208の側壁には電磁波導入ポート410が設置されている。電磁波導入ポート410にはマイクロ波加熱室208内に電磁波を供給するための導波管304の一端が接続されている。導波管304の他端にはマイクロ波加熱室内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源、マイクロ波電源)300、導波管304に供給したマイクロ波が下流側で反射してマイクロ波電源に戻らないように、反射波を導波路の途中で吸収するためのアイソレータ301、進行波と反射波のどちらか一方のみを電力に比例した電気信号を測定するための方向性結合器302、マイクロ波発振器側と負荷側のインピーダンスを整合するための整合器303がそれぞれ順番に接続されている。マイクロ波発振器300には、マグネトロンやクライストロンなどが用いられ、アイソレータ301、方向性結合器302、整合器303を介して、マイクロ波などの電磁波を導波管304に供給する。マイクロ波発振器300によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。
また、本実施形態において、マイクロ波発振器300は、マイクロ波加熱室208の側面に垂直方向多段に2つ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよい。
【0023】
主に、マイクロ波発振器300と導波管304によって電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置)としてのマイクロ波加熱装置が構成される。なお、マイクロ波加熱装置としてアイソレータ301、方向性結合器302、整合器303のいずれか1つ、または、全てを含むようにしても良い。
【0024】
マイクロ波発振器300には後述するコントローラ160が接続されている。コントローラ160にはマイクロ波加熱室208および予備加熱室209内に収容されるウエハ200の温度を測定する温度センサ405−1、405−2が接続されている。温度センサ405−1、405−2は、ウエハ200の温度を測定してコントローラ160に送信し、コントローラ160によって予備加熱装置403およびマイクロ波発振器300の出力を制御し、ウエハ200の加熱を制御する。
ここで、マイクロ波発振器300−1、300−2のそれぞれは、コントローラ160から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器300−1、300−2それぞれにコントローラ160から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器300−1、300−2が個別に制御されるように構成してもよい。さらに、マイクロ波発振器300−1、または、300−2のそれぞれにおいても、上下で同一の制御信号で制御されても良いし、個別の制御信号で制御されても良い。このようにコントローラ160から送信されてくる同一の制御信号によってマイクロ波発振器300を制御する場合には、単一の制御になってしまう反面、制御を簡素化にすることが可能になり、個別の制御信号によってマイクロ波発振器300を制御する場合には、複雑な制御になってしまう反面、加熱室毎の詳細な制御が可能となる。
【0025】
(排気部)
マイクロ波加熱室208の下方であって、トレー306の下方には、マイクロ波加熱室208内の雰囲気を排気する排気部が設けられている。
図5に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、マイクロ波加熱室208内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報(後述する圧力センサ245からのフィードバック信号)を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
【0026】
主に、排気口221、減圧系排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。なお、処理室201を囲むように排気路を設け、ウエハ200の全周からガスを排気可能に構成してもよい。また、排気部の構成に、真空ポンプ246を加えるようにしてもよい。
【0027】
(ガス供給部)
マイクロ波加熱室208の天井面には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスをマイクロ波加熱室208内に供給するためのガス供給管232が設けられている。
ガス供給管232には、上流から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ243が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガスである窒素(N
2)ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に上流方向から順に、流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続されていてもよい。
【0028】
ガス供給管232から不活性ガスを供給する場合、主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243により不活性ガス供給系が構成される。
不活性ガスとしては、N
2ガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0029】
(制御装置)
図6に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ160は、CPU(Central Processing Unit)160a、RAM(Random Access Memory)160b、記憶装置160c、I/Oポート160dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM160b、記憶装置160c、I/Oポート160dは、内部バス160eを介して、CPU160aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ160には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置161が接続されている。
【0030】
記憶装置160cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置160c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する改質処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ160に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。またプロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM160bは、CPU160aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0031】
I/Oポート160dは、マイクロ波加熱室208および予備加熱室209内に供給するガスの流量を制御するMFC241、ガス供給管を開閉するバルブ243、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ405−1、405−2、駆動機構267、マイクロ波発振器300等に接続されている。
【0032】
CPU160aは、記憶装置160cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置161からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置160cからレシピを読み出すように構成されている。CPU160aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241による各種ガスの流量調整動作、バルブ243の開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ405−1に基づく予備加熱装置403の温度制御、温度センサ405−2に基づくマイクロ波発振器300の出力調整動作、回転・昇降駆動部402によるトレー306の回転および回転速度調節動作、または、昇降動作等を制御するように構成されている。
【0033】
コントローラ160は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)162に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置160cや外部記憶装置162は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置160c単体のみを含む場合、外部記憶装置162単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置162を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0034】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置100の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、ウエハ上に形成されたシリコン含有膜としてのアモルファスシリコン膜の改質(結晶化)方法の一例について
図7および
図8に示した処理フローに沿って説明する。以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ160により制御される。
【0035】
ここで、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハ(プロダクトウエハ)そのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合、後述する「ターゲット基板(ターゲットウエハ)」または後述する「ダミー基板(ダミーウエハ)」もしくは「ターゲット基板(ターゲットウエハ)とダミー基板(ダミーウエハ)の両方」を意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、上述した「ウエハ」の定義を用いた「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0036】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、上述した「ウエハ」の定義を用いた「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0037】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0038】
(基板搬入・載置工程(S701))
図2に示されているように、ポッド110がロードポート105に載置されると、ポッドオープナ108によってキャップ110aが開放され、所定枚数のウエハ200が第2の搬送装置124によって予備室122または123に搬入される。予備室122または123に搬入されたウエハ200は、第1の搬送装置によって保持され、コントローラ160からの制御によって所定の処理室202内、より正確には、予備加熱室209−1に搬入され、予備加熱室209−1内に待機しているウエハ支持ピン404上に載置される(S701)。このとき、マイクロ波加熱室208内と予備加熱室209内では、ガス供給管232、MFC241、バルブ243によって形成されるガス供給系から不活性ガスとしてのN
2ガスが供給され、マイクロ波加熱室208内と予備加熱室209内の雰囲気を置換し、マイクロ波加熱室208内と予備加熱室209内の酸素濃度を所定の値以下、例えば10ppm以下となるように制御される。また、マイクロ波加熱室208内と予備加熱室209内の圧力を、それぞれ、大気圧、微加圧(〜1.01[KgF/cm
2])、減圧(≦1[Pa])などの所望の圧力になるようガス供給部と排気部を制御する。好ましくは、マイクロ波加熱室208と予備加熱室209を微加圧または大気圧とすることで、ウエハ200をマイクロ波加熱室208と予備加熱室209の間を移載するときにウエハ温度が降温してしまうことを回避することが可能となる。また圧力を適正にすることでマイクロ波によるプラズマ生成も回避することが可能となる。例えば0.01MPa以上または1Pa以下でアニール処理を行うことでプラズマに起因した異常放電を抑制できる。
【0039】
(基板処理工程)
(第1予備加熱工程(S702))
予備加熱室209−1内のウエハ支持ピン404にウエハ200が載置されると、トレー306が上昇し、ウエハ支持ピン306−2上にウエハ200が載置され、ヒータ403によって予備加熱が可能な位置にウエハ200が配置される。トレー306が上昇すると、ヒータ昇降ユニット406によって下側ヒータ403−2が所定の位置に上昇し、上側ヒータ403−1と下側ヒータ403−2によってウエハ200を挟み込んで配置される。ウエハ200と下側ヒータ403−2が所定の位置に配置されると、コントローラ160からの制御信号によって、ヒータ403が所定の温度(第1の予備加熱温度)に加熱され、ウエハ200が予備加熱される(S702)。第1の予備加熱+中はウエハ200の表面温度を温度センサ405−1によって測定することでヒータ403が制御される。
【0040】
このようにウエハ200を予備加熱することによって、後述するマイクロ波加熱工程によって生じる加熱ムラによるウエハ200面内の温度差を小さくすることが可能となり、ウエハ200の反り、割れなどを抑制することが可能となる。ここで、第1の予備加熱温度は100℃以上450℃以下となるように制御されることが好ましく、特に好適には、300℃以上400℃以下となるように制御されることが好ましい。
【0041】
(第1マイクロ波加熱工程(S703))
所定時間、または、ウエハ200が所定の温度に到達すると、予備加熱工程が完了し、下側ヒータ403−2とトレー306が下降する。トレー306が所定の位置まで下降すると、回転・昇降駆動部402を介して回転軸401が回転し、トレー306が時計回りに90°回転する。トレー306が回転することによって、ウエハ200が予備加熱室209−1に設けられたスリット407を通ってマイクロ波加熱室208−1に搬入される。
【0042】
マイクロ波加熱室208−1に搬入されたウエハ200は、トレー306によって所定の高さまで上昇する。マイクロ波発振器300−1によって発生したマイクロ波によって所定の温度(第1の改質処理温度)まで昇温されるとともに、第1の改質処理温度に到達後、所定の時間だけ第1の改質処理温度を維持し、ウエハ200の表面に形成された非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜)を結晶化(改質)させる(S703)。
【0043】
ウエハ200の温度は、ウエハ200の表面温度を温度センサ405−2によって測定され、制御される。マイクロ波発振器300は、導波管304を介して電磁波導入ポート410からマイクロ波を処理室201内に供給する。処理室201内に供給されたマイクロ波はウエハ200に入射して効率的に吸収されるために、ウエハ200を極めて効果的に昇温させることが可能となる。ここで、マイクロ波発振器300によって発生したマイクロ波はウエハ200を300℃以上700℃以下の温度帯、好ましくは500℃以上600℃以下に昇温するように制御される。
また、改質処理温度を維持する時間長さは、改質対象膜種によって異なるが、マイクロ波を連続で照射したりパルス状に照射する場合がある。ウエハ200の温度をある一定範囲に維持する場合はマイクロ波電力を制御してマイクロ波を連続で照射し、所要の温度を維持しながらウエハ200に印加するマイクロ波の電界を連続照射する場合よりも大きくしたい場合はマイクロ波電力をパルス状に供給する。
【0044】
(第2予備加熱工程(S704))
所定時間、マイクロ波によってウエハ200の表面を加熱し改質処理を行うと、第1のマイクロ波加熱工程が完了し、トレー306が下降する。トレー306が所定の位置まで下降すると、回転・昇降駆動部402を介して回転軸401が回転し、トレー306が時計回りに90°回転する。トレー306が回転することによって、ウエハ200がマイクロ波加熱室208−1に設けられたスリット407を通って予備加熱室209−2に搬入される。
【0045】
予備加熱室209−2に搬入されたウエハ200は、第1予備加熱工程(S702)同様に、トレー306と下側ヒータ403−2が所定の位置まで上昇し、上側ヒータ403−1と下側ヒータ403−2によってウエハ200を挟み込んで配置される。ウエハ200と下側ヒータ403−2が所定の位置に配置されると、コントローラ160からの制御信号によって、ヒータ403が所定の温度(第2の予備加熱温度)に加熱され、ウエハ200が予備加熱される(S704)。第2の予備加熱中はウエハ200の表面温度を温度センサ405−1によって測定することでヒータ403が制御される。
【0046】
第2の予備加熱温度は、第1の予備加熱温度と同様に100℃以上450℃以下となるように制御されることが好ましく、特に好適には、300℃以上400℃以下となるように制御されることが好ましい。
【0047】
(第2マイクロ波加熱工程(S705))
所定時間、または、ウエハ200が所定の温度に到達すると、第2予備加熱工程が完了し、第1予備加熱工程完了後と同様に下側ヒータ403−2とトレー306が下降する。その後、トレー306が時計回りに90°回転することによって、ウエハ200がスリット407を通ってマイクロ波加熱室208−2に搬入される。
【0048】
第1マイクロ波加熱工程(S703)と同様にマイクロ波加熱室208−2に搬入されたウエハ200は、トレー306によって所定の高さまで上昇し、マイクロ波発振器300−1によって発生したマイクロ波によって所定の温度(第2の改質処理温度)まで昇温される。第2の改質処理温度に到達後、所定の時間だけ第2の改質処理温度を維持し、ウエハ200の表面に形成された非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜)を改質させる(S705)。
【0049】
このようにウエハ200を加熱する方法としてヒータ403による予備加熱とマイクロ波発振器300によるマイクロ波加熱とを交互に行うことによって、仮にマイクロ波加熱室208内に定在波が形成されてウエハ表面に集中して加熱される領域(マイクロ波集中領域、ホットスポット)が形成されたとしても、ホットスポットが生じた領域以外の領域との昇温時の温度差も小さくなる。温度差を小さくすることによって、ウエハ200内の処理の状態が均一になる。また予備加熱室にて加熱されるため、必要以上にウエハ200の温度が低下することを抑制することが可能となる。さらに、ウエハ200の面内で熱伝達が起きる期間を設けることによって、マイクロ波照射領域が集中して加熱され、ウエハ200の面内温度が不均一になり、割れ、反り、歪み等の変形が生じることを抑制可能となる。
以上のようにウエハ200を加熱処理することによってウエハ200表面上に形成されているアモルファスシリコン膜がポリシリコン膜へと改質(結晶化)されることとなる。すなわち、ウエハ200を均一に改質することが可能となる。
【0050】
(判定(S706))
第2マイクロ波加熱工程S705が完了すると、コントローラ160は、上述した第1予備加熱工程S702、第1マイクロ波加熱工程S703、第2予備加熱工程S704、第2マイクロ波加熱工程S705を1サイクルとして、所定回数実施したか否かを判定する。
このように、上記第1予備加熱工程S702から判定S706までの工程を改質工程または基板処理工程と称することができる。なお、第1予備加熱工程S702から第2マイクロ波加熱工程S705までを改質工程または基板処理工程と称しても良い。
【0051】
(基板搬出工程(S707))
ウエハ200を第1の搬送室103に搬出(アンローディング)する。その後ウエハ200を第1の搬送室103に隣接する予備室122または123に移載される。
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が改質処理されることとなる。
【0052】
ここで
図9に示すように、縦軸をキャリア密度(導電率に比例)、横軸を温度としたウエハ200のキャリア密度の温度依存性の一例を示した場合、温度によって、領域(A)、領域(B)、領域(C)に分けることができる。例えば領域(A)と(B)を分ける温度は327℃、領域(B)と(C)とを分ける温度は−73℃である。
図9から明らかであるように、領域(A)と(C)は温度上昇とともに、キャリア密度も大きく上昇するが、領域(B)は温度が上昇した場合であっても、キャリア密度は大きく上昇しない。
【0053】
ウエハ200の単位時間当たりの発熱量はウエハ200のキャリア密度に比例するため、キャリア密度が変動するとそれに伴って発熱量も変化する。このため、キャリア密度の変化が大きい領域(A)で、マイクロ波加熱を行った場合、温度変化に応じてキャリア密度が増加する割合が大きいため、照射されるマイクロ波の電力が同じでも、ウエハ200の昇温速度が大きくなる。このため、領域(A)において、第1および第2のマイクロ波加熱工程が行われることが好ましい。また、領域(A)は、上述したようにウエハ200の昇温速度が大きいため、マイクロ波が局所的に集中すると、集中した箇所が高温となりウエハ200の面内で部分的に温度差が大きくなり、熱膨張差でウエハ200が変形してしまう。このため、領域(B)の温度帯においては第1および第2の予備加熱工程を行い、領域(A)で第1および第2のマイクロ波加熱工程を行うようにプロセス制御することで、ウエハ200の面内温度差を小さくしてウエハ200が変形することを抑制しつつ、ウエハ200の改質処理速度を向上させることが可能となる。
【0054】
なお、
図9のようなキャリア密度と温度の関係は、ウエハ200の材質によって変化する為、ウエハ200の材質に応じて、領域(B)の温度帯で第1および第2のマイクロ波加熱工程と第1および第2の予備加熱工程を行うように制御してもよい。領域(B)でマイクロ波加熱工程を行った場合、キャリア密度の増加が少ないため昇温速度はあまり大きくならないが、ウエハ200の面内で温度差が生じ難くなるため、マイクロ波加熱における温度制御を簡易にすることが可能となる。
【0055】
(4)本実施形態による効果
本実施形態によれば以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0056】
(a)ウエハを改質するための加熱方法として予備加熱工程とマイクロ波加熱工程とを異なる加熱室にて交互に行うことによって、マイクロ波の定在波の発生によるウエハ面内の局所的な加熱を抑制することが可能となり、ウエハに割れ、反り、歪みなどの変形が生じることを抑制することが可能となる。
【0057】
(b)マイクロ波による加熱の前に予備加熱工程を行うことによって、マイクロ波加熱によってウエハ面内の温度差が大きくなることを抑制することが可能となり、ウエハに割れ、反り、歪みなどの変形が生じることを抑制することが可能となる。
【0058】
(c)マイクロ波加熱工程の後に予備加熱工程を行うことで、ウエハ表面の温度が過度に低下することを抑制でき、次のマイクロ波加熱工程におけるウエハ昇温時間を短縮することが可能となる。
【0059】
(d)マイクロ波加熱工程を行う際に、キャリア密度の変化が少ない温度帯で処理を行うことで、ウエハ面内で温度差が生じることを抑制することが可能となり、ウエハに割れ、反り、歪みなどの変形が生じることを抑制することが可能となる。
【0060】
(5)第1の実施形態の変形例
本実施形態における基板処理装置は、上述の態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。
【0061】
図10(a)および
図10(b)に示すように変形例では、マイクロ波加熱室208にウエハ回転ユニットを設け、マイクロ波加熱工程時にマイクロ波加熱室208内でウエハ200が自転するように構成されている。
このように構成することによって、マイクロ波によるウエハ200の局所加熱を抑制することが可能となり、回転しない場合に比べてウエハ200をより均一に処理することが可能となる。
【0062】
<本発明の第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態について
図11および
図12を用いて説明する。
【0063】
第2の実施形態は、マイクロ波加熱室208と予備加熱室209とがそれぞれ1つずつ設置されており、予備加熱工程とマイクロ波加熱工程を行うために、トレー306が180°回転することでウエハ200を移載する点において、第1の実施形態と異なる。その他の点においては第1の実施形態と同様であり、詳細な説明については省略する。
【0064】
図12に示すように、ゲートバルブ150から搬入されたウエハ200は、予備加熱室209に配置されたトレー306上に載置され、予備加熱工程が施される。予備加熱が行われることで予備加熱温度(100℃以上450℃以下)に加熱されたウエハ200は、トレー306が回転することによって、マイクロ波加熱室208に搬入され、マイクロ波加熱工程が施される。マイクロ波加熱工程が行われることで改質処理温度(300℃以上700℃以下)に加熱されたウエハ200が改質処理されることとなる。ここで、
図12には予備加熱処理とマイクロ波加熱処理を1回ずつ処理することが記載されているが、これに限らず、第1の実施形態同様に予備加熱工程とマイクロ波加熱工程とを交互に所定回数行うように構成されていても良い。
【0065】
第2の実施形態のように構成することによって、処理室内の構成を簡素化することが可能となり、構成の簡素化に伴い、コントローラ160による制御を簡素化することが可能となるため、基板処理をより精密に行うことが可能となる。またマイクロ波加熱室と予備加熱室を近接できるため、装置の設置面積を小さくすることが可能になる。
【0066】
<本発明の第3の実施形態>
次に本発明の第3の実施形態について
図13を用いて説明する。
【0067】
第3の実施形態は、第1の実施形態がマイクロ波加熱室208と予備加熱室209が交互に配置されるとともに、トレー306に保持されたウエハ200が予備加熱工程、マイクロ波加熱工程毎に90°回転することで移載されるのに対し、マイクロ波加熱室208と予備加熱室209とがそれぞれ並列して配置されている点、トレー306に保持されたウエハ200が、予備加熱工程、マイクロ波加熱工程ごとに180°回転することで移載される点、また、マイクロ波加熱室208、予備加熱室209が並列して配置されているため、ゲートバルブ150にウエハ200を2枚ずつ搬入し、処理することが可能な点において第1の実施形態と異なる。その他の点においては第1の実施形態と同様であり、詳細な説明については省略する。
【0068】
具体的には、
図13に示すように、ゲートバルブ150側に予備加熱室209−1、209−2が配置され、予備加熱室209−1、209−2と対向するようにマイクロ波加熱室208−1、208−2が配置されている。基板移載機112に保持された2枚のウエハ200は、ゲートバルブ150から予備加熱室209−1と209−2のそれぞれに一度に搬入され、予備加熱工程の処理が行われる。
【0069】
予備加熱工程の処理が完了すると、トレー306に保持されたウエハ200は、トレー306が180°時計回りに回転することによって、予備加熱室209−1に搬入されていたウエハ200はマイクロ波加熱室208−2に移載され、予備加熱室209−2に搬入されていたウエハ200はマイクロ波加熱室208−1に移載されることとなり、それぞれにマイクロ波加熱工程の処理が行われる。このように構成され、制御することによって、1度に処理する枚数を増やすだけでなく、複数のウエハ処理の制御を簡素化することが可能となる。これによってウエハ1枚あたりの搬送時間が短縮されスループットが向上する。
【0070】
以上、本発明を実施形態に沿って説明してきたが、上述の各実施形態や各変形例等は、適宜組み合わせて用いることができ、その効果も得ることができる。
【0071】
例えば、上述の各実施形態では、シリコンを主成分とする膜として、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に改質する処理について記載したが、これに限らず、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のうち、少なくとも1つ以上を含むガスを供給させて、ウエハ200の表面に形成された膜を改質しても良い。例えば、ウエハ200に、高誘電体膜としてのハフニウム酸化膜(HfxOy膜)が形成されている場合に、酸素を含むガスを供給しながらマイクロ波を供給して加熱させることによって、ハフニウム酸化膜中の欠損した酸素を補充し、高誘電体膜の特性を向上させたり、窒素ガス(N
2ガス)を供給しながらマイクロ波を供給して加熱させることによって、ハフニウム酸化膜中の未結晶化部分を結晶化し、高誘電体膜の特性を向上させたりすることができる。
なお、これに限らず、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の少なくともいずれかを含む金属元素を含む酸化膜、すなわち、金属系酸化膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、上述の成膜シーケンスは、ウエハ200上に、TiOCN膜、TiOC膜、TiON膜、TiO膜、ZrOCN膜、ZrOC膜、ZrON膜、ZrO膜、HfOCN膜、HfOC膜、HfON膜、HfO膜、TaOCN膜、TaOC膜、TaON膜、TaO膜、NbOCN膜、NbOC膜、NbON膜、NbO膜、AlOCN膜、AlOC膜、AlON膜、AlO膜、MoOCN膜、MoOC膜、MoON膜、MoO膜、WOCN膜、WOC膜、WON膜、WO膜を形成する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0072】
また、高誘電体膜に限らず、不純物がドーピングされたシリコンを主成分とする膜を加熱させるようにしてもよい。シリコンを主成分とする膜としては、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜、エピタキシャルシリコン膜(Epi−Si膜)、エピタキシャルシリコンゲルマニウム膜(Epi−SiGe膜)等がある。不純物としては、例えば、臭素(B)、炭素(C)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)、砒素(As)などの少なくとも1つ以上を含む。なお、上述したシリコンを主成分とする膜や金属酸化膜の他、エピタキシャルゲルマニウム膜(Epi−Ge膜)や、3−5族元素を用いて形成する膜を加熱するようにしてもよい。
【0073】
また、メタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate:PMMA)、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェニール樹脂などの少なくともいずれかをベースとするレジスト膜であってもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、ガス供給系から供給するガスを不活性ガスとし、基板処理を改質処理として説明したが、これに限らず、単体で成膜可能な原料ガスや、原料ガスと反応する反応ガス、エッチングするためのエッチングガスなどをマイクロ波加熱室内に供給し、成膜処理やエッチング処理を行うように構成しても良い。
【0075】
また、上述では、半導体装置の製造工程の一工程について記したが、これに限らず、液晶パネルの製造工程のパターニング処理、太陽電池の製造工程のパターニング処理や、パワーデバイスの製造工程のパターニング処理などの、基板を処理する技術にも適用可能である。